DIYで暮らしに火を取り入れよう!1/7発売の『dopa(ドゥーパ!)』152号の中身はちょろっと公開!

DIYライフマガジン『dopa(ドゥーパ!)』2023年2月号が、1月7日(土)に発売!

特集は「ストーブ・囲炉裏・焚き火」「チェンソーワークガイド」の2本立てです。

 

 

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特集は「DIYで愉しむ ストーブ・囲炉裏・焚き火」

今号のdopaでは、DIY的ファイヤーライフを実現する3種の神器「ストーブ、囲炉裏、焚き火場」をフィーチャー。それぞれの魅力を掘り下げつつ、火のある暮らしの住、食、遊を発信。自身のシチュエーションやニーズに合わせ、ぜひ暮らしに炎を取り入れてください。

Section 1 蓄熱ストーブがアツい!

特集の冒頭を飾るのは手作りストーブ。それもメイスンリーヒーター、ペチカ、ロケットマスヒーターといった“蓄熱ストーブ”を徹底解剖。高い燃焼効率とその巨大な質量で、エネルギーをロスすることなくキープ。そんなクリーンで高燃費な蓄熱式暖房の構造と魅力に迫る!

Section 2 囲炉裏の真価を発揮せよ!

東屋の床を切ったセミオープンな囲炉裏小屋、土間囲炉裏、ガレージの囲炉裏テーブルなどバラエティあふれる囲炉裏実例を皮切りに、達人が教える囲炉裏使いこなし術やコラムなど、囲炉裏と火遊びの情報が満載! 編集部の作るユニークな“土囲炉裏”作りのリポートも。これを読めば、あなたもイロリストの仲間入り。

Section 3 十人十色の焚き火場作り

焚き火の持つ解放的で野性的な炎は、ストーブや囲炉裏では味わえない。庭やプライベートフィールドで、思い立ったときに裸火と戯れる自由と快感を、魅力的な7つの常設型ファイヤーピットから紹介する。

第2特集 薪作りのためのチェンソーワークガイド

ストーブや焚き火といった火遊びはもちろん、開拓遊びを楽しむためにチェンソーを使いこなしたい。でも、なんだか危険そうだし、ちょっとハードルが高い……。本特集は、そんなビギナーでも思う存分、チェンソーが楽しめる知識やテクニックが満載! チェンソーの仕組みや選び方をはじめ、始動の準備、エンジンのかけかた、丸太の玉切りから斧を使った薪割りなど、基本のテクニックをていねいに解説。これを読めば、チェンソーなんてこわくない! 特別編として、チェンソーを使った伐木の方法も収録。

バラエティあふれる連載にも注目!

車中泊や旅を楽しむための軽バンカスタム、トリマー&ルーター木工、さらにはレザーソーイングやグリーンウッドワークなど、さまざまなジャンルのもの作りの魅力を個性あふれる作家とともにお届けします。その他、自給自足の田舎暮らしエッセイなど読み物も充実。

ちょっと上級なチェンソーの玉切りテクニックを伝授!/DIY工具使いこなし術(13)

チェンソーといえば、イメージされるのはエンジンを動力としたモデルだが、今回紹介するのは、充電式バッテリーを電源とする電動チェンソー。

電源がバッテリーなので、一般的な電動チェンソーのように、コードを引き回す必要がなく、屋外でも軽快に使うことができる。

今回使用したバッテリーチェンソーはSTIHL MSA 160 C-BQ。径20cmの丸太の連続玉切りまで使用できる、高い実用性を持つモデル

 

長い丸太をきれいに玉切りする少し上級の切り方

長さのある丸太を玉切りしていると、切っている途中で材の重さで丸太が折れて落ちてしまうことがある。これを防ぐには、玉切りの途中からガイドバーの上側を使って、丸太を下から上に切るという方法を使う。

丸太を馬に載せて固定したら、切り方は下のイラストAのように丸太に(1)~(4)の部分を設定し、まず普通に上から(1)まで切る。次にキックバックしないよう気をつけながら上から(2)を切る。イラストBのようにガイドバーの先端上部(キックバック危険ゾーン)が材に当たるとキックバックしてチェンソーが自分の方に飛んでくるので、十分に集中して作業する。

(3)の部分はソーチェンの上側を使って下から上に切る。チェンソーの上側のスパイクを丸太に当て支点として切ると安定した作業ができる。(4)の部分は(3)から連続した動きで切り上げる。このときガイドバーの先端は必ず丸太の向こう側に出し、ガイドバー先端の上部が丸太に当たらない、キックバックしない体勢で切ること。

 

<丸太を割らない玉切りテクニック>

 

ガーデンリビング作りに使える小技テクニック

ここでは径10cm程度の丸太を杭に加工して、その杭に看板の板を付けるための溝を掘る。

丸太を杭にするには、丸太の片方の端を尖らす加工が必要。これは馬に固定した丸太の左右2面を斜めに切り取り、90度回転させてまた左右2面を斜めに切ればいい。切る度に安全に切れる位置に、その都度足場を決めることと、スパイクが使いづらいので、チェンソーを腕力で支えるため、しっかりと構えることが大切だ。

丸太に看板の板などはめる溝は、取り付ける板幅で2カ所に切れ目を入れたら、切れ目の底に合わせて、チェンソーの先を突っ込んで向こう側に貫通させて切る。キックバックしないように突っ込みはじめは、真っすぐに突っ込まず少し角度をつけて切り込むとうまくいく。

切り出した面はブラッシングという方法でならす。写真のようにチェンソーを立ててする方法と寝かせる方法がある。

 

<テクニック1、丸太を杭にする>

 

<テクニック2、溝を彫る>

 

日々のメンテナンスでチェンソーはいつも快調!

チェンソーは刃が命なので使用する前か後に必ずメンテナンスする。写真のような方法でメンテナンスすれば、チェンソーはいつも軽快に使うことができる。刃の研ぎは最重要なメンテナンスとなる。きれいに研げれば、振動も騒音も少なく、切断作業も早くなる。ソーチェンは小さなカンナが並んでいる状態で、ソーチェンの刃に向きあうデプスゲージはカンナの台にあたる部分。カンナ刃と台の高低差でカンナの切れ味が変わるように、ソーチェンの刃とデプスゲージの高低差で切れ味を保持するので、写真のように専用のファイルゲージでデプスゲージの高さを測定し、必要なら削って、刃とデプスゲージの高低差を合わせるようにする。

また、ガイドバーは上下7対3の使用率でひっくり返して使うと減りは平均して、ガイドバーの片べりを防いで長期間使うことができる。

写真◎冨士井明史/取材協力◎栗田宏武、スチール

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年8月時のものです。

電動だから使いやすい!バッテリーチェンソーの基本と玉切りのやり方/DIY工具使いこなし術(12)

チェンソーといえば、イメージされるのはエンジンを動力としたモデルだが、今回紹介するのは、充電式バッテリーを電源とする電動チェンソー。

電源がバッテリーなので、一般的な電動チェンソーのように、コードを引き回す必要がなく、屋外でも軽快に使うことができる。

今回使用したバッテリーチェンソーはSTIHL MSA 160 C-BQ。径20cmの丸太の連続玉切りまで使用できる、高い実用性を持つモデル

 

バッテリーチェンソーはDIYにぴったり

薪作り、枝払いなど園芸作業、軽度のログワークに使うなら、振動と騒音の少ないバッテリーチェンソーはとても使いやすい。住宅地の庭などで使うとなると、騒音の出るエンジンチェンソーは使えないので、バッテリーチェンソーしか選択肢はない。この、STIHL MSA 160C BQは36Vのハイパワーバッテリーリチウムイオンで駆動する高効率のモーターを搭載し、新型の低振動(=低騒音)ソーチェンを装備したモデル。

長さ30cmのガイドバーは、径20cmまでの樹木を切断するようにデザインされているので、ガーデンDIYで丸太を相手にするにはちょうど手頃なサイズになる。

バッテリーチェンソーは、充電したバッテリーをセットし、ハンドルサイドのセーフティーボタンを押しながら、スロットル(トリガースイッチ)を引けば、シャーッという軽快な音と共にソーチェンが回り出す。ちょうど丸ノコを使うのと同じように使うことができるのは電動ならではの使いやすさだ。

また、体の安全対策も重要なポイント。以下の写真のように頭、目、手、下半身、足は必ず保護して作業する。

 

<始動の仕方>

 

チェンソー作業の基本「玉切り」で扱いに慣れる

直径20cmまでの間伐材を、薪に使いやすい長さに切り分ける。こうした切断は、林業やログワークでは玉切りと呼ぶ。チェンソーの基本的な作業だ。切る材は写真のように馬に乗せ、安定して切れるように準備しておく。

チェンソーは本体と直角になるようにハンドルが付いていて、写真のように、ここを持ってぶら下げると、ちょうどバランスが取れるようになっている。そのままアクセルのハンドルを握り、目線が目、ソーチェン、墨線と一直線になるように構え、材にソーチェンを当てずにチェンソーを始動。すぐ回転が安定するので、目、ソーチェン、墨線を一直線に保ったままソーチェンを材に当てれば切断開始。ちゃんと研いであるソーチェンが付いていれば、チェンソーの重さだけで切れていく。玉切りでは材にチェンソーを押し付ける必要はない。押し付けなければ切れないのは、刃が減っているためなので、すぐ研ぎ直す。

枝払いなども同様に切る場所を決めたら、目、ソーチェン、墨線を真っすぐに構え切る。足元をしっかり決め、枝の落ちる方向を見極めて、なるべく枝の上部から、何回かに分けて切ると安全に切れる。枝払いなど、チェンソーを持ち上げる作業では、チェンソーが肩より上がらないように注意する。

 

<玉切りでのチェンソーの動き>

 

<玉切り作業手順>

写真◎冨士井明史/取材協力◎栗田宏武、スチール

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年8月時のものです。

ピザ窯や薪ストーブライフの必須設備・薪棚を作ってみた!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(23)

薪ストーブやピザ窯などで使う薪は、生木だと煙が出るので、できるだけ乾燥させたほうがいい。そこで薪を乾燥させながらストックできる薪棚が欲しい。薪棚は薪を収納するだけじゃなく、薪を乾燥させる場所でもあるのだから。

 

簡単に作れる薪棚。できれば薪は間伐した順に並べ、できるだけ乾燥が進んだものから使うようにしたい

 

びっしり並んだ薪の木口群は、薪ストーブのある暮らしのシンボルだ

房総の里山にあるドゥーパ!のガーデンスタジオにはピザ窯もあるし、薪ストーブもあるし、ロケットストーブもある。そこで使用する薪は、玉切りした間伐材を割ったものだが、資材置き場の隅に置いてあったり、ピザ窯の横に積んであったりして定位置がなかった。適当に乾燥した薪を選んで使っていたのだが、乾燥期間がわからないので、薪を放り込んでみたらピザ窯の中が煙だらけになるということもあった。

そこで、風通しがよくて、取り出しやすいところに薪棚を作ることにした。薪は間伐した時期がわかるように順番に並べ、できるだけ乾燥の進んだ薪から使うようにすればいい。

選んだ場所は以前建てた高床式の小屋の軒下。ここなら適当に風が吹き抜け、乾燥しやすい。薪は冬の間、薪ストーブで使ったり、週末ピザ窯に使う程度だからそれほど大規模なものは必要ない。

製作は半日で十分だった。まず、古いブロックやレンガ敷きのテラスに基礎パッキンを置き、その上に1本柱を立てて小屋の壁に固定。これを基準にして、残った柱、横桟、棚板の受け、屋根の下地などを取りつけて骨組みを作る。あとは屋根材を張り、棚板を載せて固定し、最後に塗装をしてできあがり。幅約1800×奥行約400×高さ約1600mmの小さな薪棚だ。棚は2段にした。2×4材、垂木、サイプレス(豪州ヒノキ)などの廃材を活用したから、費用はほとんどかかっていない。屋根材は、以前小屋の製作で使ったオンデュリンの波板の残りだし、基礎パッキンは住宅建設中の現場からもらってきたものを使用。棚板は古くなってはがしたデッキの床板だ。

 

<簡単な薪棚の作り方手順>

 

2×材の接合パーツを使えば、さらに簡単

もちろん、薪棚はいろいろな作り方があっていい。

いちばん簡単なのは、たとえば、プラスチックや金物などを使った2×材の接合パーツを使って組んでいく方法だろう。2018年の夏の終わりに、千葉の幕張メッセで開かれたDIYショウで本誌がプロデュースしたテーマゾーンには、プラスチック製の「シェルフリンクス」というパーツを使った薪棚を飾っていたが、あれは本誌のスタッフが、現場でほんの数十分で組んだもの。シェルフリンクスは1個600~900円程度かかるので、大規模な薪棚を作る場合は、それなりに費用はかかるけれど、DIYビギナーやめんどくさがり屋にはおすすめ。

また、降雪地域など、頑丈で大規模な薪棚が必要になるところでは、単管パイプでガッチリ組んだり、鉄骨構造にしたり、それなりの対応が必要だろう。ほかにも、見た目にもかっこいい薪棚の自作キットや市販の薪棚も用意されているが、これは価格がやや高い傾向にある。

 

DIYショウのテーマゾーンでは、棚の接合パーツ(シェルフリンクス)を使った超簡単な薪棚を置いた

 

さっそく、できあがった薪棚に薪を積み上げてみた。焚きつけに使える細かな薪は、まとめて小さなコンテナに入れ、薪棚の下に。あとは、乾燥期間の新しいものから順番に薪を積んだ。不定形の薪の木口がびっしりと並んだ様もけっこう美しい。

これで冬の薪ストーブライフも安心だ。これなら、薪を割るモチベーションも上がるはず。簡単な薪棚作り、まずは大成功!

 

薪を作るなら、本誌オリジナルの薪割り機が便利

ちょっと宣伝。というよりホントにおすすめしたいのが、dopaの通販コーナー「dopa SHOP」で販売している「オリジナル薪割り機」を使った薪作りだ。大きな節さえなければ、女性でも簡単に薪が割れる画期的なツールで、これは2017年と2018年のDIYショウの実践で証明済み。使い方は、ステンレスの棒をシャカシャカとスライドさせて、玉切りした丸太の木口に打ち込むだけ。大した力はいらず、簡単に薪が作れる。DIYショウで初めて使った人の誰もが「なるほど…」と、納得していたすぐれものツールだ。

 

文・写真◎脇野修平

*掲載データは2018年10月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

バーベキュー炉つきヘキサゴンガゼボ&カントリー調のサークル囲炉裏を作っちゃいました!

イメージしたのはアジアン風!バーベキュー炉つき!ヘキサゴンガゼボ

六角形のガゼボ&バーベキュー炉。支柱には丸太、フレームには角材と2×材を使用。床にはインターロッキングを敷きつめ、枕木でエッジングした

 

<DATA>
Tさん(62歳)
DIY歴…10年
製作期間…約3カ月
製作費用…約5万円

 

Tさんお手製のガゼボ構造図

 

「ワイワイガヤガヤ!」約20人ほどの仲間と同時にバーベキューが楽しめる六角ガゼボを作ったのはTさん。

たまたま農作業小屋に余っていた300mm径×長さ8mの丸太に着目し、これをガゼボの支柱に使用。半径2mの円を描き、そこから2m間隔に塩ビパイプを埋めることにより、支柱の基礎を作ることに成功した。「六角形という構造上、垂木の角度切りなどは苦労しました」と製作を振り返る。

イメージはアジアン風ということから、屋根の内側によしずを張り、材にはすべて黒色の防腐剤を重ね塗りするというこだわりぶり。

ガゼボ内部は、床部分にインターロッキングを敷きつめ、砂決めで仕上げ。中心の炉の部分は瓦チップを詰めて、この上で炭を熾して、鉄板焼きやバーベキューを楽しむのだ!

 

基礎は中心から半径2mの位置に、2m間隔に30mm径の塩ビパイプを地面に埋め込む。ここに支柱の丸太を入れ、水平垂直を調整し、モルタルで固定

 

屋根の内側はよしずを張り、アジアの雰囲気を演出。垂木の角度切りには苦労したとか

 

ガゼボの屋根の下はインターロッキングを敷きつめ、砂決めで仕上げた。角や隅はディスクグラインダーでカットしたものをはめ込んだ

 

ガゼボの中心に作った1m径のバーベキュー炉。灰のかわりに瓦チップを敷きつめてあり、この上で炭を熾す。炉の上には丸棒を溶接したロストルをセット

 

四角でも和風でもない!常識を覆すカントリーデザインのサークル囲炉裏

直径72cmの鉄の大鍋を囲炉裏の炉として使用。五徳の上にはエキスパンドメタルで作った焼き網をセット。ここに鍋を置いたり、スルメなど渇き物をあぶったりするそう

 

<DATA>
Yさん(68歳)
DIY歴…50年
製作期間…約3カ月
製作費用…約2万円

 

「四角くて和風」という囲炉裏の常識を覆す洋風囲炉裏がこちら。囲炉裏の炉として直径72cmの鉄の大鍋を利用したサークル型のテーブル囲炉裏だ。

炉を支える台は鉄丸棒を溶接して製作し、ここに補強を兼ねた装飾を溶接。これだけで洋風なテイストがグンとアップ! テーブル囲炉裏の天板は、円形にカットした木材を白くペイント。炉に灰を入れてゴトクをセットすれば、あら不思議。カントリーテイストのポットもぴったりな爽やかなテーブル囲炉裏が完成。

なお天板と炉台の鍋を取り外すことができるので、屋外でも室内でも好きな場所に設置できるのも特長。夏は野外でバーベキューパーティー、冬は屋内で鍋をつつく…なんて1年中遊べる囲炉裏なのだ!

