養生テープの革命だ!アスクルが生んだ繊維さえ見えない高透明養生テープの筆者が見つけた意外な使い道

引っ越しの際に、運送会社のスタッフが壁面やドアの周りに “緑色のテープ” でクッションシートを貼っているのを見たことがあるだろうか? あの緑色のテープは「養生(ようじょう)テープ」と呼ばれるもので、建築現場や物流、引っ越しなどの現場では欠かせない道具のひとつ。最近は100均でも複数色の養生テープから選んで買えるようになり、すっかり一般化したなぁという感はあるが、ひょっとしたら明確には知らなかったという人もいるかもしれない。

↑壁面の保護に加えて、引き出しが開かないように固定するなど、引っ越し現場などで養生テープは大活躍する

 

養生テープは、ガムテープなどの粘着テープと違い、最初から剥がす前提で作られている。粘着力が強すぎないので、壁紙などに貼ってもダメージを残さずきれいに剥がすことができるのが特徴だ。だからこそ引っ越しなどで多用されているわけだが、この再剥離能力は、ポスターや貼り紙といった掲示物を貼り出す際にも活用されているそう。便利アイテムであることは間違いないのだが、正直なところ貼り紙などの掲示用としては、従来の養生テープには決定的な弱点があるのだ……。

↑ダンボールの中身リストを貼っておいたのに、テープで文字が隠れてしまっている状態

 

完全に透明なのに再剥離&手で切れる不思議な養生テープ

養生テープは、基材(粘着材を塗布するベース)にポリエチレンの繊維を縦横に編んだもので作られている。表面に細かい網目があるので手で簡単に切ることができるのだが、素材の特質上テープ自体が半透明なので、貼りものに使うと、どうしてもフチをテープが覆い隠してしまい、見えない部分ができてしまう。

 

とはいっても、養生テープはその名の通り、建築・引っ越しの現場での養生(壁などに傷・汚れが付かないよう保護する)がメインの役目。掲示物を貼るのは有り体に言えば「じゃないほうの仕事」と言えるだろう。

 

ところが、2023年12月に、「じゃないほう」のために養生テープが新開発された、というリリース情報が発表され、と文房具界隈の一部が軽くザワついた。その養生テープこそ、オフィス通販ASKULの「現場のチカラ 掲示用 高透明養生テープ」(以下、掲示用養生テープ)である。

ASKUL
現場のチカラ 掲示用 高透明養生テープ
330円(税別)

 

ロールの状態では少々分かりにくいかも知れないが、引き出してみればなるほど、確かに透明性が非常に高い。これまでにも半透明の養生テープは存在したが、従来品と比べてみるとその差は歴然。完全に別物のテープと言っても良いレベルだ。従来品であれば肉眼でもはっきり見えるはずのテープ基材繊維がまったく確認できないので、そもそも本当に養生テープなのか? という疑念すら湧いてしまうほど。

↑一般的な養生テープはポリエチレン繊維の編み目が分かるが、高透明は単なるフィルムテープにしか見えない

 

・粘着力と再剥離性は?

掲示用養生テープは、粘着力に関しては、明らかに剥がす前提のテープだと分かる弱さで、壁紙やダンボールに貼って剥がしても、ダメージはほぼ残らなかった。試しに従来の養生テープと比較してみたが、粘着力はほぼ同等程度。これなら安心して、養生目的で使用できそうだ。

↑壁紙に貼って剥がして……を繰り返してもダメージは無し。これなら安心していろんな場所に貼れそうだ

 

・手で楽にカットできるか?

養生テープのもうひとつの特徴である、「テープが手でスパッと切れるか」という点においても問題なし! ……と言いたいところだが、正直に言うと少々コツが必要。適当にテープを持って切ると、ウニョッと伸びてしまうことがあったので、切る際にはテープ端を片手で押さえつつ、もう片方の手で勢いよく引く、という動作が重要になる。この感覚さえつかめば、気持ち良くスパスパと切ることができるだろう。

↑手で切るときは、まず左手でテープを固定し、そのすぐ近くから右手で下方向に引き切る

 

↑すると、スパッとまっすぐカットできた

 

貼って剥がせる高透明テープだから、掲示物に最適

手で切ろうとして力を加えるとテープが伸びる、というのは、梱包用のPPテープでたまに発生するもの。実はこの掲示用養生テープは、基材にポリプロピレンのフィルムを使用しているので、素性としてはPPテープに近い。機能面は養生テープなので、まさにハイブリッドであり、両方のいいとこ取りをしたような製品なのだ。

↑繊維質の養生テープではまず発生しない、切り損なったテープの伸び。フィルム基材なのがよく分かる

 

