適正量はハンガーバー割る3! ワードローブの無駄を防ぐ出し入れしやすいクローゼット収納術

暖かな日差しが降り注ぎ、服選びが楽しい季節がやってきました。しかし、クローゼットが整理整頓されていないと、自分がどんな洋服を持っているのか、全体を把握できず、ワードローブを活かしきれなくなってしまいます。

 

そこで今回は、整理収納アドバイザーの鈴木久美子さんに、おしゃれを楽しむためのクローゼット収納術を教えていただきました。鈴木さんは、整理収納のサポートを行うかたわら、テレビ出演や講演会登壇なども行なっており、そのときの衣装はご自身で選ばれているそうです。

 

大切なのは「自分の洋服を大切に管理すること」

クローゼット収納のコツをうかがうと、「クローゼット収納に特別なテクニックは必要ない」と話す鈴木さん。それよりも大切なのは、“自分の持ち物を把握し、大切にする習慣”だと言います。

 

「持ち物を把握し、大切にする習慣が身についていなければ、せっかく整理しても日々の生活のなかで服が乱れ、結局は元の木阿弥(もくあみ)になってしまいます。その習慣を前提に、着るだけでなく、“洗う・しまう”までをセットで考えた、出し入れしやすいクローゼットを作りましょう」(整理収納アドバイザー・鈴木久美子さん、以下同)

 

「みなさんは、ストッキングを収納するときに結んでしまっていませんか? 実はこれ、ストッキングの劣化をまねくしまい方なんです。なぜならゴムがのびてしまうから。
お客様のご自宅で、こういった雑に扱われたストッキングをよく見かけます。そしてそういった方のクローゼットは大抵、乱雑に収納されたアイテムであふれ、使いたいときに必要なものが見つからない“ブラックボックス状態”に陥っています」

↑下段はストッキングや靴下を傷めるしまい方。上段が傷めないしまい方。

 

鈴木さんによると、ストッキングを傷めないためには、“結ぶ”のではなく、写真の左上のように“畳む”のが正解なのだそう。

 

「『ストッキングまで畳まなければならないの?』と驚かれるかもしれませんが、実は結ぶのも畳むのも、手間はそれほど変わりません。慣れてしまえば、無意識にできるようになります。
こういった小さな習慣が整理整頓されたクローゼットを作り、それが日々のコーディネートを生み、ひいてはその人自身を形作るのだと思います」

 

無駄なく活かすための
ワードローブの適正量は?

鈴木さんは、クローゼット収納に悩む人に共通するのが、「スペース以上の量を収納しようとしていること」だと言います。

 

「ハンガーを1〜2cmほどの間隔でぎゅっと詰めてかけたり、連結ハンガーを使ったりして、適正量以上の服をしまおうとしている人が多いんです。多すぎると、一時的にはしまえても、洋服の確認がしにくく、戻すのも大変。結局、ワードローブを活かせなくなってしまいます」

 

それでは、管理しやすい状態を維持できる洋服の適正量はどれくらいなのでしょうか。

 

「適正量は、仕事や趣味、管理能力によって異なるので一概には言えませんが、おおよその目安は、ハンガーバーの長さを3で割った数。1mのハンガーバーであれば、100 ÷ 3 =で約33着。この量なら、“見やすく・取りやすく・戻しやすい”状態をキープできるので、洋服が埋もれたり乱れたりすることがありません」

 

収納のプロはどうしまう?
クローゼットを公開!

せっかくなので、鈴木さんのご自宅のクローゼットを見せていただきました。

「私はクローゼット、ベッド下収納、リビングにあるサイドボードの一部を使い、バッグなどの小物も含めた全ワードローブを収納しています。クローゼットはさほど大きくなく、メインとなる1mのハンガーバーが1本、左側に40cmのハンガーバーが2本、計180cmのハンガーバーを備えたものです。それを主人と90cmずつに分けて共有しています」

 

鈴木さんによると、クローゼットを誰かと共有する場合、お互いが気持ちよく管理できるようにするには「平等に分ける」のがコツなのだそう。

 

「クローゼットに関しては、男性よりも女性のスペースを広くとっている家庭が多いでしょう。しかしそれだと、たとえば男性の持ち物が増えてきてそれを指摘した場合、『でもスペースはあなたの方が優遇されているよね』と言われ、指摘を受け入れてもらいにくくなってしまいます。しかし、スペースを平等にしていれば、そういったことを避けられます」

 

鈴木さんは、持っている洋服の9割をクローゼットに収納し、残りをベッド下に、バッグやアクセサリーはリビングに収納しているそうです。

 

「ハンカチなどの小物から厚手のコートまで。多種多様なものを大きな空間にひと目で分かる状態で収納するには、カテゴリー分けが大切。そのときにあると便利なアイテムとともに、クローゼットをご紹介します」

