切断や研磨などディスクグラインダーの使い方を徹底解説!/DIY工具使いこなし術(11)

専用のディスクが、毎分およそ1万回転という超高速で回転し、ディスクを交換することで、材を切ったり、削ったり、磨いたりできる電動工具が今回紹介するディスクグラインダー。

交換用のディスクは、加工する材の材質にあわせていろいろな種類があり、また、それぞれ切断、研削、研磨用に分かれている。

*ディスクグラインダーの基本編はコチラ

 

最新のディスクグラインダーは本体が細く、しっかりとグリップできるようにデザインされている。グリップデザインはディスクグラインダーを選ぶ際の重要なポイントだ

 

ディスクを使い分ければ多用途に使える

切断や研削、研磨する材料によって、取り付けるディスク(砥石と呼ばれる)を交換して使うのもディスクグラインダーの特長。これによって木材から、金属、非金属、レンガなどいろいろな材を加工することができる。

ただし、加工精度は荒く、5mm程度の誤差は想定内として作業したほうがいい。誤差は小さくできるが、練習が必要だ。

ディスクグラインダーで材を切るときは、ディスクをスタートさせ、しっかり本体を保持し、材に対して真っすぐに切断用砥石を当て切り始める。切断の方向は、上から下、奥から手前というように、ディスクグラインダーを引いてくる方向で動かす。切る材の厚さより深くディスクが切り込むと、キックバックを起こし危険なので、材に深く切り込まないように注意する。

同じく、研削や研磨の場合は、切るときと同じようにディスクをスタートさせたら、ディスクが材に対して20~30度の角度になるように構え、対象となる材の上に掛ける力は、ディスクグラインダー自体の重さとし、軽く動かして研削、研磨していく。力を込めて材にディスクを押し付ける必要はない。

また、ディスクの回りをカバーするホイールカバーは必ず取り付けて作業する。プロの現場ではずして使用するのを見ることがあるが、わざわざ進んで危険な状況を作ることはない。

 

中央の黒いボタンがディスク交換の際、ディスクの回転軸をロックするスピンドルロックボタンディスク

 

グラインダーを使った切断、研削

切断は材を切ること、研削は材を削ること。ディスクグラインダーは元々金属の加工用に作られた工具なので、色々な金属、樹脂に対応したディスクのバリエーションがある。ガーデンエクステリアではレンガ、テラコッタを切断するダイヤモンドホイールが活躍する。複数の材に兼用できるディスクもあるが、専用ディスクの方が材に対してよく切断、研削できる。

切断、研削砥石の一般的な見分け方。左の薄いのが切断砥石、右の厚みのあるのが研削砥石と呼ばれる研削用ディスク

 

鉄工用切断砥石

鉄板、鉄棒などを切るためのディスク。厚さ3~4mmまでの鉄板(軟鉄)なら、ストレスなく切断することができる。より硬い鉄鋼やステンレスには鉄鋼・ステンレス用の切断砥石を使う。逆にステンレス用切断砥石なら鉄板も切ることができる。

 

アルミ用切断砥石

建具の材料などによく使われるアルミ材の切断は、鉄工用切断砥石を使っても切断できるが、アルミはやわらかいので、鉄工用ではしばらく使ううちに砥石の目が詰まって切れ味が悪くなる。アルミの材質に合わせて作られた専用のディスクなら、いつでも快適な切断ができる。

 

ダイヤモンドホイール

主に合成ダイヤモンドを配合した金属製のディスク。レンガ、テラコッタ、タイル、あまり厚くない石材の切断に利用される。ガーデンエクステリア作りのDIYでは、一番出番の多いディスクといえる。レンガやテラコッタを切る場合は、火花の代わりにものすごい量の土煙が出るので、ゴーグルはもちろん、マスクの装着も必要だ。

 

プラスチック用切断砥石

よりやわらかく、ねばりのあるプラスチック、塩ビ、FRP等を切るためのディスク。DIYで作る配管や暗渠に塩ビ管を使うときの切断加工を大幅にスピードアップしてくれる。

 

鉄工用研削砥石

研削砥石は切断砥石より厚く作られている。切断砥石は傾けて使ったときに、力が掛かりすぎると回転中に破壊して飛び散り大変危険なので、鉄工での削る作業では研削砥石を使用すること。

 

木工用研削砥石

木工用のサンドペーパーが円周上に重ねて取り付けられたディスク。ディスクの縁が丸められているので、材の内側の隅や角部などでも使いやすい。

 

ディスクグラインダーを使った研磨

研磨は材を磨くこと。ここでは錆びた鉄製品、非鉄製品の錆び落しから、磨き上げまでの作業、木材の艶出しなどのことをさす。一般的に研磨では、何段階かに工程を分けて、その工程ごとに、ディスクを交換しながら磨き上げていく。

 

錆びた鉄材の研磨

一面に錆びの浮いた鉄材も、ていねいに研磨すれば、きれいな鏡面に仕上げることができる。古代、鉄は鏡として使われていたこともあるので、完璧に研磨できれば、言葉どおり鏡面になる。ここでは4段階で研磨している。

 

木材を研磨する

木材のなかでも広葉樹の材は、研磨することによってきれいな木目の浮き出る材が多い。ここではメイプル(カエデ)材を3段階で研磨して、木目を出している。

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、イチグチ

*掲載データは2012年6月時のものです。

切断から研磨まで多用途に使えるディスクグラインダーの基本を解説!/DIY工具使いこなし術(10)

専用のディスクが、毎分およそ1万回転という超高速で回転し、ディスクを交換することで、材を切ったり、削ったり、磨いたりできる電動工具が今回紹介するディスクグラインダー。

交換用のディスクは、加工する材の材質にあわせていろいろな種類があり、また、それぞれ切断、研削、研磨用に分かれている。

 

最新のディスクグラインダーは本体が細く、しっかりとグリップできるようにデザインされている。グリップデザインはディスクグラインダーを選ぶ際の重要なポイントだ

 

ディスク100mm径用のディスクグラインダーが使いやすい

ディスクグラインダーは使用するディスクの径に合わせて100mm用、125mm用、150mm用、180mm用などのバリエーションがあるが、プロも含めて100mm用ディスクグラインダーがもっとも広く使われ、ディスクのバリエーションも豊富だ。実際に作業しても100mm用グラインダーは一番使いやすく、これ以上大きなモデルでは、工具を安定させるだけでも大変で、作業中には危険すら感じる。125mm用以上のモデルは、専門職用といえる。

ディスクグラインダーを使うときに、一番注意する点は、工具の保持。とくにスイッチ位置の関係から、始動するとき、片手で持つことになるので、スイッチを入れた拍子にディスクグラインダーを落とさないように、しっかりと保持すること。新型のモデルには今回使っているモデルのように、本体を細くして、持ちやすくデザインされたモデルもある。細身のモデルなら、手が小さい人でも、片手でしっかり保持することができる。

 

パワースイッチは本体後部についていることが多いため、スイッチのオンオフでは本体を片手で持つことになるので、しっかり保持して始動、停止する

 

誤作動を防ぐため、プラグは作業時以外は必ずコンセントから抜いておくことを習慣づける

 

市販のスピードコントローラーを使い低速側へ回転数の調整ができる。便利な別売アクセサリーだが、電子コントロール式のディスクグラインダーには使えないので注意

 

また、丸ノコのようにトリガースイッチから指を離せば、スイッチが切れるという仕組みもないので、モーターの始動、停止時はしっかり本体を持って、スイッチを操作する。コンセントにつなぐ前には、必ずスイッチが切れていることを確認すること。スイッチが入ったままコンセントにつなぐと、突然始動して危険だからだ。

金属を加工する場合激しい火花が散るが、見た目と違い熱くない。しっかり保持するなら素手。火花はちょっとという場合は革手袋をする。軍手は、万が一繊維が巻き込まれると、手まで引き込まれるので禁止。それよりも、目に切り屑が入るほうが危険なので、メガネ、保護メガネ着用は必須だ。

 

ディスクグラインダーで作業するときはメガネ、ゴーグル等で目を保護することが大切。細かい切り屑が目に入ると失明することもある。また切粉が舞うような作業ではマスクも必要だ

 

研磨砥石で研削する場合は写真のような角度(20〜30度)でディスクを斜めに当て、強く押し付けずに工具の重さなりで、手前に引きながら削る

 

切断砥石を使う場合はディスクを立てて材に当て、手前に引きながら切断する

 

金属の加工では激しい火花が散るが、熱くはない

 

中央の黒いボタンがディスク交換の際、ディスクの回転軸をロックするスピンドルロックボタン

 

ディスク交換の方法

ディスクを交換していろいろな材質を加工できるのが、ディスクグラインダーの大きな特長。ディスクグラインダーを使いこなすには、所有しているディスクグラインダーのディスク交換の方法はマスターしておきたい。

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、イチグチ

*掲載データは2012年6月時のものです。

夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(3)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

*ピザ窯・パン窯の基本とPOINT1・2はコチラ!

*ピザ窯・パン窯の形状や煙突などのPOINT3・4はコチラ!

 

<記事内ギャラリー>

 

POINT5 断熱層

とりあえずピザやパンが焼ければOKなら、耐火レンガでひと周り囲んだだけの窯で問題ない。

ただ、より長時間、窯料理を楽しみたいなら、さらに、その外側に断熱層を設けて、蓄えた熱が逃げにくくするといい。冷めにくい窯は、ひと晩おいても使えるほどだ。

断熱層の資材に求められる耐火性は、窯内部ほどシビアではなく、普通レンガを使用するケースが多い。

また、外壁を普通レンガで仕上げ、その内側に砂や小石、割れたレンガなどを詰めたり、あるいはすき間を設けて空気層にしたりして、断熱層をより分厚くする方法も見られる。

 

Kさん製作の窯を上から見た状態。耐火レンガで作った窯内部と赤レンガで作った外壁の間に砂を詰めて、断熱層としていることがわかる

 

窯内部からすき間をあけ、外側に赤レンガを積んで仕上げた。そのすき間も断熱のための空気層として機能している(山梨県・Hさん製作)

 

耐火レンガの外側に粘土を塗って断熱性を高めた。粘土層の中には使い古しのナベやヤカンを詰め、かさ上げしている(Oさん製作)

 

POINT6 扉

窯が温まり、食材を入れたら、窯口をふさいで熱が逃げないようにする。ピザなら窯口をふさがなくても焼けるが、パンを焼く場合は必ずふさぐ。

最も手軽なのは、耐火レンガや鉄板で窯口をふさぐ方法。窯を使用するときの作業性や、見た目にこだわるなら、扉をつけるといい。

扉は、鉄板を加工して作ったものが定番だ。本格的でかっこよく、耐火性も問題ない。

DIYで鉄製扉に挑戦するのも面白いが、道具ぞろえも含めて敷居が高いと感じるなら、扉の製作だけは鉄工所に頼むというのも現実的な選択といえる。

 

窯口の形に合わせて鉄板で枠を作り、その枠に蝶番を介して扉をつけている。扉に温度計を差し込めるようにすれば、温度管理が容易になる(前出・Kさんの友人製作)

 

窯口部分の耐火レンガに鉄枠をかぶせている。床の耐火レンガは鉄枠施工後に敷いたもの

 

あらかじめ耐火レンガの目地に蝶番の一部を埋め込み、その蝶番を介して扉をつけている(前出・Oさんの友人製作)

 

窯口の形状に合わせ、耐火レンガを加工して作った扉(Sさん製作)

 

耐火レンガを並べて窯口をふさげば扉代わりになる

 

POINT7 土台

窯は、ピザやパンを焼くときに作業しやすいように、適当な高さに設定しよう。低すぎる窯は思いのほか不便なので、土台を設けて腰あたりに窯口がくるようにしたい。

土台は、コンクリートブロック(重量ブロック)で作るケースが多い。表面を塗り壁材で仕上げれば、デザイン性が上がる。また、強度を保つ程度にすき間をあけておけば、薪や道具の置き場として活用できる。窯より広めに作れば、作業台や食材置き場になる。

なお、窯の重量は数百㎏に及ぶことも珍しくない。そんな場合は、土台の下に頑丈な基礎を打っておくと安心だ。

 

重量ブロックを3段積み、コンクリート平板を載せた土台。塗り壁材で仕上げ、窯の雰囲気にマッチしている。すき間は薪置き場として活用(木村グリーンガーデナー&ドゥーパ!編集部製作)

 

自然石を積み重ねた土台。手間はかかるが、ナチュラルな雰囲気で人気が高い(鹿児島県・Mさん製作)

 

食材などが置けるよう、窯の手前を広くした土台。重量ブロック3段積みの上に、型枠にモルタルを流し込んで固めたものを載せた。モルタルの中にはワイヤーメッシュを入れている(京都府・Tさん製作)

 

ケヤキの丸太を大胆に使った土台。土台のデザインでオリジナリティーを出すのも面白い(Iさん製作)

 

POINT8 屋根

窯の上には、屋根を作りたい。雨で濡れた窯は、使用時に温めるのに時間がかかる。それに、もし使用中に雨が降ってきたら、屋根のない窯は冷えてまともに使えなくなるし、食材の片づけなどにも不便だ。

また、繰り返し雨で濡れた窯は、耐久性が低くなる。レンガ類は水濡れと高温の状態を繰り返すことでもろくなり、粘土などは一度の雨で崩れることもある。

屋根のシンプルな作り方は、四隅に柱を立て、柱に桁と垂木をつけて屋根材を載せるというもの。要は、窯が雨で濡れるのを防ぎ、十分な強度があることだ。

さらに、屋根の下に道具を収納できるようにするなど、工夫するのも面白い。

 

窯を覆うように作った屋根。骨組みは足場用の細い丸太、屋根材はスギ板を使用。柱にフックをつけるなどして、道具をうまく収納している。薪置き場としても活躍(千葉県・Yさん製作)

 

まさに必要最小限の屋根。廃材を利用した柱は、土台のブロックにボルトで固定。そもそも高さがないので、さほど強度を心配する必要もない。手軽な屋根作りのお手本だ(新潟県・Fさん製作)

 

トタンの波板で壁を張り、もはや小屋と呼ぶ方がふさわしい。ここまでやれば少々の雨でも快適にピザパーティーを楽しめるだろう(千葉県・Nさん製作)

夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(2)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

*ピザ窯・パン窯の基本とPOINT1・2はコチラ!

 

<記事内ギャラリー>

 

POINT3 ドーム型か、アーチ型か、スクエア型か?

 

窯は、内部の形状によって空気の流れが変わり、薪の燃え方、熱の回り方が変わる。つまり、ピザやパンの仕上がりに影響を及ぼすことになる。

が、それはあくまで「突き詰めれば…」の話。形に関わらず、窯で焼いたピザやパンは十分においしいはずだ。大まかな焼き具合なら、薪やオキ火の位置によって調整することもできる。

ちなみに理想は、横から見て丸く尻上がり、上から見ると滴のような形状だといわれている。粘土を使えば可能だが、耐火レンガで作るには難しい形だ。

 

ドーム型
耐火レンガをドーム型(半球型)に組んだ窯。壁、天井の各部から中心までの距離が均一なので、ムラの少ない焼け具合になる(兵庫県・Kさん製作)

 

ドーム状の型を合板で作り、その型に合わせて、カットした耐火レンガを並べていく

 

ドーム型に組むには、耐火レンガひとつにつき、3面をカットする。スライド丸ノコがあれば比較的作業が速いが、それでも手間はかなりのもの。なお、レンガや石材のカットはディスクグラインダーでもできる

 

アーチ型
上部が半円状のため、熱が回りやすいアーチ型。DIYでは最もポピュラーなタイプ。壁を積み上げ、天井をアーチ状に組む。ここでは手前の列にはアーチ用の扇形レンガを使い、奥の列には標準形のレンガをそのまま使用。扇形の目地は真っすぐになり、標準形の目地は上が広がる

 

アーチ状(カマボコ状)の型を作り、さらに目地分のスペーサーを合板などで作って並べていけば、アーチ型に組める。組み終わったら、目地に耐火コンクリートを流し込みながら、スペーサーを抜いていく(神奈川県・Mさん製作)

 

スクエア型
四角い箱のような単純な形。これでも十分にピザやパンが焼ける(木村博明さん&ドゥーパ!ワークショップ参加者製作)

 

幅が広い耐火材を壁の上に渡せば完成。実に簡単だが、薄いと割れやすいので注意。二層式窯の上段の床と同様の資材を使うといい

 

DIYで作る窯のほとんどは、ドーム型、アーチ型、スクエア型のいずれかに分けられる。

この中では、ドーム型が熱の回りがいい。ただし、作るのは最も大変なはずだ。ドーム型の木型を作り、レンガをひとつずつ加工するという手間がかかる。

アーチ型も標準形の耐火レンガを使えば、ドーム型と同様の手順で作ることになる。ただドーム型ほど複雑な形状ではないので、比較的作業は楽だ。さらに、もともと扇形をしたアーチ用の耐火レンガも販売されているので、それを使えばグッと手軽になる。

スクエア型はもっとも単純。前項で紹介した二層式の上段の床と同じように、板状の資材をのせて天井を作ればいい。

どの形状にもいえるのは、窯口を小さくすれば熱が逃げにくいということ。

とはいえ、小さ過ぎると、空気の流入が少なくなって薪が燃えにくくなる(煙突をつければ解消できる)。また、ピザやパンだけでなく、ピール、トレー、ダッチオーブンなど、出し入れするもののサイズも考慮しなければならない。

なお、窯本体のサイズは、ピザ、パン、ダッチオーブンなどのサイズから見当をつければいいが、大きいほど温まるまでに時間がかかり、小さいほど薪が燃えにくくなるということは知っておこう。

 

窯口を小さくする場合は、カットして形状を合わせた耐火レンガを、耐火コンクリートで接着する。耐火コンクリートが硬化するまで、クランプなどで押さえて固定する

 

POINT4 煙突

窯に煙突があれば、空気の流れがスムーズになり、薪がよく燃え、煙の抜けもいい。

煙突は細め(100~150mm程度)で、真っすぐ立ち上がっているほうが、空気の流れが強くなり、薪が燃えやすい。

煙突がうまく働けば、窯口が小さくても薪が燃えるため、熱が逃げにくい窯を作ることができる。

熱が逃げにくい窯を目指すなら、煙突にはダンパーを装備したい。ダンパーは煙突を遮断する板のこと。薪を燃やす間は開放して空気を流し、窯が温まったら遮断して熱が逃げるのを防ぐというわけだ。

もともと空気をよく取り込み、薪がしっかり燃える窯なら、窯口から煙が出ることにはなるが、必ずしも煙突は必要でない。

 

資材の選択が面白い煙突。本体は2本の土管を連ねて耐火セメントで接着。土台は穴あきレンガで、笠はボウル。薄いレンガを抜き差ししてダンパーとしている(栃木県・Iさん製作)

 

DIY窯の煙突資材で最もポピュラーなのは、薪ストーブ用の煙突。簡単に組み立てられ、安価なのが魅力。あらかじめ窯に開口部を設けておき、煙突を差し込んで、耐火コンクリートなどで固定する(京都府・Hさん製作)

 

窯の天井に開口部を設け、耐火レンガで簡単に囲っただけの煙突。ダンパーは耐火レンガをスライドさせるだけ。とても単純だが、立派に役目を果たしている(長野県・Sさん製作)

 

煙突側面の目地部分に鉄板と鉄筋で作ったダンパーを差し込んでいる。レンガを積んで作る煙突は、手間はかかるが、窯との一体感があって完成度が高まる。雨が入りにくいよう、煙の排出口を側面に設けていることに注目(千葉県・Mさん製作)

イラスト◎丸山孝広

夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(1)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

 

<記事内ギャラリー>

 

introduction 窯を作る前に知っておきたい基本のトコロ

Q.どうして窯で焼いたピザやパンはおいしいのか?