PPテープと同じポリプロピレンフィルムなら、なるほど、透明性が高いのは当然だ。掲示物のフチにぐるりと貼っても下の印刷部分がくっきりと見える。これは従来の養生テープでは不可能なことだったので、正直、かなり衝撃的な性能と言えそうだ。

 

従来の養生テープと比較してみると「高透明」というのは伊達ではないことが分かる。1巻あたりの値段は普通の養生テープより少し高いが、それだけの仕事はしてくれると思えば価値ありのアイテムだ。

↑半透明養生テープと高透明養生テープの比較。掲示物を貼るなら高透明を選んでおけば間違いない

 

ちなみにASKULによると、コロナ禍の折、ソーシャルディスタンスの注意喚起などで掲示物を貼り出す機会が全体的に増えたという背景があったそう。それにともない、掲示用に養生テープを購入するユーザーも増えたのだとか。このままいけば、もしかしたら掲示物の貼り出しが養生テープの「もうひとつの方の仕事」ということになる日も来るのかもしれない。

 

さらに透明度の高い養生テープは、貼り出し以外にも役立つシーンがありそう。例えば、筆者はDIYで棚などを作る際に、パーツの仮止めとして養生テープを使うことがあるが、今後は掲示用養生テープを使いたいと思っている。木材に貼って固定ができて、後からキレイに剥がせるならなんだって文句はないのだけれど……テープがより透明だと完成形のイメージが掴みやすいのは間違いないだろう。

↑工作の仮止めも高透明養生テープが圧倒的に使いやすい

 

高透明性&再剥離という性能は、掲示物の貼り出し以外にもインテリアとしてのポスターを部屋に飾るときや裁縫の仮止めなど、他にも使い道がいろいろとありそう。「どう使うと便利だろう?」と考えるのが楽しいアイテムである。

 

これぞ待っていた進化! ギザ刃が痛いクラフトテープのカッターが安全スマートに生まれ変わった

文房具マニアもこじらせてくると、「地味な文房具の地味な進化にグッとくる」ようになる。何を持って“地味”と呼ぶかは人によるだろうが、例えば「ホワイトボード用イレイザーが汚れたら積層シートを剥がしてリフレッシュ可能」とか「カッティングマットが裏返すと粘土板になる」なんていう進化は、誰しも「わー、地味だなー」と感じるものだろう。

 

こういった例を目にする度に「メーカーは、こんな地味なものまで開発コストをかけて進化させるのか!」という感動に近い感情がこみあげてきて、嬉しくなってしまうのである。

↑例えば、誰もが見たり使ったりしたことのある、このギザギザのテープカッターも進化しているのだ

 

最近では、ガムテープ(クラフトテープ)に装着して切るための金属製のギザギザが、安全かつスムーズにテープが切れるよう進化した、という。

 

わー、すっごい地味! 地味だが、でもシンプルなあのギザギザがどう進化したのかは、気になるところだ。

 

ギザギザが剥き出しだったガムテープ用カッターがどう進化した?

その進化型クラフトテープ用ギザギザというのが、2022年11月にミドリ(デザインフィル)から発売された「クラフトテープカッター」である。名前も地味だ。

 

ただ見た目に関しては、シンプルながらギミックの存在を感じさせるデザインがなかなかに格好いいと思う。

ミドリ(デザインフィル)
クラフトテープカッター
900円(税別)

 

下部にはアームが備わっており、これをテープの巻芯を挟み込むように装着する。アームの根元にはバネが付いているので、テープの消費によって全体の直径が変わるのにしたがってアームも移動し、がっしりとしがみつき続けるという仕組みだ。

 

↑バネ付きのアームをぐいっと開いて、クラフトテープの巻芯に挟み込む

 

↑クラフトテープにテープカッター装着完了

 

そもそも従来のギザギザカッターのなにが良くなかったかといえば、それはもう端的に「危険だった」のである。頑丈なクラフトテープを切り裂くための鋭い金属(だいたいブリキ製)ギザ刃が露出しており、使用中にこれでひっかき傷を作ったり、衣服を鉤裂きにするなんてことがよくあったのだ。

 

↑従来の一般的なテープカッター。尖った刃が剥き出しなので、どうしたって安全とは言い難い。しかもけっこう切りづらい

 

↑新しい「クラフトテープカッター」はスパッとテープが切れるが、よく見ると刃が露出していない!?

 

対して「クラフトテープカッター」の刃部分は安全性が高い。そもそも通常時は、刃がガードパーツに覆われて露出していないのだから、うっかり傷つきようもない。ガードパーツを指でグイグイ押しても、刃が出てこないのである。

 

それがテープを切ろうとすると、軽い力でサクッと切れる……いったいどういうことだ?

