真っ白+ピカピカで配信映え! 手軽に「白いPC」を構築できるリーズナブルなPCパーツ

近年では、自作PCも「動画配信映え」重視など、PCの外観自体にインテリアとの調和を持ったデザイン性を求める傾向があるようで、特に白色が人気だそうです。

 

しかし、白いPCパーツは割高な製品が多く、製品も市場に少ないことから「白いPCを組むのは“敷居が高い”かも……」と二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回紹介するのは、真っ白+光る“映えPC”を手軽に構築できる、リーズナブルなPCパーツ3種類! 外観に大きく影響するケース・水冷CPUクーラー・ケースファンを、オウルテックはリーズナブルな価格で提供しています。

 

拡張性に優れたE-ATX対応ミドルタワーPCケース「OWL-PC4303-WH」は、USBポート内部や装着済みのケースファンなど、細部にまで「白」にこだわったPCケース。

 

これまで、市販されている白色PCケースは、ケース単体でのデザイン上のアクセントとして外観に他の色を使用した箇所があったり、内部部品などで黒色の部品が目立つものが多くありました。しかし、OWL-PC4303-WHは、全てとはいきませんが目に付く範囲では極力白以外の色を排除。ユーザーごとの個性を演出しやすいPCケースとして仕上げています。税込価格は1万5800円。

 

「PCケースには12cmのファンを最大12個搭載可能です。ARGBファンを12個連結することで、すべて連動させることができます。PCケース内部は本体サイズの割にかなり余裕があるので、パーツ組み込みの自由度が高いです。工夫次第ではデュアル水冷構成も可能かもしれません」(オウルテック担当者)

 

360mmラジエーター搭載簡易水冷CPUクーラー「OWL-LCP360ARGB-WH」は、水冷CPUクーラーでは多ファン構成でありがちなケーブル配線地獄を、できるだけシンプルかつ小労力にできるよう、ファンはケーブル同士で数珠繋ぎできるデイジーチェーン方式を採用。分岐ケーブルを一切使わずに、すっきり配線できます。税込価格は2万1580円。

 

「水冷クーラーの説明書は、なるべくわかりやすく図を多めにして、丁寧に作りました。自作PC初心者の方や初めて水冷クーラーを使う方も、この説明書があれば安心して組み立てられるはずです。本製品はAMD新ソケットのAM5にも対応していますが、リリース直前でAM5に非対応であることが発覚したときは、脳が破壊されそうでした(笑)」(オウルテック担当者)

 

ARGB PWM対応 120mm PCケースファン「OWL-FP1225ARGB-WH」は、光る箇所の統一感を出すため、水冷CPUクーラーに付属したARGB(アドレサブルRGB)仕様のファンと同一のものを単品で用意。ARGBなので、PCなどの設定で好みの色やパターンを鮮やかに光らせることができます。デイジーチェーン接続可能。税込価格は2580円。

 

 

YouTubeなどの動画配信映えだけでなく、InstagramやTwitterといった「SNS映え」効果も期待できそうな、白いPC。洗練されたオールホワイトで、気持ちも引き締まり、PCを使った作業の効率もアップするかも!?

派手さはないけどしっかりと仕事をこなす! 質実剛健な高性能空冷デュアルファンCPUクーラー「OWL-CPUC03」

昨今のハイエンドCPUは高消費電力化が進み、簡易水冷CPUクーラーの使用を前提とした風潮が見られます。しかし、簡易水冷CPUクーラーはラジエーターの取り付けがあるので、比較的新しいPCケースや、ある程度大きいPCケースでないと、ラジエーターの取り付けができないなどのデメリットがあります。

 

そこで今回は、そんな最新の高性能CPUを、新しいPCケースを用意しなくても使用できるような汎用性が魅力の、空冷CPUクーラーを紹介します。

 

オウルテックから発売中の「OWL-CPUC03」は、120mmデュアルファンのツインタワー型で7本のヒートパイプを配置した、高性能空冷デュアルファンCPUクーラー。税込価格は1万4280円。日本語の取扱説明書を添付するなど、初心者から上級者まで手軽に扱えるような配慮も施されています。

 

日本語の説明書は、新しいCPUソケットのIntel LGA1700やAMD AM5の取り付けにも対応。パッケージも日本語で、重要部のクリアランスや、取り付け・組み立てに役立つ情報も盛り込まれています。

 

「底面については、ヒートパイプとCPUが直接触れるダイレクトタッチ方式(OWL-SC200V2)と、ヒートパイプとCPUの間に鉄板を挟むベースプレート方式の2種があります。ヒートパイプを7本採用している本製品は、そのすべてに効率よく熱を伝えるため、ベースプレート方式を採用しております。ヒートパイプが7本の場合、CPUの面積より太くなってしまうため、ベースプレートの方が効率よく冷えることが、開発でわかりました」(オウルテック担当者)

 

試行錯誤の繰り返しで生まれた、こだわりの空冷CPUクーラー。派手さはないもののしっかりと仕事はする、質実剛健な空冷クーラーです。

 

【ギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

「これが出てから、ほかのCPUをおすすめできなくなった」プロが語る、自作PCパーツの最新トレンド

PCパーツの入れ替えや変更により長く使えたり、大人のプラモデル感覚で楽しめたりと、魅力の多い自作PC。これを始めるうえで、いま旬のPCパーツにはどんな製品があるのでしょうか。秋葉原の中央通り沿いで存在感を発揮するPCパーツショップ・TSUKUMO eX.の紅谷さんに、店内を案内してもらいながら、売れ筋のPCパーツやおすすめの構成について聞いてみました。

 

なお本企画は、既製品にはない自作PCならではの魅力、いまのトレンドやパーツの選び方、PCを初めて自作する人が注意すべきポイントなど解説する、3本立ての記事で構成されており、本記事は3本目にあたります。

 

これまでの記事をまだお読みでない人は、ぜひそちらもご覧ください。

関連記事:あえてPCを自作する理由。”大人のプラモデル”としての自作PCの魅力に迫る

関連記事:実はいまメモリーが爆安!? 自作PCのパーツの選び方をプロに聞いてきた

 

↑TSUKUMO eX.の店舗ビル。黒一色の外装デザインは、まるでデスクトップPCのケースのよう

 

眩い光を放ちながらズラリと並ぶケースに心惹かれる

紅谷さんがまず案内してくれたのが6階のケース売り場です。PCの外装を決めるケースはシンプルなものはもちろん、スケルトンでケース内部の様子が見えるもの、メカニックな装飾が施されたものなど、多種多様なものがズラリと並んでいます。これを自室に置いたら映えるだろうなあ、などと考えていたら物欲が刺激されてたまりません。

↑売り場に陳列されたケース。内部に光源が仕込まれたものも多数あり、売れ筋です

 

↑大型のケースが多く並ぶなか、かわいらしいサイズ&形状のものも

 

↑売り場に立つスタッフの紅谷さん。曰く「これほどの数のケースを展示販売しているのはおそらくウチだけ」

 