 

1.よく使う1軍だけが並ぶ「ハンガーバー」

「計180cmのハンガーバーを主人と等分しているので、私の持ち分は90cm。そこに普段よく着る約30着をジャケット、ワンピース、ボトムスのように、カテゴリーに分けてかけています」

 

【便利アイテム】統一したハンガー
「ハンガーには、木製・プラスチック製・アルミ製・金属にシリコンコーティングされたものなど、さまざまな種類があります。背広や冠婚葬祭用のスーツなど立体的な衣服には木製、洗って干したまま収納する場合はプラスチックやアルミ製など、用途に応じて選んで問題ありません。
ただし、ハンガーの種類はカテゴリーごとに統一させること。そうするとハンガーバーで無駄なスペースが発生せず、効率よく収納できます」

 

2.出番の少ない2軍の服を畳んでしまう「引き出し収納」

「引き出し収納のメリットは、省スペースで多くの衣類を収納できる点です。より使いやすくするためのポイントは、上から衣類を見渡せるよう立てて収納すること。これで必要なものをすぐに確認できます」

 

【便利アイテム】不織布の仕切りケース
「高さを調整できる不織布の仕切りケースは、100円ショップなどで手軽に購入でき、サイズ展開も豊富。収納するアイテムに合わせケースを選び、シンデレラフィットを目指しましょう」

 

・1段目……靴下、ストッキング、ハンカチ

「引き出しの中を不織布で仕切り、右から順に靴下、タイツ・ストッキング、ハンカチ類とカテゴリーごとに分けます。ハンカチは、折り目が見えるように立てて収納すると、見た目が美しくなり、モノを大切にする気持ちも育ちます」

 

・2段目……2軍のトップス

「大きめの不織布の仕切りケースで引き出しを前後に仕切り、手前にシーズン中のトップス、奥にオフシーズンのトップスを収納。これなら、ケースを入れ替えるだけで衣替えができます。薄い色から濃い色へとグラデーションをつけながら、立てて並べることで、見やすさにも配慮しています」

 

・3段目……2軍のボトムス

「3段目には、使用頻度の低い2軍のボトムスを畳んで収納。こちらもトップスと同様に、手前にシーズン中のもの、奥にオフシーズンのものや撮影のときに履く色味のあるボトムスを収納しています」

 

3.2軍の小物類を保管「手付きボックス」

「ハンガーバーの上段には、取って付きのボックスを3個並べています。中身は右から、使用頻度の低い2軍のバッグ、主人の季節もの衣類、冠婚葬祭用のバッグなど。大きめの取って付きボックスを使うことで、中身を出し入れしやすくしています」

 

【便利アイテム】取っ手付きボックス
「高所の収納は、軽量かつ上段から取り出しやすい取っ手付きタイプがおすすめです。バッグなどをぽんと入れられるように、適度に大きいものを選ぶとストレスなく管理できます」

 

4.よく使う1軍バッグ「リビング収納」

「家族と過ごす時間が多いお母さんなど、自分の部屋を持っていない方も多いのではないでしょうか。クローゼットにすべてのアイテムを収納するのもよいですが、財布やスマートフォンなど、よく使うものが入ったバッグは、長く過ごすリビングに収納すると、クローゼットに取りに戻る手間が省けて便利。私は、着替えのあとにコーディネートを考えることが多いアクセサリー類もリビングに収納しています」

 

デッドスペースを活用!
自分で作る収納スペース

クローゼットは、つくりに大きな違いはないもののサイズは様々。家族で共有している場合、クローゼット内に洋服が収まりきらないこともあるでしょう。そんなときに便利なデッドスペースを活用した収納アイデアも教えていただきました。

 

1.クローゼットの奥の壁に出番の少ない服をかける

「セレモニー用のセットアップや冠婚葬祭用のワンピースなど、出番が少ない服の保管には、クローゼットの奥の壁面収納がおすすめです。
一般的なクローゼットは、ハンガーバーの奥にこぶし1個分ほどのスペースが余っているので、フックを付ければ収納スペースとして使えます。ここなら出番の少ない洋服もハンガーにかけたままきれいな状態で保管できます」

 

2.トラベルケースでダウンを保管

「引き出し収納と壁の隙間や、引き出し収納の上など、クローゼット内に生じるデッドスペースには、トラベルケースを使った収納がおすすめ。ダウンなどのかさばる衣類も、空気を抜いて入れれば意外とコンパクトに収まります。ちなみに衣類の保管には、通気性のよいメッシュタイプのケースが適しています」

 