対流熱と遠赤外線で焼くから、おいしいんです

 

これでおいしいピザやパンが焼けるのは、窯が温まると、ふたつの効果が生まれるから。

ひとつは、窯内部に熱風の対流(対流熱)が生まれること。その対流がピザやパンを一気に包み込んで、うまみや水分を逃がさずに効率よく焼き上げる。

もうひとつは、熱を蓄えた窯(耐火レンガなど蓄熱する材)が、遠赤外線(輻射熱)を出すこと。なんと遠赤外線は、ピザやパンに浸透して、内部から加熱をする。

このように、ピザやパンの外側は対流熱によって、内側は遠赤外線によって同時に加熱することで、外はパリパリ、中はふっくらモッチリのおいしいピザ、パンが焼けるのだ。

以上のことから言えるのは、とにかく耐火レンガなど蓄熱性のある資材できっちりと囲めば、その空間は、おいしいピザやパンが焼ける窯になるということ。

そう考えると、窯作りのハードルはグッと下がるはずだ。

さぁ、窯の設計に取りかかろう。

 

 

こんなカンタンな窯だってしっかりピザ、パン焼けるんです

このページで説明している通り、窯って、とても単純なもの。その証拠に、こんなにカンタンに作れる窯でも、おいしいピザ&パンが焼けるのだ。まずは、超お手軽に窯ライフを始めてみますか?

 

千葉県のNさんが製作したドラム缶窯。耐火レンガで作った窯も所有するNさんだが、「ピザを焼くだけなら実はドラム缶窯のほうが速くて便利です。ちょっとスモーキーになりますけどね」とのこと

 

 

以前、編集部で製作した超カンタン窯。20個の耐火レンガを並べて床と壁を作り、天井にはバーベキュー用の鉄板を載せただけ。これで、おいしいピザもパンも焼けちゃいました

 

耐火レンガ32個と天井用の大谷石2枚を積み木のように重ねるだけで窯にした例

 

扇形の耐火レンガ30個と標準形の耐火レンガ10個を使って、アーチ型の窯を作った例。耐火レンガの数を増やしてアレンジするのも簡単

 

POINT1 主要資材は耐火レンガ

火が直接当たる窯内部には、耐火性のある資材を使う。石や粘土でもいいが、圧倒的にポピュラーなのは耐火レンガ。入手しやすく、定形なので設計・組み立てにも都合がよく、洋風なルックスも人気がある。なお、普通レンガも焼成されたものではあるが、高温に長時間さらされると割れることがあるので、避けるのが無難。

 

フランスレンガという名称でホームセンターで販売されるフランス産耐火レンガ。ふぞろいな焦げ跡はデザインにも活きる。サイズは約220×105×54mm

 

耐火レンガは普通レンガよりやや大きいものが多い。耐火性能を刻印しているものもある。SK-32は耐火性能が1200度くらい、SK-34は1400度くらいということを表す。写真は約230×114×65mm

 

長さが半分の耐火レンガ。約115×114×65mm

 

厚さが半分の耐火レンガ。約230×114×30mm

 

ひとつずつ形も色も違うアンティーク耐火レンガ。できあがった窯もアンティークな雰囲気になること間違いなし。サイズは約220×110×65mm

 

耐火レンガの接着(目地)にはコテ塗り用の耐火コンクリート(キャスタブル、不定形耐火物ともいう)または耐火モルタルを使う。普通モルタルは、高温にさらされると割れてしまう。

耐火コンクリートは、通常のセメント同様に、水で練って施工し、常温で1日おけば硬化するので扱いやすい。なお、コテ塗り用ではない骨材の大きいタイプは、目地には適さない。

耐火モルタルは、高温で加熱するまで硬化しない熱硬性タイプが一般的。800℃程度で熱しないと硬化せず、硬化後でも水に弱いため、ピザ&パン窯には使いにくいのが実情だ。使用する場合は、普通セメントを15~20%程度混ぜると多少施工しやすくなる。

 

耐火コンクリート、アサヒキャスターCA-13T。25㎏入り

 

耐火コンクリート、イワキキャスタブル(コテ塗り用)。25㎏入り

 

耐火モルタル。25㎏入り

 

POINT2 単層式か、二層式か?

ピザ&パン窯では、単層式か二層式が一般的。

作るのが簡単なのは単層式だ。天井をどんな形状にするかが、製作上のポイントになる。

単層式の場合、ひとつの床で、薪を燃やす火床と、ピザやパンを置く焼き床を兼ねる。

一方、二層式の場合は、下段は火床、上段は焼き床と分けられるため、ピザ、パンを焼きながら薪を燃やして温度を上げることができる。あるいは、上段を火床兼焼き床とし、窯が温まったら下段にオキ火を移して上段でピザ、パンを焼くという使い方をすれば、オキ火を外にかき出す場合に比べ、より長く窯内部を高温に保つことができる。

二層式を作る場合は、上段の床をどう作るかがポイントだ。標準サイズの耐火レンガを空中に並べて作るのが難しいことは、容易に想像できるはず。

現実的なのは、左右の壁に渡せるサイズの材料を使うこと。もちろん耐火性のある資材だ。たとえば、600×300mmなど大判の耐火レンガ、大谷石、耐火コンクリートで自作した板が挙げられる。

 

300×600×65mmの耐火レンガを前後に2枚並べて床にした窯(茨城県・Fさん製作)

 

なんと三層式の窯。上2段の床はどちらもアサヒキャスターCA-13Tで作っている(Iさん製作)

 

全体的に赤レンガで覆った窯だが、上段の床に大谷石を使っていることがはっきりとわかる(岐阜県・Kさん製作)

 

二層式窯の上段の床にはコレがイイ

超カンタン!並べるだけで床が作れる

大判で厚みのある耐火レンガや大谷石を、左右の壁に渡して並べれば、簡単に床を作れる。

 

約900×300×120mmの大谷石

 

約600×300×65mmの耐火レンガ

 

わがまま設計OK!都合のいい寸法で床が作れる

前項で紹介した耐火コンクリートで板を成形し、床として使うことも可能だ。板の広さにもよるが、厚さは60mm以上あれば割れにくいだろう。

イラスト◎丸山孝広

庭にプライベート砂場&雨でも楽しめるエアホッケー台を作ってみた/この夏挑戦!わんぱくキッズに捧げるDIY作品集(2)

子どもは元気で外遊びがいい。走り、飛び、駆けまわる。よじ登り、はしゃぎ、大喜びする。そんな幸せな光景を見たければ、子どもたちが楽しめるDIYに挑戦してみませんか? ついでに大人たちも楽しんでみませんか?

 

<記事内ギャラリー>

 

作品File02 砂場とエアホッケーを作ってくれた自慢のパパ!

平板と耐火レンガで作られた砂場。Tさんの愛娘は、幼稚園から帰ってきても、自分の家に砂場があるためとても喜んでいる

 

使用しないときは、木枠に金網を張り、砂に落ち葉や猫のフンが入らないようにしている

 

<DATA>
製作者…Sさん(33歳・整備業)
DIY歴…8年
作った期間…約2週間
作った費用…1万円

 

Sさんは、5歳の娘さんと10カ月の息子さんのパパである。砂遊びが好きな娘さんのために、自宅の庭に砂場を製作したのが2008年3月のこと。これには、娘さんも大喜びしていた。

しかし、砂場製作後の雨が降ったある日、「娘の友達が遊びに来ていたんですが、暇そうにしていたんです」(Sさん)。そんな姿を見て、〝雨の日も楽しく遊べるもの〟を作らなければと思い立ち、同年5月にエアホッケーをDIYした。

資材には、枠板に1×6材、天板と底板に針葉樹合板を使用した。ラケットが滑るように、天板の針葉樹合板の上にアクリル板をのせている。エアは、天板と底板の間に高さ5cmの空間を作り、シロッコファン(送風機)で送風し、天板にあけた穴から出る風量でパック(玉)が浮く仕組みだ。

これで、どんな天気でも、友達と楽しく遊べるようになった娘さんは、「お父さんが作ったんだよ!」と、友達に自慢しているのだとか。こんなことを言われたら、うれしくて作りすぎてしまいそうだ。

 

底板と天板の間に5cmの空間を作り、シロッコファンで送風できるようにしている。これで、パック(玉)が浮く。「どういう作りなのかをよく聞かれるので、側板の両端までトリマーを走らせました」と、Sさん

 

エアホッケーで遊ぶSさん親子。シロッコファンは、ファンコイルの熱で火傷しないようにボックスで囲っている。内部が視認できるように、天板はアクリル板を使った

 

ボックス内で熱がこもり、コイルが焼損しないように、チューブでコイルにエアブローさせている。チューブは、ステー材がなかったため、アクリル天板にチューブ径の穴を2カ所あけ、穴に通して固定した

 

シロッコファンの送風口の形状にあわせて、側板に穴をあけ、はめあわせて止める

 

まだまだある! 子どものためのDIY作品!

子どもの日に、娘さんにプレゼントした折りたたみ式のストラックアウト。娘さんが数日で飽きてしまい、今は親戚のもとにある。資材は、フレームに30mm角アングル鋼材、的に振動吸収ゴム、ずれ止めに強力マグネットを使用。2枚のフレームをボルトで固定して、開閉させる。フレームに切り欠きを数箇所いれて、組立てたときの角度を微調整できるようにした。

2枚同時落としができる、ストラックアウトの引受人。ソフトボールクラブに所属している

 

たたんだときにボルトが邪魔にならないように、接地部分は切り欠きを大きく取っている。写真奥の2本のアングルは、フレームの支柱

*掲載データは2009年6月時のものです。

写真◎篠永智

ヨーロッパの街並みをイメージさせるモコモコしたピザ窯のポイントは?/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(8)

Case08 モコモコッとした質感のモルタルに緩やかなアールの相性が抜群

ヨーロッパの街並みをイメージさせるような淡い山吹色のピザ窯。窯口の扉や化粧板にまでアールが取り入れられた柔らかいデザインが特徴。

山吹色のモルタルが塗られた窯は随所にアールを取り入れた柔らかいデザイン

 

<記事内ギャラリー>

 

<Aさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型基本タイプ
  • 窯のサイズ
    W1200×D1300×H1400mm
  • 使用した主な素材
    耐火レンガ約90個、コンクリートブロック、コンクリート平板、2×材、1×材、耐火コンクリート(アサヒキャスター)、鉄筋(10㎜径)、モルタル、カラーモルタル、砂、化粧砂利など
  • 製作費用
    約12万円
  • 製作期間
    実働14日間
  • 窯製作のきっかけ
    フェンスやペイビングだけの庭ではさびしい。また子供が大きくなった今、石窯があればみんなで楽しくピザパーティーができていいなと思っていた
  • 窯設計までの経緯
    ピザ窯を作ろうと思ったもののなにもわからないので、石窯づくりの本を3冊買いそろえ、通勤時に読みふけった
  • 窯の特長・ポイント
    材料をほとんど切らずに済むサイズに窯を設計したこと。保温のためピザ窯全体をモルタルで塗装したことなど
  • 土台
    基礎の50mm厚のモルタルの上にコンクリートブロックを4段積み上げた。土台の正面には2×材でドア枠、1×材でドアを取り付け、中を薪の保管庫にしている
  • 屋根
    なし
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    燃焼室が大きく窯がなかなか暖まらない。今回は2×材で窯口の扉を作ったが、次回は両開きの鉄扉をつけたい
  • 使用する薪の種類・調達方法
    DIYで出た端材や親戚の持つ敷地の間伐材などを利用している。調達先をもっと開拓したいと考え中
  • 使用時に出る煙についての注意
    煙はやはり心配。朝早く、夜遅くの使用は控えるようにしている
  • 窯まわりに欲しい設備
    料理の調理ができるような野外キッチン
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    生地作りはいとこ夫婦にお願いしているが、はやく自分でも作れるようになりたい…
  • ピザ窯の魅力
    「わいわいがやがや」人がどこからか集まってくるところ

 

 

背面もきれいにモルタルが塗られている。基礎の周りには化粧砂利が敷かれ、すっきりした印象

 

右側に薪や端材を収納。左側には棚を取り付け、トングやピールなどピザ作りに必要な道具を収納している

*掲載データは2011年8月時のものです。

DIYで楽しむアウトドアリビング&ピザ窯・パン窯特集!『ドゥーパ!』2022年8月号(149号)の中身を紹介

日本で唯一のDIY雑誌の最新号「ドゥーパ!2022年10月号」(発行:株式会社キャンプ)が7月8日に発売!

 

 

【記事内ギャラリー】

 

第1特集は「ウッドデッキから始める、僕らの野外基地作り」

「ウッドデッキ作りがアウトドアリビングを実現する第一歩」をテーマに、小さな庭に作るささやかな(でも最高な)くつろぎ空間から、子どもの頃の夢想をそのまま実現したような、憧れの野外基地とその作り方を紹介。冒険心をくすぐる大人の秘密基地が大集合!

 

 

編集部のDIY実践リポートは、今も続くウッドショックの中、その存在感を増してきた人工木を使ったウッドデッキ作りと、継ぎ手を駆使した方形屋根のガゼボ作りの模様をお届け。板葺き仕上げのリゾートライクな“離れ”的くつろぎ空間の作り方をご覧ください。

 

 

ブーム真っただ中のサウナや開放感満点の露天風呂は、野外基地との相性抜群。極上の癒し空間を手に入れたDIYerとその作品を紹介します。さらに前項の製作リポートで紹介したデッキ&ガゼボを編集部が自ら露天風呂化! ポイントはもちろん、失敗やトラブルも包み隠さず公開した、汗と涙のDIYドキュメントをお楽しみください。

 

 

第2特集は「手作りピザ窯・パン窯のある暮らし」

3例の自作薪窯とその活用法をとおし、ピザ窯・パン窯のある暮らしの魅力を伝える本特集。材料や構造の違うそれぞれの窯の特徴から、ピザだけではない窯料理のアイデアまで、ドゥーパ!らしく細部まで掘り下げて紹介。ぜひじっくりとご覧のうえ、あなたも口福な熱中時間を愉しんでください。

 

 

バラエティあふれる連載にも注目!

車中泊や旅を楽しむための軽バンカスタム、トリマー&ルーター木工、さらにはレザーソーイングやグリーンウッドワークなど、さまざまなジャンルのもの作りの魅力を個性あふれる作家とともにお届けします。その他、自給自足の田舎暮らしエッセイなど読み物も充実。こちらもぜひお楽しみください!

 

※本書内、P058に掲載いたしました「屋根下地の構造図」上に、画像解像度が低い旨の指示文が残ったまま掲載したことを確認いたしました。読者の皆様、関係各位にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げますとともに、ここに訂正させていただきます。

 

[商品概要]
ドゥーパ! 22年8月号(NO.149)
著者:ドゥーパ!編集部
定価:1,100円(税込)
発売日:2022年7月8日
判型:A4変形

<本書のご購入はコチラ!>
Amazon
楽天ブックス
セブンネット

焼き室は独立式!ほぼ廃材で作られたピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(7)

Case07 廃材で作ったピザ窯は焼き室が独立式

自宅の解体や仕事で出た廃材をコツコツ集めて作ったピザ窯は、焼き室が独立した設計。燃焼室で焚いた火が焼き室全体を暖めて、こんがりとピザを焼く。

周囲に積み上げられた自然石や吊り下げられたランタンが秘密基地のような雰囲気を思わせる。右上にあるのは手作りスモーカー

 

<記事内ギャラリー>

 

<Oさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W550×D750×H1050mm
  • 使用した主な素材
    普通レンガ約140個、断熱レンガ6個、耐火コンクリート(アサヒキャスター)、モルタル、砂、砂利、鉄板、特注した鉄扉、ステンレス製煙突など
  • 製作費用
    約5万円
  • 製作期間
    実働20日間
  • 窯製作のきっかけ
    新婚旅行で訪れたイタリアで食べたピザの味が忘れられず。お金はあまりかけず、あるものを使ってピザ窯を作りたいと思っていた
  • 窯設計までの経緯
    本にはなかなか自分の思うような連続燃焼式窯がなく、以前の『ドゥーパ!』を参考にして作った。レンガは「いつかなにか作るときのために」と中古レンガをもらってためていた
  • 窯の特長・ポイント
    焼き室は下段の燃焼室とはつながっておらず独立式で、煙が入ってこない。使用時の保温力を高めるために窯の周りに自然石を積み上げている
  • 土台
    地面を50mm掘ってコンクリートを打設し、その上に中古レンガ&鉄板を設置
  • 屋根
    燃えにくい6尺の平トタン2枚を使い、片流れ屋根にした。煙突が熱を持つので、屋根との接合部分は陶器のトイを使って煙突を囲い、雨漏り防止に耐熱パテを使用した
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    窯使用時、天井部の耐火コンクリート(アサヒキャスター)がかなり熱を持ってしまう。次はもっと厚く塗るか、違う方法を考えたい
  • 使用する薪の種類・調達方法
    自分の家を解体した際の廃材を敷地内においていて、ピザ窯や薪ストーブに使っている
  • 使用時に出る煙についての注意
    隣家とは距離があるので、心配していない。初めは洗濯物に煙の匂いがついたので、煙突を継ぎ足した
  • 窯まわりに欲しい設備
    ピザ窯の右上側に燻製ボックスを作ったが、ピザ窯の保温を兼ねたものに改良したい
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    シンプルなトッピングのほうが窯で焼いた生地の味を楽しめると思う
  • ピザ窯の魅力
    ピザ窯の火入れをして、煙突から煙を出すだけで癒される。自分で作ったピザ窯で焼きたてのピザが食べられるだけで大満足

 

 

焼き室は独立した箱なので、燃焼室の煙は入ってこず、ピザやパンが煙り臭くならない

 

窯を雨から守る屋根にはトタンを使用。防火のため煙突には陶器のトイを巻いている

 

トタンとの接合部分には雨漏り防止のため耐熱パテを使用した

*掲載データは2011年8月時のものです。

寒冷地でもへっちゃら!基礎深さ550mmのガッチリ基礎ピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(6)

Case06 寒冷地仕様のピザ窯はなんと基礎の深さが550mm!

凍てつく北国の地盤の凍結深度にあわせた基礎は深さ550mmでガッチリ施工。燃焼室は江別産レンガと耐火レンガの二重構造で、ピザをこんがり焼き上げる!

 

イタリアン・トリコロールカラーのモザイクタイルが張られたTさんのピザ窯

 

<記事内ギャラリー>

 

<Tさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W900㎜×D900㎜×H1240mm *煙突除く
  • 使用した主な素材
    耐火レンガ93個、外装用レンガ(北海道・江別産レンガ)116個、コンクリートブロック40個、モザイクタイル、耐火コンクリート(アサヒキャスター)4袋、砂利、砂、乾燥砂、セメント、鉄筋、ワイヤーメッシュ、温度計、特注したスチール扉、ステンレス製煙突など
  • 製作費用
    約13万円
  • 製作期間
    実働35日間
  • 窯製作のきっかけ
    もともとダンボールとアルミホイルを使った簡易ピザ窯を作るほどのピザ好き。自分で生地から練ってピザを食べること、子供が喜ぶことが嬉しかった
  • 窯設計までの経緯
    『ドゥーパ!』を参考に、連続燃焼・二重構造の窯にこだわり、レンガ・石窯のヒントを探しに図書館へ。ウエブ上の作品もチェック
  • 窯の特長・ポイント
    二重構造の焼き室&燃焼室。スチール建具工場に製作を頼んだ本格的なスチール扉(耐熱硝子付き、耐熱塗料を塗装)。窯正面にはイタリアン風のモザイクタイルを張りつけた
  • 土台
    北海道は凍結深度が深いため、基礎深さを550mmとり、砂利(200mm厚)とワイヤーメッシュ入りのコンクリート(70mm厚)を打設。その上に鉄筋入りのコンクリートブロックを4段積み上げている
  • 屋根
    屋根なしのため、不使用時はブルーシートで覆っている
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    上部焼き室の空間の高さを下げ、熱効率を高め、上部からの輻射熱を出したい。扉の高さも少し低くして、あけた時に熱を逃がさないようにする
  • 使用する薪の種類・調達方法
    ウェブショップにて皮なしのケヤキを調達
  • 使用時に出る煙についての注意
    近隣が共同住宅の為、ほとんど炭(安価なマングローブ炭と火持ちのいいオガ炭を混合)を使用。窓をあけない春先と晩秋のみ薪を使用している
  • 窯まわりに欲しい設備
    物置。炭、薪、ピール、火かき棒などなど収納スペースがほしい
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    パン生地はとにかくよく練ること。伸びる生地づくりがポイント。ピザを焼いた余熱で、塩コショウでもんだ豚モモ肉をローストするのもオススメ
  • ピザ窯の魅力
    暇な休日、家族や知人の集まる日は大活躍。みんなでワイワイ食べる幸せを感じる

 

 

窯本体の外装は江別レンガで覆われている。内部は耐火レンガの二重構造

 

お隣さんに迷惑がかからないよう、窯使用時はほとんど炭を使用。窓をあけなくて済む春先と晩秋のみ薪を使用している

 

煙突に取り付けるダンパー部分の型枠を製作

 

耐火コンクリート(アサヒキャスター)を流し込んでダンパーのできあがり

 

アサヒキャスターで作った火床(80mm厚)。上部凸部分の両脇から燃焼室の熱気が上に上がってくる仕組み

 

レンガを積む時は均等な目地幅と水平を出すために、アルミのコノ字棒(高さ10mm)を使用

 

*掲載データは2011年8月時のものです。

着脱可能な屋根つき!プチブリックで彩ったドーム型ピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(5)

Case05 プチブリックを飾りつけたピザ窯は取りはずし可能な屋根つき!

