新色「ペンシルブラック」を追加した7色展開! ホワイトボディの「ボールサインiDプラス」限定モデル

サクラクレパスは、ノック式単色ゲルインキボールペン「ボールサインiDプラス」の数量限定モデルを、12月中旬より販売開始します。税込価格は385円。

 

ボールサインiDプラスは、「ボールサインiD」に「上質さ」「握りやすさ」「書きやすさ」をプラスしたシリーズで、文房具総選挙では「GetNavi賞」と「書く部門 第4位」を受賞しています。

 

ボールサインiDプラスでは、既存のボールサインiDの6色の黒インキから、人気色である「ピュアブラック(ブラック)」、「ナイトブラック(ブルーブラック)」、「フォレストブラック(グリーンブラック)」の3色展開でしたが、今回の限定モデルでは、ボールサインiDと同じ「モカブラック(ブラウンブラック)」、「カシスブラック(レッドブラック)」、「ミステリアスブラック(パープルブラック)」だけでなく、限定色「ペンシルブラック(グレーブラック)」を加えた、7色の黒インキでのラインナップを用意。黒よりも柔らかい色味で、下書きや自分の書いた文字をあまり目立たせたくないときにもおすすめです。

 

ボディの色もこれまでのiDシリーズにはないホワイトを採用しており、明るい印象のデザインに仕上がっています。

↑ボール径は0.5mmのみでの展開

重要ポイントを手軽に強調! オーバーラインとアンダーラインが同時にひける「Mixline」

サクラクレパスは、「Mixline(ミックスライン)」の販売を、11月下旬から開始します。

↑左から、蛍光イエロー×グリーン、コーラルレッド×レッド、ソフト蛍光ピンク×ローズ、ブルーグリーン×レッド、ブルー×オレンジ、グレー×オレンジ

 

同製品は、学生が勉強時に、教科書やノートの語句をオーバーラインで色分けしつつ、さらに重要な語句をアンダーラインと組み合わせて目立たせるという使用方法から着想を得て開発されたラインマーカー。

 

目に優しいソフトカラーのオーバーラインと、文字をしっかりと強調するアンダーラインを同時にひくことができます。

 

アンダーラインが同時にひける太字(筆記幅約4.0mm)と、文字書きにも使える細字(筆記幅約0.4mm)のツインタイプで、1本でマーキングと文字書きの2通りの使い方ができます。

 

インキは耐水性・耐光性のある水性顔料インキを採用しており、蛍光イエロー×グリーン、コーラルレッド×レッド、ソフト蛍光ピンク×ローズ、ブルーグリーン×レッド、ブルー×オレンジ、グレー×オレンジの全6種。3色セットのジューシーカラー(蛍光イエロー×グリーン、コーラルレッド×レッド、ブルー×オレンジ)と、ナチュラルカラー(ブルーグリーン×レッド、ソフト蛍光ピンク×ローズ、グレー×オレンジ)も用意しています。

 

税込価格は242円、3色セットは726円です。

ようやく実用に耐えうる金属鉛筆が登場! 話題の「メタシル」の使い道とは?

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第25回となる今回は?

 

第25話

サンスター文具
メタシル
900円(税抜)

黒鉛を含んだ特殊合金の芯と、アルミボディを組み合わせた八角形のメタルペンシル。黒鉛と合金の粒子が摩擦で紙に付着することで筆跡になる。削らずに16km書き続けられ、水や水性マーカーなどで筆跡がにじまないのも魅力。

 

使い道に悩むのも楽しい“難しいペン”

このペンは難しい。

 

筆記具にこんな感想を持ったのは初めてですが、手にしてから日毎に募る気持ちはそうとしか言えず。今日も漫然と筆先を滑らせながら、このペンの理想の居場所を考え続けています。

 

サンスター文具が今年6月に発売した新製品メタシル。いわゆる金属鉛筆と言われるもので、合金製の粒子を紙に擦り付けて書く筆記具。摩耗が少なく、とても長い距離を書けるのが特徴ですが、黒鉛を混ぜていないぶん発色が薄く、そのためこれまで実用に耐えうる製品はほぼありませんでした。

 

しかし今回のメタシルは、黒鉛の量を調整して鉛筆2H相当の濃さを実現(しかも消しゴムで消せる!)。見た目も込みで完全に実用品としての雰囲気を纏っており、その物珍しさも手伝ってか、ネットで発表されるやいなや注文が殺到。発売を2か月遅らせるほどの注目を集めました。

 

書いてみると、金属軸の固いペン先から紙の上にいつもの鉛筆の線が浮き上がってきます。いつまで経っても芯が太らず、なのにペン先が紙を擦る音は、紛れもなく鉛筆のそれ。脳がバグる。

 

とは言えやはり、薄いっちゃ薄い。罫線すら邪魔になる薄さで、これは小さな手帳やノートには不向きでしょう。逆に、無地の白紙ならほかにない無類の心地良さが楽しめます。これはスケッチ用、それともアイデア帳向け? なんていろいろ悩むのが楽しい、“難しいペン”なのです。

↑芯に含まれる黒鉛の量を調節。鉛筆2H相当の濃さの筆記を実現した

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第23話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第24話】ドイツ発の「ラミー サファリ」が漢字に特化! ペン先をチューニングした話題の限定モデルの書き味は?

https://getnavi.jp/stationery/775853/

90年代を風靡した「ハイブリッドミルキー」が筆ペン化…そこに注入された技術にぺんてるのプライドを見た!

あなたがアラフォー以上なら、1996年に発売されたぺんてるのゲルインクボールペン「ハイブリッドミルキー」を覚えているかもしれない。売り上げは年間1億本オーバー、店頭在庫が追いつかずメーカーがお詫び広告を出す、など数々の伝説を持ち、まさに20世紀末のレジェンド文房具と言っても過言ではないだろう。

↑20世紀末の超大ヒットボールペン「ハイブリッドミルキー」(写真は2019年の復刻版)

 

ペン型修正液の技術をもとに作られた特殊なパステルカラーインクは、黒い紙や写真印画紙に書き込みしてもくっきり発色するのが特徴。ほぼ同時代に登場した「プリント倶楽部」(プリクラ)やポラロイドカメラ「チェキ」などとの相性が良く、“コギャル”の必須アイテムとも呼ばれていたほどで、実際、筆者の体感として、当時の女子中高生の認知度は100%に近かったように思う。

 

残念ながら現在は廃番(2019年に数量限定で復刻したが、そちらも今やほぼ入手不可能)となっているが、あのミルキーなパステルカラーインクを楽しみたいのであれば、オススメの製品がある。なんと「ハイブリッドミルキー」の筆ペンバージョンが、新たに発売されたのだ。

 

伝説のミルキーインクで筆塗りできる「カラーブラッシュ」登場

実は昨今、画材として「筆ペン」が注目されているのをご存知だろうか? 多くのアーティストがカラーインクの筆ペン=カラーブラッシュを作品作りに使うなど、世界的に人気が高まっているのだ。

 

そんなカラーブラッシュブームの中、再びぺんてるから投入されたのが、あのミルキーインクと同様の不透明パステルインクを搭載した筆ペン「ミルキーブラッシュ」である。

ぺんてる
ミルキーブラッシュ
各500円(税別)

 

↑カラーは全8色。黒地の上からでも全色がくっきり見えるのは、さすが「ハイブリッドミルキー」の直系だ

 

試しに書いてみると、間違いなく“ハイブリッドミルキーのあのインクっぽさ”を感じられるはずだ。黒い画用紙などの上に書いても下地をしっかり隠ぺいして、くっきりとミルキーな発色が楽しめるようになっている。

 

さらに、コシの強い筆先からグイグイと塗り広げていく楽しさもあって、かなり遊べそうな印象だ。

↑筆ならではの書き味とミルキーインクの組み合わせは、思った以上にインパクトがあって楽しめる

 

ただ、かつて実際に「ハイブリッドミルキー」を使っていたなら、塗ってみて「ちょっと色が薄い?」と感じるかも知れない。

 

というのも当然で、「ミルキーブラッシュ」用のインクは、当時の発色よりもかなりあっさりめにチューニングされているのだ。筆ペンはボールペンよりもインクの流量が大きいため、ミルキーインクをそのまま使うと濃すぎて大変なことになる。そのため、筆ペンで面塗りしやすい濃度、派手になりすぎない色味、最適な隠ぺい力といった最適化を施してあるというわけだ。

↑「ミルキーブラッシュ」と「ハイブリッドミルキー」の比較。同じピンクでも色の濃さはだいぶ異なる

 

とはいっても、くっきりした強い発色が醍醐味ではあるので、筆塗りする前にはまず軸をしっかりシャカシャカと振っておきたい。インクの攪拌を入念に行うことで顔料を均質化し、ムラのない発色が発揮されるのだ。あとは、軸後端のノックボタンを何度か押して、しっかりインクを押し出すこと。特に黒など濃い色の紙に書く場合は、筆先にインクが溜まるぐらいノックした方が、隠ぺい力を発揮しやすい。

 

とにかくインクをリッチにドバッと使うのが、「ミルキーブラッシュ」を堪能するコツと言えそうだ。

↑書く際は何度かノックして、筆先にインクが溜まるぐらいまで押し出した方が楽しい

 

↑軸のドット柄は透明で、タンク内のインクが透けて見えている。インク残量や顔料の沈殿具合も分かりやすい

 

筆ペンとしての書き心地は、さすがぺんてるといったところ。コシのある筆先は、細書きから大胆な広塗りまで自由に使い分けられる。ミルキーインクも粘りすぎず程よく塗り広げられるので、画材としても充分に実用的だ。

 

紙工作の彩色や、メッセージカード作りを派手に目立つよう仕上げたいのであれば、強くオススメできる。

↑筆のなめらかでコシのある書き味は「さすがぺんてる!」という印象だ

 

ぺんてるといえば、修正液と筆ペンに関して高い技術を持つメーカー。つまり、修正液を元にしたミルキーインクと筆ペンの組み合わせは、まさに「作って当然」レベルの話なのである。

 

それでも、筆ペン用にインクを最適化するなど、完成までには5年の歳月がかかったという。「レジェンドボールペン直系の子孫」にぎゅっと詰まったぺんてるの技術を、ぜひ体験してみてほしい。

 

ニードルチップの書き味も超優秀! 最強のSDGsボールペン「ペノン」が背負うメッセージとは?

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

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第23話

ペノン
PENON フラッグペン S ウクライナ
1400円(税込)

フラッグペンはロングとショートの2タイプあり、パッケージを組み立てると専用のペン立てが完成する。6月には「フラッグペン L アニマル」シリーズにシマエナガ・キツネ・クマの新柄が登場。8月より名入れサービスも開始予定だ。

 

アクチュアルなメッセージ性を持つボールペンに平和を祈念

クラウドファンディングで話題となったゲルインクボールペン「ペノン」は、2021年9月から一般販売が始まりました。

 

ノックパーツに小さな刺繍の旗が付いた「フラッグ」シリーズや、ネクタイやメガネをモチーフにしたモデルなど、どれもまず雑貨としてかわいい。それでいてニードルチップの書き味も優秀で実用性も十分(某国内メーカーの協力を受けているそう)。さらに本体には森林認証された木材を用い、パッケージも脱プラ仕様。また、替え芯のリサイクルシステムを独自に構築するなど、SDGs的な配慮とその実践が素晴らしく、まさにいまの時代に相応しい優等生的なプロダクトと言えるでしょう。

 

加えて今回、どうしても皆さんに知ってほしいことがあります。それは、全34か国ある「国旗」シリーズを買うと、売上の一部が国連の難民支援機関に寄付される仕組みになっていること。この試みは2021年暮れに始めたものだそうですが、最近になってウクライナ国旗の注文が増えたため、公式サイトでも目立つ位置に置くようにしたそうです。

 

私も長年文房具について書いてきましたが、このようなアクチュアルなメッセージ性を背負ったボールペンってちょっと記憶にありません。「Tシャツはメディアである」なんて言い方がありますが、ボールペンもまた然り。実はこの原稿もウクライナ国旗のペノンで書きました。しばらく使い続けようと思います。平和を祈って。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第21話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第22話】緩急自在! ペンの気軽さで万年筆の情感を込められるぺんてる「プラマン」で、美文字の窮屈さから逃避せよ https://getnavi.jp/stationery/752272/

消しクズを磁石で集める鉄粉入りの消しゴム「マ磁ケシ」

ここでは、上半期に売れたモノ・話題になったコトを「日用品」カテゴリから総ざらいしていこう。圧倒的な低価格を実現した「ワークマン キャンプギア」や、不動の人気を誇るAOKIの「アクティブワーク」の新作など、注目アイテムが目白押し。今回は「マ磁ケシ」を紹介。

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

マ磁ケシ

消しクズを磁石で集める鉄粉入りの消しゴム

【消しゴム/2021年10月発売】

クツワ

HiLiNE マ磁ケシ

550円

鉄粉を練り込み、消しクズを磁石で集められるようにした消しゴム。本体のケース底に内蔵したネオジム磁石で引き寄せる。ちょっとした遊び感覚で楽しめ、勉強もはかどりそう。本体のカラーは8色展開。

 

↑キャップを外すと磁力がオンになり消しクズを回収。キャップをはめると磁力がオフになり、キャップ内に消しクズをためられる

 

↑従来同様に高い消字性能。2B鉛筆の濃い筆跡もキレイに消せる。筆箱に入れても消しゴムが折れないよう、キャップが付いているのもポイント

 

【ヒットの裏付け】機能性で親子2世代に支持され7万個を販売

机まわりや床を汚さない革新的なギミックが親世代にも歓迎され、販売数は7万個を記録。文房具総選挙2022「キッズの学習がはかどる文房具部門」では4位に入賞した。

低重心で安定して書けるスタビライザー機構を搭載したボールペン「ユニボールワンF」

ここでは、上半期に売れたモノ・話題になったコトを「日用品」カテゴリから総ざらいしていこう。圧倒的な低価格を実現した「ワークマン キャンプギア」や、不動の人気を誇るAOKIの「アクティブワーク」の新作など、注目アイテムが目白押し。今回は「ユニボールワンF」を紹介。

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ユニボールワンF

低重心で安定した書き心地を楽しめる

【ボールペン/2021年9月発売】

三菱鉛筆

ユニボールワン F

330円

低重心で安定して書ける「スタビライザー機構」を搭載。軽い力でもスラスラ書けて手が疲れにくい。ゲルインクの「ユニボール ワン」を装備し、高コントラストでくっきりと文字が見える。速乾性が高く、滲みにくいのも魅力。

 

↑リフィルを保持する先軸に寸法精度を高めた金属製のペン先「スタビライザー機構」を採用。デザインのシャープさも際立たせる

 

↑日常生活で目にする身近な色を表現した軸色。原色ではなく、くすんであせたような「フェイデッドカラー」で、7色の軸を揃える

 

【ヒットの裏付け】発売から半月で年間売上目標の7割を達成

ボールペンとしてはやや高めの価格設定にもかかわらず、発売から半月で年間売上目標の7割を達成。“映え”るカラー展開でSNSでも話題となり、年間目標の約2倍以上を売り上げている。

細軸とモダンなデザインが美しい、“大人の”筆記具! サクラクレパス「SAKURA craft_lab 007」11月上旬発売

サクラクレパスは11月上旬、回転式単色ゲルインキボールペン「SAKURA craft_lab 007」を発売します。税別価格は4000円。

 

「SAKURA craft_lab」は、大人に「かく」喜びを届ける筆記具開発ラボとして、大人の感性を刺激する筆記具を生み出すために誕生。これまで、「001」が「文房具屋さん大賞」2018で大賞を受賞、「002」が2018年度グッドデザイン賞、「004」が2020年の文房具屋さん大賞でデザイン賞に選ばれています。

 

今回発売される007は、001のDNAを継承しつつ、細軸のモダンなデザインと、情緒感のあるやわらかな軸色が特徴。流線型の真鍮製グリップは、細やかなクロスローレット加工が施されています。

 

細めのアルミ軸は、化学梨地によるやわらかな色合いで、モダン建築のような段差付きの頭冠には、さりげなくサクラマークを印刷。

 

カラーバリエーションは「#44 ストーミーグレー」「#46 セージグリーン」「#133 ディジョンイエロー」「#43 ミッドナイトブルー」「#223 プラムワイン」の5色で、インキ色は、漆黒、ブラック、ブルーブラック、ブラウンブラック、ボルドーブラック、グリーンブラックの6色。

緩急自在! ペンの気軽さで万年筆の情感を込められるぺんてる「プラマン」で、美文字の窮屈さから逃避せよ

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第22回となる今回は?

 

第22話

ぺんてる
プラマン
200円(税別)

「細い棒状のプラスチック」と、それを覆う「やじり型のプラスチック」が合わさった、唯一無二のペン先の水性ペン。ペン先の角度によって筆跡が細くも太くもなり、ペンと同じ気軽さで万年筆のような情感のある線が書ける。

 

↑プラスチック2層構造のペン先。書くときの角度を変えれば筆跡に緩急を付けられる

 

たまには“正しい文字のかたち”から逃げるのもイイ

ペンの良し悪しを評価するときに、「このペンは上手い字が書ける」と褒めるときがあります。しかし一体、この「上手い字が書ける」とは具体的にどういうことなのでしょうか?

 

例えば、普段からトメ・ハネ・ハライを意識している人は、それらが表現できるペンを「美しい字が書ける」と思うでしょう。クセ字の人なら、均一の線が描けるペンを「整った字が書ける」と気に入るかもしれません。つまり人にはそれぞれの“上手い字像”があり、逆に言えば自分の「上手く書けなさ」とどう折り合いをつけるのか、その至らなさを少しでも補うために、この世には様々なペンが存在していると言ってもいいでしょう。どうやら「上手く書けるペン」とは個人的なもののようなのです。

 

そしてこの「上手く書けなさ」の要因を大別すると、「“正しい文字のかたち”は知っているが、それを上手く再現できない人」と、「そもそも“正しい文字のかたち”が自分の中に入っていない人」とに分かれるでしょうか。

 

しかし、ここには逃げ道もあります。例えばぺんてるの水性ペン「プラマン」は、ペンの角度を寝かせたり立てたりすることで、自在に線に緩急を付けられます。インク吐出量も多く、まるでデフォルメされた万年筆のような大味な線は、「正しいかたち」から逃げるのにうってつけ。いつものペンに窮屈さを感じたとき、ぜひ手に取ってみてください。意外な風通しの良さを感じることができます。

 

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【第1話~第20話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第21話】何にでも書ける無敵の油性ペン!「ガテン無敵マーカーPRO」はインパクト抜群のハードな1本

https://getnavi.jp/stationery/740277/

フィルム付箋タイプマーカーが進化!「はがせるマーカー」は真っ直ぐ線を引くのが苦手な人を本当に救えるのか?

世の中には、意外と多くの“ラインマーカー下手クソ勢”が存在する。実のところ、筆者もその同志だ。どれほど下手かというと、線がまっすぐ引けず蛇行する、線幅が一定にならない、引き終わりが想定位置から常にズレる、使う度にインクが指につく……など、よくもそんなに失敗できるな? と我ながら驚くほどである。

↑ラインマーカーを使う度に「我ながら下手だなー……」としみじみ思う

 

しかし、線が不安定なのも指にインクがつくのも、基本的にはラインマーカーが抱えている構造的な欠陥と考えられないだろうか。(我ら下手クソ勢が極端に不器用とか、そういうのはひとまず置いておくとして。)

 

線幅が常に一定して曲がらず、引き終わり位置が分かりやすく、しかも手につくようなインクを使わない。そんなラインマーカーさえあれば、もうマーキングするのに困ることはないはずだ。

 

例えば、2020年に発売されたカンミ堂「フセンマーカー」は、その理想にかなり近づいた製品だと思う。インクではなく半透明のフィルム付箋テープを文字の上に貼ってマーキングするので、曲がらず線幅も変わらず、インクが手につくこともない。

↑付箋テープのラインマーカーとして話題になった「フセンマーカー」(カンミ堂)

 

ただ、細かな使い勝手の点で、やや不満を感じることもあったのだ。そこで試してみたいのが、同社から今年発売された新しい付箋タイプのマーカーである。

 

何が進化した? フィルム付箋テープのラインマーカー「はがせるマーカー」

2022年に発売されたカンミ堂「はがせるマーカー」は、「フセンマーカー」の不満点を解消するべく開発された、いわばフィルム付箋タイプマーカーのVer.2.0にあたるもの。実際に使ってみると、なるほど、確かにブラッシュアップが施されているのは感じられた。

カンミ堂
はがせるマーカー全9色
各360円(税別)

 

まず一目瞭然なのは、コンパクト化

まず、ひと目で分かるのがサイズの違い。「はがせるマーカー」はつまめば手にすっぽり隠れてしまうほどにコンパクトだ。

↑「フセンマーカー」(左)とのサイズ比較。テープリフィルは共通なので、それ以外の部分を大きく削り込んだ印象だ

 

ラインマーカーは何色かを使い分けることが多いツールだが、これならペンケースに複数色をストックしていても、以前ほどかさばりを感じることはないだろう。

 

使い心地は? 紙を傷つけることなくプツッとカット

↑まずはケースの半身をカチッというまで回転させる

 

使用する際には、まず本体ケースをぐるりと後ろに120度ほど回転させる。最後まで回すと、カチッとクリックを感じるところでカバーが固定されて、携帯モードからライン引きモードへ変形完了だ。

 

あとはマーキングを始めたい場所にテープ端を指で押さえつけ、本体底面を紙に当てたまま水平に動かしてラインを引いていく。

↑テープ端を左手でしっかり押さえながらラインを引く。本体底面が紙から離れないように引くのがコツ

 

マーキングしたい文末までラインが引けたら、テープカットだ。テープ出口付近を人差し指でふさぐようにして押さえたら、本体を軽く前転するように傾けてちょっと引く。すると、プツッと軽い手応えで内部の刃がテープを切ってくれる。

↑ハイライト部がテープカッター。ここを軸にして前へ傾けて……

 

↑軽く引くとカット完了。本体が透明になったことで、切る位置が見やすくなったのもありがたい

 

以前の「フセンマーカー」は、刃が下に降りてテープを切る構造だったため、うっかりすると刃で紙をガリッと削ってしまうことがあった。対して「はがせるマーカー」は、刃が紙に触れない位置で固定されているので、紙削りトラブルが発生しない。このカット方法の改良は、端的に「使いやすくなったな!」と感じる部分だ。

↑ふせんテープなので、貼ったラインを剥がすことができるのも便利

 

ラインマーカーらしいカラーが増えてバリエーション充実

テープ色に関しては、これまでの「ピンク」「グリーン」「グレー」「暗記用ブルー」「ストライプ柄」「スクエア柄」から、「イエロー」「オレンジ」「ライトピンク」「ライトブルー」「パープル」が追加。よりラインマーカーっぽい色が増えたことで、色を分けてのマーキングがやりやすくなった。

 

ちなみに、テープ自体は「フセンマーカー」と共通だが、ボディが全クリアになったことで、装備しているテープ色の視認性もアップしている。

↑2つ入りの替えリフィル(9色)は各270円

 

完全にマーカーの置き換えアイテムとなれるのか?

また、本体価格が従来から100円以上安くなっているのも、大きな改良ポイントと言えそうだ。もちろん通常のインク式ラインマーカーが1本100円強で購入できることを考えれば、コスト的に優れているとは言い難いが……それでも「試しに2~3色使ってみるか」と考えやすくなったのは間違いないだろう。

 

しかし、総じて不満のないパーフェクトなマーカーになったか? と問われると……正直なところ、まだ使い勝手で微妙なところは残っていると感じた。なにより、ラインを引くのに必ず両手での作業が必要になるため、軽快さに欠けるのは間違いない。やはり修正テープのように片手で引けるようにならないと、根本的な解決にはならなそうだ。

↑多少のクセはあるが、それでもノートや資料の仕上がりがグッと美しくなるので、使う価値はあるだろう

 

とはいえ、現状ではこれが「もっとも線がまっすぐ美しく引けるマーカー」であることには、間違いないだろう。万が一に失敗しても、剥がして引き直せるし。少なくとも、ラインマーカー下手くそ勢の自覚がある人なら、導入する価値はあると思う。

 

エモーショナルな“夏色”揃えました。「uni-ball one F」夏のリラックスカラー5色、数量限定発売

三菱鉛筆は、「uni-ball one(ユニボール ワン)」シリーズの、軸色や書き味の上質感を高めた「uni-ball one F(ユニボール ワン エフ)」から、夏の景色を連想させる5種のリラックスカラーを、7月19日に数量限定で発売します。

↑左から笹笛、白砂、箒星、夕月夜、蜃気楼

 

今回新発売する軸色は、くすみ色をベースとした夏のフェイデッドカラー。近年の癒やしや安らぎに対する意識の高まりから、時の経過を感じさせる落ち着いた色合いで、何気ない夏の情景を軸デザインで表現。軸の色みだけでなく、それぞれの軸色名も、使う人の情緒的な感性に訴えかけるような、夏の空気感のある自然の風景から採用しています。

 

軸色ラインナップは、初夏の美しい海岸に広がる白い砂浜を表現した「白砂」、流れ星が一瞬で空に消えていく余韻を表現した「箒星」、川のせせらぎが聞こえる中、涼しい風になびいている笹の葉を表現した「笹笛」、夏の夕暮れに現れる蜃気楼を表現した「蜃気楼」、月が浮かぶ夏の夕空を表現した「夕月夜」。

 

税込価格は330円で、いずれもインク色は黒。ボール径は、白砂、箒星、笹笛が0.38mm、蜃気楼、夕月夜が0.5mmです。

インク不要、鉛筆削り不要で16km筆記! 話題の「メタシル」は従来のメタルポイントペンと何が違うのか?

「メタルポイントペン」という筆記具をご存知だろうか? 知っていたら、文房具マニアとしてはなかなかのモノである。

 

これは鉛やスズ、銀などを芯にした金属製のペンのことで、だいたい16世紀頃まで使われていたもの。銀製のものは特に“シルバーポイントペン”と呼ばれていたり、“金属尖筆”“メタルチップ”なんて呼び名もあるが、まぁだいたい同じものと思ってもらっていい。

 

↑インクも何もなしの金属芯で筆記できるのが、メタルポイントペン

 

ちなみに黒鉛が発見されたのが1564年。そこから現代の鉛筆に近いものが作られるまでは、世界的に広く使われていたわけだ。

 

例えばルネサンス期の芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、レンブラントなんかもメタルポイントペンによるデッサンを数多く残している。というか、ダ・ヴィンチの没年が1519年なので、そもそも彼は鉛筆の存在を知らないままに亡くなっているのだが。

 

実はこの超レガシーなメタルポイントペンがちょっと進化して、令和の世に復活したのだ。それを紹介したいと思ったので、こういう文房具蘊蓄(うんちく)から切り込んでみた次第である。

 

5世紀ぶりに進化した最新メタルポイントペン

鉛や銀を紙にこすりつけただけで、どうして字が書けるのか? というと、紙に金属の微粒子が残って筆跡になる、というシンプルな話。さらにそれが酸化することで濃く残るわけだ。

 

なのだが、もちろん黒鉛の方がくっきりと濃く、さらに滑りも良くてなめらかで書きやすい。そりゃ鉛筆の登場によって、あっさり姿を消してしまうのもやむなしだろう。

サンスター文具
メタルペンシル metacil(メタシル)
900円(税別)

 

↑軸色は全6色。筆記色はすべて同じ(黒)なので、見た目の好みで選びたい

 

しかし、この6月にサンスター文具から発売された「メタシル」は、まさに現代版メタルポイントペンとして作られたもの。もちろん八角形の軸から芯まで完全フルメタルだ。先端の金属芯は「削ることなく約16kmもの長さを筆記できる」というのが謳い文句となっている。

 

↑鉛筆と同じ感覚で、芯先を紙に擦りつけて書くことができる

 

で、実際に書いてみるとこんな感じ。メーカー公称として「2Hの鉛筆に近い」とされているが、なるほど確かにそんな感じだろうか。体感としては2Hより若干薄いかなー、ぐらい。

 

さすがに薄いとは思うが、とはいえ読めないほどではないので、筆記具として使えないとは思わない。なによりも、従来のメタルポイントペンと比較すると、あきらかに筆跡がくっきり。実はこれが“メタルポイントとして進化している”という部分なのだ。

 

↑上からメタシル・メタルポイントペン・鉛筆H・2H・3Hで筆記。濃さ的には2Hから3Hの中間くらいだろうか

 

先にも述べた通り、メタルポイントペンの芯は鉛やスズなどの合金。対して「メタシル」の芯は、特殊合金に黒鉛を配合したものとなっている。書くと、金属と黒鉛の粒子が紙に残るわけで、従来よりくっきり黒い筆跡になるのも当たり前。

 

書き味は、ややガリッとした引っかかりがあるものの、金属オンリーの従来メタルポイントペンよりはなめらかに書けるように感じた。これはやはり黒鉛(固体潤滑剤としても使われるほどすべりやすい)を配合しているからだろう。

 

↑メタルポイントペンは芯先が丸いわりに引っかかりがあり、直線を書くにもややガタガタしがち。芯に黒鉛を配合したメタシルのほうがなめらかだ

 

また、黒鉛配合による効果としてもうひとつ、消しゴムで筆跡が消せる、というのもある。メタルポイントペンの筆跡は、一度紙に定着すると非常に消しにくいものだが、「メタシル」は普通の鉛筆に近く、こすって消せるようになっている。

 

また、上から塗装してもにじみにくい、というのも鉛筆と同じなので、水彩画の下書き用としても違和感なく使えそうだ。

 

↑鉛筆とメタシルは、消しゴムで筆跡を消すことが可能

 

↑芯はネジで軸にはめ込まれている。摩耗した芯が交換できるのか? と思ったが、現状では替え芯の別売りはないようだ

 

とはいえ、ここまで鉛筆に近い性能ならば「むしろ鉛筆でいいじゃん」という意見があるのも理解できる。というか、ごもっとも。いやらしい話、コスパも圧倒的に鉛筆(1本で50km書ける)の方が上だ。

 

ただ、“ルネサンス期の画家も使っていたメタルポイントペンを今の技術で作るとこうなる”というような話としては充分に面白いし、そこにロマンを感じることもあるだろう。実用品として捉えるよりは、「文房具好きが興味本位で使ってみると楽しい筆記具」ぐらいの評価がしっくりきそうな印象である。

 

 

16km削らずに筆記可能な鉛筆! 芯まで金属なのに“書いたり消したり”できる「metacil」

サンスター文具は、芯まで金属の鉛筆、メタルペンシル「metacil(メタシル)」を発売しました。税込価格は990円。

 

メタルペンシル(金属鉛筆)は、芯が黒鉛を含んだ特殊合金で作られており、筆記時に黒鉛と合金の粒子が摩擦によって紙に付着することで筆跡となります。濃さは約2H鉛筆相当。

 

合金素材でできていますが、通常の鉛筆のように一般的な消しゴムで消すことができます。水や水性マーカーなどで滲まないので、水彩画やイラストの下書きにも最適です。

 

本体カラーはブラック、ホワイト、ネイビー、ベージュ、レッド、ブルーの全6色。マットな質感と、14gという絶妙な重さで、高級感を出しています。軸の形状も八角軸で、通常の鉛筆とは一味違った仕様になっています。

 

芯の摩耗が著しく少なく、削らなくても長い時間書き続けることが可能。筆記に集中しやすく、速書きにも最適です。なるべく同じ面だけで書かず、芯の先端を均等に使うことで、芯の尖りをキープできます。

何にでも書ける無敵の油性ペン!「ガテン無敵マーカーPRO」はインパクト抜群のハードな1本

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第21回となる今回は?

 

第21話

寺西化学工業
ガテン無敵マーカーPRO
おの型/230円(税別)、極太/430円(税別)

日本初の油性マーキングペンを生み出した老舗が作る、超タフな油性ペン。水に強いインクと耐摩耗性に優れた強化型ペン先を採用し、屋外や水回りで活躍する。インクは黒と赤の2色。

 

極太ゆえの大味な筆記感はペンタブにも近しい

個包装されたパッケージには、大きな文字で「無敵」の文字。その下にはなぜかカタカナで「向カウトコロ敵ナシ。」とある。筆記具の惹句(じゃっく)としては度を超えたイキり具合ですが、いわゆる油性マーカーであるところの「ガテン無敵マーカーPRO」(すごい名前だ)は、確かにこうしたハードな打ち出しが似合うペンなのです。

 

なにせ特徴は、コンクリート・金属・木材・ガラス・プラスチック、濡れた紙やダンボール等、何にでも書けてしまう「強化型ペン先」。特に「極太」芯のインパクトがスゴい。ぎょっとするほど真四角でエッジが立っており、まるでレゴブロックのパーツというか「とらや」の小型羊羹(本気の詫びのときに持っていくやつ)というか……最初に見たときは意味がわからなくて爆笑してしまいました。

 

自宅にあったボール紙に書いてみると、油性マーカーらしいツンとくる溶剤の匂いと共に、艶やかで幅広の線がくっきりと引けます。ただしその筆記感は硬質ゴムを撫でつけているような、独特の“大味”さ。一般的な筆記では、紙の質感やペン先のボールの回転といったミクロな情報を受け取っているのに対し、このペンではもっとマクロで大きな桁の値を相手にしている感じ。指先の感触と書かれた線にギャップがある、という意味ではペンタブあたりの筆記感と近いかも。

 

そしてこのペン最大の驚きは、昨年のGetNavi・GetNavi web主催の「文房具総選挙2021」で大賞を受賞していること。マジかよ! ぜひお試しを。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第19話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第20話】「どうせいいんでしょ?」を超えてきた! 極細ボールペン「ジュースアップ」3色タイプが欠点ナシの超進化形だった

https://getnavi.jp/stationery/725701/

注目商品が続々! 2022年最新ボールペンのトレンドとおすすめモデル

近年、日本のボールペンはめざましく進化しています。サラサラした書き心地を実現するだけでなく、手帳にぴったりの細字を究めたりストレスなく書けるよう軸を改良したりと、さまざまな工夫がなされています。なんとなくそのへんにあったノベルティのボールペンを使っている……そんな人にも、低価格ながら高い品質をもつボールペンの存在を知ってほしい!

 

そこで今回は、最新の国産ボールペンの傾向とともに、注目の新商品を紹介。さらに自分に合ったボールペンの選び方についても解説します。文房具ライターとして、筆記具をはじめとする文房具のトレンドをウォッチし続けているきだてたくさんに教えていただきました。

 

知っておきたい、ボールペンの種類

まずは、ボールペンの基礎知識からおさえておきましょう。私たちがふだん目にするボールペンは、インクの種類で大きく3つに分類できます。

 

【ボールペンに使われるインク3種】

・油性インク……「ジェットストリーム」(三菱鉛筆)など
・ゲルインク……サラサ(ゼブラ)、「フリクション」(パイロット)など
・水性インク…… Vコーン(パイロット)など。 

 

「近年、もっともシェアが大きいのはゲルインクです。かつては耐水性がありにじみにくい油性インクが人気を博していましたが、粘度が高くベタついた書き味や、ペン先に固まったインクが紙を汚すなどの問題点がありました。

 

一方、水性インクはサラサラした書き心地が軽く、発色もクッキリしているというメリットはあるのですが、乾燥に弱いためノック式(ペン先の繰り出し形式)には向きません。そもそも日本ではノック式がメジャーなため、彗星インクのシェアもそれほど大きくないんです。

 

ゲルインクは発色が良いことに加えてにじみにも強く、書き味は油性よりもサラッと軽やか。つまり、油性と水性のメリットを併せ持つ、扱いやすいインクだと言えます」(きだてたく さん、以下同)

 

国産ボールペンはなぜすごい? 海外との違い

これほどまでにボールペンの種類が多い国は、他に類を見ないと言います。どういった背景があるのでしょうか?

 

「国産ボールペンの中でも、2006年に発売された『ジェットストリーム』シリーズ(三菱鉛筆)は、もっともメジャーな製品だと言えるでしょう。油性インク特有のべっとりと紙に付く質感を改善した『低粘度油性インク』を初めて採用し、これまでにない滑るような書き心地が話題となりました。現在では年間約1億本も出荷されており、日本のボールペン市場における不動の地位を築いています。

このジェットストリームの出現を境に、国産ボールペン競争は激化。それぞれの筆記具メーカーがジェットストリームをベンチマークに、より書きやすく、より使いやすいボールペンの開発・製造を始めました。

今もインクはもちろん、持ちやすさや書き味など、さまざまな方向性で進化を続けています。ほんのわずかなにじみやペン先の引っ掛かりに目をつけ、改良を重ねていくというメーカーの姿勢には、まさに日本のモノづくりに対するこだわりや文化が表れていると言えるのではないでしょうか。

一方海外では、新しい製品はあまり開発されていません。ほとんどの国で『ビック・オレンジ』(BIC)が一人勝ちの状態なんです。でも日本のボールペンの品質の良さは、海外製品と比較するまでもありません。ジェットストリームをはじめ、日本のボールペンは海外にも出荷されており、高い評価を受けています」

 

海外の店頭ではフランス・BIC社のボールペンを見かけることが多いのが現状。

 

最新ボールペンの傾向は?

ボールペンの改良は細部にまで及び、次々と新商品が発売されています。

 

「これまで、ボールペンの書きやすさを左右する要素はインクだと思われていたんです。各メーカーも、インクの品質を上げることに努力を重ねていました。ところが、2020年頃から、インクではなく本体そのものを改良することで、書き味を高めようというムーブメントが起こり始めます。

その火付け役となったのは、2018年に発売されたゼブラの「bLen(ブレン)」です。文字を書く時の、ペン先のわずかな振動を極限まで減らし、その名の通り安定したブレにくい感覚を実現しています。2021年は、そのムーブメントが開花した年でした。主な特徴として、2つのキーワードが挙げられます。

 

・細字

「2020年の細字ブームが継続。細い字が書けて、かつ書き味を高めていくというフェーズに入っています。一概に、ペン先が細いだけで細かい字が書きやすくなる、とは言えません。いかに手元がよく見え、引っ掛かりが少ないかという総合的な部分に目を向けた改良が進んでいます」

 

・低重心

「本体の高い位置に重みがあると、ペンを傾けた方に全体のバランスがもっていかれるような状態になり、手の疲れや書きづらさの原因となります。そこで本体の重心を下げることで、安定感を出すというものです」

 

2021年度に発売された注目の最新ボールペン5選

2021年度に発売された、いま注目の新作国産ボールペンを5モデル紹介していただきます。

 

・針状のチップで筆記ポイントの見通しがいい

トンボ鉛筆「モノグラフライト」
198円(税込)
ペン先の太さ=0.3mm/0.5mm

「2021年上半期に出た製品。注目すべき点はペン先の部分です。一般的なものよりも長い、5.2mmのロングニードルチップを採用しており、ペン先と紙に距離が生まれる仕様です。手元が見えやすく、細かい字が書きやすい。さらに、インク自体は従来の低粘度油性でありながらも、出る量を最適化。“ボテ”と呼ばれるインク汚れができにくいのもポイントです」

 

・クッキリ発色のペンが持ちやすく進化

三菱鉛筆「ユニボール ワンF」
330円(税込)

ペン先の太さ=0.38mm/0.5mm

「2020年に発売された『ユニボール ワン』の進化形です。濃くくっきりとした発色が特徴の黒インクはそのままに、ボディの中心あたりからペン先に向かって真鍮製の重りが入っている“低重心タイプ”になりました。最適なポイントで握ると、まるで手に吸い付くような錯覚を覚えるほどの安定感です。価格は倍以上に上がったものの、使ってみると、納得の仕上がりです」

 

・“いろいろな黒色”をちょっとリッチに楽しめる

サクラクレパス「ボールサイン iD プラス」
385円(税込)
ペン先の太さ=0.4mm/0.5mm

「2020年に発売された『ボールサイン iD』の進化形。インクの色は全3種類で、なんとその3色すべてが“黒”という特殊なシリーズです。緑がかった黒、青っぽい黒など、少しずつ色味が異なっており人気です。本体軸はマット素材の塗装を施しており、滑りにくく、握りやすい仕様になっています。こちらも価格は300円代です」

 

・サラサラした書き味が0.3mmの極細芯でも健在

ゼブラ 「サラサナノ」
220円(税込)
ペン先の太さ=0.3mm

「0.3mmというと、ガリガリとした特有の感覚をイメージする人も多いのではないでしょうか。サラサナノには、本体上部に振動を吸収するサスペンション(うるふわクッション)が入っています。これにより、リフィルは従来と同じであるにもかかわらず、書き味が格段になめらかになりました。付箋のようなざらざらした紙にも引っ掛かりがなく、細い字が書きやすいというメリットがあります。カラーは32色をラインナップ」

 

・気になる“カチカチ音”を抑えた静音ボールペン

ぺんてる「カルム 単色ボールぺン」
165円(税込)

ペン先の太さ=0.5mm/0.7mm

「集中したい時や、オフィスや図書館など静かな場所で作業をする時、ボールペンのカチカチというノック音が気になるという人も多いのではないでしょうか? カルムは特殊な構造により、従来品と比較してノック音を66%も軽減しています(※)。音量自体も小さいのですが、音が低く不快感を軽減し、響きにくくなっている印象です。3色ボールペン、多機能ペンも展開しています」

※同社比、音圧パスカルでの比較

 

自分に合ったボールペンの選び方

数々のボールペンから自分に合ったものを選ぶ際、どのようなポイントに注目すればいいのでしょうか?

 

「書き心地や書き味は、数値化するのが難しいものです。ペンの持ち方や用途、文字の書き方は人それぞれ。正直、誰にでもこの製品がおすすめ! とは言えません。まずは店頭に行って、実際にペンを持ってみて、重さや持ち心地を確認し、試し書きをしてみましょう

試し書きの際、ぐるぐると渦巻きを書いている方も多いかもしれませんが、実はこの方法では十分にボールペンの特徴を掴むことができません。海外ではよく、稀にインクが出ない不良品が混じっていることがあるため、このような試し書きをするようになったと考えられます。国産品で“インクが出ない”ということは滅多にありません。

試し書きのコツは、自分が一番頻繁に使う文字を書いてみることです。個人情報が特定されないところまでの住所などが良いのではないでしょうか。自分用の基準となる文字を決めておくと、しっくりくるボールペンを見つけやすいと思います。自分の手帳などに住所や名前を書いてみるのも良いですね。

また、あえてアドバイスするならば、あまり自分の字に自信がない人に低粘度油性インクはおすすめしません。これは自分の経験側から言えることなのですが、悪筆の自覚がある人は走り書きをしてしまう傾向にあるため、滑りが良すぎるとかえって読みにくい字になってしまいます。そういった人には是非、細めのゲルインクボールペンを使ってみていただきたいですね」

 

「ボールペンは用途によって細やかに進化を続けており、今後も目が離せません。個人的に気になっているのは、2006年の発売以来、いまだ大きなアップデートがない『ジェットストリーム』が、今後どうなっていくのか。期待は高まります」

文房具は毎日使う仕事道具。だからこそ、少しでも使い勝手がよくなると仕事の効率も上がるもの。自分にぴったりの文房具を探してみてください。

 

【プロフィール】

文房具ライター / きだてたく

最新の機能派文房具から雑貨・ファンシー系のオモシロ文房具まで、なんでも徹底的に使い込んでレビューする文房具ライター。文房具トークユニット「ブング・ジャム」のメンバーとして、全国各地で文房具の楽しさを伝える講演活動なども精力的に行っている。『愛しき駄文具』(飛鳥新社)、『日本懐かし文具大全』(辰巳出版)、『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(共著/スモール出版)など著書多数。

きだてたくの文房具レビュー連載(GetNavi web)


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

“手書きのおしゃれな飾り文字”が書ける! ハンドレタリングに最適な、スタビロ「ペン68 ブラッシュ」

マークスは、ドイツのサステナブルな筆記具ブランド「STABILO(スタビロ)」より、筆ペンタイプのプレミアムフェルトペン「ペン68 ブラッシュ」を、オンラインストア限定で販売中です。

 

スタビロは、サステナビリティへの決意を示した「STABILO Together(スタビロとともに)」を企業スローガンに掲げ、地球環境に配慮した製品やパッケージづくりなどへの積極的な取り組みを行う、ドイツ発の筆記具メーカー。1971年に発売した蛍光ペン「ボス オリジナル」は、“スタビロ ボス”の愛称で親しまれ、世界中で愛用されています。

 

今回マークスより発売されたペン68 ブラッシュは、スタビロの水性ペン「ペン68」の、ハンドレタリングに最適な筆ペンタイプ。筆圧を調整することで線幅を簡単に変えられるため、筆文字の風合いを手軽に再現することが可能です。ハンドレタリングのほかにも、カラーリング、ハイライト、下線、シェーディングなどにも使用でき、クリエイティブな水彩画風タッチの文字を描くことや、色を混ぜ合わせればグラデーションのようなブレンディングも楽しめます。24時間キャップを外したままで使用可能。

 

パープル、ペルシャンブルー、ライトフレッシュティント、ウルトラマリン、ライトグリーン、グリーン、ダークブルー、ブラウン、リーフグリーン、イエロー、カーマイン、ダークレッド、ターコイズブルー、オレンジ、バイオレット、ライラック、ダークオーカー、ミディアムコールドグレー、ブラックの、全19色のカラー展開です。

 

製品ラインナップは、イエロー、ブラック、カーマイン、ターコイズブルー、ライラック、ミディアムコールドグレーの「6色セット」と、さらにライトフレッシュティント、ダークブルー、リーフグリーン、バイオレットを追加した「10色セット」、全色各1本ずつとブラック2本が入った「19色20本セット」、ブラックのほかパープル、ダークブルー、ターコイズブルー、ライラック、ミディアムコールドグレーも2本ずつ入っている「19色25本セット」の4種類。

 

税別価格は6色セットが1200円、10色セットが2000円、19色20本セットが4000円、19色25本セットが5000円です。

【文房具総選挙2022】結果発表! 筆記具の頂点はジェットストリームの最新多色ペンが奪取

仕事や勉強など、作業がはかどる機能をもつ「はかどり文房具」の頂点を、ファンの厳正なる投票で決定する文房具総選挙。記念すべき10回目となる「文房具総選挙2022」は、2021年度に登場した新作文房具から、仕事や勉強がはかどる機能をもつ文房具100商品が選出されました。

 

さっそく各部門の結果を発表していきましょう。ここでは機能別部門「書く」部門の結果をお伝えします。

【機能別部門】「書く」部門の部門賞と上位商品は?