4.壁のデッドスペースを洋服の一時保管場所に

「各部屋の扉の横や玄関脇など、壁のちょっとしたスペースにフックを取り付け、一時保管場所を作るのもおすすめです。フックを目につく場所に付けることに抵抗がある方もいますが、1〜2個を空間に余裕を持たせて設置すれば見た目が悪くなることはありません。自分の普段の動線上に配置すると、より便利に活用できます」

 

5.跳ね上げベッドでベッド下を有効活用

「私は、オフシーズンの洋服の一部をベッド下に収納しています。ベッド下収納に対し、使いにくくホコリがたまりやすいというイメージを持つ方が多いのですが、跳ね上げ式ベッドであればその心配はいりません。片手で簡単に開けられ、収納全体を見渡せるところも便利。私は、替えの布団やソファーカバーなどもここに入れています。ベッドを買い替えなければならないので大掛かりにはなりますが、部屋が狭く、収納スペースが限られている方には、ぴったりの収納方法です」

 

 

「自分が洋服を何着持っているのか把握していない人が多い」と話す鈴木さん。数を意識しなければ、モノは増える一方で、管理もどんどん難しくなってしまいます。

 

「ちなみに私は、数年前に買わないときめたものがあります。それは『ボリュームニット』です。見た目がかわいいのでつい購入するのですが、しまうときにスペースを取る、毛玉ができやすい、洗濯がしにくいといったデメリットがあり、いつのまにか出番が減ってしまい、タンスの肥やしになっていたからです。
このように、自分のライフスタイルに合わないものは、たとえ見た目が気に入っても購入しないと決断する勇気も大切です」

 

まずは、自分の収納スペースの適正量を見極めること。洋服を適正量にしぼって、見やすく取り出しやすい形で収納すれば、お気に入りのワードローブを無駄なくいかせるはず。整理整頓されたクローゼットで、春のおしゃれを楽しみましょう。

 

Profile

整理収納アドバイザー / 鈴木久美子

これまで1000件以上の整理収納サポートや片付けを行う、経験豊富な片付けの専門家。個人宅の訪問サポートだけではなく、オンラインでのアドバイスも行う。整理収納アドバイザー1級・住宅収納スペシャリスト・クリンネスト1級、整理収納アドバイザー2級認定講師資格を持ち、アドバイザー育成にも携わる。『ズームイン!!サタデー』『ZIP』『ラヴィット!』『Nスタ』『ノンストップ』といったテレビの情報番組など、メディア出演も多数。
HP

 

ニットにボトムス、1回の着用では洗わない冬服の正しい洗濯頻度と一時保管術

冬はアウターにマフラー、手袋など、外出時に身につけるアイテムが増え、帰宅後に何も考えず置いてしまうと、あっという間に部屋が散らかった状態に。加えてニットやボトムスなど、1回着用しただけでは洗わない衣類もありますよね。これらの冬の衣類、どのように保管すれば快適に着られるのでしょうか。

 

今回は、片付けたいのにうまくできないという葛藤の原因を明らかにし、解決への道筋をわかりやすく教えてくれる片付けメンタルトレーナーの鷹野由紀さんに、一時保管のコツをうかがいました。ポイントは「どのように片付ける?」(HOW TO)ではなく、「何のために片付ける?」(WHY DO) に焦点を当てることだそう。

 

一時保管の定位置を決め
置きっぱなしをやめるメリットとは?

一時的な保管であれば、適当に置いても問題なさそうに思えますが、鷹野さんは一時保管でも定位置を決めて保管するのがおすすめだと言います。

 

「定位置での一時保管は、自分の服を管理するうえで大切な工程のひとつ。そこには、 次のような物理的メリットがあります」(片付けメンタルトレーナー・鷹野由紀さん、以下同)

 

シワを防げ、次に着るときにすぐ着られる
・服を無造作に置くことがなくなり、部屋が散らからず気持ちよく過ごせる
・定位置を決めることで、無意識に片付けができ、その都度考える必要がなくなりストレスフリー
・1着1着を大切に扱うことで、余計な服を買わずに済み、経済的にも時間的にも余裕が生まれる

 

「『ディドロ効果』という言葉をご存じでしょうか。高品質で美しく使い心地のいいアイテムや、新しい価値観を取り入れたとき、それに合わせて周囲のものも整えたくなる心理現象のことを指します。
たとえば、お気に入りの家具を購入したら、それに合わない他の家具も買い替えたくなる。これがディドロ効果です。
同様に、住空間のなかにある『違和感』をひとつひとつ取り除いていくと、より心地よい空間にしたいという気持ちが加速し、行動も変わっていきます」

 

さらに鷹野さんによると、『モノ=自分』であると考えることも大切だそう。

 

「『モノ=自分』と考えると、

・服を置きっぱなしにすること=自分の気持ちを後回しにすること
・服をきちんと管理すること=自分の考えや気持ちに沿って生きること
・服を大切にすること=自分を大切にすること