スタイリッシュな外見にこだわったピザ窯は、燃焼室のレンガをひとつずつ削って積み上げ、ドーム型の窯に仕上げた力作。副燃焼室ではスモーク料理も楽しめる。

 

プチブリックで化粧されたかわいらしいピザ窯。無骨で男っぽいデザインはあえて避けたそう

 

<記事内ギャラリー>

 

<Tさんの窯データ>

  • 窯の種類
    ドーム型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W1140×D1095×H1690mm
  • 使用した主な素材
    焼き過ぎ煉瓦128個、フランス煉瓦65個、耐火レンガ(SK32)50個、耐火レンガY2(扇形)/6個、同Y3(扇形)/7個、プチブリック260個、コンクリート平板(60×990×200mm)1枚、同(60×990×300mm)3枚、大谷石(60×300×900㎜)3枚、モルタル、砕石、砂など
  • 製作費用
    約8万円
  • 製作期間
    実働7日間
  • 窯製作のきっかけ
    食べ物までがスピード優先になってしまったこの時代に、これと対極の「面倒がかかるが心を込められる食べ物」を作りたいという気持ちがあった。また、石積みのアーチに憧れていた
  • 窯設計までの経緯
    まず本を買って勉強。大きさ、構造を決め、一度はアーチ型でピザ窯を設計。しかし大谷石の送料が意外に高く、ドーム型にすると内部の容積が少なくでき、大型の大谷石を使わないでできるとわかり、設計をやり直した
  • 窯の特長・ポイント
    燃料の節約のためには、内部の容積を小さくするのが有効なので、最低限の大きさで設計。焼き床兼火床の下部に副燃焼室を作り、取り除いたオキ火を置くスペースとした。窯口、副燃焼室のフタは大谷石で作り、なるべくすき間のないようにしてスモーク料理にも対応できる仕組みにした
  • 土台
    焼き過ぎレンガを11段積み上げ、コンクリート平板を設置
  • 屋根
    ひとりで取り外しができる屋根を製作。骨組みは2×4材を半分にカット。屋根材はポリカーボネイトの波板。接合部はビスケット・ジョイントとコーススレッドで固定した
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    窯床の大谷石の両側に膨張スペースを残すべきだった。燃焼時に大谷石が膨張して窯を押し広げるので、煙突の開口部に簡単にクラックが入り、煙突はさっそくやり直しに…
  • 使用する薪の種類・調達方法
    以前は薪屋さんで調達。昨年冬は薪の原木をもらい、チェンソーと斧で小割りした。樹種にはこだわらず、広葉樹であればなんでもOK
  • 使用時に出る煙についての注意
    隣は留守が多く、一声かける程度。煙は温度が上がってしまえばそんなには出ないので特に気にしていない
  • 窯まわりに欲しい設備
    屋外用の小さなテーブル
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    ピザは見る見るうちに焼き上がるので、目を離さずにこまめに回してやればたいていうまく焼ける。裏側を適度に焦がすために溶岩のプレートを使用している
  • ピザ窯の魅力
    「原始的なゆったり感」。懐かしさのようなものを感じる。人間は炎が好きなのだと思う

 

 

ピザ窯本体を覆うような小さな屋根を、2×材とポリカーボネイトの波板で製作。ひとりで取り外し可能

 

ピザ窯背面。レンガがきれいにドーム状に積まれているのがわかる。お見事!

 

窯口のフタとダンパーには60mm厚の大谷石を使用

 

ちょうどアルファベットのCをどんどん小さくするようにして、ドーム型の窯を作っていった

 

溶岩石に乗せて焼いたピザは裏側もほどよくこんがり焼ける

 

*掲載データは2011年8月時のものです。

幅1400mmのビックサイズ!三部屋構造の重厚なピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(4)

Case04 幅1400mmの重厚なピザ窯は灰落ち室、燃焼室、焼き室の三部屋構造

高さ1750mmのピザ窯の中身はなんと三部屋にわかれた構造。屋根のアーチ部分にはモザイクタイルと貝殻を埋め込んで夕陽と海岸の波をイメージ。

 

外側に普通レンガ、内側に耐火レンガを積んだ重厚な雰囲気のピザ窯。それもそのはず幅1400×高さ1750mmのビッグサイズ

 

<記事内ギャラリー>

 

<Aさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W1400×D1200×H1750mm
  • 使用した主な素材
    普通レンガ約300個、自然石20個、耐火レンガ約140個、コンクリートブロック、大理石、耐火モルタル、セメント、砂、モザイクタイル、貝殻やサンゴのかけら、鉄筋、鋼板、鋼管(15mm径)、鉄工所に特注した扉、ステンレス製煙突(100mm径)など
  • 製作費用
    約9万円
  • 製作期間
    実働25日間
  • 窯製作のきっかけ
    自分の干支が寅で昨年は年男。この年に記念になるものを作ろうと思い、妻のリクエストのピザ窯を作ることに。ちなみに妻は当時、パン教室に通っていた
  • 窯設計までの経緯
    インターネットや雑誌で石窯に関する記事を読みこんで、独自に設計。もともと仕事柄、建築士の資格を持っており、設計はさほど難しくなかった。扉と煙突のダンパーは鉄工所にオーダーした
  • 窯の特長・ポイント
    灰落ち室、燃焼室、焼き室の三部屋構造。燃焼室、焼き室の内側に耐火レンガ、外側に普通レンガを積み、壁厚を200mm以上とって保温性を高めている。屋根のアーチ部分はモザイクタイルで夕陽と海岸の波をイメージ。故郷である種子島の貝やサンゴのかけらも埋め込んだ
  • 土台
    鉄筋入りのコンクリートの上に、コンクリートブロックを積み上げ、表面を自然石で化粧
  • 屋根
    作業小屋の2階デッキの下に石窯を製作。煙突は外に出るように取り付けた
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    耐火モルタルの取り扱いが難しい。次回は焼き室にスモーク食材を吊るせるようバーを設置したい
  • 使用する薪の種類・調達方法
    薪は家の周りの木を切っているが、広葉樹が火持ちがよくススも出ないように思える。しっかり乾燥させれば煙があまり出ません
  • 使用時に出る煙についての注意
    自宅が民家から離れた山の中にあるので心配していない
  • 窯まわりに欲しい設備
    やっぱり調理台
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    生地に好きな具をたくさんのせて、焼きたてのピザの味を楽しむこと!
  • ピザ窯の魅力
    自然の火で食べ物ができあがる楽しさ、スモークされた味の深みが最高

 

 

ピザ窯の上部側面にはモザイクタイルで夕陽と海岸の波をイメージ。Aさんの故郷である種子島の貝やサンゴのかけらも埋め込んだそう

 

ピザ窯の設置箇所は窯が雨ざらしにならない作業小屋の2階デッキの下。煙突は外に出るように取り付けた

 

窯の土台は自然石とコンクリートブロック。基礎はしっかり鉄筋を入れたコンクリートで固めた

 

火床部分の中心には200×300mmの穴があけられ、使用し終わった灰を下に落とせる仕組みになっている

 

*掲載データは2011年8月時のものです。

窯に五右衛門風呂を使用!ワイルドな双子ピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(3)

Case03 五右衛門風呂を窯に使ったワイルドなピザ窯ツインズ

倉庫に眠っていた五右衛門風呂が驚きの変貌を遂げた!ラフでワイルドな男らしいピザ窯は、材料にほとんどレンガを使わない個性的な構造。

 

右側が1号機、左側が2号機。ピザ窯の雨よけ屋根は、足場材とビニールハウスのL型フレームを用いて骨組みを作り、上部にトタンを2枚かけて製作した

 

<記事内ギャラリー>

 

<Wさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型基本タイプ
  • 窯のサイズ
    W900㎜×D900㎜×H1650mm
  • 使用した主な素材
    1号機…五右衛門風呂、普通レンガ、鉄工所から譲ってもらった鉄骨のアングル、鉄板(4mm厚)2枚、溶岩石(600×600mm)、御影石(20mm厚)、ジョイント敷き材、ガーデニング用のウォール材、セメント、砂、温度計、ステンレス製煙突、など
    2号機…五右衛門風呂、普通レンガ、オーストラリアレンガ、スギの丸太、クリの丸太、エルペット(ビニールハウスの骨組み)、植木鉢観賞用のコンクリート平板(32mm厚)、砕いた瓦、御影石(20mm厚)、ジョイント敷き材、ガーデニング用のウォール材、セメント、砂など
  • 製作費用
    約2万円(窯ひとつにつき)
  • 製作期間
    実働7日間
  • 窯製作のきっかけ
    元々バーベキューが好きで家族で楽しんでいた。妻が野菜ソムリエ、娘がイタリアンレストランのコックであることも影響あり
  • 窯設計までの経緯
    ディズニーシーのピザ窯から近所に住んでいるシェフが作った石窯まで、4~5件を実際に見てまわり研究した
  • 窯の特長・ポイント
    昔、民宿を営業していたことから使われていない五右衛門風呂がふたつあり、この廃材を使って、ピザ窯を作っていること
  • 土台
    1号機…鉄工所から引き取った脚状の鉄骨
    2号機…スギの丸太とエルペット(ビニールハウスの骨組み)を接合したもの
  • 屋根
    骨組みに足場材とエルペット、屋根材にトタンを使用して組み立てた
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    1号機を作る際、五右衛門風呂の周囲をジョイント敷き材で覆ったがモルタルがやや少なかった。2号機のときはよりモルタルを多く塗って、窯の保温性を高めた
  • 使用する薪の種類・調達方法
    友人の大工からもらう端材や、庭の雑木を刈ったものを使用
  • 使用時に出る煙についての注意
    自宅が民家から離れているので心配していない
  • 窯まわりに欲しい設備
    バジルやローズマリーの鉢植えなどを近くに置いて育てておくと、採れたてのトッピングができる
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    なんでもかんでもトッピングするのではなく、具材をシンプルにまとめるのがおいしいピザを作るコツ
  • ピザ窯の魅力
    もともとバーベキューが好きだったが、ピザ窯を作るようになってからさらに仲間との集いが増えた。庭でピザパーティーができるって珍しいからね

 

 

五右衛門風呂の窯の表面は、ガーデニングで使うアールのついたウォール材とネットでつながったジョイント敷き材をモルタルで張り付けて仕上げた

 

1号機の背部。煙突を取り付けた部分は一度ひび割れてしまったのでモルタルで修復

 

2号機には煙突はつけず、もともと排水用にあいていた穴を残した

 

窯口が幅350×高さ300mmと広いので、ダッチオーブン料理もOK!

 

鶏のもも肉もこのとおり、ジュ~シ~に焼けちゃう♪

写真◎冨士井明史

*掲載データは2011年8月時のものです。

長い煙突で煙をしっかり吸い上げる!大谷石を使ったピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(2)

Case02 本体に大谷石を使用した窯は長い煙突で煙をしっかり吸い上げる

土台に化粧ブロック、火床兼焼き床には溶鉱炉で使われていたという耐火レンガを使用。窯口に扉は固定せず、横にスライドさせて窯内の空気量を調節する。

 

本体に大谷石を使用したアーチ型のピザ窯。ピザ窯はみんなで楽しむ場所作りにもってこいだと製作者のIさんは語る

 

<記事内ギャラリー>

 

<Iさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型基本タイプ
  • 窯のサイズ
    W900×D1200×H1470mm
  • 使用した主な素材
    大谷石(W300×D900×H150mm)約13個、中古の耐火レンガ、化粧ブロック、コンクリート平板、鉄筋、モルタル、耐火モルタル、砂、L字型アングル、鉄板(450mm角、3mm厚)、ステンレス製煙突など
  • 製作費用
    約5万円
  • 製作期間
    約2カ月間
  • 窯製作のきっかけ
    千葉県に土地を購入し、みんなでもの作りをして遊べる場所を作っている。初めはそば打ちなどもやっていたが、ピザのほうが生地をのばしたり、具をトッピングしたりとイベント性が高く、老若男女で楽しめるため
  • 窯設計までの経緯
    伊豆のペンションに行ったり、東京・恵比寿でピザ屋をやっていた人を訪ねたり、実際に色んな種類の窯を見て研究した
  • 窯の特長・ポイント
    窯本体には大谷石を使用。ディスクグラインダーで適宜カットしながら窯を組み上げていった。窯口の扉はあえて観音開きはさけ、横にスライドできるようにしてある
  • 土台
    基礎はモルタル(100mm厚)+鉄筋。その上に化粧ブロックを積み上げた
  • 屋根
    屋根は見栄えが悪くなるからつけていない。使わないときはゴムマットをかけて雨よけとしている
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    窯口の高さをもう少し上の位置に設計すれば、ピザが焼きやすかったかも。また窯内部が広すぎた。次にピザ窯を作るのであれば土台の高さを上げ、焼き室はもう少しコンパクトにしたい
  • 使用する薪の種類・調達方法
    もの作りで出た端材(防腐剤や塗料が塗装されたものはのぞく)など。マツやスギなど匂いの出る樹種はさけている
  • 使用時に出る煙についての注意
    近隣に家がないので問題なし。煙突の長さを長くとり、煙をきちんと吸い上げるようにし、薪を完全燃焼させるのがポイント
  • 窯まわりに欲しい設備
    すぐ近くにスモーカーとカマドをDIY。調理テーブルもあるので、今は特になし
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    温度チェック。230~250℃の間に窯の温度を保つと、ピザが香ばしくパリッと焼ける
  • ピザ窯の魅力
    ピザを作る楽しさ、焼く楽しさ、食べる楽しさ。子供にも女性にも楽しんでもらえる

 

 

ピザ窯側面。窯のまわりに組まれた木枠は煙突をしっかり支えるための補強。ここにフックをつけてピザピールやトングを収納している

 

大谷石の上にアーチ状に並んだレンガは、ひとつひとつディスクグラインダーでY字型に加工した

 

窯口の扉は、窯口の前に3mm厚の鉄板をレールがわりに敷き、扉を横にスライドさせる仕組み

 

ピールや火かき棒も鉄筋と鉄板、L字アングルを使った手作り

 

窯上部アーチ部分のレンガの目地などには耐火モルタルを使用。「扱いが難しくなかなかうまくいかなかった」とIさん

 

煙突の長さが薪を完全燃焼させるポイント。全長が1800mmある窯の煙突からは白い煙が出ない

 

Iさんのオススメピザはおもちをトッピングした和風ピザ! 色んな食材を組み合わせるのもピザ作りの楽しみのひとつ

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2011年8月時のものです。

ガーデンシンク併設の本格仕様ピザ窯をガレージ内に製作!/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(1))

Case01 ガレージがパーティー会場に変身!ガーデンシンク併設の本格仕様

ガレージに設置したピザ窯の背面は、スギ板でアイボリーカラーの壁を製作。空間を含めてデザインされた、リラックス&ナチュラルテイストなピザ窯だ。

 

ピザ窯と同時にガレージ壁、ガーデンシンクもDIY。見事にオシャレでおいしい空間を演出

 

<記事内ギャラリー一覧>

 

<Sさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W800×D800×H1200mm
  • 使用した主な素材
    耐火レンガ約100個、ブリックヤードレンガ約25個、コンクリートブロック24個、鉄筋(10mm径)2m、モルタル、耐火モルタル、砂、L型アングル2m、耐火ボード、鉄板(0.3mm厚、2mm厚)、ステンレス製煙突など
  • 製作費用
    約4万円
  • 製作期間
    約3カ月間
  • 窯製作のきっかけ
    庭のレンガ積みを検討中にネットでピザ窯の記事を発見。一目ぼれした
  • 窯設計までの経緯
    経験者のHPを参考に、可能な限りローコストで作れる窯の設計を目指した
  • 窯の特長・ポイント
    施工場所がガレージであること。焼き室の全方位から輻射熱効果でピザを焼くために、焼き床は耐火コンクリートではなく、すべて耐火レンガを使用。L字型のアングルを並べて、その上に耐火レンガを並べていった。(アングルの上に置くレンガの溝はジグソーで加工)
  • 土台
    コンクリートブロックを積み上げ、手作りのコンクリート平板(鉄筋入り)を設置
  • 屋根
    ピザ窯をガレージに設置にしてあるので不要
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    燃焼室、焼き室ともに容積が大きくなりすぎてしまい、冬場は窯が暖まるまでに時間がかかる
  • 使用する薪の種類・調達方法
    DIY端材。窯が暖まってからは流木(カシ、ナラ、クヌギ)など。堅い木は火のもちがいい
  • 使用時に出る煙についての注意
    近くの民家に風呂を薪で炊くところがあり、それに混じって甘えさせてもらっている
  • 窯まわりに欲しい設備
    調理台とシンクは取り付け済みでパーティーの際はかなり便利。欲しいのはハウス栽培の畑。ピザを焼き、自分の畑で採った野菜やハーブをトッピングしたらなんと贅沢なことか!
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    オーブンで焼くときよりも、ほんの少し固めの生地にすると焼き上がりがもっちもちに
  • ピザ窯の魅力
    子どもに火の魅力を伝えられること

 

 

ガーデンシンクの脇には折りたためるテーブルがつく。本体はブロックを積み上げ、天板には2×6材、流し台に鉢を使用

 

ピザ窯の側面には、「La vita e piacevole e lo spende=人生楽しく過ごす」とメッセージが込められている

 

燃焼室扉は、0.3mmのうす~い鉄板を耐火ボードに張り付けている。椅子の座板に布を張り付けるように折り返して釘で固定した

 

ピザ窯が接する壁部分は窯に合わせてコンパネをくり抜き、窯とコンパネのすき間を4cmぐらい空けて、すき間に耐火モルタルを塗り、その上に、ラス網+白セメント(耐火煉瓦粉塵混入)を塗布した

 

ガレージの外から見たピザ窯背面。現在はコンクリートブロックを積んだだけの構造だが、今後きれいに仕上げていく予定

 

ダンパーは耐火レンガにステンレス板を取り付けて作ったオリジナル

 

写真◎清水良太郎

*掲載データは2011年8月時のものです。

ピザ窯作りのスタンダードな作り方を大公開!/ピザ窯・パン窯の作り方web上講座・後編

ピザ窯・パン窯を作る前に“知っておきたいこと”を解説した記事はコチラ

 

「これがピザ窯作りのスタンダードな手順です」(K県Mさんの場合)

手作りによるピザ窯の製作は、難しいともいえるし、簡単だともいえる。なぜか。手順をしっかりと踏めばピザ窯は誰でも簡単にできる。これは間違いがない。

しかし、だからといって、そこで美味しいピザやパンが焼けるかというとその保証はない。

最終的には偶然も支配するという火加減や熱加減になるわけで、そのあたりがピザ窯の奥の深さに通じるということなのだろう。

ここで紹介したいのがK県在住のDIYer、Mさんのケース。二層式ピザ窯を作った彼の記録を中心に見ながら、基本的な手順を説明してみよう。

 

手順1 土台を作る

窯を支える土台作りが最初の手順。基本的には現場を掘り下げ、砕石や砂利を打ち、地盤を固めてから土台を積んでいく。土台を薪のストック場所として使いたい場合はブロックを周りに積み、空間を作っておくといいだろう。そうじゃない場合は、ブロック、コンクリート、石材、自然石などを積み、場合によっては土や砂、ガラなどを詰めて土台を作る。予定している窯のサイズよりも大きめに作りたい。窯の重量がハンパじゃないので、がっちり作ること。ブロック積みは鉄筋を入れるほうがベター。

 

手順2 火床(燃焼室)を作る

土台の上に火床を作る。ここは直接薪を燃やすところなので耐火性が要求されるので、耐火レンガや大谷石、前述のアサヒキャスターなどが使われる。まず、土台の上に頑丈な板(コンクリート平板や石材、頑丈な角材など)を載せ、その上に耐火性資材を載せて火床にするというケースが多い。

 

手順3 窯の壁積みを始める

いよいよ窯作りスタート。火床の両サイドと後に耐火レンガを積み始める。接着材は素人には手に負えない耐火モルタルではなく、アサヒキャスターを使うほうが安心。蓄熱性を高めたいならば、レンガをダブルに積んで壁を厚くすればいい。耐火レンガの外側がそれほど高温にならないので、通常のレンガを積んでいる例も多い。

05 耐火レンガを積んだ。内側にいくつかのレンガが飛び出しているのは、この上に後述の焼き床を載せるため。レンガの接着はアサヒキャスターで行なった

 

手順4 焼き床を作る

二層式(連続燃焼式)では、窯の中段に焼き床が必要になる。焼き床は耐火性が要求されるので、大谷石や耐火レンガ、アサヒキャスターなどを使用する。アサヒキャスターによる焼き床作りは、型に流し込んで固めて作るという方法がスタンダードだ。流し込んでから24時間後にはカチンカチンに固まっている。これを焼き床として中段に載せる。

 

手順5 窯の壁積みと天井、煙突を作る

耐火レンガやアサヒキャスターを使って、窯をドーム状、あるいはかまぼこ型にするときは「型」が必要だ。ドーム状にするときには、砂を山のように盛ってその上にアサヒキャスターを流すという手法もあるが、一般的なのはやはりベニヤ板などで型を作る方法。型に沿ってレンガを積み、並べていく。レンガをかまぼこ型に並べて積んでいくにはくさびをうまく挟んでいくのがポイントだ。なお、目地材はやはりアサヒキャスターがおすすめ。

 

手順6 窯口の扉を作る

窯口が大きすぎると温度が上がらなくなるので、レンガを加工し、アサヒキャスターをうまく使って、窯口を適当な広さまでふさぐ。扉は鉄製の立派なものじゃなくても実用上何の差し支えもない。燃えにくい堅木を窯口の形に加工し、ピザ窯使用時のみに窯口を塞いでもいい。多少焦げるが、これが嫌だという人は、内側に防火効果のあるケイカル板や石こうボードを張ってもいい。もし、鉄板の加工や溶接に挑戦したいという人がいれば、鉄製の扉を作ってもいい。

 

*掲載データは2010年6月時のものです。

ピザ窯・パン窯を作る前に知っておきたいことを徹底解説/ピザ窯・パン窯の作り方web上講座・前編

その1 ピザ窯・パン窯の構造って、どうなっているの?