 

大理石の天板を載せればガーデンテーブルに。なおテーブルを囲むアイアンチェアもYさんのDIY

 

このように室内でテーブル囲炉裏として使ってもOK

 

囲炉裏なのに、こんなカントリーデザインのポットでも違和感なし!

 

テーブル天板は下地に黒を塗り、白を重ねた後、ペーパーで木目が出るよう研磨。仕上げに2液ウレタン(半ツヤ)でコーティング

 

天板を支える台は、13mm径の鉄丸棒を溶接して自作したもの

 

写真◎伊勢和人、製作者提供

*掲載データは2012年12月時のものです。

全国各地のロケットストーブライフ実例集/庭でロケットストーブを愉しもう!(3)

自作ストーブのバリエーションのひとつとして、まだまだ根強い人気を誇るロケットストーブ。以前にも本誌で少しだけDIY事例を紹介したが、簡単に手作りできて、機能性も上々と好評の様子。そうなるとじっとしてられないのが、われらドゥーパ!編集部。庭で火を愉しみ、アウトドアクッキングを堪能すべく、ロケットストーブ作りに挑戦だ~!

Version A 一斗缶&薪ストーブ用煙突による簡易型ロケストの作り方はコチラ
Version B 耐火レンガ&コンクリートの常設型ロケストの作り方はコチラ

 

File1 どっしり固定型!自然石で覆ったワイルドストーブ

by Mさん(長野県)

石積みの中に2本の燃焼部が並ぶ、威力抜群のロケットストーブ。カレーもご飯も一気にイケるぜ!

 

ロケットストーブをテスト製作したところ、想像以上に燃焼効率がよく感動。ガーデンコンロとして活用するために石積みの固定型を作った。燃焼部は煙突部材のT曲と直筒を組み合わせて製作。周りを灰と自然石で囲って断熱層にした。石を積んでは灰詰めを繰り返し、大きめのすき間にはモルタルを流し込んで固定している。

 

製作中の様子で燃焼部の構造がわかる。内側には灰がたっぷり詰まっている

 

File2 持ち運べる!アイアンロケットストーブ

by Sさん(山口県)

煙突上端の四隅に取り付けた鉄筋は五徳。持ち手と脚も鉄筋で作った

 

12.5cm角の鉄パイプ材で作ったロケットストーブは、奥行き34×高さ56cm。持ち運べる小型サイズだ。冬場は垂直部が冷えて燃焼効率が悪くなるため、トタンを巻いて使う。が、「手元にあった廃材で作ったんだけど、もっと断熱性を考慮した方がよかった…」とか。最適な資材を調達して、再挑戦したいそう。

 

小さくても火力はバッチリ!

 

長い薪も燃やせるよう、鉄筋で作った補助具を焚き口にセットして使う

 

石焼きイモは40~45分で焼き上がるそう

 

File3 煙突高90cmで調子上々!据え置き型キッチンストーブ

by Uさん(北海道)

煙突上端は右がレンガ、左がメガネ石を敷いている。左の羽釜では米を炊いているところ。米に十分に水を吸わせ、強火で一気に沸騰させたら弱火(燃料を足さない)で15分。十分に蒸らせば美味しいごはんができあがるそう

 

森の中でガスコンロのように普通に使えるものにしたいと、ふた口・据え置き型のロケットストーブを製作。据え置き型だが、メンテナンスしやすいように、地面に固定していないのがポイントだ。外壁材(サイディングボード)と木材で枠を作り、その中に燃焼部となる煙突を仕込んで、火山灰を詰めている。煙突の高さは90cm。炎の引きがよく調子がいいそう。

 

枠の中にはこのように煙突が収まる。空いたスペースに火山灰を充填したらほぼ完成

 

こちらはUさんが初めて作ったロケットストーブ。高さ60㎝で炎の引きが悪かったため、高さ90cmのものを製作することにしたようだ

*掲載データは2012年12月時のものです。

すごいぞ丸太のロケットストーブ!簡単なチェンソーワークで作れます!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(18)

玉切りにした丸太に、チェンソーで簡単な加工を施すだけで、ものすごいロケットストーブができるって知ってますか? 実は、たいしたことないだろうと思って試したら、びっくり仰天! その威力、ハンパじゃありませんでした! 里山の間伐推進のためにも、ぜひ、おすすめします!

 

 

仲間が、これはいい!と感動

2016年秋、八ヶ岳の麓で開催した本誌主催のフリマイベント「Dʼsマーケット」で出会ったOさん(長野県伊那市在住・72歳)から、ヒノキの丸太で作ったロケットストーブをいただいた。これを持ち帰り、使ってみたときの衝撃が忘れられない。点火口に乾燥したスギの葉を敷いて着火すると、ものの2~3分で火柱が上がり、耳を傾けると「ゴーッ」という音さえする。さっそく水を入れた鍋を載せてみると3分で沸騰し、その後、約2時間火柱を出し続けたあと、燃え尽きた。その場にはふたりの仲間がいたが、それぞれが「これ、使える…」「チェンソー1本でできるんだ…」と、ちょっと感動した様子だった。

これに似たログトーチとかスエーデッシュトーチとか呼ばれるものもあるが、多くは丸太の天頂部からチェンソーで切れ目を入れ、上から着火するタイプのもの。Oさんの丸太のロケットストーブは、丸太を2分割、あるいは3分割し、芯部分を削り取り、さらに点火のためのすき間(横穴)を最下部に作ったあと、カスガイを使って、再び丸太に戻し、天頂部には、五徳代わりのカスガイを打ち込んであるというもの。つまり下のすき間から着火すると、煙突効果によって、ものすごい勢いで火柱があがる。強力な調理機器にもなるし、暖房機器にもなる。もちろん、災害時の緊急熱源としても有効に違いない。

ちなみに、先日、前出のOさんのお宅に伺い、実際に丸太のロケットストーブ作りを見せてもらったが、前述の方法以外にも、いくつかの加工パターンがあることもわかった。要は、丸太を分割し、丸太の芯部分を削って、煙突のような溝を作り、なおかつ丸太の根元近くに点火口(横穴)を作ればいいわけだ。さらに、丸太の分割はチェンソー1本でもできるが、場合によっては、クサビを使うとさらに楽だということも知った。

ここでは、チェンソーとクサビを使って、丸太を3分割し、次に3分割したうちのひとつに溝(煙突部)と点火口の加工をするという方法を紹介してみたが、他にもチェンソーでツッコミ切りするとか、大口径のドリルビットを使うとか、いろいろな方法がありそうだ。

 

丸太のロケットストーブの作り方

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

こんな加工パターンもあります

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2017年8月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

耐火レンガ&コンクリートで常設ロケストの作り方/庭でロケットストーブを愉しもう!(2)

自作ストーブのバリエーションのひとつとして、まだまだ根強い人気を誇るロケットストーブ。以前にも本誌で少しだけDIY事例を紹介したが、簡単に手作りできて、機能性も上々と好評の様子。そうなるとじっとしてられないのが、われらドゥーパ!編集部。庭で火を愉しみ、アウトドアクッキングを堪能すべく、ロケットストーブ作りに挑戦だ~!

Version A 一斗缶&薪ストーブ用煙突による簡易型ロケストの作り方はコチラ

 

そもそもロケットストーブって?

ロケットストーブの要は、断熱され、真っすぐに立つ煙突。これができれば、ロケットストーブはほぼ完成したといってもいい。あとは、煙突の下端に焚き口を設け、そこに薪を入れて燃やすだけ。このように、原理的な構造はとても単純だ。

そもそも真っすぐに立つ煙突は上昇気流を生んで燃焼効率を高めるものだが、断熱することで内部がより高温になり、上昇気流が増すとともに二次燃焼が起きるといわれる。つまり、燃焼効率がさらに高まるわけで、薪のエネルギーを有効活用でき、煙の排出が少なくなる。これが、ロケットストーブの機能が賞賛される理由だ。

なお、ロケットストーブには、煙突を横に延長させるなどして室内の暖房に利用するタイプもあるが、ここでは屋外での調理・焚き火用にターゲットを絞っている。

ちなみにロケットストーブの名称の由来は、完全燃焼状態となったときにゴーゴーと轟く吸気音がロケットのようだから、というのが有力のようだ。

Version B 耐火レンガ&コンクリートで常設のロケットストーブを作る

レンガを積むだけでも、ロケットストーブは作れる。が、しっかり固定して常設しておけば、毎回組み立てたり片付けたりする手間が省ける。庭の構造物として見栄えがよく、バーベキュー炉やピザ窯にも利用できるマルチなロケットストーブ作りに挑む!

こんなロケットストーブができました~!

 

天板の上に耐火レンガを並べ、内側に炭を入れて焼き網を置けば即席バーベキュー炉に!

 

耐火レンガを積んで壁を作り、大判の大谷石を載せればピザ窯に!

 

<使用資材一覧> *材料費の目安:約2万5000円

砂(20kg)6袋
砂利(20kg)6袋
セメント(25kg)1袋
コンクリートブロック30個
鉄筋(10×1000mm)12本
結束線
耐火レンガ38個(バーベキュー炉、ピザ窯の分は別)
耐火コンクリート(アサヒキャスターCA-13T/25㎏)1袋
仕上げ用モルタル(3㎏)4袋
シールシート
シーラー
多用途塗料

 

<使用道具一覧>

スコップ(穴掘り)
自作タンパー(突き固め)
水平器(水平の計測)
メジャー(計測)
トロフネ(コンクリート、モルタル練り)
練りクワ(コンクリート、モルタル練り)
プラスチックゴテ(水平に均す)
ブロックゴテ(モルタルを盛る)
サシガネ(計測、墨つけ)
ダイヤモンドホイールを装着したディスクグラインダー(ブロック、レンガのカット)
ペンチ(結束線を結ぶ)
ハンマー(ブロックのカット、鉄筋を打ち込む)
目地ゴテ(目地入れ)
金ゴテ(仕上げ用モルタル塗り)
カッター(シールシートのカット)
ローラー、ハケ、塗料バケット(塗装)

 

CHAPTER1 デザインを決める

レンガをどんな形に組み合わせれば機能的なロケットストーブになるのか?まずはアレコレ試した上で、デザインを決定する。

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

CHAPTER2 常設型ロケットストーブを作る

決めたデザインどおり、耐火レンガを耐火コンクリートで固定する。が、その前にブロック積みの土台を作って、使いやすい高さにかさ上げ。

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

常設型ロケットストーブを使ってみました

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

*掲載データは2012年12月時のものです。

一斗缶&薪ストーブ用煙突による簡易型ロケストの作り方/庭でロケットストーブを愉しもう!(1)

自作ストーブのバリエーションのひとつとして、まだまだ根強い人気を誇るロケットストーブ。以前にも本誌で少しだけDIY事例を紹介したが、簡単に手作りできて、機能性も上々と好評の様子。そうなるとじっとしてられないのが、われらドゥーパ!編集部。庭で火を愉しみ、アウトドアクッキングを堪能すべく、ロケットストーブ作りに挑戦だ~!

 

そもそもロケットストーブって?

ロケットストーブの要は、断熱され、真っすぐに立つ煙突。これができれば、ロケットストーブはほぼ完成したといってもいい。あとは、煙突の下端に焚き口を設け、そこに薪を入れて燃やすだけ。このように、原理的な構造はとても単純だ。

そもそも真っすぐに立つ煙突は上昇気流を生んで燃焼効率を高めるものだが、断熱することで内部がより高温になり、上昇気流が増すとともに二次燃焼が起きるといわれる。つまり、燃焼効率がさらに高まるわけで、薪のエネルギーを有効活用でき、煙の排出が少なくなる。これが、ロケットストーブの機能が賞賛される理由だ。

なお、ロケットストーブには、煙突を横に延長させるなどして室内の暖房に利用するタイプもあるが、ここでは屋外での調理・焚き火用にターゲットを絞っている。

ちなみにロケットストーブの名称の由来は、完全燃焼状態となったときにゴーゴーと轟く吸気音がロケットのようだから、というのが有力のようだ。

 

Version A 一斗缶&薪ストーブ用煙突で簡易型ロケットストーブを作る

まずは安価な材料で手軽に作れるロケットストーブにトライ。これは、DIYでの製作事例が多いポピュラーなタイプ。簡単だけど、実力はバッチリだ!

18L缶(いわゆる一斗缶)のサイズは幅約240×奥行約240×高さ約350mm。コンパクト!

 

高温で燃える焚き口の内部

 

<使用資材一覧> *材料費の目安:約4000円

天切り缶(18L・フタ込み)、ステンレスハゼ折りシングル半直筒(106mm径)、ステンレスハゼ折りシングル・エビ曲90度(106mm径)、パーライト(14L)1袋

 

<使用道具一覧>

金切りバサミ、バール(缶に穴をあけられるものならなんでも可)、定規、メジャー、マジック、石工ハンマー(カナヅチでも可)、皮手袋、アルミテープ

 

煙突と容器と断熱材。という一番簡単な基本形のロケットストーブを作ってみた。工作は簡単で、取材の撮影をしながらでも1時間以内で製作できた、コンパクトかつ、実用的なモデルだ。

材料は燃焼部になる薪ストーブ用のステンレス煙突、容器になる18L天切り缶(いわゆるフタ付き一斗缶)に、断熱材になる園芸用のパーライト14L(15Lでも可)を用意する。

工作は容器となる天切り缶のフタと本体に煙突を通す穴をあけ、煙突を通し、天切り缶のすき間にパーライトを充填してフタをすればできあがりだ。

パーライトは大変に軽い資材なので、ロケットストーブ自体もとても軽く、女性でも簡単に持ち運べるので、ピクニックやキャンプに持ち込むこともできる。

焚き口に割り箸や枯れた杉の葉など、点火しやすい燃料を押し込み点火。これに十分火が回ったら、煙突の上からよく乾いた薪を縦に落とし込めば、すぐに薪に火が移って、本格的に燃焼する。

 

<製作手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

煙突の上にゴトクを載せれば料理用ストーブになる。煙突上端とゴトクのすき間は写真のように広めに設定すると、空気の流れがよくなり燃焼効率が上がる

 

ちゃんと燃えると炎は螺旋形に回りながら煙突から噴出してくる。これくらい燃えると、煙は出ない

 

料理してみた!

ロケットストーブの構造上、燃焼中は火加減の調節が難しいが、湯を沸かしたり、煮込んだりには便利に使える。火勢の強さでチャーハンなど中華料理には使いやすそう。ゴトクの上に鉄板を敷き、その上にフライパンを置くなど、火勢の調節をすれば、モチや肉、魚を焼いたりもできる。

4Lのナベで何かが煮込まれる。火にかけて5分経たずに沸いてくる

 

ナベの中では編集長特製の豚汁が煮込まれていた。ロケットストーブ完成から30分後には豚汁にありついた

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時のものです。

オイル缶を使って初めての竹炭作りに挑戦!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(15)

12月の新月のときに伐採した真竹が乾燥し、ようやく竹炭焼きに取りかかれる時期になった。オイル缶を使った初めての竹炭作り。うまくいくだろうか?やってみなくちゃわからないけど、ちょっとワクワク、ちょっとドキドキ。でも、森のなかの炭焼きって、気持ちいいっす。

 

2~3分割し、乾燥させた真竹。本当は肉厚な孟宗竹のほうがよかったのだが、太めの真竹なら大丈夫と判断

 

窯を取り出し、運命のフタあけ。な、なんと!これは炭なのか!?