といった形で、考え方が変わります。
このように考え方が変わると、一時保管の服もとりあえず置くのではなく、『機能的に管理し、大切に扱い、自分が気持ちよくなる保管方法』へ切り替えられるようになります」

 

これにより生まれる心地よさは、「やがて生活全体に広がり、最終的には日々の習慣を変えるきっかけになることもあります」と鷹野さん。

 

「つまり、毎日を気持ちよく過ごせるようにする。これこそが、片付けの本質なのです」

 

実は夏よりにおうかも!?
冬の衣類の注意点

衣類の一時保管、さらには片付けへの心構えがわかったところで、具体的に冬の衣類の一時保管について考えていきましょう。そもそも、冬の衣類はどのくらいの頻度で洗うのが適切なのでしょうか。

 

「実は私たちは、冬も汗をかいています。 さらにいうと汗をかきにくい冬場は汗腺の機能が衰えるので、夏の汗よりもにおいが強くなりやすいんです。 加えて、厚着により汗がこもり、においが濃くなることも
ですので、インナーやシャツなど肌に直接触れるものは、夏と同じように毎回洗濯するのが基本です」

 

一方、ニットやボトムスのように直接肌に触れないものはどうでしょう。何度か着回してから洗うという人も多いはずです。

 

「洗うタイミングは、感覚的な部分もあるため一概には言えませんが、『自分が気持ち悪いと感じるかどうか』で判断するとよいでしょう。
夏に汗をかいた際、こまめに着替えるとさっぱりして気持ちいいのと同じ。冬も同じように、不快感を感じたら洗ってさっぱりさせると考えるのが理想です」

 

洗うべきなのは、具体的に次のようなときです。

・汚れがついたとき
・長時間外出したとき
・生活臭や体臭が気になったとき

 

「少しでも快適に感じられなくなったら洗濯し、清潔な服を気持ちよく着る。日々、身の回りをきれいに保つ習慣は、自分自身を大切にすることにもつながります」

 

ちゃんと知ってる?
冬モノ衣類の洗濯タイミング 

「気持ち悪いと感じたら洗うこと」を大前提に、冬によく使うアイテム別の洗濯タイミングの目安も教えていただきました。

 

・アウター
「着用したあとは陰干しし、シーズン終了時にクリーニングに出します。もしくは汚れが気になるときに洗濯しましょう」

・手袋
「月1~2回を目安に洗います。もしくは汚れが気になるときに洗濯しましょう」

・マフラー
「首周りは、汗や加齢臭などニオイが気になる部分のため、こまめにチェックし、汚れやニオイが気になったら洗濯します。月1~2回は洗えるとよいでしょう」

・ニット&ボトムス
「3日以上の着用を目安に洗います。もしくは汚れが気になるときに洗濯しましょう」

 

洗濯後の型崩れや縮みを気にせずに
ニットを扱うコツ

先ほど、ニットは少なくとも3日以上着用したら洗うのがベストとお伝えしましたが、Tシャツのように洗濯機でガシガシ洗うと傷んだり縮んだりしてしまうのが気になるという人もいるでしょう。それらの悩みを解消するためには、購入時に次のふたつのポイントを気をつけるといいと、鷹野さんは言います。

 

「私は肌触りの良さからカシミヤのニットを購入することが多いのですが、最近ではカシミヤでも低価格の商品が増えているので、それらを選んでいます。その際、洗ったときの縮みを考慮し、あえて大きめサイズを購入しています。そうすると、多少の型崩れは気にならなくなるので、“洗濯をためらうこと”自体がなくなります

 

さらに洗濯のしやすさを重視するなら、「丈夫で汚れにくいウール」を購入するのもおすすめとのこと。

 

「私のお客さまのなかにも、同様の理由でウールを選ぶ人が多いです。ウールは糸に油分が含まれているので、汚れにくく取り扱いが比較的簡単。お手入れのしやすさを考えてニットを選ぶのも、一つの方法です」

鷹野さんは、洗濯を億劫でなくするために、洗剤にもこだわっていると言います。

 

「ウール用のデリケート洗剤1本で、すべての洗濯をまかなっています。好みの香りのものを選べば、洗濯が楽しみになりますし、これ1本と決めているので買い替えのときに洗剤を選ぶ手間もありません

 

片付けのプロのルーティンから学ぶ
一時保管術

それではここからは、頻繁には洗わないアイテムの一時保管の方法を、鷹野さんのルーティンを通じてご紹介します。
取り上げるのは、洋服を脱ぐタイミングである「帰宅直後」「入浴時」。鷹野さんはどちらのシーンもフックを多用し、“かける保管”を取り入れています。

 