いろいろな言い方がある。石窯、パン窯、ピザ窯…。基本的にはみんな同じだ。石で作ったパン窯やピザ窯は石窯だし、レンガを多用したピザ窯やパン窯もある。ピザを作ればピザ窯だし、パンを作ればパン窯。とにかくみんな同じ。重要なことは、輻射熱(余熱)=遠赤外線を利用して調理できるから、料理がうまいということ。だから、みんな庭に窯を作りたがる。とりあえず、そう考えてよろしい。

で、どんな仕組み=構造になっているかだが、これも驚くほどシンプルだ。

 

まず、図Aを見てほしいのだが、火床=薪を燃やすところがあって、熱を蓄えるところがある。さらに、蓄えた熱は外に逃げないように断熱する。これが基本。燃やした薪をどかし、濡れ雑巾などできれいにして、そこにピザ生地を置けば、美味しいピザやパンが焼けるというわけ。

それからもうひとつ。今度は図Bを見てほしいのだが、これが二層式とも連続燃焼式とも呼ばれるもので、火床とピザ生地を置くところ(焼き床)が別になっている方式で、煙を抜く煙突があるのが一般的だ。この方式だと、ピザ生地を置いたまま、連続して薪を投入し、燃やし続けることができるというわけ。

この発展形として、これまで紹介した実例のように扉をつけたり、窯の形をドーム状にしたり、かまぼこ状にしたり、外観をおしゃれに仕上げたり、雨対策に屋根をつけたり、いろいろなバリエーションがあるが、手作りのピザ窯の場合、このふたつの方式を頭に入れて事に臨めばいいだろう。

また、窯口の形状もいろいろで、正面から見て半円形であったり、台形であったりするが、少なくとも、ピザを出し入れするときに使うピールと呼ばれるヘラが自由に出入りできるだけの大きさがほしい。

 

その2 どこにどんな素材を使ったらいいの?

両横綱は耐火レンガと大谷石

ピザ窯作りで、まず最初に悩むのが素材選びだ。とくに熱のかかる火床(燃焼室)や焼き床、窯内部の素材は、ピザ窯そのものの性能に関わるのでとても重要だ。

要するに、ピザやパンを焼く温度(約200〜300℃)の耐熱性を持ち、しかもある程度の蓄熱性のある素材ということになるのだが、さまざまな手作り窯の実例を見てみると、メイン資材としては耐火レンガと大谷石が両横綱といえそうだ。どちらも熱に強く、加工もしやすいというのが理由だ。耐火レンガは、ホームセンターやウエブ通販での入手が簡単だが、大谷石は近年、ホームセンターでの流通が少なくなり、ウエブ通販が主流となりつつあるようだ。また近年、関東での大手ホームセンターで売り出したイタリアからの輸入石「タフ・ステンストーン」も耐熱性が高く、大谷石と同様の使い方ができそうだ。

また、粘土も比較的ポピュラーなピザ窯の素材だ。比較的蓄熱性も高く、成形もしやすいので、窯の外壁などによく使われる。ただし、雨に弱く、崩れる場合もあるので、屋外に作る場合、窯を雨から守る屋根組みが必要になる。

フランス産の耐火レンガ。ふぞろいの焦げ跡がいい味になっている。 220×105×54mm、約198円

 

JIS規格の刻印が入っている耐火レンガ。約227×110×60mm、約128円

 

タフ・ステンストーン。イタリアからの輸入石。熱に強く、軽く、加工しやすい。370×200×110mmの基本が約480円、370×110×110mmが約380円

 

ピザ窯作りの救世主は、アサヒキャスター?あるいはSic棚板?

耐火セメントや耐火モルタルと呼ばれるものが市販されているが、これらはDIY向きではないというのが多くのプロ職人の意見だ。これらの多くは通常のセメントやモルタルのように水を加えても常温では硬化せず、かなり高度の熱を加えてはじめて硬化するという特性を持っているため、扱いが非常に難しいのだ。そこで、本誌編集部がおすすめするのが、「築炉業界のインスタントセメント」とも呼ばれる「アサヒキャスター」という耐火コンクリート資材だ。1300~1500℃に耐える強固な耐火性能を持ち、耐火レンガの目地材として、流し込んで作る焼き床の資材として、もちろん、ピザ窯の壁、天井にも使えるし、BBQ炉や囲炉裏、暖炉、陶芸窯などにも使える。なによりも扱いが簡単で、通常のセメントのように水を加えて練るだけ。24時間後にはカチンカチンに固まっている。さらに入手も楽だ。

アサヒキャスターには、いくつかの種類があるが、メーカーがDIY向きということですすめているのが「アサヒキャスターCA‐13T」という製品。原則として一般店頭での扱いはなく、すべて代金引き換えの通販による購入となる。(発売元:AGCセラミックス

また、本誌に寄せられた情報によれば、陶磁器の焼成に使うSic棚板=カーボランダム棚板と呼ばれる人工鉱物(炭素とケイ素の結合物)が焼き床の素材として使われていることがあるという。熱伝導率も非常に高く、遠赤外線放射も高いといわれる。価格的にはたとえば600×600×14mmで、約1万6400円(編集部調べ)と、やや高いが、使用感はいいという。興味のある人は「陶磁器焼成用棚板」で検索してチェックしてみることをおすすめしたい。

アサヒキャスターCA-13T。1袋25㎏入り。1袋分に水を加えて流し込むと、590×480×45mmのコンクリート板ができ、これを焼き床にすることも多い

 

大谷石。栃木県の大谷町付近で採掘される軽石凝灰岩の1種。熱に強く柔らかいので加工しやすい。外壁材として利用されている。等級によって価格はバラバラだが、2級クラスで、約450×150×90mmで1500円前後が目安(編集部調べ)

 

陶磁器を焼成するSic棚板=カーボランダム棚板を焼き床にしている例(H邸の例)

 

耐火レンガにもグレードがあるのだ

耐火レンガにもいろいろなグレードがある。なにも刻印されていないノーブランドのアンティーク品もあるが、通常は、耐火レンガのグレードは、JIS規格により、レンガに刻印されている番号で表される。例えば、よく出回っている「SK32」は1350℃までの耐火性能、「SK34」は1400℃まで、「SK38」が1560℃までの耐火性能を表している。

「SK32」の刻印がある国産の耐火レンガ。1350℃までの耐火性能がある

 

熱のかからない部分は好みの資材好みのデザインで…
以前、本誌が作ったピザ窯。土台はブロック積みで、センプラムで仕上げた

 

全面レンガを積み上げた本格的なパン窯(岩手県大船渡市寿限無の会の手作り作品)

 

Wさんが長野の別荘に作ったピザ窯。ドーム状の窯の表面には地元で調達した小さな丸石と粘土が盛られている。また、粘土は雨に弱いので屋根が架けられている

 

ブロックを積み上げて作ったパン窯。窯部分のみ耐火レンガを使っている。扉は縞鋼板を加工して作った(Wさんの手作り作品)

 

火床に鉄板を使うというケースもまれにみるが、熱による変形や膨張を考えると避けたほうが無難。ただし、縞鋼板や厚めの鉄板を窯口の扉(蓋)に使っているケースはよく見かける。その場合でも、内側にはケイカル板や石こうボード、アサヒキャスターなどを入れて、鉄板が過熱するのを防ぐことが多い。

その他、熱のあまりかからない部分には、施主の好みや事情によって、さまざまな素材が使われている。たとえば土台などは、窯の重量を支えることが重要なわけで、よく見るのは重量ブロックを積むという方法だが、他にも枕木や自然石、平板コンクリート、木材などが使われる。

さらに、土台の化粧や熱のあまりかからない窯の表面などはさらに自由度が増す。市販の壁塗り材や粘土、細かい自然石や乱張り石、貝殻など、好みの素材、好みのデザインで、ピザ窯のある庭作りを楽しんでほしい。

 

ピザ窯の土台は、重量ブロックで作ることが多い。3段積み程度で鉄筋入りが前提。頑丈にするために空洞部にガラやモルタルを詰めることもある

 

枕木は、ピザ窯の土台にも使える。写真は、防虫・防腐処理されたACQ枕木。180×100mm角で、長さ600mmが約980円、長さ900mmが約1480円、長さ1200mmが約1980円

 

新品枕木。防腐加工済みで、200×140mm角で、長さ900mmが約2380円、長さ1200mmが約2980円、長さ2100mmが約4980円

 

スペイン産の大理石粉末入り塗り壁剤、センプラム。ガーデンウオールなどに使われ、エキゾチックなテイストを作り出す。ピザ窯作りではブロックなどで作った土台の化粧などに最適

*掲載データは2010年6月時のものです。

全国各地のロケットストーブライフ実例集/庭でロケットストーブを愉しもう!(3)

自作ストーブのバリエーションのひとつとして、まだまだ根強い人気を誇るロケットストーブ。以前にも本誌で少しだけDIY事例を紹介したが、簡単に手作りできて、機能性も上々と好評の様子。そうなるとじっとしてられないのが、われらドゥーパ!編集部。庭で火を愉しみ、アウトドアクッキングを堪能すべく、ロケットストーブ作りに挑戦だ~!

Version A 一斗缶&薪ストーブ用煙突による簡易型ロケストの作り方はコチラ
Version B 耐火レンガ&コンクリートの常設型ロケストの作り方はコチラ

 

File1 どっしり固定型!自然石で覆ったワイルドストーブ

by Mさん(長野県)

石積みの中に2本の燃焼部が並ぶ、威力抜群のロケットストーブ。カレーもご飯も一気にイケるぜ!

 

ロケットストーブをテスト製作したところ、想像以上に燃焼効率がよく感動。ガーデンコンロとして活用するために石積みの固定型を作った。燃焼部は煙突部材のT曲と直筒を組み合わせて製作。周りを灰と自然石で囲って断熱層にした。石を積んでは灰詰めを繰り返し、大きめのすき間にはモルタルを流し込んで固定している。

 

製作中の様子で燃焼部の構造がわかる。内側には灰がたっぷり詰まっている

 

File2 持ち運べる!アイアンロケットストーブ

by Sさん(山口県)

煙突上端の四隅に取り付けた鉄筋は五徳。持ち手と脚も鉄筋で作った

 

12.5cm角の鉄パイプ材で作ったロケットストーブは、奥行き34×高さ56cm。持ち運べる小型サイズだ。冬場は垂直部が冷えて燃焼効率が悪くなるため、トタンを巻いて使う。が、「手元にあった廃材で作ったんだけど、もっと断熱性を考慮した方がよかった…」とか。最適な資材を調達して、再挑戦したいそう。

 

小さくても火力はバッチリ!

 

長い薪も燃やせるよう、鉄筋で作った補助具を焚き口にセットして使う

 

石焼きイモは40~45分で焼き上がるそう

 

File3 煙突高90cmで調子上々!据え置き型キッチンストーブ

by Uさん(北海道)

煙突上端は右がレンガ、左がメガネ石を敷いている。左の羽釜では米を炊いているところ。米に十分に水を吸わせ、強火で一気に沸騰させたら弱火(燃料を足さない)で15分。十分に蒸らせば美味しいごはんができあがるそう

 

森の中でガスコンロのように普通に使えるものにしたいと、ふた口・据え置き型のロケットストーブを製作。据え置き型だが、メンテナンスしやすいように、地面に固定していないのがポイントだ。外壁材(サイディングボード)と木材で枠を作り、その中に燃焼部となる煙突を仕込んで、火山灰を詰めている。煙突の高さは90cm。炎の引きがよく調子がいいそう。

 

枠の中にはこのように煙突が収まる。空いたスペースに火山灰を充填したらほぼ完成

 

こちらはUさんが初めて作ったロケットストーブ。高さ60㎝で炎の引きが悪かったため、高さ90cmのものを製作することにしたようだ

*掲載データは2012年12月時のものです。

実践!モルタル造形3つのテクニック/枕木ドア&錆びたポストの壁の造形編

ここからは実際にモルタル造形が作られていく過程とそのノウハウを紹介する。プラスターからレンガがのぞく壁、乱積みされた自然石の壁、枕木ドア&錆びたポスト、代表的な3パターンを製作。

*まずはこちらをチェック。モルタル造形の基礎知識編はコチラ

*テクニック1「レンガ&プラスター壁の造形」はコチラ
*テクニック2「乱積みされた自然石風の壁の造形」はコチラ

 

テクニック3 枕木ドア&錆びたポストの壁

 

各作業の共通の流れ

<モルタル造形>

  1. ギルトセメントをかくはんする
  2. ギルトセメントを薄く(5mm厚)圧着させる
  3. 造形用にギルトセメントを15mm程度塗り重ねる
  4. 作りたいものの形をレイアウトする
  5. デザインを元にカービングする

<エイジング塗装>

  1. 表面を清掃し、シーラーを塗る
  2. ベースとなる色の塗装
  3. ダークな色で全体に陰影を与える
  4. 乾いたハケと塗料で素材感を出す
  5. 全体の色調の調整
  6. クリア塗装で仕上げ

 

下準備

ギルトセメントと水をあわせて、よく混ぜ合わせる。目安は1袋に対し、5L

 

左官ひしゃくやコテ板にのせてダレない程度に水の量を調節しよう

 

モルタル造形の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

エイジング塗装の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時ものです。

実践!モルタル造形3つのテクニック/乱積みされた自然石風の壁の造形編

ここからは実際にモルタル造形が作られていく過程とそのノウハウを紹介する。プラスターからレンガがのぞく壁、乱積みされた自然石の壁、枕木ドア&錆びたポスト、代表的な3パターンを製作。

*まずはこちらをチェック。モルタル造形の基礎知識編はコチラ

*テクニック1「レンガ&プラスター壁の造形」はコチラ

 

テクニック2 乱積みされた自然石風の壁

 

各作業の共通の流れ

<モルタル造形>

  1. ギルトセメントをかくはんする
  2. ギルトセメントを薄く(5mm厚)圧着させる
  3. 造形用にギルトセメントを15mm程度塗り重ねる
  4. 作りたいものの形をレイアウトする
  5. デザインを元にカービングする

<エイジング塗装>

  1. 表面を清掃し、シーラーを塗る
  2. ベースとなる色の塗装
  3. ダークな色で全体に陰影を与える
  4. 乾いたハケと塗料で素材感を出す
  5. 全体の色調の調整
  6. クリア塗装で仕上げ

 

下準備

ギルトセメントと水をあわせて、よく混ぜ合わせる。目安は1袋に対し、5L

 

左官ひしゃくやコテ板にのせてダレない程度に水の量を調節しよう

 

モルタル造形の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

エイジング塗装の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時ものです。

実践!モルタル造形3つのテクニック/レンガ&プラスター壁の造形編

ここからは実際にモルタル造形が作られていく過程とそのノウハウを紹介する。プラスターからレンガがのぞく壁、乱積みされた自然石の壁、枕木ドア&錆びたポスト、代表的な3パターンを製作。

*まずはこちらをチェック。モルタル造形の基礎知識編はコチラ

 

テクニック1 レンガ&プラスター壁

 

各作業の共通の流れ

<モルタル造形>

  1. ギルトセメントをかくはんする
  2. ギルトセメントを薄く(5mm厚)圧着させる
  3. 造形用にギルトセメントを15mm程度塗り重ねる
  4. 作りたいものの形をレイアウトする
  5. デザインを元にカービングする

<エイジング塗装>

  1. 表面を清掃し、シーラーを塗る
  2. ベースとなる色の塗装
  3. ダークな色で全体に陰影を与える
  4. 乾いたハケと塗料で素材感を出す
  5. 全体の色調の調整
  6. クリア塗装で仕上げ

 

下準備

ギルトセメントと水をあわせて、よく混ぜ合わせる。目安は1袋に対し、5L

 

左官ひしゃくやコテ板にのせてダレない程度に水の量を調節しよう

 

モルタル造形の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

エイジング塗装の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時ものです。

モルタル造形テクニック・これだけは知っておきたい!基礎知識編

中世ヨーロッパの石積みの街並み、ロンドンのようなレンガ造りの建物……。そんな外国の風景や理想のイメージを形にできるモルタル造形の世界。実はDIYでも十分製作可能である、そのノウハウをここに紹介する。

 

モルタル造形ってどんなもの?

造形用の特殊なモルタルを用いて、自然石や大木などの自然素材から、レンガや枕木、鉄扉といった人工的な素材の形を彫りだし、塗料で着色していく技法のこと。まるで中世ヨーロッパの石積みの壁や経年変化が起こった味のある枕木などを造形することができる。テーマパークや店舗の内外装などに用いられているので、誰でも一度は目にしたことがあるはず。主に床面から壁を造形する。DIYであればフェンスやゲート、小屋の壁などをターゲットにするのがオススメ。

こちらはDIYerが作った自転車小屋。外、内ともに壁面に造形用モルタルと珪砂を混ぜたモルタルを用い、アンティーク風に仕上げている。(埼玉県/H邸)

 

壁から屋根にいたるまですべてモルタル造形で作られた小屋。イギリス・コッツウォルズをイメージ。(埼玉県/ミズムラデザイン)

 

ガレージ扉の壁面と屋根、それに続く門扉にモルタル造形を用いた例。このように瓦なども造形できる。(奈良県/T邸)

 

どんな材料を使うの?

ギルトセメントというモルタル造形を行なうために開発されたプレミックスモルタルを使用する。ダレずに厚塗りができ、表面をしっかり削り取ることができるので、ダイナミックでシャープな造形が可能。また硬化反応が緩やかなため、時間をかけた造形ができるのが特長だ。その種類も豊富で、色が白く着色が容易で明るい仕上げになる「TS1-W」、擬岩や彫刻など細かな造形に向いた「レリーフ」などのさまざまなタイプをラインナップ。

写真はTS1-W。25㎏入りで定価3960円。20mm厚で約1平米の範囲を塗ることが可能。なお、販売元のギルトバンクではモルタル造形用の塗料、道具も購入することができる

株式会社ギルドバンク

 

通常のモルタルに比べて粘性があり、ダレない。使用しているのはTS1-W

 

必要な道具は?