 

超簡単な窯作り、前途は明るい…

溝口秀士さんという方が書いた『すぐにできるオイル缶炭焼き術』(創森社刊)という本がある。「すぐにできる」というところが気に入って、さっそく購入し、その実践機会を待っていた。昨年の12月、山から真竹を切り出して2~3分割したものを乾燥させておいたのだ。1カ月以上経ち、ついにその時が来たのだ。

ただし、頼れるのは、溝口さんが書いた『すぐにできるオイル缶炭焼き術』だけ。しっかりと読み、なるべく素直にそのやり方を踏襲することにした。

まず窯を作らなきゃいけない。用意するのは使用済みのオイル缶。これは近くの整備工場でもらってきた。あとは煙突。溝口方式では「波トタンを巻いたもので代用」だったが、これは物置にあったストーブ用の古い煙突をそのまま利用。これをディスクグラインダー、金切りバサミ、ペンチなどで加工し、写真のような窯を作った。ここまでは超簡単。前途は明るい。

 

<オイル缶の窯の作り方>

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森に漂う炭焼きの煙と香り、これが幸せの時間…

某月某日、いよいよ決行の朝がきた。地面に穴を掘り、窯を沈め、煙突をドッキングさせてセッティングする。窯の底に竹を2段に敷き、その上に、竹を立てた状態でびっしりと詰め込む。ついでにお茶の空き缶に松ぼっくりや栗のイガなどを詰め込んだものを入れてみた。これも炭になるらしい。窯の周囲を土で埋め固め、これで準備OK。着火まであと少し。見上げれば、森に陽光が差し込み、小鳥のさえずりなんかも聞こえてくる。まさにイメージどおりの炭焼き日和。

まず、詰め込んだ竹の上に、乾燥したスギの葉や枝などの焚き付けを載せて着火。即うちわで扇ぎ、煙突から煙が噴出してきたのを見届けると同時に、空気口が煙突と反対側になるようにフタを閉め、今度はフタの空気口をあけて、うちわでパタパタと扇ぎ立てる。煙突から白い煙がもうもうと立ち込め、あたりに霞みがかかる。そこに陽光が差し込み、乱反射し、小鳥のさえずりがまた一段と激しくなる。これが、清く正しい、森の暮らしなのだ。

続いて、まだやることがたくさんある。焚き付けがなくなってきたら、空気口からさらに新しい焚き付けを投入し、追い炊きし、窯の温度を高くし、それに合わせて、空気口を少しずつ閉めていき、さらに煙突の煙が透明になってきたら、ふたたび空気口を5分ほど全開し、次にふたたび空気口をふさぎ、窯全体に砂をかけて密封し、最後は煙突まで抜いて、砂で埋める…などということらしいのだが、そのへんから雲行きがおかしくなってきた。

 

<竹炭の焼き方>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

第一、窯の中がどうなっているのかわからない。頼りは煙突の煙だが、透明なのか、ただ単に出ていないのかも不明。意味もなく空気口を開け、うちわで扇いで、煙を出してみたりもしたが、ま、とにかく、「竹炭は2時間でできる」を信じて、じっと待ったあと、意を決して、窯を取り出し、フタを開けてみた。すると、な、なんと、炭らしきものが窯の中でしっかと立ち並んでいるではないか。ただし、正直に言おう。それは、炭らしきものではあったが、天に向かって、これは炭だとは言えないものだったのだ。半分は炭だが半分は茶色かったり、焦げている竹だったり…。思い当たる失敗の原因は多々ある。排煙口のすき間を完全にふさがなかったり、もしかしたら竹の乾燥も足らなかったのかもしれない。うちわのバタバタが足らなかったのかもしれない…などと反省しつつ、青空にリベンジを誓った。

PS:大量の「炭のようなもの」は、部屋の脱臭剤として活躍しています。

 

これは炭と言っていいんだろうか?炭焼きは、何回か失敗を繰り返して覚えるしかない?!

 

松ぼっくりも結構面白い炭になった

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2016年8月時のものです。

 

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デザイン、使い方、遊び方自由…!鉄鍋でファイヤープレイスを作ってみた/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(14)

焚き火が嫌いだという人に会ったことがない。夕闇のなかでチロチロと燃える炎を前に、人はいろいろな想いを馳せ、寡黙になって火を見つめる。そんな時間が人生には必要だと思うのなら、庭にファイヤープレイスを作ろう。都会じゃできない。里山暮らしの特権だ。

 

小さな焚き火の思い出

ファイヤープレイスというと懐かしい思い出がある。ずいぶん昔、若い人類学者とふたりで、東アフリカのサバンナの1本道を果てしなく歩いたことがある。疲れ果て、やがて荒野にポツンと棘の木が1本だけ立っている場所にたどり着き、ここでひと休みすることにした。小さな焚き火の跡があり、我らも石を集めて火床を作り、小枝を集めて、肉を焼いた。そのとき石の下に吸いかけのタバコを発見したのだ。

人類学者が言うには「これは数日前にここを通った人からのプレゼントだ」と。つまりそれは、厳しい自然を生きる旅人同士の連帯の挨拶だという。

我らは暮れゆく光のなかでその吸い殻に火をつけ、スワヒリ語の古い言い伝え「山と山は出会えないが人と人は出会える」(ミリマハイクタニ ラキニビナダムフクタナ)を地でいく体験を楽しんだ。小さな炎にまつわる、アフリカの旅の思い出だ。

 

そんな炎を庭で楽しむために、ファイヤープレイスを作りたい。アフリカでは3個並べた石の上にコッヘルを置き、小さな火をおこすだけだが、庭で灯りを楽しみ、暖を取り、焚き火料理をするなら、やはりある程度大きなファイヤープレイスを作りたい。

いろいろなパターンがある。石、レンガ、枕木、砂利、モルタルなどを組み合わせて、好みのデザインにすればいい。ここでは、たまたま実家の庭で池の代わりに使っていた、大きな古い鉄鍋を掘り出し、焚き火台として使ってみることにした。直径約90cm、深さ約40cm、4~5人が火を囲むにはちょうどいいサイズなのだ。

 

鉄鍋でファイヤープレイスを作った

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

まず地面にくぼみを掘り、鉄鍋をどすんと置く。次に、周りに石(タフステンストーン)を置いた。鉄鍋だけよりも、このほうがデザイン的に落ち着くし、足置きや食器や食材などを置く場所にもなる。次にエキスパンドメタルを丸くカットし、鉄鍋のなかにはめた。すき間が下にでき、この上に置いた薪がよく燃える。まずは成功だ。

後日、雨が降った。雨を避け、屋根つきのデッキで焚き火ができないか?そこで目に入ったのが輪切りにしたドラム缶の残骸。これをデッキに運び、その上に鉄鍋を載せてみた。火を使わないときは板を載せてテーブルにもなりそうだ。これはいい。

 

鉄筋のロープ止めを3本、番線でつないで三脚を作り、ダッチオーブンを吊るし、鍋料理を楽しむバージョンも考えてみた。かっこいいけれど、鍋がひっくり返りそうで怖いかも…

 

夜、雨音を聞きながら、鉄鍋に小さな火をおこし、遠きアフリカを旅した日々を思い出す。どうやら焚き火は記憶を喚起する装置でもあるらしい。そういえば誰かが言っていたな。年を重ねたとき、語るべき旅がない人生なんてつまらない…。DIYer諸君、一度作る手を休めて、旅をしよう。

 

網を載せ、ポトフを温めて食べた

 

日が暮れてきて、ファイヤープレイスに着火。じっと炎を見ていると昔の記憶が蘇る

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2016年6月時のものです。

 

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ドゥーパ!が実感した必修ポイント教えます、これが正しい薪割りだ!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(13)

薪ストーブ、囲炉裏、ピザ窯、焚き火、BBQ…。里山暮らしには、何かと薪がいり用だ。そこで斧を振り上げ、せっせと薪作りに励むことになるのだが、けっこうこれが大変。で、今回は正しい薪の割り方、ここがポイント集。けっこう深~い世界なんだぜい…。

 

薪割りは里山暮らしの基本

薪がなくちゃ始まらない。これがD型の里山暮らしの基本だ。そこで薪をいかに要領よく確保するかが大問題になる。ドゥーパ!のガーデンスタジオがある房総の里山の暮らしも、木工で出た端材はもちろん、敷地内の森で間伐した材や立ち枯れた木、近くの山歩きで見つけた倒木などを利用し、せっせと薪作りに精を出すわけなのだが、これがとっても大変。柔らかくて軽いスギ材ならまだしも、コナラやスダジイ、クリの木などの硬木となると、チェンソーを使った玉切りさえもけっこうな作業になる。そしてさらに大変なのが、玉切りした材を薪にするための薪割り。斧でエイ!とやったあと、上半身裸になって、光る汗を拭くのは古い青春映画の話で、実際には、七転八倒、顔を歪め、腰を痛め、空振りし、腕を捻り、疲れ果て、最後に嫌になって斧を放り投げる。そこで、今回そんなあなたに捧げたいのが、里山暮らしの正しい薪の作り方。

 

POINT1 丸太の玉切り台を作ろう

2×4材8本を使って作った玉切り台。丸太を載せて動かないようになればいい。自分が作業しやすい高さにしたい

 

間伐した長めの材を必要な長さに玉切りするためにぜひ用意したいのが専用の玉切り台。丸太を載せて動かないようにしてチェンソーで玉切りする。ある程度の高さがあるので、腰が楽なのが一番。地面に置いたまま玉切りして、ソーチェンを傷めることもない。写真は2×4材で作ったもの。単純構造だから、簡単DIYで作れるはず。

 

丸太を載せてチェンソーで玉切り。安定した作業ができる

 

POINT2 一度使ったら離せない、リフティングトング(丸太はさみ)

リフティングトング。直径270mmまでの丸太をつかめる

 

玉切りした丸太を腰をかがめてつかむとき、腰にけっこうな負担がかかるが、そんなとき涙が出るほど嬉しいのがリフティングトングと呼ばれる丸太はさみ。氷屋さんが使う氷ばさみと同じ原理で、丸太をしっかりつかむツールだ。森から丸太を運ぶときや玉切り台に載せるときなど、あるとないとでは全然違う。たとえば2個用意してふたりで使えば、長くて重い丸太の移動もホントに楽なのだ。ドゥーパ!で使ったのは、ファイヤーサイド(株)から発売されているリフティングトングで、価格は約4200円。腰を痛め、鍼灸治療をすると1回5000円以上かかることを考えたら……おすすめです。

 

丸太をひっかけるとき、腰をかがめないのでとっても楽。この状態で移動できるので、山から丸太を運び出すときにも便利

 

POINT3 感動しました!焚きつけを作るなら、キンドリングクラッカーが超便利

これがキンドリングクラッカー。約1万5000円。ファイヤーサイド(株)から発売中

 

薪を燃やすには、まず細くて火つきがいい焚きつけが必要だが、その焚きつけを作るためにめちゃくちゃ便利なツールが「キンドリングクラッカー」。リングに囲まれた刃に薪を載せ、軽く支えながらハンマーで叩くだけで簡単で安全に細い薪が作れるというもの。力がいらないし、ハンマーの的をはずすこともない。これなら女性でも安心して細い薪が作れるはず。

 

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POINT4 斧割りは、腕を伸ばして、足の位置を決めるのがポイント

薪材を薪割り台の中心より遠くに置くこと。腕をまっすぐ伸ばして斧を持ち、斧刃が薪材に当たる状態で足の位置を決める。防護メガネ、安全靴、グローブは必要

 

まず太くて硬い丸太を利用した薪割り台は必要。それも割る人の膝より低いものを用意しよう。玉切りした材をこの台に立て、斧で割るのだが、ポイントは薪材を薪割り台の向こう半分に立てること。斧が薪の材に当たり損ねたとき、斧が台に当たるようにするためだ。次に割る人の格好だが、防護メガネと安全靴、滑り止めのグローブは当然必要。ヘルメットがあれば完璧だ。これで準備はOK。

まず、腕を真っすぐ伸ばし、柄のにぎりを両手でしっかりにぎり、斧の刃を薪の材の中心に当てた状態で、足の位置を確認。これが正しい足のポジションだ。続いて、片手は柄の尻を、もう一方は柄の少し中ほどを持ち、斧を肩に担ぐようにして振り上げ、柄の中ほどを軸に回転させるように振り下ろす。スナップを効かせ、力を加減し、斧自体の重さで割るのがコツだ。斧が材を打つ瞬間、斧の柄は水平になっているのが理想的だ。

 

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POINT5 堅い木はクサビを2本使って

薪割り用のクサビ。2個準備したい。写真は、特に割れにくい材に使用する「ねじりクサビ」。価格は1個約2300円。発売元:ファイヤーサイド(株)

 

薪割りとクサビ打ち兼用の「薪割り鎚(中大径木用)。価格は約2万2000円。発売元:ファイヤーサイド(株)

 

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POINT6 やっぱり電動薪割り機は偉大だった

これがMさんの愛機、XL7500R 7トンタイプ。材料の最大処理長さは53cm

 

なんといっても電動薪割り機。当たり前だがこれが一番楽。ただし高価なので、大量に薪を使うプロは別として、それほど普及はしていないはずと思っていたら、けっこう持ってる人がいるらしい。そんな電動薪割り派のうちのひとり、Mさん(51歳・会社員)のお宅にお邪魔して、電動薪割り機の威力を実感させてもらった。Mさんは、本格的ピザ窯を手作りし、週末のピザパーティーで、大量の薪を使うため、2~3カ月に1回、この電動薪割り機で薪割りにはげむ。

Mさんの愛機は、油圧式100V1500Wの7トンタイプ、XL7500Rという機種だ。定価は6万円台だが、ネット通販で7掛けで購入したので実際には4万円台。

さっそく、薪割りスタート。スイッチのオンオフはレバーの上げ下げだけ。薪材をセットし、スイッチをオンするとメリメリと裂け、アレヨアレヨと薪ができてくる。2分割だけでなく、4つ目刃を装着すれば4分割もできる。オーナーのやることといえば、そばに座って、材料をセットするだけ。ちなみに、本誌が持参した堅いコナラの丸太も簡単に割れた。

Mさんの愛機の粉砕力は7トンタイプ。機種によって、それよりも小さいものや大きなものもあるが、人によって「最低でも12トンタイプ」とか「20トンタイプ」とかいう人もいるが、7トンタイプでも十分という感触を得た。価格的にも、ネット通販で購入するとけっこう大幅なディスカウントをしているようだ。ピザ窯や薪ストーブなどで大量に薪を作る人は十分購入の対象にしてよさそうだ。

 

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取材・文◎脇野修平

*掲載データは2016年2月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

縁側から出入り可能なミニ囲炉裏小屋は、まさにプライベート居酒屋!

小型の囲炉裏は昔使っていたものを再利用。テーブルは2×材を張り合わせて製作。また、味のある自在鉤は友人からもらったもの。壁にはLEDライトを仕込み、間接照明に。写真右のはめ殺しの窓はポリカーボネイトで自作

 

<DATA>
Nさん(57歳、遊漁船船長)
DIY歴…20年
製作期間…約1週間
製作費用…約10万円

 

 

縁側に面した庭に一坪の囲炉裏小屋を作っちゃったNさん。縁側のガラス戸を開ければ、そこは居酒屋!ということで仲間とワイワイ盛り上がっている。

1坪とはいえ、囲炉裏小屋の設備はなかなか本格的。テーブル囲炉裏の周囲に毛布を取り付け、ベンチの下部は収納スペースに。壁面にはLEDライトで間接照明をセット。電気も通っているのでテレビや電化製品を使用することも可能。もちろん換気対策として、換気扇の取り付けもばっちり。

小屋自体は躯体に2×材を使用し、床、壁下地には合板をチョイス。屋根は母屋の軒を利用して垂木を取り付けた片流れ屋根とした。

このあまりに気軽に出入りできる環境…気がついたら常にお酒を片手に囲炉裏小屋にこもってしまいそう。

 

縁側から直接出入りできるので、部屋がひとつ増えたよう。自在鉤は屋根の垂木にハンガーのようなコの字の金具を固定し、吊り下げている

 

囲炉裏ベンチの下は収納スペースに。座板には廃材のマットレスを使用

 

庭から見た囲炉裏小屋の外観。サイズは幅1800×奥行1800×高さ2500mm。外壁には市販のサイディング材を使用

 

小屋の躯体は2×材。床はコンパネ2枚を重ね張り。屋根は母屋の軒を利用して垂木を固定。波板で仕上げた

 

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

ピザ窯&囲炉裏のある”火遊び”三角小屋で思う存分、火と戯れる!

ピザ窯×囲炉裏という最強の組み合わせを実現。原始的ともいえる大ぶりの自然石を並べて作ったダイナミックな囲炉裏に心躍る

 

<DATA>
Tさん(57歳、施設職員)
DIY歴…12年
製作期間…約2カ月
製作費用…約20万円

 

 

部屋の中の囲炉裏なんかじゃなく、もっと火を思う存分遊ぶスペースが作りたい!」とTさんが作ったのは、弥生住居や合掌造りをイメージし、外壁を竹で覆った超個性的な三角屋根の小屋。床はすべて土間で、石積みの囲炉裏とお手製のピザ窯を備えた〝火遊び小屋〟だ。

 

竹で覆われた個性的な小屋の外観。三角の形がどこかかわいらしい

 

囲炉裏は土間の上に直接500~700mm径の自然石をランダムに並べ、粘土で固定。炉内は100mmほど掘り込み、灰を入れている。囲炉裏自体のサイズは1400mm径と大きいので、ダイナミックな火を焚いて、鉄板ででっかい肉を焼くのが、家族にも友人にも大好評だとか。

 

囲炉裏に鉄板をセットしたバーベキューバージョン。この鉄板の上で焼くステーキがパーティーの目玉

 

囲炉裏を使用しないときは、お手製のテーブルを置いたテーブルバージョンに

 

屋根の構造材に吊るされた自在鉤と火棚。煤竹と黒竹を使用し、使用感を演出

 

自在鉤と火棚は竹を使って自作。火棚には煤竹と黒竹を使い、煙に燻された雰囲気を演出している。鉤と火棚は小屋の垂木にワイヤーをかけて吊るし、固定した。

「小屋を設置したのは家の裏手の畑なので、季節の野菜を使ったピザを焼きたてで食べるのが楽しみ」とTさん。小屋内で火を焚くので近隣への煙の心配や天気の心配もいらない。大火で料理が楽しめ、火を囲み“ほんわり”とした温かさを感じる空間を大満喫している。

 

自然石を積み上げた土台にレンガを積んで作ったピザ窯は、スクエア型の二層式。煙突は屋外まで伸びている

 

外から見たピザ窯煙突。雨が室内に漏れないよう、煙突と屋根との干渉部分はステンレスの板で塞いでいる

 

写真◎清水良太郎/イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

あらゆる非鉄金属を好きなサイズでお取り寄せ!プロ御用達の「白銅ネットサービス」が超便利だった!