↑ケースに追加で取り付けるファンも販売されています。売り場の片隅では、LED内蔵のファンが光る様子をデモンストレーションしていました

 

「これが出てから、ほかをおすすめできなくなった」怪物コスパCPU

次に案内してもらったのが、CPUとマザーボードを販売する4階フロア。スタッフの紅谷さんが「これが出てから、ほかのCPUをおすすめできなくなった」と語るほど、高いコスパを誇るモデルを紹介してくれました。

 

それは2022年1月に登場した「インテル Core i5-12400F プロセッサー」。高性能コアと省エネコアを兼備し、効率よく演算できる本品は、2万4800円(税込、2月8日取材時点)という価格設定ながら、ライバルメーカー・AMDの3万円台の製品に引けを取らない能力を秘めています。

 

「ほとんどのゲームは、インテル Core i5-12400F プロセッサーでストレスなく遊べます。いま、若いお客様のなかに10万円台でゲーミングPCを作りたいというニーズが増えていて、そういう方に向けておすすめしているのがこのCPUです。ただし、動画編集をされる場合はさらに高いCPU性能が要求されるので、より高性能な『インテル Core i5-12600KF プロセッサー』などをおすすめしています」(紅谷さん)

↑CPUの販売フロアに掲示されている、インテル製CPUの価格表。中央にインテル Core i5-12400F プロセッサーの表示があります。なお、このCPUはグラフィック機能を内蔵していないので、別途GPUを購入するのが必須になります

 

CPUなどのPCパーツは、日々新しい製品が世に出ています。なので、インテル Core i5-12400F プロセッサーがコスパの頂点に立っている時期はいつまで続くかわかりません。新しい製品が世に出るたびにコスパの優劣が変動するため、PCを自作しようと決めたらまずは店頭に足を運んで、その時々のトレンドをチェックするのがおすすめです。

↑AMDのハイスペックCPUには10万円オーバーの品も。AMDは、コア数の多いシリーズをラインナップしているのが特徴

 

マザーボードにも、プロおすすめの鉄板モデルが

CPUの隣で販売されていたのがマザーボード。小さなCPUとは異なり、デザインにこだわって選ぶことも多いマザーボードは、現物がディスプレイされています。

↑高価なPCパーツの箱がうずたかく積まれているのはショップならではです

 

↑黒や白を基調にしたモデルを中心にラインナップ。なかにはマザーボード自体が光る機能を搭載したものもあります

 

そのなかでも、紅谷さんが「特別なこだわりがない限り、これを選んでおけば困らない」と語るのがASUSの「PRIME B660-PLUS D4」。HDMI、DisplayPortなどの映像出力端子のほか、USB Type-Cを含む数多くのUSB端子、最大128GB搭載に対応したメモリースロット、SSDの高速読み書きが可能なM.2ソケットを3つ備えるなど、万能さが光るマザーボードです。

↑PRIME B660-PLUS D4のパッケージ。店頭では、スペックが表で一覧化されているので、スペックの比較検討が容易です

 

「PRIME B660-PLUS D4は、LED内蔵パーツの光り方をカスタマイズできる機能も備えていて、PCを光らせたい人のニーズにも応えてくれます。Thunderboltなど、本品が搭載していない特定の規格の端子がどうしても必要というわけでなければ、これを採用して困るパターンはほとんどないと思います。まさに”無難”といえる構成になっているので、自作初心者の方には特におすすめです」(紅谷さん)

 

メモリーやSSDの売り場の”PCパーツショップ名物”とは?

続いて、紅谷さんが「もはやPCパーツショップ名物ですよね」と語るのが、メモリーやSSDの売り場にある価格表です。細かい文字がひしめくそのさまは、初めてショップを訪れたユーザーを驚かせます。既製品のPCには何気なく積まれているメモリーやSSDにも、自作となれば多くの選択肢があります。

↑一口にメモリーといっても、メーカーや容量、性能差、発光するしないなど、千差万別。デスクトップ用のほかに、ノートパソコン用のメモリーも販売されています

 

↑自発光するメモリーのディスプレイ。価格は発光しないメモリーの2倍弱と高額になります

 

紅谷さんによれば、「いま、メモリーの価格は2年前の約半分ほどに落ちている」のだそう(2月8日取材時点)。製品にもよりますが、3万円未満で16GB×2枚のメモリーを買えるので、予算に余裕がある場合は優先して積み増したいPCパーツです。

 

メモリー以上に価格表の存在感が大きいのが、SSD・HDDの売り場です。基本的に、容量に比して価格が高くなっていきますが、日頃からデータの読み書きを多くするユーザーなら、容量以外にも耐久性をチェックしておいた方が良いそう。

 

耐久性は「最大〇〇TBW」という表記で表されており、「最大で〇〇TBの読み書きが可能」という意味になります。この数字が大きいほど、繰り返しの大容量読み書きに耐えられるというわけです。大容量の動画を日常的に撮影する人などは、耐久性の項目にも注目してSSDを選んでみましょう。

↑SSD・HDDの価格表。写真の枠に収めるのが大変なほど、多くの製品が並んでいます

 

↑SSDのパッケージに記された耐久性の表記。この数字は、価格表にも掲示されています

 

GPUよりもディスプレイの方が投資効率が良い!?

世界的な半導体不足のあおりで価格が高騰しているGPU。お金をかければかけるほど性能が高くなるのは事実ですが、紅谷さんは「高いGPUを買う前に、ディスプレイの性能をチェックしてください」と言います。

 

その理由は、10万円近くするGPUを買うよりも、2万円台のディスプレイを買うだけでPCのパフォーマンスを上げられる可能性があるから。GPUやディスプレイの性能を表す指標であるリフレッシュレートがその要因です。リフレッシュレートとは、1秒間に画面を切り替えられる回数を表しています。

 

現行のゲーミングディスプレイのリフレッシュレートは144Hzが一般的です。一方で、数年前のゲーミングディスプレイやゲーミング向けでないディスプレイには、144Hzに及ばないものも多くあります。

 

それを理解したうえで価格を見てみると、リフレッシュレートが144Hzに対応したディスプレイは2万円台でも十分手が届きますが、144Hzのリフレッシュレートで映像を表示できるグラフィック性能の高いGPUは10万円に迫る高価格。ディスプレイとGPUには大きな価格差があるので、GPUを高価なものにするのなら、その前にディスプレイを買うべきというわけです。

↑有名ゲーム「‎Apex Legends」プレイ時にリフレッシュレート144Hzを出せるGPUのなかでは、比較的安価なGeForce RTX 3060 Tiがあります。それでも9万4050円(税込)と高額です

 

↑ディスプレイ売り場を見てみると、リフレッシュレートが144Hz対応のモデルが2万円台から並んでいます。なかには240Hzに対応したものもありますが、それでも価格は4万円台です

 

GPUがリフレッシュレート・144Hzのグラフィック描画に対応していても、ディスプレイがその映像を映し出せなければ、せっかくの投資が腐ってしまいます。GPUの価格が高騰している一方でディスプレイの価格はそれほど上がっていないので、バランスを考えた投資が吉です。

 