モルタル造形の作業工程は、モルタルを作りたいものに造形する作業とそれを本物のように着色していくエイジング塗装の作業のふたつに分かれる。まず造形に必要になるのは、大小のコテや千枚通し、刷毛跡をつけるブラシなど。塗装に必要なのは、大小の刷毛と色を伸ばすためのウエス、霧吹きなど。塗料はホームセンターに売っている水性塗料を使用するので、誰でも簡単に道具をそろえることができるはずだ。

造形に使用する道具。左から時計回りに、ブラシ、刷毛、コテ板、カービング用のポイントツール、千枚通し、中塗りゴテなど

 

大量のモルタルを練るにはかくはん機は必須。その他、トロフネや左官バケツも用意しておくといいだろう

 

塗装に使用する道具。左から時計回りに、パレット(合板の端材)、海綿、ウエス、ビニール手袋、塗料カップ、バケツ、霧吹き、各種刷毛など

 

使用する塗料は通常の水性塗料でOK。写真のように何色かカップに出しておくと、調色しやすい。絵の具を混ぜる要領で自然に近い色を作ろう

 

下地はどうなっているの?

モルタル造形を作る前の下地は、作品によりさまざま。小屋壁に塗る場合、合板に防水シートを張り、ラス網、珪砂や砕いた発泡スチロールを混ぜた下地用のモルタルの上に、ギルトセメントを塗ることになる。既設のコンクリートブロックの上から造形する場合は、高圧洗浄機などで表面をきれいにした後、下地用のモルタルにガラスメッシュをふせ込めばOK。その他、スタイロフォームを下地にすれば、好きな形を切り出すことも可能だ。

枕木を造形した作品。このように庭のアクセントになる小物を作ることも可能。なおこれは塗装前の状態

 

裏返すと下地の発泡スチロールが見える。スタイロフォームや発泡スチロールを好きな形に切り出して、ラス網を張れば、軽くて見栄えのある枕木や自然石を作ることができる

 

屋根の瓦を製作中の1枚。防水シートを張った下地の上に、瓦の形にカットしたスタイロフォームを並べ、ラス網をかけた後、下地用のモルタルを塗っている。(奈良県/T邸)

 

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時ものです。

耐火レンガ&コンクリートで常設ロケストの作り方/庭でロケットストーブを愉しもう!(2)

自作ストーブのバリエーションのひとつとして、まだまだ根強い人気を誇るロケットストーブ。以前にも本誌で少しだけDIY事例を紹介したが、簡単に手作りできて、機能性も上々と好評の様子。そうなるとじっとしてられないのが、われらドゥーパ!編集部。庭で火を愉しみ、アウトドアクッキングを堪能すべく、ロケットストーブ作りに挑戦だ~!

Version A 一斗缶&薪ストーブ用煙突による簡易型ロケストの作り方はコチラ

 

そもそもロケットストーブって?

ロケットストーブの要は、断熱され、真っすぐに立つ煙突。これができれば、ロケットストーブはほぼ完成したといってもいい。あとは、煙突の下端に焚き口を設け、そこに薪を入れて燃やすだけ。このように、原理的な構造はとても単純だ。

そもそも真っすぐに立つ煙突は上昇気流を生んで燃焼効率を高めるものだが、断熱することで内部がより高温になり、上昇気流が増すとともに二次燃焼が起きるといわれる。つまり、燃焼効率がさらに高まるわけで、薪のエネルギーを有効活用でき、煙の排出が少なくなる。これが、ロケットストーブの機能が賞賛される理由だ。

なお、ロケットストーブには、煙突を横に延長させるなどして室内の暖房に利用するタイプもあるが、ここでは屋外での調理・焚き火用にターゲットを絞っている。

ちなみにロケットストーブの名称の由来は、完全燃焼状態となったときにゴーゴーと轟く吸気音がロケットのようだから、というのが有力のようだ。

Version B 耐火レンガ&コンクリートで常設のロケットストーブを作る

レンガを積むだけでも、ロケットストーブは作れる。が、しっかり固定して常設しておけば、毎回組み立てたり片付けたりする手間が省ける。庭の構造物として見栄えがよく、バーベキュー炉やピザ窯にも利用できるマルチなロケットストーブ作りに挑む!

こんなロケットストーブができました~!

 

天板の上に耐火レンガを並べ、内側に炭を入れて焼き網を置けば即席バーベキュー炉に!

 

耐火レンガを積んで壁を作り、大判の大谷石を載せればピザ窯に!

 

<使用資材一覧> *材料費の目安:約2万5000円

砂(20kg)6袋
砂利(20kg)6袋
セメント(25kg)1袋
コンクリートブロック30個
鉄筋(10×1000mm)12本
結束線
耐火レンガ38個(バーベキュー炉、ピザ窯の分は別)
耐火コンクリート(アサヒキャスターCA-13T/25㎏)1袋
仕上げ用モルタル(3㎏)4袋
シールシート
シーラー
多用途塗料

 

<使用道具一覧>

スコップ(穴掘り)
自作タンパー(突き固め)
水平器(水平の計測)
メジャー(計測)
トロフネ(コンクリート、モルタル練り)
練りクワ(コンクリート、モルタル練り)
プラスチックゴテ(水平に均す)
ブロックゴテ(モルタルを盛る)
サシガネ(計測、墨つけ)
ダイヤモンドホイールを装着したディスクグラインダー(ブロック、レンガのカット)
ペンチ(結束線を結ぶ)
ハンマー(ブロックのカット、鉄筋を打ち込む)
目地ゴテ(目地入れ)
金ゴテ(仕上げ用モルタル塗り)
カッター(シールシートのカット)
ローラー、ハケ、塗料バケット(塗装)

 

CHAPTER1 デザインを決める

レンガをどんな形に組み合わせれば機能的なロケットストーブになるのか?まずはアレコレ試した上で、デザインを決定する。

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

CHAPTER2 常設型ロケットストーブを作る

決めたデザインどおり、耐火レンガを耐火コンクリートで固定する。が、その前にブロック積みの土台を作って、使いやすい高さにかさ上げ。

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

常設型ロケットストーブを使ってみました

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

*掲載データは2012年12月時のものです。

自作の窯で本格ナポリピッツァを焼こう!(2)赤レンガ+キャスタブルドーム窯の作り方

ナポリピッツァの特徴は、ふっくら膨らんだ縁の部分。そのコルニチョーネ(イタリア語で額縁の意味)と呼ばれる縁の食感や、シンプルなトッピングゆえに堪能できる生地の風味など、本格ナポリピッツァならではの美味を家庭で味わうために作ったふたつの窯を紹介。

*Case1「タイル張りが美しい耐火レンガのドーム窯」の作り方はコチラ

 

Case2 赤レンガで覆ったキャスタブルのドーム窯

田んぼに囲まれた開放的な庭に窯を製作。土台のコンクリートブロックの塗装は、イタリア国旗に使われる赤、白、緑の各色を少しダークにアレンジしたもの

 

ドーム形の窯のまわりに赤レンガを積み上げた。土台サイズは幅約1450×奥行約1600×高さ約1000mm。窯の高さは約710mm。窯口のサイズは幅約500mm、高さ約210mm(最高部)

 

プレヒート中、保温のために窯口にフタをする。フタは知人が3mm厚の縞鋼板などを使って手作りしたもの

 

2種類のピザピールをネット通販で購入。皿が大きく、短いほうはピザを窯に入れるときに使用。もう一方は薪を入れるときや、窯の中でピザを動かすときに使う

 

Mさんもまた、前回のIさん同様、ナポリピッツァに魅了されて窯を自作。重厚な窯が木陰にたたずむさまは、本場ナポリの片田舎の風景のようで、眺めているだけでビールがおいしくなりそう。さらにテーブルにはこだわりのナポリピッツァが並ぶわけだから、それはもうたまらない。Mさんは、続くときには毎週のように、ここで家族や友人に本格ナポリピッツァを提供するという。

窯はもともと、キャスタブルで成形したドーム部分がむき出しの状態だったが、それでは断熱性が低く高温を保ちにくいため、周囲を赤レンガで囲み、すき間にパーライトを充填して長時間活用できる窯にグレードアップした。ドームのサイズは内径約1000mmと大きめ。前日から薪を燃やし、この大きな窯をしっかりと温めておいて、1分~1分半ですばやく焼き上げるのがMさんのナポリピッツァだ。

生地作りにもこだわりが見られる。使用する小麦粉とビール酵母はナポリ製、生地をこねるのは本場ナポリピッツァでも使われるスパイラルミキサーという具合。

「最初はナポリピッツァが好きなだけだったんですけど、自分で焼くようになってどんどんハマっちゃって、いろいろこだわるようになりました」

そう語るMさん、実は今、ナポリピッツァの店を開く計画を立てているのだとか。窯の自作から始まった新たな楽しみが、さらに大きく広がろうとしている。

 

Mさんの窯の構造図(側面) *単位はmm

<DATA>
製作者…Mさん(51歳/会社員)
材料費…約12万円
主な使用資材…
耐火レンガ66個、耐火キャスタブル10袋、赤レンガ約150個、パーライト450ℓ、コンクリートブロック、土のう袋、セメント、砂、砕石、割栗石

 

Mさんのおすすめ、チキンとレンコンのピザ

 

手前はマルゲリータにブロッコリーとシラスをトッピング。奥はオイルサーディンやルッコラが載る

 

Mさんちの窯作りダイジェスト

<土台を作る>

<ドーム窯を作る>

<断熱層を増設する>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

Mさんちのピザ焼き実況中継

<窯の準備>

<ピザの準備>

<ピザを焼く>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

写真◎門馬央典(製作中カットは製作者提供)

*掲載データは2016年6月時のものです。

これなら住宅街でもOK!炭火で楽しむ窯焼きピザ窯の作り方

はじめは二層式の窯を作り、薪を焚いてピザを焼いていたFさんだが、住宅街ゆえに煙の行き先が気になって、落ち着いて楽しめない…。そこで、せっかく作った窯を解体することを決意。炭火でピザが焼ける単層ドーム型の窯に作り直したことで、心おきなく窯焼きピザの味を堪能できるようになったというわけ。

 

窯のサイズは内径約600mm、外径約900mm、内高約370mm、外高約480mm。窯口は幅約450mm、高さ約230mm(最高部)

 

 

<DATA>
製作者…Fさん(57歳/公務員/埼玉県東松山市)
材料費…約1万円(既存の土台、炉床を除く)
製作日数…約10日
主な使用資材…
耐火レンガ約80個(既存の炉床を含む)、耐火キャスタブル、花壇用石材、割れタイル、コンクリートボンド、コンクリート平板、コンクリートブロック、鉄筋、モルタル、セメント、砂、砕石、ゴロタ石

 

しばらく雨ざらしにしていたら、窯のタイルの目地がヒビ割れたので屋根をつけた。屋根の下地には、不要になったベッドの床のスノコがそのまま使えた。屋根材はオンデュビラタイル

 

壁面はかわいく装飾

 

製作者のFさんいわく、炭火でピザを焼くためのポイントは、窯をあまり大きくしないこと。そして、ブロワーで風を送り続けて火勢を強く保つこと。

「最初はドライヤーを使ってたんですが、ピザを焼くまでに3時間ぐらいかかって大変でした。で、ブロワーならどうだろうと、ホームセンターで3000円程度のものを買って使ったら、1/3の時間でピザが焼けるようになったんです」

煙が出ない窯のおかげで、近隣に気を遣うことなく、息子さん夫婦、娘さん夫婦とのピザパーティーを楽しめるようになったFさん。みんなから“窯じい”と呼ばれるのも、まんざらでもなさそうだ。

 

 

Fさんちの窯作りダイジェスト

<窯を作り直す>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

Iさんちのピザ焼き実況中継

<窯の準備>

<ピザを焼く>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

*掲載データは2016年6月時のものです。

自作の窯で本格ナポリピッツァを焼こう!(1)タイル張りのドーム窯の作り方

ナポリピッツァの特徴は、ふっくら膨らんだ縁の部分。そのコルニチョーネ(イタリア語で額縁の意味)と呼ばれる縁の食感や、シンプルなトッピングゆえに堪能できる生地の風味など、本格ナポリピッツァならではの美味を家庭で味わうために作ったふたつの窯を紹介。

 

Case1 タイル張りが美しい耐火レンガのドーム窯

窯口のアーチの上に煙突をつけた伊藤さんの窯。内径は約800mm、外径は約1000mm、高さは外寸約530mm。左にバーベキュー炉を併設している

 

タイル張りでおしゃれに仕上げた。吸水率が低く、野外での使用に適した磁器質タイルを使っている

 

ピザピールは親せきの手作り。ステンレスの板とパイプを溶接したもの。木製グリップの上半分がスライドするので、柄の好きな部分を握れる

 

料理が趣味のIさんは、イタリア料理を学ぶために本場に1カ月滞在するほどの凝り性。そのときに食べたナポリピッツァの味が忘れられず、自分で焼けるようになりたいと、ピザ窯の自作を思い立った。

窯の形は、多くのピザ店が使っている単層ドーム型。サイズは、販売されている窯を参考に決めた。窯を温める時間を短縮できるよう、天井を少し低くして、真円ではなく楕円状にしている。

こだわりは、タイル張り。10mm角の磁器質タイルを約1万5000枚使って、青空に映える美しいデザインに仕上げた。イメージは地中海の太陽。その中にある「HORNO de GIRASOL」という言葉は、スペイン語でヒマワリ(太陽の花)を意味するそう。

窯作りと並行して、おいしいナポリピッツァを焼くための研究にも勤しんだIさん。気になるピザ店があれば遠方であろうと訪れ、窯が見える席に座ってプロの焼き方を見学。ピザ焼き職人に直接話を聞くこともあったとか。

窯の完成後は、親戚や友人が集まってのピザパーティーが恒例行事に。最初のころは生地作りや窯の温め方がうまくいかないこともあったが、最近では安定的に満足いくナポリピッツァを焼けるようになってきた。ただ、それでも試行錯誤は終わらない。毎回、前回よりさらにうまく焼くために考えを巡らすことこそ楽しいのだと、窯の中を見つめるIさんの精彩に満ちた表情が語っている。

 

<DATA>
製作者…Iさん(50歳/会社員)
材料費…約20万円(バーベキュー炉含む)
製作日数…約35日(バーベキュー炉含む)
主な使用資材…
耐火レンガ204個(基本=58個、Y1=5個、Y2=79個、Y3=37個、半丁=25個)、耐火キャスタブル2袋、耐火接着剤、コンクリート平板、コンクリートブロック、大理石、モザイクタイル、外壁用人工石材、薪ストーブ用煙突、セメント、砂、砕石

 

定番メニューのマルゲリータ。コルニチョーネ(縁)がふっくら膨らんでいるのがナポリピッツァの特徴

 

トマトとガーリックスライスのマリナーラに、自ら燻製したベーコンもトッピング

 

こちらはモッツァレラ、ゴルゴンゾーラ、アメリカンクリーム、パルミジャーノの4種のチーズを載せたクワトロフォルマッジ

 

Iさんちの窯作りダイジェスト

<土台を作る>

<耐火レンガで窯を組み立てる>

<タイルで装飾する>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

Iさんちのピザ焼き実況中継

<窯の準備>

<ピザの準備>

<ピザを焼く>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

写真◎門馬央典(製作中カットは製作者提供)

ピザ窯&囲炉裏のある”火遊び”三角小屋で思う存分、火と戯れる!

ピザ窯×囲炉裏という最強の組み合わせを実現。原始的ともいえる大ぶりの自然石を並べて作ったダイナミックな囲炉裏に心躍る

 

<DATA>
Tさん(57歳、施設職員)
DIY歴…12年
製作期間…約2カ月
製作費用…約20万円

 

 

部屋の中の囲炉裏なんかじゃなく、もっと火を思う存分遊ぶスペースが作りたい!」とTさんが作ったのは、弥生住居や合掌造りをイメージし、外壁を竹で覆った超個性的な三角屋根の小屋。床はすべて土間で、石積みの囲炉裏とお手製のピザ窯を備えた〝火遊び小屋〟だ。

 

竹で覆われた個性的な小屋の外観。三角の形がどこかかわいらしい

 

囲炉裏は土間の上に直接500~700mm径の自然石をランダムに並べ、粘土で固定。炉内は100mmほど掘り込み、灰を入れている。囲炉裏自体のサイズは1400mm径と大きいので、ダイナミックな火を焚いて、鉄板ででっかい肉を焼くのが、家族にも友人にも大好評だとか。

 

囲炉裏に鉄板をセットしたバーベキューバージョン。この鉄板の上で焼くステーキがパーティーの目玉

 

囲炉裏を使用しないときは、お手製のテーブルを置いたテーブルバージョンに

 

屋根の構造材に吊るされた自在鉤と火棚。煤竹と黒竹を使用し、使用感を演出

 

自在鉤と火棚は竹を使って自作。火棚には煤竹と黒竹を使い、煙に燻された雰囲気を演出している。鉤と火棚は小屋の垂木にワイヤーをかけて吊るし、固定した。

「小屋を設置したのは家の裏手の畑なので、季節の野菜を使ったピザを焼きたてで食べるのが楽しみ」とTさん。小屋内で火を焚くので近隣への煙の心配や天気の心配もいらない。大火で料理が楽しめ、火を囲み“ほんわり”とした温かさを感じる空間を大満喫している。

 

自然石を積み上げた土台にレンガを積んで作ったピザ窯は、スクエア型の二層式。煙突は屋外まで伸びている

 

外から見たピザ窯煙突。雨が室内に漏れないよう、煙突と屋根との干渉部分はステンレスの板で塞いでいる

 

写真◎清水良太郎/イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

竹害解消にひと役!階段アプローチに竹フェンスを作る/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(11)

よく手入れされている竹林は美しいが、放置された竹林は見苦しいばかりじゃなく、樹木の生態系を脅かす竹害として大きな問題になっている。そこで、もし、竹を使ったフェンス作りがポピュラーになれば、竹害対策に悩む里山ライフの一助になるんじゃないかと立ち上がったのだが……!?

 

 

やっぱり和テイスト……!?

房総のいすみ市にあるドゥーパ!のガーデンスタジオは山間の傾斜地にある。入口が階段になっていて、片側は地面がむき出しの切り通し、夏には雑草が伸び放題。もちろん、あまり見栄えがよくない。そこで、竹を使ったフェンスを作ることにした。冬の時期、竹は水分が少なくて、伐採後に虫がつきにくいとか。その竹は敷地内にふんだんにある。敷地内にある竹は、孟宗竹に比べて折れにくく、テーパーの少ない真竹であるのもフェンス作りにはちょうどいい。それになんといっても竹を利用することで竹林の整備にもなるし、他の樹木の保護にもなる。

ただし、竹を使ったフェンスは、どうやっても伝統的な和のイメージがつきまとうので、洋風の庭を目指す場合、デザインが難しい。がんばってもアジア風で、洋にはなりにくい。これをなんとかしたいと、いろいろ考えてみたが、やっぱり無理。そこでせめて少しでもモダンなデザインを心がけたのだが…。

まず、90mm角の柱を立て、その間に、4~6分割して細めに割いた真竹をすき間を作らずに、縦張り&横張りを併用して張っていった。幅広の笠木をかぶせ、下縁には垂木を取り付けた。こうしてできあがった竹フェンス。う~む、やっぱり和テイストか。柱や笠木は黒く塗装したが、思い切って白かブルーグレイにすればよかったとも思ったが、正直、その勇気がなかった。

 

手入れのされていない竹林。樹木の生態系の破壊にも通じる竹害は全国的に広がっている。竹フェンスはそのささやかな解決法…?

 

<真竹フェンス作りの手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

竹挽きノコはすごい!

竹林に入って竹を切るのが、けっこう大変。切るのは簡単だが、樹木が密集していて、枝がかりするのでまず倒れてこない。そこで真下に引っぱり、適当な長さでカット、また引っぱってカットというふうに、だるま落としの要領で引っぱり出すしかなかった。カットは荒めの剪定ノコと竹挽きノコを用意したが、圧倒的に竹挽きノコのほうが楽だった。竹挽きノコはエライ!