白銅ネットサービスを活用すれば、こんな非鉄金属DIYが思いのままに楽しめる!

 

うまく活用すればもの作りの幅が大きく広がる!

アルミやステンレスなどの非鉄金属、鋼、プラスチック材料がインターネット上で24時間365日見積もり・注文できる「白銅ネットサービス」をご存知だろうか? 標準的なグレードはもちろんのこと、より耐熱性・強度にすぐれたタイプなど、ホームセンターではなかなか手に入らない素材を数多く取りそろえている。

特筆すべきは素材の豊富さだけでなく、注文した素材は任意のサイズでカットしてもらえるうえ、なんと最短で翌日納品。ホームセンターでのカットサービスは木材以外の加工に対応していないことも多いため、このサービスはうれしい。もともとは法人向けに展開していたサービスなので、品質の良さは折り紙つきだ。

 

注文した素材は全国に5カ所ある工場で加工され…

 

しっかり梱包して自宅までお届け!

 

白銅ネットサービスの使い方は以下で紹介しているとおり非常に簡単。木工以外のDIYにチャレンジしてみたいという読者は必見だ。キャンプギアやジグ作り、機械工作や小屋の建築材としてなど、用途はさまざま。こんな便利なサービス、利用しない手はないですぜ。

 

白銅ネットサービス
●問い合わせ
東日本お客様センター:eordertoubu@hakudo.co.jp
西日本お客様センター:eorderseibu@hakudo.co.jp
*サービスの利用にはユーザー登録が必要。登録完了には時間を要する場合がある

 

商品注文の流れ

*写真はPCでのお試し版のキャプチャー画面

 

1、素材・形状・商品名を選択

素材の品種、形状(板、丸棒、アングル、管・パイプなど)を選ぶと商品名の一覧が更新される。商品名にカーソルを合わせると簡単な特徴が表示されるが、詳細を知りたいときは同HPにある電子カタログを見ながらチョイスしよう

 

2、加工方法を選択

商品名を選択すると、それに応じて指定可能な加工方法が表示されるので選択する。標準切断に加えて、円形切断やフライス加工などに対応(加工パターンは電子カタログ「加工案内」の項目で確認できる)

 

3、寸法や個数などを決めて見積もり・発注

サイズ・個数を入力したら見積もり。下部に価格や納期など見積もり内容が表示されるので、そのまま注文登録へ。また、コーナー加工や面取りの有無、加工公差(指定の寸法との誤差の許容範囲)といったオプション加工も指定可能

 

ココがスゴい!1 調達するのが難しい材料が好きなサイズですぐに届く

商品のバリエーションはなんと5000を超える! アルミ、伸銅、プラスチックといった素材が、ホームセンターにはない形状・サイズで手軽に購入できるのが魅力だ。サイズは、たとえばアルミの平角棒なら約150種類(厚さ×幅 : 2×10~40×100mm)、アルミ板材は約60サイズ(厚さ1~350mm)をラインナップ。これらは1枚・1本からオーダー可能だ。さらに15時までにオーダーすれば、最短で翌日納品というスピーディーさもうれしい。

工業用として広く利用されている銅・真中(真鍮)。インテリアや家具の装飾に最適だ。とくに真中は磨けば金色に輝き、使い込めば経年変化で味わいのある色味も楽しめる

 

プラスチックもポリカーボネート・ポリエチレン・塩化ビニル・フッ素樹脂など、素材・形状ともに豊富にラインナップされている

 

アルミは多種多様な板材だけでなく、丸棒・四角棒・丸管・四角管・平角管・アングル・チャンネルと多くの形状を取りそろえている

 

写真のような極小サイズでの注文も可能

 

編集部注目の素材をピックアップして紹介!

<304#400研磨切板>

白銅オリジナル商品。一般的なステンレス板を上下両面とも#400研磨(鏡面に近いきれいな光沢を持った仕上げ)しためずらしい素材。建材、浴槽、キッチン用品によく使われる

 

<輸入52S縞板(切)>

アルミ板に滑り止めの突起模様をつけたアルミ板。チェッカープレートとも呼ばれている。床や階段、トラックのステップによく使われる。無骨な雰囲気で、室内の装飾にも良さそう

 

<PPSジュラファイド(R)切板(白)>

耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、機械加工性などすべての特性にすぐれたエンジニアリングプラスチック板。耐薬品性においてはフッ素樹脂やPEEKといった樹脂に代わる素材として注目されている

 

<S50C切板>

鋼は炭素量の含有率が高いほど硬くなるが、一方でもろくなっていく性質を持つ。S50Cは炭素量0.47~0.53%とちょうどいい量の炭素が含まれており、硬さと強さを兼ね備えた鋼材といえる

 

ココがスゴい!2 プロ仕様の高品質な仕上がり

各素材は専用の加工機で高精度に加工。たとえば長さ100mmのオーダーに対して、丸鋸切断では100~101mmの範囲で切り出されるが、フライス加工で注文すると99.95~100.05mmと、オーダーに対しての誤差をさらに小さくできる。DIYでここまで正確に加工するのは至難の業。寸法精度の高い材料が手軽に買うことができるのは非常に魅力的といえるだろう。

*素材や寸法によって対応できる加工・公差が異なる

通常の切断面(丸鋸切断)。刃の跡が残っているのがわかる

 

なめらかに仕上げたいときはフライス加工をオーダーしよう。*写真はコーナー加工済みのもの

薪ストーブを利用したカンタン野外囲炉裏・田舎の庭で気兼ねなく火と遊ぶ!

陽の落ちた庭で、酒を片手に揺れる火をじっと見つめる。至福のひととき

 

<DATA>
Iさん(61歳・菜園家)
DIY歴…4年
製作期間…約2週間(ピザ窯)/約5日(焼却炉)/約1日(ストーブ)
製作費用…約5万9000円(ピザ窯)/約1万9000円(焼却炉)/約7000円(ストーブ)

 

 

出版社を早期退職し、週のうち5日ほど秩父に通い田舎暮らしを送るIさん。会社員時代からDIYと自給自足への憧れがあったIさんは、敷地内には約300平米の畑を開墾し、50種類の野菜を栽培中。庭で自由に火を楽しめる田舎ならではの環境を満喫している。

まず注目したいのは、あえて庭にセットした薪ストーブ。使用したのは価格約4000円と安価な時計型のタイプで、この両脇に鉄筋3本を針金で束ねた三又を設置。ここに物干し竿を固定して、お手製の自在鉤を吊るせば、ハイ、野外囲炉裏のできあがり。ダッチオーブンを吊るせば調理もできる上、設置場所を自由に移動できるのでなんとも便利な火遊び場になるのだ!

 

薪ストーブ
時計型薪ストーブを庭に出して焚き火を楽しむ。切り出した丸太の椅子が炎を囲む

 

 

自在鉤は麻縄と桜の木の板で自作したもの。ドゥーパ!の連載記事を参考にしたそう

 

物干し竿を支える三又は、鉄筋3本を針金で束ねた簡単なもの

 

薪ストーブの熾き火で焼いた焼き芋はほくほく♪ 自分の畑で採れた野菜を頂く幸せ

 

庭の後方には手作りの焼却炉もDIY。端材はもちろん、作物の残渣を燃やすために製作したそう。コンクリートブロックを積み上げて、表面をモルタルで化粧した姿はどこか和風の雰囲気が漂う。今後はここで籾殻燻炭を作って、畑の土壌改良に使う予定と大活躍の様子だ。さらには、みんなが盛り上がるピザ窯も製作済み。

というわけで、Iさんの庭では、今日も夕闇にオレンジ色の火が静かに揺らめいている。「秋から冬の初めは暖房にもなるし、なにより火を見ながら飲む酒がうまい。至福のひとときってやつです」。炎に照らされたIさんは、目尻の下がったなんとも幸せそうな表情を見せた。

 

ピザ窯
ピザ窯はスクエア型の二層式。本体の焼き床から下は赤レンガ、焼き床から上は耐火レンガを使用

 

もともとはバーベキュー炉だったものをピザ窯に改良した。写真はバーベキュー炉だった頃の様子

 

ピザ窯の載る基礎部分はしっかりとレンガでペイビング

 

遠赤外線でこんがりと焼き上がるピザの味は格別

 

焼却炉
庭に溶け込む焼却炉を製作。コンクリートブロックにモルタルを塗り、上から白く塗装。サイズは幅820×奥行850×高さ1010mm。*焼却炉の使用規則は各自治体により異なります

 

 

焼却炉天板はアサヒキャスターを使って自作した。コーナーに1×4材をあて、民芸調のデザインに

 

灰かき口も設置。中の焼き床は耐火レンガとグレーチングで構成されている。*イラスト参照

 

基礎はしっかりとモルタルで固め、強度を出すため四隅には鉄筋をセット。ここにコンクリートブロックを積んでいった

 

写真◎佐藤弘樹/イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

自然素材で作られたスーパーオーブン・森とかまどが一体化した森の中のシステムキッチン

不思議なフォルムのアースオーブンは窯とかまどの一体型。材料のほとんどは自然素材で、資源を無駄にしないアイデアが詰まっている

 

<DATA>
Uさん(62歳、宿泊業)
DIY歴…30年
製作期間…約1年
製作費用…約11万円

 

 

窯本体は粘土で基本の形を作り、その上から藁を混ぜた粘土を塗り重ねた二層で形成。丸みを帯びた有機的なデザインは、生命力を感じさせる

 

横から見たアースオーブン。粘土で作るためレンガなどに比べ、デザインの自由度が高い。家を背負って歩くスローなライフスタイルの象徴=かたつむりをイメージし、粘土を張りつけていった

 

まるで縄文時代の土器を思わせる、丸みを帯びた不思議なフォルムの窯。これは安曇野でパーマカルチャー塾を主宰するUさんとその仲間たちが作った、その名もアースオーブン(土窯)。ほぼ地元の自然素材を利用して作ったこの窯は、見た目のインパクトだけでなく、森のシステムキッチンともいえる多彩な機能を持った驚きの作品だ。

粘土で作られたメイン窯ではピザはもちろん、パンやダッチオーブンを使った調理が可能。窯右側は2口のかまどになっており、羽釜を載せれば炊き立てご飯や蒸し料理を楽しめる。さらに煙突の上にペール缶で作った燻製器を設置すれば、調理の際に出た煙で燻製までできちゃうのだ。しかし驚くなかれ。これだけで終わらないのがUさんたちのすごいところ!

煙突内部には銅のコイルを設置し、窯背面に設置したペール缶の雨水タンクとホースで連結。これにより、コイルに蓄えられたオーブン使用時の余熱がホースを伝って雨水タンクを温め、お湯を作る温水器が完成。

さらに窯の煙突横からは雨ドイを利用した長い煙突を回し、冷えた煙から木酢液を抽出。草屋根からろ過されて集まった雨水は、窯の側面に作った流しから利用可能…とまったく無駄がない。

「人が集い、資源が回り、火も回る。色んなものが循環していくから、みんなで“ぐるぐるぐりる”と名づけました」(Uさん)

人と自然が調和して、輪になって踊るように素敵なハーモニーを生み出す。そんな大地の窯が完成した。

 

窯の背面は鍋や窯などを設置する棚。屋根を支える丸太の柱は、チェンソーを使って切り出して、自ら皮むきしたものを使用。各パーツは軸組み工法で組み立てた

 

棚に収納された使い込まれた調理器具。下のバケツは薪や炭の火消しツボとして利用

 

草屋根は合板の上にルーフィングを張り、モルタルと自然石で枠を積み、仕上げに土を入れた。屋根に植えてあるのはハーブやカモミール、苺など

 

窯の煙突横から雨ドイで別の煙突を引き、煙を冷やして木酢液を取る仕組み

 

オーブン脇には雨水を溜める樽を設置。雨水は草屋根を通って、ろ過されたものがストックされる

 

ここまで見せちゃう!これがアースオーブンの製作過程だ!

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

写真◎田里弐裸衣

*掲載データは2012年12月時のものです。

薪ストーブ&ピザ窯ライフの必須アイテム・薪棚を作ろう/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(10)

薪ストーブ、ロケットストーブ、ピザ窯、囲炉裏など、火のある暮らしを楽しむために、薪は欠かせない。オンシーズンが来る前に、できるだけたくさんの薪を準備し、安心して次の寒い冬を迎えたい。そんなアナタに捧げる、正しい薪棚の作り方。

 

正しい薪棚とは?

冬場に備えて用意した薪をどう保管するか。家の裏の軒下に適当に置いておいて、湿って腐っちゃったり、虫に食われたり、カビが生えたり、椎茸が生えてきちゃった(!)なんて話を聞くと、やっぱりちゃんとした薪棚が欲しくなる。どうせ作るなら間違いのない薪棚を作りたい。そこで、薪棚作りの名人から聞いた正しい薪棚の条件を挙げてみた。

 

 

・日陰でも日向でもいいが、風通しのよい場所に作る。軒下や建物に沿って設置するときは家側と薪棚の間に必ずすき間を作ること。

・風通しのよい構造にする。棚板を空き空きにする。側板や背板は全面張りにしない。

・屋根は必要。適当な傾斜をつけて、軒の長さは十分に。

・薪の長さは35~40cmが基本。棚の奥行サイズもこれに合わせたい。

・細い薪、太い薪、未乾燥の薪、乾燥した薪、樹種など、薪の分類に沿って区分けできるようにすると便利。

・薪を、奥と手前の2列に並べるときは、手前と裏側の両側から薪を取り出せるようにすると便利。

・なるべく材を無駄にしないようなサイズとする。たとえば、2×材を使うなら、市販されている6ftとか3ftの材をノーカットで使えるようなサイズとする。

・敷地の端に作る場合、隣地に屋根の軒がかからないように注意をする。

 

以上が、薪棚作りのポイントだ。

 

薪が収納されていないときの薪棚。構造がよくわかる。最初に下の枠板を組み、続いて枠の内側に柱(2×4材)を立てて、基礎石を置き、これをベースに組み立てていく

 

斜め後ろから見る。薪は2列に並び、後ろからも取り出せる

 

薪棚ミニウォッチング

軒下の三和土の端に薪を積んでいる例。薪が家壁にぴったりくっつかないようにしたい

 

隣家との境目に作った薪棚。枕木を基礎に、2×4材を棚板&側板、垂木として活用。見にくいが、屋根は透明のポリカを使っている

 

伐採した丸太を柱にした2段&2列の薪棚。方杖を入れて強度を増している。屋根材は塩ビの波板で、軒の出が十分。下地の垂木もたくさん入っている。羽子板付きの基礎石を使用

 

これだって、薪棚。石の上に柱を立て、下に板を引いて薪を積み、とにかく雨をしのぐために屋根を作った、なぜか雰囲気はある

 

高床デッキの下を薪収納にしているケース。通気さえ確保できれば、見た目にも面白い

 

2×材で組んだ薪棚。薪を3列にして収納。高さを抑え、トタンの波板を屋根材にしている

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年10月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

「廃油ストーブ」って知ってる?エコなストーブの構造・秘密を大公開!

ストーブとひと口に言っても、シンプルなものからマニアックなものまでさまざま。そんな多種多様なストーブの中から、燃料は廃油でOK!という、エコな廃油ストーブを見事に自作することに成功したAさんの事例を紹介。

 

鉄管を燃焼筒にした廃油ストーブ。その小ぶりな姿とは裏腹に、強烈な輻射熱を放出する

 

廃油ストーブは、天ぷら油・エンジンオイル・ギアオイル等、本来使った後、廃棄処分される油を燃料に、表面温度が500℃以上まで上がるハイパワーのストーブだ。廃油を手に入れることのできる環境であれば、燃料代はタダ! 気になるその構造だが、燃焼室内に燃料を送る供給管と送風管がついていることがポイント。廃油は灯油よりも燃焼しづらいため、空気を送り込むことによって、燃焼を持続させる。

今回紹介しているAさんの場合は、この燃料供給管に中古のダイヤフラム式薬注ポンプを使用。シロッコファンと組み合わせることによって、見事、自作の廃油ストーブを完成させた。

 

<Aさんの廃油ストーブ構造図>

 

このストーブは温度が急激に上がるのと、廃油で周囲が汚れる可能性があるため、土間やコンクリートの作業場で使用するのがベスト。なお家の廃油天ぷら油などはペットボトルに燃料として保管。「燃料は1日に約10L使うので、1年間ためた天ぷら油もあっという間に無くなりますがそのまま固めて捨てるより有効活用できていると思います」とのこと。

 

燃料を供給するポンプと空気を送風するエアーパイプがついているのが大きな特徴

 

製作には溶接のテクニックが必要となり、ハードルも高いが、このユニークな構造のストーブ、火遊び好きのあなたも挑戦してみてはいかが?

