【紅葉撮影の超実践!!】紅葉を見かけたらコレを思い出すべし! 4つの実例でポイントをマルッと解説

2017年の紅葉シーズンがやってきた。今年こそ、一眼カメラできれいな紅葉を撮ろうではないか! ここまで、紅葉撮影に必要な機材とカメラ設定、そして最適な天候&光、露出の選択を紹介してきた。最後は4つの実例を見ながら、ここまで学んできたことをトータル的に解説する。

↑「これで万全! 風景写真家が教える、紅葉を鮮やかに撮る方法-機材&カメラ設定編-」、「-天候&露出編-」はコチラ

 

【実践1】

紅葉を前景に取り入れて、彩りと奥行きを出す

↑焦点距離26ミリ 絞り優先オート(F16 1/40秒) ISO200 WB:晴天↑焦点距離26ミリ 絞り優先オート(F16 1/40秒) ISO200 WB:晴天

 

形のよい山容を生かしつつ、ナナカマドを入れて秋の湖水風景として撮影した。赤く色づいたナナカマドを前景に捉えることで、紅葉の彩りが強くなるだけでなく、風景としての奥行きや広がりが生まれる。

 

このように広角レンズで広い風景を撮影するときは、手前のモチーフに近づくことが重要だ。モチーフに近づいて大きく見せると、画面に核となるポイントを作ることができ、作品の存在感が増す。この場所でナナカマドを入れずに撮影すると、下の写真のように平面的、かつ単調な写真になってしまう。

↑山と紅葉をシンメトリー構図で捉えたが、平面的で単調な印象である。シンメトリーが生きるほどの造形美はなく、何かポイントになるものが欲しい↑山と紅葉をシンメトリー構図で捉えたが、平面的で単調な印象である。シンメトリーが生きるほどの造形美はなく、何かポイントになるものがほしい

 

さらに、このとき山のピークを画面の右に配置し、ナナカマドを左側に見せることで、画面内でモチーフが片寄らないようにフレーミングしている。山とナナカマドが左右にバランスよく見えるポジション選びも欠かせない。

 

もし水面を生かしてシンメトリー構図を作りたいなら、広角ではなく望遠レンズで切り取るといい。広角で広く撮ると、木々のひとつひとつが小さくなって平面的になりがちだが、望遠なら映り込んだ木々の造形美を生かせる。

 

【実践2】

ホワイトバランス「曇天」とプラス1補正で、明るく鮮やかな紅葉写真に

↑焦点距離20ミリ 絞り優先オート(F8 1/2.5秒) プラス1補正 ISO200 WB:曇天↑焦点距離20ミリ 絞り優先オート(F8 1/2.5秒) プラス1補正 ISO200 WB:曇天

 

紅葉の色を狙いどおりに引き出すには、ホワイトバランス(WB)の設定が重要だ。紅葉撮影では、WB「オート」にすると色が濁ったり、色味が片寄ったりするので注意したい。WB「太陽光(晴天)」にすることで、紅葉の自然な色味を引き出せる。

 

ただし、「太陽光」モードは現場の光を反映させられる設定がゆえに、曇天や雨天時には青みがかって、紅葉の色が弱くなってしまうことがある。それが曇天や雨天らしさとなればよいのだが、紅葉の色をストレートに引き出したいときには不向きである。ここでは、曇天や雨天時に紅葉の暖かみのある色を生かすために、「曇天」モードにして撮影した。

 

さらに、曇り空を背景に見上げて紅葉を撮影しているので、明るい曇り空の影響によって露出がアンダーにならないよう、プラス1補正している。また、薄暗い森のなかでシャッター速度が遅くなると判断し、三脚を使用。これらの設定と準備によって、曇天だったがシャープかつ、華やかな黄葉の色彩を捉えることができた。

↑こちらは、WB「晴天」で補正なし(±0)で撮影したもの。曇り空に影響されて黄葉は暗く沈み、WB「晴天」なので曇天特有の青みがのってしまっている↑こちらは、WB「晴天」で補正なし(±0)で撮影したもの。曇り空に影響されて黄葉は暗く沈み、WB「晴天」なので曇天特有の青みがのってしまっている