岡田金属工業所製の竹挽きノコが大活躍した。想像以上の切れ味

 

乱張り石のペイビングと固まる土で、階段の修復を

当初は予定になかった階段の再構築もやらざるを得なかった。実は、ここ数年、土留めの板だけで踏ん張ってきた土の階段だったのだが、よく見ると左右に土が崩れ、土留めの板そのものも腐りかけている。当然できあがった竹フェンスとのバランスも悪い。そこで、資材置き場をひっくり返して発見した乱張り石、固まる土、板材、杭、砂、砂利、セメントなどを駆使し、できるだけお金をかけないアプローチ階段作りに挑んだ。

まず、適当な板材を探し出して塗装し、各段の土留めの板を補強。これまでは正面だけだったのを左右にも入れて「コの字型」の土留め板とした。続いて砂利を敷き、点圧したあと、モルタルを使って乱張り石を敷いたのだが、圧倒的に量が足りず、仕方がないので各段の端に少しずつ集めて敷き、「これはデザインなのだ」と無理やり思い込むことにした。乱張り石のない、残った部分は、いろいろな色やメーカーの固まる土をごちゃまぜにしてぶちまけ、平らにならし、乱張り石の目地を埋めた。そのあとに水をまいて終了。真竹の伐採から階段ペイビングまで、ほぼひとりで5日間の作業だった。

 

<階段の修復の手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年12月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

薪ストーブを利用したカンタン野外囲炉裏・田舎の庭で気兼ねなく火と遊ぶ!

陽の落ちた庭で、酒を片手に揺れる火をじっと見つめる。至福のひととき

 

<DATA>
Iさん(61歳・菜園家)
DIY歴…4年
製作期間…約2週間(ピザ窯)/約5日(焼却炉)/約1日(ストーブ)
製作費用…約5万9000円(ピザ窯)/約1万9000円(焼却炉)/約7000円(ストーブ)

 

 

出版社を早期退職し、週のうち5日ほど秩父に通い田舎暮らしを送るIさん。会社員時代からDIYと自給自足への憧れがあったIさんは、敷地内には約300平米の畑を開墾し、50種類の野菜を栽培中。庭で自由に火を楽しめる田舎ならではの環境を満喫している。

まず注目したいのは、あえて庭にセットした薪ストーブ。使用したのは価格約4000円と安価な時計型のタイプで、この両脇に鉄筋3本を針金で束ねた三又を設置。ここに物干し竿を固定して、お手製の自在鉤を吊るせば、ハイ、野外囲炉裏のできあがり。ダッチオーブンを吊るせば調理もできる上、設置場所を自由に移動できるのでなんとも便利な火遊び場になるのだ!

 

薪ストーブ
時計型薪ストーブを庭に出して焚き火を楽しむ。切り出した丸太の椅子が炎を囲む

 

 

自在鉤は麻縄と桜の木の板で自作したもの。ドゥーパ!の連載記事を参考にしたそう

 

物干し竿を支える三又は、鉄筋3本を針金で束ねた簡単なもの

 

薪ストーブの熾き火で焼いた焼き芋はほくほく♪ 自分の畑で採れた野菜を頂く幸せ

 

庭の後方には手作りの焼却炉もDIY。端材はもちろん、作物の残渣を燃やすために製作したそう。コンクリートブロックを積み上げて、表面をモルタルで化粧した姿はどこか和風の雰囲気が漂う。今後はここで籾殻燻炭を作って、畑の土壌改良に使う予定と大活躍の様子だ。さらには、みんなが盛り上がるピザ窯も製作済み。

というわけで、Iさんの庭では、今日も夕闇にオレンジ色の火が静かに揺らめいている。「秋から冬の初めは暖房にもなるし、なにより火を見ながら飲む酒がうまい。至福のひとときってやつです」。炎に照らされたIさんは、目尻の下がったなんとも幸せそうな表情を見せた。

 

ピザ窯
ピザ窯はスクエア型の二層式。本体の焼き床から下は赤レンガ、焼き床から上は耐火レンガを使用

 

もともとはバーベキュー炉だったものをピザ窯に改良した。写真はバーベキュー炉だった頃の様子

 

ピザ窯の載る基礎部分はしっかりとレンガでペイビング

 

遠赤外線でこんがりと焼き上がるピザの味は格別

 

焼却炉
庭に溶け込む焼却炉を製作。コンクリートブロックにモルタルを塗り、上から白く塗装。サイズは幅820×奥行850×高さ1010mm。*焼却炉の使用規則は各自治体により異なります

 

 

焼却炉天板はアサヒキャスターを使って自作した。コーナーに1×4材をあて、民芸調のデザインに

 

灰かき口も設置。中の焼き床は耐火レンガとグレーチングで構成されている。*イラスト参照

 

基礎はしっかりとモルタルで固め、強度を出すため四隅には鉄筋をセット。ここにコンクリートブロックを積んでいった

 

写真◎佐藤弘樹/イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

レンガや石材加工のための道具の使い方を徹底解説!/超実践的DIY道具ラボ(19)

工事現場で使われるような本格的な石材加工の道具を使わなくとも、身近なDIY工具でレンガや石材、コンクリートブロックなどは成形できる。今回は本誌編集部がこれまで実際に使ってきた工具を実践例とともに紹介。

 

石工道具の基礎知識

手工具の石工道具は体力と叩くタイミングがポイント

石工に使う工具は、硬いレンガや石材を加工するために鋭くて強い打撃で加工できるように工夫されている。手工具だと、タガネ、レンガタガネ、石工ハンマー、ブロックハンマーなどがあるが、これらは鋼鉄製であることがほとんど。ハンマーの類は木工で使うカナヅチよりも重く、軽いもので約900g、重いものだと3kgを超えるものもある。

連続して使用するには体力が必要で、また思うように加工するには、材を打撃するタイミングや打つ位置など、実際に経験して作業のポイントを会得することも大切になる。

 

電動工具を活用するとスムーズに加工できる

石工作業のメインともいえる電動工具がディスクグラインダーだ。毎分1万5000回転という高速回転する先端部に、ダイヤモンドホイールを装着すれば、レンガ、石材、テラコッタ、コンクリートブロックといった石材全般の加工に利用することができる。ダイヤモンドホイールを装着したディスクグラインダーはプロのガーデナーにとっても必需品。

また石工用のチップソーを使えば、丸ノコでもレンガや石材の加工ができる。とくに長い寸法を切るには便利だろう。

 

<石材加工に使う主な道具>

 

CASE01 石工ハンマーと平タガネを使ったレンガの切断

石工ハンマーと平タガネだけを使ったシンプルな切断方法。レンガに墨線を引いたら、墨線にタガネを合わせて溝を削る。溝はなるべく深くくっきりと4面につけておく。その後は溝に合わせて平タガネを垂直にあて、一発で割れるように石工ハンマーで鋭く叩こう。

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

加工中の安全装備の例

石工作業では粉じんと切粉が激しく飛び散るので、必ず防護メガネと防塵マスクを装着する。帽子、衣服もすべすべの素材を選ぶと、多量にかぶる粉じんを落としやすい。

 

CASE02 ディスクグラインダーを使ったレンガの切断

ダイヤモンドホイールを取りつけたディスクグラインダーを使えば、平タガネよりも確実にきれいに割ることができる。墨線に合わせてディスクグラインダーで4面に切り込みを入れ、平タガネを切り溝にあてて石工ハンマーで叩けばOK。

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

CASE03 丸ノコを使ったレンガ・コンクリートブロックの切断

ダイヤモンドホイールや石材用切断砥石を装着すれば、丸ノコ(またはスライド丸ノコ)でレンガやコンクリートブロックをカットすることも可能。ディスクグラインダーよりも切断線に合わせるのが簡単で、切り込める深さが大きいのでワンアクションで切断できるのが魅力だ。

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

CASE04 ディスクグラインダーを使ったレンガの欠き取り

ピザ窯やバーベキュー炉の煙突や火床の部分などでは、レンガを切り欠く加工が必要になることがある。このような場合は、切り欠く部分に細かく切り込みを入れ、レンガタガネを使って欠き取る。切り残った部分はディスクグラインダーの刃先で削り取ればきれいに仕上げられる。

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

CASE05 ディスクグラインダーを使った石材の切断

厚さ2㎝程度の石板ならディスクグラインダーを1度通すだけでカットできる。厚みのある石材では、レンガを切るときと同じように、材の4面に切り込みを入れてから平タガネをあて、石工ハンマーで叩いてカットしよう。

乱張り石などの薄い石板は簡単に加工できる。手順や感覚はCASE02とほぼ同じ。材の下側には枕木を置いたりして、ダイヤモンドホイールが傷つかないように作業する

 

このぐらいの厚さの石材も、ディスクグラインダーを一度通せばカットすることができる。石材の場合でもディスグラインダーは奥から手前に動かすことが大事

 

厚さのある石材はレンガと同じように、4面に切れ目を入れてから平タガネと石工ハンマーで割る

 

CASE06 丸ノコを使ったテラコッタタイルの切断

石材用(非金属用)切断砥石を取りつけた丸ノコを使えば、テラコッタや陶製のタイル、石板などもカットできる。表面が凸凹した材だと滑りにくく、キックバックを起こしやすくなるので十分に注意して作業しよう。

写真のような厚さのテラコッタタイルなら、サクッとカットできる

 

CASE07 タガネを使った石板の切断

石板やテラコッタタイルなどは、タガネをあててハンマーで叩けば、自然な感じにカットできる。乱張りのペイビングなど自然になじんだデザインにしたいときにおすすめだ。タガネは何種類か使い分けると雰囲気を出しやすい。

写真のように材の表面にすじを引いてから、平タガネで叩き割る。電動工具を利用するより自然な感じの加工ができる

 

CASE08 ハンマーを使った石材の割り方

ディスクグラインダーなどの工具を使えば、石材でもきれいな直線で切ることができるが、作品によってはより自然な景色にしたい場合もある。そんなときは、あえて石工ハンマーやブロック槌のみで直接材を叩き割って、偶然できる形状を利用するというのもテクニックのひとつだ。

好きな形・大きさにするのは難しいが、単純にハンマーで割るという加工も場合によっては作品づくりにいかすことができる

 

CASE09 平タガネを使ったレンガのクリーニング

自然な雰囲気で人気のあるアンティークレンガだが、古いモルタルがこびりついて使いにくいことがある。そんなときは平タガネなどで削れば、凸凹を修正できる。この方法は石材やタイルにも応用可能だ。

アンティークレンガにこびりついた古いモルタルを削り取っている様子。平タガネをあててこそげ取ったり、石工ハンマーで叩けば取り除ける

*掲載データは2017年8月時のものです。

一般の人でも簡単に扱える!セメントその仲間たち/ドゥーパ!資材館【10】

DIYではとくにエクステリアを中心にポピュラーな資材であるセメント。それ単体でなく、ほかの資材と組み合わせて使うことで、さらに広く利用できるセメントについて解説。

 

セメントにはいろいろな使い方ができる

セメントは、石灰石、粘土、珪石、製鉄残渣を粉砕して、熱処理プロセスを経たのちに粉末に加工されたもので、これに適量の水を加えることで、水和反応によって硬化する資材だ。

用途、成分によっていろいろな種類に分類されるが、中でも幅広く使われるのが一般ポルトランドセメントだ。ポルトランドセメントも目的によって調合された超早強ポルトランドセメントや、中庸熱ポルトランドセメントなどがあるが、これらは緊急工事や大規模工事用に成分を調整したもので、小口の袋で販売されたり、一般に使用されることはない。

また、セメントは主に砂、砂利、砕石といった再生骨材と一定の容積で混ぜて、モルタルやコンクリートの材料として使うことが多い。モルタルはペイビングの基礎やレンガ積みの目地など、比較的軽量な作品を支えるために使われ、コンクリートは小屋の基礎やピザ窯の基礎など、重量のある作品の基礎に使われる。

 

一般的に袋入りセメントとして販売されているのは、普通ポルトランドセメントとその着色成分を調整した白色セメント。

 

ホームセンターではあらかじめセメントと骨材が調合された商品も販売されている。これらは水を加えて練るだけでモルタルやコンクリートとして使うことができ、ビギナーでも不安なく利用することができる。自分で配合するよりも割高にはなるが、1袋をそのまま使い切るといった小規模な作業では便利だ。

また、混ぜる骨材や水の比率を変えて、現場での使用状況によってノロ、空練りモルタル、バサモルと使い分けることもある。モルタルやコンクリートを作るためのセメントと骨材・水の配合比は下の表を参考にしてほしい。これらの配合は重量ではなく容積の比となり、バケツ1杯のセメントに対してバケツ何杯の砂を混ぜるというような比率になる。

注意したいのは、水や空気中の水蒸気によって反応するので、使い残したセメントはしっかりと密閉して保管し、早めに使い切ってしまいたい。袋を閉じないで放置すれば1週間もたたずに袋内で硬化してしまう。

 

骨材となる砂、砂利、砕石。塩分が含まれているとモルタルやコンクリートが劣化するので、必ず川砂や川砂利を使おう。

 

レンガ・ブロック積みにおけるモルタルの使い方

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

<こんな資材もあるんです!>

「速乾セメント」。こちらは普通セメントの3倍の速さで硬化するので冬場の作業で頼りになる

 

「防水剤」。セメントの水和物と反応して防水性を付与し、耐久性を高めてくれる混和剤

 

「メトローズ」。25㎏のセメントに2分の1袋混ぜると、乾燥時間を遅らせることができる。夏場の作業で重宝する混和剤だ

 

ペイビングにおけるバサモル・ノロの使い方

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

土間床作りにおけるコンクリートの使い方

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

ガレージの床作りなど大量のコンクリートを使うときは、地元の生コン業者に依頼してミキサー車で配達してもらう方法もある

 

<こんな資材もあるんです!>

セルフレべリング(自己水平)性を持ったセメント系資材。水で練って、コンクリート床面、ベタ基礎、布基礎の立ち上がり部の上端に流し込むだけで、天端を平滑に仕上げることができる

 

ピザ窯における耐火キャスタブルの使い方

セメントの仲間である耐火キャスタブル(キャスター)は、ピザ窯やバーベキュー炉などの高温の炎が直にかかる箇所に使われる。適量の水で練れば、モルタルと同様の使い方で作業することが可能。主に耐火レンガの積みや接着に使われるが、水で練った耐火キャスタブルをドーム状に成形して硬化させれば、燃焼室または焼き室がドーム型のピザ窯を作ることができる。

ドームの成形で使うのはアサヒキャスター13T。アサヒライトキャスターLC-10Sという、軽量で断熱性に優れたキャスタブル材もある。通常は窯や炉の内張りとして使う資材なので、ピザ窯の表面に使う際は屋根がけが必須となる

 

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

タイル張りにおけるタイルセメントの使い方

使うのは張りレンガやタイルなどの接着・目地埋めに適したセメント系資材。水を加えて練るだけで使える

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

<こんな資材もあるんです!>

「セメント着色剤」。ホワイト色のセメントやタイル目地材に混ぜることで、好きな色に変えられる粉タイプの着色剤。デザインの幅を広げたい人におすすめ

 

壁塗りで使うモルタル造形・軽量発泡骨材の使い方

モルタル造形とは特殊なモルタルを用いて、自然のものから人工的なものまであらゆる素材の形を彫り出し、塗料で着色していく技法のこと。ギルトセメントというモルタル造形を行なうために開発されたプレミックスモルタルを使う。水と混ぜるだけで使うことができ、通常のモルタルに比べて粘性があり、ダレないのが特徴だ。

写真はTS1-Wという製品。色が白いため着色が容易で明るい仕上げになるのが特徴

慣れれば写真のようなリアルなレンガ造りの壁面などを作ることができる

 

壁塗り材として使うのにおすすめなのが、セメントに軽量発泡骨材を混ぜるという方法。モルタルに比べて、軽くて粘りがあるのでDIYでも施工しやすく、骨材が大きいので厚塗りも容易に行なえる。作り方はセメント1袋(25kg)に対し、軽量発泡骨材1袋程度の割合で混ぜ、水を加えて練るだけだ。

写真は業者向けの軽量発泡骨材「オートサンド」。一般的にはネット通販や一部ホームセンターで販売されている「ティエスサンド」という同種の製品が入手しやすい

 

壁下地材にはラスカットを使うのがおすすめ。コテで直接塗りつけ、シーラーと水性塗料で塗装したら、キュートな表情に仕上がる

 

*掲載データは2017年4月時のものです。

ガーデン資材の基本!張りレンガ&耐火レンガ編/ドゥーパ!資材館【9】

レンガは基本的なガーデン資材のひとつ。とはいえ誰もが思いつく赤レンガ以外にも、さまざまなバリエーションが存在する。ホームセンターの資材売り場に並べられたレンガから特徴あるレンガをピックアップ。

 

張りレンガ

レンガのバリエーションにはコンクリートブロックや壁に張って、レンガ積みの雰囲気を作る、張りレンガという種類がある。これを使えば既存の門柱や塀などを、レンガを積んで作ったような景観にアレンジすることができる。専用の接着剤とプライマーを使うと小屋やサイディングの壁、スチール物置など、コンクリート以外の場所に張ることもできるので、エクステリア、インテリアにかかわらず、さまざまな場所をレンガ風に装飾することができる。目地幅をあけて張り、仕上げにモルタルで目地を入れると、よりリアルな仕上がりにすることができる。

張りレンガで化粧した薪ストーブの炉壁部分

 

アートブリック
割れや欠けを防ぐためにファイバーを配合し、強度を高めた張りレンガ。明るい色から、リアルな色までカラーバリエーションの幅が広い。約200×64×10~15mm

 

グレートウォールブリック
レンガの質感をより高級に再現した張りレンガ。樹脂モルタルを使えばエクステリアにも接着できる。コーナー用にL型のモデルもあるので、リアルな張り方が可能だ。約230×110×13mm

 

かるかるブリック
美濃焼の技術で作られた窯業系の張りレンガ。質感はアンティークで落ち着いたもの。色のバリエーションも多彩。エクステリアでもインテリアでも使用可能。レンガサイズ(約215×65×15mm)、ミニサイズ(約94×45×13mm)

 

かるかるブリック専用接着モルタル
エクステリアでもインテリアでも使用できる専用モルタル

 

耐火レンガ

ピザ窯など直接火がかかるエクステリア作品づくりの場合、耐火温度が300度程度の普通のレンガを使うと、割れたり、欠けたりするおそれがあるので、特別に耐火性能の優れた耐火レンガを使用する。耐火レンガは、表面にSK‐○○とスタンプされている。SKはテストピースとして使われるゼーゲルコーン(SegerKegel・独)の略で、数字がそのレンガの熔倒温度(ゼーゲルコーンが熔け倒れる温度)を示している(表参照)。ホームセンターではSK‐32、SK‐34あたりが多く販売され、このクラスならピザ窯、バーベキュー炉でも十分な耐火性を発揮してくれる。耐火レンガの接着、耐火レンガ積みにはいくつかの方法があるがキャスタブル耐火物(アサヒキャスターCA‐13Tなど)を使うのが簡単で確実だ。

耐火レンガで積んだバーベキュー炉の例

 

[耐火レンガのSK番号と熔倒温度の目安例]
SK番号   熔倒温度
30     1670度
31     1690度
32     1710度
33     1730度
34     1750度
35     1770度

 

リサイクル耐火レンガ
実際に使われていた窯の取り壊しなどで出た耐火レンガをクリーニングしたもの。ひとつひとつ違う焼きむらが味わい深い。ピザ窯などの組み立てにも利用できる。約230×115×65mm

 

耐火レンガSK-32、SK-34
右が基本、左が半丁の耐火レンガ。上2枚がSK32、下2枚がSK34。耐熱温度はSK32が1710度、SK34が1750度。それぞれホームセンターで入手しやすいJIS規格の耐火レンガだ。基本(230×114×65mm)、半丁(230×114×30mm)

 

耐火レンガSK-34 横ゼリ
傾斜をつけて作られる耐火レンガのバリエーション。窯のアーチを作るためのパーツ。左からY-1(230×114×65~59mm)、Y-2(230×114×65~50mm)、Y-3(230×114×65~32mm)

 

フランスレンガ
焼き締めの模様がくっきり残るフランスのレンガ。耐火温度が1200度あるので、バーベキュー炉の火床に使うことができる。約220×105×54mm

 

耐火セメント
補修用に使われる耐火セメントで、水を加えるだけで使用できる。窯や目地のひび割れの補修に便利。耐熱温度1100度。2㎏

 

アサヒキャスターCA-13T
耐火レンガの積み、接着に簡単確実に使えるキャスタブル耐火物。普通のモルタルと同様に適量の水を混ぜるだけで使用できる。常用温度は1300度で、プロの間でも広く使われている。25㎏