軸やペン先といった“外側”をアップデートさせた、定番ブランドの上位モデルが健闘。1位のペンは、見ただけで何が画期的かがわかりやすいというのも強みでした。

 

■第1位

多色ペンなのに、ノールックで黒インキを出せる

三菱鉛筆
ジェットストリーム 新3色ボールペン
550円

使用頻度の高い黒インクのノック棒を、軸のサイドではなく後端に設置することで、直感的な操作が可能に。黒インクには、通常品よりもインクを約70%増量した「長持ちリフィル」を採用。軸割れしにくい設計で、長く使える。

 

↑黒インクのみに後端ノックを採用。樹脂クリップに金属パーツを埋め込むことで耐久性を高めている

 

【コレではかどる!】
書きたいときにすぐ書き出せる
手元を見なくても黒インクを出すことができ、書き出すまでのスピードが格段にアップ。後端ノックと赤・青のスライドノックの機構が連携しているため、どのノック棒を押しても色を解除できる。

 

■第2位

安定した書き味で、記憶に残る文字が書ける

三菱鉛筆
ユニボール ワン F
330円

「スタビライザー機構」により、低重心で安定した書き味を叶えたゲルインクボールペン。軸に日常で目にする身近な色を採用し、「葉雫」や「霜柱」など、情緒を感じる名前を付けている。

【コレではかどる!】
くっきりかけて記憶に定着しやすい
軽い力でも安定してスラスラ書け、手が疲れにくい。一般的なゲルインクよりも黒はより濃く、カラーはより鮮やかに発色する「ユニボール ワンインク」を搭載。書いた内容が記憶に残りやすい。

 

■第3位

新機構を搭載し、滑らかな書き味と細書きを両立

ゼブラ
サラサナノ
220円

ジェルボールペン「サラサ」の極細タイプ。極細ながらも、サラサラと滑らかな書き味を楽しめる。ボール径は0.3mm。カラバリが豊富な「サラサ」シリーズらしく、インクは32色展開だ。

【コレではかどる!】
スプリングで引っ掛かりを抑制
ペンの上部にスプリングを加えた「うるふわクッション」が、ペン先の紙への引っ掛かりを抑え、インクフローを安定させている。金属製の先端は、書いている面が見やすい形状で、低重心も叶えている。

 

■第4位

3種類の黒インクと上質なデザインで個性を表現

サクラクレパス
ボールサイン iD
プラス
385円

3色の黒インクから自分好みの黒を選び、個性を表現できるボールペン。削り出しの金属ペン先が、低重心で安定した書き心地を生んでいる。光沢感のあるシルバークリップが上質感も演出。

 

■第5位

静音に着目した、ボールペン界のニュータイプ

ぺんてる
カルム 単色ボールペン/3色ボールペン/多機能ボールペン
165円(単色)/440円(3色)/550円(多機能)

ペン先を出し入れするときのノック音を従来品に比べて66%低減し、ノックをするときに手に感じる衝撃も和らげている。従来品の油性ボールペンに多い、“ボテ”が出にくいインクを搭載。

 

※価格はすべて消費税込み。


「文房具総選挙」特集ページ

アウトドア×都会的なデザイン! 「ユニ アルファゲル スイッチ」と替芯「uni」、数量限定モデル発売

三菱鉛筆は、使用シーンに合わせて“クルトガモード”と“ホールドモード”を切り替えられるシャープ「ユニ アルファゲル スイッチ」と、書いた後のノートをキレイに保つ新開発のシャープ替芯「uni(ユニ)」から、ブラックとトレンドカラーを取り入れた数量限定モデルを、5月18日に発売します。

 

今回発売となるユニ アルファゲル スイッチは、ブラックを基調にトレンドのグリーンとサンドカラーを組み合わせ、アウトドアの雰囲気がありながらシティー感覚もあるデザイン。ダークグリーンは芯径0.5mm、サンドベージュは芯径0.3mmです。税別価格は1000円。

↑クルトガモード

 

クリップ部を回して、「クルトガモード」と「ホールドモード」を切り替えることで、使用シーンによって使い分けが可能。クルトガモードでは、書くたびに芯が少しずつ回転し、芯の先がいつもトガった状態に。書いた文字が太くなることがなく、キレイに書くことができます。軸に開いた窓から、内部に搭載されたクルトガエンジンの色が変わることによって、芯が回転していることを確認できます。ホールドモードでは文字の太さの違いや濃淡を気にせず、ノート全面に早くたくさん書きたいときに、安定した筆記感で書くことができます。

↑ホールドモード(ロゴがクリップで隠れる)

 

グリップ部に、衝撃吸収アルファゲルを使うことにより、筆記中も指の疲れを軽減します。グリップのかたさは「かため」を採用。握り始めはアルファゲル特有のやわらかさがあり、筆記中はゲルの反発力が強く、かたさを感じるゲルグリップで、握った際の安定感が味わえます。

↑筆記実験中(20分間)の脳活動を測定した結果(平均値)

 

シャープ替芯「uni」のスライドケースは、オフホワイトを基調としたシンプルな外観から、同時発売のシャープと揃えて使えるカラーリングに。ブラックをベースカラーに採用した、初の限定色です。芯径は0.5mmと0.3mmを用意。税別価格は200円です。

 

独自成分配合により、芯粉が紙面に高密着し、くっきり濃い文字を書くことができます。こすれに強く、紙面同士の擦過や手の接触による紙面の汚れを抑制します。芯粉の広がりを抑制するので、蛍光ペンなどのマーカーを引いても文字がにじみにくく、マーカーのペン先に付着する芯粉による汚れも軽減します。

↑従来品とuniの比較

 

ケースはあえて中身を見せない不透明でマットな質感を採用。中央には円形のくぼみがあり、視覚的なアクセントとなっているほか、スライドしてケースを開閉するときの指掛かりにもなります。シンプルなスライド操作で開閉でき、スムーズに芯を取り出せます。0.3mm芯は、従来品と比べて10本増となる25本入り。

「どうせいいんでしょ?」を超えてきた! 極細ボールペン「ジュースアップ」3色タイプが欠点ナシの超進化形だった

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第20回となる今回は?

 

第20話

パイロット
ジュースアップ3
500円(税別)

滑らかに細書きできるゲルインキボールペン「ジュースアップ」の3色タイプ。先端部分に金属を使用した低重心設計とラバーグリップで、しっかり握れて安定した筆記を実現している。手帳のペン挿しにも収まりやすい、細身ボディだ。

 

5年の歳月を経て現役最強モデルは完成形に至った

現役最強の極細ゲルインクボールペン、パイロットの「ジュースアップ」。とにかくペン先のシナジーチップが優秀で、激細らしい「引っかき感」(こう書くと悪いように聞こえますが、激細ペンにはむしろ必要なものだと思っています)を残しつつ、インクフローは潤沢で滑らか。そんな唯一無二の書き味に加え、スクエアでミニマルな飽きの来ないデザイン。これは今後末永く愛されるペンになるだろうと、2016年の発売当時から予想していたものです。

 

ゆえに、2021年暮れに多色タイプが発売されたときには、「そりゃどうせいいんでしょ?」とタカをくくってスルーしておりました。迂闊でした。実は最近、立ち寄った文具店でたまたま試し書きをして、衝撃を受けたのです。「これ、ジュースアップの完成形じゃん!」と。

 

まず唸ったのは軸の仕様。特に3色モデルは単色モデルとほぼ変わらぬ太さで、重さも単色モデル11.6gに対して3色モデルは12.2gとその違いはわずか。さらに単色モデルでは押し込んだときにカチャカチャと揺れていたノックパーツが、こちらではしっかり固定され、筆記感が引き締まってより快適になりました。つまりジュースアップの魅力はそのままに、欠点を補い、しかも多色へと進化したのです。発売から5年経ち、ようやく発売となったその歳月の重みにちゃんと気付いておくべきでした。

 

繰り返します。これが現役最強のジュースアップの、進化形にして完成形なのです。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第18話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第19話】シャーペン界に“Dr.”が登場して30年! パイロット「ドクターグリップ」から初代モデルベースの30色が限定販売

https://getnavi.jp/stationery/712165/

supreme×マジックインキ、単なるコラボと思いきや「遊び心アリアリ」な一品でした

supremeの22春夏 week9で登場したアイテムが、文房具ファンとしては見逃せないモノだった。油性マジックペンの定番中の定番「マジックインキ」とのコラボだったのだ。

↑上がsupreme版。商品名はSupreme/Magic Ink Markers (Set of 8)

こうしたコラボでありがちな、単にロゴを入れた「うわべコラボ」かと思いきや、通常商品と比べるとディテールがちょいちょい違う! supremeらしい、遊び心とこだわりが散りばめられていた。

 

この記事では、通常のマジックインキと比べながら、世にも珍しいコラボアイテムを紹介していこう。

 

【違う①】色が半分近く違う

ベースとなった商品はマジックインキ 大型の8色セット。黒や赤といった色をはじめ、ベーシックな色が取り揃うアイテムだ。

↑上がsupreme版。下がマジックインキの通常商品

並べてみると、supreme版は青と緑が明るい色になり、オレンジが桃色に変更。全体的に明るい配色になっている。変更されたカラーは本コラボのために作られたものではなく、マジックインキの「12色セット」のものを使用。

 

内箱の色の順番を並び替えることで、華やかでカラフルになっているうえ、ロゴの主張がsupremeらしく、マジックインキとは思えない雰囲気になっている。ちなみに、箱を開けるとこの向きで入っているので、supreme体験は抜群だ。

 

【違う②】パッケージも少し変わっている

マジックインキを象徴する外箱パッケージにもコラボの痕跡が。まず、右側に書かれたペンを持つイラストがsupreme仕様に。

 

続いて、通常はマジックインキの欧文ロゴが入る、中央下部もsupremeロゴ仕様に。「p」の間を「?」が通り抜ける細かいデザインも注目だ。ちなみに、ペンのシールデザインもそのようになっている。

 

↑外箱はあとは大体同じ

 

個別のペンが入った内箱のパッケージも少し異なる。通常はマジックインキのロゴが入る面にsupremeのロゴを印刷。さきほどの述べたsupremeらしさの演出につながっている。

 

【違う③】やっぱり価格は違う

違う点の最後に価格にも触れておきたい。マジックインキはメーカー価格が1408円(税込)。Amazonで探してみると896円になっている。

 

一方、supreme版は4950円(税込)で、supremeプライス。とはいえ、最初に価格を見た時に思ったのは意外に安い。7000〜8000円ぐらいはすると思ったので、即買いしまった次第だ。

 

書き味はマジックインキそのものでした。

中身はマジックインキそのものでスイスイ書けて実用的。本商品はコレクションとして飾ってもいいのだが、マジックインキは補充インキも用意されているので、ガシガシ使ってもいい。

 

なお、マジックインキには最近、キャップホルダーというアクセサリーも追加されたので、それと組み合わせて使っても面白いはずだ。

 

GetNavi web編集長・山田佑樹の「愛用品紹介」はInstagramで展開中。週2-3回程度アップしています。

ボールペンでメモをとって消しゴムで消せるウェアラブルメモ「wemo」にようやく登場した専用ペンは書く消す両用の万能ぶりだった!

「wemo(ウェモ)」というメモツールをご存知だろうか? コスモテックから2017年に発売された「wemo バンドタイプ」は、手首に巻き付けて装着するシリコン製のメモで、油性ボールペンで書き込むことができるというもの。さらに、消しゴムでこすって筆跡を消せるので、何度でも再利用可能。シンプルだが、とても実用性の高いツールなのだ。

↑うっかり忘れそうなタスクを書き留めておくのにも最適な「wemo バンドタイプ」

 

実際、簡易に使えるウェアラブルなメモということで、看護師をはじめとした医療従事者や主婦など、「メモは取りたいけれど、手がふさがっている」ことが多い職種の人たちには、かなり多くのファンがいるとのこと。筆者も骨折で入院していた際、担当してくれた看護師さんが着用していたのを確認している。

 

この「wemo バンドタイプ」専用のボールペンが2022年4月に発売されたのだが、これがかなりユニークかつ機能的な1本なのだ。当然ながらwemoとの相性は抜群なので、組み合わせて使うと間違いなく便利になりそう。これは試してみなければ!

 

「wemo」からバンドタイプに装着できる専用ペン登場

その専用ペンというのが、コスモテック「wemoペン」である。見た目からはボールペンの機能を読み取るのが難しいほど特殊な形状をしているが、それは「wemo バンドタイプ」とセットで使う前提で設計されているからなのだ。

コスモテック
wemoペン
350円(税別)

 

↑今から始めるなら、バンドタイプとのセットもお得だ。写真は抗菌仕様バンドとのセットで1600円(税別)

 

サイズは、Bluetoothの片耳用イヤホンマイクぐらい、という表現で通じるだろうか。要するに、指先でヒョイとつまめる程度の太さ・長さの角柱である。

 

裏面にあたる側にはクリップが付いており、これを腕に巻いた「wemo バンドタイプ」に挿し込むと、ピタッとハマるように装着できる仕組みになっている。

 

↑バンドタイプを腕に軽く叩きつけるようにするとクルッと巻きつく

 

↑装着したときの違和感はまったくない。さすがは専用ペンだ

 

そしてペンとして使用する際は、「wemo バンドタイプ」から引き抜いてクリップをノックノブのようにスライドさせると、クリック感と共に内蔵していたリフィルの先端が露出。これで書けるようになるのだ。

 

コツさえつかめば、ペンをバンドから引き抜く動作とクリップノックを連動させることもできるため、抜いてから書くまでが非常にスムーズに行える。

↑ノックノブはバンドに装着するためのクリップと兼用になっている

 

また、書き終わったペンは再びバンドに戻せば、自動でクリップが押し戻されてリフィルが収納される。

↑ペン先は、本体をバンドに装着すると自動的に収納される。シンプルだけどよくできたギミックだ

 

動きを動画で見てみよう。

 

これなら、うっかりペン先が出っぱなしで服をインクで汚してしまう、なんてトラブルは起きえないだろう。

 

ウェアラブルなガジェットは人体と衣服にダメージを与えない、というのがまず大前提なので、そこはキチンとクリアしてきたな、という感じ。

 

設計上の最優先機能がバンドに装着する際の動作なので、ペンとしての書きやすさは、まぁお察し……と思いきや、意外と指の置き場所もしっくりきて、握り心地はさほど悪くない。快適な筆記感とまでは言わないが、それなりにちゃんと書けるやん? という印象だ。

 

握りからペン先までが近すぎるため、机上のノートに書き込むなどの用途には向かないが、自分の手首(に巻いたバンド)に書くなら、むしろこれくらいがジャストなポジションと言えそう。

 

↑握ってみると、思ったよりも落ち着きの良いグリップになる

 

↑当然ながら小さな字をチマチマ書くための筆記具ではない。まさにバンドにザッと走り書きする専用という印象だ

 

wemoに油性ボールペンで書き込んだ筆跡は、消しゴムでこすれば消せる。とはいっても常に手元に消しゴムがあるとは限らないので、困ったら「wemoペン」の後端でこすってみよう。書いてさほど時間が経っていないなら、これで消すことも可能だ。

 

ただしペン軸自体にインクが付着して汚れてしまうので、あくまでも緊急時に使える裏ワザ、程度に憶えておくといいだろう。

↑これで本当に消えるの? と半信半疑だったが、きちんと消えた。とはいえ、消しゴムで消した方が確実、かつ汚れも付着しないので、安心だ

 

↑リフィルはクリップごと軸から引き抜くことで交換可能。リフィルは5本380円(税別)で発売されている

 

そもそも、メモをポケットやカバンから取り出す手間が省けるというのが、ウェアラブルなメモのメリットの一つ。であれば、相棒の筆記具もウェアラブルに済ませたいと考えるのが当然だろう。

 

だから正直なところ、「装着できる専用ペン、やっと発売されたのかよ!」と言いたいところだが……ここまで相性バッチリのものを出してくれたなら、文句もない。少なくとも今後は、必ずセットで使うべきメモとペンだと思うのだ。

 

 

筆者・きだてたくによる商品レビューのバックナンバーはこちら

「NANGA×ラミー サファリ」の限定品が、半永久的に触りたくなる快感な出来栄えだったのでレポ

刺激的なブランドコラボを連発しまくっているNANGA(ナンガ)から、ここ最近では一番ぶっ飛んだ商品が発売された。万年筆の定番「LAMY Safari(ラミー サファリ)」とコラボした万年筆+寝袋だ。実際に購入してみたので、インプレッションしていこう。

 

万年筆+寝袋ってどういうこと?

今回の商品「NANGA LAMY MINI SLEEPING BAG+SAFARI SET」はラミーのサファリと、ナンガのスリーピングバッグがセットになったアイテム。スリーピングバッグといっても実際の大きさの寝袋ではなくミニチュア版だ。

↑万年筆もスヤァ

ペンケースサイズの寝袋には、両ブランドのロゴが入っておりコラボ感がギンギンに出ていて、それだけで気分がアガる。ベースとなっているのは、スマホやサングラスを収納できるMINI SLEEPING BAG PHONE CASEのようだが、細部は割と違う。カラーラインナップも異なり、写真のオレンジのほかに6色を用意。同色系統のサファリが付属する形になる(一部除く)。

 

細部に神は宿る系でした。

ベースモデルあり&ミニチュア版といっても、ディテールにかける情熱とこだわりが尋常ではなかった!

 

まず、その触り心地。半永久的に触っていられるほど気持ちいい。ひと昔前でいうハンドスピナー的なやめられなさ具合で、ムニムニしているだけで、手が、指が喜ぶ。たくさん筆記してサファリを酷使したとしても、この中の収納されるなら許してくれるはず。

 

次に構造。内部にはペンを引っ掛けられるベルトが仕込まれていて、ペンを固定できるようになっている。背面にはカラビナも付いているので、バッグに取り付けて持ち物のワンポイントアイテムとして見せることも可能。

ただし、寝袋の首元にあるストラップは口が完全に閉まる形状ではないため、収納したペンの飛び出しには注意。文房具を収納するバッグインバッグなどに入れて持ち運ぶほうが安全だ。

 

万年筆にもナンガのロゴがどデカく刻印されていて特別感のあるデザイン。マット調の落ち着いた色が印象的だ。

 

屋外で筆記したくなる気持ちを抑えきれない

↑黒のバッグとの相性◎

万年筆は基本、室内の文房具。書斎やオフィスで、机の上で集中しながら「書く」を行う。でも、ナンガのエッセンスが加わると、その制限が解除される。屋外で自然の風と光を暖かさを感じながら筆記したくなる。

 

何か新しい発想や体験に出合える気持ちにしてくれるきっかけを本製品は提供してくれるだろう。

 

価格は7700円(税込)で、ラミー ニュウマン横浜店、ラミー日本公式オンラインストア、NANGAオンラインショップ、ロフトネットストア、ロフト池袋店・渋谷店・梅田店・札幌店・吉祥寺店・横浜店・仙台店・千葉店・天神店・京都店・銀座店にて数量限定で発売。

 

【SPEC】

●リフィール:カートリッジ LT10・コンバーター LZ28

●万年筆本体:ABS樹脂、ペン先はスチール(両用式)

●ミニスリーピングバッグ

生地:10×10D RIPSTOP NYLON

中綿:ダックダウン90-10%

:万年筆のペン先はグレーxピンクセットのみEF、それ以外はF

 

GetNavi web編集長・山田佑樹の「愛用品紹介」はInstagramで展開中。週2-3回程度アップしています。

日本の美しい情景を色のモチーフにした万年筆インキがカートリッジタイプになって登場! パイロット「色彩雫カートリッジインキ」

パイロットコーポレーションは、日本の美しい情景をモチーフにした万年筆インキ「色彩雫(いろしずく)」の新製品として、カートリッジタイプの「色彩雫カートリッジインキ」を5月16日に発売します。税込価格は990円。

 

「色彩雫」は、2007年に販売を開始した、日本の美しい情景が色のモチーフになっている万年筆専用インキ。より手軽に同製品を使いたいという利用者の要望を受け、携帯に便利でインキの補充が手軽にできるカートリッジタイプが、新たに発売となります。

 

24色のラインナップの中から、「朝顔」「紺碧」「天色」「月夜」「孔雀」「深緑」「竹炭」「冬将軍」「深海」「紫式部」「山葡萄」「紅葉」の12色を展開。紙製のパッケージはボトルインキの色彩雫の世界観を踏襲した、シンプルで上質なデザインが特徴。カートリッジ本体にも色名が印刷されており、インキ色をひと目で識別することができます。

シャーペン界に“Dr.”が登場して30年! パイロット「ドクターグリップ」から初代モデルベースの30色が限定販売

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第19回となる今回は?

 

第19話

パイロット
ドクターグリップ 30カラーズ
500円〜(税別)

“疲れにくい筆記具”として登場した人気シャープペンの30周年記念モデル。初代モデルをベースに、発売当初の復刻カラーや1999年前後に流行したスケルトンカラー、新色のネオンカラーなど30色を揃える。振ると芯が出る「フレフレ機構」を搭載。

●2021年10月より数量限定販売中のため、すでに在庫切れの店舗もあります 

 

駆け出し時代から変わらず信頼を置く相棒

1991年に発売された、パイロットのボールペン&シャープペンシリーズ「ドクターグリップ」。2021年には発売30周年を記念した歴代カラーモデルが発売され、そのなかには懐かしい初代モデルもラインナップされていました。当時画期的だった「人間工学に基づいた軸径」──その効果もさることながら、そもそもこうしたうんちくを筆記具に持ち込んだこと自体が画期的だった──を強調するためだったという、医療用品をイメージしたカラーリング。当時もいまも、なんぞ? という印象そのまま、しかしいまとなっては時代を超えた貫禄さえ感じさせます。

 

個人的にドクターグリップと言えば、初代シャープペンが発売された当時(92年!)から愛用していた思い入れの深い一本。学生生活の終わりからライターの駆け出し時代、つまり最も不安で最も期待に満ちた時期、常に身近にいてくれた頼もしい仕事仲間でありました。握り込んで飴色に光るグリップから、「文房具へ愛着を持つこと」の歓びを学んだと言っても過言ではありません。

 

今回、10数年ぶりに初代モデルを使ってみたのですが、あまりの現役ぶりに驚き、そしてうれしくなりました。旧モデルならではの、硬いゴム製グリップの安定感たるや! これまで何度もお勧めのペンを尋ねられては、「量を書くならまずはドクターグリップを」と答えてきたのは間違いじゃなかった。これからもずっと、迷える若者の頼れる相棒であり続けてください。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第17話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第18話】珍奇な「回転繰り出し式の高級太軸マーカー」が予想外! ゼブラ「フィラーレ ディレクション」が常備したくなる使い勝手だった

https://getnavi.jp/stationery/703519/

 

書道家も太鼓判!「ボールサイン iD プラス」で文字も佇まいもワンランク上の美しさ

6色の黒インキを揃えるボールペン「ボールサイン iD」に、上位モデル「ボールサイン iD プラス」が登場。自身のYouTubeチャンネルで従来品を“オシャレできれいな字を書きたい人にオススメ”と紹介し、インキがなくなるほどに愛用する書道家・上平泰雅さんがお試し!

 

低重心になってさらに書きやすくなった「ボールサイン iD プラス

↑ボール径は0.4,mmと0.5mmを展開

 

文房具総選挙2022「書く」部門ノミネート中!

サクラクレパス
ボールサイン iD プラス

385円(税込)

ノック式単色ゲルインキボールペン「ボールサイン iD」のワンランク上のモデル。金属製のペン先とマットなラバー素材のボディを採用し、“握りやすさ”と“書きやすさ”、“上質さ”を叶えた。

↑フォレストブラックを使用


書道家
上平泰雅さん
展覧会活動に主軸を置きながら、「書を世界と未来へ」をテーマに子どもや大人、外国人に毛筆・硬筆指導も行う。

 

日常使い用のペンにこだわりたい方にもオススメ

「ボールサイン iD」は、文房具店で見かけたときにオシャレなデザインに惹かれて購入したペン。「ボールサイン iD プラス」は、それに磨きがかかった印象です。ボディやペン先が上質で、使っていて気分が上がりますね。

低重心になってより書きやすくなったとも感じます。個人差はありますが、低重心の方がペン先をコントロールしやすい人が多いので、ペン字初心者には低重心のペンを薦めています。ペン先が独特な形で筆記面が見やすい点も、美しい文字を書くうえで有利。ペンに添えた中指が痛くなりにくく、手が疲れにくいのもうれしいですね。加えて優秀なのが、かすれることも出過ぎることもなく、滑らかに書けるインキ。同社が世界で初めて水性ゲルインキを発売したメーカー(※)だと知り納得しました。

“自分の字が子どもっぽくて嫌い”という方には、ぜひ本品を試していただきたいです。手帳などビジネス小物にも合うシックな見た目で、自分自身もかっこよく演出できますし。価格が手ごろなので、日常使い用のペンにこだわりたい方にもオススメです。(上平さん)

※:サクラクレパスが1984年に発売した「ボールサイン」は、世界初の水性ゲルインキを搭載したボールペン

 

【POINT_01】インキ色は個性が光る3種類の黒から選べる!

ピュアブラック
フォーマルなシーンで活躍する定番ブラック

ナイトブラック
青みがかったブラックがスマートさを演出

フォレストブラック
文字に上品さをプラスする緑色を帯びたブラック

↑上平さん筆。「ボールサイン iD プラス」には0.5mmのピュアブラック、「文字」「佇まい」 には0.5mmのナイトブラック、「美しさ」には0.5mmのフォレストブラックを使用

【POINT_02】金属製のペン先で低重心を実現

ペン先の素材に削り出しの金属を採用し、低重心を実現した。段階的に細くなるフォルムは筆記面が見やすくなり、思い通りの線を書きやすい。

【POINT_03】独自のボディ形状で指に自然にフィット

軸は六角形と丸形を組み合わせた「新感覚iD設計」。両サイドの角に丸みがあるため、指あたりがやさしく自然なフィット感を得られる。

【POINT_04】上質な見た目と書きやすさを両立

マットなラバー素材の軸が、上質感と滑りにくさを両立。ツヤのあるペン先に合うよう、金属製クリップにはメッキ加工が施されている。

【文房具総選挙2022】ボールペンが群雄割拠状態! 付加価値がついた高品質な筆記具16点がノミネート

仕事や勉強、作業の効率をアップさせる高機能をもつ“はかどり文房具”の年間ナンバーワンを投票によって決定する、「文房具総選挙2022」がスタートしました。ここでは、【機能別部門】「書く」部門にノミネートされた筆記具16点を紹介していきます。

 

【ノミネート商品をまずは写真でチェック!】

 

<投票は4/24 23:59まで! 結果は5/24に発表>

 

【「書く」部門】

「サラサ」や「ジェットストリーム」、「ボールサイン」など、人気シリーズの新モデルが多数登場。ノミネート商品が最多の16点という、激戦部門でもあります。

 

No.01

ぺんてる
カルム 単色ボールペン/3色ボールペン/多機能ペン
165円(単色)、440円(3色)、550円(多機能)

ペン先を出し入れするときのノック音を従来製品に比べて66%低減。ノックをするときに手に感じる衝撃も和らげている。従来品の油性ボールペンに多い“ボテ”が出にくいインクを搭載。

 

No.02

ゼブラ
サラサナノ
220円

カラーボールペン「サラサ」の極細タイプ。ペン上部にスプリングを加えた「うるふわクッション」が、ペン先の紙への引っ掛かりを抑え、滑らかな書き味を叶えている。ボール径は0.3㎜。

 

No.03

三菱鉛筆
ジェットストリーム新3色ボールペン
550円

使用頻度の高い黒インクのノック部を軸のサイドではなく後端に設置し、直感的な操作を可能に。黒インクには、通常品に比べインクを70%増量した「長持ちリフィル」を使っている。

 

No.04

パイロット
ジュースアップ3/ジュースアップ4
550円(ジュースアップ3)、660円(ジュースアップ4)

滑らかに細書きできるゲルインクボールペン「ジュースアップ」の多色タイプ。先端部分に金属を使用した低重心設計とラバーグリップで、安定した筆記を実現している。ボール径は0.4㎜だ。

 

No.05

パイロット
瞬筆 二役 顔料インキ
385円

筆跡が1秒で乾く速乾筆ペンの顔料インクモデル。墨汁に近い黒色で、くっきりとした文字が書け、耐水性、耐光性にも優れる。「やわらかめ」と「かため」のペン先を備えたツインタイプだ。

 

No.06

ぺんてる
速乾ぺんてる筆
660円

発売45年を超えるロングセラー筆ペンに、速乾タイプが登場。従来品よりも5倍早く乾く顔料インクを搭載している。まとまりの良いナイロン製の穂先が、本物の筆のような書き味を実現。

 

No.07

パイロット
ドクターグリップ CL プレイバランス
770円

好みの重さと重心バランスにカスタマイズできるシャープペン。重量と素材の異なる2種類の「内グリップ」を組み替えて使う。「フレフレ機構」を搭載し、ペンを振るだけで芯を繰り出せる。

 

No.08

サンスター文具
2色線ペン twiink
198円

ひとつのペン先に、色の異なる2本のペン先チップを搭載した水性ペン。ペン軸を傾ければ単色で、紙に垂直に立てれば2色同時に線を引ける。二度書きやペンを2本持ち歩く手間が省ける。

 

No.09

ゼブラ
ビモア
1100円

筆ペンのようにペン先がしなる美文字練習に最適なボールペンと、練習帳のセット。筆運びのコツがわかるオンライン動画を見ながら練習する。プログラムは1日3分、7日で完了。

 

No.10

ゼブラ
フィラーレ ディレクション
2200円

キャップなしでも乾かない「モイストキープインク」を搭載した、高級感のあるツイスト式サインペン。伝えたいポイントを指し示したときに、指した箇所が目立つよう、先端が金色になっている。

 

No.11

サクラクレパス
ボールサイン iD プラス
385円

3色の黒インクから自分好みの黒を選び、個性を表現できるボールペン。削り出しの金属ペン先が、低重心で安定した書き心地を生んでいる。光沢感のあるシルバークリップが、上質感をプラス。

 

No.12

寺西化学工業
マジックインキ大型 キャップホルダー
440円

油性ペン「マジックインキ大型」のキャップの紛失や落下を防ぐホルダー。シリコン性で、キャップを開けるときに手が滑るのも防ぐ。目立って見つけやすい鮮やかなカラーを採用。

 

No.13

エポックケミカル
KOBARU MARU liner ツインズ
352円

ぷにぷにの感触の丸いペン先を採用した蛍光ペン。ペンの角度を気にせずにラインが引けて、力加減で線幅を変えられる。専用キャップで2本連結されており、持ち替える手間をカット。

 

No.14

セーラー万年筆
万年筆ペン先のつけペンhocoro
1485円(ペン先+ペン軸)、
2420円(ペン先2種+ペン軸1本)

万年筆のペン先を備えたつけペン。インクの種類や色を変えたいときに、洗浄やインクを入れ替える必要がなく、ペン先を軽く水で洗い流すだけ。ペン先を本体に逆向きに差し込んで持ち歩ける。

 

No.15

三菱鉛筆
ユニボール ワン F
330円

「スタビライザー機構」で、低重心で安定した書き味を叶えたゲルインクボールペン。軸に日常で目にする身近な色を採用し、「葉雫」や「霜柱」など情緒を感じる名前が付けられている。

 

No.16

パイロット
ライティブ
2200円

軽量ボディで持ち運びがしやすく、気軽に使えるカジュアルなデザインの万年筆。気密性の高い新仕様のインナーキャップがインクの乾きを防ぎ、スムーズな書き出しを実現している。

 

※価格はすべて税込で表示しています。

トレンドと機能で分類した8部門・100商品!

2013年に始まった「文房具総選挙」は今回で記念すべき10回目。ノミネートされた文房具のラインナップに、その年の世相が見える!? 2021年度のはかどり文房具をフィーチャーした「文房具総選挙2022」は最新の傾向を反映した「トレンド部門」3部門と、機能によって分類した5部門の、合計8部門。部門によってボリュームの差があるものの、およそ10数商品ずつが選出され、合計100もの商品がノミネートされました。

 

【トレンド部門】
在宅・ハイブリッドワークがはかどる文房具&環境整備アイテム 部門

在宅ワーク用ツールは、2021年度も引き続きホットなジャンル。今年は机上だけでなく、仕事環境を整備するインテリア寄りのアイテムまで選出しました。 15商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/716263/

 

【トレンド部門】
キッズの学習がはかどる文房具 部門

子ども向けの学習情報ポータルサイト「学研キッズネット」とコラボした本部門。新しい教育方針を反映し、PCやタブレットと併用できる文房具も登場し始めています。15商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717396/

 

【トレンド部門】
SDGs文房具 部門

文房具の分野でも、脱プラや森林保全、ペーパーレスなどに貢献できる、SDGsに配慮したアイテムが続々と登場。左利きでも使えるといった多様性にも配慮するなど、企業努力が光るアイテムたちに光を当てました。13商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717444/

 

【機能部門】
書く 部門

「サラサ」や「ジェットストリーム」、「ボールサイン」など、人気シリーズの新モデルが多数登場。ノミネート商品が最多の16点という、激戦部門でもあります。16商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717119/

 

【機能部門】
記録する 部門

最新のクリップボードや狭いデスクでも広げやすいノート、メモ帳を中心に選出。ルーズリーフの利便性を高めるアイテムにも注目です。11商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717178/

 

【機能部門】
収納する 部門

例年はペンケースのノミネートが目立つ部門ですが、今年はドキュメントファイルが豊富に揃いました。小物を一緒に持ち運べる書類ファイルにも注目です。12商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/717298/

 

【機能部門】
切る・貼る・綴じる 部門

開梱用カッターや瞬間接着剤など、ホームセンターに並ぶタフな文房具が多数登場。一方で、持ち運びやすいコンパクトな文房具も選出されています。10商品がノミネート。https://getnavi.jp/stationery/717325/

 

【機能部門】
印をつける・捺す 部門

ハンコ関連商品に名品が多数登場し、部門名を「分類する・印をつける」から「印をつける・捺す」に刷新。もちろん、付箋やタグにも良品が揃っています。
https://getnavi.jp/stationery/717346/

 

<投票は4/24 23:59まで! 結果は5/24に発表>

https://forms.gle/8fX4AHXHcWbvg7h66

【文具ソムリエール・菅未里の自腹買い文房具】マーキングに最適で指にも優しいダブルクリップが見た目に反して実用的!

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。文房具の新作からロングセラーまでを知り尽くした菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた愛用の文房具とは? 今回は、こちら。

 

見た目もやさしさも併せ持つダブルクリップ

今回は、会社勤めの方にはおなじみの“ダブルクリップ”の名品を紹介しましょう。ダブルクリップとは、紙の書類をまとめる際に使う文房具です。下の写真のような、指でおさえる細いワイヤー状の持ち手に、黒色の四角い留め具がついている物が一般的ですね。

↑基本的な構造は同じですが、サイズはさまざまあります

 

デジタル化の波に押され消えていく道具かと思いきや、紙の書類を整理する時などには、まだまだ使用頻度が高い文房具です。

 

この、オフィスで使う“お硬い”イメージが強いダブルクリップですが、実は可愛らしい見た目のものも販売されています。

↑大阪の文房具メーカー、ベロスが販売。ハート型、星形、ほかにドーナツ型の計3種類があります

 

ベロス
モチーフクリップ
ハートクリップ/スタークリップ/ドーナツクリップ
各120円(税別)

 

レトロなデザインの「モチーフクリップ」は可愛らしいだけではなく、実はダブルクリップを使う時によくある、“あの悩み”を解決してくれる便利なクリップなんです。

 

ダブルクリップのネック……痛くない!

↑ダブルクリップは、ときに指先が変色してしまうほど力が必要なことも

 

ダブルクリップを使う時、多くの方が経験している不便さに“固さ”が挙げられます。ダブルクリップは100枚以上の紙をまとめて留める時に使われることが多く、留め具を開くには指の力が必要です。

 

力を込めても十分に留め具が開かず、なんて固いんだ! と思った経験はあるでしょう。比較的力が弱い女性やご年配の方には特につらい作業です。私もダブルクリップで資料を留める作業はあまり得意ではありません。

↑指でつまむ部分がモチーフで食い込みません

 

一般的なダブルクリップは、留め具を開く際にワイヤー状の持ち手が指に食い込みます。留め具を開くには強い力が必要なので仕方ありません。

 

しかし、ベロスの「モチーフクリップ」は一般的なダブルクリップとは異なり、持ち手の部分がワイヤー状ではありません。星型やハート型、ドーナツ型になっていて、指に接する面積がワイヤー状のものよりも広いため持ち手が指に食い込まないのです。

 

可愛らしいモチーフに惹かれて購入し、後から使い勝手のよさに気付く方も少なくないようです。ダブルクリップの固さに悩んでいた方には嬉しい誤算ですね。

 

モチーフクリップは冷蔵庫でも活躍中!

↑チューブ状の調味料整理にも便利です

 

私はモチーフクリップを書類整理だけでなく、冷蔵庫の整理で使うこともおすすめしています。チューブ状の調味料を整理する際に便利なんです。

 

私は身長が153cmと成人女性の平均身長よりも低く、冷蔵庫の扉の内側についているポケットの奥が見えません。

↑冷蔵庫のポケットに入れると見つけづらいチューブ入りわさび。右側中央に入っているのがわかりますか?

 

チューブ状の調味料は細長く冷蔵庫のポケットの中で倒れやすいので、私の身長では姿が見えず行方不明になってしまうのです。ストックがないと思って買い足したのに、冷蔵庫の奥底から一つ、二つ、と賞味期限切れのチューブわさびが出てきた……という方もいるのではないでしょうか。無駄な買い物をしてしまったとがっくりしてしまいます。

 

手帳にぴったりなミニサイズも登場

↑「ハートクリップミニ」「スタークリップミニ」「ドーナツクリップミニ」(各120円・税別)

 

2021年には、モチーフクリップよりもやや小ぶりなミニサイズが発売されました。手帳や参考書などのページを開いた状態で留めておく際に便利です。それぞれモチーフのイメージにあったカラー展開で、これまでのレトロポップなカラーと一味違うカラーリングも素敵ですね。

↑手帳のページを挟む場合にもぴったりなミニサイズ

 

仕事場でも自宅でも、一つ120円という価格で日頃のストレスを軽減できるのはお得です。まずは一つ試してみてください。

 

 

連載「文具ソムリエール・菅 未里の自腹買い文房具」アーカイブ
https://getnavi.jp/author/misato-kan/

「回転繰り出し式の高級サインペン」はイロモノ!? ゼブラ「フィラーレ ディレクション」が常備したいほど使い勝手抜群!

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第18回となる今回は?

 

第18話

ゼブラ
フィラーレ ディレクション
2000円(税別)

ボディに金属素材を使用し、高級感のあるデザインに仕上げたサインペン。ボールペンよりも筆記線が太く、遠目からでも見やすい。軸をひねってペン先を出す回転繰り出し式で、キャップがなくても乾かない「モイストキープインク」を採用。インクは黒と赤の2色。

 

スピーディーに書き始められ、ペン先を出しっぱなしでも乾きにくい

正直、最初はあまり期待していませんでした。「回転繰り出し(ツイスト)式の高級太軸マーカー」という世界的にも珍しい仕様を持つゼブラの「フィラーレ ディレクション」。この手のヤツって実際使ってみると案外使いづらかったりするんだよな……と、そんな経験則が頭をもたげつつ、それでも一応興味本位でポチってみたわけです。

 

それから2週間。ラジオの現場で毎日使ってみましたが……これ、すごくいいかもしれないです。

 

まず、ペン先を繰り出すツイスト機構。軸が太く、しかも1/4回転でペン先を出せるので、ほとんどノック感覚で書き出せるのがいい。キャップ式のマーカーよりもスピーディ、しかも無音で書き始められるのは(この連載で何度も書いているとおり)音を気にするスタジオの中ではとても都合がいいのです。

 

さらに同じくゼブラのノック式水性カラーペン「クリッカート」で初採用された「モイストキープインク」を採用しているため、ペン先を出しっぱなしにしても乾燥することがない。バタバタと慌ただしい環境で使うときには本当に助かります。キャップのことを気にせずそこら辺に放り出しておけるのが、こんなに快適でストレスフリーだったとは! 意外な発見でした。

 

いまは赤色を主に使っていて、発色がもうちょっと鮮やかだったら……とは思うものの、それを補って余りある使い勝手の良さで、個人的にはレギュラーの一本になりそう。先入観ってよくないね。お詫びに替芯10本ポチりました!

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第16話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第17話】アナログレコードの音色のよう? ノック音が静かで心地良いボールペン「カルム」はウェブ会議に最適だった

https://getnavi.jp/stationery/693174/

インクもラメも潤沢フロー! パイロット「ジュースアップ」のカラーブラックは黒が濃い&ギラっと輝く

この連載でも、「いま、ボールペンのインク色はカラーブラックが人気ですよ」という話を何度かさせてもらっている。ここであらためて、カラーブラックとは何か……と説明しておくと、ざっくり言えば「黒のようで黒でない、でも黒に見えなくもないダークカラー」のこと。

 

ブルーブラックやグリーンブラック、レッドブラックといった暗色を、いかにも「普通の黒ボールペンですけど?」みたいな感じでシレッと日常筆記に使うのが、文房具好きの間で流行っているという次第。

 

カラーブラックばかり6色揃えたサクラクレパス「ボールサイン iD」から人気に火が付いた印象だが、それ以外にもゼブラ「サラサクリップ」のビンテージカラーや、ぺんてる「エナージェル ブラックカラーズコレクション」といった選択肢も揃っている。

 

だが、逆にここまで揃うと、どれを選べばいいのか迷ってしまうのも事実。ならばいっそ、「ギラッと光るカラーブラック」という新しい選択肢を試してみるというのはどうだろうか?

 

ダークでラメ入り!? グロッシーなカラーブラックペン

パイロットのゲルボールペン「ジュースアップ」に新たにラインアップされたのが、ラメ入りカラーブラックインクを搭載した「クラシックグロッシーカラー」シリーズだ。

 

正直、筆者も話を聞いたときは「カラーブラックにラメ? それ効果あんの?」とちょっと困惑したのだが、使ってみると想像したよりずっと美しくて、ハマッてしまったのである。

パイロット
ジュースアップ クラシックグロッシー
0.5/0.4mm
各220円(税込)

 

シリーズは全6色で、クラシックグロッシー・ブラック/レッド/ブルー/グリーン/バイオレット/ブラウンというラインナップ。クラシックグロッシー・レッドだけ少し明るいが、それ以外は他ブランドのカラーブラックと比較しても暗めの色合いで、ブラック感はかなり強い。そこに粒子の細かなラメがほどよく混ざって、光の加減や見る角度によってギラッと光る、という寸法だ。

↑遠目で見る分には単なるカラーブラックだが……

 

↑筆跡には細かなラメがきれいに散らばっている。これがほどよいツヤを生んで美しいのだ

 

実は、ボールペンとラメの組み合わせは、構造的にあまり相性がよろしくない。というのも、ペン先にはインクが通り抜けるのがやっとという細かな隙間しかないので、基本的にラメの粒子が詰まってしまいがちなのだ。

 

ところが「ジュースアップ」に採用されているシナジーチップは、インクをたっぷりと流すことができるため、0.5mm/0.4mm径という極細ボール径でも詰まらずにラメを通せる、という仕組みだ。

↑インクフロー抜群のシナジーチップからは、インクとラメがたっぷりと供給される

 

あらためてカラーブラックとラメの組み合わせだが、先にも述べた通り、これが非常に美しい。常にギラギラする感じではなく、暗い中にたまにキラリと輝くのが上品なのである。

 

個人的にはクラシックグロッシー・ブラックが、まるでガンメタリックのような雰囲気で、非常にシブい。これまでは、カラーブラックのシリーズであえてシンプルなブラックを選ぶ意味なんてないよなー、と思っていたのだが、クラシックグロッシーの中ではブラックが断然オススメだ。

↑ジュースアップのブラックインクと比較。ラメの有無だけでなく、そもそものインク色自体も輝きに合うようチューニングされているようだ

 

もちろん、他のカラーブラックもラメが入ることで深みが出るようチューニングされているわけで、もっとも定番で見飽きた感のあるブルーブラックですら、グッと斬新な雰囲気になるのだ。従来のラメペンといえば、どうしてもファンシーなお子さまアイテムという認識だったのが、これは間違いなく大人向け。むしろ、ある程度の年齢を過ぎた人が使っている方が、ハイセンスに見えるラメペンなんじゃないだろうか。

 

 

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やっと汚文字を克服できる!? 専用ボールペンとメモ帳のセットで筆圧コントロールを学べる「ビモア」で美文字への第一歩!

当連載でも過去に何度か告白しているし、ボールペン記事の作例写真なんかでもご覧の通り、筆者は本当に字が汚い。これは、文房具を使いこなして紹介する仕事の上では、ある意味致命的ともいえる欠点だろう。書いたものを自分で見ても「小学生みたいな字だな」という印象で、なんともお恥ずかしい限りである。

 

さすがに「使うだけで字がきれいになる魔法の筆記具」なんて存在しない!という結論にはたどり着いている。であれば、やはりなんらかの修練は必要かもしれない。

 

そこで今回は、特殊なボールペンと専用メモを使って「1日3分×7日間で手軽に学び、自分らしい美しい文字が身に付く」(※個人差はあります)という美文字練習キットを試してみたい。いかに面倒くさがりといっても、1日3分ぐらいなら練習を続けられるんじゃないだろうか。また、特殊なボールペンというのも気にかかる。

 

筆圧コントロールを学べば美文字になる!?

その美文字練習キットというのが、ゼブラの「ビモア」。メモ帳タイプの練習帳と、美文字練習に特化したゲルインクボールペンとがセットとなった製品である。

 

このセットと合わせて用意された練習動画を見ながら筆圧コントロールを学ぶことで、短時間(1日3分×7日間)の美文字習得が可能になるらしいのだ。

 

ゼブラ
bimore(ビモア)(ビモアボールペン+ビモア練習帳)
1000円(税別)

 

従来の美文字練習帳は、だいたい1日10~20分×30日をかけて、字の形やバランスを反復練習することに主眼を置いているものが多い。対して「ビモア」は、3分×7日という破格の短時間練習なのだが、そこで学ぶのが筆圧のコントロールだ。例えば横線を1本引くにしても、ストンと真っ直ぐ棒のように書くのではなく、グッと強く筆圧をかける→中央で力を抜く→最後はまたグッとかける。

 

つまり「線に筆文字のようなメリハリが出れば、字は上手く見える」という考え方である。なるほど、これならおぼえるべきことははるかに少なく済むし、効率的かもしれない。

↑筆圧コントロールは後軸をねじってオン/オフ

 

そこで使われるのが、筆圧がコントロールできるビモアボールペンだ。筆圧練習モード(軸をねじることでオン/オフ可能)中は、ペン先を強く紙に押しつけるとペン先端の黒いパーツがわずかに飛び出し、圧を抜くとスッと軸内に戻る。この動作によって、ペン先に擬似的な“しなり”が生じて、筆圧コントロールがやりやすくなる仕組みだ。

 

↑筆圧練習モードをオンにすると、メリハリのくっきり出た線が引きやすい

 

↑筆圧を強くかけると、黒いパーツが軸先からわずかに露出し、弱めるとひっこむ。この動きが“しなり”に近い感覚となる

 

この先端から飛び出す黒パーツにはどうも既視感があるぞ? と思ったが、どうやらゼブラ製の芯が折れないシャープペンシル「デルガード」の芯ガードパーツとほぼ同じもののようだ。

 

「デルガード」とは、強い筆圧に対して芯を守るためにパーツが飛び出すのが重要。対して「ビモアペン」は、筆圧を抜いたときにペン先ごと軸に戻ることで、線の変化を産むように機能する。どちらも筆圧がポイントになってはいるが、働きはまったくの別物。これはなかなかユニークなアイデアだと思う。

↑筆圧をかけると芯を守ろうと飛び出すデルガードの先端パーツ。素材は金属と樹脂で違うが、形状はビモアペンとそっくりだ

 

ではメモ帳では何ができる?

もう一方のメモ帳タイプ練習帳は、筆圧を意識しつつなぞり書きをする、というのがメイン。7日分に分割された課題ごとにQRコードが印刷されており、スマホで読むことで、書家・美文字研究家である青山浩之氏監修の練習動画が観られるようになっている。

 

言葉で説明するだけでは分かりづらい「筆圧の加減」も、動画ならたしかに分かりやすい。筆圧のかかり具合が先端パーツの動きで可視化されているのも、大きなポイントだ。

 

ちなみに、動画は再生時間だけでも各4分間以上。途中で動画を止めて練習するタイミングもあるので、1日の練習時間はだいたい7〜8分といったところ。3分というのは、ペンを動かしている実質的な時間を指しているのだろうか。

↑ビモア練習帳では、筆圧を意識したなぞり書きで反復練習をこなす

 

↑動画では「筆圧をどれぐらいかけるか」がゲージでも表示されるので、加減がつかみやすい

 

1日の練習前には、まず筆圧オフモードで課題文字を書くのだが、それを筆圧コントロールして書いた練習後の文字と比較すると、なかなか面白い。

 

見比べてみると、たしかに「おっ、ちょっと上手くなったかも?」という気になるのだ。誰でも筆や万年筆を使う際は、自然と筆圧をコントロールしていても、ボールペンで意識したことはあまりないだろう。その分、効果が実感しやすくなっているのかもしれない。

 

↑「目に見えて上達した」とは言いにくいが、少なくともマシにはなった気がする

 

さて、実際に7日間の練習を完遂した結果が、これだ。うーん、やはり文字の形やバランスの取り方を学んだわけではないので、胸を張って「美文字になりました!」とは言いづらい。

 

筆圧にばかり意識を向けると文字のバランスまで気が回らず、また逆も同じ。やはり、たかだか7日やったぐらいでは、無意識に筆圧をコントロールできる域にまで達するのは難しい。もうちょっと練習を繰り返す必要はありそうだ。

 

とはいえ、慎重にゆっくり書くことで線の強弱が出せるようなったため、雰囲気はそこそこマシになったように思う。自画自賛で恐縮だが。筆者のような根深い悪筆にはやや効果が薄いかもしれないが、元からある程度整った字が書ける人なら、この雰囲気アップは強い武器になるだろう。

 

ちなみに、インクフローの良い水性インクのペン(パイロット「Vコーン」、OHTO「筆ボール」など)ならば、ビモアペン同様に筆圧の強弱を活かせるので、練習の後にはこれらも試してみると面白そうだ。

 

 

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なめらかボールペンの金字塔「ジェットストリーム」「ジュースアップ」に登場した多色ボールペンがその名に恥じない傑作だった

振り返れば2021年は、間違いなく「ボールペン超大豊作の年だった」と言えるだろう。特に下半期は、「ユニボールワン F」(三菱鉛筆)や「サラサナノ」(ゼブラ)、「カルム」(ぺんてる)など、画期的な新製品が立て続けに登場したため、多くの文房具ファンが「さて、どれから使おうかな」と贅沢な悩みを抱えている状態にある。

 

と、冒頭からあえて“豊作”ではなく“超大豊作”と表現したのには理由がある。実は2021年下半期は、“単色”だけでなく、“多色ボールペン”まで豊作だったのだ。

 

普段は単色の影に隠れ、やや目立たないポジションにある多色ボールペンだが、とはいえ手帳やノート用に「多色じゃないと困る」という熱烈なファンも多い。つまり、単色・多色ともに最新アイテムに注目が集まっている現状は、文房具業界にとって非常にワッショイ感の高い状況なのである。

 

あの人気ゲルボールペンが待望の多色化!