 

【実践3】

空と紅葉の露出差を埋めて、空の階調を引き出す

↑焦点距離38ミリ 絞り優先オート(F16 1/2.5秒) マイナス0.3補正 ISO100 WB:晴天↑焦点距離38ミリ 絞り優先オート(F16 1/2.5秒) マイナス0.3補正 ISO100 WB:晴天

 

朝日・夕日に染まる紅葉は光による効果が加わってドラマチックだ。順光や斜光を受ける紅葉は比較的均一な光なので問題ないが、朝焼けや夕空を背景にした逆光の場合は、明暗差が大きいので撮影が難しい。

 

紅葉に対して背景の朝焼け空(または夕空)のほうが明るいため、紅葉に露出を合わせれば空は露出オーバーになり、空に露出を合わせれば紅葉が露出アンダーになってしまう。このように明暗差が大きいと、階調補正機能だけでは対応できない。

 

大きな明暗差がある場面では、上部がND(光量のみを少なくするフィルター)、下部が透明になっているハーフNDフィルター(下写真)が役に立つ。NDと透明部の境界がグラデーションになっており、境目が目立ちづらいソフトタイプと呼ばれるものがおすすめだ。ND部が朝焼け空に重なるように位置を調整して撮影すれば、上の写真のように朝焼け空と紅葉をどちらも自然な明るさで仕上げられる。

↑ハーフNDフィルターを上下させて、空と紅葉の境目にハーフNDのグラデーション部分がくるように調整する。位置が悪いと不自然な濃淡ができてしまうので要注意↑ハーフNDフィルターを上下させて、空と紅葉の境目にハーフNDのグラデーション部分がくるように調整する。位置が悪いと不自然な濃淡ができてしまうので要注意

 

【実践4】

紅葉のライトアップは、三脚を使って低感度で撮る

↑焦点距離22ミリ 絞り優先オート(F8 2秒) ISO400 WB:5000K↑焦点距離22ミリ 絞り優先オート(F8 2秒) ISO400 WB:5000K

 

紅葉のライトアップは昼間とは違った幻想的な美しさがある。ISO800前後に感度アップしても、シャッター速度は数秒から10秒近くになってしまうので、ブレを防ぐための三脚とレリーズは欠かせない。

 

無風状態なら望遠レンズでアップにすることも可能だが、広角や標準レンズで風景的に狙ったり、上の写真のようにシルエットになった紅葉の樹形を生かしたりするような撮り方がおすすめだ。

 

空が美しい青色に染まる薄暮の時間帯が、紅葉ライトアップ撮影のベストタイムである。日没後30分から1時間が目安だ。この時間帯は闇夜の漆黒の空とは違って、紅葉ライトアップを爽やかなイメージに仕上げられるという魅力がある。

 

この際、強い光源があると露出がアンダーになりやすいので、露出を何段階かばらして撮影しておくとよいだろう。周囲が暗く、背面モニターが通常よりも明るく見えるため、モニターで適正露出と思っても、実際にはアンダーということもあるのだ。

 

【紅葉シーズン到来!】紅葉で「曇り」だったらどうする? 天候別・キレイな紅葉の撮り方

2017年の紅葉シーズンがやってきた。今年こそ、一眼カメラできれいな紅葉を撮ろうではないか! こちらの記事で紅葉撮影に必要な機材とカメラの設定をチェックしたら、次は最適な天候と光線状態、そして露出の選択を紹介しよう。天候や光によって、狙い方や露出の選択は変わってくる。

↑「これで万全! 風景写真家が教える、紅葉を鮮やかに撮る方法とは?-機材&カメラ設定編-」はコチラ

 

【天候&光①】晴天時は光線状態の見極めが大事

紅葉の鮮やかさを狙うなら、光の効果で輝きが増す晴天がベスト。ただし、晴天時は光線状態によって紅葉の見え方は変わるので、その見極めが大事だ。

 

太陽を背にした順光は、被写体に影が出にくく、平面的になりやすいので、あまり紅葉撮影には適さない。広い風景を狙うなら、適度な影によって立体感が出る斜光やサイド光が最適だ。サイド光では紅葉の色が艶やかになり、PLフィルターを使うと深みのある青空も表現できる。