 

*掲載データは2017年2月時のものです。

ガーデン資材の基本!普通レンガ編/ドゥーパ!資材館【8】

レンガは基本的なガーデン資材のひとつ。とはいえ誰もが思いつく赤レンガ以外にも、さまざまなバリエーションが存在する。ホームセンターの資材売り場に並べられたレンガから特徴あるレンガをピックアップ。

 

普通のレンガ

紀元前3000年頃に生まれたといわれるレンガは、建築資材として世界中で使われてきたが、日本に紹介されるのは幕末の頃で、国内では古い歴史があるというわけではない。明治に鉄道が発達してから国内での使用が増えるが、関東大震災でレンガ造りの建物は地震に弱いことが認識され、コンクリートの発展とともにレンガが建築の構造資材として使われることは、ほとんどなくなってしまう。現在はもっぱらガーデンの造作やエクステリアの景観を作る資材として利用されている。現在でもレンガが住宅建築に使われる地域のレンガでは、鉄筋とモルタルを打つための穴があいたレンガもあるが、これらを含めてガーデンエクステリアでは、とくに既成の使い道にはこだわらず、デザインのバリエーションとして利用したい。

日本の赤レンガはJIS規格で寸法や品質が規格化され、世界のレンガと比べても高い品質を持ち、ばらつきがなく均質的。一方海外から輸入されるガーデン用のレンガは地域ごとに大きさ、色などに個性があり、いろいろ組み合わせることで多彩な庭作りが楽しめる。レンガの接着や積みの作業では、一般的にモルタルを使用する。

ホームセンターの屋外にある資材売り場で販売されるレンガ

 

レンガ積みの作品例。レンガはモルタルで接着し、積み上げられている

 

レンガ敷きの作品例。レンガとレンガのすき間(目地)には珪砂や砂をはき込み固定する

 

ベルギーレンガ
素朴でソフトな雰囲気のレンガ。ベルギーレンガは多くのプロガーデナーも使う、人気のアイテムだ。約190×90×50mm

 

赤レンガ
日本製の赤レンガ。JIS規格により誤差の少ない安定した作りになっている。かちっとした作品に最適。写真上から、基本(210×100×60mm)、ヨーカン(210×45×60mm)、半ペン(210×100×30mm)、半マス(100×100×60mm)

 

コボルブリック
角の取れた丸みのある柔らかなフォルムが特徴のレンガ。レッドとクリームがある。標準サイズ(約220×103×67mm)、ハーフサイズ(約100×100×50mm)

 

ミックスレンガ
多用途に使える薄めのレンガ。3色のミックスで自由な敷き、積みのパターンを楽しめる。約190×94×45mm

 

オールディッシュレンガ
古びたイメージで焼かれたオランダ産レンガ。濃いブラウン系の色と、赤系の色がある。約215×100×65mm

 

飾りレンガ
ハート、足跡、犬などが型抜きされたレンガ。平面が正方形の半マスサイズで焼かれている。約100×100×60mm

 

イギリスレンガ
モルタルを盛るための大きな窪みがあるイギリス積みレンガ。約210×100×60mm

 

アンティークレンガ
実際に使われていた窯などの解体時に出たレンガをクリーニングしたもの。ひとつひとつ風合いが異なる。約235×115×65mm

 

パシフィックブリック
クッキーのようなかわいらしい質感のレンガ。穴あきレンガと、笠木に使う穴のあいていないレンガがある。穴あき(約230×114×75mm)、笠木(約230×114×60mm)

 

グレートウォールレンガ
頑丈なレンガ積みができるよう、鉄筋とモルタルを打つための穴があいている少し大きめのレンガ。約230×110×75mm

 

マレーシアブリック
実際にレンガ積みによる住宅建築が行なわれているマレーシアのレンガ。穴あきのレンガは鉄筋を差し込むためのもの。約215×110×67mm

 

スティックストライプレンガ
断面が正方形のレンガ。アプローチのエッジや、ペイビングのワンポイントなどに効果的に使用できる。ブラウン、シルバー、イエロー、ピンクの4色。約170×60×60mm

 

クイーンズランドブリック
わざと焦がした風合いで焼かれた、少し大きめのレンガ。積み、敷きともに使うことができる。穴あきタイプもあり、積む場合は鉄筋とモルタルを打つこともできる。約230×110×76mm

 

ニューサウスウェールズブリック
古典的なデザインのレンガ。基本的には積みレンガだがDIYのガーデン作りでは、用途にとらわれずに自由なセンスで利用したい。濃い色と明るい色がある。約230×110×76mm

 

ゴールドコーストペイパーレンガ
堅く平滑に焼かれたペイビング用レンガ。ゴールドとタンの2色があり、大中小3サイズを選択できる。大(230×460×50mm)、中(230×230×50mm)、小(230×115×50mm)

 

ドライモルタル
あらかじめセメントと骨材(砂)が配合されたドライモルタル。水を混ぜるだけでモルタルとして使用できる。自分でセメントと砂を混ぜるより割高だが、小さな作品づくりなどでは合理的に使える。25㎏

 

*掲載データは2017年2月時のものです。

編集部が体当たりで実践!素焼きの鉢でタンドール窯作り/火を愉しむDIY

「いつでも焼きたてのナンが食いたい!」

そんな燃え上がる欲望に胸を焦がし、編集長・設楽が挑戦したのはタンドール窯作り。どこでも持ち運び可能なサイズで、徹底的に軽さを追求。完成したのは入れたものをなんでも美味しく焼きあげてしまう、驚異の窯だった…。

 

*タンドール窯とは?
タンドール窯とは円筒形の粘土製壺型オーブン。北インドからアフガニスタンなど西アジアから中東にかけて使用されている土窯だ。その起源は古く古代インダス文明まで遡るといわれている。インド料理屋に行くとナンを焼いている筒状の窯がありますよね、アレです、アレ。

 

製作したポータブル・タンドール窯

 

ナマステ設楽がリポート。「魔法の窯の登場です!」

 

焼きたてのナンが食べたかった。ザックを背負いインドを放浪していたウン年前、歩き疲れた体にカレーとともに流し込むナンのおいしさといったらなかった。あのふわっとした柔らかさ、もちっとした食感、ほのかに鼻腔をくすぐる小麦の香り……んがぁーーー!ナンを自分で作って食べたい、そのための窯が欲しい! ここで「インド料理屋に行けばいい」なんて無粋なことを言ってはいけない。いつでも、どこでも、食べたいときに、たらふく食べたいじゃないかーーーー!

というわけで、「なければ自分で作る」んである。とはいえ、本場のタンドール窯は総重量60kg以上にもなるという。これはいけない。「いつでも、どこでも」というテーマから大きく外れるし、常日頃心掛けているウルトラライトの思想に反する(僕は山男でもあるのだ)。車での移動はもちろん、手持ちで持ち運べることを想定すると、目指す重さは10kg以下。さらには、友人に自慢できるようなかっちょいい見た目にもこだわりたい……そこで用意したのがペール缶とテラコッタの素焼き鉢、そしてオリジナルミックスの断熱材。

さあ、ここから始まるのは、魔法の窯作りに奮闘するひとりの男のドキュメンタリー。その一部始終をとくとご覧あれ!

 

【これがポータブル・タンドール窯の全貌だっ!】

重さはわずか1kg!製作時間はまさかの半日!材料費はたった4000円!

 

【使用した道具】
ドライバードリル(鉄工用ドリルビット/陶器用ドリルビット)、ディスクグラインダー(ダイヤモンドホイール/金属用切断砥石)、ジグソー(鉄工用ブレード)、カナヅチ、センターポンチ、棒ヤスリ、カッター、スコップ、メジャー、ハケなど

【用意した資材】
ペール缶(径300×高さ350mm)、テラコッタの鉢(径260×高さ310mm)、パーライト(18L)1袋、バーミキュライト(3L)1袋、川砂(適宜)、単管パイプ(径38mm)、焼き網など*塗料は含まない

 

ペール缶を好きなデザインに塗装する

塗装に準備したのは、ごく普通の水性ペンキ。窯の内部は300~500℃まで上がるタンドール窯だが、断熱材がしっかり熱を遮断してくれるとの判断からのチョイス。なお赤と黄色はなんとなくカレーの色をイメージしてみた

 

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

断熱材をブレンドする

断熱材はパーライトをメインに、バーミキュライトと川砂を混ぜてみた。比率はパーライト7:バーミキュライト2:川砂1くらい。さらに耐火セメントを混ぜて固める方法もあるようだが、重くなるのでやめた。なお、この組み合わせや比率に科学的根拠などまったくないので、みなさんそれぞれで試してほしい

 

ペール缶のフタを丸く切り抜く

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

素焼きの鉢をカットする

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

単管パイプで空気調整口を作る

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

素焼きの鉢に穴をあける

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

各部材を組み立てる

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

自宅の庭で気分はインド!タンドール窯で串焼きパーティー開催中

これ、ぜ~んぶタンドール窯で作った料理!

 

チキンケバブ!

 

タンドーリチキン!この照り!このシズル感!

 

【窯の火入れ】
*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

【ナンを焼いてみよう!】
*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

 

タンドールならではの道具も自作すべし!

【ナン取り出し用フック】
*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

【ミニガッティ】
*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

タンドール・レボリューション!

いや、みなさん、正直に言わせていただく。この窯はすごい、もう魔法の窯といっても過言じゃない。ちょっとすごすぎて自分でも困惑しちゃってる(笑)。これはピザ窯、バーベキュー炉と並ぶ野外パーティーの武器になることを確信してます!

もうね、どんな食材を入れても美味しくなっちゃうんですよ。今回、ナンをはじめ、タンドーリチキン、ケバブ、豚バラチャーシュー、サンマの塩焼き、さらには焼き芋を調理しましたが全部大成功。

まず調理時間が早い。しっかりと内部の温度が上がったタンドール窯は、ナンは1分少々で焼けちゃう。タンドーリチキンですら10~15分くらいでOK。遠赤外線の効果か外はパリッと、中はふっくらジューシー! 余分な油は下に落とし、旨みだけをギュッと閉じ込めるから、もうほんっとに美味い。焼き上げた肉や魚を串から取り外した瞬間、「ぷすっ!」と音を立てて爆ぜる瞬間がもうたまんない。

さらにポイント高いのは、炭を使った窯なので使用時の煙が少ないこと。肉や魚から落ちる油を熱源の炭に当てないように気をつければ、煙がほとんど出ません。これならお隣さんを気にせず、堂々とパーティーができるってわけ! ピザ窯じゃこうはいかない。薪と違って、炭ならすぐに手に入るしね。

作品自体の作りやすさもこの窯のメリット。今回のようにペール缶に塗装をしなければ、半日で製作可能。工具さえそろっていれば、DIYビギナーでも十分にターゲットにできるやさしい難易度。しかも材料費4000円ときたら……もう作らない理由がないでしょ。

最後に、こだわった重さ。ペール缶に詰める断熱材はパーライトをメインにブレンドし、なおかつセメントで固める方法を避けた結果、7kgという軽さを実現。まさにポータブルの名に恥じない持ち運びやすさ。庭で、海で、キャンプ場で、ベランダで、コンクリートジャングルの真ん中で、もうどこでもナンが焼ける! おい、これはもう革命じゃないのか!?(笑)

ほんとになんてポテンシャルの高さなの、タンドール窯ちゃん……みなさんもぜひタンドール窯を自作して、オリジナルの窯料理を好きな場所で楽しんでね! では、ナマステ~(さようなら~) 。

エーゲ海の風景を思わせるベンチつきレイズドベッドを作ろう!・DO IT!手作りガーデン【4】

高床式で立ったまま植物の手入れができるレイズドベッド(花壇)を軽量ブロックでDIY。丈夫な作りにするために基礎はL形基礎。軽量ブロック部分には縦筋と横筋を入れている。備えつけのベンチ脚も軽量ブロックで縦筋入り。多少粗っぽく使ってもへっちゃらだ。

土圧に耐えるL形基礎で頑丈な構造に仕上げた

立ったまま植物の手入れを楽しめるレイズドベッド。高齢者や車いす利用者でも気軽に植物に触れることができるので、公園など公共の場に作られていることが多い。

そんなレイズドベッドを軽量ブロックで製作した。立ったまま作業できるように軽量ブロックを4段積んで高さ700mm程度になるようにしている。

基礎は土圧に耐えられるようにL字に曲げた鉄筋を使用するL形基礎(レイズドベッド基礎構造図参照)にした。頑丈な作りにするため、軽量ブロックには縦筋と横筋を入れている。コンクリートブロック仕上げのままだと武骨さが残るため、漆喰とタイルで化粧することにした。漆喰は白、タイルは涼やかな印象になるように青系のものを選んだ。

また、ガーデニングの合間にひと息ついたり、道具置き場に活用できるベンチをつけている。ベンチは脚を軽量ブロックで製作。高さ400mm程度になるように2段積む。しっかりした作りにするため縦筋を入れている。レイズドベッドと同様に漆喰で仕上げた。ベンチの座板には2×4材を使用し、道具掛けとして木の枝を取り付けている。

ブロック面を白い漆喰で仕上げたため、エーゲ海風の涼やかな作品に仕上がった。ガーデンキッチンの近くに作ってミニ菜園やハーブガーデンにしてもよさそう。植物好きの高齢者がいる方ならプレゼントとして作ってみると喜ばれるはずだ。

なお、モルタルなどを使用するので製作日数は7日以上見ておくといい。

 

【構造図】

【使用資材】

材の種類 数量 使用部位
軽量ブロック(100mm・コーナー) 8 レイズドベッド、ベンチ脚
軽量ブロック(100mm・鉄筋) 27 レイズドベッド
異形鉄筋(10mm径×3640mm) 8 基礎、レイズドベッド、ベンチ脚
番線 適宜 基礎、レイズドベッド
砕石(20kg) 3 基礎
セメント(25kg) 2 基礎、レイズドベッド
砂(25kg) 6 基礎、レイズドベッド
コンクリート用接着剤(ハイフレックス) 適宜 レイズドベッド・ベンチ脚の化粧下地
ハイモルタル(25kg) 1 レイズドベッド・ベンチ脚の化粧下地
モザイクタイルシート10mm角 4 レイズドベッドの化粧
タイル用接着剤(セラ・タック/2kg) 1 レイズドベッドの化粧
インスタントセメント(4kg) 1 レイズドベッドの化粧
漆喰(ヘイ!ヌレール/16kg) 1 レイズドベッド・ベンチ脚の化粧
2×4材(1200mm) 5 座板
ウエスタンレッドシダー端材(490mm) 2 座板受け

【その他の資材】
塗料(オスモカラー カントリーカラー0.75L缶/グレイブラウン、ダブブルー)、六角ボルトナット(2本)、ゴムシート(2×100×100mm)、特厚金折45mm、コーススレッド(65mm)、スリムビス(40mm)、コンクリートアンカー(スピットアンカー/下穴径6mm)、木の枝(高さ約1800mm)

 

材料費…約4万円

 

【主な使用道具】
ディスクグラインダー、インパクトドライバー、振動ドリル機能つきインパクトドライバー、サンダー、マスキングテープ、シャベル、ブラシ、各種コテ、コテ板、スポンジ、練クワ、タンパー、バケツ、スペーサー、チョークライン、クランプ、メジャー、カッター、ゴムハンマー、彫刻刀、水平器、サシガネ、ラチェットレンチ、鉛筆

 

STEP1 基礎を作る

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

STEP2 レイズドベッド本体とベンチ脚を作る

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

STEP3 タイルを張り、漆喰を塗る

 

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

STEP4 ベンチを作る

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

写真◎福島章公、ドゥーパ!編集部

 

石川豊花 Yutaka Ishikawa

「ロバロバファクトリー」主宰。立体作家。鉄、木、コンクリートなどの素材を使って、さまざまな作品を制作。現在、神奈川県小田原市を中心にエクステリア施工を行なっている。独創的な空間作りに定評がある。

エーゲ海の風景を思わせるベンチつきレイズドベッドを作ろう!・DO IT!手作りガーデン【4】

高床式で立ったまま植物の手入れができるレイズドベッド(花壇)を軽量ブロックでDIY。丈夫な作りにするために基礎はL形基礎。軽量ブロック部分には縦筋と横筋を入れている。備えつけのベンチ脚も軽量ブロックで縦筋入り。多少粗っぽく使ってもへっちゃらだ。

土圧に耐えるL形基礎で頑丈な構造に仕上げた

立ったまま植物の手入れを楽しめるレイズドベッド。高齢者や車いす利用者でも気軽に植物に触れることができるので、公園など公共の場に作られていることが多い。

そんなレイズドベッドを軽量ブロックで製作した。立ったまま作業できるように軽量ブロックを4段積んで高さ700mm程度になるようにしている。

基礎は土圧に耐えられるようにL字に曲げた鉄筋を使用するL形基礎(レイズドベッド基礎構造図参照)にした。頑丈な作りにするため、軽量ブロックには縦筋と横筋を入れている。コンクリートブロック仕上げのままだと武骨さが残るため、漆喰とタイルで化粧することにした。漆喰は白、タイルは涼やかな印象になるように青系のものを選んだ。

また、ガーデニングの合間にひと息ついたり、道具置き場に活用できるベンチをつけている。ベンチは脚を軽量ブロックで製作。高さ400mm程度になるように2段積む。しっかりした作りにするため縦筋を入れている。レイズドベッドと同様に漆喰で仕上げた。ベンチの座板には2×4材を使用し、道具掛けとして木の枝を取り付けている。

ブロック面を白い漆喰で仕上げたため、エーゲ海風の涼やかな作品に仕上がった。ガーデンキッチンの近くに作ってミニ菜園やハーブガーデンにしてもよさそう。植物好きの高齢者がいる方ならプレゼントとして作ってみると喜ばれるはずだ。

なお、モルタルなどを使用するので製作日数は7日以上見ておくといい。

 

【構造図】

【使用資材】

材の種類 数量 使用部位
軽量ブロック(100mm・コーナー) 8 レイズドベッド、ベンチ脚
軽量ブロック(100mm・鉄筋) 27 レイズドベッド
異形鉄筋(10mm径×3640mm) 8 基礎、レイズドベッド、ベンチ脚
番線 適宜 基礎、レイズドベッド
砕石(20kg) 3 基礎
セメント(25kg) 2 基礎、レイズドベッド
砂(25kg) 6 基礎、レイズドベッド
コンクリート用接着剤(ハイフレックス) 適宜 レイズドベッド・ベンチ脚の化粧下地
ハイモルタル(25kg) 1 レイズドベッド・ベンチ脚の化粧下地
モザイクタイルシート10mm角 4 レイズドベッドの化粧
タイル用接着剤(セラ・タック/2kg) 1 レイズドベッドの化粧
インスタントセメント(4kg) 1 レイズドベッドの化粧
漆喰(ヘイ!ヌレール/16kg) 1 レイズドベッド・ベンチ脚の化粧
2×4材(1200mm) 5 座板
ウエスタンレッドシダー端材(490mm) 2 座板受け

【その他の資材】
塗料(オスモカラー カントリーカラー0.75L缶/グレイブラウン、ダブブルー)、六角ボルトナット(2本)、ゴムシート(2×100×100mm)、特厚金折45mm、コーススレッド(65mm)、スリムビス(40mm)、コンクリートアンカー(スピットアンカー/下穴径6mm)、木の枝(高さ約1800mm)

 

材料費…約4万円

 

【主な使用道具】
ディスクグラインダー、インパクトドライバー、振動ドリル機能つきインパクトドライバー、サンダー、マスキングテープ、シャベル、ブラシ、各種コテ、コテ板、スポンジ、練クワ、タンパー、バケツ、スペーサー、チョークライン、クランプ、メジャー、カッター、ゴムハンマー、彫刻刀、水平器、サシガネ、ラチェットレンチ、鉛筆

 

STEP1 基礎を作る

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

STEP2 レイズドベッド本体とベンチ脚を作る

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

STEP3 タイルを張り、漆喰を塗る

 

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

STEP4 ベンチを作る

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

写真◎福島章公、ドゥーパ!編集部

 

石川豊花 Yutaka Ishikawa

「ロバロバファクトリー」主宰。立体作家。鉄、木、コンクリートなどの素材を使って、さまざまな作品を制作。現在、神奈川県小田原市を中心にエクステリア施工を行なっている。独創的な空間作りに定評がある。

庭&野外空間の活用術「ウッドデッキと野外基地」特集!『ドゥーパ!』2021年10月号(144号)発売

日本で唯一のDIY専門誌『ドゥーパ!2021年10月号』(発行:株式会社キャンプ/代表取締役社長:豊田大作)が9月8日に発売!