シーン1:帰宅直後

1.手袋を取って玄関に置く

「脱いだばかりの手袋は、中に汗がこもっているのでそのまま玄関の棚上に置いて、湿気を逃がします。そして気が付いたタイミングで、横にあるカゴの中へ。カゴは通気性があるので、衣類の保管に最適な収納アイテムなんですよ」

 

2.アウターとマフラーを玄関脇のコートハンガーにかける

「マフラーやコートはお出かけのときに着るアイテムのため、部屋に持ち込まず玄関わきのコートハンガーにかけます

 

3.バッグはキッチンにあるフックにかける

「バッグの中には、スマートフォンやお財布、購入したものなど、家の中で使うものが入っているので、玄関よりもキッチン内に保管場所を決めて定位置管理しています」

 

シーン2:入浴時

1.脱いだニットはハンガーにかけて保管する

ニットはハンガーにかけて一時保管。また汗を蒸発させるために、風通しのよい場所にかけましょう。私はインナーバルコニーに干しています。写真のように、S 字フックを使って簡易なハンガーバーを作るのがおすすめです」

 

2.ボトムスなどひっかけられるものはフックにかける

「脱衣所などに、フックやS字フックを数カ所設置し、ボトムスなどはひっかけて保管。わざわざハンガーにかけなくていいものはできるだけかけずに済むようにすると、ノンストレスで続けやすくなります

 

「こうやって何日か経つと、一時保管した服が写真のように増えていきます。脱いだ直後は気にならなくても、時間が経ったことでにおいや汚れが気になることも。その場合は洗濯し、その他のものはクローゼットに収納します」

 

目に入っても気にならない。
すっきり見える一時保管のコツ

“置きっぱなし”の一時保管グセを直すには、「目につくところに定位置を作ることが大切」、と鷹野さんは語ります。

 

実際に鷹野さんが一時的な服の置き場としているのは、脱いだ場所にある壁やカーテンレール、玄関など、自然と目に入る場所ばかりです。その際気になるのが、部屋が散らかって見えること。

 

すっきり見せるためにはどうすればよいのでしょうか。

 

コツ1.一時保管場所を複数箇所に設け、スペースに余裕を持たせる

片づけが苦手な人によく見られるのが、一時保管場所を1か所にまとめてしまう方法です。
たとえば脱衣所に突っ張り棒を設置し、そこだけを一時保管の場所にしている場合、服が日を追うごとに積み重なり、着たいときにはシワシワ。最終的にはヨレっとしてしまい、結局洗濯機へ……。さらに、空間に余裕がないため、湿気がこもりやすくなります。見た目のだらしなさも気になりますよね。
そうならないためには、手袋は玄関、マフラーやコートは玄関わきなど、脱ぐ場所ごとに定位置を決め、複数箇所に分散させること。そしてフックは1か所につき2~3個まで など、スペースに合わせてルールを決め空間に余裕を持たせることが大切です」

 

コツ2.収納ラックを買わない

「一時保管の場所を作ろうとすると、多くの人がつい『この辺にラックを購入して…』と考えます。しかしそれをすると、いつの間にかモノが増えていくことに。また、ラックを買って満足してしまっては意味がありません。
大切なのは、動線を考え、『ここにかける場所があると便利だな』と思う場所に、フックやバーを設置すること。 他のアイテムとも共有すれば、意外と空間になじむので飾るような感覚で保管が可能になりますよ」

 

コツ3.定位置管理を徹底し、服はしまえる量だけに

「服は定位置管理し、収納スペース(箱)の容量以上は持たないことを徹底しましょう。私は自分専用のクローゼットで、持っている洋服の量を把握しています。このクローゼットに収まる分だけしか洋服を持たず、家族もそれぞれの自室で管理。
そうすることで空間に余裕が生まれ、自然とおしゃれな空間が生まれます」

 

コツ4.隠して収納するなら大きなかごを活用

「急な来客時には、サッと隠せる大きなかごに入れてしまうのも一つの方法です。かごは通気性があるため蒸れにくく、収納にも便利。
また、何度言っても定位置に戻さない家族のために、専用のかごを用意し、散らかったものをまとめて入れておく。 そして、片付けは本人に任せる という方法も効果的です」

「ものを丁寧に管理することは、自分を丁寧に扱うこと」
そう繰り返し語る鷹野さん。ディドロ効果を意識し、まずは思い切って一時保管術を取り入れてみる。気持ちのよいルーティンを習慣にし、快適な毎日を過ごすきっかけにしてみませんか?