↑サイドからの光によって、山の斜面に陰影ができている。サイド光は平面の写真で風景を立体的に描き出せるため、広い風景を撮るのに適した光だ↑サイドからの光によって、山の斜面に陰影ができている。サイド光は平面の写真で風景を立体的に描き出せるため、広い風景を撮るのに適した光だ

 

太陽を正面にした逆光は、透過光により紅葉の鮮やかな色を引き出せ、紅葉をアップで狙うのに適している。この際、紅葉を画面いっぱいに捉えるならプラス補正、暗い背景が多ければマイナス補正が必要になる。

 

逆光時は、レンズに直接太陽光が当たることでゴーストが出やすいので要注意。フードだけでは防ぎきれないときは、厚紙などを利用してレンズに当たる不要な光をカットすることで、クリアな紅葉写真に仕上げることができる。

↑逆光を受けた紅葉の鮮やかな色を狙う。日陰の背景を選ぶことで明暗のメリハリが生まれ、紅葉が引き立ち、インパクトのある姿で捉えられた↑逆光を受けた紅葉の鮮やかな色を狙う。日陰の背景を選ぶことで明暗のメリハリが生まれ、紅葉が引き立ち、インパクトのある姿で捉えられた

 

【天候&光②】曇天時は空をフレームアウトしよう

曇天時は、晴天時のような強い影が出ないので、紅葉本来の色を引き出しやすい。鮮やかさはないが、紅葉が持つ繊細な色あいを表現できる。

 

これを生かすには、曇り空を画面に入れないこと。白い空を入れてしまうと、その空間によって間の抜けた印象になってしまう。曇天時は広い風景として撮ることは諦めて、やわらかな光を生かして切り取りやクローズアップに徹しよう。

↑曇天の拡散光により、強い影が出ることなく、カエデの優しい質感を捉えることができた。紅葉といっても橙、緑、黄など、赤以外にもさまざまな色を持っていることが伝わってくる↑曇天の拡散光により、強い影が出ることなく、カエデの優しい質感を捉えることができた。紅葉といっても橙、緑、黄など、赤以外にもさまざまな色を持っていることが伝わってくる

 

【天候&光③】雨天時はPLフィルターでテカリを取り除く

雨天時は、葉が雨にぬれることで紅葉の艶やかさが一段と映えるようになる。しかし、曇天時以上にテカリが強く、白っぽく写りがち。PLフィルターでテカリを取り除くことで、深みのある色を引き出そう。

 

アップめに捉えることで水滴を生かし、雨らしさを引き出すのもおすすめだ。雨天時の撮影は億劫になりがちだが、独自性を出せるチャンス。三脚に傘を取り付けるホルダーなどを活用すると、比較的快適に撮影できる。

↑雨にぬれたカエデを200ミリ相当の望遠レンズで切り取る。PLフィルターを使うことで、艶やかな赤色を捉えられた↑雨にぬれたカエデを200ミリ相当の望遠レンズで切り取る。PLフィルターを使うことで、艶やかな赤色を捉えられた

 

【露出】紅葉の深みを出すときはマイナス補正、空が背景になるときはプラス補正をする

特に曇天時の紅葉は、露出補正なしで撮ると色が浅くなりがちだ。マイナス補正すると全体の濃度が上がり、色の深みを引き出すことができる。この際、マイナス0.3~0.7補正ぐらいを目安とするとよいだろう。

 

これは赤色の紅葉に有効な方法ではあるが、イチョウなどの黄葉ではマイナス補正で濁りが出やすくなるので不適である。黄葉の場合はプラス補正で華やかに仕上げるのがよく似合う

 

また晴天時の逆光で、背景が暗い場合もマイナス補正が必要になるシーンだ。背景が暗いと露出計が暗い被写体と判断するため、露出補正をしないと紅葉が露出オーバーになってしまう。