 

ギザギザ刃が安全な理由とは?

↑指でガードパーツを後退させると、細かな金属のギザ刃が出てくる

 

このガードパーツ、「少し持ち上げながら押し込むと後退して刃が露出する」という、ちょっと変わった機構になっている。そう聞くと何やら面倒くさそうに感じるが、実はテープをめくり上げつつ刃に押し当てようとすると、ほぼ自動的に「ガードパーツを持ち上げながら押し込む」動作になるのだ。

↑意識してクラフトテープを切るように動かさないと刃が出てこない、ユニークな機構だ

 

↑指で押しただけでは切れないため、安全性は非常に高い

 

だから、ユーザーは何も考えなくても、テープを切ろうとすると勝手に刃が出て切れる。でもそれ以外にはガードパーツが動かないので安全、という仕組み。

 

これはめちゃくちゃ良くできている!

↑左の従来型に比べ、テープの切り口はかなりフラットだ

 

もうひとつ気に入ったのが、テープの切り口に関するところ。ギザギザカッターは文字通り切り口もギザギザとしてしまうが、このギザの尖った部分を足がかりにしてテープが剥がれてしまう、ということがある。

 

切り口がフラットであればもちろんそんなトラブルは起きづらいので、このフラットさだけでも充分に使う価値はあると思う。あと、見た目もスマートだ。

 

刃は交換にも対応している

↑金属刃はひっくり返して再利用できる高コスパな仕様

 

ちなみにこの金属刃は、本体上面のネジを外してやるだけで簡単に交換できる。クラフトテープのネチャネチャした粘着剤が付着すると切れ味がガクンと落ちてしまうので、多用するなら、刃の交換はおそらくマストとなるはず。

 

ただ、刃そのものが左右対称の設計となっているため、一度外した刃をひっくり返して装着すれば再利用が可能。1枚の刃が2回使えるようになっているのは、ありがたいポイントだ。一度刃をひっくり返したタイミングに合わせて替刃を購入すれば、いざという時に慌てずに済む。

 

↑単にテープが切りやすいというだけでも、梱包作業の効率は確実にアップする

 

実際に使ってみると、ユーザーは従来のギザギザよりも格段の切れ味と安全性を享受できているのは間違いない。しかも、そのために何かを意識することはなく、いつも通りサクサク切るだけ。

 

これは確実に便利で、素晴らしい進化と言えるだろう。特に昨今は、フリマアプリのためにダンボール梱包を行うケースが増えていることだし、家庭・職場を問わず1個は備えておくべきアイテムだと思う。

 

使う分だけ引き金引いてワンハンドでカット! ニチバンの良作を復刻した「プッシュカット」はやっぱり快適だった

愛用していた文房具が、いつの間にか店頭から姿を消している。おかしいな? と思って調べると、メーカーサイトの製品リストからも消えている───そう、廃番(または製造終了)だ。

 

困ったことに、愛用しているからにはそれなりの“使っている理由”があって、つまり他に代替品となるものがないケースが非常に多い。なので、「待って待って、困るよー」とオロオロし、小売店やネットショップで在庫を探し回り、「なんで廃番にした!」と怒りに声を荒げることになる。

 

当然のことながら、メーカーだって好きで廃番にするわけではない。部材の供給が難しくなったり、そもそも単純に売れていなかったり、などと理由は様々にあるだろう。これほど次々に新製品が出ているのだから、その陰で消えていく製品も出ざるを得ないのだ。仕方ないことなのだ。ギギギ……。

 

とはいえ、ごく稀なケースではあるが、「祝! 復刻!」なんてこともないではない。それも「ユーザーの声に押されて復刻」なんてことになれば、廃番を惜しむ声(というか、怨嗟の声)を挙げた甲斐もあったというもの。今回は、まさにそういう復刻を果たしたばかりのおめでたい製品を紹介したいと思う。

 

片手で切り貼りできて快適なテープカッターが復刻

2011年、ニチバンの「ナイスタック ハンドカッター」「メンディング テープハンドカッター」という製品が販売終了となったのをご存じだろうか?