そんな中でも特に筆者が注目しているのが、パイロットのゲルインクボールペン「ジュースアップ」の多色化だ。細字にも関わらず潤沢なインクフローを実現したシナジーチップによる快適な書き味で、筆者も含めファンの多いボールペンだけに、これまでにも多色化を希望する声はかなりあっただろう。

 

そして、これがまさに、みんなが待ち望んでいた通りの「ジュースアップの多色」なのである。


パイロット
左:ジュースアップ4
右:ジュースアップ3
600500円(ともに税別)ボール径0.4mm

 

まずは、ビジュアル。黒・赤・青の3色タイプと、それに緑を追加した4色タイプがラインナップするが、どちらもウッカリすれば単色ジュースアップと見間違うレベルでそっくり。クリップや口金もほぼそのままで、ノックノブ周りを見ない限りは、とっさに判断できないかもしれない。「ジュースアップ」はシャープなデザインもポイントなので、見た目をしっかり継承してくれているのは、ファンとしてありがたいところだ。

↑上から「ジュースアップ」(=単色)、「ジュースアップ3」、「ジュースアップ4」。多色ノックのデザイン的主張が薄いのは、単色と見た目を揃えるためじゃないか? と思うぐらいによく似ている

 

しかも、3色タイプは軸径も約10.7mmと、単色とほぼ同じサイズ(単色は約10.5mm)。とてもじゃないが、3本のリフィルが入っているなんて思えないスリムさである。

 

スリムということは、手帳のペンホルダーに挿しやすい、ということになる。小型サイズ手帳の細いペンホルダーにも確実に挿せる多色ペンは、それだけでも価値があるのだ。パイロットは、以前にも油性ボールペンの「スーパーグリップG多色」で単色同様のスリム軸を作っているため、そのあたりのノウハウはしっかり蓄積されているのだろう。

↑ビジュアル面での最大の違いは、多色はグリップ部が短く、半透明というところ。うっすらと中のリフィルが透けて見えるのが面白い

 

見た目はそっくり。では書き味はどうだ?

↑0.4mmという細いボール径でもインクがダクダクと出るシナジーチップ。これこそジュースアップ、という書き味だ

 

そしてなにより、書き味がびっくりするぐらいそのまんま「ジュースアップ」なのである。多色ボールペンは構造上、リフィルがわずかにナナメに出てしまうというネガティブがある。これは細字になるほど筆記時の違和感として現れやすいのだが、多色ジュースアップにはそれがかなり少ないのだ(ゼロとは言わないけれど)。

 

あくまでも筆者の体感的な印象にすぎないが、もしかしたらシナジーチップのたっぷりフローによって、ペン先の傾きに伴う書き味の低下をある程度は打ち消せているのかもしれない。

↑そもそも選択肢の少ない非カスタム系のゲル多色だが、そんな中でも選ぶ価値あり! と感じられる優秀さだ

 

見た目や書き味は単色に近く、でも3色/4色が使える。要するにメリットしかないわけで、これは間違いなく優秀な多色ボールペンと言える。これまで単色ジュースアップを使っていた人は、なんならそのまま多色に移行しちゃっても問題ない、かも!?

 

「ジェットストリーム」の多色は複合型ノックで効率アップ

最新多色としてもう一点紹介したいのが、三菱鉛筆「ジェットストリーム 3色ボールペン」だ。「ん? なんで今さらジェットストリームの多色?」と思う人もいるかもしれないが、実はこれ、従来の多色ノックシステムをリファインした、完全に新しいジェットストリームの多色なのである。

三菱鉛筆
ジェットストリーム 3色ボールペン
500円(税別) ボール径0.5mm/0.7mm

 

最大の特徴が、このノックノブ。軸後端から出ているのは単色(黒)のノックだし、側面には赤・青の多色ノックが見えている。つまり単色+多色の複合ノックという、不思議なシステムを採用しているというわけだ。

 

単色ノックは、押し込むと黒リフィルが出て、もう一度押し込むとリリース。多色ノックはスライドさせるとリフィルが出て、別のノックをスライドさせるとリリース。どちらも見た目通りの挙動である。

↑黒は後端の独立したノック、赤・青は側面のスライドノックでペン先を出す。これまでになかった珍しいシステムだ

 

ただ、それに加えてリリースの方は、単色ノックは多色ノックのスライドでもリリースできるし、もちろん多色ノックも単色ノックでリリース可能。文章で説明するとややこしいが、実際に触ってみると、直感的に使えてまったく違和感が感じられないノック機構だ。

↑ほぼ無意識でも黒が選べるので、あきらかに書き出しが速い!

 

ではなぜこのような不思議な構成になっているかというと、単純に黒が使いやすいのである。多色ノックは、使用時にいちいちノックの色を確認する必要があり、これがどうしても手間。実際、従来の多色ボールペンを使用するときは、どんなに馴染んだものでも、チラッとノックノブを見て色を確認しているはずだ。

 

ところが、黒が間違いようのない単色ノックで出せれば、最も使用頻度の高い色が完全にノールックで効率よく書き始められるというわけで、これは間違いなく快適なのだ。

 

互換性も! 容量7割アップでインク長持ち

また、この「ジェットストリーム 3色ボールペン」から、新しい多色用の黒インクリフィル「SXR-ML-05/07」――通称「長持ちリフィル」を採用している。

↑インク容量70%アップの長持ちリフィル。パッケージは環境に配慮した紙パッケージだ

 

これは従来の多色用黒リフィルのチューブ内径を肉薄化したもので、なんとインク容量が70%もアップ。つまり、それだけたっぷりと書けるようになっているということだ。

 

外径や長さは変わらないので、従来のリフィル「SXR-80」及び「SXR-203」と互換可能。これまでのジェットストリーム多色(プライムは除く)にも搭載できるのは、なかなかに嬉しい。

↑クリップは金属パーツ埋め込みで強度アップ。折れる心配が減ったのはありがたい

 

「メインは黒で、赤や青はあくまでサブ」という使い方をしているジェット多色ユーザーであれば、このノックシステムと長持ちリフィルのメリットは、相当に大きいと思う。こちらも移行して間違いない、優秀な多色ボールペンである。

 

 

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プロ仕様に物欲がうずく! 強度3.5倍のステンレス鋼製ツメでマルチツール化するタジマの最強カッターはこれだ

「文房具店では売られていない文房具」というものがあることをご存知だろうか。謎解きとかいじわるクイズのような話ではなく、単に販路の問題というか、ジャンルの問題……要するに、ホームセンターで売られている“工具寄りの文房具”というやつだ。

 

例えば、ホームセンターで売られているマスキングテープは、本来の用途である塗装マスキング用なので、カワイイ柄なんて一切なし。その代わり、粘着力やテープ自体の硬さ(カーブした面を貼るのに関係してくる)なんかは、あれこれ選び放題だ。建築用や自動車塗装用など、文房具店の棚には基本的に並んでないやつばかりである。

 

こういった“ホムセン文房具”の魅力といえば、まず挙げられるのは「プロスペックである」ということ。建築現場などハードな環境下で使われることが多いため、耐久性とか作業強度が一般的な文房具とは大きく違う。もちろん、我々素人が普通に使うには過剰なことが多いのだけど……でも、どうせなら、そういうプロツールを使ってみたい! という気持ちもあるだろう。

 

そこで今回は、“プロ向けホムセン文房具”の代表格とも言える名品、タジマのカッターナイフを紹介したい。

 

強度3.5倍のツメを持つ! プロのためのカッターナイフ

ホームセンターでカッターナイフの棚を眺めると、やはりお馴染みOLFA(オルファ)の黄色いボディ(ただしL刃ばかり)がズラリと並んでいるのが見て取れるはず。ただ、そのOLFAと同じくらいの勢いで棚を占めているのが、タジマのカッターナイフだ。文房具好きにとっては「えっ、タジマ? どこそれ」だろうけど、工具ジャンルでは超メジャーメーカーである。

タジマ
ドライバーカッター L560 オートロック 黒
940円(税別)

 

そんなタジマのカッターナイフのなかでも、その機能とタフさでファンが多いのが、「ドライバーカッター」の名前で知られる「L560」である。正直、見た目はちょっと野暮ったい雰囲気なのだが、一度ハマってしまうと抜け出せない魅力があるのだ。

 

↑基本的にはタジマの専用L刃(写真は「タジマ凄刃黒」)を使用するが、OLFAなど他メーカー製の刃もほぼ問題なく使える

 

その最大のポイントが、ホルダー先端部分。刃を収納した状態で見える先端が、少し突き出した特殊なツメ状の形をしているのが分かるだろうか? 実はこのホルダー先端のツメが、マイナスドライバーとして使える、タフ過ぎな強度を持っているのである。

 

なにしろホルダー全体が、焼き入れによって硬度を高めた1mm厚のステンレス鋼製。なんと従来のカッターナイフのボディと比較して約3.5倍の強度を持っているのだ。

↑名前の元にもなっているホルダー先端のドライバー状ツメ。こじる・押さえる・挿し込むなど、マルチに活用できる多用途ツールだ

 

これが本当にめちゃくちゃ頑丈で、成人男性が力尽くで固くなったネジを回そうが、ペンキの缶フタに差し込んでグイグイこじ開けようが、ビクともしない。一度使ってみれば、このツメが潰れたり曲がったりするイメージが湧かなくなるほどの頼りがいを感じられるはずだ。

 

普通のカッターナイフのホルダー先端でも同じようなことはできなくもないが、数回もやればグニッと曲がってしまうのは間違いないだろう。

↑充分な強度があるため、ドライバーと変わらない感覚でネジを回すことができる

 

この強靱なホルダー部を包んでいるのが、エラストマー製のボディだ。ボッテリとしていて見た目は良くないが、すべり止め効果は抜群。軍手をつけた状態で握った安定感は、おそらく国産カッターナイフのなかでも最強だと思う。軽く持つだけでも安定して、本当に握りやすい。

 

作業現場ではカッターナイフを腰ホルダーに挿して持ち歩くこともあるが、ボディ全体がすべらないため、ホルダーからの抜け落ちといったトラブルが発生しにくいのもポイントだ。

↑ボディのどこでも、軍手で握って不安を感じないグリップ力がある

 

また、このボディの後端には、予備刃2本をストックできるマガジンを備えている。底部を引き抜くとすぐに予備刃が手に入るため、現場でいちいち刃を交換しに戻る手間がかからない。これもプロツールとして人気の機能だ。

 

“ご家庭DIY”レベルでは、予備マガジンのありがたみはほとんど感じられないかも知れないが、とはいえいざという時のために刃がストックできる安心感はありがたいのではないだろうか。

↑ボディ後端の替え刃マガジン。屋外作業などでは活躍しそうだ

 

正直なところ、見た目は格好良さに欠けている。が、グリップの良さと先端ツメの便利さは他に代え難い。正直なところ、これ1本が手に取れる場所に常備してあれば、「なにかをこじ開けるのに硬いものが欲しい」「ドライバーがいるけど工具箱を出してくるのがめんどくさい」みたいな状況がサッと解決できるわけだ。現場のプロでなくても、わざわざホームセンターにまで買いに行く価値はあると思う。

 

上位モデルは「ドラ」+「フィン」でより使い勝手がアップ!

「便利なのはともかく、もうちょっと見た目にスマートなのはないのか」というのは、ごもっとも。であれば、同じくタジマの「ドラフィン L560」はいかがだろうか。

タジマ
万能ツールカッター ドラフィン L560
1400円(税別)

 

焼き入れステンレス鋼製のドライバー状ツメは先の「L560」と同じだが、予備マガジンを排してボディをスリム化。エラストマーグリップも、握った際に掌に触れる部分だけに限っているため、かなりスッキリとした印象だ。白いボディカラーと合わせて、これならもう“野暮ったボディ”とは言わせないぞ。

 

さらに、「ドラフィン」の「フィン」(「ドラ」は先端のドライバー状ツメ)こと、ボディ後端のヒレ状のツメも大きなポイント。OLFAのハイパーシリーズにも同様のツメを備えた製品があるが、こちらもダンボールの開梱やこじ開け、折り筋つけなど、用途が広いマルチツールである。

↑先端のドライバー状ツメ(左)+後端のツメ(右)。作業によって使い分けるとより便利だ

 

ドライバーとして、もしくは狭い部分に差し込んでのこじ開けは先端の「ドラ」で、力を込めて押し込んだりするなら「フィン」で、と使い分けられるのが便利なのだ。

↑後端のツメは開梱作業にも使える。先端が丸いので、中身を傷つける心配もない

 

個人的には、一般家庭に備えておくなら「ドラフィン」の方がオススメしやすい。価格は「L560」よりも定価ベースで500円ほど高くなるが、使い勝手のよいカッターが欲しいのであれば、間違いないチョイスだ。

 

 

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アナログレコードの音色のよう? ノック音が静かで心地良いボールペン「カルム」はウェブ会議に最適だった

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第17回となる今回は?

 

第17話

ぺんてる
カルム
150円(単色タイプ・税別)、400円(3色タイプ・税別)、500円(多機能タイプ・税別)

静音設計を取り入れ、ノック時の操作音を従来品の66%に抑えた油性ボールペン。グリップには、カメラの持ち手を思わせる革シボ調の素材を採用。グリップの幅が広いため、どこを握っても手にしっかりフィットする。

 

心地良い静音が放送作家の琴線に触れた

ウェブ会議をするようになってから、これまで意識していなかったボールペンの「カチャカチャ音」がスピーカー越しに気になり始めた人、最近増えているんじゃないかしら。これはラジオの仕事をしている筆者には昔から切実な問題で、ノック音が小さなボールペン——ラミーの「ノト」やカランダッシュの「849」シリーズ、トンボ鉛筆の「リポーター」など——を見つけては、新人のアナウンサーさんやラジオを始めるパーソナリティにプレゼントしていました。

 

そんな筆者にとって、2021年12月に発売されたぺんてるの「カルム」はまさに待望の新製品。というのも筆者が知る限り、初めてノック音の静かさを全面に押し出したボールペンだからです。

 

手に取ってみると、単色タイプはしっとりしたマイルドな押し心地。ただし完全無音というわけではありません。それでも「無音ではなく〝心地良く調律された周囲になじむ音〟」を目指した、というとおり、金属パーツが立てる尖った高音はミュートされ、例えるならアナログレコードのような中音域の優しい音色。しかもゆっくりノックすればほぼ無音でノック可能。これなら十分合格でしょう。

 

かたや多色タイプは緩衝材をかませてかなりの消音を実現。こちらはいわば、小さめのモノラルスピーカーで聴いてる感じ?

 

ということで結論としては、この価格、この性能なら全然あり! 世界中のラジオ局で標準採用をおすすめします。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第15話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第16話】ぺんてる「エナージェル」に20周年限定で登場した「黒推し」モデルに、偉大なペンの矜持を見た

https://getnavi.jp/stationery/679166/

数量限定! 「ボールサインiD」にスケルトンとブラックの本体軸登場。インキの色は“黒”6色

サクラクレパスは、ノック式単色ゲルインキボールペン「ボールサインiD 限定軸色第一弾」を3月上旬より販売開始します。

↑ボールサインiD 軸色スケルトン

 

「ボールサインiD」は、クリップに金属を採用し、本体軸は、六角形と丸形を組み合わせた特別な形状で、角が指にあたる部分を丸くすることで、指にかかる負担を軽減させ、より自然に手にフィットするよう工夫を凝らしたデザインが特徴。インキ色は、ピュアブラック・ナイトブラック・モカブラック・フォレストブラック・カシスブラック・ミステリアスブラックのそれぞれ6色の黒インキを用意しています。

 

今回発売される数量限定 第一弾は、軸色がスケルトン(0.4mm)のモデルと、軸色がブラック(0.5mm)のモデルの2種類。税込価格はどちらも220円。

↑ボールサインiD 軸色ブラック

 

スケルトン軸は、“あえて見せる”こだわりの半透明ボディ。スタイリッシュな仕上がりになるよう、中の一部パーツも薄いグレーに着色し、スケルトンボディに馴染む仕様です。

 

ブラック軸は、ブラックのワントーンで洗練されたベーシックかつスタイリッシュなデザインに仕上がっています。

【文具ソムリエール・菅未里の自腹買い文房具】極細ボールペンのカリカリ筆記を解消しただけじゃない「サラサナノ」の意外なこだわり

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。文房具の新作からロングセラーまでを知り尽くした菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた愛用の文房具とは? 今回は、書き味を克服する内部機構に加え、意外な部分のデザインにも気を配ったボールペン。

 

秘密は内部のスプリング。カリカリしない極細ボールペン「サラサナノ」

2021年11月、なめらかな書き味で知られるジェルインクボールペン「サラサ」シリーズ(ゼブラ)に、新作が加わりました。芯が0.3mmの「サラサナノ」です。すでに「サラサクリップ」に0.3mmの商品はあるのですが、新たに登場したサラサナノは新しい機構を備えていることで、話題になっています。

ゼブラ
サラサナノ 0.3
各220円(税込)

 

一般に、ペン先が細ければ細いほど書き味はカリカリしたものになりがちです。筆圧が小さいボールに集中し、紙の凹凸を拾ってしまうからですね。

 

この問題を、サラサナノは大胆な方法で解決しました。内部に、衝撃を吸収するサスペンションとなる小型スプリングを入れたのです。芯やペン先を改良するのではなく、自動車のサスペンションが路面からの振動を和らげるように、内部のサスペンションによって振動そのものを緩和する手に出たのですね。

 

ゼブラが「うるふわクッション」と呼ぶこの機構の効果は抜群です。実は、サラサナノの芯・ペン先はサラサクリップ0.3mmと同じものを使っているのですが、書き味はなめらかになっています。

 

もっとも、サラサナノは発売直後から話題になっていましたから、文房具好きの方々なら、ここまで書いたことはとっくにご存じでしょう。しかし、注目すべきポイントは書き味だけではないことをご存じでしょうか?

 

シックな色が増えた

まず注目したいのが、色数の多さです。0.3mmという、市場にはけっして多くない極細ボールペンにもかかわらず、32色ものインクカラーが用意されています。

↑極細にもかかわらず、色数が豊富。使い道が広がります

 

なかでも興味深いのは、近年需要が増している、大人っぽいビンテージカラーがたくさん用意されていることです。片手ですぐに書き始められるノック式で極細、しかもなめらかな水性顔料で32色ものカラーバリエーションを持つのは、サラサナノくらいです。

↑大人っぽいビンテージカラーが多いのも特徴。トレンドを抑えています

 

驚くほど細部まで作り込まれたデザイン

さらに、ビンテージカラーと呼応するように、デザインに高級感ただよう、落ち着いたものへと変わりました。

 

情報量が多かったクリップですが、そこに記されているのはサラサナノの名前と「.3」という太さを表す数字だけ。「0.3mm」ではなく、「0.3」ですらないのです。

↑上は従来のサラサクリップ。情報量が多いですね。一方、下のサラサナノでは情報量がそぎ落とされ、見違えるようになりました

 

このクリップは胸ポケットの縁などに挟みやすい可動式なのですが、動かすための金具も、サラサナノでは見えないように隠されています。上からのぞき込むと、スプリングがあるのがわかりますね。

↑クリップを動かすための金属は、正面からは見えないよう隠されています

 

このクリップ、不思議な透明感があるのですが、それは白っぽい樹脂の上に透明な樹脂を重ねているためです。さらにその上に文字が乗っているため、光に当てると微妙に影ができます。複雑かつ美しい作りです。

↑白っぽい樹脂の上に透明な樹脂を乗せ、さらに文字を乗せた複雑な構造。美しいですよね

 

↑並べて鑑賞したくなります

 

グリップ部分も変わりました。以下の写真の上が従来品で下がサラサナノなのですが、滑り止めの溝の形が変わっているのがわかるでしょうか。メーカーのゼブラに聞いてみたところ、デザイナーによりデザインされた、「細く書ける」ことを表現した模様とのこと。そういわれると、なんとなくそんな気もしてきます。

↑「細く書ける」ことを表現したグリップの溝(下)。性能には関係ありませんが、作り手のこだわりが伝わってきます

 

税込み220円とサラサクリップの倍のお値段ですが、性能面はもちろん、このデザイン面での作り込みを見れば納得なのではないでしょうか。手に入れたら、ぜひ細部までその美しさを味わってください。

 

 

連載「文具ソムリエール・菅 未里の自腹買い文房具」アーカイブ
https://getnavi.jp/author/misato-kan/

パーツを組み替えて最適化! お馴染みのシャーペン「Dr.グリップ」の重心と重量をカスタムできる新モデルが快適

「低重心」が、2021年下半期の文房具トレンドワードだった。これまで、文房具マニアしか気にしてこなかった“筆記具の重心バランス”が、ここまでフィーチャーされるとは。300円帯ボールペンをはじめ、重心バランスをポイントにした製品が立て続けにここまで発売されるとは。なんとも驚かされたものである。

 

2022年を占う! 2021年「文房具」業界を席巻した二大トレンドのおさらい

 

正直なところ、見た目のデザインやインク色と違って、筆記具のバランスというのは実際に手に持って書いてみないと分からない。体感的というかフィジカルな部分であるため、作り手であるメーカーや我々のような紹介記事を書く側も、その利点を伝えるのがなかなか難しいのだ。

 

……というのは、単に文房具ライターとしての愚痴であって。一人の文房具好きとしては、重心バランスが筆記具の良さを語る論点としてあらためて持ち出されたことは、素直に嬉しいのである。書き味を構成する上で、とても重要なパラメータなのだし。

 

そこで今回は、そんな重心バランスがテーマの新しいシャープペンシルを紹介したい。

 

重心のポイントと重量を自分で決められる「ドクターグリップ CL プレイバランス」

パイロット「Dr.Grip(ドクターグリップ)」は、2021年に発売から30周年を迎えた。人間工学に基づいた握りやすい太軸+疲労を軽減するシリコングリップの組み合わせで、発売当時から現在までずっと高い人気を誇るシリーズだ。

 

ここで新たに登場したのが、グリップに重心位置変更ギミックを搭載したシャープペンシルモデル「ドクターグリップ CL プレイバランス」である。

パイロット
ドクターグリップ CL プレイバランス
0.3mm/0.5mm
各770円(税込)

 

基本的には、筆記具は低重心の方が安定して書きやすい。確かに、高重心(ペン後端に重みが片寄っている)では、ペン先がふらついてコントロールしにくかったり、長時間筆記で疲労が出やすかったりというデメリットはある。

 

とはいえ、低重心でも先端だけが重すぎるようだと、これはこれでコントロール性が下がるし、疲れも出る。また、個人それぞれのペンを持つ好みの位置というのもあって、これが重心的にバランスの良いところと一致するとは限らない……こういう部分が難しいのだ。

 

「だったらもう各々が好きに調整すればいいじゃん」というのが、重心位置変更ギミックというわけ。

 

グリップの内部構造とカスタマイズの仕組みは?

↑重心位置変更ギミックの核となる金属パーツ×3とシリコンパーツ×3。これを本体に3つ組み合わせて装着する

 

「ドクターグリップ CL プレイバランス」は、グリップが二重構造になっている。まず表面にあるのがシリコン製の外グリップで、これはペン先を外して下に引っ張ると、簡単にスポッと抜ける。その際に外グリップの中に残っているのが、内グリップパーツ。購入時はシリコンパーツ×1と金属パーツ×2の構成になっているはず。

 

この計3つの内グリップパーツの順番と組み合わせを変更することで、重心位置がカスタムできる仕組みなのだ。

 

↑シャープペンシルは重心が低すぎないほうが好みの筆者は、前にシリコン×1、後ろに金属×2の構成がお気に入り

 

最初から軸に搭載されているのに加えて、パッケージ内にはシリコンパーツ×2と金属パーツ×1も同梱されている。つまり各素材とも3つずつパーツが揃っているので、これを組み合わせてみよう。

 

まず、最も重くなるのが、当然ながら金属×3の組み合わせ。金属パーツは1つあたり約2.9gでシリコンパーツが約0.4gだから、シリコン×3の組み合わせよりも全体重量が約7.5g重くなる、という計算だ。

 

↑設定次第で重心位置・全体重量ともにかなり変わる。体感的にかなりの差を感じられるので、いろいろ試してみると楽しい

 

普通にずっしりしたペンが好き、という人であれば、シンプルに金属×3で解決だろう。重心位置も60mm以下で、この状態がもっとも低重心になっている。これでは全体的に重すぎるが、重心位置は低い方がいいというのであれば、前側に金属×1か2が良さそう。重心位置は1mmほど上がるが、かなり軽く動かせるようになるはずだ。

 

パーツ交換の手順は?

↑パーツ交換は、まず口金を外すところから。下向きに作業しないとタンク内の芯が軸内に落ちるので、そこは注意だ

 

↑あとは外グリップごとスポッと抜く。中のパーツはトントンと衝撃を加えれば取れる

 

↑装着時は先にパーツを軸に通してから、外グリップ・口金の順で戻す

 

パーツ交換は、まず口金をねじって芯タンクごと引き抜く。あとは外グリップを引き抜けば、内グリップパーツもそれについて抜けるはずだ。外グリップ内に残ったパーツは、口を下に向けて何度か軽くトントンと机に落とせば、順番に落ちてくる。奥の方にあるシリコンは摩擦でなかなか取れないかもしれないが、無理せず根気よくトントンするのがコツ。

 

装着する際は順番に軸側にパーツを差し込んで、外グリップを被せればOKだ。

 

グリップの重心と重量を変えるとどんな変化があるのか

↑重心が移動すると、筆記角も変わる。まずは自分がどういう握りで、どういう角度で書くのがラクか、を考えたい

 

重心位置が変わると、握りやすい位置も変わる。であれば当然の話、筆記角度も変わってくる。低重心で低い位置を握ればより紙に対して立った状態に。高重心で高い位置を握れば寝た状態になるというわけ。つまり重心位置は「自分はどういう角度で筆記するのが快適か」を考えながら調整すると、目安が付けやすい。

 

ちなみに、一般的にシャープペンシルは50~60度で書くのが正しいとされているが、それも絶対的な正解と言うわけではない。あくまでも、自分の書きやすさを中心に考えるべきだろう。

↑上下に振ると内蔵のオモリが移動することによって芯を出す“フレフレ機構”。ノックするたびに集中力が途切れる、という人にもおすすめ

 

シャープペンシルそのものの機能としては、やはりパイロット自慢のフレフレ機構がとてもありがたい。ノックノブを押さずに軸を上下に振るだけで芯が出るため、筆記時の芯の継ぎ足しが一瞬で済み、快適。一度これに慣れてしまうと、もうフレフレ機構のないシャープペンシルを使う気になれないほどに便利なのである。

 

自分にベストな重心バランスさえ確定できれば、このフレフレ機構の快適さと相まって、長時間の筆記もかなりスムーズにできるはずだ。

 

 

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ディレクター用サインペン「フィラーレディレクション」は指示出しの全動作折込済みの隙のなさだった

ほとんどの業種において、コロナ禍で仕事の進め方が大きく変わった、というのはもはや疑いようのないところだろう。在宅ワーク・テレワークなんていうのはその最たるもので、これまでとは違うシステム下での働き方へと全体的にシフトしつつあるのは間違いない。とはいえ、流行の“DX”などということではなくて……シンプルに、“仕事用の文房具”もちょっと変わってきているよね、という話である。

 

例えば、最近は書類のファイリングツールに注目が集まっているのだが、これはオフィスではなく個人単位での書類管理の必要性が高まっている、ということだろう。

 

また、どっしり座って落ち着いて書きものをするのに最適な低重心のペン(先日紹介した300円帯ボールペンなど)の新製品が立て続けに出ているのも、実はそういう流れの中にあるのかもしれない。

 

【関連記事】2022年を占う! 2021年「文房具」業界を席巻した二大トレンドのおさらい

 

そういった中でまたひとつ、新しい仕事環境にフィットした面白い筆記具が登場したので、紹介してみたい。

 

部下に指示を出すならサインペンがいい! を体現するゼブラ「フィラーレ ディレクション」

ゼブラから発売された「フィラーレ ディレクション」は、ディレクション(=指示・指揮)の名の通り、管理職やグループリーダーなどの地位にある人が、部下に説明や指示をするのに最適! というサインペンである。

 

そういうポジションの人が使うものなので、もちろん見た目が安っぽいようでは話にならない。高級感があってどっしりした金属軸のツイスト式、という仕様だ。

ゼブラ
フィラーレ ディレクション
2200円(税込)

 

↑ボディをひねると、先端からサインペンのチップがニュッと現れる

 

そもそもこの「ツイスト式のサインペン」というのが、かなりユニーク。なにしろサインペンはボールペンよりもチップの表面積が大きいため、インクが乾燥しやすい。実際に思い返してもらえれば、皆さんがこれまで使っていたサインペンは、どれも密閉性の高いキャップ式だったはず。

 

しかしゼブラは、2019年に発売したノック式サインペン「クリッカート」で、大気中の湿気を自ら吸収して乾燥を防ぐ「モイストキープインク」という技術を開発している。ノック式ができるんだから、もちろんツイスト式サインペンだってなんの問題もなく作れちゃうのだ。

 

【関連記事】ペン先が乾かない、上書きしても滲まない!ゼブラのノック式水性マーカー「クリッカート」が全色集めたくなる優秀さ

↑ノック式の「クリッカート」(左)とは、同じモイストキープインクを搭載する兄弟のようなもの。ただし価格は20倍ほど違う

 

ところで、なぜ「説明や指示出しにサインペン」なのか? というと、これは簡単。筆記線がボールペンよりも圧倒的に太くてハッキリしているからだ。

 

例えば書類に指示書きをする場合でも、サインペンで太い文字を書いた方が伝わりやすいのは明らか。小さな文字をチマチマ書いていたら読み飛ばされるかもしれないし、なによりも長い文章は誤読の危険性もある。短いワードを大きくグイッと、が重要というわけ。もちろん、ビデオ会議でノートやスケッチブックに図を書いて見せるなどにも、太い線と大きい字の方が良いのは簡単に想像できるだろう。

↑画面内の小さなフレームでもきちんと読み取りやすいのが、サインペン字のメリット

 

トレンドに逆行⁉︎ 高重心の理由

さらに、この高級感のある金属軸にもちょっと面白い工夫がされている。握ってみると分かるが、このサインペンは重心がかなり上側に配置されているのだ。昨今の低重心筆記具ブームの中ではやや不思議な感じもするが、実はこれも意図があってのこと。

↑常識的にはかなり不自然な握り位置だが、「フィラーレ ディレクション」に限ってはこれが正解

 

試しにほどよくバランスの取れる部分を探っていくと、おそらく上写真のような持ち方になるはず。この持ち位置は先端が長くなる=移動量が大きくなるため、大きい字が書きやすいのだ。

↑この握りだと、自然と文字が大きく書けるのが面白い

 

ボールペンではNGとされる“寝かせ書き”のかたちになってしまうが、サインペンはチップが紙に触れていれば問題なくインクが出る。つまり、筆記にはなんの支障もないのである。

 

正しく重心バランスのとれる位置で持って書いてみると、安定して手に乗るためか、指先の操作に対する追随性も充分。スイスイと先端が軽く大きく動かせるので、思った以上に快適な書き味が得られた。これは本当に気持ちいい。

 

軸の先端にも隠された機能があった!

もうひとつ、軸のデザインに少し不思議な点があるのにお気づきだろうか。よく見ると、クリップや軸中のリングがシルバーなのに対して、先端だけがゴールドになっているのである。

 

実はこれにも理由がある。「フィラーレ ディレクション」を指示棒のようにして図表や文章を指し示すと、この先端のゴールドがキラッと非常に目立つのだ。

↑指示棒として使う際には、先端のゴールドパーツが視線を集める

 

しかも、前述の先端を長めに取る持ち方は、書きながら指し示す、というやり方にも最適。まったく、隅から隅までディレクションワークにフィットしたペンと言えるだろう。

 

リフィルの互換性に気づいてしまった……

↑専用の金属リフィルは交換も簡単。ところでこの形状とサイズ、どこかで見たような……?

 

モイストキープインクは、ペン先チップを収納した状態なら52週は乾燥知らず。うっかり放置してカスカスになる不愉快さを味わう機会もそうはなさそうだ。

 

また、インクが切れた場合は、専用リフィル(税込220円)と交換可能。用意されているインク色は黒と赤のみ……なんだけど、実はこのリフィル、金属軸である以外、径や長さは「クリッカート」のリフィルと同じ。つまり、互換性がある!

↑なんと「クリッカート」のリフィルと同じサイズ!

 

なんなら36色ある「クリッカート」から好きなインク色を選び放題ということで、より指示出しに目立つ色を模索してみるのも楽しいかもしれない。

 

 

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ぺんてる「エナージェル」に20周年限定で登場した「黒推し」モデルに、偉大なペンの矜持を見た

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第16回となる今回は?

 

第16話

ぺんてる
エナージェル ブラックカラーズコレクション
300円(1本・税別)、1800円(6色セット・税別)

全世界累計販売本数10億本を超えるボールペンの限定商品。王道のブラックに加え、オリーブブラックやボルドーブラックなどほのかに表情の異なる黒系インクを5色、全6色を揃える。極限までシンプルさを追求したボディデザインで、シーンを問わず使いやすい。

 

“偉大なペン”の遺伝子が息づく絶妙なリモデル

黒々くっきりとしたインクと滑らかな書き心地、速乾性で、日本のゲルインキボールペンの保守本流ともいえるのが、ぺんてるの「エナージェル」。ここ1〜2年のボールペン界で起こったデザイン面でのモードチェンジには少々立ち後れ、いまとなってはやや野暮ったいルックスではあるものの、それもある種の安心感であり、さらに定期的に透明軸やパターン柄、カラーモデルなどを投入することで、現役感をキープし続けています。

 

そしてこうした動きの決定打となり得るのが、2021年10月に発売された20周年限定の「エナージェル ブラックカラーズコレクション」。すべてのパーツをマットブラックで統一し、さらに黒インクのバリエーション違いを6色も用意したという、徹底的な「黒推しモデル」。こうしたインクの遊びはサクラクレパスの「ボールサインiD」でも見られましたが、こちらはルックスも黒一色に染めたことでさらにそれが押し進められた印象。何より近年のモードであるシンプルなシルエット重視に生まれ変わったため、歴代エナージェルのなかでも最もスタイリッシュなモデルとなりました。それでいてエナージェルらしさも失っていないあたり、絶妙なチューニングといえるでしょう。

 

ぺんてるがこれを新製品ではなく、エース格の製品で実現させた意味。それはいかにエナージェルが大きな意味を持つプロダクトなのかという証拠であり、実際それだけの価値があるのです。エナージェルという偉大なペンは。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第14話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第15話】ボールペンの書き心地は重心バランスがカギ! 三菱鉛筆「ユニボール ワン F」は驚異的なしっくり感を備える

https://getnavi.jp/stationery/674444/

カチカチうるさいノック音に悩まされない! 新作ボールペン「Calm(カルム)」の150円とは思えない内部機構と性能に驚愕

ボールペンに何を求めるか、というのは意外と人それぞれだ。“書き味”とか“インク色”なんていうのは実は二義的で、「先端の方で握りやすいグリップ」とか「愛用の手帳のホルダーにぴったり収まる軸のサイズ」などが選択肢として大きかったりもする。

 

そんなボールペン選びの中で、「ノック音がうるさくないやつ」という選択肢も当然にありうるだろう。例えば図書館などで勉強する機会が多い人は、自分が押したノックの「カチッ」という大きさにビクッとしたことがあるんじゃないだろうか? あの音、静かな場所だとかなり響くし。また逆に、オンライン会議中にずっとカチャカチャとノックを弄ぶ同僚にイラッとしたことだって、あるかもしれない。その場合、自分はそうあるまいとして「ノックが静かなペンがいいな」と考える人もいるだろう。

 

つまり、“音”もボールペン選びのファクターになりうるのだ。“ノック音が静かなボールペン”というのも、もっとジャンルとして広がってもいいのではないか。

 

ノック音がかすかなサイレント・ボールペン

ぺんてるから2021年12月に発売された「Calme」(カルム)は、まさに静音性にこだわったボールペンシリーズである。

 

ノックの静音性をウリにしたボールペンは、現行品だとLAMY「noto(ノト)」や三菱鉛筆「ジェットストリームプライム」などがあるが、どれも千~数千円という価格帯。いわば静音性は、高級ボールペンならではの付加価値だったわけだ。(高級筆記具に多く採用されている回転繰り出し式は、当然のことながらさらに静音性が高い)

 

対して「Calme」は単色で税込165円と、完全に普及品のお値段。これはまず嬉しいポイントだろう。

ぺんてる
Calme(カルム)単色
0.5mm/0.7mm径
各150円(税別

 

一般的なノック式ボールペンをゆっくりノックしてみると、まずノックノブを一番下まで押し込んだ時にカチッ、バネで少しノブが戻る時にカチッと、1アクションで計2回の音がするはず。

 

対して「カルム」は、まず一番下に押し込んだ時の音がほぼ無音・無衝撃。戻る時にわずかにクリック感があるが、こちらも非常に小さな音だ。ぺんてるは「従来比でノック音を66%低減」と謳っているが、体感上ではもっと静かにすら感じられる。

 

↑メーカーによると「完全に静音にするとノックした感覚がなく違和感があるので、そこの調整に苦労した」とのこと

 

一般的なボールペンのノックをものすごくざっくりと説明すると、ノックノブから伸びたノック棒で押し下げられることで回転子が回り、外カムに引っかかってロック=ペン先が出る。もう一度ノック棒を押し下げるとロックが解除される=ペン先が引っ込む、という流れ。このとき、回転子とノック棒、回転子と外カムでそれぞれ噛み合う際に鳴るのが、いわゆる“ノック音”と呼ばれるものなのだ。

 

対して「カルム」はノック棒と外カムが一体化した摺動子(しゅうどうし)と呼ばれるパーツが回転子を内包して、上下から挟む構造になっている。そのため、押し込み時にノック棒と回転子/回転子と外カムの噛み合いに衝撃が発生しにくく、つまりノック音が静かになるという仕組み。

↑カチャカチャした動作音が少ない、ユニークなノック機構

 

ノックを解除する際も、ノブに指をかけたままゆっくり戻せば、ほぼ無音。ノブから素早く指を離せば多少の衝撃音はあるが、気を遣ってノックする限り、極めて静かに書くことができるだろう。

 

改良型インクと革シボ調グリップで書き心地も良好

静音性に加えてもうひとつポイントとなっているのが、とても握りやすいグリップ。エラストマーにカメラのグリップをイメージした革シボ調の加工を施すことで、握ると指にしっとりと吸い付くような感触を与えてくれるのだ。しかもこの革シボグリップは、先端ほぼギリギリから前軸端まで続いているロング仕様なため、持ち癖に関係なく、どこを握っても気持ち良い。

↑革シボ調のロンググリップは、しっとりした手触りで握り心地が良い

 

搭載するリフィルは、低粘度油性インクの「ビクーニャ フィール」(ぺんてる)と共通となっている。ビクーニャは非常になめらかではあるが、ボテ汚れが多く、個人的にはかなり苦手なインク……と思っていたのだが、今回久しぶりに使用してみると「あれ? こんな書きやすかったっけ?」と驚いた。

↑改良型は、これまでのビクーニャインキとは明らかに書き味の違う、ゴー・ストップのしやすい適度ななめらかさ

 

搭載するリフィルは、低粘度油性インクの「ビクーニャ フィール」(ぺんてる)と共通となっている。ビクーニャは非常になめらかではあるが、ボテ汚れが多く、個人的にはかなり苦手なインク……と思っていたのだが、今回久しぶりに使用してみると「あれ? こんな書きやすかったっけ?」と驚いた。

 

ぺんてるによると、実は今回の「カルム」に合わせてビクーニャ フィールのチップを改良し、書きやすくバージョンアップしたとのこと。実際、多発していたはずのボテもほぼ発生しなくなり、適度なスルスル感で気持ち良く書けるようになったなー、という印象だ。

 

多色・多機能「カルム」も、もちろん静音性高し!

「カルム」は単色だけでなく、3色の多色タイプ、2色+シャープの多機能タイプも同時リリースとなっている。単色とは仕組みは違うが、当然ながらこちらも静音性の高さがポイントだ。

ぺんてる
カルム 多色タイプ多機能タイプ
400500円(税

 

↑ボディは単色とほとんど印象の差がないスマートさ。実際、数値上では直径で1mm以下の違いしかない

 

多色/多機能タイプは後軸内端に緩衝材が入っており、リリースされたノックノブがバネで戻る際のガチン! という突き当たりの衝撃を吸収するようになっている。こちらはトンボ鉛筆の多色ボールペン「リポーター」でも採用されていた機構で、目新しいというほどではないが、とはいえ明らかに他の多色よりも静かなのはありがたい。

↑軸後端に内蔵された緩衝材で、ノック戻りの衝撃を吸収。これで音を低減させている

 

↑こちらも書き味には満足感あり

 

リフィルは単色と同様、こちらも改良型のビクーニャ多色用リフィルになっている。穏やかにゆっくり書きもでき、勢いをつけた走り書きにも対応できる性能で、とても書きやすい。静音性だけでなく、革シボ調グリップの握りやすさ+改良型リフィルの書きやすさの好相性という点に限っても、充分に「買って良し」と言える出来ではないだろうか。

 

 

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【菅未里の自腹買い文房具】学生時代に愛用した定番ボールペン「シグノ」に25年間で起きた変化とは

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。仕事柄、文房具を試す機会は多く、手元には山のような文房具が……。そんな菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた、いま本当に気に入っている文房具とは?

 

超定番ボールペン「シグノ」の最新事情

今回紹介したいのは、三菱鉛筆のロングセラーボールペン「ユニボール シグノ」(以下、シグノ)です。……といっても、読者のみなさんもご存知ですよね、シグノは。

 

言わずと知れた大ヒット作です。ゲルインクならではの滑らかな書き味や顔料によるくっきりとした発色が評価され、今やゲルインクを採用したボールペンの超定番商品になっています。日本中のオフィスのペン立てにシグノがささっているのではないでしょうか。私も、10年以上愛用しています。

↑筆者もずっと愛用しているシグノ

 

三菱鉛筆
ユニボールシグノ 0.38mm
150円(税別)

※ほかに0.5mm、0.28mmもラインナップする。

 

そのシグノを今回あらためて取り上げるのには理由があります。子どもの頃にシグノを知った世代は、最近のシグノの変化をきっと知らないだろうからです。

 

31色にまで増えたインクカラー

もともと1979年発売のボールペン「ユニボール」の別ラインとして1994年に作られたシグノ。私はその2年後に登場した極細の0.38mmを愛用しているのですが、発売当初は、インクの色は8色でした。しかし今や、この0.38mmは31色にまで増えています。

 

その歴史は、インクカラーへの需要の変化を物語っています。

↑発売当初から今に至るまで売られている6色(かつてあった蛍光黄と蛍光桃2色は廃番)

 

2003年に4色が追加されました。

↑2003年に追加された4色

 

続いて、2008年にもカラーを追加。

↑2008年に追加された6色

 

さらに、2017年にも追加されています。

↑2017年に追加された12色。微妙なニュアンスカラーも多いですね

 

色数がどんどん増えている様子がわかります。なかなか違いが理解されにくいピンク系のインクも、たくさん用意されています。

↑ピンクの微妙な差も表現されています

 

今、グリーンブラックやブルーブラックのような黒ベースの大人っぽいインクが流行っていることをご存じかもしれませんが、早い段階で、そういったインクをボールペンに採用したのもシグノでした。

↑ビジネスシーンでも活躍する黒系インク

 

こういったインクは厳密にいうと“黒”ではないのですが、落ち着いた色ですから悪目立ちせず、仕事でも使えるでしょう。だから黒に飽きたビジネスパーソンにも人気です。

 

そういえば、黒系のインクといえば2008年に「ラベンダーブラック」が廃盤になったことを覚えているファンもいるかもしれません。実は、ラベンダーブラックは海外では今も売られているのですが、国内では手に入らないのは残念です。微妙なニュアンスカラーが充実しているシグノらしいエピソードです。

 

文字にもイラストにも活躍

このように色への探求心が尽きないのがシグノの特徴です。書きやすいのは前述の通りですが、色数が豊富なので、文字を書くだけではなくイラストや図形にも向いています。私はアイデア出しの際にシグノを使っていますが、気分に沿ったさまざまなカラーのインクを使いたいので、シグノがぴったりなのです。

↑文字を書くにも、イラストを描くのにも向いているのがシグノです

 

学生時代にお世話になった方も多いであろうシグノですが、今は、ここまでラインナップが増えているのです。

 

仕事にも、趣味にも。ノートにも、手帳にも。懐かしいシグノを見直してみませんか?

 

 

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マーカーとして使える蛍光タイプや布に使える耐水タイプも!最新「ドットマーカー」は描画以外にも便利

ボールペンやシャープペンシルといった、ド定番筆記具と比較するのは難しいが、それでも明らかに水性カラーペンの人気は、以前よりはるかに高まっているようだ。中高生は、女子を中心に“ノートのカラフル化”が進んでいるし、男子にだって細字カラーサインペンを日常筆記用に使っている人がそれなりにいる。

 

筆者は、公式書類でもない限りは「筆記は黒インクに限る」という固定概念に特に意味はないと考えている派なので、多彩なカラーペンを楽しむ層がもっと増えれば面白いと思う。

 

また、カラーペン自体も、色数だけでなくペン先チップやインク特性に特徴を持たせたものがここ数年でかなり増えている。

 

その中でも人気が高いのが、“ドットマーカー”タイプである垂直に円筒状や球状のチップを捺す(おす)だけできれいなドットが描けるため、手軽にノートや手帳の紙面を飾ることができるというものだ。トンボ鉛筆「プレイカラードット」や呉竹「ZIG クリーンカラードット」などが先行してすでにかなり売れているらしく、後続の製品もあれこれ出始めているようだ。

 

↑ポンポンとドットを捺していくことで、こんな絵も描けてしまう呉竹「ZIG クリーンカラードット」

 

【プレイカラードット】ビジネスマンの目からウロコ! 女子高生のカワイイ水玉ペンに意外な使い道があった

【ZIG クリーンカラードット】色味とタッチが絶妙…ボールペン代わりになるエモい「細字水性サインペン」

 

そこで今回は、そういったドットマーカータイプの製品を2点、紹介したい。かわいいもの好き男子や大人が使うのも、充分にアリだと思う。

 

蛍光&ドットが使いやすい最新マーカー「マルライナー」

まず紹介するのは、2021年8月に発売されたエポックケミカル「マルライナー」だ。従来のドットマーカーは「細字」と「ドットチップ」のツインタイプが主流だったが、こちらは単体で球状ドットチップの「マル」と細字の「ホソ」に分かれて展開している。その分、1本辺りのお値段は少しお安くなってます、ということだろう。

エポックケミカル
マルライナー マル 全24色
各140円(税別)

 

↑ただポンポンと捺してるだけでも楽しく遊べるのがドットマーカーの魅力だ

 

蛍光色の色数が多いのが特徴

何より目を惹くのが、その色数だ。ローンチで「マル」が全24色というのは、呉竹のクリーンカラードットと並んでドットマーカーではトップクラス。そもそも“多彩さ”がカラーペンの魅力である以上、色数の多さはシンプルに購入時の選択基準になり得るはず。その点で、エポックケミカル、勝負してきたな? と感じる。

↑スタンダードな蛍光から人気のマイルドなトーンまで、多彩に揃うラインナップ

 

そしてその24色の中に蛍光色が多く含まれている、というのも大きなポイントだ。というか、製品自体のスタンスが「丸いチップの蛍光マーカー」なのである。

 

黄色系・オレンジ系・青系・緑系・紫系・ピンク系にそれぞれ微妙なニュアンスのバリエーションがあるため、ありきたりな蛍光イエローは飽きたという人でも、選び甲斐がありそうだ。

 

“マーカー”としてのメリットも大きい

ただドットが描けるマーカー、というだけだと「うーん、使わないかな?」とパスする人はいるだろう。対して、ドットも描ける蛍光マーカーなら、蛍光マーカー+αの製品として欲しくなる可能性はある。

↑球状のチップを使うことで、太いライン&ドットが自在に

 

正直、ポンポンとドットを描くのは誰がやっても相当に楽しいので、蛍光マーカー目的で買ってドットマーカーにハマった、という人も出てくるんじゃないだろうか。

 

また、純粋に蛍光マーカーとして考えても、ドットチップにはメリットがある。

↑ドットだけでなく、“蛍光マーカー”としてもラインが引きやすく優秀!