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↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はマイナス0.7補正したもの。補正なしだと紅葉の色が出ておらず、浅い橙色だ。マイナス0.7補正すると深みのある橙色に仕上げることができた↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はマイナス0.7補正したもの。補正なしだと紅葉の色が出ておらず、浅い橙色だ。マイナス0.7補正すると深みのある橙色に仕上げることができる

 

天候に関わらず、空を背景に紅葉を撮影するときは、露出がアンダーになりやすいのでプラス補正が必要だ。青空を背景にしたときは補正なしで適正になることもあるが、多くの場合、プラス補正すると明るく爽やかな雰囲気を引き出せる。必要な補正量はプラス0.3~0.7補正程度なので大きな失敗をすることは少なく、RAW現像でも対応できる。

 

そして特に注意したいのが、曇り空を背景にして紅葉を見上げるように撮影するときだ。曇り空は見た目には暗いが、紅葉との明暗差は大きく、露出補正をしないと紅葉がかなりアンダーになってしまう。プラス1程度の補正ではなく、プラス2~3補正が必要になることもあるので、撮影後のモニターチェックは欠かせない。

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↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はプラス1.3補正したもの。曇り空を背景にしてブナの黄葉を撮影すると、補正なしではかなり暗く写ってしまった。プラス1.3補正すると明るく爽やかになった↑上の写真は露出補正をしていない、「±0」の状態。下の写真はプラス1.3補正したもの。曇り空を背景にしてブナの黄葉を撮影すると、補正なしではかなり暗く写ってしまった。プラス1.3補正すると明るく爽やかになる

 

紅葉撮影における最適な天候&光と、露出の選択はわかっただろうか。次回は、ここまで学んできたことをトータル的に解説する実践編だ。より紅葉が映える構図や紅葉ライトアップなどの撮り方を紹介する。

 

【最終回答】プロ直伝「紅葉を鮮やかに撮る」機材&カメラ設定の超基本

2017年の紅葉シーズンがやってきた。今年こそ、一眼カメラできれいな紅葉を撮ろうではないか! 撮影に出掛ける前に、まずは必要な機材とカメラの設定をチェックしよう。

↑曇天なら、深い色の紅葉が狙える↑曇天なら、深い色の紅葉が狙える

 

【機材】軽装備でも撮影は可能だが、PLフィルターは必需品

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紅葉撮影の初心者なら、まずは一眼カメラと標準ズームレンズ1本を用意しよう。標準ズームの画角は肉眼で見たときの視野に近いため、神社仏閣や庭園、公園などの箱庭的な紅葉風景を、目で見たときの印象に近く捉えることができる。また、比較的コンパクトな製品が多いので、登山や旅行に持っていくのにもおすすめだ。

 

山岳エリアなど広々とした紅葉風景を狙うには、広角レンズと望遠レンズが欲しくなる。広角レンズは広がりや遠近感を生かした撮影を楽しめるが、あれもこれもと欲張ってフレーミングすると散漫になりやすい。主役となる紅葉に近づいて、大きく捉えることを意識しよう。

 

遠くのものを引き寄せられる望遠レンズは、紅葉の迫力ある姿を捉えるのに有効だ。紅葉の樹形を生かしたり、鮮やかな部分を切り取ったりすることができる。

↑妙義山の岩峰を背景にして、紅葉したカエデを広角レンズで見上げるアングルで撮影。広い画角により、空や木々の広がりが生きている↑妙義山の岩峰を背景にして、紅葉したカエデを超広角レンズ(17ミリ相当)で見上げるアングルで撮影。広い画角により、空や木々の広がりが生きている

 

↑逆光線に輝くカラマツを望遠レンズで切り取る。望遠レンズの圧縮効果によって背景の山並みが引き寄せられ、黄葉の木々のボリューム感も出せた↑逆光線に輝くカラマツを、望遠ズームレンズの135ミリ相当で切り取る。望遠レンズの圧縮効果によって背景の山並みが引き寄せられ、黄葉の木々のボリューム感も出せた

 

紅葉についた水滴や霜をまとって色づいた落葉などをアップにするならマクロレンズの出番。しかし、軽装で出掛けたいのであれば、これは省いてもいいだろう。マクロレンズはステップアップのつもりで挑戦してみてほしい。

 