「ゲームを快適にプレイするだけなら、GPUが144Hzのリフレッシュレート出力にこだわらなくても問題ありません。GeForce RTX 3060 Tiより2万円ほど安い7万5680円(税込)のGeForce RTX 3060でも、144Hzに近いリフレッシュレート出力は実現できますし、これでストレスを感じるゲーマーは少ないと思います。

 

ちなみに、動画編集の場合はゲーミングほどGPUにこだわる必要はありませんが、Adobe Premiereなどの動画編集ソフトではGPUに負担がかかるので、使用している動画編集ソフト次第では上位ランクのGPUを採用する価値があります」(紅谷さん)

↑高価なGPUの価格は30万円を超えています。GPUだけの価格で、ある程度のハイスペックマシンが1台組めてしまうほどのお値段です

 

↑GPU売り場に展示されているデモ機。ファンやメモリーに加え、GPUも発光しています

 

行くだけで物欲が刺激される魔境、初心者にとっては新たな世界が開ける

PCのヘビーユーザーなら、行くだけで楽しいのがPCパーツショップです。新しい相棒の構成を練ることは当然楽しいですし、いま使っているマシンの改造計画を考えるのも、実現するかはお財布と相談ながら妄想がはかどります。

 

最低限の知識こそ必要な自作PCの世界ですが、一度足を踏み入れてしまえば、いつも何気なく使っているPCが生活の相棒にグレードアップします。家で使用するPCの新調を考えている人は、ただ新品を買うのではなく、新しい世界へと足を踏み入れてはいかがでしょうか?

 

「興味を持ったら、まずは丸腰で構いませんから、ぜひショップを訪れてみてください。そして、“予算は○万円しかないけれど、〜ができるパソコンが欲しい!”などと、スタッフにワガママを言いましょう(笑)。もちろん限度はありますが、良いものができるように構成を考えます。予算を節約しながらでも、十分使えるマシンを作れることが多いですよ」(紅谷さん)

 

ちなみに、この取材を終えた筆者、現在使用しているPCの大幅改修をしたい衝動に駆られています。やはり、PCパーツショップは魔境です。

 

※価格のトレンドについては記事掲載時点のものです。今後の国際情勢などによって変動する場合があります

 

撮影/我妻 慶一、取材協力/TSUKUMO eX.

自作PCだけでなく、PS5にも使えます! オウルテックのM.2 SSD用ヒートシンクセット「OWL-SSDHS03PS」

自作PC初心者でもとっつきやすい工夫が施されている、オウルテックのPCパーツ。今回紹介するのは、M.2 SSD冷却用ヒートシンク、EXTREME COOL M2「OWL-SSDHS03PS」です。税込価格は580円。

 

同製品は、自作PCやプレイステーション5(以下PS5)でM.2 SSDを利用する際に、低価格かつ簡単に利用できる、M.2 2280 SSD用ヒートシンク、熱伝導シート、固定用シリコンゴムバンドのセット。ヒートシンクは、軽くて冷却性能が高いアルミ素材を採用しています。

 

「ヒートシンクの素材選定時には、アルミ素材、銅素材のサンプルを準備し、それぞれを実際にPS5に取り付け検証した結果、アルミ素材が最適という結果になりました。また、アルミ素材にしたことで低価格、軽量化もできました。また、シリコンゴムに、温度による変質が起こらないかも確認しています」(オウルテック担当者/以下同)

 

M.2 SSDに貼り付けると、熱を効率よく吸収・放熱し、サーマルスロットリング(熱による性能低下)などを抑制。ラベルを傷付けないように、両面粘着タイプの熱伝導シートが付属し、熱伝導シートとシリコンゴムバンドの併用でしっかりと固定できるので、効率良く熱を逃すことができます。

 

PS5にM.2 SSDを増設する場合、プレイステーション公式では冷却用ヒートシンクを取り付けるよう案内しており、ヒートシンクのサイズについてもプレイステーション公式から具体的な指定がありますが、問題なく利用できるように設計されています。

 

 

「この価格帯の製品は、型番とJANコードと一言程度の説明しかない製品が多いです。初心者ユーザーに、店頭で、これはどういう製品なのか、どういう使い方ができるものなのか理解してもらえるように、パッケージの内容を工夫したところ、結果的に販売価格に見合わない内容になってしまいました」

 

パッケージからも自作PC初心者への優しさを感じられる、オウルテックの“想い”が込められた製品といえるでしょう。

実はいまメモリーが爆安!? 自作PCのパーツの選び方をプロに聞いてみた

大人のプラモデルとして楽しめるほか、自分好みの1台を作ることができることから、eSportsプレイヤーやクリエイターなど、PCのヘビーユーザーから根強い支持を集めている自作PC。深い魅力を持っているその世界ですが、一方で初心者にとってはハードルが高いのも事実です。

 

そこで今回は、既製品にはない自作PCならではの魅力、いまのトレンドやPCパーツの選び方、PCを初めて自作する人が注意すべきポイントなどを記事3本立てでお届けします。

 

2本目となるこの記事では、自作PCのトレンドと、組み立てる際のPCパーツの選び方を、初心者でもわかりやすいように解説していきます。自作PCのプロに最新の話を聞くため、秋葉原にそびえるPCパーツショップ・TSUKUMO eX.を取材しました。

関連記事:あえてPCを自作する理由。”大人のプラモデル”としての自作PCの魅力に迫る

 

↑秋葉原の街にそびえるTSUKUMO eX.。地上6階、地下1階の店舗全体がPCパーツショップになっています

 

自作PCを構成する主要なPCパーツ

まずは必要なPCパーツと、各々の役割を見ていきましょう。

 

自作PCを含むすべてのPCは、下記の主要PCパーツによって構成されています。これらの役割を説明する際、しばしば”デスクワークをしている人”に例えられますが、その例えを一部交えながら紹介していきます。

 

ケース

特殊な例を除いて、すべてのPCパーツは1つのケース内に収めることになります。また、外見の方向性を決定づけるため、見た目にこだわりたい人にとっては特に重要な部品です。デスクワークに例えたら、デスクのデザイン性がこれにあたります。なお、ノートPCの場合、ボディがケースを兼ねています。

↑以下すべてイメージ画像で、実際の製品ではありません

 

CPU
中央処理装置(Central Processing Unit)の略。PCの頭脳といえる存在です。CPUの性能は、搭載されているコアの数や周波数の大きさによって差が出ます。

 

・マザーボード
PCパーツにおける母艦といえる部品。CPUをはじめ、すべてのPCパーツはこのマザーボードの上に装着してからケースに収納します。

 

・メモリー
PCが現在処理中の情報を一時的に保存しておく部品。RAM(ランダムアクセスメモリー)というアルファベットで表記されることもあります。メモリーの容量を多くすると、マルチタスクなどの場合に高いパフォーマンスを発揮します。デスクワークの例えでは、デスクの面積。デスクが広ければ、同時に多くの書類を展開できるというわけです。

 