 

↑紙に当てる角度を考えないと上手くラインが引けないチゼルチップ(写真上)に対して、どこから当てても問題ない球状チップ(写真下)。きれいにラインを引くのが苦手な人にはこっちが便利だ

 

マーカーペンのペン先チップといえば、先が平たくなった硬い“チゼルチップ”(たがね型)が主流だが、常に正しい角度で紙に当てないと均質な線が引きにくいという難点がある。対して球状のドットチップは、どの角度で紙に当てても同じように線が引けるのだ。力の入れ加減で線の太細が変わってしまうというデメリットはもちろんあるが、個人的にはチゼルチップよりも圧倒的に使いやすいと思う。

布用に特化したドットマーカー「ヌノデコペン ドット」もおすすめ

もうひとつ紹介したいのが、KAWAGUCHI「ヌノデコペン ドット」だ。そもそもKAWAGUCHIというのは手芸用品メーカーであり、さらに製品名からもなんとなく推察できるとおり、こちらは布にドットを捺すための手芸用ツインマーカー(ドット/細)なのである。

KAWAGUCHI
ヌノデコペン ドット 全15色
各280円(税別)

 

構造としては他のドットマーカーと同じで、柔らかいドットチップを捺すことでドットが簡単に描けるというもの。ただしインクが耐水性の強いタイプなため、布に描いて乾燥した後なら洗濯も可能となっている。もちろん、紙に使うのでも問題はない。

 

↑無地のコットントートにポンポン、でオリジナルバッグの完成。乾燥すれば洗濯もOKだ

 

基本的には、トートバッグやTシャツなどに自分でデザインしたドット柄を入れる、という使い方が楽しめそうだ。また、小さな子どもが複数いる家庭では、兄弟姉妹の靴下などに各自の色のドットを捺しておくことで、混ざってしまわないような目印にもなる。あとは保育園でのお着替え用着に、名前の横にかわいいマークなんか入れてあげると、喜んでもらえるんじゃないだろうか。

 

 

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後端ノックの新機構採用で「黒」がより使いやすくなった3色ボールペン! 黒インク約70%増量替芯も同時発売

三菱鉛筆は、なめらか油性ボールペン「ジェットストリーム」シリーズから、使用頻度の高い黒インクが使いやすくなった、3色ボールペン「ジェットストリーム 新3色ボールペン」と、インク量が通常品に比べ約70%増量した黒インク替芯「長持ちリフィル」を、12月13日に発売します。

 

今回発売となるジェットストリーム 新3色ボールペンは、インク色の中で使用頻度の高い黒インクを、使いやすく進化させた3色ボールペン。黒インクを使用する際のノック棒をペンの後端部分に配置し、シングルノックのような操作感で黒インクを繰り出すことができます。

 

インク色は黒・赤・青で、ボール径は0.5mmと0.7mmの2種類が選べます。軸色はボール径0.5mmがブラック、Wライトピンク、アイスブルー、ベリーピンク、グレージュの全5色、ボール径0.7mmがネイビー、ダークオリーブ、レモンイエローの全3色です。税抜価格は500円。

 

同日発売の長持ちリフィルは、チューブを薄くすることにより、同社通常品(SXR-80)と同じ形状で互換性を保ったままインク量をアップし、通常品比で約70%増量。チューブが薄くなることで、プラスチック使用量も通常品に比べ約30%減量、紙製のパッケージを使用しており、環境へ配慮しています。税抜価格は130円で、ボール径は0.5mmと0.7mmを用意。インク色は黒のみです。

 

また、長持ちリフィルは、ジェットストリーム 新3色ボールペンにも搭載されています。

書き味滑らかでオシャレでサステナブルなボールペン「Penon(ぺノン)」は時代が求める条件を全クリア

筆者は、基本的に文房具は“機能で選ぶ”派だ。日常的に高頻度で使うツールだから、機能が優れていた方が正しいに決まっているし、選ぶ意味があると思う。ただ、日常的によく使うからこそ、ルックスがショボいものを使う気にはならない、という“見た目で選ぶ”派の言い分も、もちろん理解できる。使うたびに「うーん、これ見た目がなぁ……」と思っていたら、テンションはダダ下がりだろう。

 

また、自分のテンションの問題に加えて、外からどう見られるかも重要だ。特に筆記具は意外と使うところを他人に見られているので、気を遣っておいて損はないのである。

 

はしゃぎすぎない、ジャストにかわいいボールペン

とはいえ、ただ「見た目の良い筆記具」と言っても、シック系やハイセンス系、ファンシー系、ファニー系といろいろ。そんな中で、かわいいけれど甘ったるくない&落ち着きすぎない品の良さで文房具ファンの間で注目を集め始めているブランドが、クラウドファンディングからスタートした「Penon」だ。達成率800%超えの人気に後押しされ、2021年9月からは一般販売がスタートしている。

Penon(ぺノン)
ネクタイペン/メガネペン
各1300円各1200円(ともに税込)

 

ベースは明るめの木軸に金属パーツをあしらったデザイン。これだけなら単に落ち着いてるペンだなーという印象だが、クリップにあしらわれた「メガネ」「ネクタイ」が、雰囲気を“ほど良くかわいい”感じにしている。

↑クリップにあしらわれた刺繍ネクタイとメガネフレームが、イイ感じに主張している

 

ペンとして使っている時に視界に入ると、「あ、メガネ(ネクタイ)だ」と気付くぐらいの目立ち度合いで、これ以上に主張が強いとやりすぎだし、逆に控えめすぎるとつまらない。このちょうどいいオシャレさのバランス取りは見事だ。

↑手に握るとこれぐらいの目立ち加減。メガネキャラをアピールしたい人の最適解とも言える

 

↑そのまま筆記に使っても面白いが、個人的にはやはり胸ポケットに挿したときが一番かわいいように思う

 

もうちょっと踏み込んでアクセントが欲しければ、「フラッグ」シリーズもあり。ペン後端からにょきっと刺繍の旗が伸びたルックスは、かなりユニークだ。旗の柄には、ハリネズミやリスといった刺繍映えするオシャかわな意匠に加えて、なぜかアゼルバイジャンやソマリアといったレアなものが揃っている国旗シリーズもラインナップしていて楽しい。

Penon
フラッグペン ショート/ロング
各1400円(税込)

 

↑ペン後端からかわいい刺繍旗がピコッと立っているのが、たまらないかわいさ

 

とはいえ、かわいいだけじゃなぁ……と思いながら使ってみると、意外や、書き味もなかなかに優秀で驚いた。ボール径0.5mmのニードルチップからたっぷりめに出るゲルインクは、サラサラ感が強く、なかなかに書いていて気持ちが良い。

 

ちなみにリリース情報には「セラミックボールを使用」とある。ニードル+ゲル+セラミックボールという組み合わせであれば、OHTO(オート)のOEMのような気はするのだけれど、確証はない。

↑正直、かわいいだけのペンだと舐めていたのだが、書き味の良さもかなりのもの。サラサラ好きにはハマる可能性大だ

 

もう一つの特徴が「サステナブルな文房具」だということ

↑リフィルは、替リフィルのパッケージに入れて郵送すればリサイクルされる仕組み

 

ところでこの「Penon」の特徴としてもうひとつ挙げられるのが、サステナビリティに対する取り組みである。

 

まず木軸は、伐採した量以上の植林が約束されている森林認証の木材を使用。リフィルも廃プラが出ないよう、無償で回収しリサイクルへ回す仕組みを作っているとのこと。もちろん、ユーザーレベルではあくまでも心がけ程度の話だが、身近な文房具からSDGsに取り組むメーカーを応援するのは、悪い話ではないだろう。

↑もちろんパッケージもエコなダンボール製。側面にフルート(ダンボールの断面)が見えているのがオシャレ

 

↑開封時は、ストッパーを外すと……

 

↑重なったジャバラがほどけて、このように開く。この構造はかなりカッコイイ!

 

ちなみにパッケージも脱プラを目指して、ダンボール製となっている。薄いダンボールをジャバラに重ねて厚みを出している構造がなかなか面白く、このままプレゼント用にしても違和感のないオシャレさなのだ。

↑パッケージ下部には、ちょっと工作マインドをくすぐるパーツが並ぶ

 

↑切り抜いて組み立てると、このとおりペンスタンドに

 

↑スタンドはまっすぐペンが立つので、やはりフラッグペンが最も似合う

 

さらによく見ると、パッケージからなにかパーツが切り抜けるようになっていた。これを切り抜いて組み立ててみる(のりか接着剤があるとラク)と、ペン1本が入るペン立てが出来上がるのだ。特に「フラッグペン」シリーズを立てるとしっくりハマる感じ。机に立てておくとなかなかキュンとくる雰囲気になるので、入手された方はぜひ組み立ててみて欲しい。

 

 

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ボールペンの書き心地は重心バランスがカギ! 三菱鉛筆「ユニボール ワン F」は驚異的なしっくり感を備える

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第15回となる今回は?

 

第15話

三菱鉛筆
ユニボール ワン F
300円(税別)

低重心で安定した筆記を叶える「スタビライザー機構」を搭載したゲルインクボールペン。より濃くくっきり書ける顔料インクを採用している。ボディは、くすみ色をベースに、時の経過を感じさせる褪せた色合いの7色展開。「消炭」や「無垢」、「花霞」など美しい色名にも注目だ。

 

重心の絶妙な位置調整で筆記具の可能性を拓く

2021年9月に発売された三菱鉛筆のボールペン「ユニボール ワン F」は、昨年発売されたユニボール ワンの上位モデル。もとのペン自体がすでに洗練されたものではあったのですが、本品はその高級版という枠には留まらない、より革新的で、今後極めて大きな意味を持つペンとなる可能性を秘めています。

 

その理由をひと言で言えば、「ペンの“重心バランス”を見直し、その最適解を提示してみせた」となるでしょうか。

 

近年、ペンの重心の位置が書き心地を大きく左右することが知られるようになり、特にペン先側に重心を寄せた「フロントヘビー」なペンが増えてきました。これはペンを短く持つ人にとっては確かに扱いやすいのですが、だからといってただ闇雲にペン先だけを重くしたのでは、また別の持ちにくさが生じてしまいます。

 

それに対してユニボール ワン Fは、重心の位置をペン先のやや後ろ、ちょうどグリップの真ん中あたりと定め、わざわざ内部に金属パーツを仕込んでチューニングを施しています。この効果は絶大で、持ったときのしっくり感、ペン先のコントロールのしやすさは驚異的なレベル。握った瞬間、明らかに「何か違う」と感じられるインパクトがあります。

 

これが意味するのは、“筆記具にはまだ未開拓の領域があり、進化の余地が残されている”というのを実証してみせたこと。ここで示した可能性により、ペンはまた新たな次元に突入するかもしれません。

↑ペン先に金属パーツを内蔵。オレンジ色の部分が、金属パーツを使用している部分を示している

 

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【第1話~第13話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第14話】ゲルインクボールペン「ボールサインiD」を低重心にする先端パーツをメーカーが公認した理由とは

音ハラスメント意識の強いミレニアル世代向け、ぺんてるから静音設計ボールペン「Calme」登場

ぺんてるは、単色ボールペンと多色・多機能ボールペンでそれぞれ異なる静音設計を採用した、静音油性ボールペンシリーズ「Calme(カルム)」を発表。12月15日から全国の文具取り扱い店舗で順次発売します。ラインアップと価格は以下のとおりです。

 

Calme 単色ボールペン/0.5mm、0.7mm/各165円(税込)
Calme 3色ボールペン/0.5mm、0.7mm/各440円(税込)
Calme 多機能ペン/2色ボールペン0.5mm+シャープペン0.5mm)/各550円(税込)
Calme 多機能ペン/2色ボールペン0.7mm+シャープペン0.5mm)/各550円(税込)

 

Calmeは、「音ハラスメント」意識を持った、20~30代を中心としたミレニアル世代に向けて、「自分も周りも“穏やかに心地よく”」をコンセプトに掲げた製品。シリーズ全体で静音性を実現するために、単色ボールペンと多色・多機能ボールペンで、それぞれ最適な機構を開発しています。これにより、ボールペンのノック時の操作音を、従来製品に比べて66%低減したそうです。

 

また、ノック時に手に感じる衝撃を和らげ、書きやすさを実現しているとのこと。

 

さらに、軸にはカメラに使われることが多い、革シボ加工技術を生かした革調のグリップを採用したほか、濃くて発色が良いうえになめらかな油性インキを搭載。使い心地にも注力しています。

 

単色ボールペンは軸色違いがあり、黒/カーキ/グレイッシュホワイト/レッド/ブルーを用意。また、インキ色は黒、赤、青があります。

 

一方の3色ボールペンと多機能ペンは、黒/カーキ/グレイッシュホワイトの軸色をそろえています。

人気のホワイトボードノートの進化版「Write White+」が学研ステイフルから登場

学研ステイフルはホワイトボードノート「Write White+」を発売しました。ラインアップは、「WW+ホワイトボードノート A5タイプ」全2種と、「WW+ホワイトボードノート B5タイプ」全2種をそろえ、価格はA5タイプが1320円(税込)、B5タイプが1430円(税込)です。

 

Write White+は、2020年11月に発売されて以降人気の高い「Write White」の進化版。ノートには、ToDoリスト/方眼/無地の3種類のフォーマットが入っており、仕事はもちろん、暮らしでも役立つとしています。

 

また、書いたものをうっかり消さないようにしたり、重ね書きしたりもできる、透明の保護シートが付いています。なお、A5タイプ・B5タイプともにページ数は6ページとなっています。

 

ゲルインクボールペン「ボールサインiD」を低重心にする先端パーツをメーカーが公認した理由とは

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第14回となる今回は?

 

第14話

UO
ステンレス製先栓
550円(税込)

「ボールサイン iD」のプラスチック製の口金の置き換えパーツ。純正のクリップと同じステンレス製で、装着すると高級筆記具のような低重心の書き心地になる。

 

↑ベースとなる、サクラクレパスのゲルインクボールペン「ボールサイン iD」

 

デザイン事務所とサクラクレパスのこだわりが生んだ完成形

2020年12月に発売されたサクラクレパスの「ボールサインiD」は、インクが普通の黒以外に、ブルーブラック、ブラウンブラック、グリーンブラック等々、黒系のバリエーションのみで6色も揃っているという、なんともマニアックな一本でした。直線的なフォルムながらエッジを丸めたデザインも良く、全体的にとても良いペンなのですが、一点、ペン先の三角部品(口金)が樹脂製で、色味・成形ともにやや浮いているのが残念でした。

 

ところがその半年後、このペンのデザインを手掛けた浜松のデザイン事務所「UO」がボールサインiD専用の口金パーツ「ステンレス製先栓」を限定発売したのです。しかもサクラクレパス公認で。

 

想像するにおそらく、もともと金属製としてデザインしていたものの、価格を220円に抑えるために泣く泣く断念……したものの、やはり本来の形でも使ってほしい、との熱い思いから販売に踏み切ったのだと思われます。そんな話、ほかに聞いたことないんですが。

 

しかもこれには続きがあって、2021年10月にはなんとサクラクレパス本体が、口金を金属製にした「ボールサインiD プラス」を発売することになったのです。価格は385円、インクは黒系3色のみとなってしまいましたが、それを補って余りある完成度の高さ。いや、初代の軽やかさだって決して悪くなかったんですけども。

 

ともあれ、現代国産ボールペンの解像度の高さ、ぜひあなたも手に取って味わってみてください。

 

↑削り出しの金属製の口金を搭載する「ボールサインiD プラス」もラインナップ。インクは、ピュアブラック、ナイトブラック、フォレストブラックの3色だ

 

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【第13話】定番の油性ボールペン「ビックオレンジEG」がまさかの廃番! 後継モデルもさすがの書き味だが……
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秘密は軸にあり!「サラサナノ」が極細ゲルインクボールペンなのにガリガリしない理由

ゲルインクボールペンの0.3mm径というのは、かなり扱いが難しいと、筆者は思っている。立ち位置は、現在のゲルインクボールペン市場では最も細いボール径。この“細さ”がクセモノで、どうしてもガリガリとした引っかかりの強い筆記感になってしまうのだ。

 

つまり、ボールが小さいだけに紙の繊維などの微細な凹凸に足を取られやすかったり、先端が鋭すぎて紙の表面を掘ってしまったり、という状態である。「このガリガリした書き味がいい!」という人以外にとって快適じゃないのはもちろん、このガリガリした衝撃によってペン先が跳ねてしまい、カスレが発生しやすいのも問題と言える。

 

筆者も、ゲルインクの細径が好きでメイン筆記具にしているが、それでも0.38mm(≒0.4mmクラス)。この0.1mmの差は数字以上に大きくて、正直、自分には0.3mmは使いこなせないなー、と諦めていたのである。

 

しかし、2021年11月に発売されたゲルインク0.3mmの新製品が、試してみるとなかなかに面白い。特殊な構造で、ガリガリ感を抑える工夫がされているのだ。

 

極細0.3mmでもガリガリしないゲルインクボールペンとは?

その新製品というのが、ゼブラから発売された「サラサナノ」。名前でお分かりの通り、ゲルインクの王者こと「サラサ」シリーズに新たにラインアップされた、0.3mm径のボールペンである。

 

ゼブラ
サラサナノ0.3mm、全 32
各200円(税別)

 

ちなみに、シリーズの大看板である「サラサクリップ」にも、以前から0.3mm径は存在している。ただ、個人的な感覚では「サラサとはいえ、やっぱり0.3はガリガリするよなー」という印象のペンだった。実は「サラサナノ」のインクリフィル部分は、この従来の「サラサクリップ」0.3mmと共通なのである。

 

えっ、じゃあ結局ガリガリじゃん! と考えるのは、早計に過ぎる。不快なガリガリを抑制する工夫は、リフィルではなく軸の方にあるのだ。

 

ガリガリ抑制の仕組みとは?

↑引っかかる感じが少なく、細い線がサラッと軽く書ける筆記性能は、非常に優秀

 

「サラサナノ」のボディには、バネが2本内蔵されている。1本はノックの制御を行うための口金内部の前バネ。こちらは、ノック式ボールペンすべてに入っているお馴染みのやつだ。

 

そしてもう1本が、軸後端に収まっている振動抑制用の後バネ。「うるふわクッション」と名付けられたパーツである。この後バネが、サスペンションとなってリフィルの上下動を吸収。ガリガリした振動を抑制する、という仕組みなのだ。

 

↑ペン先がバネで上下に動くことで、紙表面の凹凸を乗り越えやすく、強い筆圧を逃がす効果も得られる(写真提供:ゼブラ)

 

↑ノックボタンの下に位置する黒いパーツが「うるふわクッション」。これがバネを内蔵したサスペンションだ

 

サスペンションとはいっても、書く際にブワブワ動くほどではなく、タッチは硬め。筆圧をグイッと強くかけると少し沈むかな? 程度なので、違和感はないだろう。

 

しかし、この“硬いサス”こと「うるふわクッション」が、思った以上に良く効く。小さな字を書くにも、これまでなら紙の繊維に引っかかってガリガリと揺れていたペン先が、かなりスムーズに動かせるのである。この書きやすさは「本当にサラサ0.3と同じリフィルなの?」と驚くほど。他社のゲルインク0.3mm径と比較しても、引っかかりの少ない書きやすさはトップクラスだと感じた。

 

ザラザラしてペン先が引っかかりやすい付箋の書き味は?

↑コピー用紙やノートよりも平滑度が低い付箋の紙でも、サラサラと快適筆記

 

従来のゲル0.3mm径にとって、付箋は鬼門だったと言える。付箋は書き込み面積が少ないだけに、細い字で書き込みたい。しかし表面がザラッとしている(平滑度が低い)ため、特にペン先がガリッと引っかかる率が非常に高かったのである。

 

そこで「サラサナノ」を付箋書き込みに使ってみると……おおー、確実に書きやすい! 筆者は今まで、付箋への書き込みは油性の0.3mm径を使っていたのだが、今後は「サラサナノ」に切り替えても良さそうだ。

 

↑鼓型に削りこんだ不思議な形状の口金。メーカーリリースには「先端視界を確保しやすい」とあるが、あまりその効果は体感できなかった……

 

もうひとつ、口金の金属化も大きなポイントで、先端重量を増やして低重心化し、書きやすさを高めている。

 

これは明らかに、昨今のボールペントレンドのひとつ。先だってもこの連載で、“300円帯ボールペン”として「ユニボール ワン F」と「ボールサインiD plus」を紹介したが、つまりは従来の100~200円のボールペンを、リフィルはそのまま、軸や口金部分のアップグレードで低重心・高品質化させる……という方向性だ。

強みは書き心地を高める低重心! 新価格帯「300円ボールペン」の真価とは?
https://getnavi.jp/stationery/675698/

 

しかし、それらと同じ方向性でありつつ、それを一段安い200円帯で売ってしまうあたり、いかにも“学生の味方”であるゼブラらしい。

 

↑全32色のカラーラインナップ。人気のビンテージカラーなども揃って、ローンチの時点ですでに充実感が高い(写真提供:ゼブラ)

 

カラーラインアップも、0.3mm径としては一気に最多クラスとなる32色。これまで「サラサクリップ」0.mmが20色だったので、1.5倍以上も増えたということになる。

 

もともと、0.3mm径はインクカラーの選択肢が少なめということもあって、この32色という大ボリュームも「サラサナノ」を選ぶ理由として大きいのではないだろうか。

 

 

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強みは書き心地を高める低重心! 新価格帯「300円ボールペン」の真価とは?

日本の文房具業界とは本当に凄いところで、毎回なにか新しい動きがあるたびに「おお、そう来たか!」と驚かされている。例えばボールペンひとつ取ってみても、最近であれば低粘度油性の超極細化であったり、ゲルインクの多彩化であったりと、様々な“そう来たか”ムーブメントが生まれている。

 

そこへ今秋頃から、新たに文房具メーカーがぶつけてきた“そう来たか”が、これまで「アクロ300」(パイロット)ぐらいしかなかった、単色ボールペンの300円帯という新ジャンルである。

 

これまでの国産単色ボールペンは、だいたい100円~200円と、1000円以上という価格帯で分けられていた。端的に言えば、普通/高級、というシンプルなゾーニングだったのだが、この間にいきなり割り込んできたのが、300円帯なのだ。

 

この300円帯ボールペンが面白いのは、既存の100~200円帯ボールペンブランドを、見た目の高級感ではなく機能面でアップデートさせた、という部分だろう。

 

では、価格が300円前後になったことで、何がどう良くなったのか? 今回は、そのあたりをじっくりと確認したい。

 

300円帯になることで実現した「ユニボールワン」の完成形

まず300円帯という新ジャンルの先陣を切ったのが、2021年9月に発売された三菱鉛筆の「ユニボール ワン  F」。くっきり濃いゲルインクで、昨年大きな話題となった「ユニボール ワン」の新モデル、という立ち位置となっている。

 

搭載インクは黒のみなのに対して、ボディは「無垢」や「茜空」などくすみのある和色という演出も面白い。ボール径0.38mmが4色(消炭=Fブラック、無垢=Fグレー、花霞=Fピンク、日向夏=Fイエロー)、0.5mmが3色(霜柱=Fブルー、葉雫=Fグリーン、茜空=Fレッド)。ちなみにリフィルは従来と共通なので、インク色・ボール径ともに好みで入れ替えが可能だ。

 

三菱鉛筆
ユニボール ワン F
0.5mm径/0.38mm径
各300円(税別)

 

先ほど300円帯に対して「見た目の高級感ではなく機能面でアップデート」と述べたが、とは言え定価120円(税別)の「ユニボール ワン」と比べると、約200円アップした分のルックスの向上は充分にあるだろう。

 

ゴムグリップを廃して先軸を延長したことでなめらかな流線型ボディとなり、ペン先端までの流れがスラッと非常にシャープな雰囲気になった。ワイヤークリップやノックノブなど、目立つパーツは従来と同じなのに、パッと見の印象はずいぶんリッチに感じられる。

 

↑右が「ユニボール ワン F」。先端から口金、軸へと、一続きに流れる流線型が美しい

 

そして機能面での最大の変更が、「スタビライザー機構」と呼ばれるパーツによる低重心化だ。先端からチラリと金属の口金が覗いているが、実はこの口金パーツはグリップ中ほどまで続いており、先端からグリップにかけての重量を稼いでいる。

 

この“グリップ中ほどまでが重い”という前掛かりな重量バランスが、非常に絶妙。重心の取れた位置(スイートスポット)で握ると、不快な重さは感じず、しっとりと吸い付くような握り心地となるのだ。なるほど、これは確かにスタビライザー(安定装置)だと納得させられた。

 

↑グリップまで貫通している金属製のスタビライザーパーツ。これだけでもずっしりとした重みがある

 

↑握るスイートスポットはグリップ中~後側。先側の持ち癖がある人だと、握り位置を矯正されるような感覚があるかもしれない

 

↑「ユニボールワン」(上)との重心位置の比較。10mm以上も低重心化しているのが分かる

 

このしっとりと吸い付くようなバランスによって、ペン先が指の動きにきれいに追随。さらに先端の金属化で寸法精度が上がったことで、リフィルのカチャカチャする先ブレを抑え込む効果(ゼブラ「ブレン」ほどではないが、ブレにくい)も加わり、とにかく書き心地が良い。

 

普段はボールペンの重量バランスなんか気にしたこともない、というユーザーでも、握ればまず「ん?なんか今までと違うぞ?」と気付くレベルで、これは体験的にかなり斬新な製品だと思われる。

 

↑ただ重いのではなく、安定感の高さを感じる。正直、これは体験してみて欲しい

 

書いていて感じたのは「コスト的に『ユニボール ワン』ではできなかったこと(シャープなデザインやスタビライザーの搭載)が、価格帯のステージをひとつ上げることで可能になったんだな」ということ。

 

もしかすると、三菱鉛筆が開発時にまず想定していた「ユニボール ワン」の完成形こそが、この「ユニボール ワン F」というモデルなのかもしれない。価格は上がっているものの、むしろ「これが300円台で買えていいの?」という驚きすらある仕上がり具合である。

 

“ラインナップ全部黒”の「ボールサインiD」も300円化

サクラクレパスから2021年10月下旬に発売された「ボールサインiD plus」も、注目の300円帯ボールペンだ。こちらも、先行して発売されている「ボールサインiD」のアップデートモデルという立ち位置となっている。

サクラクレパス
ボールサインiD plus
シルバー軸(0.4mm径)/ブラック軸(0.5mm径)
各350円(税別)

 

6色のカラーブラック系ゲルインクでラインナップを揃えたことで、人気の高い「ボールサインiD」だが、後ろ重心めのバランスや、やたらとツルツルしてグリップ感の弱いボディは、筆者個人として少し残念に感じていた。

 

ところが「ボールサインiD plus」として300円帯にステージを上げたことで、このネガティブをスパッと解決してしまったのである。

 

↑「ボールサインiD plus」(右)は先端視界を確保するためか、段差をつけて先を絞った口金が特徴的。軸と口金の結合部で段差が減っており、先持ち癖の人にも使いやすくなった

 

↑「ボールサインiD」(上)との重心位置の比較。なんと15mm近くも低重心になっている

 

↑口金は単体で約4.0gと、かなりズッシリ

 

バランスについては、先端をプラから金属の口金に変更することで低重心化。やや後ろ重心気味だった「ボールサインiD」と比べると、書き味がかなり良くなったように思う。先端だけに重みがかかるため、早書きをする際には多少振り回される感覚はあるが、使っているうちに慣れるだろう。

 

実は、口金による低重心化に関しては、「ボールサインiD」のデザインを担当したUOデザインから、口金を金属化する「ステンレス製先栓」というカスタムパーツが今年6月に発売されていたのである(しかもサクラクレパス公認)。デザインした事務所に続いて、メーカーも同じ方向でアップデートしてきたということはやはり、これが本来あるべきボールサインiDの完成形だった、と考えるべきだろう。

 

↑個人的にはこれが最高にありがたい、軸のグリップ力アップ

 

さらに、これまでツルツルだったボディには、全体にマットなゴム系の塗装が施された。実のところ、改善点としてはこちらの方がとても嬉しい。

 

なにしろ「ボールサインiD」は、手汗をかくと握るのがつらいレベルでツルツルしていたため、インク色などは非常に気に入っていたものの、夏場には使えないなぁと感じていたのである。対して、新たに塗装されたボディは手触りもしっとりしており、握った指先に気持ちの良い摩擦がかかるようになった。これなら安心して握れて、長時間筆記でも指の疲労が減るはず。

 

↑価格は150円以上も上がるが、書きやすさの点でplusを選ばない理由はない! と感じるほど優秀

 

ただし、残念なことがひとつ。「6色全て黒」が話題だった同シリーズだが、「ボールサインiD plus」ではカラーラインナップを絞り、ピュアブラック(ブラック)、ナイトブラック(ブルーブラック)、フォレストブラック(グリーンブラック)の3色のみとなってしまった。価格を上げるうえで人気の高い色に絞った、ということは理解できるが、ミステリアスブラック(パープルブラック)を愛用していた筆者としては、削り落とされちゃったなー、という寂しい気持ちにもなった。

 

もちろんリフィルは従来と共通なので、入れ替えてしまえば済む話ではあるのだけど……とはいえノックノブのパーツカラーと齟齬が出てしまうのは、もったいないところである。

 

 

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定番の油性ボールペン「ビックオレンジEG」がまさかの廃番! 後継モデルもさすがの書き味だが……

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第13回となる今回は?

 

第13話

 

 

ビック
BIC オレンジEG(左)
110円(税込)

1961年に誕生し、「オレンジBIC」の名で親しまれる油性ボールペン。手ごろな価格ながら、書き心地とデザイン性に優れ、“定番ボールペン”として世界中で愛されてきた。60周年を迎えた今年、廃番が決定。ファンの間に激震が走った。

 

↑後継モデル(110円・税込)の筆記距離は従来品より長い3.5km。インク残量が見やすいクリアボディだ

 

後継モデルでは拭えない淋しさから、いつか来るツールの“寿命”に思いを馳せた

「BIC オレンジEG」が廃番になると聞いて驚きました。OKB(お気に入りボールペン)総選挙を主催して10年間、様々な定番品がカタログから消えていくのを目の当たりにしてきましたが、これはさすがに大丈夫だろうとタカをくくっていたからです。なにせ1961年発売の大先輩。世界中で愛されている油性ボールペンの代名詞的な存在であり(欧米では特に)、それがまさか……いや、考えてみれば、まさにその巨大さゆえに、昨今のアナログ道具離れや、安価で高品質な日本製ボールペンの台頭のダメージを直に被っていたのかもしれません。

 

しかし、幸いにも後継となる「BIC クリスタルオリジナルファイン0.8 黒インク」がすぐに発表され、すでに市場に出回り始めています。こちらはその名のとおり綺麗なオレンジの透明軸で、筆記距離は1.75倍に伸び、環境への配慮も行き届いています。書き味はBICらしい重みと粘りがあり、旧ファンにも親しみやすいバランスになっているのは流石です。ただし、先代の“不透明軸ならではのレトロなキュートさ”は失われてしまいました———やはり、一抹の淋しさは拭いきれません。

 

いま、あなたが愛用しているそのツールだって、いつかきっとなくなる日が来る。そんなプロダクトの「寿命」に少しだけ思いを馳せてみると、目の前の風景が変わって見えてくるはずです。我々は別れから、残されたものの価値を知ることができるのです。

 

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【第1話~第11話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第12話】滑らかながら心地良い手応えを備える! 三菱鉛筆「ジェットストリーム」が15年にわたり最高のボールペンであり続ける理由
https://getnavi.jp/stationery/637544/

 

三菱鉛筆が世界で初めて紙製のリフィルを開発、プラスチックを約88%削減可能に

三菱鉛筆は、主原料に紙を使用したインク収容管を用いたリフィルの開発に成功したと発表しました。紙を主原料にしたリフィルの開発は世界で初めてとするほか、開発は日本製紙と昭和丸筒の協力を得たとのこと。

 

この紙製のリフィルは、3層の独自開発紙と最外層のパーチメント紙で構成された、全4層構造を採用。開発では、使用するインクの浸透性やガスバリア性などのインクに関わる特性と、紙管の機械的性質である反発力やリフィルの巻き強度などにおいてテストを重ねたとしています。

 

開発の結果、インクが長期間リフィル内にあってもインク漏れや染み出し、巻き形状のほつれなどは発生せず、形状を維持することが可能な構造を実現したそうです。これにより、従来のリフィルに比べてプラスチックを約88%減らすことが可能になります。

 

使用されるインクは、なめらか油性ボールペンの「ジェットストリームインク」。加えて、インク量はジェットストリーム スタンダード(SXN-150系)リフィルの約1.6倍となっており、従来品に比べて長い期間使用できます。

 

なお、製品化については今回アナウンスされていません。今後市販されるのを楽しみに待ちたいところです。

ボールペン派の物欲も刺激!? 速記や強筆圧に耐えるシャープペン「オレンズネロ 0.5」をレビュー【動画ダイジェスト】

仕事や勉強など、作業がはかどる機能をもつ「はかどり文房具」の頂点を、ファンの厳正なる投票で決定する「文房具総選挙」。2021年の文房具総選挙で、トレンド部門「勉強がはかどる! 学生応援文房具」部門の部門賞に輝いたのが、ぺんてる「オレンズネロ 0.5」です。

 

GetNaviのYouTubeチャンネル「GetNaviチャンネル」では、同イベントで各部門の1位に輝いたアイテムを新人編集部員・小山雅斗(以下、小山くん)がレビューする動画を公開中。今回は、この「オレンズネロ 0.5」のレビュー動画をダイジェストでお届けします。

↑今回レビューする「オレンズネロ 0.5」を手にする小山くん

 

ぺんてる
オレンズネロ 0.5
3300円(税込)

 

芯が折れないシャープペン

「オレンズネロ 0.5」は、ぺんてるの人気シャープペンシリーズ「オレンズ」の最上位モデル「オレンズネロ」の芯径0.5mmモデル。

スタイリッシュでカッコいいデザインと、芯がなくなるまで折れずに書き続けられるのが特長です。

 

本当に芯は折れないのか、検証 

社会人になってからは、もっぱらボールペン派だという小山くん。今回は、本当に芯が折れることなく使い切ることができるのか、検証していきます。

通常のシャープペンシルは、2〜3回ノックした状態で筆記をするのに対し、「オレンズネロ 0.5」は最初のワンノックだけで、あとは芯を繰り出さずに使用するとのこと。

 

↑「オレンズネロ 0.5」で紙に文章を書いていく小山くん

 

「本当なのかチェックしていきます……」と半信半疑で紙に文章を書いてみたところ、しっかりと文章が書けました。

 

このあと、小山くんは4行にもわたる文章を筆記。その間、一度も芯が折れることはありませんでした。

 

小山くんが実際に使用した感想

実際に書いてみた感想を小山くんは「芯がなくなるまで、書き続けられちゃうんじゃないかと思いました。しかも僕、結構筆圧が強めなんですけど、全然芯が折れる感じがなかったです。これはね、ボールペンから変えてもいいかなって思っちゃいました」と満足そうに話しました。

 

さらに「学生さんとか、たくさんノートを取る授業もあると思うので、これを使うの、めちゃくちゃ良いと思います。さらに見た目もスタイリッシュでカッコ良いので、見た目にこだわりたい方にも良いと思います」と太鼓判。

 

そうして導き出された、小山くんの結論。

 

詳しくは動画をご覧ください

 

文=於 ありさ

 

名前通りの無敵っぷり!文房具総選挙2021大賞「ガテン無敵マーカーPRO」の威力を検証【動画ダイジェスト】

仕事や勉強など、作業がはかどる機能をもつ「はかどり文房具」の頂点を、ファンの厳正なる投票で決定する「文房具総選挙」。2021年の文房具総選挙で、機能部門「書く・消す」部門の部門賞と同時に、見事「大賞」に輝いたのが、寺西化学工業「ガテン無敵マーカーPRO」です。

 

GetNaviのYouTubeチャンネル「GetNaviチャンネル」では、同イベントで各部門の1位に輝いたアイテムを新人編集部員・小山雅斗(以下、小山くん)がレビューする動画を公開中。今回は、この「ガテン無敵マーカーPRO」のレビュー動画をダイジェストでお届けします。

↑今回レビューする「ガテン無敵マーカーPRO」を手にする小山くん

 

寺西化学工業
ガテン無敵マーカーPRO
253円(おの型)、473円(極太)(ともに税込)

 

濡れているものに書ける無敵のマーカー

「ガテン無敵マーカーPRO」は、水に強いインクと耐摩耗性に優れた強化型ペン先を採用した油性ペン。

濡れても落ちないどころか、濡れたものにも書ける、商品名同様に無敵なアイテムです。

 

見た目も強い……。

 

実際にどのくらい落ちないのか徹底検証

今回は実際に濡れている環境で使用してみて、本当に書けるのかを検証するとのこと。

 

用意したのは濡れたジップロックと、濡れたスマートフォンケース(ハード)。

小山くん、水滴が画面越しでもわかるほど、しっかりと濡らした状態で検証に挑みます。

 

準備も完了したところで、いよいよ検証スタート! まずは濡れたジップロックから。

「見た感じは擦ったら消えそうですが……」と小山くん。

 

そのあまりの落ちなさに驚きを見せながら、机に置いて強めに擦ってみるも全く落ちず、手にもつきません。

 

興奮気味で、さらに文字を書き足す小山くん。今度は書いてすぐに擦ってみますが……

その威力は変わらず!

 

これには小山くんも「書き終わってから、かなり早めに触っているんですけど、全然取れないですね。これはちょっと感動します」と嬉しそう。次に、異素材のスマホケースに筆記。

こちらも威力は変わることなく、「正直、これは新感覚ですね」と小山くん。

 

「だって、濡れてなくても書いてすぐの状態で擦ったら落ちるじゃないですか。これ、本当に書いてから数秒で擦っているのに全然取れない!」と感動した様子を見せていました。

 

小山くんが実際に使用した感想

実際に検証してみて小山くんは「ここまで落ちないし、いろんな材質に書けるとなると、今までのペンとはちょっと違った用途だったりとか、今まで書いていたんだけど、洗うたびに落ちちゃうもの、例えばお子さんが使っているアイテムだとかに使っても、相当解決するんじゃないかな。大賞取るのも納得の強さです!」と振り返り。

 

そうして導き出された、小山くんの結論。

 

詳しくは動画をご覧ください

 

文=於 ありさ

 

ウイスキーの樽から生まれた、“クセになる、なめらかな書き味”の多機能ペンが限定発売

三菱鉛筆は、ウイスキーの樽材をペン軸に再利用した「ピュアモルト」シリーズから、“クセになる、なめらかな書き味”の「ジェットストリーム」リフィルを搭載した多機能ペン「ピュアモルト ジェットストリームインサイド 4&1 5機能ペン」を、数量限定で10月26日に発売します。参考価格は2200円。

↑左上からホットワインレッド、トワイライトブルー、ブライトイエロー、ホリデイグリーン

 

今回発売する限定軸色は、秋冬の季節感を反映し温かみのある軸色に仕上げた、上位バージョン「oak wood premium edition」です。秋から冬にかけての景色の移ろいや、家の中でのゆったりとした時間を過ごす情景を、軸のカラーリング、ロゴ印刷色、軸色名で表現。

 

「ホットワインレッド」は、家でホットワインを飲んでいるときに白い湯気が立っている様子を、「トワイライトブルー」は、明け方の冬空と雲を、「ブライトイエロー」は、秋の散歩道で目にするイチョウ並木を、「ホリデイグリーン」は、クリスマスリースやオーナメントの色合いをイメージ。ピュアモルト限定軸色シリーズでは初めてのマット塗装を採用しています。

↑ホットワインレッド

 

ボール径は0.5mm。インク色は黒、赤、青、緑の4色で、芯径0.5mmのシャープも搭載。書類・資料の色分けした書き込みや、手帳への筆記に最適です。

 

ウイスキーを熟成した樽材(オーク材)をペン軸に使用している「ピュアモルト」シリーズは2000年に発売。ウイスキー樽の味わいや、木目の個体差、使い込むことによるエイジングを楽しめます。

「うるふわクッション」で書き心地が進化! 極細ジェルボールペン「サラサナノ」

ゼブラは、極細ジェルボールペン「サラサナノ」を、11月5日に発売します。税込価格は220円。

↑上段左から、ビリジアン、緑、フレッシュグリーン、ライトグリーン、黄、オレンジ、レッドオレンジ、バーミリオン、赤、ピンク、ライトピンク、マゼンタ、紫、茶、グレー、黒
下段左から、セピアブラック、ダークグレー、ブラウングレー、レッドブラック、キャメルイエロー、カシスブラック、ボルドーパープル、グリーンブラック、ブルーブラック、ブルーグレー、青、コバルトブルー、ペールブルー、ライトブルー、ナイトブルー、ブルーグリーン

 

同製品は、ペンの上部にスプリングを加えた「うるふわクッション」を採用。筆圧に応じて中芯が上下に動くようになり、筆記時のガリガリ感がスプリングで吸収され、ペン先の紙へのひっかかりが少なくなって、インクが安定して出るようになりました。さらさらとした書き心地で、くっきりキレイな線を書くことができます。

 

豊富な32色のラインナップで、手帳に色分けして書き込んだり、日記を装飾したり、よりカラフルで多彩な表現が可能。

 

ジェルインクのみずみずしさをクリップやノックの透明部分で表現したデザインで、金属製の先端部分は、書いているところが見えやすいような形状になっており、ほどよい低重心を実現しています。

サクラクレパスの大人のための筆記具からカスタム式のボールぺンが登場! 新色「漆黒」のインキも

サクラクレパスは2021年11月上旬から、「SAKURA craft_lab 006」を発売すると発表しました。

 

大人に「かく」喜びを届ける筆記用具として開発されているSAKURA craft_labシリーズ。ユーザーからの支持に加え、文房具店店員が自腹でも買いたい文房具を選ぶ「文房具屋さん大賞」を複数回受賞するなど、プロからも厚い信頼を寄せられている商品です。

 

いまだかつてない深い黒「漆黒」のインキも登場

今回発売される「006」は、カスタマイズ方式で組み立てるキャップ式単色ゲルインキボールペン。ボディ、コア、クリップ、レフィルのそれぞれのパーツを自由に選び、288通りのカスタマイズを楽しめます。ボール径は0.5mmで、インキカラーは、漆黒、ブラック、ブルーブラック、ブラウンブラック、ボルドーブラック、グリーンブラックの全6色を用意しました。新色として初登場する漆黒は、通常の黒よりも濃度が高く、いままでにない深く濃い黒となっています。

 

SAKURA craft_lab 006の税込価格は、ペンに組み合わせた状態で、2万8050円〜3万4650円。レフィルは、漆黒のみ275円、それ以外は220円です。

サクラクレパスの創業100周年記念商品第2弾は、エイジングを楽しめる金属製ボールペン

サクラクレパスは、創業100周年記念商品第2弾として、2021年10月下旬から「SAKURA craft_lab 001Sエイジングエディション」を発売します。本製品は、創業100周年記念商品第1弾として2021年2月に発売された「SAKURA craft_lab 001S」と金属研磨剤、吹き上げ用クロスがセットになったものです。

 

100周年記念商品の金属製ボールペンと限定ラベルの研磨剤がセットに

SAKURA craft_labは、2017年から続く、”大人に「かく」喜びを届ける筆記用具”ブランド。そのブランドから発売された同社の100周年記念商品第1弾は、「SAKURA craft_lab 001」をベースに、軸をオール金属にした回転式単色ゲルインキボールペンでした。

 

これだけでも十分に高級感があるのですが、今回発売されたエイジングエディションは、ボールペンに加え金属研磨剤と拭き上げ用のクロスがセットになり、金属の醸し出す余韻をより楽しめる製品になりました。また、金属研磨剤のチューブには、SAKURA craft_labの世界観をイメージしたラベルが貼られています。

 

SAKURA craft_lab 001Sのカラーは、真鍮(ブラスゴールド)と、洋白(ニッケルシルバー)の2色でしたが、エイジングエディションではブラスゴールドとなります。

 

ペンの軸には、「SAKURA1921-2021」の刻印が入ります。ボール径は0.5mm。ブルーブラックのインキが標準装着されています。

 

SAKURA craft_lab 001Sエイジングエディションの税込価格は1万3200円です。

滑らかながら心地良い手応えを備える! 三菱鉛筆「ジェットストリーム」が15年にわたり最高のボールペンであり続ける理由

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第12回となる今回は?

 

第12話

三菱鉛筆
ジェットストリーム スタンダード
165円(税込)

2006年に登場し、「低粘度油性ボールペン」というジャンルを生み出したエポックメイキングなペン。“クセになる、なめらかな書き味”がコンセプトで、従来の油性ボールペンよりも摩擦係数が最大50%軽減された「ジェットストリームインク」を搭載している。くっきり濃く書け、乾きが速いのも特徴だ。

 

筆記具は、書き手と共に“在る”ことを求められている

ペン先のボールが回転している感じがきちんと伝わってくるのがいいなと、初めて使ったときからずっと思っていました。三菱鉛筆の「ジェットストリーム」。

 

この感触は案外ほかでは味わえないもので、例えるなら「ギアの軽いロードバイクで軽快に飛ばしている感じ」とでもいいましょうか。ホバーのように地表から浮き上がるのではなく、「地面(=紙面)」をしっかりと噛む、そのかすかな手応えと感触をあえて残しているような気がします。

 

これまで当連載でずっと考えてきましたが、あらためて「良い筆記具」とは、いったいどういうものでしょうか? そもそも道具とは、己の内にある思考やイメージを外部に出力するためのものです。そんなバイパスを介さずに脳から直接出せればいいのに……と、もどかしく思うときもありますが、いまの技術でそれは不可能ですし、むしろ「道具」と格闘しているうち(それは「言葉」も含みます)、当人も思っていなかったような高みにまで連れて行ってくれることさえあります。つまり道具とは、使い手を拡張・変容させ得る動的な触媒であり、ならば目指すべきは、存在を透明化することではなく、「心地良く共に“在る”こと」。

 

2006年の発売以後、最高峰のボールペンであり続けるジェットストリームは、単に滑らかだからすごいのではなく、低粘度インクで「透明」になりすぎないよう、踏みとどまったところに、そのすごみと最大の発見があったのです。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第10話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第11話】書き味はペンと紙の組み合わせ次第! コクヨ「ペルパネプ」で「手書き」の妙味を体感できる

https://getnavi.jp/stationery/626085/

変態的ペン先をもつ2色線ペン「twiink(ツインク)」がただのキワモノではない理由

最近の現役中学高校生のノートを見せてもらうと、たいてい驚かされるのが「紙面のカラフルさ」と「色使いの上手さ」である。筆者が中高生の頃(30年以上前)にシャープペンシル+一部に赤ペンで書いていたノートとは、全くの別物。要点や図表に3~5色ぐらいは平気で使い分けているし、それだけ色を使ってもスッキリ見やすいノートが多い=きちんと色分けのメソッドを持った上で書かれているのだ。うーん、すごい!