 

Profile

片付けメンタルトレーナー / 鷹野由紀

整理収納コンサルタント、住宅収納スペシャリスト、整理収納ベーシックコーチ(特定非営利活動法人ハウスキーピング協会)、心理カウンセラー、メンタルトレーナーの資格を保有(一般社団法人日本推進カウンセラー協会)。「持ち物の整理収納と思考や感情の整理は自分らしく暮らすための土台」をモットーに、30~50代の“思秋期女性”専門の片付けメンタルトレーナーとして活動する。“普通の人が望む、普通の幸せ”を手に入れるための自分に気づく講座「片付け×メンタル講座」や「モヤモヤ講座」をオンライン開催する傍ら、整理収納サポートを行う。
HP

 

素材別「白スニーカー」の汚れ落としと「レザーブーツ」の衣替えケアをプロが解説

ビジネスシーンからオフの日まで、女性の足元にスニーカーはすっかり定着しました。とくに、きれいめなスタイルに合わせやすい“白スニーカー”は人気ですが、汚れの目立ちやすさに悩む声も聞かれます。また、秋以降になるとレザーブーツの出番も増えます。春夏に硬くなったり、カビが生えてしまったりしたブーツをまた“一軍”に戻すには、どんなケアが必要でしょうか?

 

靴のケア用品を取り扱う株式会社R&D「靴磨き女子部」の清水美帆さんに、白スニーカーとレザーブーツのケア方法を教えていただきました。

 

 

[ナイロン×スエード] コンビ素材の白スニーカーの汚れ落とし

一口に白スニーカーといっても素材はさまざま。最近では、アッパー(靴の足を覆う上部)に異なる素材を組み合わせ、機能性とファッション性の両方を追求したモデルが人気を博しています。一方で、このようなコンビ素材をどのようにケアすればいいか悩んでいる人も多いのでは? ここでは、ナイロンとスエードを組み合わせた白スニーカーの汚れ落としを紹介します。

 

【使用する道具】

左上から
・皮革製品専用 カビ除去・予防スプレー
・皮革製品専用 カビ除去・予防シート
・シューキーパー
・ブラシ(馬毛)
・クロス(綿100%)
・スニーカー専用クリーナー 泡タイプ(さまざまな素材に対応したもの)
・こすり洗い用ブラシ(コシがあり小さめなもの)
・防水スプレー

 

【ケア手順】

1. 最初に靴ひもを外しておく

「シュータン(靴ひもの下の部分)も洗うので、最初に外しておきましょう。靴ひもは傷まないように、洗剤でもみ洗いします」(株式会社R&Dの靴磨き女子部・清水美帆さん、以下同)

 

2. カビを除去する

「靴のつま先部分に黒カビがわずかに発生していました。脱いですぐの靴を風通しの悪い場所で保管すると、カビが生える原因になります。まず、このカビを除去しましょう」

 

M.MOWBRAY PRESTIGIO「モールドクリーナーシート」880円(税込)

 

「黒カビが見られるつま先部分をカビ除去シートで拭き取ります。シートタイプのクリーナーなので、ナイロン繊維の隙間に入り込んだ汚れやホコリも一緒に取り除くことができ便利です。
この時、靴の内側も拭いておきましょう。スニーカーはつけ置き洗いをすると、内側の接着剤がはがれる可能性があり、おすすめできません。そのため、カビ除去シートで汚れを落とし、除菌しておくといいですね」

 

M.MOWBRAY PRESTIGIO「モールドクリーナー 100ml」2200円(税込)

 

「同じ場所に何度も発生するような頑固なカビに対しては、カビ除去スプレーをしっかり吹きかけるのが効果的。内側にも吹きかけてカビを予防しましょう。カビ除去スプレーは、靴の素材に合ったものを選ぶのが重要です。このスニーカーは、一部にスエードが使われているので、皮革製品にも使用できるカビ除去スプレーを選びました。
カビ除去クリーナーで拭き取り、カビ除去スプレーを全体に吹きかけたら、1日置いてカビが消えるのを待ちます。それでも再発するようなら、もう一度スプレーし、さらに1日置きます。カビが再発しなくなるまでくり返してください

 

3. シューキーパーや詰め物を入れ、つま先の履きジワを伸ばす

今回は、除湿乾燥材を入れてシワを伸ばしています。

 

「スニーカーは甲のつま先部分に履きジワができやすく、そこに汚れが溜まります。シューキーパーなどで圧をかけ、しっかり伸ばすことで、履きジワに入り込んだ汚れを細かく落とすことができます。シューキーパーがない場合は、つま先部分がパンパンに張るように布などで詰め物をしてください」

 

4. ブラシで汚れ・ホコリを落とす

M.MOWBRAY「ワークブラシ+ ホース」1210円(税込)

 

「アクティブなシーンで履くことの多いスニーカーは、泥汚れなどもこびりついています。ブラッシングは念入りに」

 

5. スニーカークリーナーでこすり洗いする

M.MOWBRAY SPORTS「スニーカー泡クリーナー」1980円「スクラビングブラシ」990円(ともに税込)

 