・SSD、HDD
総称して、ストレージとも呼ばれる大量記憶装置です。作業によって生まれた成果物や、ダウンロードしたファイルなど、あらゆるデータはここに保管されています。また、SSDは高速・高価、HDDは低速・安価という特徴があります。デスクワークの例えでは、ストレージはデスクの引き出しの大きさです。引き出しが大きければ大きいほど、多くの書類を保存できます。

↑こちらはSSD。下がSATA接続で、上がNVMe接続と、それぞれ接続方式が違うため、形状も違いがあります

 

・GPU
PCのグラフィック性能を専門に扱う装置。板状のパーツのため、グラフィックボードとも呼ばれます。なお、CPUにGPUが統合された、グラフィックボード非搭載のPCもありますが、こちらはどうしても性能が控えめになりがちです。近年はゲームや動画の高画質化が進んでいるため、ゲーマーやクリエイターにとって、GPUは必須のパーツになっています。

 

・電源ユニット
PCパーツに電気を供給する装置。特殊な事情を除き、CPUやGPUの消費電力より高い電源容量を備える電源ユニットを選べば問題ありません。大容量になればなるほど高価になります。

 

PCパーツの概略を理解したところで、続いては選び方の解説に入っていきます。取材に答えてくれたのは、TSUKUMO eX.スタッフの紅谷さん。PCパーツの最前線に身を置き、これまで何台ものPCを組み上げてきた、自作PCのプロです。

 

まず決めるのは、用途・予算・ケース

紅谷さんは「PCを自作する場合、用途・予算・ケースの3つを最初に決めるべき」と語ります。なぜなら、この3つがあらゆるPCパーツ選びの軸となるからです。

↑店頭に立つ紅谷さん。とても楽しそうに取材に応じてくれました

 

・用途
どのPCパーツに対して予算を重点的に割り振るかは、用途に合わせて決定します。たとえばゲーミングPCならGPUに、動画編集用PCならCPUとメモリーに集中投資する必要があります。

 

「自作PCはカスタマイズの幅が広いぶん、選択肢の多さに戸惑いがちです。ただでさえ迷うPCパーツ選びで余計に迷わないためにも、”そのPCで何をしたいのか”、イメージしてから構成を考えましょう。一度作ってからPCパーツを変更・増設することも可能なので、自作前に想定する用途は、将来的にやりたいことでも構いません」(紅谷さん)

 

・予算
自作PCの構成を考えていると、あれもこれもこだわりたい! という思いにかられがち。そうなると予算が際限なく上がってしまうので、お財布との相談は事前にしっかりしておきましょう。

 

「同じ用途のPCでも、予算次第で構成が変わってきます。店舗のスタッフはその時々のPCパーツのトレンドを熟知しており、予算の範囲内で可能な限り良いスペックを出せるような構成を提案できます。自分で考えるのに困ったらぜひ相談してみてください」(紅谷さん)

 

・ケース
小さすぎるケースに、大きなPCパーツを収めることはできません。また、PCパーツがすべて収まったとしてもケース内の空気の流れが悪くなってしまったら、CPUなどから発生する熱がケース内にこもってしまい、故障を招くこともあります。さらにケースはPCの外見の方向性を決定づけますから、慎重に選びましょう。

 

「小さいケースだと、大きいマザーボードを収められず、性能に制約がかかることもあります。PCのケースは”大は小を兼ねる”世界なので、置き場所さえ確保できるなら、大きいモノがおすすめです。ただし、購入前に寸法をしっかり確認しましょう。せっかくお気に入りのケースを買っても、部屋に置いてみたらデカすぎた、というケースは少なくないので注意してください。ケースは最も好みを反映しやすい部品でもあるので、直感で探してもおもしろいですよ」(紅谷さん)

↑高さや幅が似たようなケースでも、奥行きに大きな差があることも。現物に触れて確かめられるのは、PCパーツショップの長所です

 

↑光源を内蔵し、サイドから駆動する様子が見えるスケルトンデザインのモデルが売れ筋。1万円未満でも、”いかにも”なケースが手に入ります

 

コスパで選ぶなら、”いま”はインテル製CPU

用途・予算・ケースの3つが決まったら、CPU、マザーボード、GPUなどのPCパーツを選んでいきます。最初に決めるべきは”PCの脳みそ”であるCPU。CPUのメーカーは主にインテルとAMDの2社があり、それそれ対応するマザーボードが異なるため、どちらのCPUを採用するかが大きな分かれ道になります。

 

「インテルとAMDは、時代によって売れ筋が異なっています。”いま”CPUをコスパで選ぶなら、年初にニューモデルが登場したインテル製がおすすめです。ただし、日々新しい製品が開発されているため、タイミングによっておすすめのCPUがコロコロと入れ替わります。初めて自作をする場合は、店舗で相談したほうがよいでしょう」(紅谷さん)

↑店頭にあるCPUの価格表。選択肢が多いため、ショップスタッフのアドバイスがあると心強いです

 

最初のマザーボードは2万円程度の製品がおすすめ

採用するCPUが決まれば、次はマザーボードです。CPUのメーカー次第で選択肢が限定されるので、決めやすいかと思いきや……店頭にはたくさんのマザーボードが並んでいて、あれやこれやと目移りしてしまいそう。選び方のコツはどこにあるのでしょうか。

 

「マザーボードのサイズの規格はATX、Micro-ATX、Mini-ATXの3種類があり、ATX>Micro-ATX>Mini-ATXの順に大きくなっています。小さいマザーボードを選ぶと搭載できるPCパーツの数が限られてしまうので、ケースがATXサイズに対応しているのであれば、ATX規格のものを選んでおきましょう。

 

同一サイズの製品ごとの違いとしては、接続できる外部端子の種類や数、GPU・キャプチャボード・SSDなどを接続する内部のスロットの数が主に異なっています。デザインの方向性も、黒基調のもの、白基調のものなど種類があるので、外見の好みで選んでもいいですね。ただし価格差も激しいため、自作初心者の方には、2万円程度のものをおすすめしています。特別なこだわりがない限りは、マザーボードよりCPUやGPUにお金をかけましょう」(紅谷さん)

↑あらゆるPCパーツを装着する母艦となるマザーボード。中央に写っている「在庫展示品」の表示があるエリアがCPUを搭載するソケット、その右上がメモリーのスロットです

 

↑CPUを装着するソケットを開いた様子。ここに並んでいる細かいピンの数は、なんと1700本に及びます

 

なお、CPUは多くの熱を発するので、CPUクーラーの装着が必須。インテルとAMDのどちらのメーカー製品でもCPUにクーラーが同梱されていますが、別途購入することを紅谷さんはすすめていました。

 

「CPU同梱のクーラーは、放熱性や静粛性の面で劣っています。特に放熱性能はPCの寿命を左右しかねない重要な項目です。CPUクーラーにもさまざまな種類がありますから、自作のおもしろさを堪能していただくためにも、標準付属のCPUクーラーからは即卒業しましょう!」(紅谷さん)

↑CPUクーラーも、多彩なモデルが並んでいます。ケース内の空気の流れも考えて決める必要があるため、プロのアドバイスが欲しくなります

 