 

もちろん、平気で他人にノートを見せられるのは、ノートに自信がある人に限られるので、全ての中高生がスゴいノートを作れるわけではないだろう。それにしても、全体的なノート筆記の技術とクオリティは、我々の世代から大きく底上げされているように感じるのである。

 

そして、その要因のひとつに、発色の向上や色数の増大といった「カラーペンの進化」も含まれているはず。ということで今回は、そんなカラーペンの進化形のひとつを紹介したい。

 

正直、我々おじさん世代からとって見ると「え、どういうこと?」と首をひねるような、しかしそれでいて「面白そう……使ってみたい!」とも思わされる、かなり変わった進化形カラーペンなのだ。

 

「ペン先がツイン」という、カラーペンの進化

その変わった進化形というのが、サンスター文具から2021年6月に発売された「twiink(ツインク)」である。一見、外見からはその特異性は分かりづらいかもしれない。

サンスター文具
2色線ペン twiink(ツインク)
各198円(税込)

 

しかし、キャップを外してみると……なんと、色の違うプラ製の極細ペンチップが2本、平行に並んでいるのだ。この「twiink」、それぞれ単色線&単色線&二重線が書き分けられる、1本3役のカラーペンなのである。

↑カラーペンとしてはかなり珍しい、並列の細字ツインチップ

 

↑並列ツインチップといってまず思い当たるのは、コクヨ「2トーンカラーマーカー mark+」(下)。「twiink」(上)と比べるとやはり雰囲気は近い

 

【関連記事】チップからチップが生えてる…!? 次世代ラインマーカーの刺客、サンスター文具「Ninipie(ニニピー)」の仕組みと使い心地をレビュー

 

実際に二重線で文字を書いてみよう。視界がブレているみたいで、ちょっと酔ったような気持ち悪さもあるが、インパクトの大きさは間違いないところだろう。人目を引くので、店頭POPなどの文字書きに使うのも良さそう。とにかく「目立つ」の一点突破ペンとして持っておくのも面白いんじゃないだろうか。

↑単色で使う場合は、チップが1つだけ紙に当たるように角度をつける。そのままくるっと軸を回せば、素早く別の色にチェンジ

 

……と、ツインチップの二重線ばかりをフォーカスすると、単なる面白ペンでしかない。だが、実は「twiink」の真価は単色にこそある、と思うのだ。

 

単色で書くには、ペンチップが1本だけ紙に当たるような角度で握るだけ。特に違和感なく、普通に細字カラーペンとして書くことができる。そして色を変えたいと思ったら、手の中で軸をひねるように180度回転させれば、もう1色のチップ単色で書けるというわけ。

↑二重線/単線×2色と、持ち替えずに3つの書き分けができるのは面白い機能だ

 

通常通りカラーペンの色を変える場合を考えると、今使ってるペンにキャップを閉めて、持ち替えて、またキャップを開けて……と、どんなにスムーズにやっても数秒はロスをする。さらにその間に集中は途切れるしで、どうしても面倒くささを感じてしまうはずだ。

 

対して「twiink」は、色替えに要するタイムが1秒以下。単色ペンはもとより、ノック式多色ボールペンよりも確実に速い。ノートをカラフルに書きたい場合、この高効率さは見逃せないだろう。

 

↑カラーは8タイプで、ライトブルー・グリーン・バイオレット・ピンク・レッド・オレンジの6色を組み合わせている

 

↑「ライトブルー×レッド」(左)のように違系統色の組み合わせはひと目で分かるが、「オレンジ×ピンク」(右)のような同系色同士は、どちらの色か見分けづらいのが問題か

 

ちなみにカラーラインナップは、2色の組み合わせが8タイプ。基本的には暖色×寒色か、暖色同士または寒色同士という組み合わせになっている。選び方としては、単色ペンとして筆記する機会の方が多いはずなので、単色で使いやすい色から選ぶのがベストだろう。ただ、二重線になったときにインパクトの大きい組み合わせというのもあるので、そちらメインで選ぶのもアリだと思う。

 

 

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芯径0.9mmで色鉛筆のような描画ができるカラーシャープが追加! 三菱鉛筆「EMOTT(エモット)」

三菱鉛筆は、“私らしい色づかいで、毎日を彩る”をコンセプトとして、デザイン性にこだわったブランド「EMOTT(エモット)」から、0.9mmのカラー芯を採用し、色鉛筆に近い表現ができるカラー芯シャープ「EMOTT(エモット)pencil」とカラー替芯「EMOTT(エモット)pencil 替芯」、多彩な色調で0.4mmの細い線を書き続けられる、新開発ペン先の水性サインペン「EMOTT(エモット)新5色セット」を、9月24日に新発売します。

↑EMOTT(エモット)pencil

 

↑EMOTT(エモット)pencil 替芯

 

カラーシャープEMOTT pencilは、0.9mmの太い径のカラー芯を採用し、描線の発色が良く、より濃い描画が可能です。また、筆圧をコントロールすることで濃淡を表現でき、描画の表情に深みをもたらすことができます。同製品は色鉛筆に近い表現ができるという特長から、“シャープペンシル”ではなく、“鉛筆”を意味する“pencil”からEMOTT pencilと名付けられています。また、カラー替芯も同時に発売。税込価格はEMOTT pencilが1100円、替芯は220円です。

 

活力に目覚めるカラー「リフレッシュカラー」(ライトブルー、グリーン、バイオレット、レッド)、太陽の恵みを受けた鮮やかなカラー「トロピカルカラー」(ライトピンク、ライトグリーン、オレンジ、フューシャ)、古き良き時代を思わせるノスタルジックな色合い「ノスタルジックカラー」(ブルーブラック、カーキグリーン、バーミリオン、イエロー)の、3つのカラーグループの4色セットを展開。セットには替芯ケース1本も入っており、替芯ケースには4色のカラー芯が各2本ずつ入っています。EMOTT pencil単色での発売はありません。

↑EMOTT pencil アソート リフレッシュカラー

 

EMOTT 新5色セットは、トレンドカラーの新色と既存色とを組み合わせた5色のカラーグループ。「ニュアンスカラー」「ボタニカルカラー」「ミッドナイトカラー」「バーチャルカラー」の全4種のカラーグループで、パッケージには、それぞれのカラーグループから連想できるイメージビジュアルが正面に施されています。それぞれの5色セットには、今回のセット限定の新色が組み込まれています(新色10色は単色での発売なし)。税込価格は1100円。

↑EMOTT(エモット)新5色セット

 

ニュアンスカラーは心地よい安らぎの色合いで、セット内容はエクリュ(新色)、アッシュローズ(新色)、シーフォグ、スレートブルー(新色)、サックスブルーの5色。ボタニカルカラーは幸せを彩る草花のナチュラルカラーで、アップルグリーン、カーネーション(新色)、グラジオラスレッド(新色)、ベージュ、コルク(新色)の5色です。静寂な夜空の幻想的なカラーがセットになったミッドナイトカラーはレモン、ペールラベンダー(新色)、バイオレット、ブルーブラック(新色)、ブラックの5色で、バーチャルを楽しむポップ・カラーのバーチャルカラーは、ピュアピンク、オレンジビーム(新色)、エメラルドグリーン、ブルー、ライトグレー(新色)がセットになっています。

サクラクレパスの人気シリーズに上質さや書きやすさなどを加えた「ボールサインiD プラス」

サクラクレパスは、ノック式の単色ゲルインキボールペン「ボールサインiD プラス」を発表。10月下旬から発売します。価格は385円(税込)です。

 

ボールサインiD プラスは、6色の黒インキをそろえた人気の単色ボールペン「ボールサインiD」のワンランク上のシリーズ。従来シリーズに上質さ、握りやすさ、書きやすさをプラスしたとしています。

 

黒インキのカラバリは、従来シリーズで人気の色だった「ピュアブラック(ブラック)」「ナイトブラック(ブルーブラック)」「フォレストブラック(グリーンブラック)」をそろえており、ビジネスシーンでもさりげなく個性を表現できるといいます。

 

また、従来シリーズのDNAを引き継ぎ、金属製のクリップや、自然に手にフィットするように六角形と丸形を組み合わせた本体軸を採用。このデザインに上質さを加えるため、新たにペン先の素材には削り出しの金属を使用したほか、本体軸には全体が滑りにくいマットなラバー素材を採用しています。

 

 

さらに、重心が従来シリーズよりも先端にくるようになり、より安定した書き心地を実現しているとのこと。

 

 

ラインアップは、ボール径が0.4mmのシルバー軸と、0.5mm径のブラック軸を用意しています。

発色鮮やかな三菱鉛筆「ユニボールワン」に安定した書き味とテーマ性ある軸色が特徴の「ユニボールワンF」登場

三菱鉛筆は8月31日、ゲルインクボールペン「ユニボールワン」から、軸色や書き味の上質感を高めた「ユニボールワンF」を発表。9月21日に発売します。参考価格は330円(税込)です。

 

ユニボールワンは黒は濃く、カラーは鮮やかに発色することから大人気となっているボールペン。今回登場したユニボールワンFは、テーマ性のある軸色と、低重心で安定した書き味が特徴となっています。

 

軸色は、雑貨や日用品に定着しつつあるくすみ色をベースにしながら、時の経過を感じさせるようなあせた色合いに仕上げています。色の選定にあたっては、日常生活で目にするなにげない景色を採用。「無垢」や「日向夏」などのイメージを軸色にしています。

 

 

また、軸全体のデザインは凹凸部分をかぎりなく減らしたなめらかなフォルムと、ワンポイントになっている先端の金属パーツを採用。シンプルさが際立ちながら洗練された印象にしているそうです。

 

さらに、ペン先の金属パーツは、低重心で安定した書き味を生み出す「スタビライザー機構」を搭載。ユニボールワンの特徴とうたう濃くくっきりとした黒インクを、軽い力でより安定してなめらかに書けるとしています。

 

ラインアップは、ボール径0.38mmで軸色が消炭(Fブラック)、無垢(Fグレー)、花霞(Fピンク)、日向夏(Fイエロー)のモデルと、ボール径0.5mmで軸色が霜柱(Fブルー)、葉雫(Fグリーン)、茜空(Fレッド)のモデルをそろえています。

「BICオレンジEG」廃盤! その後継ボールペン「クリスタルオリジナルファイン」はファンを納得させられる出来なのか?

2021年7月、文房具業界に大きな衝撃が走った。

 

こんな書き方をしているトピックほど、実際はそう“大きな衝撃”でもないものだが、この衝撃の度合いは、かなり大きかったように思う。それが、フランスの筆記具メーカー、BIC(ビック)が発表した「『オレンジEG』廃番」の報である。

↑名前は知らないまでも、一度はどこかで見たことあるだろう「BIC オレンジEG」。非常にアイコニックなボールペンだ

 

BICのオレンジと言えば、オレンジ色の軸に黒のキャップ式というお馴染みのアレ。1961年に発売されて以来、「世界中で最も販売本数の多いボールペン」とされている製品だ。

 

「オレンジEG」は、そのオレンジのボディに独自の「EG(イージーグライド)インキ」という低粘度油性インクを搭載したモデルで、2011年に発売されて以来、特に低粘度油性ファンの多い日本を中心に売られてきたもの。ただ、海外では売り上げでかなり苦戦をしていたようで、10年目の今年、廃番という結果になってしまった。

 

ちなみに、EGじゃない、1961年発売のオレンジは世界中でまだまだ販売継続中なので、誤解なきよう。

 

オレンジEGの後継、現る!

愛嬌のあるルックスに軽いタッチの「オレンジEG」にはファンも多く、冒頭で述べたように大きな衝撃を受けた人もかなりいたようだ。しかし皆さん、ご安心を。廃番の報とほぼ同時に、後継製品の発表も行われたのである。


BIC
クリスタル オリジナル ファイン0.8(ボール径0.8mm)
100円(税別)

 

その後継製品というのが、BIC「クリスタル オリジナル ファイン」(以下、クリスタルファイン)である。

 

BICが1950年に発売した世界初の使い切り透明軸ボールペン「ビック・クリスタル」と「オレンジ・ビック」をミックスしたような、透明オレンジのボディが特徴となっている。見た目にもすっきりと軽快な印象で、まさに“オレンジの後継”というにふさわしいイメージだ。

↑見た目の変化は、口プラ(リフィルを固定するペン先の蓋)の色と、ボディの透明度が違う程度。グリップ感や重心バランスなども変わらない

 

インクについてはリリース情報では公開されていないが、低粘度油性のEGインキから、従来型の油性インキに戻されているとのこと。※メーカーに確認済み

 

ただ、意外にも筆記感はけっこう軽く、スルスルに近い。あれ、低粘度じゃないBICのインクってこんなに軽かったっけ? と何度か確認してしまったほどだ。

↑レガシーな油性インクながら、書き味のなめらかさはなかなか。ダマも出ず、快適な書き心地といえる

 

書き味に加えて、0.8mmという太めのボール径にも関わらず、ダマが出にくいのもポイント。どうやら、インクフローをかなり上手く調整しているようで(理由は後述)、30分ほどの連続試筆中、一度もダマが発生せずに書き続けることができた。

 

この辺りの性能はさすが、見た目とインクはレガシーでも、機能的には最新のペン! という感じだ。

↑使い切りボールペンではあるが、先端の隙間に爪を入れて引けば、リフィルを抜き出して交換が可能。昔の文房具店には、BICのリフィル抜き用器具が備えてあったという

 

もうひとつ「クリスタルファイン」の特徴となるのが、筆記距離の長さ。なんと従来と比較して1.75倍、線距離にして3.5kmも書き続けられるとのこと。

 

正直、これまで「オレンジEG」を使っていた際にも、「あれ? もうインク切れたけど、早くない?」なんて感じたことはない。というか、分類するとしたら、むしろかなり長持ちするボールペンだったはず。そこからさらに1.75倍というのは、なかなかに驚きの数字だと言えるだろう。

 

実はこの“長距離筆記”こそが、先にも述べた「インクフローを上手く調整」したことで達成されているのだ。無駄なインクを抑制することで筆記距離が伸び、ダマの発生も抑える。これは見事な進化と言えるだろう。

 

↑リフィルも、EGとクリスタルファインは同じサイズ。むしろインクはクリスタルファインの方が少なく見える

 

↑「BICにビックリ!」とバーコードシールまで誇らしげ

 

JIS規格においては、油性ボールペンの筆記距離は300m以上、とされている。つまり、JIS規格で定められた10倍以上の筆記距離が可能というわけだ。

 

ちなみに、これは筆者のざっくり感覚なので正確な数字ではないが、だいたい線距離500mで1万5000文字ぐらい、と換算している。であれば3.5kmは、10万文字以上書けることになる。

 

それでいて価格は100円(税込110円)ということで、単純なコスパの面で言えば、日本で購入できるボールペンとしてはおそらく最強クラスということになりそうだ。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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書き味はペンと紙の組み合わせ次第! コクヨ「ペルパネプ」で「手書き」の妙味を体感できる

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第11回となる今回は?

 

第11話

コクヨ
ペルパネプ
ペン:143円〜440円(税込)、ノートブック:各990円(税込)

ツルツル、サラサラ、ザラザラの3種類の手触りのノートと、書き心地の異なる3タイプのペンを揃えるシリーズ。ノートはA5サイズだが、開いたときに中央に段差ができにくいフラット製本のため、A4サイズの面としても使える。罫線は3mm方眼や4mm方眼ドットなど全5種類。

 

ペンと紙の相性を趣旨に、デザイン性も妥協なし

ペン好きなら一度は必ず通る「ノート道」。お気に入りのペンに出会ったとき、ではそのポテンシャルを最も引き出せるのはどの紙なのか? それを知りたくなるのは当然の心情と言えましょう。結果、家には書きかけのノートが山積みに。あるいは良い感じのノートや手帳と出会ったとき、その紙にいちばん相応しい筆記具を見つけるべく手元のペンを取っかえ引っかえ、なんて人も多いと思います。

 

そうしたペンと紙の相性に焦点を当てたのが、コクヨの新ブランド「ペルパネプ」。同社が誇る製紙技術で作った質感の異なる3種類のノートと、ゼブラのゲルボールペン「サラサ」、プラチナ万年筆の簡易万年筆「プレピー」、そして自社の極細サインペン「ファインライター」という3本を、白を基調にリデザインしてトータルコーディネート。これは言わば、モノ単体を売っているのではなく、「紙とペンの組み合わせを考えるのって楽しいよね」という概念を売っている、もしくは筆記という行為の解像度を高めるための学習キットとでも言えるでしょう。

 

さらに思わぬ副産物も。それは白いボディで統一された各ペンの見栄えの良さ。どうにも安っぽさが否めない(これは決して悪いことではない)サラサやプレピーのシルエットが、こんなに美しいだなんて、透明軸のときには気づかなかった。コンセプトありきで終わらない、見た目にも使い心地にも配慮が行き届いた、極めて“地肩”の強いプロダクトです。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第9話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第10話】ジェットストリームに迫る滑らかさ! 伊東屋オリジナルのボールペンリフィルは優雅な書き心地で人に勧めたくなる

 

ジェットストリームに迫る滑らかさ! 伊東屋オリジナルのボールペンリフィルは優雅な書き心地で人に勧めたくなる

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を1点ずつピックアップしている。第10回となる今回は?

 

第10話

ロメオ
ボールペンリフィル easy FLOW
880円(税込)

都内を中心に店舗を展開する文房具店、伊東屋のオリジナルブランドである「ロメオ」のインクリフィル(写真上)。同ブランドの看板商品、「No.3 ボールペン(8800円~/税込・写真下)」専用のリフィルで、低粘度油性インクを使っている。インク色はブラックとブルー。

 

積極的にプレゼントしたくなるほど、いいボールペン

餞別や転職祝いにと、隙あらば知人にボールペンを贈りつけてきた筆者ですが、振り返るとこれまで一番多く選んできたのはたぶんロメオ「No.3 ボールペン」です。

 

金属パーツをあしらったレトロな外見が醸し出す“イイモノ”感、そのわりに価格はそこそこお手ごろなことなどが主なチョイスの理由ですが、実は、中身である別売りの(以前は標準装備だった)「ボールペンリフィル easy FLOW」の素晴らしさをもっと知ってほしい……というのが秘めたる動機だったりもします。

 

2006年の「ジェットストリーム」登場以降、低粘度油性インクが標準の世の中となりましたが、数ある後発インクのなかでもこのeasy FLOWだけが、ジェットストリームインクの持つ「軽さ」に肉薄していると考えています。サラサラと水っぽくしただけのインクにはない、わずかに残ったヌメリ感が独特の滑るような軽やかさを生み出し、0.7mmボールにしては明らかに太く感じる筆記線も相まって、まるで「想像上の理想の海外ボールペン」的な優雅な書き心地を満喫させてくれます(ちなみにロメオは企画が日本の銀座・伊東屋、ボールペンのボディの生産は台湾、easy FLOWはドイツ製)。

 

ともあれ、その実力のわりにイマイチ知名度の低い不遇なインク。もっと世に知らしめるためには、やはり配るしかない……(捨て身の発想)。でも、そういう気にさせるぐらい、いいペンなんですよ。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第8話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第9話】鉛筆の六角軸とシャープペンの快適さ、上質な艶やかさ! イイトコどりしたコクヨ「鉛筆シャープ」は大人こそ使うべき筆記具

オレンジビックの廃盤を悲しんだBICファンへ朗報!後継ボールペン「クリスタル オリジナルファイン」が発売

フランスの世界大手筆記具メーカー「ソシエテ・ビック」の日本法人、BICジャパンは、「オレンジ イージーグライド(オレンジ)」を全世界で廃盤とすることを決定。文房具ファンを悲しませていましたが、早々にその後継となるモデルが発売!

 

1951年に誕生したBICのフラッグシップモデル【ビック・クリスタル】シリーズから、1本のインク筆記距離が3.5km(※)を誇るキャップ式油性ボールペン「クリスタル オリジナルファイン0.8mm」を、7月27日(火)から順次発売開始することを発表しました。
※認証機関 SGS にて筆記距離テスト実証済

ビック
BIC クリスタル オリジナルファイン 0.8黒インク
100円(税別)

 

【SPEC】
インク色:黒 (青・赤インクは2022年春発売を予定)
サイズ:最大径φ13.7mm 全長149mm
重量:5.4g
ボール径:0.8mm
生産国:フランス

 

筆記距離3.5kmの超・長持ちボールペン

ビック独自の高精度な製造プロセスにより、規則的なインクフローを実現。従来のBICオレンジEG(イージーグライド)は筆記距離2kmでしたが、クリスタルオリジナルファインは約1.75倍の3.5km分も使用することができるといいます。400字原稿用紙に換算すると、175枚も書けることに!(1文字5cmの場合)

長持ちすることでゴミの排出を抑えられるだけでなく、1本100円(税別)の手頃な価格で、環境にも財布にも優しいエコなボールペン。本体はインクが見えるクリアな透明軸で、インク残量が見やすく、ビックらしいレトロ感のある握りやすい六角軸が特徴。ボール径は0.8mmで、クラシック油性インクでなめらかな書き心地です。また、フランスのエコラベルであるNF環境マーク(NF400)取得商品となっています。

 

「オレンジビック」廃盤もあらためて発表

同時に、「ビック オレンジEG(イージーグライド)」廃番もあらためて発表されました。

1944年にフランスで設立されたBICは、世界初の使い切りボールペン「ビック・クリスタル」を1950年に販売開始。そして、1961年にはオレンジ軸が特徴の「ビック・オレンジ」が誕生しました。

 

そのデザイン性や価格、書き心地の良さから、瞬く間に“定番のボールペン”として、その地位を確立。誕生から 60年となる2021 年に、在庫限りで廃番となることが決定しました。

 

鉛筆の六角軸とシャープペンの快適さ、上質な艶やかさ! イイトコどりしたコクヨ「鉛筆シャープ」は大人こそ使うべき筆記具

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第9回となる今回は?

 

第9話

コクヨ
鉛筆シャープ
198円(税込)

ペン先に鉛筆を削ったような細かな質感を施した、六角軸のシンプルなシャープペン。ノック部分の穴に直接芯を入れられる「スピードイン機構」を採用している。芯は0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm、1.3mmから選べる。

 

分類しがたい絶妙なデザインは、筆記具の新たな可能性

芯の太さはまるで鉛筆。けれど、ノック一発で書き出せる快適さはシャープペンそのもの。そんな鉛筆とシャープペンの良いとこどりをした筆記具が、各社から発売されています。ある製品は木軸で鉛筆らしさを表現、かたやある製品はシャープペン風の見た目ながら太い芯でガシガシ書ける……と、「鉛筆⇔シャープペン」間のどの座標に身を置いているかで、その製品のアイデンティティが透けて見えるのが面白いです。

 

さて、それでは2020年11月に発売されたコクヨの「鉛筆シャープ」はどうでしょうか。

 

ボディは六角軸で鉛筆風、しかし材質は光沢のある艶やかな質感で、これはかなり“非・鉛筆”的。特にブラックモデルはカドのエッジが際立ち、タイトでキリッと引き締まった凛々しい外見で、これは既存のシャープペンにはなかなかない凜々しさ。大人の普段使いにもイケるデザインだと思うのですが、皆さんどうでしょうか。

 

ふと思い出したのは、ユーザーインターフェースの世界で使われる「フラットデザイン」という考え方です。例えばスマホのアイコンなら、昔は見た目を既存のモチーフに寄せることで機能の説明をしていたのに対し、フラットデザインでは元イメージから距離を取り、抽象的でシンプルな見た目を指向しています。それに倣って言えば、本製品は、言わば「フラットデザイン的筆記具」。実は新しい座標に置くべき筆記具かもしれません。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第7話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第8話】万年筆入門にうってつけ!丸くカーブしたペン先が特徴のミドリ「MD万年筆」

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一番気持ち良いのはどれだ?コクヨ「ペルパネプ」でペンとノートのマッチングを堪能した結果

“紙と筆記具の組み合わせ”を考えるようになったら、文房具好きとしてもなかなかの上級者と言えるだろう。そして、組み合わせについては2つの面がある。“実利”と“官能”だ。

 

実利とは「この手帳にこのペンだと裏抜けするから」だとか、「あのノートは水性ペンがやたらと滲む」といった、性能的な相性のこと。要するに、単純に使いやすい組み合わせか否か、という部分である。

 

対して官能は、「ツルツルした紙に濃いめの鉛筆を走らせるのが気持ちいい」など、感覚的な相性の話だ。

 

例えば、筆者の知人には「画用紙に『Vコーン』(つゆだく系の水性ボールペン)のインクがダバーッと滲んでいく感触がエロい」と断言する者もいるほど。個人の感覚や嗜好によるものだけに、一度この官能性にハマると、抜け出し難いほどに魅力がある。実のところ、先の“画用紙にVコーン”のように、実利に反してでも気持ちよさを優先するケースだってあり得るのだ。

 

……と、話だけ聞いたところで、まだピンとこない人もいるだろう。“紙とペンが気持ちいい”ってなんの話かと。であれば、試してみるのが一番早いのではないだろうか。

 

紙と筆記具の組み合わせを堪能できるノート&ペン

その“紙と筆記具の官能性”を味わうために作られたのが、コクヨの文具シリーズ「PERPANEP(ペルパネプ)」である。

 

3種類のA5サイズノートと3種類のペンがラインナップされており、互いを組み合わせることで書き味の違いを楽しめるというから、まさに官能性を確かめるために作られた製品と言える。

コクヨ
ノートブック<PERPANEP
TSURU TSURUSARA SARAZARA ZARA
各900円(税

 

↑罫線は5種類。A5の紙面だと、4mm方眼とドット方眼がほどよいサイズ感でいい

 

まずノートは、「TSURU TSURU」「SARA SARA」「ZARA ZARA」という、まったく紙質の異なる紙が3種。

 

どのような違いかというと、まさに名前そのまま、紙の表面がツルツル、サラサラ、ザラザラとした紙質になっている。紙質が違えば、当然ながら筆記具の走り方や、書いた時の感触が全く違ってくるというわけで、いろいろと組み合わせを探して楽しむことができるのだ。

↑紙の表面を顕微鏡で拡大。こうして見ると、紙繊維の密度がまったく異なることが分かる

 

そして筆記具の方はというと、水性の極細サインペン「ファインライター」、ゲルインクの「サラサクリップ」、コスパ最強の万年筆として知られる「プレピー」の3種類。

↑筆記具は、上から「ファインライター」「サラサクリップ」「プレピー」の3種。白軸にグレーのロゴがオシャレだ

 

ファインライターPERPANEP
200円(税別)

サラサクリップPERPANEP
130円(税別)

プレピーPERPANEP
400円(税別)

 

この中で、ファインライターはコクヨのオリジナルだが、それ以外はご存知の通り、サラサクリップはゼブラ、プレピーはプラチナ万年筆の製品。特別な白軸仕様でPERPANEPブランドとして発売されている。

 

なかなかに珍しい展開の仕方ではあるが、ノートへの書き味を比べるための“基準筆記具”として納得のチョイスではあるし、なかなか面白いやり方だと思う。

 

●TSURU TSURU×ファインライター

↑ツルツルした紙の上をなめらかにペン先がすべる感覚は、うっとりする気持ちよさだ

 

TSURU TSURUはまさに高平滑度のツルツルスベスベ紙。手で触れても毛羽立つ感触はゼロだ。紙の繊維密度が非常に高く、コシも強め。よほど筆圧をかけないと、ペン先が沈み込まない。

 

これに、コクヨ推奨の組み合わせであるファインライターで書いてみると、ツルツルツルーッ! とどこまでもペン先が走るのだ。そもそもサインペンは筆圧を必要としない筆記具なので、このツルツル感を楽しむにはうってつけと言えるだろう。

 

個人的には、このスケートリンクの如きツルツル感は、コントロールしにくくて苦手なのだが、気持ちよさだけに焦点を当てれば、納得の組み合わせだ。とても気持ちいい。

 

●SARA SARA×サラサクリップ

↑かすかな摩擦感はありつつ、サラッと軽い書き味も魅力的

 

SARA SARAはそこまでピーキーな特性はないが、普通に“書きやすい紙”という印象だ。実際、コクヨのキャンパスルーズリーフ(「さらさら書ける」タイプ)と同質の紙とのことで、つまりは“間違いのないヤツ”である。

 

手触りも確かにサラッとしており、同じくサラサラした書き味でお馴染みのサラサクリップと組み合わせるのが、コクヨ推奨ということになっている。慣れ親しんだ感触なので、特段の官能性を感じることはないかもしれないが、安定感は抜群だ。

 

●ZARA ZARA×プレピー

↑ザックリとした感触が独特で、慣れるとこれはクセになりそう

 

今回の3種のノートの中で、最もユニークなのがZARA ZARA。なにせ表面を撫でるとハッキリと凹凸がわかるほどのザラザラ具合である。透かして見るとムラが視認できるほどに繊維の密度も低く、厚みがある分だけ、筆圧をかけるとペン先の沈み込みが体感できるほど。

 

とは言っても、ノートとしての使いにくさを感じるほどではないので、そのあたりのバランスはうまく取れているように思う。

 

ちなみに組み合わせとして推奨されているプレピーで書いてみると、ニブが凹凸を乗り越えるザリザリというかすかな振動が指先に伝わってきて、非常に心地よい。

 

↑特殊なフラット製本により、どこで開いても中央に段差が発生しにくく、書きやすいのも特徴だ

 

メーカー推奨の組み合わせはもちろんイイのだが、せっかくなら自分だけの組み合わせを見つけてみたいもの。次では、そんなチャレンジを敢行してみたい。

“気持ちいいノート&筆記具”探しチャレンジ

メーカー推奨の組み合わせはもちろんイイのだが、しかし、せっかくなら自分にとって書き味の官能性が高い組み合わせというのも確認してみたい。ということで、ひとまず目の前にあった筆記具を、3タイプのノートにあれこれ組み合わせて使ってみた。

 

●「TSURU TSURU」と組み合わせて最も官能性が高いペンは?

↑TSURU TSURUオススメは、ダクダク系の「Vコーンノック」。まさに官能的と言いたくなるしっとりツルツル感がたまらない!

 

すべりが良いTSURU TSURUは、やはり筆圧少なく書けてツルツル感を堪能できるものが楽しい。

 

ファインライターに加えて、インクフロー良好なダクダク系の「Vコーンノック」(パイロット)や「サラサR」(ゼブラ)は、確実にテンションの上がる書き味だ。ただし、平滑度の高い紙はインクを吸いにくいので、ダクダク系は乾くまでにかなり時間がかかる、というのは憶えておいたほうがいいだろう。

 

また、元からすべりの良さがポイントの低粘度油性インクとの組み合わせは、さすがに行き過ぎだなという感じ。

 

●「SARA SARA」と組み合わせて最も官能性が高いペンは?

↑SARA SARAは、なめらかさよりもむしろシャリ感のある書き味が似合うような気がする

 

平均的に良くできている優等生タイプのSARA SARAは、割と何でも上手く受け入れてポテンシャルを発揮させる傾向にある。なので、個人的な筆記具の好みというのがダイレクトに出るようだ。

 

筆者が最も愛用している「ユニボール シグノ RT1」(三菱鉛筆)の書き味も、細めのペン先がショリショリと走る感じがとても気持ちいい。しっかり書き比べることで、あらためて「惚れ直したな」という気分である。

 

●「ZARA ZARA」と組み合わせて最も官能性が高いペンは?

↑思わず「うわー、これ気持ちいいわ」と声が出たZARA ZARAと「モノグラフライト」のコンビ。これはしばらく使い続けてみたい

 

そして、実は今回の書き比べで最も気持ち良かったのが、まったく予想外だったZARA ZARA×「モノグラフライト」(トンボ鉛筆)の組み合わせである。

 

低粘度油性インクのなめらかさと、ザラザラした紙質がいい感じに噛み合って、好みの安定したコントロール感になるのもいいし、ニードルチップが、繊維密度の低いフカッとした表面を彫るように進む振動も気持ちいい。筆圧をかけやすいグリップも、この気持ちよさを味わうのに関与しているような気がした。

 

どれくらい良かったかというと、「しばらく手書きはZARA ZARA×モノグラフライトの組み合わせでいこう!」と決心したほど。

 

ともあれ、自分が気持ち良く書ける組み合わせを探るのはかなり楽しいので、機会があればぜひ試してみて欲しい。

 

 

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アウトドアでも働く現場でも! ライト付きボールペン「ライトライトα」の本気を感じる進化とは

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を1点ずつピックアップしている。第8回となる今回は?

 

第8話

ゼブラ
ライトライトα
660円(税込)

ペン先にライトを搭載したボールペンの新モデル。暗い場所で使っても目にやさしい、赤いライトが新たに加わった。暗い場所で長時間過ごす夜間の仕事や、天体観測などの趣味のシーンで活躍する。

 

ライト付きボールペンとしてのさらなる進化形

文房具史上初の、「本気の」ライト付きボールペン。

 

これまでも暗闇で書くためのライト付きボールペンはあるにはあったが、どれも使い勝手や書き心地がイマイチで実用に耐えるものはほとんどなかった。

 

そこに2018年、突如登場したのがゼブラの「ライトライト」。ペン先に明るいLEDライトを搭載し、インクはゼブラの主要インクである油性インクを採用。海外メーカーに通ずる無骨でシンプルなデザインと、基本的なスペックの高さからその「本気」が伝わってきた。

 

ペン先の出し入れとライトのオンオフをノックで切り替えられるから両手が塞がらないし、灯りがいらない場面では普通のペンとしても使える。ペン先が光った状態での筆記にはやや慣れが必要なので、最初はペンとライトを別々に使うのも良いだろう。クルマの中や非常用持ち出し袋に入れておく一本としても安心感がある。

 

そして2021年3月、その改良版「ライトライトα」が登場した。ペン先に蓄光パーツを使い、ライトに目が眩むのを防ぐ赤色LEDライトモデルも用意するなど、ライト付きボールペンとしてのさらなる進化形を見せてくれている。

 

同社の調査によれば、医療、運送、建設業などで働くおよそ4割の人が日常的に暗い場所で筆記しているという。「本気」で必要とする人がいるから本気で応えた、その応答が気持ちの良い一本である。

 

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ボールペンかシャープか、メイン機能で選ぶべき最新個性派「多機能ペン」

最近、あらためて「面白いなぁ」と感じているのが、多機能ペン。いわゆる「ボールペン+シャープペンシル」の複合筆記具だ。

 

実は、自分自身では多機能ペンを使いこなした経験が非常に少ない。学生時代にシャープペンシルを使っていたときは「ボールペン邪魔だな」と思っていたし、社会に出てボールペンをメインに使うようになると「シャープペンシルいらないな」と思っていた。つまり、常にどちらかが無駄だと感じていたわけで、そりゃ使うわけがないよなあ、ってなもんだ。

 

それがなぜ唐突に心変わりしたかというと、仕事の関係である。他媒体の話で申し訳ないが、筆者は高校生向けの冊子で「勉強に役立つ文房具」を紹介する連載、というのをやらせてもらっている。その関係で、最近の高校生はかなり多機能ペンに興味を持っている、というのが分かってきた。実際、今の生徒はノートを取るのにボールペンを使うケースも多い(我々の世代はほぼ100%シャープペンシルだった)ため、多機能ペンがあると便利なのだ。

 

そこで、紙面で紹介するようにあれこれ使いこんでみた結果が、冒頭の「面白いなぁ」というわけ。実際、最新の多機能ペンはユニークな発想で作られたものもあり、面白いのだ。そこで今回は、そういった面白い多機能ペンを2点紹介したい。

 

学生に必要なものを詰め込み! シャープペンシルがメインの多機能ペン「examy」

多機能ペンを使うにあたってまず考えたいのが、ボールペンとシャープペンシル、どっちを使う機会が多いのか、ということ。当然ながら、メインで使う機能を重視したペンのほうが、満足感が高くなるからだ。

 

シャープペンシル重視の多機能ペンでいえば、サンスター文具「examy シャープ&シャープ&赤ボールペン」(以下、examy)の振り切りっぷりがとても興味深い。

サンスター文具
examy(イグザミー) シャープシャープ赤ボールペン
600円(税

 

なにが振り切っているかというと、まず多機能の構成が名前の通り「0.5mmシャープ+0.3mmシャープ+0.7mm赤ボールペン」という部分だ。

 

従来にも、シャープばかり0.3/0.5/0.7mmという多機能ペン(ぺんてる「ファンクション357」)はあったが、examyは0.7mmを赤ボールペンにしている。なぜかって、そりゃ当然、勉強する場合にはそれがいいからに決まっている。

 

↑本文や作図、赤字まで1本でできるので、ノート作りがかなり効率的になる

 

examyというのは、サンスター文具が展開している「勉強がはかどる文房具」シリーズ。つまりこの多機能ペンも、想定ユーザーは中高生が中心だ。

 

であれば、ノートを取るのにまずシャープ0.5、図表や細かい書き込みにも便利なシャープ0.3、そして丸付けや見出しに使える赤ボールペンという構成は、最適解のひとつと言えるのでは。正直、なんでこれ今までなかったの? という気すらしてしまう。

 

しかも、それが1本にまとまっていると来たら、筆箱がいつもギチギチでパンク寸前の中高生にとっては、嬉しい話だろう。ついでに言うと、消しゴムも太めで消しやすいものを備えているのがナイスだ。

↑ついでに消しゴムも大きめで、消しやすい

 

機能の切り替えは、後軸を回転させて行うツイスト式だ。

↑後軸を「赤・0.5・0.3」の順に回して切り替える。ノックも後軸全体を押し込んで行う

 

ただし、現時点でどの機能が選択されているかを表すようなインジケーターは存在しない。しかもシャープは、0.5/0.3のどちらが出ているか、見た目では判断できないので、少しまぎらわしい。

↑ここまで拡大すると0.3と0.5の見分けがつくが、肉眼では難しい

 

とはいえ、そういった機能を省いてでも定価で600円という学生向けの価格設定にした、という判断は理解できる。「そんなの使ってれば慣れるし、それよりは安い方がいいよねー」という話である。

 

ボールペンがメインならやはり“書きやすさ”重視! 注目の多機能ペン「ブレン 2+S」

対して、ボールペンがメインの多機能ペンは、従来からの主流派ということで選択肢が多い。その中でも個人的にチェックしたいのが、軸の太さ。あくまでも筆者の嗜好の話だが、昔から太軸がなんとなく苦手なのだ。

 

その点でイイなと思ったのが、ゼブラ「ブレン 2+S」である。

ゼブラ
ブレン 2S
500円(税

 

何しろ軸径が単色ブレンと変わらない11.8mmなので、多機能ペンとしてはスリムな部類に入るのだ。ブレンは3色タイプが出たときも単色と同じ軸径をキープしていたので、そのあたりはデザイナーであるnendo・佐藤オオキ氏のこだわりなのかもしれない。

↑軸径は単色の「ブレン」(写真左)と一緒。手帳のペンホルダーにも入れやすいサイズだ

 

そしてなによりありがたいのが、ブレないブレンシステム。

↑ペン先ががっちりと固定されているので、安定感は多機能ペンの中でも最高
↑口金の先にある黒い輪が、ペン先固定用パーツ。これがあることで非常に書きやすいのだ

 

多機能でもペン先がカチャカチャと振動しないのは、とても書きやすいのである。この感覚は、一度別の多機能/多色ペンを使ってからブレンに戻ると、非常によく分かるはずだ。口金の先でリフィルを固定させているので、もちろんボールペンだけでなくシャープにも、効果は発揮されている。

 

機能の切り替えはノック式で、ボールペンは左右の小ノックノブ、シャープは中央の大ノックノブを使用する。

↑ノブがかなり沈んでしまうため、一度スライドさせてからの芯出しノックがしづらい。これはちょっと改善して欲しい部分だ

 

シャープは切り替えだけでなく芯出しでもノックするので、大きなノブは使いやすそうだな、と思っていたのだが……このノブ、切り替えでスライドさせた時点で、軸に大きく沈み込んでしまう。そのため、芯出しノックがかなりしづらいのだ。さらに上面に丸みがついているため、指掛かりも悪い。

 

毎回、芯出しをするたびにノックノブに指を強く押しつける必要があるのは、ちょっとマイナス要素に感じられた。

 

 

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手帳用ボールペンは“激細油性”で決まり! パイロット「アクロインキ」採用の細軸&多機能ボールペン

すでに、この連載では繰り返し言っていることだが、とにかく今は、ボールペンが多様化していて面白い。なかでも注目すべきは、「低粘度油性インク」を使った「激細ボールペン」だろう。

 

そして今、“激細油性”を選ぶとしたら、代表的なものは2点。三菱鉛筆「ジェットストリーム エッジ」か、パイロット「アクロボール」シリーズの0.3mmとなる。

 

そこで気になるのが、両社の細さに対する考え方の違いだ。

↑激細(ボール径が0.3mm以下)の油性ボールペンを代表する存在が、三菱鉛筆「ジェットストリーム エッジ」(左)と、パイロット「アクロボール 0.3mm」(右)

 

そもそも激細油性ムーブメントの先駆けとなったのが、「ジェットストリーム エッジ」。世界初となる油性0.28mmで、しかも世界最細という自負もあるのか、三菱鉛筆はエッジをかなり特別な「超細く書ける凄いペン」として定義しているように感じられる。

 

それは、単色1000円、多色2500円という高めの価格設定からも、明らかだ。(リフィルサイズは今までのジェットストリームと同じなので、150円のプラ軸に装備もできるが。)

 

対してライバルのパイロットは、0.3mmを初手から150円の軸に搭載し、「普通に売っているボールペンの、一番細いやつ」程度の“身近”に置いてきた。ブランドとしても、単に従来からあるアクロボールの0.3mm、というだけの立ち位置。完全にアットホーム路線だ。

※価格は全て税別

 

当然ながら、どちらが正しいというわけではない。両方アリ。なんだけど、発展性があるのはやはり「普通の細いやつ」の方じゃないかなー、と。

 

そこで今回は、そんなアクロインキを採用した0.3mmの新製品2点を紹介したい。どちらも普通なのだが、なかなか面白いコンセプトをもっているのだ。

 

単色なのに“多色用リフィル”を搭載した、超スリムな「アクロ500」

激細油性の使い道を挙げるとしたら、やはりまずは手帳だろう。最近は、システム手帳の小型化ムーブメントもあって、ほぼ名刺サイズの紙面にあれこれ書く、なんていうことも増えてきた。であればそりゃ、激細の方が使いやすいよね、という話。

 

そんな小さな手帳にマッチするのが、パイロット「アクロ500」である。


パイロット
アクロ500
ボール径 0.3mm/0.5mm
各500円(税別)

 

シンプルだがチープさがなく品の良いルックスで、なかなか“お高そうなペン”の香りがする。でも500円(税別)。うーん、これは単純にお得っぽいな。

 

そして何より特筆すべきは、全長128mm/最大軸径9.6mmと、かなりスリム&ショートなボディサイズ。同シリーズの「アクロ1000」「アクロ300」はややスリムながら一般的なサイズなので、500だけが完全に別物といった印象である。

 

↑M5サイズの手帳カバーとセットにすると、こんな感じ。いいマッチ感と言える

 

手の小さな女性が握っても間違いなく細いし、今のところ最小のM5(マイクロ5)サイズのシステム手帳と合わせても、ほんの少しカバーからはみ出す程度。これなら充分に適正サイズだ。M5手帳は小さすぎて、ペンを合わせて携帯するのがなかなか難しいので、非常にありがたい。

 

実はこれ、リフィルに多色用の細くて短いものを搭載することで実現したサイズ感なのだ。

↑アクロ500が搭載するのは多色の「BVRF」リフィル。そしてノックバネの中に、何やら見慣れぬパーツが……?

 

とはいっても、単色ボディに多色リフィルを挿しただけで、はいスリムなペンができました! とはいかない。ノック用バネの位置が、単色と多色で異なるのが、問題なのである。

 

単色ボディはリフィルの前(口金の中)に、多色ボディはリフィルの後ろにバネがある。そのため、単色リフィルは前方にバネを受け止めるための段差や出っ張りが必要となる。つまり、バネ受けの段差や出っ張りがない多色リフィル(構造上、多色ボディは口金にバネが内蔵できない)は、よしんばサイズが合ったとしても、単色ボディには使えないのが常識なのである。

 

じゃあアクロ500はどうやってんだよ? というと、もちろん秘密がある。

↑この真鍮パーツ(バネ受け座)が、リフィル先端を受け止める構造になっている

 

口金を外すと、バネの先に真鍮(しんちゅう)製の見たことのないパーツがあるのが分かるだろうか? この“バネ受け座”と呼ばれるパーツが、リフィルの先を受け止め、バネの力を伝える役割を果たしているのだ。

 

こんな小さなパーツひとつで、単色ボディに多色リフィルが使えるようになるわけで、これはなかなかの発明と言える。

 

↑ブレのない安定感のある細さで、漢字も潰れず読める文章が5mm角に納まる!

 

ついでの話で、副次的に「このバネ受け座がリフィルを固定することで“ペン先のブレ”を抑制する効果もあるんじゃない?」というのも、ユーザーの中で話題となっている。

 

書いてみると、確かにペン先がぐらつかずピタッと固定されて、細かい字を書くのがかなりラク。筆記時の精度が欲しい激細だけに、この効果はけっこう大きい。ただしこのブレ抑制を、メーカーは公式には謳っていない。あくまでも、使ってみた印象の話である、念のため。

 

激細と激細と激細と激細と、そして激細が書ける多機能「ドクターグリップ」

激細油性の使い道を挙げるなら、やはりまずは手帳……とはすでにさきほど語ったが、さらに、手帳へスケジュールを書き込むのに多色を使いたい、という人も多いはずだ。できれば“リスケ”対策にシャープペンシルもあるといい。

 

となれば、パイロット「ドクターグリップ4+1」がオススメだ。


パイロット
ドクターグリップ 4+1
0.3mm
1000円(税別)

 

「ドクターグリップ4+1」はもちろん以前から発売されていたのだが、なんとこのほど、アクロインキの激細0.3mm多色リフィル(アクロ500と同じもの)を搭載した、激細×4色モデルがラインナップに追加されたのである。

 

しかも+1のシャープユニットまで芯径0.3mmというのだから、どこをノックしても必ず激細。もはや“激細の要塞”とでも言うべき存在なのだ。

↑どれをノックしても激細で書けるのが凄い!

 

激細多色といえばすでに「ジェットストリーム エッジ3」があるが、多機能となるとこれが初。シャープペンシルも欲しい層には、現時点では唯一の選択肢となっている。

 

ただし、激細ボールペンは筆記対応角(ペン先が紙に当たる角度)が他よりも狭いという問題がある。この角度がだいたい50度より小さくなると、ボールが紙に当たらずインクスキップなどの筆記不良が発生しやすい。つまり、ペン先が軸に対して垂直に出てこない多色ペンは、激細化するのにハンデがあるのだ。

 

ジェットストリーム エッジ3は、特殊な繰り出し機構でこれを克服しているが、ドクターグリップ4+1の構造は残念ながら、既存モデルと変わらない。手帳を立ったまま書くなどの場合は筆記角が変わりがちなので、そこは注意しておく必要はあるかもしれない。

↑判型が小さな手帳は、やはり0.3mmぐらいの細さがないと書き込みづらい

 

とはいっても、先に述べた通り、0.3mm全通しの多機能ペンは今のところこれだけである。やや特殊な性能ではあるが、使いこなせれば唯一無二の「手帳最強ペン」になる可能性も高いと思うのだ。

 

 

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【菅未里の自腹買い文房具】クリーム色のノートに馴染む修正テープ「クリームテープ」

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。仕事柄、文房具を試す機会は多く、手元には山のような文房具が……。そんな菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた、いま本当に気に入っている文房具とは?

 

今回は、昨今人気のクリーム色の中紙を採用しているノートのために生まれた修正テープ。

 

クリーム色のノートに馴染む修正テープ

近年、クリーム色の紙を採用したノートが流行っています。私が愛用しているノート「ロイヒトトゥルム1917」の紙もクリーム色なのですが、ひとつ困るのは、字を修正したいときです。普通の修正テープは真っ白ですから、違和感が出てしまうのです。

 

まあ、我慢すればいいのですが、やはり若干気になる。そんな私にとって、これはずっと待ち望んでいた商品でした。


プラス
ホワイパープチ〈クリームテープ〉
各300円(税別)

 

プラスの「ホワイパープチ〈クリームテープ〉」。クリーム色の紙に対応した修正テープです。

 

クリーム色のノートが増えたから?