 

<廃油ストーブの各パーツ>

燃焼筒
燃焼筒にはサイズ300Aの鉄管を使用。厚さは7mm、直径は318.5mm

 

燃焼筒の底には9mm厚の鉄板を使用。厚みがあるので、一度温まると冷めにくい

 

エアーパイプ
エアーパイプは鉄板とステンレスで自作。青くきれいな炎を実現させるため、穴の数と位置、大きさ等のバランスにこだわり、何度も作っては燃焼テストを繰り返した

 

ポンプ
燃料供給にはダイヤフラム式薬注ポンプを使用。中古品を1万5000円で購入。ダイヤルで出力を0~100%に調整可能で、1分間に7~75mlの範囲で正確な燃料の供給ができる

 

<ストーブ点火の手順>

1◎100㏄程度の灯油と少量のガソリン等、揮発性の高い燃料を投入。そこに着火した固形燃料を入れてプレヒートし、燃焼筒の中の温度を上げる。このとき少々煙が上がる。

2◎廃油のポンプを起動して燃料を注入開始。同時にシロッコファンのスイッチを入れ送風も開始。燃えて高温になった廃油はガス化、供給された空気で二次燃焼を起こす。

点火後、ストーブの中はエアーパイプから出る空気で渦巻き状の上昇気流ができる。この時点では、まだ内部の温度が低く、燃料供給も少ない状態

 

ストーブ内部の燃焼が安定した状態。ガス化した廃油は供給された空気で二次燃焼を起こし、青い炎として噴き出す。この状態になると煙も臭いも出ない。Aさんはこの青い炎で燃やすことにこだわった

 

燃焼時は外側も真っ赤になるほど温度が上がる。冬の寒い工場もしっかり暖める高性能のストーブだ

*掲載データは2015年10月時のものです。

使用レンガは1400個!ダイナミックな手作りペチカ/手作りストーブ大全

古民家カフェの中央に据えられたペチカ。このどっしりとした存在感は壁暖房のペチカならでは

 

ストーブを熱源にしたダイナミックなペチカを作ったのは、古民家を改装したカフェを経営するKさん。仕事が終わった後、コツコツとレンガを積み上げること1年半。今ではわざわざ見学に訪れる人もいるという、味のあるペチカを完成させた。
ペチカとはロシアで多く見られる暖房システム。壁の内部に排煙道を作り、ストーブから発生した熱を蓄熱させ、輻射熱で部屋を暖める、いわば壁暖房システムだ。

 

ペチカを温める熱源には薪ストーブを使用

ペチカの製作は古民家の床板を剥がすところからスタート。根太や骨組みに干渉しないスペースをペチカの設置位置に決め、コンクリートで基礎打ち。これがしっかり固まったら、あとはレンガをひたすら積み上げていくだけ。これが気が遠くなるような作業だったようで、「よく終わらせたと思います」と思わず笑うKさん。時間と手間を惜しまないDIYだからこそ、完成した作品だ。

 

 

<DATA>
Kさん(37歳)/自営業/DIY歴…8年
製作費用…約20万円(ほぼレンガ代)
製作期間…約1年半
熱源…薪ストーブ
メンテナンスの頻度…年に1度、シーズン前に煙道、煙突内部を掃除する

 

料理用の鉄板をカットして作ったというダンパー。手前が煙道用、奥が煙突用

 

ペチカ本体には側面と上部、計4点の点検口を設置。フタには縞鋼板を利用

 

メンテナンスの際は、角材の先端に板材を取り付けた自作道具でススをかき出す

 

ペチカの背面。使用したレンガはすべてホームセンターで購入。1個50円のセールになった際、まとめて買うことを繰り返したそう

 

垂直に伸びる煙突。上部にはメンテナンス用の点検口がついている

 

実は煙突、2階まで延びてます

天井へ高く延びるペチカの煙突。実はこの先にあるのは屋根ではなく、古民家の2階。当然、煙突は天井をぶち抜き、2階を通過。そこから屋根まで垂直に抜けている。煙突を横に逃がさず、高さ約5.5mまでレンガを積み上げた木村さん。その愚直な施工スタイルにはただただ驚くばかり…。

屋根から突き出たステンレスの煙突が、ペチカの煙道の最終地点

 

2階に突き出た煙突の姿

 

写真◎田里弐裸衣

*掲載データは2015年10月時のものです。

炎のある暮らしを手作りで愉しむ「火とDIY」特集!『ドゥーパ!』2022年2月号(146号)発売

日本で唯一のDIY雑誌の最新号「ドゥーパ!2022年2月号」(発行:株式会社キャンプ)が1月8日に発売!

 

第1特集は炎のある暮らしを手に入れる「火とDIY」

2022年一発目のドゥーパ!は、炎と暮らしにまつわるDIYを大特集。囲炉裏暖炉、ペチカ風の蓄熱ストーブなんて唯一無二の暖房器具から、三層式石窯、ロケストコンロ、キャンプ用クッキングストーブなど人気の野外火遊び道具、さらには薪風呂や塩釜まで。DIYerたちの渾身の火遊び道具、火遊び場を紹介しつつ、そのライフスタイルの魅力を紹介します。

 

今回の編集部実践リポートは、自然石を円形に並べて作るシンプルなファイヤーピット作り。地面を掘り込んで作るタイプの大小2パターンの焚き火が楽しめるワイルドな二重サークルを創出する。特集の最後を飾るのは、世界を旅するライター&カメラマンコンビが紹介するファイヤープレイス紀行。ヨーロッパ、中東、南米、アジア、オセアニアを巡る火話をお楽しみください。

 

 

第2特集は「超実践的セルフビルドガイド」

自分で我が家を建てる、それは決して叶わない夢じゃない! 第2特集では、DIYで挑戦するセルフビルドの魅力と役立つ情報を徹底ガイド。土地の探し方・選び方から、気になる法律知識、図面の設計・提出、選ぶべき工法、実際に建てる過程やコツ、起こりがちなトラブルなど実用情報満載でお届けします。自分の住処を自分で作る自由と感動を、この手で。

 

バラエティあふれる連載にも注目!

車中泊や旅を楽しむための軽バンカスタム、トリマー&ルーター木工、さらにはレザーソーイングやグリーンウッドワークなど、さまざまなジャンルのもの作りの魅力を個性あふれる作家とともにお届けします。その他、自給自足の田舎暮らしエッセイなど読み物も充実。こちらもぜひお楽しみください!

 

<商品概要>
ドゥーパ!2022年2月号(No.146)
著者: ドゥーパ!編集部
定価: 1,100円(税込)
発売日: 2022年1月8日
判型: A4変形

<本書のご購入はコチラ>
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https://amzn.to/3qTGpUO

楽天市場
https://bit.ly/3JOH4zl

ドラム缶の窯で竹炭作りに挑戦!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(4)

「調湿作用がある」「嫌な臭いを取る」「水の浄化をする」「微生物を元気にするから堆肥に混ぜるといい」など、竹炭の効用再評価で、全国の里山で竹炭作りの機運が高まっているとか。そこで今回は、地元の人に教わったカンタンな竹炭作りのノウハウを紹介。

 

地元の鉄工所にドラム缶を持ち込む

竹炭作りにはいろいろな方法があるけれど、ここでは房総のいすみ市で、農業を営む金綱良行さんとその仲間が、「いすみ環境と文化のさとセンター」の資料をもとに実践したドラム缶を改造した窯を使う方法を紹介しよう。

用意するのは、燃料用のドラム缶を改造した手作りの窯と竹材(伐採してから2〜3カ月経ったものがベスト。真竹を使用)。あとはシャベル、それに煙突の中の温度を測る温度計があるといい。

ドラム缶の改造は、簡単な穴あけとカット、それに溶接が必要だが、これはドラム缶と鉄板(厚さ1〜2mm程度)を地元の鉄工所などに持ち込んで作ってもらおう(図参照)。ドラム缶や煙突、鉄板はホームセンターで購入できるはずだ。

 

炭作りの手順は後述のとおり。基本的には、炭窯を使って、竹材を「蒸し焼き」にすればOKだ。つまり、空気を少なくした状態で温度を上げればいい。というと簡単だが、ちょっとした加減で燃えすぎて灰になったりする。このあたりは経験ということになるのだが、やってみる価値は十分。金綱さんは炭焼き2回目の挑戦だったが見事成功。できあがった竹炭はハウス栽培の土壌改良に使うという。

なお、読者が実際に自分でやるときは、火災に対する用意を十分にすること。森の中や庭先ではなく、広い畑などで行なうことをおすすめする。

ドラム缶の長さに合わせてカットした 竹(真竹)を半割にする。これが炭材になる

 

半割にした竹材。竹は2〜3カ月前の11〜12月頃に伐採しておいたもの

 

炭焼きの実践ミニドキュメント

取材協力&写真提供◎金綱良行/参考文献◎『エコロジー炭やき指南』(創森社刊)

*掲載データは2014年4月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

古民家レストランに作られた床下も暖まるロケットストーブ/手作りストーブ大全

一見ストーブには見えない、アーティスティックな雰囲気のストーブ。炉壁のみならず、建物の壁もレンガ造りで、熱をしっかりガードする

 

ロケットストーブの先には漆喰で仕上げられた、長さ6mのヒートベンチを製作

 

山梨県の山あいの村で古民家レストラン「キッチンオハナ」を経営するIさん。以前、薪と炭だけで料理を作るというレストランで働いていた経験から、ロケットストーブの熱効率の良さに着目。自分のお店にヒートベンチタイプのストーブを自作し、店舗の暖房として使用中だ。

ストーブ本体はワークショップを開催し、日本中から集まった延べ20人で作られたそうで、その参加人数から関心の高さがうかがえる。鳥のさえずりが聞こえてくるようなかわいらしいストーブカバーは、鍛鉄作家にオーダーしたもので、古民家レストランの雰囲気に合うデザイン性にもこだわった。

ストーブの排熱を利用したヒートベンチは粘土、漆喰など、自然素材を塗り重ねて、プロの左官職人と作り上げたもの。古いかまど作りの左官技術を応用したという、その柔らかくも光沢のある座面と背もたれは、ロケットストーブの造形の自由さを感じさせる仕上がりとなっている。

 

<DATA>
Iさん(31歳)/自営業/DIY歴…2年
製作費用…約60万円(ストーブ本体は2万円)
製作期間…約1年半
焚き口…U字溝(サイズ180mm)
燃焼室…U字溝(サイズ180mm)
燃焼筒…U字溝(サイズ180mm)
メンテナンスの頻度…煙突掃除が不要なほどススがたまらない

 

燃焼室と燃焼筒はサイズ180mmのU字溝を組み合わせて製作。100Lのドラム缶との間にパーライトと粘土を水でこねたものを詰めて断熱する

 

断熱した燃焼筒の上部は、耐火モルタルですり鉢状に仕上げる。ここで気体が膨張し、急激に冷やされ、ダウンドラフトする仕組み

 

ストーブの外装は、秩父の鍛鉄作家・西田光男さんによるデザイン。森を感じさせる切り株風

 

トーブ点火時は焚き口に細く割いた薪を詰め、新聞紙で着火

 

ストーブの炎が安定してきたら、太い薪を投入。写真のように、ナタでささくれを作っておくと燃えやすい

 

Iさんのロケットストーブの最大の特長は、ヒートベンチ下のダクト配管だ。メインとなるベンチ下のダクトのほかに、床下に細い径のダクトをバイパスのように2本延ばすことで、床暖房の役割も果たしている。レストランに長時間滞在するお客さんのことを想定した、Iさんらしいアイデアだ。

ストーブおよびヒートベンチの設置場所は土間。床下にはスコリアという富士山から採れる断熱性のある溶岩石を敷き詰め、その上にコンクリートを打設。これに加え、表面を蓄熱性のある鉄平石で仕上げた床は、ストーブからの熱をしっかり保持して逃がさず、かつ火災が起きにくい防火構造にもなっている。

 

ベンガラで赤く色付けされた漆喰仕上げのヒートベンチ。ストーブに点火後、ベンチは35℃前後まで温まる

二次暖房のダクトの配管はバイパス式。写真の黒い砂がスコリア

 

スコリアの上には厚さ200mmのコンクリートを打設。この上に鉄平石を敷き、床の仕上げとした

 

何度もトライ&エラーを繰り返し、今も理想のストーブ作りを続けるIさんは、取材の最後にこう語った。

「薪ストーブを買って設置するのは楽だし、暖房だけなら灯油ストーブのほうが簡単。でも便利ではないものの中に、暮らしを豊かにする楽しみがあるように思うのです」

 

ヒートベンチを通過し、垂直に立ち上がる煙突。周囲を板材で覆っている理由は後述参照

 

垂直の煙突にはダンパーとメンテナンスのための点検口を設置

 

壁から室外に出た煙突の様子

 

垂直の煙突下部はレンガで囲われている。ここからヒートベンチ下のダクトのメンテナンスが可能

 

結露防止のオリジナル二重煙突

ロケットストーブは燃焼の際、燃やしたエネルギーを煙道の中で放出しながら進んでいく。結果、煙道が長ければ長いほど、最終的に排出される煙の温度が下がる。この煙の温度が下がりすぎると、煙突内部で結露が起こり、木酢液が垂れてくる。Iさんの場合、煙の温度が下がる煙道の最終コーナーをグラスウールでしっかりと断熱。木酢液の発生を防いでいる。

木材カバーの内部。煙突の周囲にグラスウールを巻きつけ、温度低下を防いでいる

 

写真◎田里弐裸衣、製作者提供

*掲載データは2015年10月時のものです。

長~く延びた煙突でしっかり部屋を暖める!市販品だけで製作可能なロケットストーブ

薪ストーブで暖を取ることが小さいころからの夢だったけれど、既製品はとてもじゃないけど手が出せない…そんなときにネットでロケットストーブの存在を知ったTさん。これなら工夫次第で安く、かつ燃費のいい暖房を作ることができそうと製作にトライ!

 

「ホームセンターで買える部材で、誰にでも作ることができるストーブ」をテーマに製作されたTさんのロケットストーブ

 

とはいえ、Tさんはストーブに関しては素人。まずは屋外でロケットストーブ本体のみを試作し、何度も点火実験を実施。燃焼の具合や煙突の温度、各パーツの耐久性を調べ、その都度改良。都合5回の改良を経て、現在の形に落ち着いた。

そんなTさんのロケットストーブの特長は室内に長く延ばされた煙突。シングル煙突に黒い耐火塗料を塗ることにより、燃焼筒で生まれた熱を余すところなく、室内に取り込むことに成功している(後述の温度分布図参照)。

 

Tさんのロケットストーブは、U字溝が本体なのでかなりコンパクト。サイズは幅850mm×奥行900mm

 

また「誰でも簡単に安く製作できる」をコンセプトにしたTさんのストーブは、部材をすべてホームセンターで調達可能。U字溝やステンレス煙突をはじめ、耐火セメント、パーライトなど、弊誌読者ならおなじみの材料で、低燃費の実用的なストーブを作ることができるのが魅力だ。

 

<T邸のストーブ構造図>*単位はmm

<DATA>
Tさん(31歳)/自営業/DIY歴…4年
製作費用…約6万円
製作期間…約2年
焚き口…Y字の送風ダクト
燃焼筒…耐火モルタルとパーライトを詰めたU字溝
メンテナンスの頻度…2カ月に一度、煙突を分解して掃除する

 

室内に6mほど引き延ばされた煙突。黒い耐熱塗料を塗っているのは、排熱の効率を上げるため。この煙突から出る輻射熱で室内を暖める

 

煙突から壁までの距離は200mm。壁には30mmほどの空気層を取り、ガルバ波板を張り付けて、遮熱板としている

 

焚き口にはY字の送風ダクトを使用(写真はストーブの試験中に自作したもの)

 

U字溝に焚き口のダクトを固定している様子。この後、周囲に耐火セメントとパーライトを混ぜたものを充填した(写真は試験中で、現在、真ん中の垂直に立つ煙突は使われていない)。斜めになっているのが、焚き口部分

 

焚き口と掃除口兼送風口の様子。耐火モルタルを塗りつけて固定している

 

【ストーブ燃焼中の表面温度分布図】

ロケットストーブ本体
薪ストーブの本体は300℃まで温度が上がるが、Tさんの場合、ストーブ本体温度は120~130℃ほど。そのため、薪ストーブほどは壁との距離もあけず、がっちりした炉壁も取り付けていない。暖房のメインは煙突からの輻射熱となる。

 

室内の煙突
室内に延ばした煙突から排熱され、室内を暖める。温度分布を見ると、いかに薪の熱を利用できているかがわかる。またエアコンの送風を併用すると、より効率よく熱を足元まで届けることが可能だ。

 

ロケットストーブの高火力で燃やされた灰はサラッサラで、通常の薪ストーブに比べ、出る灰の量も少ない。灰の掃除にはオタマを使用

 

気になるのは、自作のストーブを設置した際の事故や火災だが、Tさんの場合、ストーブ本体および、煙突の温度を入念にチェック。それに合わせて、炉床や炉壁を自作している。また消耗したストーブのパーツをチェックし、自分で交換するのはもちろんのこと、2カ月に一度は、煙突をオーバーホールしてメンテナンスすることも忘れない。自身でストーブ導入の基準を作り、常にチェックしているそうだ。

テストと運用を繰り返し、2年。今では冬に石油ストーブやエアコンを使うことはほとんどなし。ストーブの燃料は海岸から拾ってきた薪なので、暖房費が大幅にダウンしたとのこと。最初はロケットストーブ導入に反対していた奥さんも、冬になると「早くつけて」とせがむようになったとか。

「今ではエアコンをつけると、違和感を覚えるんです。ストーブは部屋が暖まる過程がきちんと見える。薪を拾って、着火して、部屋がじわじわと暖まってくる。“生活してる”って感じるんですよね」(Tさん)

 

ストーブの周囲にミニ薪棚を作り、薪をよ~く乾燥させておくのが、ストーブの良好運転の秘訣

 

通常のストーブ使用中は、周囲にメッシュパネルを設置。子供のやけどや事故防止のためのストーブガードとしている

 

流木を割って薪にした状態。真冬の1日の薪の使用量はコンテナ2/3杯(約4~5㎏)ほど

 

海沿いに暮らすTさんの薪は、海岸に流れ着いた流木を利用。拾ってきた流木はよく乾燥させる

 

室外から見た煙突の壁出し部分。煙の熱は室内でほとんど放出されており、ここを通る際は30~40℃ほど

 

単管パイプを支柱に、高さ5mまで延ばした屋外の煙突。本来、ロケットストーブの燃焼のためには、ここまでの高さは必要ないが、近所への煙の流れを考慮して、高く延ばしたそう

 

煙突の壁出し口に外気導入口を取り付ける

ストーブは室内の空気を吸い込み、室外に排出するため、室内は負圧状態(室内側の気圧が外気より下がった状態)になりがち。室内に十分な給気ができない状態になると、最悪、煙突から煙の逆流が起こることも。そのため、Tさんのストーブでは、壁出し口にあえて径の大きい煙突を取り付け、外気導入口を作ることで、室内の負圧を解消している。

 

<煙突の壁出し構造図>

メガネ石カバーにはφ150mmの煙突が通るように、ディスクグラインダーで切れ目を入れ、穴を広げられるよう加工しておく

 

室内側から見た煙突の壁出し部分の様子

写真◎清水良太郎、製作者提供

*掲載データは2015年10月時のものです。

アウトドア派DIYerを夢中にさせた屋外の暖房器具“手作り焚き火台”の世界

きっかけは趣味の竹細工で大量に出る端材をエネルギーに変換するため。手始めに小さなロケットストーブを作り、その後は薪ストーブ、焚き火台……、気づけば数々のアウトドア用の燃焼アイテムを自作していた。

「私は根っからの焚き火人間ではないんですけど、キャンプ仲間がみんな好きで」と話す西川さんが気の合う仲間と集い、火を楽しむために作った作品の一部を、前回に続いて紹介していこう!