いま自作するなら、メモリーはマシマシがお得

続いて選ぶのはメモリーとSSD。ここで紅谷さんが意外なことを教えてくれました。

 

「実はいま、メモリーとSSDの価格が落ちているんです(2月8日取材時点)。半導体の価格が高騰していることはニュースになっていますが、PCパーツという点で見ると高くなっているのはGPUだけ。メモリーは2年前と比べて半値くらいになっています。予算次第ですが、いまPCを作るならメモリーとSSDを多めに積んでおくのがお得ですよ」(紅谷さん)

↑メモリーの価格表。マザーボードに2枚ずつ差すのが一般的であるため、2枚組で販売されています。左上に書かれている「DDR4」というのはメモリーの規格で、その後ろの数字は読み書きの速度を表しています。数字が大きくなるほど高速での読み書きが可能です「DDR5という新しい規格も登場していますが、価格の割に性能がおとなしいので、DDR4を選んでおいて問題ありません」(紅谷さん)

 

なお、メモリーは後から増設もできるものの、マザーボードに差せるメモリーの枚数は基本的に4枚が上限となっています。そのため、同容量のメモリーを搭載するのなら、メモリー1枚当たりの容量を多めにしておくのがコツです。

 

たとえば、16GB×2枚を差した場合、合計32GBとなり、さらに32GBぶん増設の余地がありますが、8GB×4枚だと同じ32GBでも空きのメモリースロットがなくなってしまうため、それ以上のメモリー増設が不可能です。16GB×2枚と8GB×4枚の価格差はほとんどないので、32GB搭載で考えるのであれば、16GB×2枚にしておきましょう。

 

「リビングの棚」SSDと「物置」HDDを使い分けよう

SSDはマザーボードに直接装着する、NVMe接続のものが主流になっています。NVMe接続のSSDは、HDDなどで用いられるSATA接続に比べて圧倒的に高速です。

 

なお、SATA接続のSSDも売られてはいますが、いま選ぶなら選択肢から外した方がいいでしょう。NVMe接続が可能なソケットの数はマザーボードによって異なりますが、将来の増設も視野に入れるなら、可能な限りNVMeソケットを多く備えたマザーボードを選んでおきたいものです。

 

「SSDもHDDもデータの保管庫ですが、容量や読み書きの速さに差があります。家に例えるなら、SSDはリビングの棚、HDDは屋外の物置というイメージで、データを取りに行く速度にそれくらい差があるということです。SSDだけで事足りるユーザーが多いと思いますが、動画編集などでストレージを多く使う方は、大容量のHDDもあわせて組み込んでおきましょう」(紅谷さん)

↑ディスプレイされた多彩なSSD。上の列と真ん中の列に写っているのがNVMe接続のSSDです

 

高性能GPUは高性能ディスプレイとセットで

GPUは、用途がゲーミングであれば高性能なものを搭載したくなりますが、近年価格の高騰が顕著なPCパーツでもあります。店頭では、GPUの性能にどれくらいの差があるのか、グラフ化された表が掲示されています。

 

「GPUは上を見過ぎると価格が非常に高くなるので、予算と相談することになります。たとえば、予算15万円ならGPUの価格は7万5000円くらいが限度ですね。なお、いくらいいGPUを搭載したPCでも、ディスプレイの性能が低ければそのパワーを発揮できません。高性能GPUをPCに搭載するなら、ディスプレイも高性能なもの、特にリフレッシュレートは144Hz以上に対応したものを使用してください。また、動画編集用のPCではゲーミングPCほどのGPU性能は求められませんが、使用する動画編集ソフトによっては、必要なものもあります」(紅谷さん)

↑eSportsにもなっているゲームタイトル「Apex Legends」プレイ時を想定したGPUの性能表。背後に写っているGeForce RTX 3060はハイエンドの入り口ともいえるGPUであり、グラフでも赤色で強調されています

 

GPUの性能に応じて電源ユニットの容量を決定

GPUは価格が高いだけでなく、最も多くの電力を消費するPCパーツでもあります。高性能なGPUほど消費電力が大きいため、PCパーツに電力を供給する電源ユニットのサイズは、GPUの性能にあわせて決めることになります。

 

なお、同じ容量の電源ユニットでも、ブロンズ・シルバー・ゴールドと、電力の変換効率によるランク差、それに応じた価格差があります。省エネにもなるのなら多少高くてもゴールドを選んだほうがよいのかと思いきや、紅谷さんの見解は違いました。

 

「電源が壊れてしまうとパソコンそのものが動かなくなってしまうので、電源は信頼性で選ぶべきです。その目安となるのが、メーカーによる保証年数。保証年数はメーカーが製品の耐久性に自信を持っている証なので、これが長いものほど信頼できる電源ということになります。具体的には、5年程度の保証がある製品を選んでおくと安心です。

 

ちなみに、ゴールドやシルバー、ブロンズによる消費電力の差はあるのですが、それほど大きい差にはなりませんから、高過ぎるものを買う必要はありません。保証年数のほうが大切です」(紅谷さん)

 

ちなみに、高価な電源ユニットが必要になるユーザーは、株取引などの用途で常にPCの電源を入れたままにするような人だそう。多くのユーザーは、別のところに投資したほうがよさそうです。

 

組み立て前には、YouTubeの動画でイメトレを

ここまで、紅谷さんにケース、CPU、マザーボードなど、部品の選び方を解説してもらいました。ほかにも細かな部品・用品はありますが、PCの自作に必要な部品はほとんど揃ったといえます。

 

しかし、PCを初めて組み立てる人には不安もつきもの。そこで頼りになるのは、YouTubeで視聴できる、自作PCの工程を解説した動画たちです。

 

「店頭でご相談いただければ組み立てのノウハウをお教えすることはできますが、実践にはかないません。初めて自作に挑まれる方は、YouTubeにアップされている組み立て工程の動画を見てイメトレしておくだけでも、組み立て作業が格段にスムーズになりますよ」(紅谷さん)

 

また万が一、苦労して組み立てたPCが動かなかった場合は、PCパーツの初期不良の可能性があります。そうともなれば、原因究明にかかる時間、ストレスはかなりのもの。PCパーツを販売しているショップでは、そのような不安を解消するための動作確認サービス(有料)も用意されています。

↑組み立て前に、PCパーツの初期不良がないか確かめてくれるサービスも用意されています

 

プロが語る、自作PCの1番のコツは「愛」!