 

・第1特集は「自分で作るから大満足! ウッドデッキと野外基地」
特集のメインコンテンツは、編集部が提案する野外基地作り。定番のウッドデッキをはじめ、フォールディングテーブルにスタッキングチェアのセット、さらにはバーカウンター、アースオーブン(ピザ窯)、雨水タンク&シンクが一体化した渾身のアウトドアベース作りの模様をお楽しみください。実践的なテクニック&アイデアの数々、とくとご覧あれ!

 

実践リポートに続くDIY実例集は、みんなの手作り野外基地が大集合! 空中に浮かぶプールつきウッドデッキを皮切りに、ウッドデッキシアター、ガーデンバー、焚き火サークルに露天風呂、さらにツリーハウスまで! 男たちはもちろん、家族や仲間もワクワクさせるアウトドアリビングの魅力満載でお届けします。

 

 

・第2特集は「軽トラ・軽バンDIY快適化計画」
本格的なキャンピングカーもいいけれど、DIYで遊ぶならやっぱり軽トラ・軽バンがアツい! 車中泊ならぬ車中憩をテーマにしたバンや、走って飲んで宿泊できるモバイルワインバーなど、ユニークなDIY車両をラインナップ。ワンポイントアイデア集も充実の内容で、読んだら今すぐ「遊べる軽」を作りたくなること間違いなし!

 

・バラエティあふれる連載にも注目!
溶接を駆使したアイアンDIY、トリマー&ルーター木工、さらにはレザーソーイングやグリーンウッドワークなど、さまざまなジャンルのもの作りの魅力を個性あふれる作家とともにお届けします。その他、自給自足の田舎暮らしエッセイやDIYにまつわる法律相談など読み物も充実。こちらもお見逃しなく!

 

【書籍概要】

著者:ドゥーパ!編集部

定価:1100円(税込)

発売日:2021年9月8日

判型:A4変形

暑いぞ、おい!DIYで自宅の庭にプールを作ろう!~実例編~

全身の肌をじりじりと焼き尽くすような、強い日差しが降り注ぐ季節がやってきました。そんな猛暑を乗り切るには水浴びするのが一番。今年の夏は自宅の庭で、DIYでプール開きをしてみませんか?夏休み中の子どもたちも喜ぶこと間違いなし!

夏にだけ出現する孫のための大型木製プール

プール横には、はしごと飛び込み台(滑り止めシートつき)を併設

 

製作者profile
T・Kさん(70歳)/高知県/DIY歴40年

 

毎年夏に遊びに来る孫のために庭に設置しているという、T・Kさんお手製のプールは長さ5000×幅2500×深さ1000mmと超ビッグサイズ。これだけ大きいと、水の量と木枠にかかる水圧も相当なものになるため、木枠の周囲に骨組みを追加し、さらに木枠と地面を金具+ボルトで固定。強力な水圧にも耐えられるように設計した。なお、シートはビニールハウス用のビニールシートとブルーシートの2重構造になっている。

水は井戸水を使用しており、遊んでいるとき以外は水中ポンプで水を撹拌。排水は水中ポンプで半日かけて汲み出している

 

自宅屋根にワイヤーを張り、滑車を使った手作りロープスライダーもある

 

木枠の外側に骨組みを追加。さらにL字金具とボルトを使って木枠と地面(コンクリート)を固定している

 

これなら手軽に作れる!子ども用の六角形プール

普段は膝ぐらいの高さまで水を張って遊んでいる

 

製作者profile
NPO法人プレーパークせたがや(東京都世田谷区)
「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーとした子供向けの冒険遊び場“プレーパーク”を運営。
https://playpark.jp/

 

解体現場からもらってきた端材で作った六角形のプールは、2×材で組んだ骨組みに、半分に割いたコンパネを内側に張って製作。1辺につき2本の杭(2×材)を打ち込み、水を多く入れる際はさらに木枠の外周にロープをぐるりと巻きつけて補強するそうだ。

ブルーシートをかけていない状態。1辺1800㎜の六角形。小石などを踏んでも痛くないように床面にはゴザを敷いている
排水は木枠と地面の間のすき間から水を一気に出し、園内に掘った溝をつたって排出される

 

子どもたちに大人気!ウォータースライダーつきプール

斜面はコンパネ、エコパネル、アルミレジャーマット、フロアシートの4重構造

 

製作者profile
NPO法人プレーパークせたがや(東京都世田谷区)
「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーとした子供向けの冒険遊び場“プレーパーク”を運営。
https://playpark.jp/

 

プレーパーク(右下カコミ参照)内の数ある遊具の中でもとくに人気だったのが、この高さ2.5mのウォータースライダー(現在は解体)。使用資材は主に廃材の柱材や2×材で、たくさんの子供たちが一斉に乗って遊ぶため、耐久性と安全面にこだわった。傾斜は36度、斜面の幅を広げ(2700mm)、プールの床にはゆるやかな傾斜をつけたりと、試遊するたびに何回か改良を加えていき、この形に落ち着いたそう。

【ウォータースライダー側面図】*単位はmm。スジカイなどは省略

 

製作中の様子。斜面の横の階段は、根太を多めに入れて補強している。幅は700mm

 

プールつきのウッドデッキで庭がリゾート空間に大変身!

排水用の水中ポンプを噴水代わりにして遊ぶ阿部さん親子。給水は水道につないだホースで行ない、2時間弱で溜まる(水圧の弱い地下水を使用)

 

製作者profile
阿部勝利さん(47歳)/福井県/DIY歴8年

 

2010年7月に製作を思い立った阿部さんが、何がなんでもその夏のうちに1回は遊びたいという思いから急ピッチで作業を進め、トータル8日間で作りあげたのがこのプール付きウッドデッキ。手順は、掘った地面の底にコンクリートを敷き、ブロックを並べたら全体にモルタルを塗り付け。その後はモルタルに水色の水性ペンキを塗り、プールの縁に木枠をつけて、周囲にデッキを作りつけた。なお、地面の穴は約2.5m四方で深さは約60cm。なんと3日間かけてスコップを使って掘ったというから驚きだ!

 

【構造イメージ図】

プールの内寸は約1500×1500mm。深さ約450mm

 

排水は地下に浸透させるタイプだ

 

すべて排水させるのに4日ほどかかるので、水中ポンプで強制的に排水し、庭の芝生の水まきに使っている

 

普段はデッキの床と同じ構造のパーツでプールにフタを閉めている

 

プールに入るときは、キャスターをつけた板をフタの下に入れ、持ち上げながらずらしてプールの横に設置すれば高さがぴったり合う

 

*この記事のデータや内容は2016年8月時のものです。

暑いぞ、おい!DIYで自宅の庭にプールを作ろう!~プランニング編~

全身の肌をじりじりと焼き尽くすような、強い日差しが降り注ぐ季節がやってきました。そんな猛暑を乗り切るには水浴びするのが一番。今年の夏は自宅の庭で、DIYでプール開きをしてみませんか?夏休み中の子供たちも喜ぶこと間違いなし!

パターン1・日曜大工感覚で作る!解体も可能な木枠+シートタイプ

1、水圧に耐えられる構造にする
浴槽の構造は、角材や2×材などで骨組みを作り、合板で壁を取り付けるのが一般的。ここで注意しておきたいのは、水圧は水の深さが深いほど高くなり、思っているよりも水圧の力は強いということ。解体するのであればできるだけ簡単な構造にしておきたいが、壊れてしまっては元も子もないので、なるべく頑丈に作っておこう。

2、大きいシートで全体をすっぽり覆う
木枠のすき間からの水漏れを防ぐにはブルーシートなどを使う。シートはなるべく厚手のもので、サイズはプール全体を覆える大きさであればOK。さらに防水性にこだわるなら、池作りに使う防水シートを使う手もある。

3、杭などを立ててさらに補強する
底面に近いほうが水圧が高く、耐久性が不十分だと木枠の下部が広がって倒壊して水が溢れてしまう。倒壊を防ぐためには木枠の外側にあてがうように杭を立てたり、骨組みにスジカイを入れるなどしておくと安心だ。

 

パターン2・耐久性にこだわる!コンクリートでガッチリ固定タイプ

1、穴掘りは重機を使うのがおすすめ
シャベルで地道に手掘りするのも手だが、広くて深いプールを作りたいときや、地盤が固くて掘り進めることができないときはミニユンボを利用するといい。操作方法は建設機械レンタル店でもひと通り教えてくれるが、不安な人はメーカーの技能講習を受けるといい。自分の敷地内で乗るのであれば特別な免許はいらないので、ぜひトライしてみよう。

2、ブロック、砕石+ワイヤーメッシュを下地に使う
コンクリートで浴槽を作るタイプは耐久性の高さ、さらに地面の下に設置するのであれば水圧のことを考えなくてもいいのがメリット。よくガレージの基礎として用いられる、コンクリートブロック布基礎を地面の下に作るイメージで作れる。側面は鉄筋を入れながらブロックを積み、全体をコンクリートでカバー。底面には砕石を突き固めてワイヤーメッシュを張り、ベタ基礎にして耐久性をアップさせてもいい。

3、排水方法を決めておく
底面に排水口を作り、地下に配管をつないで排水するといった方法もあるが、底面に勾配をつけたりする手間を考えると、DIYでは水中ポンプなどを使って排水するのがベター。また、あまり水を入れ替えない使い方をする場合は、電動フィルター(ろ過機)の設置が必須になる。

4、最後にコンクリートの塗装もしておきたい
使うときだけ水を入れる場合でもコンクリートは劣化していくので、コンクリート用の塗料で多少なりとも防水対策を施しておく。ウレタン系のプール専用塗料は取り扱いが難しいため、DIYではあらかじめ防水剤を混ぜたりFRP樹脂などを使おう。

 

パターン3・いろいろ選べる!簡単施工で高品質なキットタイプ

1、市販のキットプールは種類が豊富!
家庭用の大型ビニールプールといえば、INTEX社(外国製)などが有名だ。その他の素材ではFRPや木製などがあり、形も長方形や円形などさまざま。次回は、DIYで設置できる組み立て式のプールを厳選して紹介していくので、チェックしておこう。

2、プールつきデッキにカスタマイズ
キットのプールをそのまま庭に置いて楽しむのもいいが、せっかくならばプールの周囲にウッドデッキを作って、リゾート感あふれる庭を演出してみよう。泳ぎ疲れたときの休憩所としても使うことができ、プールと床板の高さを合わせればハシゴやステップがなくてもプールに入ることができる。

3、穴を掘って埋め込んで設置してもOK
プールの大きさに合わせて穴を掘って整地し、地中に埋めて常設するのもひとつの方法。ビニール製のプールを設置する際は、土の重みで変形しないようにブロックで囲ったりしておくといい。

 

イラスト◎丸山孝弘

セルフビルドの家にベンチつきストーブをIN!DIYerの自作薪スト&ロケスト集【1】

床を撤去して地面に設置
地元の大谷石をフル活用した自給暮らしを支えるベンチつきストーブ

セルフビルドした家の雰囲気に合ったヒートベンチつきストーブ。なお、煙突は2階の寝室まで延ばしており、焚き口と煙突の最上部の高低差は約4.5m。横引きの長さはベンチ部分、2階部分ともに約4mずつある

Profile
七田紹匡さん(54歳)/栃木県在住/材料費…約4万円/製作期間…約3年

 

セルフビルドした家で自給自足の生活を送る「エコヴィレッジみより」の七田紹匡さんは、10年ほど前に農業体験で訪れていたWWOOFer(*欄外参照)が持ってきた本『ロケットストーブ』で初めてロケストの存在を知る。その性能とアイデアに魅せられ、直感的に「これは作るしかない」と思い、本誌の121号でも紹介した石窯暖炉と並行してロケットマスヒーター作りに着手した。

ストーブとヒートベンチはかなりの重さになると予想したので、床の大引きの一部を撤去して直接地面の上に設置することに。土台には解体現場からもらい受けた大谷石、ヒートベンチの煙道の一部には同じく廃材の土管を使用。さらに蓄熱層に使ったベントナイト(粘土の一種)の量をなるべく減らせるよう、庭から採取した砂と石を骨材にして混ぜ、製作コストを抑えた。

「部屋の中もストーブの装置の一部。同じ構造のストーブでも、住んでいる環境、家の構造によってパフォーマンスは変わるので、まずは作ってみて使ってみないとわからない。失敗してもやり直せばいいんです」(七田さん)。

現に、七田さんのストーブも完成から2年が経つが、これまでに煙突の引き方を2回変えており、現在の煙道レイアウトに落ち着いた。満足のいく形になるまで、改造を繰り返してブラッシュアップできるのもDIYロケストの魅力といえる。

*WWOOFer(ウーファー)とは、金銭のやり取りを行なわずに農業体験や人と人との交流をする「WWOOF(ウーフ)」において、ホスト側のお手伝いをする人々のことを指す言葉。

 

天井の梁から網を吊り下げ、ストーブからの輻射熱を利用して食材を乾燥。写真は切り干し大根を作っているところ

 

ストーブ天板は250℃程度まで上昇する。煮込み料理なども可能

 

焚き口は深さがあるので、焚き始めは火バサミで薪の位置を調整する

 

本体は耐火レンガを角筒状に組んだヒートライザーにドラム缶をかぶせた

ストーブ設置部分の下地にはコンクリートを打ち(約100mm厚)、耐火モルタルで接着しながら耐火レンガを積んでヒートライザー&バーントンネルを製作。そして、ヒートライザーの周りをガルバリウム鋼板で筒状に覆い、パーライトとベントナイトを混ぜた断熱材を充填。大谷石とコンクリートで形成した土台にドラム缶を載せ、耐火モルタルですき間を埋めてヒートライザーを囲った。

ストーブ本体。中央の焚き口はカットしたペール缶にラス網を巻き、耐火キャスタブルでコーティング。鉄板は知り合いの鉄工所にドーナツ状にカットしてもらった

 

焚き口の横にコンクリート枡を設置。焚き口からの伝導熱で低温調理が行なえる。夜、食材を入れておくと翌日の昼食のいいおかずになるとのこと

 

ヒートライザーに断熱材をコーティングしたところ。ガルバリウム鋼板は鉄製のボルトで固定した(七田さん撮影)

 

ヒートライザーの周りに大谷石を積み、ベニヤ板の型枠にコンクリートを流し込んで土台を製作。この上にドラム缶を載せてヒートライザーを囲った(七田さん撮影)

 

ヒートライザーの製作。接着用の耐火モルタルは薄く塗り、目地が重ならないように積んだ(七田さん撮影)

 

ヒートベンチの先から延ばした煙突で2階の寝室も同時に暖める

煙突を天井まで延ばす際に、「どうせなら2階も暖房できるのでは?」と思いついた七田さん。2階に延ばした煙突を横引きし、むき出しのままで簡易的なベンチを製作した。

排熱が2階に到達するころには表面温度は30℃台まで下がっているが、最低気温が-15℃を下回るような日でも、小さな石油ストーブを併用するだけで部屋が暖められるようになった

 

煙突の屋外部分には断熱材を巻きつけて凍結を防止。木酢液は煙突のつなぎ目から下にチューブを延ばしてポリタンクにためている

 

大谷石で構成したヒートベンチの煙道は途中から2本に分岐

ヒートベンチは解体材の大谷石を組んで製作。L字形に折れ曲がっており、折れ曲がった先で煙道は2本に分かれる。その煙道には土管を使い、ベントナイト+砂+石を混ぜたものを蓄熱層とし、表面を漆喰で仕上げた。なお、最初の完成以来、煙道は使い心地を確かめながら2度変更している。1度目の変更時は煙の引きがよすぎて熱がもったいなかったので、完成当初のように煙道を分岐することにして排煙の滞留時間を長くしたとのこと。

L字形のヒートベンチ。木製の背もたれがあり、座り心地は上々

 

完成当初の煙道。2階とは別に、居間から続くサンルームにも煙道を延ばしていた(七田さん撮影)

 

1度目の煙道経路変更。以前は火入れすると、サンルームの縦の煙突が冷えすぎたせいか煙がまったく引き込まれず逆流することがあった。そこで、サンルームの暖房は諦め、しっかり機能していた2階の煙突のほうに折り返して1本化することに(七田さん撮影)

 

ヒートベンチの製作の様子。ストーブに近いほうのベンチには点検口を設けている(七田さん撮影)

 

蓄熱材を充填したところ。なるべく多く石を詰めて、ベントナイトはそのつなぎとして使う程度の量に留めている(七田さん撮影)

写真◎佐藤弘樹

自宅を大胆リノベ!火をこよなく愛するDIYerの薪ストーブ導入ドキュメント

壁をぶち抜いて部屋を増築!憧れの薪ストーブライフを実現

使用薪ストーブはノザキ産業の2300型。本体サイズは幅513×奥行413×高さ698mm

2005年に都内にに家を建て、花壇やガーデンシンクなどコツコツと庭作りを進めてきた小山内繁さん(44歳)。北海道の実家では薪ストーブを使っていたこともあり、庭や自作のサンルームにて古い薪ストーブによる火遊びを楽しんでいたが、灰や排煙で自宅が汚れ始め、また、小さな子どもには直火は危ないということもあり奥さんから薪ストーブ禁止令を出されてしまう。

大好きな薪ストーブを思う存分使うことができず、くすぶった思いが続いていたある日、知人から「薪ストーブを買い替えて、余ったノザキ製の薪ストーブがあるんだけど欲しい?」という話が小山内さんのもとに舞い込む。この好機を逃すまいと、薪ストーブの室内設置のDIYを決意した小山内さんが取ったのは、出窓がある居間の壁をぶち抜いて薪ストーブを置くための部屋を増築するという方法。その案に奥さんは賛成するはずもなかったが、小山内さんは水面下で計画を進め、なんと、奥さんが出かけている間に壁に穴をあけて後戻りできない状態にして、無理やり納得(諦め?)させた。スタートこそかなり思い切ったことをしたが、施工は勢いで進めることなく、安全性には十分配慮。薪ストーブを自力で設置した先人たちの知恵を借り、約1年かけて薪ストーブの設置スペースを完成させた。

ホームセンターやネット通販のセール品を活用したことで、材料費は約4万円まで抑えることができ、大満足の出来。「点火してから私が火を楽しめるのは最初の15分だけで、暖かいから格好の洗濯物干しのスペースになってしまうんです(笑)」と、製作前は渋っていた奥さんにとっても有効な空間になってなにより。いやぁ、めでたしめでたし!

 

薪ストーブ小屋外観。外壁は下見張り仕上げ。完成したのは昨年の春前なので、本格的に使用する時期になったら煙突を自宅の屋根上まで延ばすそうだ

 

ストーブの両側面には赤レンガを積んで蓄熱させている。炉内は正方形に近く、最大で約40cmの薪を入れられる

 

天板に鍋を置いて、焼きリンゴや煮込み料理などの薪ストーブクッキングも楽しんでいる

 

 

 

煙突の屋根出し

室内から伸びた木枠にはガルバリウム鋼板の屋根を取りつけた。すき間は防水テープとコーキング剤で埋めてある

 

内側にケイカル板を張った木枠を屋根に取りつけ、その中に煙突を通している

 

ミニ薪棚

壁に設置したミニ薪棚。屋外からも開けられるようにしたので薪の補充がしやすくなっている

 

内外から断熱した炉壁

炉壁内側はGLボンドで石膏ボード、壁タイルを張り、白モルタルで目地埋めして仕上げた

 

小屋の基礎も兼ねた炉壁。鉄筋を入れながらコンクリートブロックを積み上げ、外側はスタイロフォームで断熱した

 

自宅壁の開口

写真内点線が、もともと出窓つきの壁があった部分

 

出窓下の壁を完全に開口する前の様子。開口時に出た断熱材は壁のすき間に詰めて再利用した

 

1段下がった炉台

水洗いしやすくするために、タイル敷きの炉台はあえて自宅の床から下げた位置に設置している

 

ガラスブロックの壁

採光性をよくするために、ストーブ背面の壁はガラスブロックを積み上げて製作。強度を出すために目地にはワイヤーメッシュを入れてある

 

出窓の再利用

自宅壁の開口時にはずした出窓は、増築部の側面に設置した

写真◎冨田寿一郎、製作者提供