 

【フォトギャラリー】

 

ステンレス板を編んで作るトライポッド焚き火台

1辺は約300mm。3本の脚にチェーンでつなぐ

 

0.1mm厚のステンレス板を5mm幅に割き、「三角網代編み」で製作した唯一無二の焚き火台。デザインは西川さんの竹細工の先生の作品をアレンジ。竹と比べるとステンレスは滑りやすかったのでガムテープで固定しながら編み、最後は銅線を巻き付けて縁を仕上げた。西川さんの竹細工の編み技が存分に発揮された作品だ。

 

鍋調理を可能にしたタイプ。ゴトクには10インチのダッチオーブン用の中敷きを使用

 

製作中の1枚。底部中央の出っ張りは、灰がたまるのを防止し、空気循環をよくするため

 

金網+輪弧編みで作るウッドキャンドル用焚き火台

着火後から数分でこの火力。下部にワイヤーを通した脚3点で支えられ、ねじれながら安定する

 

100円ショップで購入したケーキ箱を加工し、着火剤入れ&灰受けとして底に取り付けた

 

夜だとさらに迫力が増す!

 

「輪弧編み(りんこあみ)」中の写真。0.1mm厚のステンレス板を幅7×長さ910mmにカットして編んだ

 

キッチンアイテムで作る縦型のモバイル焚き火台

脚は70mmのボルト。高さは約260mm。短い薪に向いている

 

IKEAで販売されているキッチンアイテムをドッキングさせた小型の焚き火台。本体にはカトラリー用の水切り、灰受けには蒸し器、底抜け防止用にステンレス製のおたま(こちらは100円ショップ)を装着している。接合はリベットとボルトのみのシンプルな構造。火力は申し分なく、使い勝手は上々なようだ。

 

自作のファイヤーブラスターが活躍!(後述参照)

おしゃれなファイヤーブラスターも安く作れちゃいました!

ピンポイントで空気を送るのに便利なファイヤーブラスター(火吹き棒)も手作り。竹筒での製作経験はあったが、伸縮可能なものが欲しかったため噴霧器のパイプに着目。先端ノズルを交換し、持ち手には黒竹を装着した。製作費はなんと約2000円!

西川さんお手製のファイヤーブラスター。480~850mmに伸縮可能

 

焚き口が地面に近くても、椅子に座ったまま空気が送れる。先端の曲がり具合が絶妙なんだとか

 

【製作者Profile】
西川大助さん。埼玉県所沢市で塗装業を営む。43歳、ストーブDIY歴は2年。趣味はツーリングキャンプに竹細工。いつも設計図は書かずに、その場の思いつき、現物合わせでもの作りを楽しんでいる。
西川さんのブログ

 

*掲載データは2015年10月時のものです。

写真◎門馬央典、製作者提供

アウトドア派DIYerを夢中にさせた大人の火遊びアイテム“手作りストーブ”の世界

きっかけは趣味の竹細工で大量に出る端材をエネルギーに変換するため。手始めに小さなロケットストーブを作り、その後は薪ストーブ、焚き火台……、気づけば数々のアウトドア用の燃焼アイテムを自作していた。

「私は根っからの焚き火人間ではないんですけど、キャンプ仲間がみんな好きで」と話す西川さんが気の合う仲間と集い、火を楽しむために作った作品の一部を紹介しよう。

 

【フォトギャラリー】

 

ガソリン缶で作る薪ストーブ

もともとガソリン缶は持ち運びしやすい構造なので、野外の暖房にはピッタリだ

 

自作ティピー(後述参照)の中で使うことを目的として作られた薪ストーブ。本体には10Lサイズのガソリン携行缶(通称:ジェリカン)を使っており、溶接は行なわず、ビスやボルトのみで組み立てられているのが特長だ。焚き口と吸気口の穴はディスクグラインダーでカット。扉の蝶番は、板金屋の手伝いで培った経験を生かし、ステンレス板で自作した。また、燃焼室の上部と後部に鉄板を入れ、蓄熱効果を高めたのもポイント。

 

時計型薪ストーブ用の耐熱ガラス付き扉(ホンマ製作所)を流用

 

焚き口周辺は耐熱ガラステープを巻き付けて銅線で固定。すき間が埋まり、気密性がアップ

 

脚は1本のL字の金具を曲げて製作。取り外しできるので、中に収納して持ち運ぶことが可能

 

燃焼室内部(上)。底に薪が落ちないよう、また薪を立てて入れられるように金具(下)を設置している

 

排気口は缶の注ぎ口をそのまま利用。自作したジョイントパーツを本体に固定し、煙突を延ばしている

 

煙突トップは2重構造。すき間ができるように亜鉛メッキ板を巻き、ティピーが高温にさらされないようにしている

 

鉄角パイプで作るロケットストーブ

鉄角パイプは耐熱スプレー塗料で化粧。焚き口は10×10~20cmの可動式

 

長さ1m、厚さ3mm、10×10cmの鉄角パイプが本体。薪ストーブと同様溶接はしておらず、鉄角パイプに切り込みを入れてL字に折り曲げ、ビス留めだけで組み立てた。ヒートライザーとなる部分には蓄熱効果を期待し、鉄角パイプの内側と外側に煙突パーツを取り付け、三重構造に。ゴトクのすぐ下まで火が上がることもあるそうで、コンパクトサイズながら料理もバッチリな実用的なロケットストーブに仕上がった。

 

鉄角パイプの先端を外側に折り曲げ、ゴトクを装着。ちょっとした鍋料理ならすぐ作れちゃう!

 

薪はこのように投入。焚き口の底に中敷きを入れたことで、うまく燃焼するようになったそう

 

製作中の様子。鉄角パイプをこのように折り曲げてL字にした

 

ステンレス水筒で作るミニロケットストーブ

燃料は、普段は焚きつけ用として使う竹ひごがメイン

 

西川さんの燃焼器具製作における処女作がこちら。市販のネイチャーストーブからヒントを得て、二重構造のステンレス製水筒をベースにした、小型鍋専用ロケットストーブを作った。トップと底に穴をあけ、側面に焚き口を作り、ゴトクと脚を取り付ければもう完成。コーヒー1杯分のお湯なら難なく沸かすことができるようだ。

 

ゴトクと脚は番線で製作

 

ポンチで穴をあけ、二次燃焼を促す

 

竹細工の端材があれば一発で着火できる!

西川さんが趣味にしている竹細工では、材料として使えるようにするまでの加工で大量の端材が出る。これを燃料に使えないかと思ったのが西川さんのストーブ作りのきっかけなのだが、実際に焚きつけとして使ってみると効果バツグン! 「まず失敗することはありませんね」と、太鼓判を押していた。

竹の端材。太さが違う2種類を焚きつけとして使う

 

薪は大・中・小、3種類を用意することが多い

 

焚きつけと一緒に細い薪を入れて着火。火はすぐに安定する

 

【製作者Profile】
西川大助さん。埼玉県所沢市で塗装業を営む。43歳、ストーブDIY歴は2年。趣味はツーリングキャンプに竹細工。いつも設計図は書かずに、その場の思いつき、現物合わせでもの作りを楽しんでいる。
西川さんのブログ

 

*掲載データは2015年10月時のものです。

写真◎門馬央典、製作者提供

XPチェンソー クリスマスキャンペーン開催~購入先着順で日本未発売のハスクバーナオリジナルグッズをプレゼント!~

ハスクバーナ・ゼノア株式会社(本社:埼玉県川越市)は、XPチェンソー クリスマスキャンペーンを実施。キャンペーン期間中、対象商品を購入されたユーザーに、ハスクバーナオリジナル フリースジャケットをプレゼント!

 

<キャンペーン期間>
2021年12月1日(水)~2021年12月24日(金) または、先着1,000名様

 

<対応機種>
キャンペーン対象機種は、以下の14機種。

T540XP(R)、543XP(R)
XP(R)G、550XP(R)
XP(R)G Mark II、560XP(R)
XP(R)G、562XP(R)
XP(R)G、572XP
XP(R)G、592XP(R)
XP(R)G、3120XP(R)

※2022年1月末発売予定の592XP(R)/XP(R)Gも含まれる。592XP(R)/XP(R)Gは、先行予約すると、製品お渡し時にフリースジャケットをプレゼント。

 

<プレゼント>
ハスクバーナオリジナル フリースジャケット

カラー:ネイビー、サイズ:Lのみ(日本サイズ)
*リサイクルペットボトルから作られた再生ポリエステル繊維を使用しています。日本未発売のフリースジャケットです。

 

キャンペーン期間は、12月の非常に短い期間。また、プレゼントには限りがあり、期間中であっても、プレゼントの数量に達した場合は、キャンペーンは終了となる可能性がある。是非この機会をお見逃しなく!

*キャンペーンの詳細は、最寄りのハスクバーナ取扱販売店へお問い合わせください。

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火遊び好きなDIYerのためのロケットストーブ入門・番外編

もはや自作ストーブ好きの間では、ちょっとしたブームになっているロケットストーブ。今回は、そんな多くのDIYerを虜にするストーブの魅力やつき合い方を紹介しよう。

 

Step5 ロケットストーブの着火と消火の方法

ロケットストーブの着火はじつに簡単。焚き火や薪ストーブのように、小さな薪から火を起こし、火が安定したら大きな薪を燃やしていく、という手順は一緒だが、その難易度はまったく別物。スターターとなる小さな薪に火種を起こせば、ヒートライザーからの強烈な引きで一気に燃え上がっていく。手順はこうだ。

まずストーブ各部のダンパーを全開にし、焚き口に小枝や建築端材などの細めの薪を詰める。注意するのはこの段階では薪を詰めすぎないこと。薪を詰めすぎると空気の供給が制限され、火が起こりづらくなってしまうからだ。着火に新聞紙などを使う人もいるが、煙突の引きによって、煙道に灰が詰まってしまうこともある。バーナーを使って着火するのがいいだろう。スターターの薪に火がついたら、炎が煙道に吸い込まれていくように燃えてくるはずだ。もちろん焚き口から煙は一切出ない。こうなったら焚き口に薪を密に詰めたり、太い薪を入れていけばOK。

 

【超簡単!ロケットストーブの点火手順】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

なお、ロケットストーブの消火だが、薪ストーブと同じく、薪が燃え尽きるまでそのまま置いておくのが基本だ。とはいえ、緊急時は自分で消火する想定もしておくこと。消火の基本は燃焼の原因となる空気の流入を遮断すること。これは一例だが、各部のダンパーを完全に締め、焚き口に砂を詰めれば、内部の火を消すことができる。

 

Step6 燃焼ユニットの熱でストーブ料理を楽しむ

簡易型ロケットストーブ同様、暖房用のロケットストーブでも調理を楽しむことが可能。方法は簡単。燃焼ユニット上部、ヒートライザーからの熱を一番受ける天板部分を利用すればいい。ストーブに着火してしばらくすると天板が暖まってくるので、焼き網を置けば、トーストや焼きもち、お湯を沸かしてコーヒーを淹れる、なんてことは朝メシ前だ。

トーストぐらいなら簡単に焼けちゃいます

 

もうちょっとこだわった料理を楽しみたいという人は、天板の中央を取り外せるように改良してもいい。こうするとヒートライザーから上がってくる直火を利用できるので、調理できるメニューのバリエーションはグッと広がる。また中華鍋などを利用し、天板を覆うことでミニオーブンにすることも可能。ピザを焼くことだってできちゃうのだ。レッツ、ロケットストーブクッキング!

ストーブ天板の中央を取り外せるようにすると、直火が使えるようになるのでかなり便利

 

中華鍋を改造したフタで、天板を使ったミニオーブンも可能

 

ストーブの直火でフライパン調理もOK

 

Step7 煙突や燃焼ユニットのメンテナンスを怠らない

「ロケットストーブはススが出ない」「ロケットストーブは掃除が不要」なんて話を耳にすることもあるが、そんな高性能のロケットストーブを自作できる人はまれ。ほかのストーブと同じように定期的にメンテナンスすることを心がけよう。

まず煙突と蓄熱ユニットの煙道。シーズン中は常に点検口からススや汚れのつき具合をチェックし、問題があればすぐに掃除するといい。1シーズンに1回は組み立てた煙突を取り外し、オーバーホールして、煙突の状態をチェックするユーザーも多い。

煙突掃除用ブラシ。市販の煙突の径に合わせたものが販売されている

 

バラせるパーツはすべて取り外して、きれいに煙突内を掃除しよう

 

直筒も1本1本取り外しておくと掃除しやすい

 

また常に激しい高温にさらされる燃焼ユニットの点検も必須。耐久性に問題が生じたら、すぐにパーツを取り換えられるようにしておこう。頑丈な鋳物の薪ストーブと比べて、ロケットストーブの耐久性はそこまで高くない。常にストーブの状態を把握しておくのは、ロケットストーブユーザーの基本と心得よう。これらの作業が面倒と思うようであれば、ストーブ導入はやめておいたほうが賢明だ。

 

Step8 ストーブのデメリットとうまくつき合っていく

ここまでロケットストーブのメリットばかり紹介してきたが、もちろんいいところばかりではない。実はこのストーブ、意外と手がかかる。その中でも多くのユーザーが声を上げるのが「薪をくべるのが忙しい」という点。その圧倒的な燃焼効率の良さから細い薪はすぐに燃え尽きてしまうので、とにかく薪の投入が忙しい。加えて、焚き口が上方向に向いているロケットストーブは薪を縦にしか入れられず、また投入できる量も少ない。薪ストーブのように、薪をドンと入れて放っておく、ということができないのだ。早くて10分、長くても40分に1回は薪の様子を見てやらねばならない。そのため、焚き口を改良し、大きな薪を横にして突っ込めるようにして、薪の投入時間の間隔を延ばしているユーザーもいる。

通常のロケットストーブの焚き口。薪を立てて入れるようになっている

 

薪を横にして、奥に突っ込めるようにした焚き口。これで薪の投入時間の間隔が長くなる

 

また燃やしたエネルギーを蓄熱ユニットにため込むので、最終的な煙突からの排気温度は30~40℃とかなり低い。結果、壁から出した屋外の煙突内部には結露が起こり、もれなく木酢液(煙が液化した酸性の液体)が垂れてくる。とはいえ、木酢液は集めておけば、土壌改良に使うことができる。燃やした灰と合わせて家庭菜園に使えば一石二鳥だ。

煙突から集められた木酢液。デメリットも捉え方によってはメリットになる

 

このようにロケットストーブは完全無欠の理想のストーブ、というわけではない。自分の作ったストーブをよく観察し、長くつき合っていくのも楽しみのひとつだ。

 

*掲載データは2015年10月時のものです。

火遊び好きなDIYerのためのロケットストーブ入門・後編

もはや自作ストーブ好きの間では、ちょっとしたブームになっているロケットストーブ。ここでは、そんな多くのDIYerを虜にするストーブの魅力と構造をわかりやすく紹介しよう。

 

Step3 蓄熱ユニットの煙道の配管方法

ヒートライザーから生まれる強烈な排気力のおかげで、ロケットストーブは煙道を長く延ばしたり、横に曲げたりしても熱風を送り出すことができる。その長さは最大12mともいわれており、その延ばした煙道に合わせて、長いヒートベンチを作ることが可能だ。