最後に、紅谷さんに自作PCについてのコツを伺いました。そこで語られた言葉はまさかの「愛」! その正体とは……

 

「PCは精密機械なんです。だから、作業中は力を加えることなく、やさしく接してあげてください。組み立ての工程でグッと力を入れるのは、メモリーをマザーボードに差し込むときだけ。また、各PCパーツは静電気にとても弱いので、絶縁手袋を装着して作業する、事前に鉄製のものを触って放電しておくなど、最大限の注意を払いましょう。長く使う大切な相棒なのですから、愛を込めて組み立ててください」(紅谷さん)

 

5年ほど前に組み立てた自作PCに改造を重ねていまだ愛用している筆者は、紅谷さんのこの言葉に深く納得しました。過去には愛を欠いた扱いをしてしまったがためにPCを壊してしまったこともありましたが、現行のマシンは大切に使っているおかげか長持ちしてくれています。

 

この記事では、自作PCのパーツの選び方やコツについて紅谷さんに語ってもらいました。次回の記事では、いまPCを自作するならおすすめはどのPCパーツなのか、商品名も交えながら具体的に聞いていきます。この記事では掲載しきれなかったポイントも多く載せていくので、ぜひあわせてお楽しみください。

 

※価格のトレンドについては記事掲載時点のものです。今後の国際情勢などによって変動する場合があります

 

撮影/我妻 慶一、取材協力/TSUKUMO eX.

複数CPUソケットに対応してリニューアル! 初心者でも取り付けやすいCPUクーラー「OWL-SC200V2」

新しい趣味として自作PCを始めてみたいけど、パーツをうまく取り付けられるか不安……と、お悩みの方でも安心!

 

オウルテックのPCパーツは、自作PC初心者でも、簡単に取り付けられる工夫が施されているものを豊富に用意しています。

 

今回紹介するのは、CPUソケットに合わせて調整できるバックプレート付きでTDP200W対応、CPUクーラーSilent Cooler V2「OWL-SC200V2」です。税込価格は4380円。

 

同製品は、2021年発売「OWL-SC200」のリニューアルモデル。前モデルのコンセプトである「購入しやすい価格帯で最も冷却性能の高い製品であること」を継承しながら、OWL-SC200のバックプレートを改良し、ネジ受けをスライド調整させることで、複数CPUソケットに対応できる可動式バックプレートを採用。より多くの環境にて使用できる製品として進化しました。Intel最新ソケットLGA1700にも対応しており、1枚のバックプレートでLGA1700/LGA1200(LGA15xx系含む)に対応可能です。

↑可動式バックプレート

 

「LGA1700は形状が従来と異なっており、CPUクーラーを固定するための取り付けキットを新規開発する必要がありました。寸法が異なる従来型LGA1200と共用できる取り付けキットとすることで、コスト増を最小限にしています。LGA1700系の検証環境を整えるために、発売日に秋葉原のショップに並びました」(オウルテック担当者)

 

前モデルで好評だったアタッチメントは引き続き採用。取り付け金具の部品数を少なくしており(※他社製品比)、初心者でも取り付けやすくしています。パッケージや取扱説明書も日本語に対応。付属のグリスは注射器型の容器に入っているので保管しやすく、次回再利用が可能です。

 

自作PCファンに支えられ、初心者にも優しいオウルテックのPCパーツ。取り付け方動画も現在準備中とのことです。取り付け方が動画ですぐわかるなんて、素晴らしい世の中になったと思いませんか?

あえてPCを自作する理由。”大人のプラモデル”としての自作PCの魅力に迫る

IT機器の小型化、高性能化が進んで久しいいま、グラフィックボードを搭載したゲーミングノートパソコンでも持ち運びしやすいサイズ・重さのものが増えてきました。ゲーム用途以外のモバイルノートパソコンも、高性能なモデルが数多く発売されています。それゆえ、デスクトップパソコンを利用する人は減少傾向にあります。

 

そんな時勢にあって、デスクトップPCを自作する、という選択肢をとる人たちが根強くいることをご存知でしょうか。PCの自作には、何から何まで自分好みのPCを”作れる”ことによる満足感に加え、実用的な利点もあります。

 

そこで今回は、既製品にはない「自作PC」ならではの魅力、いまのトレンドやPCパーツの選び方、PCを初めて自作する人が注意すべきポイントなどを記事3本立てでお届けします。

 

1本目となるこの記事では、ノートPCがどれほど便利であってもデスクトップPCを自作したくなってしまう、魅力の入り口をご紹介します。

 

「PCを自作する」とは?

PCはさまざまな部品から成り立っています。PCの頭脳ともいえるCPUや、短期記憶を司るメモリー、画像処理を担うグラフィックボード(GPU)、膨大なデータを保存するストレージ。これらのワードはメーカー既製品のPCを選ぶ際にも目にするものですし、ほとんどの方が聞いたことはあるでしょう。しかし、実物を見たことのある人は少数派ではないでしょうか。

 

PCの自作とは、こういったパーツひとつひとつを自分で選び、組み立てていくことを指します。

 

先に挙げた部品以外にも、既製品を買う際にはあまり気にしないであろうマザーボード、電源、ファン、さらにはそれらのパーツを組み込むPCケースなどの部品についても細かい選択肢があるため、完成品のバリエーションはまさに無限大。特に、外観は既製品ではほとんどカスタマイズができませんが、自作PCであれば個性的なPCケースやファンなどがあり、これらを組み合わせることで、唯一無二な1台を作ることができます。

 

選べるPCケースのなかには、スタイリッシュでインテリア性の高いもの、LEDが仕込まれていてカラフルに光るもの、これがPCなのか! と目を疑うような奇抜な形のものなど、多くの人をビックリさせるであろう製品が幅広く存在しています。筆者も、初めてPCパーツショップを訪れた際に、その数の多さ、個性の強さに驚かされました。

 

組み立てや初期設定には一定の知識が必要になるものの、スペックだけにとどまらない幅広いカスタマイズ性が得られることが、自作PCの大きな特徴です。

↑たとえばファンひとつとっても、回転数や静粛性といった性能面、外観などが異なる、幅広い選択肢があります

 

自作PCは”大人のプラモデル”だ! 3つのイイところを解説

ここまでは主にカスタマイズ性について語ってきましたが、自作PCの良さはなにもそれだけではありません。ここからはその良さを3つに分けて整理してみます。

 

1.使いながらカスタマイズできるから、長く使える

自作PCには組み立ての手間こそありますが、スペックから外観まで、あらゆる面で自分好みな1台を作れます。既製品ですと100%満足できる1台を探すのは大変ですが、自作であればあなたの要求を完全に満たしうる逸品が手に入ります。

 

また、メモリーやSSD、GPUなどについては、それらを接続するマザーボードに増設の余地がある製品を選んでおけば、いざ使い始めてからのスペック向上も容易です。予算次第ではありますが「もう少し高性能なものを買えばよかった」と後悔した場合に後から対応できるのも、自作PCのメリットといえます。

 

CPUやマザーボードなどに当初からある程度の投資をしておく必要はあるものの、使いながらのカスタマイズが容易なおかげで、結果的に長く使えるものが仕上がるというわけです。

 

なお、マザーボードや電源の選択によっては、事後の増設が難しいケースも発生してしまいます。初心者の方であれば、自作経験者やPCパーツショップのスタッフに相談するなどして決めたほうが良いでしょう。

↑CPUやメモリー、GPUといったあらゆるパーツを差す、PCパーツの母艦となるマザーボード。モデルによって対応するCPUが異なるほか、SSDやメモリー、GPUを差し込めるスロットの数など、多様な選択肢があります

 