「今回使用した泡タイプのスニーカークリーナーは、スムースレザー、スエード、合成皮革、人工皮革、キャンバス、布地、ナイロンなど、多様な素材に対応します。複数の素材を組み合わせたスニーカーを持っている人には、どんな素材にも使えるクリーナーが便利です。
クリーナーを数プッシュしたら、小さめのブラシで円を描くようにこすり洗いしてください。スエード部分は優しめにブラシを動かし、ナイロン地の部分はたたき洗いするのがポイント。かかと、ソール、つま先という具合に、一カ所ずつ仕上げていきましょう」

 

6. クロスで泡を拭き取る

M.MOWBRAY「リムーバークロス」440円(税込)

 

「こすり洗いが終わったら泡をクロスで拭き取ります。手ぬぐいや柔らかい綿素材のTシャツの切れ端でも代用可能です」

 

7. 防水スプレーで仕上げる

「最後に、撥水・防水効果のあるスプレーを靴から20cmほど離して、全体にまんべんなく吹きかけてください。週1回の使用が効果的です。防水スプレーはスニーカーの素材に合うものを選んでください」

 

スニーカー通勤は清潔感が大事! 人気スタイリストが教えるスニーカーメンテナンス術

 

Q.内側はどうやってケアする?

A.
「クリーナーシートで拭いたり、除菌・消臭スプレーを使用したりするのも一つの方法です。最近では、粉タイプのものも人気で、履く前に振りかけておくと、靴の中で菌が発生しにくい環境を作ってくれます」

 

左からM.MOWBRAY PRESTIGIO「モールドクリーナー 100ml」2200円「モールドクリーナーシート」880円(ともに税込)

 

Q.突然の大雨で内側までびしょ濡れに。生乾きのニオイが気になる……正しいケア方法は?

A.
「早く乾かすことが重要! 水気をできる限り拭き取ったら、風通しの良い場所で陰干ししてください。壁に立て掛けると早く乾き、カビの予防にもつながります。また、天日干しをすると素材によっては日焼けの原因になるため注意が必要です」

 

「内側に除湿剤を入れておくのも非常に効果的。日頃から靴に入れておくことで、ニオイ対策にもなります。シダ―ドライのような袋状の商品であれば、除湿効果だけでなく、つま先のほうにぐっと押し込んで履きジワ対策もでき、一石二鳥」

 

M.MOWBRAY PRESTIGIO「シダ―ドライ」1980円(税込) レッドシダ―を使用した靴用の除湿乾燥剤。吸湿性はもちろん、防虫効果のある成分を含む。特有の香りはニオイ対策にも。

 

“洗濯王子”が教える、自宅でできる夏物のおしゃれ着洗濯の基本と気を付けたいポイント

 

[シンセティックレザー] 光沢感のあるスニーカーのオリジナルの白さを少しでも取り戻す

きれいめなスタイルによく合う、シンセティックレザー(人工皮革)の白スニーカー。しかし、気づけば薄汚れ、仕事で履くのがはばかられる状態に……。とくに、アッパーにできた深い履きジワとソール側面の汚れは、どうしたら新品の白さに近づけられるでしょうか?

 

【使用する道具】

左上から
・皮革製品専用 カビ除去・予防シート
・シューキーパー
・ブラシ(馬毛)
・補色剤(ホワイト)
・クロス(綿100%)
・こすり洗い用ブラシ(コシがあり小さめなもの)
・スニーカークリーナー 泡タイプ(さまざまな素材に対応)
・ソールクリーナー

 

【ケア手順】

1. コンビ素材のスニーカーのケアと同様、靴ひもを外し、カビを除去し、ブラッシングまで行う(コンビ素材のスニーカーのケア手順1~4を参照)

 

2. スニーカークリーナーでこすり洗いをする

M.MOWBRAY SPORTS「スニーカー泡クリーナー」1980円「スクラビングブラシ」990円(ともに税込)

 

「泡タイプのスニーカークリーナーを数プッシュし、小さめのブラシで円を描くようにこすり洗いしてください。履きジワが深い部分は、シワに沿ってブラシを動かします。メッシュ部分はたたき洗いが効果的。汚れが浮いてきたらクロスで拭き取ります」

 

3. ソールクリーナーでフォクシングテープの汚れを落とす

M.MOWBRAY SPORTS「スニーカーソールクリーナー」1430円M.MOWBRAY「リムーバークロス」440円(ともに税込)

 

フォクシングテープ(ソール外周)の汚れが落ちると、一気に清潔感が戻ります。指にクロスを巻きつけ、ソールクリーナーを吹きかけて拭いてください」

 

4. 深い履きジワやしつこい汚れには、白の補色剤を塗布する

M.MOWBRAY SPORTS「スニーカーホワイトニング」1320円(税込)

 

「この時点で白さはだいぶ戻りましたが、深い履きジワやしつこい汚れが気になるなら、ホワイトのレザー補色剤を塗ってもいいでしょう。最後に、防水スプレーをかけて仕上げます」

 

Q.白スニーカーだからこその注意点は?