ヒートベンチ内の煙道の配管だが、ただまっすぐ延ばしてしまうと熱源に近いほうから温かくなり、遠くなればなるほど温度が下がるという、伝導熱のムラが生じてしまう(イラスト、ストレート式参照)。そこで延ばした煙道をベンチの端で折り返し、ストーブ本体の脇から立ち上げれば、熱が均一に広がるベンチができる(イラスト、リターン式参照)。なお、リターン式のヒートベンチでは、ベンチ内に煙突が2本入ることになるので、ベンチ自体の幅が広がるから、ヒートベッドとして活用するのもいいだろう。

ヒートベンチ内の煙道から、粘土などの保温材を通して、ベンチ表面に熱が進む距離は1時間に2.5~3cmといわれている。この数字を目安に煙道からベンチ表面までの距離を決めるといいだろう。

蓄熱ユニットのバリエーションとして、煙道を壁のように立ち上げ、ロケットストーブ式のペチカ(ロシアで見られる壁暖房)を作ってしまうのもありだ。あえて蓄熱部分の煙突をむき出しにし、煙突から発生する輻射熱で部屋を暖めるという手もある。

リターン式のヒートベンチをつけたタイプのロケットストーブ(福島県・N邸)

 

ヒートベンチの配管には点検口をつけるのを忘れずに

 

煙道には200mm径のスパイラルダクトを使用。折り返した煙道は、ストーブの裏から垂直に抜けている

 

蓄熱ユニットのバリエーション

漆喰仕上げのヒートベンチタイプ。このなめらかで柔らかなフォルムは漆喰ならでは。造形の自由度が高い

 

レンガを積んだ壁の中に煙道を作ったペチカタイプの蓄熱ユニット。漆喰で仕上げたその姿は存在感抜群

 

煙突むき出しタイプ。あえて煙突を囲わず、上部に延ばし、その輻射熱を暖房にしている例

 

Step4 炉壁、炉床を作ってストーブの熱から家を守る

ロケットストーブを室内に作る場合は、土間など半野外に作るケースが多い。戸外に近く空気の出入りが多いので、薪が燃焼しやすい上、防火対策も取りやすい。しかし、長い蓄熱ユニットを組み込んだロケットストーブを室内に作る場合、壁に寄せて設置することも多い。その際はしっかりとした炉壁と炉台を作りたい。

上のイラストは薪ストーブの安全基準を参考にした炉台の製作例。ロケットストーブは燃焼部分が断熱されているため、薪ストーブのように本体の温度が200~300℃まで上がることはないが、安全な炉壁、炉台を作るに越したことはない。設置場所が低温炭化して、ある日突然火災が起こらないよう、ロケットストーブ自体の構造や材料、設置場所の状況もしっかり吟味しておきたい。放射温度計を1本用意して、ストーブのどの箇所が何度まで上がっているのか常に把握する、ストーブの室内設置前に、燃焼テストを入念に行なうなど、できる限りの対策を取ってほしい。

カーブさせたレンガの炉壁に加え、建物の壁もレンガ積みにして、ストーブの熱から守った例

 

放射温度計。自分のストーブ、煙突の温度を把握するために1本は用意しておきたい

*編集部注:可燃物設置の際は、各自治体による条例や種々の法的規制に従い、安全面に留意して行なってください。

 

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2015年10月時のものです。

火遊び好きなDIYerのためのロケットストーブ入門・前編

もはや自作ストーブ好きの間では、ちょっとしたブームになっているロケットストーブ。ここでは、そんな多くのDIYerを虜にするストーブの魅力と構造をわかりやすく紹介しよう。

 

Step1 ロケットストーブの基本的な構造を知る

ロケットストーブはアメリカで生まれたストーブで、正式名称は「ロケット・マス・ヒーター」と呼ばれる。このストーブの構造はいたってシンプル。まずはロケットコンロとも呼ばれる簡易型のロケットストーブを例に、その構造を紹介しよう。

ロケットストーブとは、簡単にいうと、ストーブの内部に煙突そのものを組み込んだもの。ヒートライザーと呼ばれるL字の燃焼筒がロケットストーブの大きな特徴だ。この燃焼筒の周囲を断熱することにより、薪を燃やした際、煙突内の空気がすぐに暖められ、内部に上昇気流が発生。焚き口から大量の酸素を引き込み、一気に薪を燃やす(イラスト①)。つまり、長さが短くても引きのいい煙突が焚き口に直接つながっていると考えればいい。この燃焼時に起こる「ゴーッ!」という音がロケットストーブの名前の由来だ。

高温になった燃焼筒の中では二次燃焼が起こり、可燃性ガスが再燃焼。結果、薪のエネルギーを最大限利用し、煙の排出が少ないストーブ、つまり熱効率のいいストーブとなるわけだ(イラスト②)。

簡易型のロケットストーブでは、本体にペール缶や一斗缶、燃焼筒にステンレス煙突が使われることが多い。最近では各地でワークショップが開催されているので、参加してみるのもいいだろう。

ペール缶を2本つなげた小型のロケットストーブ。持ち運び可能なモバイルストーブとなる(東京都・Mさん製作)

 

レンガを積み重ねて作る、より原始的なロケットストーブ。最低16個のレンガで作れることから「16 Brick Stove」とも呼ばれる(編集部製作)

 

一斗缶とステンレス煙突を利用したストーブを製作中の様子。煙突周囲はパーライトで断熱

 

Step2 燃焼部と蓄熱部から成り立つ暖房用ロケットストーブ

暖房用のロケットストーブで注目すべきは、燃焼ユニットと蓄熱ユニットで構成されている点だ。

 

【ロケットストーブと薪ストーブの熱伝導比較】

まず燃焼ユニットだが、基本構造は先に見た簡易型と変わらない。J字の燃焼ユニットは焚き口、バーントンネル、ヒートライザーの3つから構成される。このユニットの周囲を断熱することで、内部に上昇気流を起こし、効率よく薪を燃やすというわけだ。

暖房用ストーブの最大のポイントは、燃焼ユニットから続く蓄熱ユニットにある。燃焼ユニットで発生した高温の煙は、ヒートライザーからの上昇気流に押し出され、蓄熱ユニットへ進む。この進んできた高温のエネルギーを煙道周囲の粘土や石など、保温性のある素材がしっかり吸収。蓄熱ユニットはじんわりと温かいヒートベンチになる。つまり、薪ストーブのように発生した熱を煙突からそのまま逃してしまうのではなく、蓄熱ユニットを通過させることで、無駄なく使うことができるのが暖房用ロケットストーブの最大の特長なのだ。

このようにロケットストーブは、燃焼ユニットから発せられる輻射熱と蓄熱ユニットから発せられる伝導熱という2種類の熱で部屋を暖めてくれる。

なお、使用する薪の量が少なくて済むのもロケットストーブのメリット。作ったロケットストーブの機能にもよるが、通常の薪ストーブの1/3~1/4ともいわれている。また高温で一気に燃やすため、薪の種類を選ばないのも、このストーブの特長といえよう。

 

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2015年10月時のものです。

編集部が体当たりで実践!七輪で陶芸/火を愉しむDIY

窯なんかいらない!七輪があれば陶芸はできる! それも粘土をこねはじめてから焼き上がるまで、なんと1日!
でもって、できあがりはジューブンにホンカク的。ホンマですか?と疑う人がいれば、ぜひこのページを見てください。棟梁脇野がしっかりと証明してくれる……はず!?

 

自分で焼いたという実感がいいのだ

数年前、陶芸教室に通ったことがある。結果からいうと、つまらなくなって途中でやめた。なぜか。自分で焼けない(焼成できない)からだ。生徒たちは、好きな形に粘土を成形するだけ。あとに続く素焼きや本焼きはみ〜んな先生がやってくれる。ある日、「これがアンタの作品」といってできあがった作品を見せられ、かかった費用の請求書がまわってくる。どうも自分で作ったという実感がない。陶芸が火の芸術であるなら、そのクライマックスシーンに立ち会いたいじゃないですか。

そこで、七輪陶芸である。家庭にある七輪で立派に陶芸ができるらしい。もちろん、火加減、焼き加減を見ながら自分で焼成する。失敗も多い。でも、誰でもできるし、手軽だし、なによりも始めから終わりまで、ぜんぶ自分でやるというのがいい。聞けば、焼いている時間が愉しいらしい。自分で成形した作品がどんなふうになるのかは火まかせだから、誰もわからない。それをわくわくしながら待つ時間。正しい待ち方は酒を飲みながら…というのも気に入った。まるでジャズの即興ライブを聴きながらバーボンを飲んでるみたい。まるで落語のオチを待ちながら、熱燗を飲ってるみたい。そんなわけで、大人がやる冬の野遊びとしては絶対におすすめですね、これは…。

もうひとつおまけに、その日にできちゃうというのがすごい。大ざっぱにいうと、陶芸の手順は、粘土の成形→乾燥→素焼き→冷却→釉がけ→本焼きというふうになるわけで、あたりまえにやったら、乾燥に1週間とか、冷却に半日とか、本焼きにひと晩とか、とにかく時間がかる。これをなんと1日で終わらせちゃう! 実はこれ、『ドゥーパ!』創刊の頃に、著名な陶芸家、吉田明氏から教わったやり方なんだけど、今回はこれを実践してみたい。ちなみに、成功率は50%くらい。でもいいじゃない。ハードルは少し高いほうが面白いはずだから。

今回用意した信楽と瀬戸の粘土。3キロ、500円程度で買えるよ

 

炭は、マレーシア産マングローブを使ったBBQ用を用意。これが一番いいとか

 

[用意した材料]
粘土、細かい砂(ここでは珪砂)、釉薬、ヤマト糊、炭 *ホントは、どこかで粘土採取からやればいいのだが、今回は専門店で買った陶芸用の粘土(陶土)。釉薬も陶芸専門店や陶芸.comなどで購入

[用意した道具]
七輪、餅網、鍋(ここではダッチオーブン)、一斗缶を浅くカットして底を抜いたもの、ドライヤー、ガスバーナー、火バサミ、釉薬を入れる容器、へら、刷毛etc.

 

手順1・粘土で形を作る
とにかく好きな形。オンリーワンを目指そうぜい!

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

手順2・乾燥
ホントは自然乾燥が一番だが、時間がないので強制乾燥!

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

手順3・余熱&素焼き
七輪登場!急激な温度変化は超危険!十分に余熱をしてから、徐々に温度を上げていこう

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

手順4・釉掛け&本焼き
スリリングな時間がやってきた!酒でも飲りながら、火の神のご沙汰を待とう!

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

編集部が体当たりで実践!丸太でたいまつ(スウェーデントーチ)作り/火を愉しむDIY

英語でスウェーデントーチと呼ばれる小さな焚火の作り方。丸太にチェンソーで十文字に溝を切り、そこに火をつけると、じわじわしぶとく燃え続ける。火床が地面に着かないので、雪の上に直に置けるし、小さめに作れば持ち歩きもできる。上面が五徳のようになるので湯沸しや煮炊きも可能。燃焼時間に対して使う薪の全体量も少ないエコな焚火だ。

 

[用意した材料]
丸太(長さ330×直径130mm)

[用意した道具]
チェンソー、ガスバーナー、羽子板付き基礎石、インパクトドライバー

 

下がつながっているので、トーチの名前通り、こうして持ち歩くこともできる

 

上面を平らにしておけば、ヤカンや鍋を置いて、湯沸しや料理ができる

 

製作手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

編集部が体当たりで実践!ペール缶で炭焼き/火を愉しむDIY

本格的な炭焼きといったら、巨大な窯を作り、幾日も見張っていなきゃいけないものらしいが、ここではペール缶を使った超スモールバージョンに挑戦。しかも1日で片をつけてしまおうという安直なプランだ。これなら煙さえ出せる環境があれば、誰でも手軽に炭焼きが可能…なはずなのだが、果たしてそう上手くいくのかどうか!?

 

[用意した材料]
ペール缶(フタ付き)、薪ストーブ用煙突(直筒/T笠106mm径)、赤レンガ、丸太(コナラ)、薪、土

[用意した道具]
ディスクグラインダー(金属用切断砥石)、スコップ、シャベル、マジック、トーチバーナー、火ばさみ、うちわ、燻製用温度計

 

窯前あたふた劇場 ~「窯止めは突然に」の巻~

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

窯前あたふた劇場 ~「あきらめずに煙を見よ」の巻~

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

タンドール窯作りの記事はこちら!

 

今回のまとめに代えて…
「とはいえ、DIY炭焼き道は始まったばかりだ!」

2度も炭材に着火しながら、偶然にもその後の調整がうまくいき、なんとか炭ができた。この経験を踏まえて推測するのは、「そもそもペール缶の窯に対して106mm径の煙突は太すぎるのでは」ということ。最初からレンガでふさいで煙突を絞り、ゆっくり時間をかけて炭化を進行させたほうがよさそうだ。といっても、炭焼き職人じゃあるまいし、これは全然推測の域を出ない。きっと、ちょっとした条件の違いでも仕上がりが左右されるだろうし、試行錯誤を繰り返しながら自分なりのコツをつかむしかないのだろう。でもそんなふうにトライすることこそ、DIY炭焼きの醍醐味であることは間違いない。だって実際、失敗も込みで、すげえ面白いんだもん。

実はその後、こんな大失敗も。夜中までイイ感じで煙が出ていたので窯止めせずに寝てしまったら、翌日、窯の中にはこれっぽちの灰が残るだけ…。やっぱり放ったらかしは禁物です…。チキショ~

『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』掲載の自作サウナ小屋、ドゥーパ!YouTubeチャンネルでその魅力を公開中

日本唯一のDIY専門誌「ドゥーパ!」編集部が総力を挙げて作った唯一無二の手作りサウナムック『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』(発行:株式会社キャンプ/代表取締役社長:豊田大作)が大好評発売中。

用意した材料や使用した電動工具はもちろん、各部の構造や断熱箇所はイラスト図解つきで、製作過程を24Pに渡って詳細にリポートした、編集部自作のサウナ小屋の作り方&楽しみ方を、ドゥーパ!YouTubeチャンネル内「編集長設楽のDIYは暮らしの冒険だ」で解説している。

 

【自作サウナ】36万円で完成! DIYサウナ、10のポイント

 

【自作サウナ】<前編>床、壁、屋根、外壁、デッキ……サウナ小屋の作り方を一挙公開!

 

【自作サウナ】ホームセンターの庭石はサウナストーンに使えるのか!? 実際に検証してみた!

 

ドゥーパ!YouTubeチャンネルでは、これらの他にもDIYにまつわるさまざまな面白ネタを配信しているので、要チェックだ!

 

『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』

【書籍概要】

著者:ドゥーパ!編集部

定価:1980円(税込)

発売日:2021年9月30日

判型:A4変形

※全国の書店、またはネット書店にてお求めください。

 

DIYでプライベートサウナを手に入れろ! DIYサウナのバイブル『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』発売

『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』(発行:株式会社キャンプ/代表取締役社長:豊田大作)が9月30日に発売!

 

◆サウナブーム×DIYブーム、今やサウナも自作する時代!

近年人気が高まり、ますますその勢いを増しているサウナ。「ととのう」や「ロウリュ」などサウナ用語が一般に認知されるほど世間に浸透してきたサウナですが、そのネクストフェーズはずばりDIYで作るホームサウナ! 本書ではさまざまな手作りサウナの実例から具体的な製作方法の紹介をはじめ、テントサウナのカスタムや、サウナハットやヴィヒタやといったサウナツールの製作方法も紹介。DIYサウナで自分だけの特別なととのい時間を手に入れよう!

日本唯一のDIY専門誌「ドゥーパ!」編集部が総力を挙げて作った唯一無二の手作りサウナムックとなります。

 

◆DIYで作った日本全国の手作りサウナが大集合!

ムック冒頭を飾りのは手作りサウナ実例集。狭小な立地をいかしたソロサウナ、秘密基地に作る大型ログサウナ、はたまたどこでも行けちゃうサウナトラック……。サイズやデザイン、構造はもちろん、温浴方法からとっておきのサ飯まで、その楽しみ方は千差万別。そんなDIYだからこそ実現した、個性あふれるサウナを徹底取材。気になる材料費、製作期間から、断熱の方法や熱源となるストーブ、さらには水風呂、外気浴の工夫など、サウナ作りで気になるポイントをあますことなく紹介します。

 

◆DIYでできる!サウナ小屋の作り方を公開

編集部が森の中に作ったサウナ小屋の製作過程を24Pに渡って詳細リポート! 用意した材料や使用した電動工具はもちろん、各部の構造や断熱箇所はイラスト図解つきでわかりやすく紹介。また安全な薪ストーブの設置方法や薪の選び方、日本の職人が手がける国産サウナストーブやDIYサウナキットカタログも収録。これを読めば、あなたも絶対にサウナ小屋が作れる!

 

◆サウナテントも自分好みにカスタマイズ

機動性の高さが魅力のサウナテントは、今やアウトドアサウナの定番。本章では、そんなサウナテントをさらにパワーアップさせる、ミシンを相棒にしたカスタマイズ方法をフューチャー。実例紹介では、極寒の氷上でも快適な温浴を楽しめる、エクストリームな超断熱DIYサウナテントも登場。サウナテントはDIYでここまで進化する!