なぜ今まで、クリーム色のテープがなかったのかは理解できます。需要が少なかったからでしょう。いえ、正確に言うとゼロではなかったのですが、市場からなくなってしまいました。やはり、あまり売れなかったのかもしれません。

 

そんなクリーム色の修正テープを文房具メーカー大手のプラスが作ったのは、やはりクリーム色のノートが増えたからでしょう。ありがたい話です。

 

ちなみに、プラスからもクリーム色のノート「カ・クリエ」が発売されています。

 

白すぎずクリーム色が濃すぎず、絶妙な色合い

↑3種の色の修正テープを引き比べた

 

ただし、これは単なるクリーム色の修正テープではありません。とても優秀な修正テープです。

 

上が白いテープ、真ん中がクリームテープ、下がロルバーン専用修正テープ。クリーム色の紙に使うと、この通り。修正跡が目立ちませんよね。

【関連記事】「ロルバーン専用修正テープ」もピックアップ。“文具ソムリエール”菅未里が振り返る2020年に自腹買いしたベスト文房具5選

 

テープ幅も充実

↑押しながらテープを繰り出せる「リバースモード」も健在だ

 

そもそも、私はクリーム色に限らず、この「ホワイパープチ」のシリーズをずっと推してきました。

 

それは、修正した上から筆記するときにペン先が引っかからない「薄さらテープ」や、通常の逆方向に押しながらテープを引き出せる「リバースモード」も搭載しているから。要するに、非常に使いやすいのです。

 

「ホワイパープチ〈クリームテープ〉」にも、この「薄さらテープ」に通常の逆方向に押せる「リバースモード」と、ホワイパープチの使いやすさは、しっかり引き継がれています。

 

↑上から、2.5mm、4mm、5mm、6mmの4種類展開

 

さらに、テープ幅が充実しているのもいいですね。最大6mmから、最極細の2.5mmまで4種類用意してあります。

 

罫線の幅からマイナス1mmが対応するテープ幅と考えればいいので、例えば4mm幅は5mm間隔のドット方眼に対応するなど、さまざまなノートに対応できます。また、極細の2.5mmは、ピンポイント消し用に活躍します。

 

クリーム色ノート愛用者への福音

というわけで、全国のクリーム色ノート愛用者のみなさん、おめでとうございます。ついに、思う存分修正できるときが来たのです。

 

実は、私はこれを、やはりクリーム色のシステム手帳リフィルを愛用している母親にプレゼントしたのですが、とても喜んでくれました。母親ははがき用の修正液を使っていたのですが(というのも、はがきはややクリーム色なので、はがき用修正液もクリームだから)、修正液は乾くのを待たなければいけないという弱点があったからです。

 

しかし、修正テープなら大丈夫。修正した後も、すぐにその上に書けます。いい時代になったものです。

 

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ゲルインクボールペン覇者の逆襲開始! ゼブラ「サラサR」のくっきり発色&カラバリ充実を検証した

ゲルインクボールペンの主戦場は、どうやら“書き味”から“色”へとシフトしたようだ。

 

というのも、ここ1〜2年のうちに発売されたゲルインクボールペンの大多数が、インクのカラーラインナップや発色性を最も強く打ち出しているのである。

 

以前にもこの連載で「ゲルインクボールペンのインク沼化」という話をしたが、その傾向は(ざっと見渡した限りは)一時的なものではないようで、しばらくはカラーインク千紫万紅(せんしばんこう)の時代が続くんじゃないだろうか。

 

このゲルインク沼のきっかけのひとつして挙げられるのが、三菱鉛筆「ユニボールワン」だ。

 

カラーラインナップは、限定色も含めて発売から1年で35色と、すごい勢いで増えているが、なによりポイントとなるのは、その発色性。新開発の顔料インクは非常にクッキリとしており、特に黒は、現時点で最も真っ黒なゲルインクと言っても過言ではない。

 

実はこれ、油性インクの覇者「ジェットストリーム」を擁する三菱鉛筆が、今度は「ワシら、ゲルでも王座獲ったりますけん」と打ち出してきたペンではないかと推測(邪推とも言う)されていた。つまり、ゲルインクボールペンの売上で9年連続トップを誇るゼブラ「サラサ」シリーズへの刺客である。

 

実際、ゲルインクボールペンのメインユーザー層である中高生の間でも、ユニボールワン人気は徐々に高まっているように感じる。

【関連記事】
ボールペンにも“インク沼”!? 2020年のボールペントレンドを象徴する色にこだわった2選
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なめらか筆記はもう常識! 最新ボールペンが「モノグラフライト」「イルミリー」で遂げたさらなる進化とは?
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ゼブラが打ち出した、クッキリ発色のカウンターパンチ「サラサR」

しかし、ゼブラもやられるばかりではない。ユニボールワン・カウンターとして(と思われる)、次の一手をすかさず打ち出してきたのである。それが、2021年3月に発売された新シリーズ「サラサR」だ。


ゼブラ
サラサR
0.4mm・0.5mm
各100円(税別)

 

ローンチのカラーラインナップは、0.4mmが14色、0.5mmが黒・赤・青の3色。これまでと違って、主軸が0.5mmから0.4mmに移行しているのも、おそらく0.38mmにカラーを集中させたユニボールワンに対抗してのことではないだろうか。

 

↑「サラサR」(左)と従来の「サラサクリップ」(右)。サラサRでは、パーツの造形はそのままに全体を白で統一しており、まさに今風のデザインとなった

 

ちなみにこの14色は、中高生のノート筆記に最適という視点で選ばれているようで、初回限定として国・英・数・社・理の5教科向けにそれぞれカラーコーディネーターが配色した、科目別の5色セットも発売されている。

↑ラインナップの14色。「まずは定番色をきっちり揃えてきたな」という印象だ

 

従来のサラサクリップとの違いは、インクの濃さ

ゼブラによれば「黒で従来インクより27%濃く書ける」とのこと。やはりクッキリした発色を謳っているわけだ。

 

比較してみると、確かにパッと見た印象でも「お、濃いな」という感じ。ただ、インクフローがややダクダク気味で線が太るのも、クッキリとした濃さを演出しているのかもしれない。個人的には、インクたっぷりなこの書き味はなかなか好ましいし、ダーッと早書きする板書にはマッチしそうではある。

↑遠目に見ても字が読み取れる視認性の良さ。ただし線が太い(ほぼ0.5mmと同じ)ので、細かい字を書き込むには向いていないかもしれない

「ユニボールワン」と比べてみるとどうか?

さて、やはり気になるのは「じゃあ、ユニボールワンと比べてどうなの?」というところ。

 

ということで書き比べてみると……正直、黒さで言えば、ユニボールワンのほうが正しく「黒色」だろう。サラサRは従来のサラサシリーズと同じく「赤黒色」傾向、かつ光の反射もあるため、並べてみるとやはり浅く感じられる。

 

とはいえ、赤黒でもかなり強い色なので、視認性という点ではさほど差はないかもしれない。しっかり読み返しやすい黒なのだ。

↑純粋な黒さで言えば、やはりユニボールワンの方が「クッキリと黒」だ

 

“出色”の出来は明るめの色。速乾性も見逃せない!

ラインナップの中で気に入ったのが、ライトブルー・フレッシュグリーン・ピンクといった明るめの色。明るいのだが浅くなく、どっしりした発色なので、目に痛くない。これは確かに、カラフルなノート作りに使うと、色分けがきちんと活かされた読みやすいものに仕上がりそう。

 

逆にカラーブラック系は、少しアッサリし過ぎて物足りなかった。あくまでも筆者の好みだが、もうちょっとダーク方向に振ってくれたほうが使いやすい。

 

ところで、実際に書いていて気付いたのだが、このサラサRのインク、やたらと速乾性が高い。筆記直後に指で擦っても、かすれることがないのだ。

↑サラサシリーズでの比較。「サラサドライ」とサラサRは、インクの方向性がかなり近いように感じた。染料系で水濡れに弱いところも同様だ

 

速乾性が高く、インクがダクダク気味な書き味のサラサ……なにか覚えがあるような。そう、2016年に発売された「サラサドライ」である。もしかして? と思って、手元にあるサラサシリーズ(サラサクリップ・サラサマークオン・サラサドライ・サラサR)を並べて書き比べてみると、うーん、ドライとR、発色まで非常によく似ているような。さすがに全く同じものとは思わないが、同系統のインクを使っている可能性はありそうだ。

 

それにしても、クッキリ発色や速乾性を備えながら、価格は従来のサラサと同じ100円(税別)! というのは、なかなか面白い判断だと思う。おそらく120円(税別)のユニボールワンに対するカウンターなのだろう。特に、カラーをあれこれ揃えたい中高生にとっては、1本につき20円は軽視できない差だろう。

 

ゼブラ VS  三菱鉛筆の“ゲル抗争”が今後どうなっていくのか、まだ目が離せない。これが激化すれば、ユーザーはより進化したペンを手にできるわけで。みんなももっとガンガン煽っていこう!

 

 

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なめらか筆記はもう常識! 最新ボールペンが「モノグラフライト」「イルミリー」で遂げたさらなる進化とは?

ボールペン史を語る上で重要な出来事はいくつもあるが、その中でも特筆すべきは、2006年の「ジェットストリーム」(三菱鉛筆)発売だろう。

 

それまで、“ただ書ければそれで良し”だったボールペンに、なめらか低粘度油性インクによる“書き味の良さ”という新たな価値基準を生み出したわけで、これは間違いなく、大きなパラダイムシフトだった。

 

実際、ジェットストリームの爆発的ヒット以降に発売されたボールペンは、ほぼすべて(油性・ゲル・水性問わず)、書き味についてなんらかのアピールをすることを強いられる傾向にあったと思う。ある意味、業界全体にかけられた“書き味の呪い”とでもいうべきものだ。

 

しかし、ジェットストリーム発売から15年目を迎えた今、この呪いが徐々に解け始めているようなのだ。書き味の良くないレガシーなボールペンが駆逐され、集団の中でより注目を集めるためにはさらなるアピールが必要になった、というのもあるだろう。社会全体におけるボールペンリテラシーが上がったため、ユーザーが書き味競争に飽きてきた、というのもありそう。

 

ともあれ、2021年のボールペンは書き味が良いのが大前提だから、そこはもはやあえて語ることではない、というムードになってきているのは、間違いない。

 

パイプチップを長く伸ばした極細油性「モノグラフライト」

それなら、今のボールペンはどこをアピールするの? というと、これが面白いことに、油性インクとゲルインクでそれぞれ違う。

 

油性インクがいま進んでいるルートのひとつは、“極細化”だ。手帳筆記に向いた0.3~0.28mmという超々極細(激細)ボール径でもなめらかに書ける、というのが最近の主なトレンドで、三菱鉛筆とパイロットがここで争っている。

 

しかし、トンボ鉛筆が3月に発売した精密筆記ボールペン「モノグラフライト」は、細字傾向を追いつつも、ちょっと違う方向にハンドルを切ってきた。

トンボ鉛筆
モノグラフライト
0.3mm/0.5mm
各180円(税別)

 

その最大の特徴は「ニードルチップの長さ」である。針(ニードル)のように伸びた細いペン先は、業界最長の5.2mm。実物を握ってみると「おお、確かに長いな」と実感できるはずだ。

 

ニードルチップの利点としては、ペン先視界の広さが挙げられる。つまり、一般的な三角錐のコーンチップよりも、細いニードルチップの方が文字を書いている周辺が見やすいということ。そのニードルが長くなれば、視界を邪魔する口金からペン軸にかけての部分が上にずれるため、さらに視界は良くなるというわけだ。

↑中央が「モノグラフライト」の5.2mmロングニードルチップ。コーンチップや他のニードルチップと比較すると、1mmほど長い

 

↑絞った形状の口金とロングニードルチップ(写真右)により、文字周りの視界は従来よりも大きく広がっている

 

ボール径のラインナップは0.5mmと0.38mmなので、いま注目の激細というほどではない。が、この視界の良さは、それをフォローするに充分な性能だと感じた。

 

激細ペンで書くと当然ながら文字も小さくなるわけで、視界が悪いと、狙った位置に思ったような線を引くのは難しい。逆に、ペン先周辺がよく見えれば、細かな文字はグッと書きやすくなる。なるほど、精密筆記ボールペンとはよくいったものだ。

 

手帳に粒のような字をびっしり書くには0.38mmだとやや太いが、ノートを細かめの字で埋めるような書き方には最適だと思う。

↑0.38mmでもカリカリ感はなく、非常になめらか

 

0.4mm以下になると、全体的にややカリッとした筆記感になりがちだが、事前に想像していたよりもかなりなめらか。トンボ鉛筆独自の低粘度油性インクで、スルスルっと書くことができる。

 

これは、新開発の“スプリングレスチップ”(ボールを後ろから押すバネをなくした先端構造)と、ボール座面を真球に近付けることによって、筆記時の摩擦抵抗を従来比10%低くした結果とのこと。

 

また、インクのボテ汚れが、筆記テスト中にまったく発生しなかったことにも驚いた。実は、これまでのトンボの低粘度油性ボールペンは、ボテが出やすい傾向があり、ちょっと苦手に感じていたのだ。

ボテが出ないことで快適性はずいぶん上がるので、この進化は大歓迎である。

↑サラッとしつつ、指にしっかり食い付く新グリップ。手触りは硬めだ

 

また、個人的にいいなと感じたのが、グリップ部分だ。ディテールまで作り込まれたゴムグリップで、指への食いつきが非常に良い。それでいて、手汗をかいた状態でもしっかり握れるサラッとした感触もあり、かなりレベルが高い。

 

本来、ニードルチップは曲がりやすいため、強く握って筆圧をかけるのはNG行為。だが「モノグラフライト」の細長ニードルは切削加工で作られているため、強度は充分にあるようだ。ならば、がっちり握れるグリップでも問題はないのだろう。

ペールトーンオンリーのうっとりゲルインク「イルミリー」

さて、一方のゲルインクだが、こちらは油性にはない“発色性”を武器に、より斬新なカラー展開が主戦場となっている。ゲルインクボールペンの“インク沼化”とも呼ばれる現象だ。

 

昨年末にも、サクラクレパス「ボールサインiD」が全6色カラーブラックという、特殊すぎるラインナップで注目されていたが、対して3月発売のパイロット「イルミリー ゲルインキボールペン」は、ラインナップ12色がすべてペールトーン(高明度・低彩度の淡色)である。うーん、極端!

パイロット
イルミリー ゲルインキボールペン
全12色
各150円(税別)※期間限定販売

 

ペールトーンといえば、それこそ数十色のラインナップ中にちょっとだけ混じっている程度のカラーである。まさか、ペールトーンオンリーなシリーズが出るなんて、さすがに予想外だ。

 

ちなみに色名は「夢に見たブルーローズ(ペールトーンブルー)」や「しとやかなスミレ(ペールトーンバイオレット)」など、うっとり成分が非常に強くなっている。ただでさえすべて頭に「ペールトーン」と付くために色表記が長くなるのに、そこに加えてこのうっとり成分配合。正直、ライターという立場としては「勘弁してくれ」とも思うのだが。

↑色見本を作ってみたが、あまりに淡過ぎてきれいにスキャンできなかった!

 

そんな思いをしてまで、なぜ取り上げているかというと。「イルミリー」、すごくいい色が揃っていて……めちゃくちゃ好みなのだ。筆者の心の奥に潜む野生の乙女がキュゥゥゥゥン! と遠吠えしちゃうぐらい、好き。

 

淡い色をしっかり発色させるのは難度が高いのだが、それでも白みを含んだ美しい色合いに仕上がっている。方向性としては、1990年代にヒットしたぺんてる「Hybrid ミルキー」に近いが、より淡く、儚い色合いと言えるだろう。

↑インクの隠蔽力は強くないので、黒地での発色はいまひとつ

 

なにより色名がいい。いや、ライターとしては勘弁して欲しいけど、乙女おじさんとしては好きなのである。

 

カラーを想起させるワードとうっとり成分が濃厚に混ざりあって、ドラマチック。色名を見るだけで、なにかうっとりしたシーンを夢想するほどのパワーを感じてしまうのだ。だってほら、ペールトーンマゼンタが「真夜中のハーブティ」だぞ。しかも、実際の色もまさにイメージ通りで、ブレのない「真夜中のハーブティ」色なのも、お見事。

 

パイロットという生真面目なメーカーが、ここまでのうっとり力(うっとりりょく)を発揮するとは……申し訳ないが、予想外だった。

↑軸の印刷もほんのりと夢々しくて、うっとりする

 

実際のところ、筆記色としては淡すぎて使いづらいところもあるのだが、それはもう放っておいてかまわないと思う。

 

例えば手帳用の赤字として「ごきげんチーク(ペールトーンコーラルピンク)」を使えば、うっとりとテンションが上がりそうだし。多少は読みづらいかもだが、気にしない。さらに言えば、ただ色と雰囲気が素敵だからまとめて買っちゃう! なにに使うかは想定してないけど! という買い方でも、たぶんまったく問題ない。

 

 

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文房具ブームの火付け役「クルトガ」に「アルファゲル」の最強タッグ実現! 三菱鉛筆「ユニ アルファゲル スイッチ」に込められた逆転の発想とは?

2021年春、シャープペンシル業界に激震が走った。

 

と、そこまで大げさな事態でもないが、筆者としてはかなり驚いたのである。なにがあったのかというと、三菱鉛筆が「“クルトガモード”をオフにできるシャープペンシル」を発売したのだ。これは、本当に驚いた。えー、そんなことある!?

↑もはや伝説級に有名なシャープペンシル「クルトガ」(三菱鉛筆)

 

そもそもの話から説明しよう。「クルトガ」というのは、2008年から三菱鉛筆が発売している超絶大ヒットシャープペンシル。書くたびに、芯が9度ずつ回転することで偏減りせず、常にシャープな芯先を保つという機能「クルトガエンジン」を搭載し、均一に細い線が書けるのが特徴だ。

 

これが、メインユーザーとなる中高生の認知度100%・所有率70%以上(2013年調査)というバケモノみたいな人気で、シリーズ累計販売数も2018年末の時点で9000万本超え! おそらく一億本突破も間違いないところだろう。

 

それなのに、そこまで人気の高い機能をわざわざ“オフ”にできると謳った新製品が出るとは、つまり“メーカーによるクルトガの否定”ではないのか!? マジで!? どういうこと!?

 

……と、つまりそういうことで驚いていたわけだ。

 

クルトガモードをオフにすると、一体なにが起きるのか?

その驚きの製品というのが「ユニ アルファゲル スイッチ」(以下、スイッチ)である。

 

ちなみに「アルファゲル」というのは、グリップに衝撃吸収素材である「α GEL」を採用した、これまた三菱鉛筆の人気シリーズ。2010年には、両者を合体させた「アルファゲル クルトガエンジン搭載タイプ」も発売されている。

 

今回発売されたスイッチは、つまり「アルファゲル クルトガエンジン搭載タイプ」のクルトガオフ機能付き、という立ち位置になるのだろうか。それにしたって、製品名にクルトガと一切入っていないのには、なにか意図的なものを感じる。

三菱鉛筆
ユニ アルファゲル スイッチ 0.5mm
1000円(税別)

 

先から何度も勝手に“クルトガ機能オフ”と連呼しているが、正しくは「クルトガモード」と「HOLDモード」が切り替えられる、という表現となっている。クリップを軸後方のロゴが見える位置にセットすると、芯が回転する「クルトガモード」、ロゴを隠す位置に動かすと、芯固定の「HOLDモード」として機能する仕組みだ。

↑クリップを90度回転させてモードを切り替え。このとき、最後にカチッというまで回す必要がある

 

ここで問題となるのが、芯が尖って均一な線が書きやすいんだから、クルトガモードのままでいいんじゃない? という話。逆に言うと、HOLDモードにするメリットってなんなの? ってことだ。

 

もちろん、HOLDモードにはきちんとメリットがある。書いても芯がカチャカチャと振動せず、安定した筆記感が得られるのである。実際に筆者も、シャープペンシルをメイン使いする中高生からも、「クルトガは書くとカチャカチャいうのが気になるから使わない」と聞いたことがある。あの書き味に苦手意識を持つ層が一定数いるのは、おそらく間違いないだろう。

↑HOLDモードがあるためか、通常のクルトガよりもカチャカチャ振動する気がする

 

クルトガは、芯を紙に押しつける力を利用してギアを回転させているため、どうしても芯が戻る際にカチャカチャというブレが発生してしまう。これにロックをかけて固定するのが、HOLDモードというわけ。

 

なので、クルトガモードからHOLDモードに切り替えると、「あっ、さっきまですごいカチャカチャしてたんだ!」と気付かされる。芯の微振動が完全に抑制されているので、落ち着いた書き味となるのだ。(要するに、普通のシャープペンシルなのだが。)

↑クルトガモード中は、ペン軸中央の窓の色が芯の回転に合わせて変わり続ける

 

ところが、しばらくHOLDモードで書いていると、徐々に線が太くなってくるのが気になり出す。書き味の面でも、芯が偏減りしているのが違和感として手に感じられるはずだ。

 

もちろん、そういうときは軸を手の中で少し回転させて、自前で芯の偏減りを解消させてやればいいのだが……すっかりクルトガに慣れきった身だと、それもちょっと面倒くさいのである。結果として「あー、やっぱりクルトガって便利だな」なんて思ったり。

 

もしかして否定どころか、これによってクルトガの良さを再確認させるのが、三菱鉛筆の目論見だったりするのかもしれない。

↑比べてみると、やはり偏減りしないクルトガは文字が潰れずシャープだ

 

普段は均一な線できれいな字が書きやすいクルトガモードがいいし、板書のように集中してガーッと早書きしたい場合はHOLDモードの安定感が欲しい。つまり、その時の気分次第でクルトガエンジンをオンオフできるのは、意外とアリなんじゃないだろうか。どちらにもメリットがある以上は、切り替えができるならそれだけお得ってことだし。

↑かためアルファゲルは、握った際のグリップ力もあり、気持ち良いクッション性もありで、本当に優秀なグリップだ

 

集中してガーッと書くといえば、そういった用途に、衝撃吸収素材のグリップはとても効果的だ。

 

スイッチのグリップは、アルファゲルシリーズの中でも人気の高い「かため」を採用している。握った指への当たりはフニッと柔らかだが、ほどよい反発感もあって、筆記中のブレが少ない。個人的にも、筆記具史に残る名品だと感じるほどに大好きなグリップである。

 

長時間筆記でも指が疲れにくいため、集中力も長続きする。モードを切り替えてまで筆記感に注意を払いたい、というタイプの人が使うシャープペンシルには、ベストな装備と言えそうだ。

「UNI」の名を冠したシャープ芯

実はもうひとつ、三菱鉛筆からシャープペンシル関連の新製品が登場している。それが、13年ぶりの新芯ブランド「UNI」である。

三菱鉛筆
シャープ芯 uni
0.5mm(40本入り)、0.3mm(25本入り)
各200円(税別)
硬度にはHB、B、2Bがある。

 

三菱鉛筆のシャープ芯としてこれまでお馴染みだったのが、「ユニ ナノダイヤ」シリーズ。内部に超微粒のダイヤを練り込むことで芯強度を高めた、折れにくい芯だ。ちなみに発売はクルトガと同年の2008年。

 

以降、これまでずっと三菱の芯といえばナノダイヤ、だったわけだ。そこへ13年ぶりとなる芯の新ブランド登場。しかも三菱鉛筆のブランドネームである「uni」をそのまま名乗るのだから、これは三菱側もかなり本気だな? と感じさせる。

↑同等の力でこすり比べると、uni芯のスレ耐性の強さが分かる

 

その最大の特徴は、汚れにくさだ。今まで、シャープペンシルで書いたあとのノートが、うっすらと汚れているように感じたことはなかっただろうか? あれは紙に付着しきれなかった芯の微細な粉が、手に触れるなどして散り、紙面を汚していたのである。

 

対してuni芯は、芯に特殊な成分を配合することにより、芯の粉がしっかりと紙面に密着して飛び散りを防ぐ、とのこと。なるほど、試してみると確かに擦れたときの芯粉の広がりがまったく違う。手で触ってもスレが少なく、あきらかに汚れにくいのが見て取れるだろう。

↑タテにスライドさせると、途中から斜め後ろに動く新しい方式

 

芯ケースももちろん、これまでとは一新されている。ナノダイヤは、横スライド式のキャップを採用していたのに対し、UNI芯はケース自体をタテに大きくスライドさせて開ける方式になった。

 

横スライドキャップは、ケース自体をトントンと軽く振って少量の芯を出す構造だったが、うっかりドバッと大量の芯がこぼれ落ちる、なんてトラブルもたまにあったのだ。

↑従来(ナノダイヤ)の横スライド式開口。振り出す際に芯がドバッと出すぎることも

 

↑対してuniは、開口が大きいため、芯が1本ずつつまみやすい

 

タテスライドは開口が大きいため、そもそも振って芯を出すことがない。そのまま指で芯1本だけつまみ出せばいいので、芯ドバトラブルが起きにくいのである(寒さで指がかじかんでいると、逆に芯が取り出しにくい場合もありそうだが)。

 

芯ケースのキャップギミックは、メーカーやブランドごとに様々な方式があるので、こういう新しい構造を見るのもなかなかに面白い。

 

 

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新「サラサ」は鮮やか発色! 従来比27%濃いゼブラのボールペン「サラサR」で気分も上向く!

サラサラとした軽い書き心地と、豊富なカラーバリエーションでヒット商品となったジェルボールペン「サラサ」シリーズ。授業のノートをとる時や家での勉強に、毎日のビジネスシーンでと、その用途はシーンを選ばず、幅広い世代から人気を集めています。

 

サラサシリーズを発売する筆記具メーカーのゼブラでは、2000年の登場以来、ニーズやトレンドに合わせて、商品やインクの色数を増やしながら、インクがなくなる最後まで書ける品質を追求してきました。

 

そんなサラサシリーズに、2021年3月22日より新シリーズ「サラサR」が登場しました。


ゼブラ
サラサR(サラサアール)
各110円(税込)

 

【商品情報】
・ボール径:0.4mm ※黒・赤・青インクのみ0.5mmも発売
・インク:ジェル(ゲル)インキ
・インクの素材:水性染料
・インク色(全14色、写真左から):(白軸)黒・ブルーブラック・青・スカイブルー・緑・フレッシュグリーン・オレンジ・赤・ピンク・マゼンタ・バイオレット・ブルーグレー・グリーンブラック・レッドブラック(黒軸)黒
その他:使い切りタイプ

 

濃さ27%アップで前向きな気分に

濃くあざやかな筆記線と、カラーバリエーションが豊富なことから、学生がノートを取るときに使われることの多いジェルボールペン。

 

その中でも、ゼブラのジェルボールペン「サラサクリップ」は、さらさらとした書き心地の良さが幅広い世代から愛されている筆記具で、ジェルボールペン9年連続売上No.1、累計販売本数8億本(2020年9月時点ゼブラ出荷実績)を達成したロングセラー商品です。

 

今回新発売となる「サラサR」は、従来品と比べて約27%濃くあざやかに書けるインクを採用。

↑(左)従来品で書いたノート(右)サラサRで書いたノート

 

きれいで見やすいノート作りをしたい学生のニーズに応えました。また、パキッとした色味は、おうち時間が増え、モチベーションの維持に苦労するなかでも前向きな気持ちにしてくれるでしょう。

 

インクの色は、全部で14色。赤、オレンジ、ピンクは赤シートを重ねると文字が隠れるので、暗記したい内容を書くのにも適しています。

 

白を基調としたシンプルなボディ

ボディは、白を基調としたシンプルなデザイン。他の文房具と合わせやすいのが特徴です。また、ノック部分とクリップの一部にインク色を表現しているため、筆箱の中やペン立てでも見分けやすいはず。

↑濃く、鮮やかな文字でノートをとれる

 

5色ずつまとめた教科別「勉強セット」も限定発売

さらに学生がノートを取るときに、こだわりの色を使う傾向があることから、教科別のおすすめカラー5色をセットにした「勉強セット」も数量限定で発売。

 

それぞれの教科の組み合わせは、カラーコーディネーターが前向きな気持ちで勉強できるよう診断したもの。もちろん、勉強以外のシーンでも使えるので、チェックしてみてください。


ゼブラ
サラサR 0.4 限定5色セット
550円(税込)

 

【セット内容】
国語:ブルーブラック、青、ピンク、赤、バイオレット
数学:青、スカイブルー、オレンジ、赤、マゼンタ
英語:ブルーグレー、スカイブルー、オレンジ、ピンク、赤
理科:黒、スカイブルー、緑、オレンジ、赤
社会:スカイブルー、フレッシュグリーン、オレンジ、赤、レッドブラック

「6色の黒」で個性を表現! サクラクレパス「ボールサイン iD」、文房具好き6人のそれぞれ推し色は?【文房具総選挙2021】

「ボールサイン iD」は、6色の黒インキを揃えるペンだ。一見微細な違いだが与える印象は明らかに異なり、ビジネスの場でも個性を表現できる。そこで今回は、文房具好き6人が“推しブラック”の魅力を熱弁!「文房具総選挙2021」にノミネートしている同アイテムがどれだけ魅力的なのか、ご紹介します。

 

文房具総選挙とは?

雑誌「GetNavi」とウェブメディア「GetNavi web」が主催。仕事や作業、勉強などの効率をアップさせる文房具を「はかどり文房具」と位置付け、文房具に精通した専門家により結成された「文房具総選挙選考委員会」が選出したノミネート文房具のなかから、読者や一般ユーザーが「これぞはかどる!」と実感したアイテムに投票し、そのナンバーワンを決定するユーザー参加型のアワード。今回で9回目となる。

 

【書く・消す 部門ノミネート】

黒ペンも“多様性”の時代!

サクラクレパス

ボールサイン iD

220円

6色の黒インキをラインナップするノック式単色ペン。名前の「iD」は“自分の色を選ぶ=独自性(identity)”に由来する。軸色はボール径0.4mmがライトグレー、0.5mmがダークグレーだ。

 

↑ボディは新感覚iD設計。両サイドの角に丸みを持たせることで、六角形の安定感と自然な指馴染みを両立している

 

<私の“推しブラック”>

【No.1】文房具ライター きだてたく さんの場合

↑機能系から面白雑貨系まで片っ端から使い倒してレビューするライター。GetNavi webでも文房具コラムを連載中

 

【My favorite Black】ミステリアスブラック

使いこなせるとカッコ良い! 大人の雰囲気を醸す妖艶な黒

「その名の通り、紫色が発する妖しさが良い。6色のなかで最もダークな大人の雰囲気を感じるのだ。この色を使いこなせる人って、男女問わずめちゃくちゃカッコ良いのでは? ということで、ミステリアスなダンディを目指して常時愛用中です」(きだてさん)

 

【No.2】文具ソムリエール 菅 未里さんの場合

↑文房具に関するメディア出演や商品監修などで活躍し、著作も多数。GetNavi webで「菅 未里の自腹買い文房具」を連載中

 

【My favorite Black】カシスブラック

文字に暖かみが生まれるから、感謝を伝えるときに最

「よく見るとほんのりと赤みがかかっていて、普通の黒よりも暖かみを感じられるのが魅力です。お礼状などに使えば、きちんとした印象を与えながらも、感謝の気持ちが伝わる気がします。フォーマルなシーンで文字に想いを乗せたいときにピッタリ」(菅さん)

 

【No.3】ライター/放送作家 古川 耕さんの場合

↑「OKB(お気に入りボールペン)48総選挙」の総合プロデューサー。本誌では文房具コラム「手書きをめぐる冒険」を執筆

 

【My favorite Black】モカブラック

暖かみがあって味わい深く、クリーム色の紙とも相性抜群

「ブラックの派生カラーだとブルーブラックがお馴染みですが、個人的には断然モカブラック。黒よりも柔らかく飽きがこないうえ、ブルーブラックより暖かみがあって味わい深い。そして何より、クリーム色の紙を使ったノートとの相性が最高です!」(古川さん)

 

【No.4】ビジネス書作家 美崎栄一郎さんの場合

↑著書では、アナログとデジタルを組み合わせるノート術を提案。商品開発コンサルタントや講演家としても活動する

 

【My favorite Black】ナイトブラック

ノートも書類もコレ1本! 青ペンの代わりに大活躍

「ノートを取るのは青ペン派。ただ青は公的な書類には使いづらく、黒ペンも持ち歩いていました(気持ち的な問題でしかないのですが……)。その点、コレはそこはかとないブルー。気に入りましたね。おかげでいまは、ノートも書類もこの1本でOKです」(美崎さん)

 

【No.5】GetNavi編集部 文房具担当 鈴木翔子の場合

↑担当歴4年目。子どものころから紙モノ文房具に目がなく、書棚には読書や映画鑑賞の記録をまとめたノートが並ぶ

 

【My favorite Black】フォレストブラック

懐の深さを感じる色合いは、心の中を旅するときのお供に◎

「新緑のような緑ではなく、太古の深い森を想起させる色合い。真っ白な紙に書いたときに、白のまぶしさが和らぐ気がします。どっしりと構えながらもやさしく包み込んでくれる色味で、日記を書くときなど心の中に深く潜りたいときに使いたくなります」(鈴木)

 

【No.6】GetNavi web編集部 文房具担当 和田史子の場合

↑雑誌編集を経てウェブ編集へ。PCでメモを取るスタイルに移行した時期もあったが、手書きに回帰。ペンと紙を愛する

 

【My favorite Black】ピュアブラック

あえて選ぶ価値のある、やさしい発色が魅力の純な色

「“6色の黒”を謳うシリーズで、シンプルな“黒”を選ぶ人は天邪鬼でしょう。でも、宛名書きや社内書類への記入など、フォーマルなシーンではやっぱり安心の黒! しかも、するすると出てちょっとやさしく発色する黒インキは、あえて選ぶ価値があるのです」(和田)

 

サクラクレパス「ボールサイン iD」の詳細はコチラ!

どれが一番書きやすい!? 手帳に使いたい0.3mm以下の「超極細字ボールペン」7モデルを使い比べ!

ボールペンを選ぶ際の基準にはさまざまあるが、手帳へ小さな字を書き込む機会が多いのであれば、“超極細字”が書ける0.3mm以下のボール径が便利だ。

 

小さな字も潰れにくいので可読性が高いし、狭い面積に密度を高く情報が書き込めるのは、超極細字ならではと言えるだろう。なにしろ“ボール径0.3mm”といえば、筆記線の幅は0.15~0.2mm程度。0.5mm径の線幅が0.3mm台なので、ほぼ倍は違うことになる。

 

最近はシステム手帳界隈でも、名刺より一回り大きいくらいの“M5サイズ”が人気。小さな紙面に太いペンでは、とても書いていられないのだ。

↑コクヨ「ジブン手帳」も、紙面に3.5mm方眼を採用している関係で、細いペンとの相性が良い。小さな3.5mm方眼にみっちりと字を詰め込みたいなら、やはり超極細がいいだろう

 

もうひとつ、字が汚い人でも丁寧な文字を書きやすい、というメリットもある。

 

近年のボールペンは、書き味の良さを高めるために、全体的になめらか筆記優先のチューニングがされている。しかし、悪筆の人間にとってなめらか過ぎるペンは制御しにくく、ついつい雑な走り書きになりがち。

 

0.4-0.3mm以下のボール径は、細い分だけペン先が紙にカリッとひっかかりやすいが、その抵抗感がほど良いコントロール性を生むことがあるのだ(壮絶な悪筆でお馴染みの筆者は、0.38mmを愛用)。もちろん悪筆の原因はいくつもあるので、一概に「細字ならOK!」とも言えないが、字の汚さに悩んでいるなら、試してみる価値はあると思う。

 

ということで今回は、今のところ市場で最も細い「ボール径0.3mm以下」の製品を書き比べてみたい。

 

0.3mm以下の超極細ノック式ボールペンで、一番細い線が書けるのはどれだ?

今回揃えたペンは、筆者の使用頻度が高いというシンプルな理由で、ノック式に限定。ノック式、かつ0.3mm以下で、現時点で市場入手可能なものといえば、だいたいこの7本になるだろう。

【ゲルインク】

・ゼブラ「サラサクリップ 0.3」100円

・パイロット「ジュース アップ 0.3」200円

・ぺんてる「エナージェル 0.3」200円

・三菱鉛筆「シグノ RT1 0.28」150円

※写真左から。すべて税別

 

【低粘度油性インク】

・OHTO「スリムライン 0.3」500円

・パイロット「アクロボール Tシリーズ 03」150円

・三菱鉛筆「ジェットストリームエッジ 0.28」1000円

※写真左から。すべて税別

 

実のところ、従来の油性インクは粘度の高さなどが問題で、ボール径を小さくするのが技術的に難しい。そのため、細い字が書けるボールペンといえば、長らくゲルインクの独壇場だったのだ。

 

キャップ式であれば、現在ゲルの最細は「ハイテックC 0.25」(パイロット)。過去には「シグノビット0.18」(三菱鉛筆)なんていうものもあった。

 

油性では、手帳用ボールペンとして「スリムライン0.3」が以前からあったが、2019年に三菱鉛筆が低粘度油性で世界最細径となる「ジェットストリームエッジ0.28」(以下、エッジ0.28)を発売。ライバルであるパイロットも、2020年末には「アクロボール0.3」を発売し、ようやく油性でも超極細を選んで使えるという時代が到来した、という流れである。

↑0.3mm径ボールペンとしては最新鋭となる、パイロット「アクロボール Tシリーズ 03」

 

滲み・かすれはどうか?

前置きはここまでとして、まずは実際に細さを体感するため、シンプルに直線を引いてみよう。

 

ここで感じるのは、油性グループの線の細さだ。水性インクの一種であるゲルは、どうしても紙に染み込むため、その滲み分だけ線がわずかに太る傾向がある。対して油性はその滲みが少ないため、こういった差が出てしまうわけだ。

↑5mm方眼に0.3mm径ボールペンの名前と線を詰め込んでみた(右下はサンプル用の0.5mm径)。超極細字ならではのマイクロ試し書きである

 

なかでも圧倒的細さを誇るのが、スリムラインである。今回の7製品の中ではダントツに細い!

 

店頭でもあまり見かけない製品だけに、実は筆者もあまり意識して触ったことがなかったのだが、「こんなに細かったっけ!?」と驚かされた。OHTOお得意のニードルポイントはペン先周辺の見通しも良く、ついつい、どこまで小さい字が書けるか? 的なトライアルをしたくなるヤツ。ただし、けっこう頻繁にかすれが発生してしまうのは、気になった。

↑最細の線が書けるOHTO「スリムライン」。金属軸もとてもスリムで、手帳と持ち歩くには良さそうだ

 

逆に「ちょっと太いな?」と思ったのはサラサで、続いてエナージェルあたり。

 

もちろん線幅で0.1~0.2mm台というミクロな世界での話なので、比較用に併せた0.5 mm径の線と比べれば、どれでも充分に「細い!」という感じなのだが。

 

正直言えば、米粒に般若心経を書くのでもない限り、大した差じゃない。どれを使っても、方眼1マスに10文字以上書き込める性能はあるのだから。……ここまで書いておいて急にハシゴを外すな! という話だが、だってどれも問題なく細いのだ。

 

だから、それよりも気になるのは“書き味の差”なのである。

 

書きやすい超極細字は、カリカリとなめらかのバランスがポイント

そもそも0.3㎜径以下の極細字というのは、それだけでボールペンにとって非常にハードな環境だ。ボールが小さい分だけ、わずかにペン先の角度が変わるだけで書けなくなったりするし、紙の粉(繊維)が詰まるようなトラブルも、一般的な0.5mm径と比べると発生しやすい。

 

そういったハードモードで、なおかつ書きやすいものこそが、優れた超極細字だと思うのだ。

 

↑書きやすさではダントツのジュース アップ。その秘密はパイプチップとコーンチップの長所を併せ持つ特殊なシナジーチップにある

 

あくまでも筆者の体感ではあるが、飛び抜けて「書きやすい!」と感じたのが、ジュース アップだ。

 

超極細字の問題の一つに、細いパイプを通すことでインクフローが不十分になり、かすれや引っかかりが発生する、というものがある。しかし、ジュース アップのペン先(シナジーチップ)は、極細でも充分なインクフローが得られる。これはかなり大きなアドバンテージで、0.3mm径とは信じられないような快適さ。

 

ゲルの超極細字としては引っかかりも少なく、なめらかさ側に振られたチューニングは、万人受けしそうな印象だ。

↑シグノRT1(写真右)は、ここまで筆記角を寝かせてもスムーズに書ける。これは超極細ジャンルとしてはかなりレア

 

また、シグノRT1は先端のカドを削ったエッジレスチップの効能か、角度の変化にやたら強い。他社の製品では筆記不能になるほど寝かせた状態でも普通に書けてしまうのは、なかなか面白い。筆記感はややカリカリ感強めで、個人的には好きなタイプだ。

 

油性に関しては、個人的にはアクロボールの筆記角の狭さが少し気になった。ペンの“最適筆記角”と言われる60°で書いていれば、何の問題もなくなめらかなのだが、これを傾けて50°をきったあたりから、いきなりガリガリと強く引っかかり、筆記不能になる。

 

このリニア過ぎる書き味は、もしかしたら、合う人と合わない人がパッキリと別れるタイプなのかもしれない。

↑ジェットストリームエッジ0.28のリフィルは、0.5mm径などと同じシリーズ。お馴染みジェットストリームスタンダードの軸に入れて使うことも可能だ

 

対して、エッジはかなりオールマイティ。カリカリとなめらかのバランス、筆記可能角度の広さともにクオリティの高さを感じた。超極細の不快な要素(引っかかり・かすれ・トラブルの発生率)を極力減らすことに注力して作られているようなイメージだ。

 

今回準備した中で唯一の1000円超えだし、価格分の良さはあるのかな? と一瞬思ったが、冷静に考えればエッジもリフィルだけなら税込220円とお安いもの。となれば、シンプルに「お得」という結論しかないかもしれない。

 

超極細ボールペン選びの注意点

ただ実際問題として、例えば同じジェットストリームでも、0.5mm径と0.28mm径では筆記感が大きく違う。そのため、「書き慣れた0.5mmと同じペンで、細いヤツを買う」という選び方をすると、なんとなくしっくりこない感じを引きずることもありそうだ。

 

超極細ボールペンはあくまでも別物の筆記具と考えて、ゼロベースで試筆をして選ぶのが良いと思う。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
https://getnavi.jp/tag/kidate-review/

 

【文房具総選挙2021】書きやすさも発色もこだわったペンが多数!「書く&消す」文房具19点がノミネート

仕事や作業の効率をアップさせる高機能な文房具、「はかどり文房具」の年間ナンバーワンを決定するアワード、「文房具総選挙2021」がスタートしました。ここでは【機能部門】「書く・消す」部門にノミネートされた文房具を紹介していきます。

「文房具総選挙2021」の全貌
https://getnavi.jp/stationery/585036/

 

【ノミネート商品をまずは写真でざっとチェック!】


投票は4/25 23:59まで・結果は5/24に発表します

 

【機能部門】書く・消す 部門

人気ブランドから待望の多色・多機能ペンや細径モデルが登場するなど、ボールペンを中心に熾烈な戦いが予想される本部門。インク色にこだわった商品にも、ぜひ注目してみてください。19商品がノミネート。

 

No.35

パイロット
アクロボール Tシリーズ 03
165円

滑らかな書き味とかすれのない書き出しが特徴の「アクロボール」に、ボール径0.3㎜が仲間入り。細く濃い安定した筆記を実現するため、ペン先のボールの精度をナノレベルで制御している。

 

No.36

ゼブラ
ウェットニー
660円

濡れた紙にもしっかり書ける加圧式ボールペン。ミルスペックのメタルボディで、ハードな使用環境にも耐える頑丈さだ。ペンの上部には、紐などを付けられる穴が設けられている。

 

No.37

寺西化学工業
ガテン無敵マーカーPRO
253円(オノ型)、473円(極太)

速乾性と耐水性に優れ、濡れた面にも書ける油性ペン。耐摩耗性の高い強化型のペン先で、凹凸面にも筆記できる。インクは黒と赤の2色。別売りで替えのペン先や補充用のインクもある。

 

No.38

サクラクレパス
SAKURA craft_lab 005
3520円

ペン先からサクラ型の頭冠まで続く流線型のフォルムが特徴的な、ゲルインキボールペン。見た目が美しいだけでなく、手にフィットして握りやすい。別売りでクリップ(330円)も用意。

 

No.39

ビック
BIC クリックゴールド 0.5mm
198円

フランス発の筆記具ブランドの代表作に、創業以来初の日本企画モデルが誕生。日本のユーザーに合わせたボール径0.5㎜の芯を搭載している。新開発のインクでサラサラと滑らかな書き味だ。

 

No.40

三菱鉛筆
ジェットストリーム エッジ 3
2750円

世界最小のボール径0.28㎜を採用したボールペンの多色タイプ。筆記性能を維持するために、ペン先の中央ではなく、あえてずらした位置から芯が出る「ポイントノーズ形状」を新開発した。

 

No.41

ナカバヤシ
SEED Radar ヨゴレ&インキ落とし
550円(大型タイプ)、1100円(極太タイプ)

はさみなどの金属面に付着した粘着汚れやインク、手アカを落とせるペンタイプの汚れ落とし。汚れに塗り、ティッシュや布で拭き取って使う。ニオイが少ないうえ、乾きも速く使いやすい。

 

No.42

サンスター文具
Ninipie
220円

ひとつのペン先にマーカーペンとニードルペンのペン先を搭載。インク色は、同系色で濃さの違う色を搭載したタイプと、ピンクとグリーンのように異なる色を搭載したタイプがある。

 

No.43

クツワ
ネオンピツ
330円

蛍光色の芯をノック式のボディに装着。ノートや教科書などのマーキングに活躍し、インク式のマーカーのようなにじみや裏写り、インク乾きの心配がない。透明ボディで残量もわかりやすい。

 

No.44

ゼブラ
ライトライトα
660円

先端にライトが付いたペンの進化版。ペン先とノック部分に暗闇で発光する蓄光パーツを使い、暗い場所でもペンを探しやすくした。新たに目にやさしい赤いライトもラインナップした。

 

No.45

サクラクレパス
ピグマホルダー
1980円

豊富な線幅を揃える水性ペン「ピグマ」を、スタイリッシュに演出するホルダー。アルミニウムと真鍮で作られた軸は、筆記しやすい低重心で、発色の良いアルマイト加工が質感を高めている。

 

No.46

パイロット
Vコーン ノック
165円

速書きしてもかすれず、濃い筆跡を残せる水性ボールペン「Vコーン」のノックタイプ。垂れにくいインクと、インクが外気に接触するのを抑制するペン先が、インクの漏出や渇きを防ぐ。

 

No.47

ゼブラ
ブレン 2+S
550円

筆記時の振動を制御した多機能ペン。黒・赤のボールペンとシャープペンを搭載しながらも、ボディは同シリーズの単色ペンと同じ細さ。ノック部はラバー製で、ノック解除時の音が小さい。

 

No.48

コクヨ
PERPANEP(ペルパネプ)
143円〜440円(ペン)、各990円(ノートブック)

紙とペンの相性に着目したブランド。手触りの異なるノート3種と、3タイプのペンをラインナップし、組み合わせて書き味の違いを楽しめる。罫線はそれぞれ5種。フラットに開き、書きやすい。

 

No.49

サクラクレパス
ボールサインiD
220円

赤味のあるカシスブラックやほのかに青いナイトブラックなど、6色の黒インキをラインナップした単色ボールペン。六角形と丸形を組み合わせたボディは、指馴染みが良く安定感もある。

 

No.50

プラス
ホワイパープチ〈クリームテープ〉
330円

クリーム色の紙に使っても消した部分が目立たない、オリジナルカラーの修正テープ。6mのテープを搭載しながらも、消しゴム並みのプチサイズだ。テープの幅は4種類から選べる。

 

No.51

コクヨ
2ウェイカラーマーカー〈マークタス〉
165円(1本)、825円(5本セット)

同系色のマーカーと極細ペンがひとつに。極細ペンには、マーカーよりも濃い色が使われている。インクの種類を変えることで、極細ペンの筆跡にマーカーを重ねてもにじみにくくした。

 

No.52

トンボ鉛筆
油性ボールペン モノグラフライト 0.38mm
198円

5.2㎜と業界最長のロングニードルチップを搭載し、精密に筆記できる。筆記時の摩擦を抑える新技術で摩擦抵抗を業界標準より約20%抑え、軽く滑らかな書き味を実現。ボール径は0.38mm。

 

No.53

シード
レーダーTW
165円

繰り出し式の消しゴム。消し面の形は、ピンポイントで消せる三角、1文字消しに最適な丸、一気に消せる四角の3種類から選べ、色によって形が異なる。グリップは転がりを防ぐストッパー付き。

 

トレンドと機能で分類した8部門・99商品!