 

これらは、片手でテープが切り貼りできる携帯型テープカッターとして非常に優秀だったのだが、海外生産における部材の安定供給が難しくなったことで、最終的に市場から姿を消してしまった。で、そのハンドカッターが2020年に復刻! という形で、このほど同社から再びの新発売となったのが、「プッシュカット」である。

ニチバン
左:マスキングテープ プッシュカット
右:ナイスタック プッシュカット
各1200円(税別)

 

当時のハンドカッターは商品名の通り、メンディングテープとナイスタック(両面テープ)にそれぞれ専用で対応したものだったが、新発売のプッシュカットは、メンディングテープの代わりにマスキングテープがラインナップ入りした。

 

これは、ハンドカッター販売時のユーザーがDIY・クラフトホビー系や、プロの塗装業者に多かったことを受けてのことだそう。なるほど、特にそのあたりの層から、復刻を願う声が強かったのかもしれない。

 

販売時には、緑のボディにマスキングテープ、赤のボディにナイスタックがそれぞれ装填されているが、機構的に専用ということではなく、どちらのテープでも使用可能だ。

 

↑レバーを引くたびに約12mmずつテープが出てくる機構。動作はスムーズで、テープ詰まりなどのトラブルもなし

 

使い方は簡単。まず本体下のレバーを引くと、内蔵されたテープが約12mmずつ、にょろっと外に飛び出してくる。

 

何度かレバーを引いて必要な長さになったら、上部のボタンをギュッと押し込む。するとテープ排出口内側の刃が降りて、カットできるという仕組みだ。もちろん、レバーを引くのが面倒なときは、にょろっと飛び出たテープ先端を手でぐいっと引き出してもOK。

↑テープを切るにはボタンをギュッと押し込む。テープ断面がギザギザせずフラットに切れるので、塗装マスキングに使いやすい

 

しかも、レバーを引く回数を揃えれば、常に同じ長さのテープを取り出すことが可能となる。これなら、広い面積に複数枚の両面テープを揃えて貼る、といった作業が簡単になるはず。

 

レバー1回12mmというのもなかなか絶妙で、両面テープで“点付け”をするための、小さな正方形に近いテープ片を量産するのがとてもラクなのである。特にナイスタックのような高品質両面テープは、剥離紙が頑丈で小さく切りにくいが、それがサクサク切れる。実際にやってみると、これは非常に快適だ。

↑テープ幅は15mmなので、レバー1回でカットすれば15×12mmのテープ片が量産できる

 

ハンドカッターシリーズからの最大の変更点は、刃を降ろしてのカットがボタンプッシュに変わったところだ。

 

従来は「本体上部のスライダを後ろに引いて切る」だったので、手の動きを考えれば、よりスムーズに使えるようになっている。旧モデルで30分ほどテープを連続して切ったときなどは、親指がクタクタに疲れたもので、少なくともボタンを押し込むほうがはるかに疲労は少なそうだ。

↑旧モデル(ハンドカッター)は、上部のスライダを親指で引いて切る仕組みだった。これ、長時間繰り返しているとけっこうつらい

 

テープの装填は、透明カバーをパカッと外して持ち上げ、引き出したテープを排出口に通しながらリールにセットする。

 

このとき、テープを排出口からはみ出すぐらいの長さに伸ばしておくと、扱いやすい。はみ出した分は、リールにセットしてから巻き取ればいいのだ。また、本体内部でテープが少したるむようにしておかないと、透明カバーをハメたときに干渉してしまうので、その点は要注意である。

↑透明カバーは真上に持ち上げれば簡単に外れる

 

↑再装填時は、写真のパーツにテープが干渉しないよう注意。このパーツの下をテープが通ることで、スムーズなテープ送りができるようになっている

 

ちなみにテープの詰め替えは、マスキングテープ・両面テープともにニチバンの推奨品を使うように、と注意書きにある。これは、本体のテープ送り出し性能がテープの粘着特性に左右されるため、構造が推奨品に最適化されているからだ。

 

とはいってもニチバンのテープだから、両面テープは言うに及ばず、マスキングテープも車両塗装にまで使える高品質な製品である。あえて送り出し性能を落としてまで非推奨品を使う必要はないと思う。

 

↑カット用ボタンに加えて、本体後部にセーフティーコード用の取付穴も追加された。この辺りは工事現場などで使う道具として重要なポイント

 

実は筆者も、従来品のハンドカッターをヘビーに使っていたので、久々に使ってあらためて「やっぱりいい製品だな」と感じた次第である。同じく以前使っていたという人には待望の復刻だろうし、初見の人にも用途がハマれば間違いなく便利なはずだ。ぜひ長く愛用してやってほしい。

 

 

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“潰れたガムテ”がこんなに便利なんて! ヤマト「アウトドアテープ」がキャンプでも災害時も活躍する理由