そして、紅葉の鮮やかさや青空の深さを引き出すのに欠かせないのがPLフィルターである。紅葉の表面反射を取り除くことで、紅葉の深みのある色を表現できる。曇天や雨天時にも白い空を映して紅葉は白くテカリがちなので、晴天時以外でも積極的に使用したい。その際は、ファインダーをのぞきながらフィルター枠を回転させ、効果を調整しながら使うこと。

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↑上はPLフィルター未使用、下は使用した写真。PLフィルターを使うことで青空に深みが増しただけでなく、紅葉の鮮やかさもアップしている↑上はPLフィルター未使用、下は使用した写真。PLフィルターを使うことで紅葉の鮮やかさがアップした

 

晴天時の紅葉は光も強くて、手持ち撮影でも対応できるが、曇天や雨天時は暗くなりがちなので三脚が欲しい。PCで画面全体を見ていると問題なくても、拡大してみるとブレやピンボケに気づくことは多い。特に朝夕やライトアップ下の撮影では、ブレを防ぐための三脚とレリーズは必須だ。

 

【カメラ設定】鮮やかな色、繊細な描写を引き出す設定にしよう

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紅葉撮影では絞り優先オートで絞りの効果を生かすとよいだろう。葉のアップなどでボケを生かすなら絞りF2.8~5.6、広大な景色の前景から背景までシャープに捉えるならF8~16程度まで絞り込みたい。

 

手持ち撮影では手ブレが心配だが、1/125秒以上のシャッター速度ならひとまず安心だ。ただし、望遠レンズは手ブレしやすいので、できれば三脚を使いたい。三脚使用時は一眼ならではの最高画質を得られるISO100やISO200にセットし、手持ちならISO400やISO800に感度を上げてシャッター速度を稼ぐといい。

 

ホワイトバランス(WB)は「太陽光(晴天)」モードにして、現場の色や光など臨場感を引き出す。日中の自然な色合いだけでなく、朝夕の赤い光や日陰の青みを帯びた色など、光の効果を生かせる。ただ曇天や雨天時に紅葉の色が青みを帯びてしまうときは、「曇天」モードで暖かみのある色調にしよう。

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↑上はWB「太陽光(晴天)」、下はWB「曇天」で撮影。曇りの日はWB「太陽光(晴天)」で撮るとやや青みを帯びた色合いになりやすい。そこで、WB「曇天」にして撮影。黄葉の深みのある黄色を出すことができた↑上はWB「太陽光(晴天)」、下はWB「曇天」で撮影。曇りの日はWB「太陽光(晴天)」で撮るとやや青みを帯びた色合いになりやすい。WB「曇天」にして撮影すると、黄葉の深みのある黄色を引き出すことができる

 

仕上がり設定は、適度なコントラストと鮮やかさでメリハリのある描写となる「風景」モードがおすすめだ。ただし、紅葉をアップにすると鮮やかすぎることも多いため、そうした場合は「スタンダード」や「ニュートラル」で優しい色合いと滑らかな階調を捉えたい。

 

さらに、空が白とびしたり、影になった紅葉がつぶれて黒くなったりしてしまうのを防ぐために、階調補正機能は通常「オート」にしておこう。明暗差が強すぎる逆光シーンなどでは、「強め」や「より強め」に変更するようにしたい。

 

ピント合わせは、パンフォーカス撮影なら画面の中央付近にピントを合わせて絞り込めばよいが、紅葉をアップにするときは主役の紅葉にしっかりとピントを合わること。設定は、ピンポイントに測距点を選べる「1点AF」と、静止した被写体を撮るのに向く「AF-S(シングルAF)」がベターだ。

↑WB「太陽光(晴天)」で、色濁りのない青空と目で見たイメージに近い紅葉の色を捉える。仕上がり設定は「風景」モードにして、紅葉の鮮やかさを引き出した。↑WB「太陽光(晴天)」で、色濁りのない青空と目で見たイメージに近い紅葉の色を捉える。仕上がり設定は「風景」モードにして、紅葉の鮮やかさを引き出した

 

紅葉撮影における機材とカメラ設定がわかったところで、次回は最適な天候&光と露出を解説する。