たった今の世の中の流れが見える「トレンド部門」3部門と、機能によって分類した5部門の、合計8部門。部門によってボリュームの差があるものの、およそ10数商品が選出され、合計99もの商品がノミネートされました。

【トレンド部門】
仕事がはかどる! テレワーク&フリーアドレス文房具 部門

コロナ禍で特に需要が広がったのが、本部門のアイテム。仕事道具をまとめる収納ツールから、狭いデスクでも使える省スペースアイテムまで、快適な環境構築を助ける商品が目白押し! 12商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/585389/

 

【トレンド部門】
勉強がはかどる! 学生応援文房具 部門

昨年に引き続き、ノートをきれいに取れる、使っていてモチベーションが上がるなど、学習効率を高めてくれる文房具が数多く登場。資格取得などに向けて勉強中の大人も要注目! 13商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/585398/

 

【トレンド部門】
デジタルと連携してはかどる! デジアナ文房具 部門

スマホやPCと連携することで、機能を拡張できる文房具が増加中。本部門では、それらの商品に加え、デジタル機器の使い心地を向上させる周辺アイテムもピックアップしました。9商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/585400/

 

【機能部門】
書く・消す 部門

人気ブランドから待望の多色・多機能ペンや細径モデルが登場するなど、ボールペンを中心に熾烈な戦いが予想される本部門。インク色にこだわった商品にも、ぜひ注目してみてください。19商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/585405/

 

【機能部門】
記録する 部門

白でも黒でも書けるノートや、油性ペンで書き込めるホワイトボード、半分に折りたためる手帳など、常識を覆すユニークかつ画期的なアイテムが満載。いままでにないフォーマットを採用した手帳も話題です。11商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/585407/

 

【機能部門】
分類する・印をつける 部門

付箋を中心に、9アイテムがラインナップ。名前の読み方を彫った印鑑や、メモを取れるIDカードホルダー、定規やマーカーペンの代わりに使える付箋など、新発想の商品が多く選出されています。9商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/585409/

 

【機能部門】
切る・貼る・綴じる 部門

コロナ禍で増えた荷物の梱包・解梱作業の効率アップを図るアイテムを中心に、多彩な商品が集結。携帯はさみをはじめ、コンパクトながらも使い勝手を極めた商品が増えています。13商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/585415/

 

【機能部門】
収納する 部門

今年は省スペースで使えるだけでなく、中身の取り出しやすさにもこだわった“立つペンケース”が多数ノミネート。雑貨のような素材やデザインの収納アイテムもトレンドです。13商品がノミネート。
https://getnavi.jp/stationery/585417/


投票は4/25 23:59まで・結果は5/24に発表します

これぞサクラクレパスらしい“高級感”! サクラクラフトラボ「005 ゲルインキボールペン」に膝を打った理由とは?

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を1点ずつピックアップしている。第6回となる今回は?

 

第6話

サクラクレパス
サクラクラフトラボ
005 ゲルインキボールペン
3520円(税込)

2017年に誕生した「かく」喜びを届ける筆記具シリーズから2020年11月に登場。流線型のシルエットと、ボディ中央から両端に向かって彫られたラインが美しい。ボディは8色展開で、インクはセピアブラックを搭載。別売りでブラック、ブルーブラックもある。

 

「新しいのにどこか懐かしい」

ここ数年、各筆記具メーカーが自社製品のリブランディングを進めていくなかで、サクラクレパスが売り出したのが「サクラクラフトラボ」シリーズ。こちらの既発4モデルはどれも、真鍮を素材に使い、重厚感のあるヴィンテージ路線を打ち出していたが(「002」のみ同社のクーピーペンシルをモチーフにしており毛色が異なるが)、どれもどっしりとしたボディにサクラならではの軽やかなインクがどうにもチグハグで、そもそもサクラクレパスが「高級感=重量感」というステレオタイプに与する理由も見当たらず、ずっとモヤモヤしたものを感じていた。それぞれの出来に文句はない。が、ほかにもっと高級感の出し方があるんじゃないかしらん−–−と。

 

そんなところに発売された新作「005」を見て、思わず膝を打ってしまった。そうそう、これこれ! クーピーペンシルにも通じる無垢なボディラインに、不揃いのスリットが走り、繊細なニュアンスを出しながら握りやすさも確保している。この「新しいのにどこか懐かしい」というバランスはまさにサクラクレパスに望んでいたことで、しかもちゃんと高級感まであるのだから感心してしまう。胴軸をひねってペン先を繰り出し、大きめの紙に殴り書き。しばし無心になってペンを走らせ、ふと尾尻を真上から眺めてみると……ペン後部の断面が桜の花びらの形になっているのに気が付いた。そうそう、こういうこと〜! 大正解。

 

↑サイドから削り込まれたボディは、天面でサクラクレパスの社章である、「サクラマーク」を形づくっているのがわかる。美しい造形だ

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第4話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第5話】三菱鉛筆の開拓精神を見た! 異形のペン先をもつ3色ボールペン「ジェットストリーム エッジ3」

https://getnavi.jp/stationery/551859/

ペン回しの世界チャンピオンを直撃! 完全監修したペンスピナー垂涎の「Gyro pro」の出来は?

“ペン回し”と聞いて、どういうものを想像するだろうか? 誰もが中高生の頃に一度くらいはチャレンジしたことがあるだろう、ボールペンを指で弾いたりして手の中でクルッと回す、あれだ。

 

ただ、おそらく今あなたの脳内で思い描いたペン回しとは次元の違うペン回しが、いま世界で人気となっており、さらには世界大会がある……なんてことまでは、さすがに想像の域を超えていたはずだ。「次元が違うってなんだよ、しょせんはペン回しだろ?」という人には、実際どんな感じか、動画を見てもらったほうが手っ取り早いかもしれない。

 

 

これが世界レベルの、いや実は、世界チャンピオンによるペン回しである。これを見てまだ「しょせんはペン回し」と言ってしまうのは、どう考えても無理筋だろう。凄すぎる!

 

ちなみにこの世界チャンピオンというのが、日本人プロパフォーマーのKayさん。2019年に中国で開催されたWPSAL(World Pen Spinning Alliance League)において、厳しい国内予選を勝ち上がった7か国16人のペンスピナー(ペン回し競技者)たちの頂点に立った、まさにトップ・オブ・ペンスピナーなのである。

↑世界大会のステージでパフォーマンスを行うKayさん

 

そしてこのKayさんが完全監修した「ペン回し最強のボールペン」が、クラウドファンディングサイト、Makuakeにおいて現在展開中だという。ひとまずそれがどういうものなのか、Kayさん本人にお話を伺ってきた。

※取材は感染症対策のもとで行っています

 

ペンスピナーが求める回し心地最強のペンとは?

その前に、世界チャンプ監修の「ペン回し最強ボールペン」が開発されることになった、その流れを説明しておこう。

 

まず2018年、精密部品加工メーカーの湯本電機が、ペン回しに最適化されたボールペン「Gyro(ジャイロ)」を発売。しかしこれを見たKayさんが、「これではまだ甘い! もっと凄いものができるはずだ」と湯本電機側に連絡を取り、タッグを組むことに。

 

そこから2年以上の月日をかけて開発されたのが、いまクラウドファンディングで展開されている「Gyro pro」というわけだ。

↑世界チャンプが「これが、ペンスピナーにとって最強のペンです」と豪語する。もう確実に凄いやつだ

 

湯本電機
Gyro pro
Gold/Silver/ Platinum」
各1万3200円(税別・クラウドファンディング価格)

 

Kay「先代『Gyro』は、僕らペンスピナーから見るとまだ微妙な部分がいくつかあったんです。まず、長さが足りなかった。ペンスピナーは既存のペンを改造して、20センチ前後まで伸ばすことが多い。あとは重心の分布も重要で、両端が重くなっているほうが回しやすいんだけど、先代はそれも違ったんです」

 

↑2018年に発売された先代「Gyro」。筆者も当時しっかり購入していた

 

もちろん、基本的な技(くるりと指で一回転させるなど)を繰り出すにはそれでも充分だが、最初の動画にあったようなレベルの高いパフォーマンス用としては厳しかった、とのこと。

 

そこで「Gyro pro」では、企画段階からKayさんが関わることで、ペンスピナーが求めるスペックを満たす製品に仕上がったのである。

 

長さは先代の約150mmから大きく伸びて、鉛筆よりも少し長い約190mmのABS製樹脂軸に。同時にペンの筆記機構も、重心が微妙に狂いやすい繰り出し式から、双頭タイプのキャップ式に変更された。

 

さらに、キャップの両端には金属製の重りを搭載することで、回転時の遠心力をフルに活かせるようになっている。

↑先端の重り(金属パーツ)は素材によってわずかに重量が違う。この微妙な差でも、回転フィールは大きく違ってくる

 

ラインナップは重りの素材別で、ベーシックなステンレスの「Gyro pro Silver」、重量感のある真鍮(しんちゅう)の「Gyro pro Gold」、軽量なアルミの「Gyro pro Platinum」の3タイプ(アルミはカラー3色あり)。それぞれ好みの重さでモデルを選ぶ方式だ。

 

重りの重量差は、各モデル間で1個辺り1g前後(両端で2個搭載するので、全体的な重量差は約2g)だが、実際に回してみると違いははっきり感じられるという。

↑リフィルを搭載した状態のSilver(ステンレス)モデルで、重さは約20g。重量の1/3が両端に偏っているので、非常に回しやすい

 

Kayオススメはベーシックなステンレスの『Gyro pro Silver』です。全体的なバランスが抜群なので、迷ったらこれで大丈夫。ペン回し初心者の人にも、これが最も回しやすいはずです。最終的には好みの問題なんですけどね(笑)。真鍮は重さを使って回転させる大技向け、軽いアルミは小回りが効く感じになっています

↑回しやすさだけでなく、書き味にもこだわったパーカーリフィル。「金属製のリフィルは2g以上あるため、搭載時の重心バランスを取るのにも苦労しました」とKayさんは話す

 

軽い樹脂軸の両端に重りということで、正直なところ、筆記用としてはかなりアンバランス。書く握りで持つと明らかにリアヘビーで、後ろに持って行かれる感じが強い。

 

しかし、本製品はあくまでもペン回し専用に作られているので、回すためにはこれが正しいバランス。ボールペンも用途によって正解・不正解の要素が大きく違ってくるのが、なかなかに面白い。

 

ちなみにリフィルも、先代がややレガシーな油性「SC-7N」だったのを、書き味向上を求めてパーカータイプのジェットストリーム「SXR-600-07」に変更されている……のだが正直なところ、そもそもこのバランスだし、書きやすさを求めてもしようがないような気はするのだが。

↑書いてる間中、ずっと後ろに引っぱられる感覚すら覚えるリアヘビーさ。筆記機能はあくまでも“おまけ”レベルと考えた方が良さそうだ

 

Kay「あと、特にこだわったのは軸のラバー塗装でした。軸に最適なグリップ力があると、技の出しやすさが全然違ってくるんですよ。湯本電機さんと何度もしつこくサンプルのやり取りをして、ようやくこのベストな摩擦感のあるラバー加工の軸が完成しました」

↑指に吸い付くような印象のラバー軸。さすがにこだわっただけはある安定感だ

 

インタビュー時には、決定する前のサンプル(ボツバージョン)とも触り比べさせてもらったが、確かに安定感は天地ほどの差があった。なるほど、ここまで差が出るなら、監修としてもこだわりどころだというのは納得できる。

 

質感だけでなく塗装の厚みなども考慮されているようで、しっかり回ってピタッと止まる、ペンスピナーにとっては完璧なグリップになっているそうだ。

 

Kay「ペンが1回2回ぐらい回せるかな? というペン回し初心者の方にも、ラバー軸のメリットは感じられると思います。なので、基本的な技の練習用にもぜひ使ってみてもらいたい。実際、確実に回しやすく感じてもらえるはずです」

 

 

まさに筆者は「ノーマルを1回2回ぐらい回せるかな?」レベルなのだが、それでも回したときの成功率は、普通のペンと比較してもかなり違うように思えた。

 

とはいえ、さすがに世界チャンプの目の前で「わー、回せた!」とはしゃぐのも恥ずかしい(こんなレベルで!)ので、コッソリと回していたんだけど。

 

実は昨今、自宅にこもってできる趣味として、ペン回しの人気は高まっているようだ。テレワークなら、休憩中にクルクル回していても上司ににらまれることもないし。

 

また、指先を使うことで、仕事疲れした脳のリフレッシュにもなるとのこと(Kayさんが脳科学者に確認済み)。あのレベルまで到達できるかはさておき、息抜き程度に気持ちよく回せるペンを1本持っておくというのは、悪くないのかもしれない。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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鉛筆削りが疾走する!? プラス「ハシレ!エンピツケズリ!」は子どもとかつての子どもに買い一択のケッサク文房具

生まれて初めて鉛筆を削ったときのことを憶えている人は、いるだろうか? タイミングとしてはおそらく、小学校入学直前の今頃。入学用品のひとつとして買い与えられた鉛筆と鉛筆削りを、親から「こう使うんだよ」と教えてもらう、というケースが多いのではないだろうか。

 

筆者もまさにそうで、当時の定番だったナショナルの電動鉛筆削り「ペンナー KP-55」を買ってもらったのである。水色ボディに尖り具合セレクターのついた、かっこいいやつだ。

↑「ナショナル KP-55」の画像検索結果。いい出物があれば欲しいな……とずっとメルカリなどを探し回っている

 

ピカピカのKP-55をうっとりと眺めていたら、父親が「よし、じゃあ鉛筆の削り方を教えてやろう」と言う。で、父親に手を添えられつつ電動削り器に新品の鉛筆を差し込むと、瞬間、ズガガガガガガ! という爆音が上がり、凄まじい振動が手に響いたのである。

 

そのあまりのけたたましさにビックリした筆者が手を離そうとしたのに、あろうことか、父親が手をがっちり抑え込んで離さない。手がビリビリ痺れるほどの振動と音、そして、どんどん飲み込まれていく鉛筆。「このままでは手まで食われる!」と怯えてギャンギャン泣きわめき暴れる筆者。なぜかゲラゲラ笑いつつも手をガッチリ離さない父親。おそらくあの頃には、全国各地で同様に繰り広げられていたであろう、軽い惨劇の現場である。

 

その後どうなったのかは、あまり憶えていない。ただ、それ以降はけっこう平気でKP-55を使って鉛筆を削っていたはずで、あの初体験が幼いきだて少年のトラウマにならなかったのは幸いだった。

 

もちろん、近年の電動鉛筆削りは昭和の製品よりもずっとマイルドになっているが、それでも、振動と音に怯える子どもはまだいるのかもしれない。

 

ハシレ! エンピツケズリ! 走れ!

そもそも、なんで鉛筆削りごときにそこまでビクビクせねばならんのか。楽しく削ることはできないのか。

 

音と振動の少ない手回しの削り器だって、ハンドルの回転半径がまだ体の小さな子どもには大きすぎて、上手く回すのは一苦労だ。もっとラクに、かつ怯えることなく楽しく鉛筆が削れたっていいはずだろう。

プラス
ハシレ!エンピツケズリ!
3000円(税別)

 

だから、プラスの新しい鉛筆削り「ハシレ!エンピツケズリ!」を一目見た瞬間に、そうそう、こういうやつだよ! と思ったのだ。

 

もしかしたら開発担当者は、同じく電動鉛筆削りでギャン泣きした経験を持つ人なのかもしれない。コンセプトカー的な未来感溢れるフォルムが超カッコイイし、さらにこれ、手に持ってコロコロと走らせるだけで鉛筆が削れてしまうというのだから、この時点で早くも最高と言わざるを得ない。

 

もちろん、つらい振動とか怖い爆音もなし。ただトップレーサー気分で車を走らせているだけで、だ。

↑大迫力の鉛筆挿入口が印象的なリアビュー

 

↑鉛筆を挿したら、レバーを左に倒してロック。鉛筆が削れるのに合わせてレバーが前に動く構造が車のシフトレバーっぽい

 

まず、後部のジェットノズルめいた穴に鉛筆を挿したら、レバーを左に倒してロック。あとは手を車体上部に添えてコロコロと走らせれば、前輪の回転に連動して車体内部の削り器が回転し、鉛筆を削り上げていくという仕組み。

 

エラストマー製のタイヤはグリップ力があり、フラットな路面でもしっかり食いついて空転にくいのも、いい感じだ。もちろん、走らせることで机や床を傷つけるようなこともなさそう。

↑前後に転がすことで、狭い机の上でもキビキビと削る走行性能は、松任谷正隆と田辺憲一(by カーグラTV)も大満足だろう

 

ここで面白いのが「1Wayギア」と名付けられた構造で、本体が前進しても後進しても、削り器はずっと同じ方向に回り続けるのである。

 

 

↑前進と後退でそれぞれ左右のギアが切り替わって、削り器を一定方向に回転させる面白い構造

 

おかげで、鉛筆を削るためにどこまでも走らせる必要はない。途中で机から飛び出しそうになってバックしている間も、きちんと仕事をしてくれるのだ。

 

 

つい延々とコロコロ走らせ続けそうになるが、内部からカチ! カチ! と音がしたら、ドライブ終了の合図。ロックを外して鉛筆を取り出せば、ピンピンに削り上がっているわけだ。

 

ロックレバーは強めのバネが入っているので、レバーを引き戻しつつ倒すという動作は、小さい子どもにはちょっと難しいかもしれない。もしかしたら、このあたりをチャイルドロックとして機能させようとしているのかもしれないのだが。

↑この通りの削り上がり。芯が折れているぐらいだと、前進後退合わせて1mほど走らせればきれいに尖る

 

削りカスを捨てるときは、ガラスルーフ(っぽい部分)の先端にあるスライダを引いて持ち上げる。するとルーフがパカッと外れるので、そのまま車体内部に溜め込まれたカスを捨てるだけ。

 

ちなみに削り刃が摩耗して交換する、もしくは芯詰まりの解消も、ルーフを外した状態で行う。この時は、削り刃近くの固定ネジに、指先をかけてユニットを引きずり出すことになるので、必ず専門のメカニック(保護者)が行うこと。日常メンテナンスはカス捨てまで、とドライバーにも伝えておこう。

↑ルーフを開くと削りカスが。あまり溜めすぎると削り器の回転を阻害しそうなので、早めに廃棄したい

 

↑刃の交換はユニットごと行う。替え刃は予備が1個入っているが、別売り(320円・税別)でも購入可能

 

良くできているなーと感じたのは、サイズ感だ。

 

全長155mmは、いわゆるミニカーの1/32スケールに近く、さらに全高のボリュームもあるため、トミカの1/60スケールに慣れている子どもにはかなり大きく感じられるはず。このデカさがいいのだ。

 

大人の手でコロコロ走らせても問題ないサイズなので、子どもの手には少し余るぐらい(幅を削っているので、持つのに問題はない)。この大きめサイズは、ただのミニカーじゃない特別な車なのだ、という気持ちの盛り上がりにつながるのではないか。

 

実際、構造的にはもう少しコンパクトにだって問題なく作れただろうから、これは運転するドライバーのテンションまで考慮したサイズだと思う。

 

もちろん、削る効率の良さとかスピードとか、そういった点で便利な削り器では絶対にない。ないんだけど、でも、必ずしも「高効率=優秀」というわけじゃないのが、文房具の面白いところだと思うのだ。

 

使う楽しさとか、削れるまでの作業を退屈に感じないという意味で言えば、「ハシレ!エンピツケズリ!」はなかなかに優秀なものなんじゃないだろうか。これ、大人だって削ってみたくなるし。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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【菅未里の自腹買い文房具】宅配のサインにも重宝! 実用性と癒し力が高いリヒトラブ「ペンスタンド」を玄関に常備すべし

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。仕事柄、文房具を試す機会は多く、手元には山のような文房具が……。そんな菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた、いま本当に気に入っている文房具とは?

 

今回は、巣ごもりが続く毎日に増えた宅配をスムーズに受け取るために、玄関先に常備しておきたい文房具。

 

一本挿しのペンスタンド

ペンを一本だけ挿せるタイプのペンスタンドを使ったことがありますか? 私は好きで、従来、家の中でも玄関とキッチンの2か所に置いていました。

 

玄関にあるものは荷物を引き取った時のサイン用で、キッチンにあるものは、カレンダー(私はカレンダーをキッチンに置いているのです)に予定を書き込むためです。

 

ですが、最近はさらに一本挿しペンスタンドを増やしたくなったので、新しいものを探してみたわけです。すると、こんなものがありました。

 

畑に生えた野菜のようなデザイン

リヒトラブの「ペンスタンド」です。

↑ダイコン、ニンジン、パイナップル、ナスの4種をラインナップする

 

リヒトラブ
ペンスタンド
620円(税別)

 

もともと、リヒトラブからは3枚の羽根(?)がチューリップのように開閉し、ペンを支えてくれるペンスタンドが発売されていることを知っていたのですが、特に買うことはありませんでした。

 

ところが2020年1月、そのペンスタンドをアップデートした商品が追加されたのです。それが、野菜モチーフのこのペンスタンドです。

 

見事なほどに、ニンジンです。なんという愛らしさでしょう。あまりに可愛らしいので、同シリーズのナスやダイコンも欲しくなっているところです。

 

遊び心と実用性を両立した“モチーフ文房具”

一本挿しペンスタンドにはマジメなものが多かったので、こういう、遊び心がある商品は非常に貴重です。

 

ところが私のように、家の要所要所にペンスタンドを置いている人間の場合、ペンスタンドが楽しいものだと家の中が明るくなります。ペンスタンドを使っているオフィスも同じではないでしょうか。

 

さらに重要なのは、実用性の高さ。空の状態では開いている“葉”が、ペンを差し込むと閉じてペンを押さえる形になりますから、ペンを入れやすいのです。

↑開いた葉の部分にペンを差し込むと、葉が閉じてペンをホールドする仕組み

 

穴が開いているだけのタイプだと、目測を誤ると本体にペンを突き刺してしまったりしますが、そういうミスが防げます。片手でさっと使えますね。

 

この商品は野菜モチーフですが、近年はモチーフをもった文房具が増えているようです。モチーフそのものには何の機能もなく、このペンスタンドも食べられないわけですが、「楽しさ」「かわいらしさ」は立派な機能と言えるのではないでしょうか。なぜって、空間が明るくなりますからね。

 

新型コロナ禍のなかでの気遣い

私は、このペンスタンドを玄関に置こうと思っています。新型コロナウイルスの影響で通販の利用が増えた方も多いと思いますが、確認のサインをする際に配達員の方のペンを借りずに済むからです。

 

ちょっとしたことですが、ペンの貸し借りがなければお互いに安心ですよね。「新しい生活様式」のための気遣いです。

 

「菅未里の自腹買い文房具」バックナンバー
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新年なのでペンケースを新調したい……オトナカッコいい革製ロールペンケースはいかが?

せっかくの新年。身の回りのアイテムを新調したいですよね。それではまず筆記用具、ペンケースは如何でしょうか。シックでオトナカッコよく見せたいあなたにおすすめなのがロールペンケースです。必要最低限の筆記用具のみを入れるスタイルのロールペンケースは、余計なモノを“持たない”ミニマルな選択のできる大人にぴったり。素材も革製や布製など様々です。そこで今回は、使えば使うほど味が出る“エイジング”などを楽しむことができ、プレゼントにも最適の、上品な革製のロールペンケース5選を紹介します。

 

目次

 


なめし加工された牛革が魅力的なロールペンケース


ステッドラー 牛革製 レザーペンケース 900 LC

ドイツのブランド「ステッドラー」の本革製ロールペンケース。丹念になめし加工された牛革を厳選した、風合い豊かなこだわりのレザーペンケースです。カラーバリエーションもキャメル、ネイビー、ブラックとシンプルでかっこいいデザインにマッチした落ち着いた色合いの3色をご用意。中はポケットで仕切られているためさまざまな物を入れるのに便利です。高級万年筆から筆記具・画材、また、職人さんの道具入れなど、アイデア次第で使い道は無限に広がります。大型のポケットには小物を収納することもでき、落下防止のフラップが付いているので、大切な愛用品をしっかりと守ります。

【詳細情報】
サイズ:290×200mm
重量:約75g
カラー:ブラック・キャメル・ネイビー

 


一枚革で作られたおしゃれなロールペンケース


m+ rotolo SUEDE

一枚革でくるっと一巻きで作られている、変わったデザインだけどおしゃれなペンケース。ペンを取り出すときも開口部分が大きく開くので、わかりやすく取り出しやすい仕様になっています。ゴムバンドとギボシで、筆記用具の容量に合わせてしっかり本体をホールド。収納実験では、通常よく使われるようなペン13本を収納可能でした。ペン先対策としてマチの内張に濃色の綿を配しています。十分な厚みの生地でマチの強度をあげ、濃色で鉛筆やインク移りによる汚れが目立たないので、長く愛用できます。自分用としてはもちろんですが、プレゼント用としても人気のペンケースです。

【詳細情報】
サイズ:35×200mm
重量:80g
カラー:ブラック・ブラウン・ホワイト・コニャック・タバコ・グリージョ・レッド・ブルー

 


極上の手触りを体感できるロールペンケース


Raffaello 一流の革職人が作る 上質なオイルドレザーを使用した ロールペンケース

柔らかい革にくるりと包み込み、レザーストラップで留める革の色ムラが美しい大人の味を備えたペンケース。 商売道具でもある筆記用具を最上質な皮革で包みこみ、ペンを取り出すたびにオイルドレザーの極上の手触りを体感することができ、長く使い続けたくなる大人の逸品。 書類に目を通しペンを取り出すときに感じる至福は、精神を落ちつかせ余裕を持ってペンを走らせることができます。ユーザーからは「柔らかい革質で万年筆等の軸へのダメージは抑えられそう」という声がある一方で「糸のほつれが気になる」といった声も。

【詳細情報】
サイズ:約200×340×25mm
カラー:プリジデントチョコ・プリジデントブランデー・プリジデントブラック

 


かぶせ蓋がペンを守ってくれるロールペンケース


パイロット Pensemble(ペンサンブル) PSR5-01

革素材の質感を最大限に活かしたロールタイプのペンケースです。太軸の筆記具も入るペンポケットが5個あります。内装がピッグスウェードを使用していてとても柔らかく使い心地も抜群。また、ペンの飛び出し、巻いた時のクリップ同士の接触などを防ぐ為のかぶせ蓋があります。外側は、革紐巻きにて留めることができます。ユーザーからは「万年筆向けにぴったり」「ペンの収納はもちろん見た目も◎」と高評価。中には「色違いでリピートしている」といった声も。

【詳細情報】
サイズ:85×170×30mm
重量:150g
カラー:ブラック・ダークブラウン・ブラウン

 


収納力抜群のロールペンケース


BLUE SINCERE 本革 ロール ペンケース 大容量 レザー 筆箱 万年筆入れ RP1

ペンが8~10本⼊り、それに加えて定規や消しゴムなどの文房具が⼊るペンケース。ロールペンケースとしては十分すぎるほどの収納力を誇ります。また、特別な1本を傷つけないようにするための、1本専用の収納スペースを配置。このスペースによりほかのペンや筆記具と干渉することが減るので、傷つきを心配する必要がありません。このスペースにはロールペンケースを開かなくてもサッとスマートにペンを取り出すことができるというもうひとつのメリットも。本革素材に耐久性を向上させるシボ加工を施しているので、経年劣化が少なくなっているのもうれしいポイントですね。

【詳細情報】
サイズ:200×60mm
重量:60g
カラー:ダークネイビー・ダークブラウン・ロイヤルブラック・ライトキャメル

 

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“軽くて滑らか”を超える開拓精神を見た! 異形のペン先をもつボールペン「ジェットストリーム エッジ3」

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を1点ずつピックアップしている。第5回となる今回は?

 

第5話

三菱鉛筆
JETSTREAM EDGE 3(ジェットストリーム エッジ 3)
2500円(税別)

0.28mmの超極細ボール径を搭載した「ジェットストリーム エッジ」の3色タイプ。インクは黒、赤、青の3色。後端のダイヤルを回すことで3色のリフィルが回転し、一定の場所から繰り出される機構が新開発された。

 

↑ペン先がアシンメトリーな扁平形状で、本体軸に対しリフィルが常にまっすぐ出てくるようになっている

 

ジェットストリームの開拓精神あふれる一本

2019年12月に三菱鉛筆から発売された「ジェットストリーム エッジ」は、ボール径0.28mmの世界最細油性ボールペン。見たことがないほど細い線が書けるが、そのぶんクセも強く、針で引っ掻くような硬質な筆記感には面食らうほどだ。そんな「エッジ」の発売からおよそ1年。2020年11月に発売された3色タイプ「ジェットストリーム エッジ3」では、その異形性がいよいよ剥き出しになっている。

 

極細のリフィルがペン内で斜めにならぬよう、ペン先を軸の中心からズラし、3色のリフィルをリボルバーのシリンダーのように切り替えて垂直に下ろす機構を採用している。このためペンを持つ向きが決められているが、使ってみるとさほど違和感はない。「普通のペンとは違う、何か特殊な道具を扱っている」という感覚はあるのだが、そもそもエッジは「普通ではない特殊な道具」なのであった。”3色ボールペン”という複雑なプロダクトに対応していった結果、異形の本質が顕在化した、という言い方が正確かもしれない。

 

もとより「エッジ」シリーズは低粘度油性のジェットストリームインクなくして生まれなかったもの。だが、進化を突き詰めた結果、自ら築いた2010年代以降の「軽くて滑らか」というボールペンの主流から大きく逸脱しつつある。しかし、こうした開拓精神こそジェットストリームの”本質”なのである。外見の必然性も込みで、志の高さを感じる一本だ。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話~第3話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第4話】芯1本使い切るまでノック不要! メカまでシャープな「オレンズネロ」に真打登場

https://getnavi.jp/stationery/551859/

【新商品情報】筆記内容の保存も可能に! キングジムの電子メモパッド「ブギーボード」にA6手帳サイズを追加

サッとメモをとる際には、やはり便利なのは紙とペンですよね。そんな手書き感覚で使えるデジタル文具の筆頭格が、文房具メーカー、キングジムの「Boogie Board(ブギーボード)」シリーズ。液晶画面に付属のスタイラスや爪などで直接書き込みができ、ボタンひとつで消去できるという手軽さがウケて、2010年の発売から個人・法人を問わず人気のロングセラーアイテムです。

 

その「ブギーボード」に、ニューアイテムが仲間入りしました。

【商品情報】
キングジム
Boogie Board(ブギーボード) BB-14
3200円(税別)

・本体色:キイロ・ミドリ・ネイビー・クロ・シロ
・外形寸法:約W105×H148×D5.5mm ※スタイラス除く
・画面サイズ:約6インチLCD約W93×H124mm
・質量:約75g
・消去回数:約3万回(電池交換可能)
・電池:リチウムコイン電池(CR2016)1 個
・セット内容:本体、リチウムコイン電池(セット済み)、スタイラス、取扱説明書(保証書付)

 

A6サイズで軽量コンパクト!

2021年1月に「ブギーボード」シリーズに新たに登場したのが、A6手帳サイズの「Boogie Board(ブギーボード)BB-14」。一般的なA6サイズの手帳や文庫本と一緒に持ち運べるサイズで、画面サイズは約6インチ、質量は約75gと軽量コンパクトなのが特徴です。

 

↑画面サイズは約6インチ。キングジムが発売する「ブギーボード」シリーズの中でもコンパクトなサイズで、薄くて軽いため、手帳などと一緒に手軽に持ち運べます

 

↑視認性の高いハイコントラスト液晶を採用。紙に文字を書くような、滑らかな書き心地の感圧式液晶で、筆圧によって線の太さが変わるので、細かい描画も可能です

 

専用アプリを使えば書いた内容をアーカイブすることも可能!

電源はリチウムコイン電池1個(交換可能)で、約3万回の書き換えができます。ボタン電池ひとつで約3万回消せる、というのも凄いですが、これはブギーボードシリーズ共通のメリット。紙の無駄使いも省けるし、瞬時に消せることで業務メモの機密性も保たれるのがポイントです。

 

一方、書いた内容を残したい、というニーズもあるでしょう。2021年1月から無料配信されているブギーボード専用アプリ「Boogie Board SCAN」を使えば、書いた内容をスキャンして、画像データとして保存することが可能になりました。

 

↑ブギーボードのディスプレイをスマホのカメラでスキャンして取り込み。書き足したり消したり、テキストを追加するなど、あとから編集が可能だ。スマホのカメラで撮影した写真を、このアプリ内にインポートすることもできる

 

編集画面で色をつけたり、テキストを加えたり。また、データ化した画像はフォルダで管理、共有することも可能です。思いついたアイデアをブギーボードに書き取り、それをあとからキュレーションするなどして、まるで手帳にアイデアを書き溜めるように活用することもできそうです。

 

なお、こちらのアプリは最新の「ブギーボードBB-14」はもちろん、キングジムで販売しているブギーボード各機種でも使えるので「ブギーボード」ユーザーはぜひとも試してみてください。

※一部非対応の機種あり。

 

【アプリ情報】

キングジム
Boogie Board SCAN
無料
OS:iOS12.0以降、Android7.0以降

 

付加機能が意外と便利

ほかに、使い道を広げるプチ機能も備わっています。

 

意外と便利なのが、本体裏面に設けられたマグネット。金属製の壁やデスク、冷蔵庫などに貼り付けて、メモやTODOを目立たせるように貼り出すこともできます。

↑冷蔵庫の扉や側面などに貼って、忘れ物防止や家族との連絡板に活用できます

 

また、同じく裏面には定規をレーザー刻印! ちょっとした物のサイズを測ったり、直線を引くのに使えるのも面白いですね。

↑14cm以下のものを測定できます

 

チップからチップが生えてる…!? 次世代ラインマーカーの刺客、サンスター文具「Ninipie(ニニピー)」の仕組みと使い心地をレビュー

もしかすると今、ラインマーカーが新たなステージへ進もうとしているタイミングなのではないだろうか。ちょっと古い言い方をするなら、ラインマーカー2.0の時代が来てるっぽい、と。

 

そもそもラインマーカー(蛍光マーカー)というのは、ノートや書類の「ここを目立たせたい」という部分を、目立つカラーでマーキングするためのもの。つまり、ひとつの情報をその他大勢の中に埋没させずにピン留めする、というのが最大の機能だ。

 

これは結構すごい発明だと思うのだが……欠点もいくつかあるように思う。

 

まず、使いすぎがNG。紙面に何か所もマーキングを行うと、目立たせるはずの部分が、結果的に“その他大勢”になってしまうということ。そしてもうひとつが、マーキングした以外の部分の重要度が極端に下がってしまうこと。見る側が、マーキングされた箇所だけチェックすればいい、という感覚に陥って、他に注意を払えなくなるのである。

 

そこで、そういった欠点を克服しようと作られているのが、いわゆる“新世代”のラインマーカーである、という話だ。とにかく目立つ蛍光色を塗ってたらええねん、という時代は、そろそろ終わりに近づいているのかもしれないぞ。

 

新世代ラインマーカーは情報をコントロールするツールだ!

新世代ラインマーカーとしてまず挙げられるのが、2020年に発売されたコクヨ「マークタス」シリーズである。

 

「マークタス 2トーンカラーマーカー」は、1本のペン先が同じ色の濃/淡に分かれており、マーキングを塗り分けることができる。これにより、「すごく目立つ」と「ちょっと目立つ」を階調で仕分けることができるのだ。

 

目立つ度合いが調整できれば、マーキング部がその他大勢に埋没しにくくなるのは当然だろう。

↑新世代ラインマーカーの先駆け、コクヨ「マークタス」シリーズの「2ウェイカラーマーカー」(左)と「2トーンカラーマーカー」(右)

 

一方、同シリーズの「マークタス 2ウェイカラーマーカー」は、ラインマーカーと細字カラーペンが一体化したもの。

 

ラインによるマーキングと、それよりも目立つ濃色の文字情報(はっきりメモタイプ)、もしくはグレーで軽く目につく程度の補足情報(ひかえめメモ)を書き分けることで、マーキング部以外にも重要度をコントロールした情報を付与できるわけだ。

 

ラインマーカーの新ジャンル誕生!“色”の濃淡で書類を整理するコクヨの2Way「マークタス」
https://getnavi.jp/stationery/544894/

 

これらは非常に画期的なアイデアで、確かに優れた製品と言えるのだが……、残念ながら、こういった次世代ラインマーカーに取り組んでいるのは、現時点でコクヨだけ。他に挑戦するメーカーがなければ、もしかしたらこの流れは立ち消えしてしまうかも、と思っていたのだ。

 

しかし、出てきましたよ、第2の次世代型ラインマーカー! それが、サンスター文具から発売されたペン&マーカー「Ninipie」(ニニピー)である。

サンスター文具
Ninipie(ニニピー)
各200円(税別)

 

↑ラインマーカーのマーキング+カラーペンの文字情報で、紙面がまとめやすい

 

一見するとなんの変哲もないラインマーカーのようで、なによりユニークなのは、そのペン先チップ。

 

なんとラインマーカー用のチップとニードルタイプのカラーペンチップが並んで突き出している。しかも、ニードルがやや斜めに出ているという、恐ろしく独特なスタイルだ。

 

ラインマーカーとして使うときはマーカー用チップを下向けにして、スッと引ける。ペンとして使うなら、くるりと180°回転させればOK。斜めニードルのおかげでマーカーチップと干渉することなく、書き分けができるという仕組みである。

↑初見だと、まず間違いなくギョッとするペン&マーカーチップ

 

ラインナップは、「ライトピンク×ピンク」「ライトイエロー×イエロー」「ライトブルー×ブルー」「ライトグレー×ブラック」「ライトグリーン×ピーチピンク」「ライトバイオレット×ネイビー」の6種類。ライト○○となっている方がラインマーカー、もう片方がカラーペンのインク色を表している。

 

マーカーの方が淡いので、カラーペンで書いた上から重ねてマーキング、という使い方も可能だ。

↑ラインマーカーは、全体的に発色が淡めでアッサリとした印象。ペンを目立たせるための調整か

 

ピンク・イエロー・ブルー・グレーはマーカーとペンが同系色なのに対して、グリーンとバイオレットは別のカラーペンになっている。異なるカラーを1本に搭載した理由は不明だが、これは重ねてマーキングした際の読みやすさを考えてのことだろうか?

 

特にバイオレット用のネイビーは、そのままでも、ラインと重ねても視認性が高く、読みやすい。もちろん地の文字色(黒)とも違う色なので差別化しやすく、情報を追記するのにもオススメだ。

 

↑軸から分解してみた図。ペンとマーカー、それぞれ別の中綿からインクが供給されていることが分かる

 

つまり、方向性としては「マークタス 2ウェイカラーマーカー」と同じで、重要度をコントロールしつつ、情報付与ができるマーカーとして作られているようだ。しかも「2ウェイカラーマーカー」は、マーカーとペンで書き分けるのに持ち替えが必要だが、先述の通り「Ninipie」は180°回転させるだけ。

 

ということは、物理的な機能で言えば「マークタス 2トーンカラーマーカー」の分割チップと同様ということになる。

 

うーん、要するに「いいとこ取りしたフォロワー」ってことかもしれないが、言い方を変えれば「後発の強みでいろいろやってきた」とも言える。

 

↑Ninipieとマークタスの比較。マークタスの「細太の書き分け」「持ち替え不要で濃淡の書き分け」機能が合体すると、Ninipieになる

 

ただ、ペンで書く際にマーカーチップが視界に重なってしまうのは、いささか問題のような気がする。

 

勘の鋭い人なら、チップの写真を見た時点で気付いただろうが、その通り。マーカーのせいでペン先がどこにあるかよく見えず、かなり書きづらいのだ。強めに筆圧をかけて書いていると、ペン先チップを中心にペン軸が傾いてくるし。

↑カラーペンでの筆記を自分視点(右)で見るとこんな感じ。ペン先が見えず書きづらい!

 

本当に正直な話をすれば、現時点ではいろいろと使いづらい部分もあるマーカー、と言わざるを得ない。とはいえ、情報コントロールツールとしての機能は間違いないし、使いこなせばノートの整理などにかなり役立つ気もするのだ。なにより、ラインマーカーの最前線はこんなことになってるぞ、というのを体感して欲しい。

 

さすがに、万人に向けてオススメはしづらいけれど、文房具好きなら一度は触れておくべきアイテムでは? と思う次第だ。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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会議やブレストを快適化するのはどれ!? ホワイトボードマーカーと最新ホワイトボードノートを比較レビュー

Zoomなどのツールを使ったオンライン会議をしている最中、「あぁ、今、ホワイトボードがあれば」と思うことがけっこうある。というより、今までの“会議におけるホワイトボードの重要性”を軽く見過ぎていたということかもしれない。出てきた意見を列記するだけでも、会議の参加者が「どこに話を着地させればいいのか」の目安にもできるので、話がまとまるまでにかかる時間が短いように思うのだ。

 

そういうときに意外と重宝するのが、ノート型の携帯用ホワイトボード。ノートのように綴じた紙に特殊加工を施し、ホワイトボードマーカーで書き消しができる、というものである。これは、すでにいくつかのメーカーから発売されており、A4からB6、小さいもので新書版サイズまで、幅広く展開している。

 

多くは、個人でアイデアをまとめるアウトプットツールとして作られたものだが、オンライン会議にも実は重宝する。書記役の人が手元で書きとめて、必要な時にカメラに向けて見せれば、それなりに従来のホワイトボードに近い使い方ができるのだ。

 

ここで気にしたいのが、まずはホワイトボードマーカー。なにしろ、ボードがノートサイズなので、従来のマーカーのような太さでは、あっという間に紙面が埋まってしまうし、そもそも書きづらい。できれば、線幅1mm以下の極細を使いたいところ。

 

そして、もうひとつ重要なのがイレイザー(イレーザー、イレーサーとも呼ぶ)だ。手元でチマチマと書く関係上、大きなイレイザーは邪魔。持ち歩く可能性も考えれば、マーカーのキャップに小さなイレイザーがくっついたタイプがベストだろう。

 

ということで今回は、各社から発売されているイレイザー付き極細ホワイトボードマーカーをあれこれ試してみたい。

 

極細ホワイトボードマーカー3種を比較

ノート型ホワイトボードに使いやすい条件である「線幅1mm以下」「イレイザー付き」を満たすものとして適当だろう、という3本をピックアップしてみた。

※上から
欧文印刷「nu board ホワイトボードマーカー」3本1000円
パイロット「ボードマスターS 極細」150円
コクヨ「ホワイトボード用マーカー(PM-B100D)」100円(すべて税別)

 

まず確認したいのは線幅と書き味、ということで書き比べてみよう。

 

線幅は一目瞭然、公称値で線幅0.6mmの「nu board ホワイトボードマーカー」(以下「nu boardマーカー」)が細い。次に細いのが、線幅0.8mmの「ボードマスターS」で、最も太いのが線幅0.7~1mmの「PM-B100D」となった。ここはそのまま、メーカーの公称値通りの結果と言える。

 

もちろん細い方がより優秀というわけではなく、ボードのサイズや使い方でそれぞれマッチする線幅がある。ここはあくまでも参考まで。

↑線の濃さ、細さは圧倒的にnu boardマーカーが優秀。書き味はすべり過ぎず、比較的紙に書いているのに近い感覚がある

 

書き味に関しては、ペン先に細字サインペンと同様のプラチップを使っている「nu boardマーカー」が快適だ。細くカリッとした書き味で、ボードに対してツルツルすべらず安定しやすい。「ボードマスターS」と「PM-B100D」は、マーカー系の太い繊維チップなので、やはり早書きするとすべりを感じてしまうのだ。

 

ただし「nu boardマーカー」はチップが硬いため、紙製のボードに筆圧をかけて書くと表面を掘ってしまう(消しても筆跡が溝になって残る)ことがある。そこは要注意だ。

↑コクヨ「PM-B100D」はチップが柔らかいのか、文字を書くとかなり太くなる気がする

 

純粋に書くだけなら「nu boardマーカー」がいいような気もするが、イレイザーで消してみると、また印象が変わってくる。

↑イレイザーを並べてみた写真(左からnu boardマーカー、ボードマスターS、PM-B100D)。nu boardマーカーのイレイザーはかなり硬く、密度が高い。他2つはフワッとした感触で消し感もソフト

 

「nu boardマーカー」は乾燥がやたらと早く、一度乾いてしまうと筆跡の皮膜がカリッと硬くなる。そのため、イレイザーでこすって消そうとしてもなかなか消えないし、黒いカスも発生しやすいのだ。

 

「ボードマスターS」と「PM-B100D」はどちらもスルッと消えて快適。書き消しを頻繁に行うなら、やはりこれくらい軽く消えてくれないと使いづらいかもしれない。

↑nu boardマーカーはやたらとボードに固着して、軽くこすったぐらいではなかなか消えない。硬いイレイザーでこすり取る、という感覚に近い

 

とはいえ、先にも述べた通り、ホワイトボードマーカーは自分の使い方にマッチしたものを選ぶのが最重要。ノート型ホワイトボードをまさにノート的に使うなら、細かく書き込めて、こすったぐらいでは消えない「nu boardマーカー」がベストだろうし、会議用ホワイトボードとして使うなら「ボードマスターS」と「PM-B100D」の消しやすさが生きてくる。

 

ちなみに全体的なバランスで言うなら、「ボードマスターS」が、シーンをあまり選ばず使いやすそうに思った。

 

さて続いては、今回のマーカー比べで試筆用に使った、ノート型ホワイトボードも紹介しておこう。実はこれに付属したホワイトボードマーカーが“大穴”ともいえる出来だったのだ。ノートの特色と合わせてチェックしてほしい。

ノート型ホワイトボードの注目商品も要チェック!

今回のマーカー比べで試筆用に使った、ノート型ホワイトボードも合わせて紹介しておこう。学研ステイフルから、2020年11月に発売された「Write White」だ。

学研ステイフル
Write White(ライトホワイト)
B5サイズ 1200円/B6サイズ 800円(すべて税別)

 

↑一見すると普通のリングノートだが、ホワイトボードマーカーで書いて消すことができる

 

サイズがB5とB6の2種類がラインアップされているが、意外にもこれまでなかったのがB6サイズ。さすがに「書き消しが手軽なアイデアまとめノート」という用途には小さ過ぎるのだが、実はこれ、目の前にあるウェブカメラに向けて写すのに、ちょうどいい感じのサイズなのである。

 

カメラからわざわざ身体を引くといった気も遣わず、ホイと見せればそれでボード面全体がフレームに収まって、自分の顔が写る隙間もちょっと残るくらい。これがオンライン会議にはとても使いやすいのだ。

↑B6サイズをヒョイとノートPCの内蔵カメラに向けると……

 

↑フレームに丁度いい感じに収まる。文字も充分に読み取れるので、しっかり実用に足るだろう

 

B6サイズは、表紙端に滑り止めが付いているのもポイント。表紙を折り返して立てれば自立するので、卓上の常時表示ボードとしても使いやすい。

 

今日のToDoやスケジュールを書き出しておくと便利だし、電話受けの卓上メモとしても機能する。個人的には、このB6サイズが大きすぎず小さすぎずのほど良さで使いやすく、お気に入りだ。

↑山型に折り返して置けばきちんと自立。個人用の常時掲示のボードとしてもいいサイズだ

 

このホワイトボードマーカーがベストかも!?