2.自室で異彩を放つ唯一の存在は、所有欲を確実に満たしてくれる

個性的なケースやファンを採用すれば、インテリアとしても映えるものにできる自作PC。自室で異彩を放つ自分好みのPCは、ユーザーの所有欲を満たしてくれます。

 

ちなみに、自作PCユーザーのなかにはケースから自作する人や、透明なPCケースの中にLEDを仕込んで好みのフィギュアをライトアップする人もいます。そこまで尖ったものを作ろうとすると組み立ての手間は増えますが、そんな1台であればモノとしての魅力はオンリーワン。これが、自作PCの最たる魅力かもしれません。

↑透明なケースを採用すれば、動作中のPCパーツの様子を見ることができます。自分で作ったモノが動いている様子が見えるうれしさは格別です

 

3.PCパーツ選びや組み立て作業が楽しくなる “大人のプラモデル”としての魅力

これまで、組み立て作業について「手間」と書いてきましたが、PCを自作しているとその手間すら楽しいものになってきます。その点で、自作PCはプラモデルやミニ四駆のカスタマイズと似ているといえるでしょう。

 

それどころか、自作PCの場合、パーツ単位で好みのものを選べるわけですから、カスタマイズ性の面ではプラモデル以上に魅力があるかもしれません。さらに、飾るだけでなく実際に使う存在になるので、愛着も生まれます。また、初めての1台を自分で組み、それがちゃんと動いたときの達成感は格別です。プラモデル好きな人なら、その深い魅力にきっとハマるでしょう。自作PCは、まさに”大人のプラモデル”なのです。

 

作る前に知っておきたい、自作PCの注意点

ここまで自作PCのメリットばかりを語ってきましたが、もちろんデメリットも存在します。最後に、それについて触れておきます。

 

まずは、PCに関する知識が最低限必要だという点。ですが、現代ならインターネットで調べれば確実に情報が見つかりますし、エンジニアレベルに詳しい知識が必要というわけでもありません。ショップのスタッフに聞けば助言もしてもらえますから、乗り越えやすい壁です。また、その知識を得た先には、PCがトラブルを起こした際の修理・部品交換を自分でできるようになる知見もたまります。

 

そして、各パーツは精密機械であるため雑に扱わず、注意を払いながら組み立てる必要があります。特に、半導体は静電気に弱いので、組み立て作業時はゴム手袋をするなどの配慮も必要です。

 

なお、自作PCは、その構成次第では価格が既製品と比べて高くなることもあります。特にいまは世界的な半導体不足のためGPUの値上がりが顕著。コスパだけを考えて選ぶとしたら既製品からチョイスしたほうが良い場合も少なくないため、注意が必要です。

 

ここまで、自作PCの魅力について語ってきました。本稿に続く2本目、3本目の記事では、PCパーツ選びのコツや初めて自作をする際のポイントをPCパーツショップのスタッフに取材していきます。この記事で自作PCに興味を持たれた方は、ぜひ2本目以降もお読みください!

750mmのロングなケーブルで取り回し良好! 750W/850Wの2モデル選べる電源ユニット

自作PCにありがちな「内部の配線がぐちゃぐちゃ」というお悩み。昨今、自作PCはケース内部が見える強化ガラスのモデルが多く、せめて見える部分は少しでもキレイに見せたい……そんなときにオススメな、“隠せる”長さのケーブルを採用したオウルテックの電源ユニット「OWL-GPX Sシリーズ」を紹介します。

 

OWL-GPX Sシリーズは、80PLUS GOLD認証フルモジュラー式ATX電源で、750W出力と850W出力の2モデルを用意。

 

2系統あるCPU補助電源ケーブルの長さは750mmで、電源から最も遠く配置されている場所へも、キレイに配線ができるよう配慮。ケーブルを見えないところに隠して見た目をきれいに組み立て配線する“裏配線”など、見た目を意識した配線が可能です。ケーブルは、かさばりにくいフラットケーブル仕様。奥行きも140mmのコンパクトサイズで、PCケースを選ばない大きさです。

 

「CPUやグラフィックボードの飛躍的な高性能化に伴い、お客様から『もっと大容量の電源はないのか』という要望をいただくようになったことから、一般的な高性能ゲーミング環境にも十分対応できる750W/850Wの電源を開発するきっかけとなりました。特に、ゲーミング環境で重要であるグラフィックボードは、高性能化するつれ大型化しており、それに併せてPCケースも大型化しています。電源に付属しているケーブルの長さによってはケーブルが届かず、配線の制限が発生して困ったという声をいただくようになり、電源から最も遠くなるCPU補助電源ケーブルを、業界最長となる750mmとすることで、自由かつ、キレイに配線できるよう配慮しました」(オウルテック担当者/以下同)

 

750Wモデルは4個、850Wモデルは6個のPCI-Express 8(6+2)ピン電源コネクタを備えており、マルチGPUに対応。長寿命かつ静音性に優れるFDBファン(12cm)を採用し、EXTREME POWER「OWL-GPR1000」同様、日本製105℃電解コンデンサを搭載しています。

 

「最高峰のゲーミング環境ではグラフィックボード単体で最高350W、システム要件で750W以上が推奨されており(※NVIDIA社「GeForce RTX 3090」参考)、本製品はCPU用8ピン(4+4)コネクタが2系統あるので最上位クラスのCPUにも対応し、消費電力の高いハイエンドのグラフィックボードを搭載する構成にも対応しています。また、OWL-GPR1000同様、ケーブル収納バッグと結束バンドを付属品に追加しました」

 

マザーボードの裏側配線でもケーブルの取り回しがしやすいので、PCケース内のLEDドレスアップの邪魔にならない! PCを美しくみせるための、「縁の下の力持ち」的役割を果たしてくれるでしょう。

合言葉は「ガチャ! ポン! パッ!」着脱ラクラクなリムーバブルケース

仕事や趣味で動画の作成・配信などをしていると、録画や編集で使用したデータでPCの保存領域がいっぱいに……。

 

そこでオウルテックでは、現代のPC環境ニーズを捉えて、ガチャ! ポン! パッ! の3ステップで簡単に増設できるリムーバブルケースを発売。SATA仕様対応の、2.5/3.5インチSSD/HDD各1台を5.25インチベイに増設可能な「OWL-GPD523」と、2.5インチSSD/HDD2台を3.5インチベイに増設可能な「OWL-GPD322」の2タイプが、現在販売中です。税込価格はいずれも6180円。

 

「内蔵型HDDやSSDはデスクトップ筐体内にネジで固定されており、簡単に取り出し交換・増設することが難しく、メンテンナンス時に手間が発生していました。誰でも簡単にHDDやSSDを脱着できるよう、ネジや専用のカートリッジを必要としない本品を開発しました」(オウルテック担当者/以下同)

 

SSDやHDDをインナートレイに入れる必要がなく、ネジ留めや専用カートリッジも不要。5万回の抜き差しが可能な、実用新案のNSS(Non-scratch SATA)コネクターを採用し、摩擦を軽減し耐久性を向上させています。ステンレスフレームにより、頑丈性も高めました。2.5インチドライブ用の保護フィルムも付属しています。

 

「速度面においてはNVMeのSSDが台頭してきた昨今、WindowsなどのOSが動くドライブではNVMeが主流となりつつあります。NVMeのSSDは速度が速い反面、容量が小さく、大きなデータを扱うとすぐに容量がいっぱいになってしまうデメリットがあります。しかし、SATA仕様のハードディスクやSSDは速度面で劣るものの、未だ容量単価の面で秀でており、低価格かつ大容量なドライブはデータ保存用としてまだまだ主力です。とはいえ、1台のパソコンに増設できるディスクには限界があるため、必要に応じて脱着交換できるのがひとつの利便性に繋がります。動画配信の録画や映像編集時に肥大化するデータを効率よく運用する際に、本品は利便性が高くおすすめです」

 

ガチャ! ポン! パッ! で簡単・ラクラク交換できるダイレクトリムーバブルケース、様々なデータを扱う動画クリエイターなら、チェックしておいて損はないでしょう!

