私は英語が苦手だ。言いたいこと、言わなければならないことをまず日本語にして、それを頭の中で英語に直訳してから話しはじめるので、英語の第一声までに時間がかかる。外国人の相手はその間にジーッとこちらを見つめているので、ますます緊張して、頭の中はこんがらかるばかり。で、相手にうまく自分の意思を伝えることができず、落ち込む……。海外旅行ではいつもこんな失敗の繰り返しなのだ。
『絵で見てパッと言う英会話SELECT 海外旅行編』(Nobu Yamada・著、Kajio・イラスト/学研プラス・刊)は、英語をイチから学び直す時間はないけれどこの状況を打開したいという私のような人にピッタリのテキストだ。
GWに海外へ出掛けるという方にぜひおすすめで、出発直前の今からでもマスター可能な簡単な英語のフレーズばかりを集めている。

英語は「自分の気持ち」が出発点
英語教師であるこの本の著者によると、英語が伸びる生徒、伸び悩んでしまう生徒の違いは「気持ち」にあるそうだ。
英語は常に「自分の気持ち」が出発点だということです。湧き出る気持ちを相手に伝えるために、文法や単語を駆使するのです。また、伝えたい気持ちがあるから、どんどん新しい表現も身につくのです。日本のこれまでの英語教育で、使える英語がなかなか身につかなかったのは、英語をあまりにもドライに扱ってきたからかもしれません。与えられた問題を解くため、受験に合格するための英語であり、「自分の言いたいことを言う」「相手とつながる」ための英語だという意識を忘れがちではなかったでしょうか。
(『絵で見てパッと言う英会話SELECT 海外旅行編』から引用)
本書の最大の特徴は「1人称視点のイラストを見ながら、言いたいことを言うトレーニング」ができること。旅先でも、イラストの場面を思い出し、自分の中に湧き起こる気持ちに注目して、その気持ちを声にする。そうれば、おのずと相手に通じる英語が話せるという。
“自然な日本語”と“自然な英語”は違う
日本語のフレーズを一言一句直訳しようと思ってもうまくはいかない。そもそもそれぞれの言語の自然さにはズレがあるからだ。たとえば店の閉店時間を尋ねるとき、日本語では「何時までやっていますか?」が自然だが、これが英語では「あなた方は何時に閉店しますか?」が自然なのだ。
本書イラストのふきだしの日本語は、口語体で、主語などが不完全なものにあえてしてある。その理由は、
「状況を読み取って、自分の力でその場面に応じた主語や動詞を選び、自然な英文を組み立てる」スキルの育成です。「自然な日本語」と「自然な英語」との発想の違いや、「えっ!? こんなに簡単な言い方でいいんだ!」という発見を楽しんでください。
(『絵で見てパッと言う英会話SELECT 海外旅行編』から引用)
では、さっそく、旅先でのいくつかの場面で”使える英会話”をのぞいてみよう!
「Please give me……」は丁寧ではない
たとえば飛行機内で、客室乗務員から「Would you like something to drink?(お飲み物はいかがですか?)」と聞かれたとき、日本人の多くは丁寧なつもりで「Please give me」を使う。が、プリーズをつけても命令文はぶしつけに聞こえる場合があるそうだ。
この場合、自然でさわやかな表現は「Can I have~?」という疑問文にすること。
「氷を入れたオレンジジュースをください」と言いたければ、「Can I have orange juice with ice?」がベスト。
行き方や道順を尋ねる定番フレーズ
旅先で何度となく使える英語のフレーズを暗記しておきたい。行き先や目的地の名前を変えるだけで、空港、駅、街中などいたるところで使える会話だ。「○○にはどう行けばいいですか?」と尋ねるには、「Could you tell me how to get to ○○?」を使おう。
店に入るときは一声かけて
外国の場合は、黙って店に入り、黙って商品に触り、黙って出てくることは避けたい。お店では、一声かけてから商品に触るのがマナーだ。「これ、ちょっと見せてもらっていいですか?」と伝えたいなら、「Can I take a look at this?」と言う。
take a lookは「ちょっと見る」というニュアンスだ。また、店で「May I help you?」などと店員から声をかけられたときは、そっけなく聞こえないように「thank you」を添えるのがいいそうだ。「大丈夫、見ているだけです」と応えたいなら、「No,thank you.I’m just looking」と言おう。
「瞬発力」を意識
本書では、機内、空港、タクシー、電車、バス、レンタカー、ホテル、カフェ・軽食、レストラン、観光案内所、両替・郵便局、美術館・博物館、観劇・観戦、など、ありとあらゆるシーンでの英会話がひとつひとつイラスト付きで紹介されている。
上記の例を見ても、解説されれば、どれもこれも、よく知っている英語ばかりだから簡単にマスターできそうだ。
日本文を見つめながら考え込んでしまってはいけません。「瞬発力」を意識して、とにかくパッと言えるようになるまで繰り返し練習をしてください
(『絵で見てパッと言う英会話SELECT 海外旅行編』から引用)
表現の基本パターンが自分のものになってしまえば、本に収録されていない場面でもスイスイ応用ができるようになるそうだ。
さぁ、「自分の気持ち」を伝える旅に出発しよう!」
【書籍紹介】

絵で見てパッと言う英会話SELECT 海外旅行編
著者:Nobu Yamada(著)、Kajio(絵)
発行:学研プラス
自分でビデオカメラを持っているような一人称視点のイラストを見て、場面に合った簡単な英文をパッと組み立てる新しい英会話トレーニング。海外旅行のリアルなシミュレーションができる。160のよく使うシーンを厳選した,文庫サイズのポケット版。
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