もうひとつ見逃せないのが、付属のマーカーである。見た目からは、さきほど紹介したコクヨ「PM-B100D」のマグネット抜きバージョンかな? と思ったものの、キャップを開けてびっくり。ペン先チップが、より細いものになっているのだ。

 

これ、探してもコクヨ製品としては販売されていないようなので、おそらく「Write White」用に別注されたカスタム品だろう。書いてみると、線の細さは「nu boardホワイトボードマーカー」に近いもの(表示スペックは0.8mm)で安定した書き味があり、かつインクはコクヨ製なので消しやすくクズも少ない。

 

正直なところ、筆者の好みとしてはこれがノート型ホワイトボード用のマーカーとしてベスト! というレベル。このマーカー目当てで「Write White」を買うのすらアリという気がするし、できれば別売してほしいぐらいだ。

↑外見的には、軸の印刷とイレイザー裏のマグネットがないだけが「PM-B100D」との違い。ただしキャップを開けると、まったく別もののチップが現れる

 

↑線幅も非常にシャープで細かく書き込める。nu boardマーカーよりも黒が薄いが、そのぶんきれいに消せるのはメリット

 

他の仕様はB5、B6ともにボード4枚(8ページ)+各ボード間に透明シートと、ノート型ホワイトボードとしては一般的。ペンホルダーには先述のナイスなマーカーが付属している。

 

ホワイトボードとしての性能は先行の製品とさして変わらないが、オンライン会議に使いやすいサイズ感とマーカーは優秀。もし現時点でノート型ホワイトボードを探しているなら、候補として確実にアリだろう。

 

 

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芯1本使い切るまでノック不要! メカまでシャープな「オレンズネロ」に真打登場

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す放送作家の古川耕氏による新連載は、「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される、手書きツールを1点ずつピックアップしている。第4回となる今回は?

 

第4話

ぺんてる
オレンズネロ 0.2/0.3/0.5
各3000円(税別)

1回ノックするだけで、芯を1本使いきるまで書き続けられる、「自動芯出し機構」を備えたシャープペン。ストレートのパイプが、紙と芯の設置面の視認性を高めている。パイプ先端を研磨し、滑らかな書き心地も実現。

 

名作シャープペンに待望の0.5mmが追加

グラフ1000、グラフレット500、PG5、スマッシュ……ぺんてるが誇る名作シャープペンの系譜の突端に位置しているのが、2017年発売の「オレンズネロ」。発売当時にはあまりの人気で入手困難になったほどだ。

 

「私は『かっこいい』ものを作りたかったわけじゃない。ネロはもっと大きなものを背負っているのだと思うのです」

 

とは、そのオレンズネロのプロダクトデザイナー 柴田智明氏の弁。ここで言う“大きなもの”とは、つまり前述したようなぺんてるの名作シャープペンが築いてきた遺産のことだ。こうした責任感、あるいは使命感を持って生まれたプロダクトだけに、ネロは近年のシャープペンブームのなかにあって目先のトレンドには目もくれず、どっしりと風格のあるデザインに仕上がっている。手にしていて「ここはちょっと緩いな」というパーツがひとつもなく、特に金属粉と樹脂を混ぜたという独自素材は、重さと手触りも込みで本当に見事なもの。

 

それでいて自動芯出し機構や芯折れを防ぐスライド式のパイプなど、現代シャープペンに求められる機能も兼ね備えており、使い勝手も申し分ない。これまでは芯径が0.2と0.3mmだけだったが、2020年10月には待望の0.5mmモデルが発売され、これでいよいよすべての状況は整った。

 

ぺんてるだけではない、日本産シャープペンのすべての歴史の最先端に、オレンズネロが躍り出た。

 

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【第1話・第2話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第3話】知る人ぞ知る200円の傑作! パイロット「Vペン」は“無骨な書き味”が気持ちまで文字に反映する

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ボールペンにも“インク沼”!? 2020年のボールペントレンドを象徴する色にこだわった2選

2006年に“低粘度油性インク”を搭載した「ジェットストリーム」(三菱鉛筆)が発売されて以来、ボールペンは「書き味で選ぶ」時代が続いていた。なにしろ、従来とはまったく次元の違うスルスル感である。その衝撃たるや黒船来港級だったし、誰もが書き味にこだわるようになったのも当然だろう。

 

しかし、翻って2020年現在、「もう書き味にこだわるのは、しばらくいいんじゃないかな……」というムードが漂っているような気も、少ししているのだ。実際、近年のボールペンで、書き味に根本的な不具合がある製品というのは見たことがないほど、全体的に進化しているわけで(好みの差はもちろんあるが)。さらには一周回って、「低粘度じゃない昔の油性のネチャッと感も、ある意味アリだよね」なんてことを言い出す人も出るほどなのだ。

 

では、今はどこでボールペンを評価するのかというと、「インク色で選ぶ」時代に突入しているように思うのだ。

 

最近の文房具業界では“インク沼”(万年筆のカラーインクを集める趣味)なんてワードが流行っているように、筆記色をあれこれ変えて遊ぶことは、充分に“ホビー”として成立している。それなら、より日常的な筆記具であるボールペンだって、色で遊んで悪いことなんかないはずだ。好きな色で書くことは、ごく当たり前に楽しいのである。

 

もちろん筆記具メーカーは、そんなことは先刻ご承知で、ここしばらくのボールペン新製品はまず一番に、インク色をアピールすることが増えている。そこで今回は、最新の「インク色がおすすめのボールペン」2種を紹介しようと思う。

 

特濃発色の「ユニボールワン」に限定色が登場

三菱鉛筆の「ユニボールワン」と言えば、新開発の顔料系ゲル「ワンインク」を搭載し、発色の良さで大人気となっているボールペンだ。

 

発売当初は、黒インクが従来のどのペンよりも、濃く黒々と美しいことで話題になったのだが、実は同時発売の他20色も素晴らしい発色なのだ。特に、読みにくいはずの黄色で書いた文字ですらはっきり読めるのには驚かされたほど。

 

その超クッキリ発色シリーズに、早くも新色(ただし数量限定生産)が、しかも9色も登場したとなれば、それは注目せざるを得ない。

三菱鉛筆
ユニボールワン 限定色
各120円(税別)

 

新色は、左から「MORNING TIME STUDY」「DAY TIME STUDY」「NIGHT TIME STUDY」のアソートパッケージ3種に3色ずつ、計9色という形で発売されている(バラ売りもある)。この秋冬シーズンのテーマカラーの中から、それぞれ朝・昼・夜の時間帯をイメージさせる3色をセレクトした構成だ。

 

これがまぁ、どれもイイ色揃ってるなあ! という感じ。ちなみに「NIGHT TIME STUDY」の3色だけがボール径0.5mmで、他は0.38mmとなっている。

↑こちらが3本アソートパッケージ。パッケージも、シンプルでおしゃれでいい

 

筆記見本(下写真)を見てもらえば分かると思うが、スカッと抜けたターコイズブルーやサンフラワーイエロー、ほんのりしたコーラルと、どれもしっかりと視認できる発色だ。これはさすがワンインク! といったところで、あらためてその実力の高さを感じている。

 

この明るさ・淡さで文字が読める色とは、実は非常に難しいのである。

↑1日の時間帯をそれぞれイメージした配色。朝のアッシュブラウンは、コーヒーのイメージ?

 

そういった性能の部分とは別で、色そのものの面白さ・新しさも非常にいい。個人的に特に興味深かったのは、ピスタチオグリーン、シトロン辺り。これらは、先ほどのスカッと抜けた色とは対照的に、かなり濁った色なのだが、想像した以上に深みがあって、しみじみといい色だなぁと感じられる。

 

なかでもシトロンは、下手すると「黄色に、間違えて黒を混ぜちゃったんじゃないの?」と思ってしまうような、どんよりとした濁りっぷり。基本的に濁り色はどうしても汚くなりがちなので、従来のボールペンカラーのラインアップには、まず入ってこないのだ。

 

つまり、そこを押してでもこの色を入れてみよう……とメーカーが判断するほど、昨今のユーザーの色感覚は熟成してきているのかもしれない。

全色をトレンドのカラーブラックで統一した「ボールサインiD」

もうひとつ紹介したいのが、サクラクレパスの「ボールサインiD」である。

カラーラインナップは6色。なんと、全色をいま流行のカラーブラック(一見すると黒に見えるような、濃いダークカラー)で揃えたという、なかなかピーキーなシリーズだ。

サクラクレパス
ボールサインiD
ライトグレー軸(0.4mm)/ダークグレー軸(0.5mm)
各200円(税別)

 

色名もすべて「○○ブラック」で統一しているこだわりようで、いわゆるダークカラー系とは一線を画す黒さである。

 

書いてみてもほぼ黒。よくよく見ると、ほんのり色が入ってるかな……? という濃さ。正直、あまりに黒すぎて、並べて見ないとどれがどの色なのか、すぐには判断できないほどだ。

 

さすがはキャッチコピーで「6色の黒 誕生」と謳うだけあって、ガチ黒。

↑写真に撮ると色味が分かりやすいが、目視だともっと黒に近く感じる。落ち着きのある渋色揃いだ

 

カラーブラックの面白さのひとつに、ビジネスシーンでの使いやすさが挙げられる。やっぱり仕事で使う書類やノートにカラフルなインクで書き込みをしていると、周囲や上司に「なに不真面目なことやってんだ」という目で見られる可能性もなくはない。

 

対してカラーブラックなら、わかる人だけがわかるという、大人の秘密の遊びとして成立するのだ。

↑ツルンとシンプルなルックスは、まさに最近のトレンド。ただし、素材的に滑りやすくグリップ感が薄いので、手汗をかく人は握りづらいかもしれない

 

外見はとてもシンプル。六角形と丸形を組み合わせたような独特の軸に、ノックノブ兼用の金属クリップと色表示パーツのみ。刻印も最小限で、他に装飾らしきものは一切ないのだから、徹底している。

 

「ユニボールワン」とも共通することだが、この極端なまでのシンプルさも、令和のボールペンデザインの流行のひとつと言えるだろう。

 

 

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フリクション由来の特殊部材搭載! 史上初のラメまで“消せる”ボールペン「ケセラメ」の消字性能は?

ボールペンとは、基本的に文字を書くための道具である。文字を書くことで、情報を後から読める形で残したり、他人に伝達することができるわけで……あらためて考えると、びっくりするくらい便利な道具なのだ。今さら驚くことでもないのだが。

 

情報として文字を残すためだけであれば、黒や青、赤といった視認性の良い色だけで事足りる。実際、昭和時代のボールペンは黒・青・赤の3色のみ! というラインナップがごく当たり前だった。

 

それが、発色の難しい油性インクでさえ、今や8色とか作れるようになっているうえ、インク内に大きな粒子を入れることが可能なゲルインクなら、白だのパステルだのラメ入りだの、まぁ好き放題、という感じ。

 

つまり現在のボールペンは、ただ文字情報を書き残すだけでなく、色や輝きといった、さらにリッチなデータも一緒に伝えられるようになっているのだ。

 

などと、やや面倒くさい調子の書き出しで始めてみたが、実のところは「また面白いラメインクのボールペンが出たから、紹介したいんですよ」と言いたいだけなのだ。なにが面白いって、フリクションボールのラメインクなのだから。

 

史上初! 消せる“ラメインク”ボールペン

この連載をいつも読んでくださっている皆さんには、もはや説明するまでもないことだろうが、「フリクションボール」というのは、パイロットのいわゆる“消せるボールペン”のこと。

 

65℃以上の熱で透明化する特殊なインクを搭載しているので、描線をこすって摩擦熱を加えると消えたように見える、という仕組みだ。

 

そして、2020年11月に数量限定で発売されたのが、“ラメフリクションボール”こと「ケセラメ」。名前通り、摩擦熱で消せるフリクションの技術を活用したラメインク搭載ボールペンなのである。

パイロット
ケセラメ
各230円(税別・全6色)

 

書いてみると、0.7mmの筆跡はたしかにラメだ。もちろん光の当たり方によって変化はあるが、ギラギラ光るというよりは、全体的に細かく光っている印象。ラメの粒子が小さいのだろうか? 正直、昨今のラメボールペンと比べると、ややおとなしいように感じた。

 

ついでにベース色も発色がやや薄い気もするが、とはいえその淡さと細かなラメの輝きは、うまくマッチしている。

↑しっかりとラメ感があって、テンションが上がる! 拡大して見ると、細かなラメがみっしりと入っているのが分かる

 

とはいえ、実際にラメの筆跡を見ると「本当にこれが消えるのか?」と疑問に思うが、ペン軸後端のラバーで擦ってみると……おお、消えた! まさに従来のフリクションボールの消す感覚と同じで、きちんと線が見えなくなっている。

 

それにしても、インクが消えるのはもはや当たり前として、あのラメも一緒に透明化したのだろうか? なかなか不思議な感じだ。

↑消す時の感触も従来のフリクションと変わらない。ラメはいったいどこへいった?

 

そこであらためてよく観察してみると、消えたはずのラメが、ペン軸後端のラバーにくっついているのを発見した。なるほど、インクは透明化させて消し、ラメ粒子は物理的にラバーでこすり取るという方式なのだ。いわば化学+物理攻撃の二段構えである。

 

分かってみれば単純かつ豪快な解決法だが、実際に消えているのだから文句はない。ただ、紙にも多少はラメ粒子が残るし、消した後のラバーを触ると指もキラキラする。これはまぁ、しょうがないところだろうが。

↑拡大撮影したラバー。表面にキラキラとした細かなラメがこびりついている

 

↑「ケセラメ」のラバーは従来より柔らかく粘りを感じるし、消しカスも少し発生する。どうやらラメをこすり取る用に作られた、専用ラバーのようだ

 

ちなみに今回発売されたカラーは、ラメゴールド、ラメシルバー、ラメピンク、ラメバイオレット、ラメブルー、ラメグリーンの6色。

 

パッと見の印象では、ゴールド、ピンク、ブルー、グリーンといった明るめの色と、ラメの輝きが相性良さそうだ。逆にシルバーとバイオレットはベースがやや暗めな分、輝きがちょっと目立ちにくい。

↑「ケセラメ」の6色ラインナップ。個人的にはピンクとブルーのトロッとした発色が好き

 

フリクションインク自体が、隠蔽力(いんぺいりょく。下地の色を隠す発色の強さのこと)が弱めなので、ラメインクの楽しみのひとつである「黒の紙に書いてキラキラさせる」のはダメかも? と思っていたのだが、やってみると思ったよりも輝いている。

 

インク色よりもラメの輝きが優勢になるためか、雰囲気はややパール寄りに白っぽくなるが、これはこれできれいだ。

↑予想していたよりも黒地にしっかりアピールできるラメ。可読性も充分だ

 

なによりラメインクが消せるというのは、他には絶対にないユニークな能力である。これからのクリスマスシーズンなど、失敗したくないカード作りなどにバリバリ効果を発揮するはず。なにしろミスっても消せるのだ。

 

なにより売り切りの限定製品ということなので、気になるという人は見つけたら即ゲットをおすすめする。

 

 

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知る人ぞ知る200円の傑作! パイロット「Vペン」は“無骨な書き味”が気持ちまで文字に反映する

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す放送作家の古川耕氏による、「手書き」をテーマとした連載がスタートした。デジタル時代の今だからこそ、見直される手書きツール。いったいどんな文房具の数々が披露されるだろうか。第3回となる今回は?

 

第3話

パイロット
Vペン
200円(税別)

万年筆の書き味とサインペンの手軽さを両立した、使い捨てタイプの筆記具。ペン先は細字と中字の2種類から選べ、インクはブラック、レッド、ブルーを揃える。水性染料インクを採用している。

 

心の声を書き記すのに合う”無骨さ”

見た目はいかにも廉価版の万年筆。しかしメーカーサイトには「サインペン」と分類されており、でもキャップを取ってみるとスチール製のニブがあり、書けば無愛想ながら万年筆らしいしなりがわずかにある。どっちなんだ。最近の安い万年筆にある優等生らしさは微塵もない、カリカリとつっけんどんな書き味である。

 

パイロットの「Vペン」を知ったのは、フラッシュアニメ「秘密結社 鷹の爪」の作者FROGMAN氏が“台詞を書くのにこのペンを愛用している”と本で紹介しているのを読んだときだ。あの小気味良い会話はこのペンから生まれているのかと、文房具店に行くたびに気にするようにしていたら、大抵のペンコーナーの脇にひっそりと置かれていることに気が付いた。実は固定ファンの多い、玄人受けするペンだったのである。

 

台詞、歌詞、ラジオのCM台本など、〝声〟になる言葉はいまも手で書く、というクリエイターが実は少なくない。フィジカルな表現に息を吹き込むために、よりフィジカルな道具を選ぶというのは何やら意味がありそうだ。キーボードや予測変換機能は、ときに頼りない心の声を先回りして太字に書き換えてしまう。けれど身体で鳴らす言葉はもっと未整理で、キーボードの隙間によくぽろぽろと落ちている。それを拾い上げ、紙面に並べようとするとき、“洗練”とは言いがたいこの無骨なペンは、妙に合っている気がするのだ。

 

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー

【第1話】久米宏氏の美学を見た! 扱いにくくも書くのが楽しい、懐かしの“赤青鉛筆”
【第2話】“細筆”感覚の軽快なタッチが心地良い! ジェットストリーム誕生の伏線となった三菱鉛筆「ユニボール5」

 

 

変態ボールペン「ジェットストリームエッジ3」が超極細芯なのになめらかな理由はペン先の“偏り”にあった!

「用途に合わせてボールペンを使い分けよう」と聞いてピン! ときた人は、“文房具リテラシー”がとても高い人だと思う。

 

もちろん、基本的にはお気に入りの書き味のペンが1本あれば充分なのだが、例えば、手帳に細かくみっちり書き込むには極細かつ、滲みにくいペンが便利だ。場合によっては多色が欲しいし、消せた方が便利かもしれない。対してハガキの宛名書きをするなら、太めでサラサラ書けるものがいいし、インクの耐水性も気になるだろう。

 

こういった用途すべてをお気に入りの1本でまかなうというのは、やっぱり難しい。だって、求められる要素がまったく異なるから。

 

といっても、その様々な用途にそれぞれ対応できるペンがある、という状況自体がごく最近の話。ひと昔前であれば、ボールペン=もったりした油性インクでボール径も0.7mmのみだったし、それですべての筆記作業をこなすのが普通だったわけで。

 

つまり、近年のボールペンの進化というのは、ざっくり言えば「環境に合わせた細分化」であり、「機能の先鋭・専用化」と言える。であれば現代において、ボールペンは用途によって使い分けたほうが便利、というのはご理解いただけるのではないか。

 

超極細字専用ボールペン「ジェットストリーム エッジ」が待望の多色化!

で、その機能の先鋭化した最先端のひとつとして挙げられるのが、三菱鉛筆から2019年末に発売された「ジェットストリーム エッジ」だろう。お馴染みの低粘度油性インクで0.28mmの超極細字がサラサラ書ける、まさに“すごく細い線を書くための専用ツール”である。

【関連記事】超細字なのになめらか!「ジェットストリーム」と「ハイテックCコレト」に登場した次世代ボールペンを検証
https://getnavi.jp/stationery/461727/

 

発売された当初は、その機能的なトンガリ具合に驚いたものだが、そこから1年も経たないうちに登場した多色タイプの「ジェットストリーム エッジ 3」(以下、エッジ3)に、また驚かされたのである。これ、見た目からしてすごい”変態ペン“なのだ。

三菱鉛筆
JETSTREAM EDGE 3(ジェットストリーム エッジ 3)
2500円(税別)

黒・赤・青の3色のインクを搭載する。 2020年11月25日発売。

 

↑エッジ3と、単色の「ジェットストリーム エッジ」(右)

 

見た目は、ワイヤークリップや六角の金属軸、タテ溝の入ったグリップなど、単色エッジの特徴的な要素をピンポイントに継承。ただ、単色エッジが軸後部に向かって細くなる独特な形状をしているのに対して、エッジ3は全体的に真っ直ぐ。

 

ただ、驚かされたのはそこじゃない。先端をよく見ると、芯先が出てくる穴が、コーンごと軸中心から大きくズレているのである。え、なにこれ、すっごく変だぞ!?

↑芯先が中心から大きく偏ったポイントノーズ。これが、エッジ3のもつ最大の特徴だ

 

いかにも”変態“チックな“偏心コーン”ことポイントノーズには、もちろん理由がある。これは、従来の多色ペンが誕生以来ずっと抱え続けてきた、“芯先ナナメ問題”を解決するためのカタチなのだ。

 

これまでの多色ペンは構造的に、内部のリフィルを軸中央にまっすぐ降ろすことができない。先端がコーンの内壁を沿って露出するため、わずかに芯先がナナメに傾いてしまうのである。つまり、芯が普通よりも“寝た”状態になる→ボールが正常に回転しにくい→インクがかすれるなどの症状が出やすい、というわけだ。

 

これはもちろんわずかなものなので、気にならない人にはまったく問題ない。だが、気になる人には「多色ペンはなんか気持ち悪い」と感じさせる要因にすらなり得るだろう。

↑エッジ用リフィルを、従来の多色軸に装填した図。軸の中心(赤線)に対して、露出したリフィル(青線)は4〜5度ほどナナメになっている

 

なにより、芯先がナナメになって起きるトラブルは、ボールが小さいほど発生しやすくなる。それが0.28mmの超極細ともなれば、やはり芯先はナナメにならないほうが安心。

 

そこで、ポイントノーズである。エッジ3は、軸後端のダイヤルでリフィルを選ぶ回転繰り出し方式なのだが、このダイヤルを回転させるとリフィルが軸内部で回転しつつ、ある位置で前方にグイッと押し出されるようになっている。この押し出される位置が、ちょうどポイントノーズの口に当たるのだ。

↑ポイントノーズから常にまっすぐリフィルが出る、新しい回転繰り出し方式の“スピロテック機構”

 

動きを見てみよう。

 

つまり、芯先はコーン内壁に当たることなく真っ直ぐに露出する。これで、多色ペンの“芯先ナナメ問題”は解決だ!

 

スピロテック機構は本当に快適な書き心地をもたらすのか?

ただ、正直なところ筆者は、多色ペンに対して不快な書き味を体感したことはあまりない。このスピロテック機構から、そこまでメリットを享受できるかしら? と訝しんでいた。

 

そこで、エッジ用0.28mmリフィルを従来の「ジェットストリーム」多色タイプに装填(エッジリフィルは共有可能)して試してみたのだが……あれ? ちょっと書きにくい?

 

普通に60度ほどの適正角度で握って書けばなんの問題もないが、少し寝かせ気味に持つと、途端にカスレや引っかかりを感じるようになった。確かにボールが小さいほど角度による回転不良は発生しやすくなるので、これくらいのささいなナナメでもトラブルにつながるようだ。

↑超極細字が、多色でもスムーズに書ける!

 

対して、エッジ3はとても快適。たったいま従来の多色ペンでは不良が出た角度でも、きちんとサラサラ書くことができる。なるほど、径が超極細にまでなると、わずかな差が大きく響くようだ。

 

また、ポイントノーズの特殊なフォルムも、使ってみれば違和感はほとんどなし。特に慣れるような手間もかからず快適だ。先端がニードルのように細いポイントチップは、筆記点がよく見えるし、超極細由来のカリカリ感と低粘度油性のなめらかさが上手い具合に噛み合って、とても気持ちよく書くことができる。

↑インク色選択は軸後端のダイヤルで。色表示はないので、リフィル先端の色帯を確認するしかないのは、ちょっと不便かもしれない
↑リフィル交換は、グリップ部をまっすぐ引き抜いて行う。ネジ式じゃないので最初は少し戸惑った

 

この書き味のバランスはなかなか秀逸で、ここまで極細でも、比較的紙を選ばない。特に手帳用の薄い紙でもひっかかりなく、細かい字がサラッと書けるので、多色と合わせて手帳用筆記具として重宝しそうだ。

 

単色エッジと違って軸がストレートなのも、手帳カバーのペンホルダーにすんなり入れて持ち運べるように考えてのことだろう(単色エッジは形状的に、ペンホルダーには入れづらかった)。

 

なにより、0.28mmの細い線と3mm方眼の相性は抜群なので、「ジブン手帳」ユーザーにはマストなペンとして人気が出るんじゃないだろうか。

 

 

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【菅未里の自腹買い文房具】カスタムボールペン「ハイテックCコレト」が実はビジネスパーソンにふさわしい理由

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。仕事柄、文房具を試す機会は多く、手元には山のような文房具が……。そんな菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた、いま本当に気に入っている文房具とは?

 

ビジネスシーンでも使える大人っぽいカスタムボールペン

最近、“カスタマイズペン”と呼ばれる、自身でボディとリフィルを選んで組み合わせられるペンが、種類豊富になり注目しています。

↑空のボディと、リフィル。リフィルは、インクカラーだけでなくペン先のサイズも種類豊富で、シャープペンなどのユニットもラインナップする

 

多色ボールペンの空のボディと、リフィルが独立して売られているので、ユーザーは好きなボディとリフィルを買い、自分で組み合わせて楽しめるというわけです。

 

私は複数のメーカーが販売しているカスタマイズペンをひと通り持っていますが、なかでももっとも使用頻度が高いのがこれ。パイロットの「ハイテックCコレト」です。

パイロット
ハイテックCコレト
本体ボディ2色用/3色用/4色用/5色用
:100円/150円/200円/250円(すべて税別)
レフィル
:100円〜280円(税別)

 

まず何といっても、大人っぽいデザインが素敵です。多色ボールペンは、どうしても実用性が前面に出がちですが、ハイテックCコレトはシンプルな透明樹脂のボディもクール。

 

落ち着いた金属軸(「ハイテックCコレト 500/1000」500円/1000円・ともに税別)も用意されていますから、ビジネスの場で使っても違和感がありません。

↑空のボディ。クリアで美しい

 

↑空のボディに選んだリフィルを入れていく

 

実用性も素晴らしいですよ。リフィルには、ボールペンだけではなくシャープペンや消しゴムも用意されていますから、自分で作り上げたこのカスタマイズペン1本だけで、相当のことができてしまいます。

↑シャープペン用リフィルにカラー芯を入れれば、1本で色鉛筆セットにもなります

 

シナジーチップのリフィルが加わった!

以上だけでも、ハイテックCコレトを推す理由としては十分ですが、去年、さらにハイテックCコレトがカスタマイズペンとして一歩抜きん出るアップデートがありました。

 

それは、最新のペン先「シナジーチップ」を採用した0.4mmのリフィルが18色も加わったことです。

↑シナジーチップタイプは、リフィルパッケージに「シナジーチップ搭載!」の表記があります

 

パイロットのヒット作「ジュースアップ」に採用されて話題になったシナジーチップは、きわめて細いにも関わらず、書いた際に引っ掛かりがないペン先として好評を博しました。お持ちの方は分かると思いますが、今までにないなめらかな書き味です。

【菅未里の自腹買い文房具】常時20本ストックする溺愛ボールペン「ジュースアップ」
https://getnavi.jp/stationery/465624/

 

それがハイテックCコレトでも選べるようになったのです。細書きなのでメモに最適のシナジーチップは、仕事にも最適でしょう。

 

↑パステルカラーは黒い紙にもくっきりと発色します

 

↑リフィルには蛍光カラーも。好きな色を見つけてカスタマイズできます

 

ペンケースに1本入れておけば、ほとんどの需要をまかなえてしまえるハイテックCコレト。自分だけの1本を作ってみてください。

 

 

「菅未里の自腹買い文房具」バックナンバー
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この新機構を待っていた! 先駆者ゼブラが「シャーボNu」で多機能ペンの不便を解消

おそらく40代以上の人にとって、“もっともメジャーな多機能ペン”(多機能ペン=多色ボールペン+シャープペンシル)といえば、ゼブラの「シャーボ」だろう。

 

我々の脳には「右へ回すとシャープペンシル、左へ回すとボールペン」のテレビCMが染み込んでしまっているのだ。「1本でシャープとボールペン、これから本当の勝負です」という、星野仙一バージョンも懐かしい。

 

1977年に発売された初代シャーボは、回転式でシャープペンシルとボールペンが切り替わるという、これまでになかった機能性と、その機能を端的に表した製品名で大人気となった。当時は、入学・卒業時の贈り物としても活用されていたので、「もらったシャーボを長らく使ってた」という人も多いのではないだろうか?(実際、先のCMも春先に集中して放映されていた)

 

ただ、今となってはもう、筆記具メーカー各社から多機能ペンは発売されているし、「シャーボ」というブランド自体もかなり影が薄くなっていることは否めない。正直、今の今までシャーボの存在そのものを忘れていたんじゃないだろうか?(地味にリニューアルしたり、けっこう頑張っていたんだけど……)

 

ところが、その忘れられかけていたシャーボの新製品が、2020年11月24日に発売される。しかも、驚きの新機構を携えて。

 

新シャーボ「Nu」はシャーボ“中興の祖”となるか!?

その新製品というのが、11月に発売となったゼブラ「シャーボNu(ニュー)」だ。

 

黒・赤の2色ボールペン(エマルジョンインク)+0.5mmシャープペンシルという、最近の多機能ペンとしてはごくベーシックな構成である。

ゼブラ
シャーボNu
1800円(税別)

 

ここまでは、まずなんの変哲もない製品としか思えないし、見た目も、後軸がやや太くなっているかな? 程度の印象。驚くべきは、シャープ芯が軸後端から入れられる独自の“トップインシャープ機構”を持っている、ということなのだ。

 

芯を軸後端から入れるって、そんなのシャープペンシルなら普通では? と思った人は、おそらく多機能ペンを使ったことがないか、使い慣れていないのだろう。多機能ペンでのトップインは、普通に考えれば不可能なのだ。

↑シャーボNuの、画期的なシャープ芯トップイン。初めて見たときに「えっ、そんなこと可能なの?」と驚いた
↑対して、こちらは従来の多機能ペン。軸を分解してシャープユニットを抜いて……と、いちいち面倒くさい。でも、これが普通だった

 

従来の2+1タイプ多機能ペンを輪切りにすると、円(軸の外装)を中心から3分割するような形で、2色のボールペンリフィルとシャープユニットが存在する。これを、ノックなり回転繰り出しなりで選んで、押し出すことによって筆記している。

 

ところが、それでは軸の中心にシャープユニットが来ないので、構造上、芯を入れる際はいちいち軸を分解→シャープユニット引き抜き→芯入れ→逆手順で復帰、という手順を踏まなければならなかったのだ。

↑多機能ペンのユニット配置比較。シャーボNuは、シャープユニットが軸の中心に固定されているからこそ、トップインが可能になる

 

ところが「シャーボNu」は、シャープユニットを中心に、ボールペンリフィルを左右に振り分けて配している。これなら問題なくトップインで芯入れができるというわけだ。

 

具体的な手順としては、軸後端のキャップを45度ひねってはずし、露出した消しゴムユニットを引き抜けば、あとは開いた穴に芯を滑り込ませるだけ。戻して後端ノックで芯が出るので、普通のシャープペンシルのように何の違和感もない。これは、多機能ペンとしてはおそろしく画期的だろう。

↑シャープペンシルは、ふくらんだ後軸全体を押し込んでノック

 

ちなみに、ゼブラが行ったアンケートによれば、多機能ペンユーザーで週に1度以上の頻度でシャープペンシルを使う人は、全体の80%以上とのこと。さらに、その80%の人が感じる、多機能ペンに対する不満の第1位が、「芯の補充が面倒」というのも、さもありなんという感じである。

 

正直なところ、筆者は「補充が面倒だから、使わなくて済むなら使わないようにしよう」とすら思っていたくらいだ。それが、「シャーボNu」の登場によって、ようやく「これなら気軽にシャープペンシルが使えるな〜」という気持ちになれたのだ。

 

↑ペン選択は回転式。使用中のユニットは、透明窓に色で表示される

 

ボールペンユニットは、ゼブラ独自の書き味の良いエマルジョンインク0.5mmを搭載。リフィル自体はお馴染みの4C規格なので、これは自分の好みで入れ替えても問題ない。

 

というか筆者は、後ろ重心の強い多機能ペンとなめらかエマルジョンインクの組み合わせに苦手意識を持っている(挙動が大きすぎて字が汚くなってしまう)ので、いち早く大好きなゲルインクリフィルに差し替え済み。これなら、より快適に書くことができそうだ。

↑シャーボNuのボールペンユニットは金属製の4Cリフィル。ただし、ゼブラのリフィルはわずかに太いので、他社製のものを入れると多少グラつくかもしれない

 

とはいっても、やはり「シャーボNu」のメインはシャープペンシルが使いやすい! というところ。多機能ペンユーザーで、特にシャープペンシルを使う機会が多い人であれば、導入すると面倒がかなり減るはずだ。少なくとも、「芯の補充が面倒」と感じたことがあるのなら、まずは試してみて欲しい。

 

 

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ラインマーカーの新ジャンル誕生!“色”の濃淡で書類を整理するコクヨの2Way「マークタス」

書類や議事録ノートの重要なポイントにラインマーカーを引いて目立たせる、というのはよくやる作業だろう。パッと目に入ってくるので非常に便利なのだが……実はちょっと困ることもあるのだ。

 

それは、ラインマーカーの色が“紙面において支配的すぎる”ということ。つまり、目立ちすぎ! ってことだ。目立たせようとしているのだからそれでいいのでは? と言われればそれも正しいが、でも、重要なポイントだけが目に入ってもしょうがないのである。

 

例えば、下の写真のような状況で、ラインを引いた部分に対して「さらに強調して伝えたい情報」と「そこまで目立たなくていいけど見ては欲しい補足」を追記したいとしよう。それぞれを黒のボールペンで書いて、果たして満足のいく結果が得られるだろうかというと、それは難しい。なにしろ、ライン引いたところだけに目が走ってしまうから。

↑パッと視界に入るのはラインを引いた部分のみで、その近くに記入した補足はほぼ埋もれてしまう

 

目立ちすぎるというのは、そういうことなのだ。ラインマーカーは道具としてとても強力だが、ホイホイ引いていると、逆に情報の伝達を阻害してしまう可能性もあるのだ。

 

とは言っても、ラインが目立つのはもう仕方ない。それなら、情報を追記しやすい工夫がなされた最新のマーカーを使ってみるのはどうだろうか?

 

“めだたせカラー+メモ用ペン”で情報はすっきり整う!

以前この連載で、特殊な2色チップで濃淡のラインを使い分けられる、コクヨ「マークタス」というマーカーを取り上げたことがある。

濃淡の組み合わせがキモ!コクヨ「マークタス」のチカチカしないマーカーは集中力まで高める!?
https://getnavi.jp/stationery/470173/

 

今回紹介するのは、その新バージョン「2ウェイカラーマーカー<マークタス>」(以下「マークタス2way」)だ。

コクヨ
2ウェイカラーマーカー<マークタス>
左:カラータイプ(めだたせカラー+はっきりメモ)5色
右:グレータイプ(めだたせカラー+ひかえめメモ)5色
各150円(税別)

 

この「マークタス2way」は、「めだたせカラー+はっきりメモ」タイプと「めだたせカラー+ひかえめメモ」タイプの2種類が、各5色ずつのラインアップ。

↑外観は、「カラータイプ」(上)はキャップが乳白色、「グレータイプ」(下)はグレー。あとは軸の4本ラインの色が異なる

 

2wayの由来は、ラインマーカー(めだたせカラー)と0.3mmの極細サインペン(はっきりメモ/ひかえめメモ)が1本になっているというところから。ラインマーカーが目立たせる用なのは理解できるが、はっきりメモ/ひかえめメモの意味するところとは? いや、実際に書いてみれば、ああ! とすぐに納得できるだろう。

↑冒頭の文章を「マークタス2way」で彩色し直したもの。上の緑色は“ひかえめメモ”、赤色は“はっきりメモ”を使用している

 

そう、はっきりメモの「カラータイプ」はラインと同系色のより強いカラー、ひかえめメモの「グレータイプ」は、ラインと同系色のグレーカラーで書けるようになっているのだ。

 

つまり、はっきりメモは、ラインよりもさらにはっきり目立たせたい“超・強調”情報に。ひかえめメモは、本文の黒字よりも薄い色で控えめに伝わる補足情報に最適、というわけ。しかも、それぞれがラインと同系色なので、メモ部分がラインを引いた部分の関連情報であるということが直感的に分かる。つまり、使うだけで自動的に情報が整理された状態になるのだ。

 

↑はっきりメモの「カラータイプ」の色見本。白い紙面にクッキリとした発色で、アピール力が強い

 

はっきりメモはまさにはっきりクッキリしたインクで、黒字の合間に記入するとかなり目立つ。普通なら薄くて見づらい黄色ですら、きちんと視認して文字が読み取れるし、上からラインを引いてもしっかり視認できる強さなのだ。

 

もちろん、同色のカラーインクボールペンを使っても同じことはできるが、そこはやはりマーカーと一体化した2way構造なのは強み。携帯も運用も、こちらのほうがラクに決まっている。

↑対してひかえめメモの「グレータイプ」はほんのりとした色で、まさにひかえめな情報伝達が可能。カラーグレーの色合いもいい

 

筆者が個人的に好きなのは、ひかえめメモ。このカラーグレーは、視認しやすいのに目立ちにくい、本当に絶妙な色なのだ。

 

意識すれば目に入るけど、あえて意識下から外すと気軽に読み飛ばせる薄さ。かつ、ラインとの連携をうっすら感じさせる程度のグレーな色味。それでいてラインを重ねてもきちんと視認できるので、「普通の補足よりは強めの補足」みたいな使い分けが可能なのも面白い。

↑「これは目立たせたい」「これは目立たなくてもいいけど記載はしたい」のように、紙面の情報を必要に応じて整理できる

 

ここ数年、ラインマーカー業界は「目立たせる度合いの変化」をいろいろ考えていたように感じる。例えば、ゼブラ「マイルドライナー」は、淡いカラーでほんのり目立たせるもの。先に紹介したコクヨ「マークタス」も、濃淡で目立ちの差をつけるという考え方だ。これらは、目立てば正義! というシンプルな立ち位置を脱却した製品と言えるだろう。

 

ただ、そうは言っても目立つ度合いが変わるだけで、結局のところラインが紙面の中で支配的という構図は変わらない。

 

対して「マークタス2way」は、ライン以外の部分にも強弱をつけることで情報を整理する、という発想で作られている。これは明らかに従来のラインマーカーにはなかった考え方だ。ポイントを目立たせるのに加えて、すっきり整理されて理解しやすい紙面を作るためのツール。これは、ラインマーカーのまったく新しいジャンルなんじゃないだろうか。

 

 

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“細筆”感覚の軽快なタッチが心地良い! ジェットストリーム誕生の伏線となった三菱鉛筆「ユニボール5」

【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏。雑誌『GetNavi』で「手書き」をテーマとした新連載をスタートした。デジタル時代の今だからこそ、見直される手書きツール。いったいどんな文房具の数々が披露されるだろうか。第1回は“赤青鉛筆”と呼ばれた懐かしの「朱・藍鉛筆」、今回は?

 

第2話

三菱鉛筆
ユニボール UB-105
110円(税込)

1981年に発売された水性ボールペン。事務用水性ボールペンの定番として根強い人気を誇る。インクは黒・赤・青の3色で、乾くと耐水性に変化。ボール径は0.5mm。

 

ジェットストリームに影響を与えた軽やかなタッチの一本

人とボールペンの話をしていて、どうやら自分はボールペンの“重さ”に人一倍関心があると気が付いた。具体的にいうと、ボディの重心のバランスとインクの粘度、ボディの重量の関係をいつも気にしている。例えば、ここ数年で定着した滑らかな低粘度油性インクなら、断然ボディも軽いほうがいい───と力説しては怪訝な顔をされている。でも自分としては、重さは誰でも分かる、最も直感的な“性能”だと思っているのだけど。

 

この観点で一番好きな一本は三菱鉛筆の水性ボールペン「ユニボール UB-105」、通称「ユニボール5」だ。水色のプラスティックボディがチープでかわいらしく、手に取ると見た目の印象どおりに軽い。水性ボールペンらしい潤沢なインクフローはかすれ知らずで、軸の真ん中あたりを軽くつまんでペン先を走らせると、まるで細い筆を扱っているような軽いタッチが楽しめる。ここまで書いていて心地良いペンはそうない。

 

初めてこのペンを意識したのは、三菱鉛筆の市川秀寿(いちかわしゅうじ)氏が愛用していると本人にうかがったときだ。2006年、ボールペンの歴史を決定的に変えた低粘度油性ボールペン「ジェットストリーム」の生みの親である市川さんは、油性インクの「重さ」が苦手で、UB-105のような書き味を目指しこのインクを開発したという。日本文具史にとって極めて重い意味を持つペンは、なんとも軽やかな一本から生まれたのだ。

 

【第1話】久米宏氏の美学を見た! 扱いにくくも書くのが楽しい、懐かしの“赤青鉛筆”
https://getnavi.jp/stationery/524920/

 

久米宏氏の美学を見た! 扱いにくくも書くのが楽しい、懐かしの“赤青鉛筆”

【文房具愛好家・古川耕の 手書きをめぐる冒険】

文房具をこよなく愛す放送作家の古川耕氏。雑誌『GetNavi』で通算101回を数えた長寿連載「文房具でモテるための100の方法」を完走したのち、心機一転、「手書き」をテーマとした新連載をスタートする。デジタル時代の今だからこそ、見直される手書きツール。いったいどんな文房具の数々が披露されるだろうか。

 

第1話

三菱鉛筆
朱・藍鉛筆
792円(1ダース/12本入り)
赤(朱)芯と青(藍)芯を合わせた鉛筆。赤と青の比率は5:5と7:3の2通りある。久米さんが使われたのは、木の端材で作られた「リサイクル」鉛筆シリーズの5:5タイプ(写真下)。赤青鉛筆と呼ばれることも。

 

人によって削られた鉛筆の美しさを再認識

TBSラジオで13年以上続いた「久米宏 ラジオなんですけど」が、この6月に最終回を迎えた。久米さんの相方を務めていたTBSアナウンサーの堀井美香さんがその生放送直前、こんな文章を写真と共にツイッターに投稿していた。「真正面の久米さんはいつもこの風景でした。青エンピツ、チョコレート、紅茶。そしてきっちり揃えられた原稿」

 

久米さんは、番組当初から自分にしか読めないような文字を台本にちょこちょこ書き込んでいたらしい。テレビキャスター時代はテレビ映りを気にして高級ボールペンを使っていたそうだが、ラジオでは素朴な赤青鉛筆を好んで使い続けていたそうだ。

 

スマホでじっと写真を見つめているうち、たまらなくなって近所の店に出かけたら、赤色の比率と青色の比率が7:3の「朱藍鉛筆」があったので買ってみた。早速両端を削って使い始めたら、これが思った以上に……扱いづらい。印刷指定等に使う青鉛筆は、黒芯より筆滑りが悪く色が淡い。おかげで最後まで集中して書くので文字が少しだけ綺麗になった、気がする。結果、青のほうが消費ペースが速いというのは計算違いだったが、楽しみながら使っている。

 

最終回の放送でも久米さんは相変わらず明晰で、優しくて、写真に写った赤青鉛筆そのものだった。ボールペンでもサインペンでもなく、人の手によって削られたその鉛筆は、確かにとても美しかった。

アメリカで大ヒット! 9つの機能をまとめた「9in1マルチツールペン」を使ってみた

ちょっと変わった面白いプロダクトが集まっているクラウドファンディング市場では、多くの注目を集めて一般販売までこぎつけたアイテムが日々登場しています。今回は、アメリカのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で大ヒットを記録し、ついに日本に上陸した「9in1マルチツールペン」を紹介します。

↑「9in1マルチツールペン」

 

この「9in1マルチツールペン」は、その名の通り9つの機能を1本のペンに凝縮したもの。サンフランシスコのイノベーション・カンパニー「ATECH」が開発し、Kickstarterで支援を募集したところ、最初の1週間で目標金額100%を達成したそうです。

 

見た目はマットブラック仕上げのスタイリッシュなボールペンですが、「ボトルオープナー(栓抜き)」「爪やすり」「ボックスカッター」「定規」「プラス/マイナスドライバー」「スタイラスペン」「水平器」「0.7mmボールペン」の9つの機能を1本の搭載。使いたい機能をすぐにポケットから取り出していつでも使うことができます。

↑1本のペンに9つの機能が凝縮されています。本体中心部の欠けている部分は「ボトルオープナー(栓抜き)」

 

本体は、素材にスチール、アルミニウム、銅、鉄合金を使ったタフなメタル仕様。表面はアルマイト加工されており、耐久性と堅牢性を備えた設計になっています。

 

実際に使ってみたところ、手に持ったときの金属製のしっかりとした質感と、コンパクトなサイズ感がちょうどよく、いつもシャツのポケットに入れて携帯しておきたくなります。本体が六角形になっているので、使うときに握りやすい点もいいですね。

↑本体は六角形で握りやすい

 

それぞれのツールもよく作りこまれており、どの機能もちゃんと使うことができます。個人的に気に入ったのは、テープで閉じられた段ボールをすばやく開けることができる「ボックスカッター」。外出を控えてネットショッピングをする機会が増えたので、荷物が届いたときにいちいちハサミを探す必要がなく、サッと開けられるのが便利。

↑段ボールをサッと開けることができる「ボックスカッター」。なお、側面の銀色の部分は「爪やすり」です

 

また、衛生的な観点から、ちょっと使うのを躊躇してしまいそうなATMや券売機などのタッチパネルも、「スタイラスペン」を使えば、直接手で画面に触れることなく操作できます。

↑本体にタッチパネル対応の「スタイラスペン」が収納されています

 

↑さらに、スタイラスペンの中に「プラス/マイナスドライバー」が収納されています。スパイ道具みたいでワクワクしちゃいますね

 

実用性とデザイン、クオリティを兼ね備えているので、自分用はもちろん、ちょっとしたプレゼントにオススメです。

 

価格は、一般販売予定価格3500円のところ、いまならMakuake限定5%オフの3325円で購入可能。支援期間は9月15日までとなっていますので、気になる方はお早めにチェックしてみて下さい。

 

【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】

 

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【菅未里の自腹買い文房具】ぺんてる「トラディオ・プラマン」はヘタ字のコンプレックスを払拭する買い溜めペン

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。仕事柄、文房具を試す機会は多く、手元には山のような文房具が……。そんな菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた、いま本当に気に入っている文房具とは?

 

万年筆ような“味”のある字をボールペンの手軽さで書けるペン

私は、字があまり上手ではありません。ところが、請求書などを送るために宛名書きをする機会がとても多いのです。そんな私にとって、手放せないペンがあります。

 

それが、ぺんてるの「トラディオ・プラマン」です。

ぺんてる
トラディオ・プラマン
500円(税別)

 

この、万が一生産停止になったときのために私が買いだめしているこのペンは、字を綺麗にしてくれる機能(?)を持つ、優れたペンなのです。

 

とめ・はらいが綺麗に出る

「プラマン」とは、「プラスチック万年筆」の略です。その名の通り、プラスチックで作られた万年筆のようなペンで、ペン先は万年筆に似ています。

 

そのペン先が、字を綺麗に見せてくれるのです。

↑ほどよくしなるペン先

 

プラスチック製であるペン先はわずかにしなるので、「とめ」「はらい」が綺麗に出ます。すると、それだけで字が一段きれいに見えます。「とめ・はらい」は、どうやら美しい字の重要な要素のようですね。

 

また、プラスチックの芯を、やはりプラスチックのパーツで左右から挟み込んでいるペン先は左右非対称で、筆記の方向によってしなり具合が変わるので、字には味が出るでしょう。

↑ペン先は、チップをパーツで挟み込んでいる(左)。そのパーツは左右非対称で、長いパーツを上にするとしなりは弱く、短い方を上にするとしなりが強く出る。(右)

 

↑機密性を高めたキャップ。キャップ内にインナーキャップもついている

 

ボールペン感覚で書ける

万年筆や筆も、字を綺麗に見せてくれるのですが、多くの人が普段使っているボールペンとは使い勝手が大いに違います。特に筆圧の違いは大きいですね。

 

しかしその点、プラマンはボールペンとまったく同じ筆圧で書けますから、違和感もありません。

 

しかも、安い。1本500円(税別)です。字が綺麗に見える上に書き味も楽しめるペンがこの価格なのは、破格でしょう。

 

↑筆者は茶封筒の宛名書きで愛用。茶封筒の適度な筆記抵抗とペン先のしなりの相性が良い

 

ペン先のしなり具合は茶封筒と相性が良いように感じますから、宛名書きには特におすすめです。あちこちでお勧めしているこのペンですが、やはり素晴らしいものは素晴らしい。ヘタ字にお悩みの方、ぜひ試してみてください。

 

 

「菅未里の自腹買い文房具」バックナンバー
https://getnavi.jp/author/misato-kan/