「見逃さへんモード」で温度と負荷を監視し、ファンの動作モードを自動制御! オウルテックの高出力ATX電源

CPUやグラフィックボードの飛躍的な高性能化に伴い、必要電力も肥大化し、大容量の電源ユニットが求められています。

 

オウルテックから、「80PLUS GOLD」認証を取得した、1000Wのフルモジュラー式ATX電源が発売中です。

 

EXTREME POWER「OWL-GPR1000」は、1000Wと出力が大きく、CPU用8ピンコネクタも2系統あり、最上位クラスのCPUや、複数枚のグラフィックボードを搭載するハイエンド構成に対応しています。裏配線時に取り回しやすいフラットケーブルを採用。日本製105℃電解コンデンサを一次側・二次側の両方に搭載し、製品寿命も向上させました。税込価格は2万9980円。

 

同製品の特徴は、温度と負荷双方の監視を行い、ファンの動作モードを自動制御する「見逃さへんモード」。同社独自のファンコントロールのチューニングを行い、負荷が小さいときはファンの回転が止まり、負荷や温度が高くなるにつれファンを回転させる機能です。負荷が0~20%のときはファンレスモード、20~70%のときはファンレスか低速回転、70~100%のときは温度や負荷の状況により、回転数が可変となります。また、見逃さへんモードオフ時には、負荷が0~70%のときは低速回転で動作、70~100%のときは温度・負荷の状況に応じて回転数が変わります。

 

「最高峰のゲーミング環境ではグラフィックボード単体で最高350W、システム要件で750W以上が推奨されています(NVIDIA社「GeForce RTX 3090」を参考にしています)。PC構成によりますが、これに追加で消費電力の高いPCパーツを追加しても余裕をもって対応できます。当初は付属品がモジュラーケーブルとインチネジのみでしたが、それではユーザーに納得していただけないと思い、作業時に何かと重宝するケーブル収納バッグと結束バンドを追加しています」(オウルテック担当者)

 

ヘヴィーなタイトルを快適にプレイするには高性能なグラフィックボードなどが必要不可欠ですが、電力が足りていないと、せっかく組んだPCも動きません。電源ユニットも、快適なゲーミング環境、さらにはクリエイティブ環境作りの重要なポイントのひとつといえるでしょう。

初心者“自作er”にもおすすめ! 付属品も豊富で使いやすいCPU冷却グリス

自作PC初心者でも使いやすいCPU冷却グリスが、オウルテックから発売されました。

 

EXTREME COOL+「OWL-SILG-OC01」は、自作PC用のCPUクーラー(空冷式・水冷式)に使う、高効率シリコングリス。熱伝導率13.4W/m・Kを実現しながら、塗りやすさと、税込価格1980円という低価格を実現。塗布時に必要な道具一式が付属しているので、初心者から上級者まで手軽に扱えます。

 

「本品は高熱伝導率で冷却を強化し、非導電性で塗りやすく、初心者でも安心して利用できるように開発しました」(オウルテック担当者/以下同)

 

固すぎずゆるすぎない粘度で、ナノサイズの酸化金属とカーボンを多く配合。非導電性なので、マザーボード上に付着してもショートの心配がありません。本体は注射器タイプで、パッケージも透明窓付きジッパー袋。余ったグリスを付属品ごときれいに保管できるよう、配慮されています。

 

「塗布専用ヘラ」および、広範囲にきれいに塗布できる「カード型ヘラ」、基盤を汚しにくい、CPUサイズにカット済みの「マスキングシート」、古いグリスや、失敗したときにクリーニングできる「アルコールシート」と、付属品も豊富。

 

パッケージの裏側には、塗り方動画の二次元コードリンクを記載。わかりやすい3コマイラストも描かれているので、店頭で見かけたらぜひパッケージ裏も注目してみると良いでしょう。

自作PC初心者にもわかりやすく取り付けやすい! 高い冷却能力と静音性を両立した、Silent Cooler「OWL-SC200」

CPUクーラー、冷却性能を重視したいのはもちろんですが、音も気になるところ。

 

そんな“静音”にこだわったCPUクーラーが、オウルテックから発売されました。Silent Cooler「OWL-SC200」は、より静かに冷却能力を強化したいユーザーにおすすめです。税込価格は4280円。

 

「手軽に購入しやすい4000円前後のCPUクーラーのなかで、“最も性能の高い空冷CPUクーラー”をコンセプトとして開発しました。PCに搭載されているCPUは高度に温度管理されており、冷却すればするほど設計上の性能を発揮できます。本品は同価格帯の空冷CPUクーラーのなかで、最も効果が発揮できる製品構成を目指して開発しています」(オウルテック担当者/以下同)

 

6mm×4本のニッケルメッキを施した銅製ヒートパイプをフィン部分に最適な形で分散配置。最多クラスとなる56枚の放熱フィンを搭載し、放熱用の面積を従来モデルよりも拡大、TDP(※)200WまでのCPUに対応します。さらに大型の130mmファンを搭載し、ヒートシンク幅もファンサイズに合わせて130mmとなっており、効率的にクーリングすることが可能です。

※TDP…Thermal Design Powerの略。CPUの発熱量と消費電力の目安

 

さらに、ヒートシンクの厚みを薄くし、メモリと接触しないようコンパクトに設計。高さも159mmと抑えめにしています。アルミベースと4本の銅製ヒートパイプは、CPUに直接接触する新しいDTH(ダイレクトタッチヒートパイプ)方式を採用。表面構造をなめらかにして効率的な熱伝導を実現しています。

 

「恒温装置による他社との比較を行うため、小型の模擬CPU発熱装置を開発。同一条件下でターゲットとした製品より冷えることを確認しています」

 

初心者から上級者まで手に取りやすく、わかりやすさを追及した日本語パッケージ。また、取り付け金具の部品数を少なくし、取り付けのしやすさにこだわりました。付属のグリスは余っても再度利用ができるよう、注射器型の容器に入っているので、保管もラクです。グリスの塗り方動画を視聴できる二次元コードも付いており、取り付け方動画も現在準備中とのこと。このように、初心者でも安心して利用できるような工夫も施されているのが嬉しいですね。