2020年7月の豪雨水害は、本当に大変なものだった。全国1府34県で、浸水や損壊を含めた住宅被害が1万8000軒以上、甚大な人的被害も発生した。被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。実のところ筆者も、佐賀県在住の知人から「近所で土砂崩れに巻き込まれかけた」という話を聞いて、ゾッとしたものだ。

 

こういう自然災害は、いつどこで発生するか分からない。せめて備えだけは、普段からしておくべきだろう。皆さんも、非常用持ち出し袋など防災セットの準備は万全だろうか? 10月は上陸するような強い勢力をもつ台風が頻発する時期なので、今回は、防災セットに入れておくと助かるかもしれない文房具を紹介しておきたい。

 

持ち運べるコンパクトな粘着テープが役に立つ

飲料水やライト、防災ラジオはもちろん防災セットのマストだが、意外と忘れてならないのが、粘着テープ(布ガムテープ)だ。

 

緊急時の止血や骨折時に添え木を固定したり、割れた窓をふさいだり、避難所でダンボールを組んでパーテーションを作ったり。あとは油性マジックで書き込んで伝言を貼ったり、名札代わりにしたり。とにかく応用範囲がものすごく広いのである。

 

ただ、容量が限られた持ち出し袋の中に入れておくには、ちょっとかさばる。そこでオススメなのが、ヤマトから7月に発売された「アウトドアテープ」だ。

ヤマト
アウトドアテープ(全8色)
各590円(税別)

 

なにがオススメかといえば、それは見ての通り、コンパクトな形状が、である。モノとしてはごく普通の布粘着テープだが、一般的な製品と比べるとこれほどコンパクトなのだ。

↑並べて置くと、25m巻の粘着テープが巨大に見えるほど

 

サイズは約70×50mmの平巻きで、厚みも15mmほど(実測値。公称18mm)と薄い。1~2巻くらいは無理なく防災セットの袋に詰め込んでおけるはず。重量も1つがたかだか50gほどだ。

 

従来の粘着テープも、押し潰して芯を抜いて……という手を加えればコンパクト化はできる(筆者もそうして備えていた)のだが、それでも一般的な25m巻は思ったほど平たくはなってくれない。「アウトドアテープ」は3m巻とかなり短いが、それでも緊急時に持っておけるか分からない25mよりも、確実に携帯できる3mのほうが価値があるのは間違いないだろう。

↑引き出す時はこんな感じ(これで80mm)。もちろん手でビリッとまっすぐ切れる

 

平巻きでちょっと面白いなと感じたのが、テープの取っかかりが見つけやすい、というところ。巻きの端で切ると決めておけば、次に使う際にもテープ端がすぐ見つかる。グルグルと芯を回しながら「どこから使えるのかな……」と探す手間がないのだ。

 

また、端から端まででだいたい70~80mmになるので、長さを把握しやすいのも面白い。これなら、梱包時にやたらと長くテープを出し過ぎて無駄にする、というミスも減らせるかもしれない。

↑ダンボールの梱包にももちろん活用できる。3mと短いので、あっという間に使い切ってしまうのだが……

 

もうひとつ、ありがたいのがパッケージ。ゴム系粘着剤のテープは裸のままで長期保管しておくと、側面に染み出した粘着剤に埃が付着しがちだし、そうなると粘着力も確実に低下する。

 

「アウトドアテープ」は、ジップ付きの密閉袋にパックされた状態で販売されているので、このまま保管しておけば、少なくとも埃の付着は防げるし、携帯するにしても粘着のベタベタが他のものに付いてしまう心配がない。いざという時に使えない! のが致命的な防災グッズとして、これはかなり重要なポイントと言えよう。

↑パッケージはそのまま密閉できる保存袋として使える。粘着のベタベタも気にせず携帯できるのだ

 

↑テープの上から、油性マーカーや鉛筆で書き込み可能。被災時は伝言を書いて貼っておくなどするといい

 

もちろん、防災用としてだけでなく、名前通りアウトドア……キャンプや登山用としても、携帯しておくと便利。テントやシュラフの穴をふさいだり、汚れた衣服を圧縮パッキングしたり、などなど使えるケースは多いのだ。

 

なにより、グラム単位で荷物を軽くしたい登山行において、コンパクト&軽量さは圧倒的な正義だ。

 

↑我が家の防災袋にもすでに備えてある。粘着テープはアレコレ応用が利くので、邪魔にならないなら持っていて損はないのだ

 

それ以前に、ここまでコンパクトならば、オフィスデスクの引き出しとか家庭のリビングとか、もうどこにでも置けるし、見た目にも邪魔じゃない。ただ、価格的にはいささか普段使いはしづらいので、やっぱり「いざというときにあって助かる」系のツールだとは思うのだが。

 

 

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