 

◆DIY専門誌ならではのディープなサウナツール自作アイデアも

せっかく自作サウナを楽しむなら、サウナツールまでこだわりたい。そんなハードなサウナビルダーたちに捧げるのが本章。羊毛を使ったサウナハット作りから、シラカバから作るフレッシュヴィヒタ、さらにはホームセンターの庭石を利用したサウナストーン検証実験まで……DIYサウナライフをより楽しむためのディープで尖った情報は、全サウナ-必見です。

 

◆DIYビギナー必見! サウナ小屋作りのための基本テクニックも収録

巻末には、サウナ小屋作りに必須の「切る」「固定する」「あける」、3つの材料加工テクニックのノウハウをていねいに解説。これを読めば、小屋作りはもちろん、日々のDIYにも役立つこと間違いなしです。

 

サウナが好きであればあるほど、それに比例してこだわりが増えるもの。そんな自分の理想を反映できるのがDIYサウナの魅力であり、サウナビルダーの特権です。サイズ、デザイン、使用する資材や熱源、楽しみ方まで……すべては自分の思いどおり。ぜひ本書を相棒に、DIYで究極のマイサウナを手に入れてください。

 

【書籍概要】

著者:ドゥーパ!編集部

定価:1980円(税込)

発売日:2021年9月30日

判型:A4変形

編集部が体当たりで実践!素焼きの鉢でタンドール窯作り/火を愉しむDIY

「いつでも焼きたてのナンが食いたい!」

そんな燃え上がる欲望に胸を焦がし、編集長・設楽が挑戦したのはタンドール窯作り。どこでも持ち運び可能なサイズで、徹底的に軽さを追求。完成したのは入れたものをなんでも美味しく焼きあげてしまう、驚異の窯だった…。

 

*タンドール窯とは?
タンドール窯とは円筒形の粘土製壺型オーブン。北インドからアフガニスタンなど西アジアから中東にかけて使用されている土窯だ。その起源は古く古代インダス文明まで遡るといわれている。インド料理屋に行くとナンを焼いている筒状の窯がありますよね、アレです、アレ。

 

製作したポータブル・タンドール窯

 

ナマステ設楽がリポート。「魔法の窯の登場です!」

 

焼きたてのナンが食べたかった。ザックを背負いインドを放浪していたウン年前、歩き疲れた体にカレーとともに流し込むナンのおいしさといったらなかった。あのふわっとした柔らかさ、もちっとした食感、ほのかに鼻腔をくすぐる小麦の香り……んがぁーーー!ナンを自分で作って食べたい、そのための窯が欲しい! ここで「インド料理屋に行けばいい」なんて無粋なことを言ってはいけない。いつでも、どこでも、食べたいときに、たらふく食べたいじゃないかーーーー!

というわけで、「なければ自分で作る」んである。とはいえ、本場のタンドール窯は総重量60kg以上にもなるという。これはいけない。「いつでも、どこでも」というテーマから大きく外れるし、常日頃心掛けているウルトラライトの思想に反する(僕は山男でもあるのだ)。車での移動はもちろん、手持ちで持ち運べることを想定すると、目指す重さは10kg以下。さらには、友人に自慢できるようなかっちょいい見た目にもこだわりたい……そこで用意したのがペール缶とテラコッタの素焼き鉢、そしてオリジナルミックスの断熱材。

さあ、ここから始まるのは、魔法の窯作りに奮闘するひとりの男のドキュメンタリー。その一部始終をとくとご覧あれ!

 

【これがポータブル・タンドール窯の全貌だっ!】

重さはわずか1kg!製作時間はまさかの半日!材料費はたった4000円!

 

【使用した道具】
ドライバードリル(鉄工用ドリルビット/陶器用ドリルビット)、ディスクグラインダー(ダイヤモンドホイール/金属用切断砥石)、ジグソー(鉄工用ブレード)、カナヅチ、センターポンチ、棒ヤスリ、カッター、スコップ、メジャー、ハケなど

【用意した資材】
ペール缶(径300×高さ350mm)、テラコッタの鉢(径260×高さ310mm)、パーライト(18L)1袋、バーミキュライト(3L)1袋、川砂(適宜)、単管パイプ(径38mm)、焼き網など*塗料は含まない

 

ペール缶を好きなデザインに塗装する

塗装に準備したのは、ごく普通の水性ペンキ。窯の内部は300~500℃まで上がるタンドール窯だが、断熱材がしっかり熱を遮断してくれるとの判断からのチョイス。なお赤と黄色はなんとなくカレーの色をイメージしてみた

 

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

断熱材をブレンドする

断熱材はパーライトをメインに、バーミキュライトと川砂を混ぜてみた。比率はパーライト7:バーミキュライト2:川砂1くらい。さらに耐火セメントを混ぜて固める方法もあるようだが、重くなるのでやめた。なお、この組み合わせや比率に科学的根拠などまったくないので、みなさんそれぞれで試してほしい

 

ペール缶のフタを丸く切り抜く

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素焼きの鉢をカットする

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単管パイプで空気調整口を作る

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素焼きの鉢に穴をあける

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各部材を組み立てる

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自宅の庭で気分はインド!タンドール窯で串焼きパーティー開催中

これ、ぜ~んぶタンドール窯で作った料理!

 

チキンケバブ!

 

タンドーリチキン!この照り!このシズル感!

 

【窯の火入れ】
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【ナンを焼いてみよう!】
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タンドールならではの道具も自作すべし!

【ナン取り出し用フック】
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【ミニガッティ】
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タンドール・レボリューション!

いや、みなさん、正直に言わせていただく。この窯はすごい、もう魔法の窯といっても過言じゃない。ちょっとすごすぎて自分でも困惑しちゃってる(笑)。これはピザ窯、バーベキュー炉と並ぶ野外パーティーの武器になることを確信してます!

もうね、どんな食材を入れても美味しくなっちゃうんですよ。今回、ナンをはじめ、タンドーリチキン、ケバブ、豚バラチャーシュー、サンマの塩焼き、さらには焼き芋を調理しましたが全部大成功。

まず調理時間が早い。しっかりと内部の温度が上がったタンドール窯は、ナンは1分少々で焼けちゃう。タンドーリチキンですら10~15分くらいでOK。遠赤外線の効果か外はパリッと、中はふっくらジューシー! 余分な油は下に落とし、旨みだけをギュッと閉じ込めるから、もうほんっとに美味い。焼き上げた肉や魚を串から取り外した瞬間、「ぷすっ!」と音を立てて爆ぜる瞬間がもうたまんない。

さらにポイント高いのは、炭を使った窯なので使用時の煙が少ないこと。肉や魚から落ちる油を熱源の炭に当てないように気をつければ、煙がほとんど出ません。これならお隣さんを気にせず、堂々とパーティーができるってわけ! ピザ窯じゃこうはいかない。薪と違って、炭ならすぐに手に入るしね。

作品自体の作りやすさもこの窯のメリット。今回のようにペール缶に塗装をしなければ、半日で製作可能。工具さえそろっていれば、DIYビギナーでも十分にターゲットにできるやさしい難易度。しかも材料費4000円ときたら……もう作らない理由がないでしょ。

最後に、こだわった重さ。ペール缶に詰める断熱材はパーライトをメインにブレンドし、なおかつセメントで固める方法を避けた結果、7kgという軽さを実現。まさにポータブルの名に恥じない持ち運びやすさ。庭で、海で、キャンプ場で、ベランダで、コンクリートジャングルの真ん中で、もうどこでもナンが焼ける! おい、これはもう革命じゃないのか!?(笑)

ほんとになんてポテンシャルの高さなの、タンドール窯ちゃん……みなさんもぜひタンドール窯を自作して、オリジナルの窯料理を好きな場所で楽しんでね! では、ナマステ~(さようなら~) 。

セルフビルドの家にベンチつきストーブをIN!DIYerの自作薪スト&ロケスト集【1】

床を撤去して地面に設置
地元の大谷石をフル活用した自給暮らしを支えるベンチつきストーブ

セルフビルドした家の雰囲気に合ったヒートベンチつきストーブ。なお、煙突は2階の寝室まで延ばしており、焚き口と煙突の最上部の高低差は約4.5m。横引きの長さはベンチ部分、2階部分ともに約4mずつある

Profile
七田紹匡さん(54歳)/栃木県在住/材料費…約4万円/製作期間…約3年

 

セルフビルドした家で自給自足の生活を送る「エコヴィレッジみより」の七田紹匡さんは、10年ほど前に農業体験で訪れていたWWOOFer(*欄外参照)が持ってきた本『ロケットストーブ』で初めてロケストの存在を知る。その性能とアイデアに魅せられ、直感的に「これは作るしかない」と思い、本誌の121号でも紹介した石窯暖炉と並行してロケットマスヒーター作りに着手した。

ストーブとヒートベンチはかなりの重さになると予想したので、床の大引きの一部を撤去して直接地面の上に設置することに。土台には解体現場からもらい受けた大谷石、ヒートベンチの煙道の一部には同じく廃材の土管を使用。さらに蓄熱層に使ったベントナイト(粘土の一種)の量をなるべく減らせるよう、庭から採取した砂と石を骨材にして混ぜ、製作コストを抑えた。

「部屋の中もストーブの装置の一部。同じ構造のストーブでも、住んでいる環境、家の構造によってパフォーマンスは変わるので、まずは作ってみて使ってみないとわからない。失敗してもやり直せばいいんです」(七田さん)。

現に、七田さんのストーブも完成から2年が経つが、これまでに煙突の引き方を2回変えており、現在の煙道レイアウトに落ち着いた。満足のいく形になるまで、改造を繰り返してブラッシュアップできるのもDIYロケストの魅力といえる。

*WWOOFer(ウーファー)とは、金銭のやり取りを行なわずに農業体験や人と人との交流をする「WWOOF(ウーフ)」において、ホスト側のお手伝いをする人々のことを指す言葉。

 

天井の梁から網を吊り下げ、ストーブからの輻射熱を利用して食材を乾燥。写真は切り干し大根を作っているところ

 

ストーブ天板は250℃程度まで上昇する。煮込み料理なども可能

 

焚き口は深さがあるので、焚き始めは火バサミで薪の位置を調整する

 

本体は耐火レンガを角筒状に組んだヒートライザーにドラム缶をかぶせた

ストーブ設置部分の下地にはコンクリートを打ち(約100mm厚)、耐火モルタルで接着しながら耐火レンガを積んでヒートライザー&バーントンネルを製作。そして、ヒートライザーの周りをガルバリウム鋼板で筒状に覆い、パーライトとベントナイトを混ぜた断熱材を充填。大谷石とコンクリートで形成した土台にドラム缶を載せ、耐火モルタルですき間を埋めてヒートライザーを囲った。

ストーブ本体。中央の焚き口はカットしたペール缶にラス網を巻き、耐火キャスタブルでコーティング。鉄板は知り合いの鉄工所にドーナツ状にカットしてもらった

 

焚き口の横にコンクリート枡を設置。焚き口からの伝導熱で低温調理が行なえる。夜、食材を入れておくと翌日の昼食のいいおかずになるとのこと

 

ヒートライザーに断熱材をコーティングしたところ。ガルバリウム鋼板は鉄製のボルトで固定した(七田さん撮影)

 

ヒートライザーの周りに大谷石を積み、ベニヤ板の型枠にコンクリートを流し込んで土台を製作。この上にドラム缶を載せてヒートライザーを囲った(七田さん撮影)

 

ヒートライザーの製作。接着用の耐火モルタルは薄く塗り、目地が重ならないように積んだ(七田さん撮影)

 

ヒートベンチの先から延ばした煙突で2階の寝室も同時に暖める

煙突を天井まで延ばす際に、「どうせなら2階も暖房できるのでは?」と思いついた七田さん。2階に延ばした煙突を横引きし、むき出しのままで簡易的なベンチを製作した。

排熱が2階に到達するころには表面温度は30℃台まで下がっているが、最低気温が-15℃を下回るような日でも、小さな石油ストーブを併用するだけで部屋が暖められるようになった

 

煙突の屋外部分には断熱材を巻きつけて凍結を防止。木酢液は煙突のつなぎ目から下にチューブを延ばしてポリタンクにためている

 

大谷石で構成したヒートベンチの煙道は途中から2本に分岐

ヒートベンチは解体材の大谷石を組んで製作。L字形に折れ曲がっており、折れ曲がった先で煙道は2本に分かれる。その煙道には土管を使い、ベントナイト+砂+石を混ぜたものを蓄熱層とし、表面を漆喰で仕上げた。なお、最初の完成以来、煙道は使い心地を確かめながら2度変更している。1度目の変更時は煙の引きがよすぎて熱がもったいなかったので、完成当初のように煙道を分岐することにして排煙の滞留時間を長くしたとのこと。

L字形のヒートベンチ。木製の背もたれがあり、座り心地は上々

 

完成当初の煙道。2階とは別に、居間から続くサンルームにも煙道を延ばしていた(七田さん撮影)

 

1度目の煙道経路変更。以前は火入れすると、サンルームの縦の煙突が冷えすぎたせいか煙がまったく引き込まれず逆流することがあった。そこで、サンルームの暖房は諦め、しっかり機能していた2階の煙突のほうに折り返して1本化することに(七田さん撮影)

 

ヒートベンチの製作の様子。ストーブに近いほうのベンチには点検口を設けている(七田さん撮影)

 

蓄熱材を充填したところ。なるべく多く石を詰めて、ベントナイトはそのつなぎとして使う程度の量に留めている(七田さん撮影)

写真◎佐藤弘樹

自宅を大胆リノベ!火をこよなく愛するDIYerの薪ストーブ導入ドキュメント

壁をぶち抜いて部屋を増築!憧れの薪ストーブライフを実現

使用薪ストーブはノザキ産業の2300型。本体サイズは幅513×奥行413×高さ698mm

2005年に都内にに家を建て、花壇やガーデンシンクなどコツコツと庭作りを進めてきた小山内繁さん(44歳)。北海道の実家では薪ストーブを使っていたこともあり、庭や自作のサンルームにて古い薪ストーブによる火遊びを楽しんでいたが、灰や排煙で自宅が汚れ始め、また、小さな子どもには直火は危ないということもあり奥さんから薪ストーブ禁止令を出されてしまう。

大好きな薪ストーブを思う存分使うことができず、くすぶった思いが続いていたある日、知人から「薪ストーブを買い替えて、余ったノザキ製の薪ストーブがあるんだけど欲しい?」という話が小山内さんのもとに舞い込む。この好機を逃すまいと、薪ストーブの室内設置のDIYを決意した小山内さんが取ったのは、出窓がある居間の壁をぶち抜いて薪ストーブを置くための部屋を増築するという方法。その案に奥さんは賛成するはずもなかったが、小山内さんは水面下で計画を進め、なんと、奥さんが出かけている間に壁に穴をあけて後戻りできない状態にして、無理やり納得(諦め?)させた。スタートこそかなり思い切ったことをしたが、施工は勢いで進めることなく、安全性には十分配慮。薪ストーブを自力で設置した先人たちの知恵を借り、約1年かけて薪ストーブの設置スペースを完成させた。

ホームセンターやネット通販のセール品を活用したことで、材料費は約4万円まで抑えることができ、大満足の出来。「点火してから私が火を楽しめるのは最初の15分だけで、暖かいから格好の洗濯物干しのスペースになってしまうんです(笑)」と、製作前は渋っていた奥さんにとっても有効な空間になってなにより。いやぁ、めでたしめでたし!

 

薪ストーブ小屋外観。外壁は下見張り仕上げ。完成したのは昨年の春前なので、本格的に使用する時期になったら煙突を自宅の屋根上まで延ばすそうだ

 

ストーブの両側面には赤レンガを積んで蓄熱させている。炉内は正方形に近く、最大で約40cmの薪を入れられる

 

天板に鍋を置いて、焼きリンゴや煮込み料理などの薪ストーブクッキングも楽しんでいる

 

 

 

煙突の屋根出し

室内から伸びた木枠にはガルバリウム鋼板の屋根を取りつけた。すき間は防水テープとコーキング剤で埋めてある

 

内側にケイカル板を張った木枠を屋根に取りつけ、その中に煙突を通している

 

ミニ薪棚

壁に設置したミニ薪棚。屋外からも開けられるようにしたので薪の補充がしやすくなっている

 

内外から断熱した炉壁

炉壁内側はGLボンドで石膏ボード、壁タイルを張り、白モルタルで目地埋めして仕上げた

 

小屋の基礎も兼ねた炉壁。鉄筋を入れながらコンクリートブロックを積み上げ、外側はスタイロフォームで断熱した

 

自宅壁の開口

写真内点線が、もともと出窓つきの壁があった部分

 

出窓下の壁を完全に開口する前の様子。開口時に出た断熱材は壁のすき間に詰めて再利用した

 

1段下がった炉台

水洗いしやすくするために、タイル敷きの炉台はあえて自宅の床から下げた位置に設置している

 

ガラスブロックの壁

採光性をよくするために、ストーブ背面の壁はガラスブロックを積み上げて製作。強度を出すために目地にはワイヤーメッシュを入れてある

 

出窓の再利用

自宅壁の開口時にはずした出窓は、増築部の側面に設置した

写真◎冨田寿一郎、製作者提供