A.
「白スニーカーの場合、どれだけ早く汚れに対処できるかが白さを維持する鍵になります。汚れの付着時間が長いほど、汚れが落ちなくなりますから。外出先でもティッシュなどを使って可能な限り汚れを落としてください。また、汚れが落ちやすい環境を作るために、週1回の防水スプレーをおすすめします」

 

M.MOWBRAY SPORTS「スニーカープロテクトスプレー 125ml」1430円(税込)

 

Q.真っ白にするため漂白剤を使ってもいい?

A.
「素材によっては繊維が脆くなったり、ソールがべたついたりする可能性があります。漂白剤の使用は推奨しません」

 

夏物の衣替え・エアコン掃除・製氷器洗浄…“夏じまい”のコツを家事アドバイザーが解説

 

秋冬の出番前にすべき「本革ブーツ」のケア方法

 

しまいこんでいたレザーブーツをそろそろ一軍にもどす季節。履き始める前にどのようなケアをしておくべきでしょうか?

 

【使用する道具】


左上から

・皮革製品専用 カビ除去・予防スプレー
・皮革製品専用 カビ除去・予防シート
・保革栄養クリーム
・スムースレザー用クロス(起毛)
・馬毛ブラシ
・グローブ型クロス
・シューキーパー

 

【ケア手順】

1.ブーツの状態をチェックする

「チェックするポイントは3つ。乾燥して白茶けていないか。革が硬くなっていないか。ソールの接着剤がはがれていないか。革の乾燥や硬化が見られる場合は、栄養クリームを塗ります。ソールの接着剤の剥離が見られる場合は、修理が必要です。
また、カビが生えていないかもチェックしましょう。白い斑点状の模様が見られたらカビの可能性大。ナイロン×スエードのスニーカーで紹介したカビの除去方法(手順2)を試してみてください」

 

2. シューキーパーを入れ、馬毛ブラシで汚れ・ホコリを落とす

M.MOWBRAY「プロ・ホースブラシ」1430円(税込)

 

「シューキーパーを入れ、靴全体に圧をかけるとケアがしやすくなります。柔らかい馬毛のブラシで汚れ・ホコリを払ってください

 

3. 指にクロスを巻き、保革栄養クリームを出す

M.MOWBRAY PRESTIGIO「クリームエッセンシャル」1980円(税込)

 

ポイントは、クリームを出し過ぎないこと。クリームが多すぎると、逆に艶が出なくなってしまうんです。片足に対して真珠1粒くらいの量があれば十分です」

 

4. 保革栄養クリームを塗る

「くるくると指で円を描くように塗り込んでいきます。最初は目立たないかかとの内側から始め、最後につま先を塗ります。革の色味が濃くなり、全体がしっとり柔らかい手触りになったら、栄養が行き届いたサインです」

 

5. 馬毛ブラシでクリームを馴染ませる

M.MOWBRAY「プロ・ホースブラシ」1430円(税込)

 

「通常、保革栄養クリームを塗った後は、硬めの豚毛ブラシで摩擦熱を起こし、クリームの栄養や油分を革に浸透させます。しかし、今回使用したクリームエッセンシャルは柔らかい素材でも十分浸透させることができるため、馬毛ブラシを使用しました」

 

6. クロスで磨いて仕上げる

M.MOWBRAY「グローブクロス」660円(税込)

 

「グローブ型のクロスを使用すると、クリームを効率よく均一に馴染ませることができ便利です。また、手順3で使用した起毛クロスのきれいなところを使って磨くことも可能です」

 

Q.カビが生えない環境を作るには?

A.
「カビが好む環境には、温度、湿度、汚れの3要素が関係します。まず、しまう前に汚れを落とすのは必須ですね。次に、通気性を確保しましょう。靴箱に穴をあけたり、風通しの良い部屋で保管したりするといいですね。
靴箱など、湿気がこもりやすい場所で保管するなら、湿度対策をしましょう。市販の除湿剤を設置したり、靴箱の内側を除菌シートで拭くだけでも効果はあります」

 

Q.ブーツを履き始めたら、お手入れの頻度は?

A.
「3、4回履いたら、手順2~6のお手入れを1回挟んでください。そのタイミングでカビ除去・予防スプレーまたはシートを使うと、カビが生える心配はなくなるでしょう」

 

 

Profile

株式会社R&D 靴磨き女子部 / 清水美帆

シューケア用品輸入販売商社 株式会社R&Dの女性社員を中心に立ち上げた「靴磨き女子部」メンバーの一人。専門知識に基づいた「大切な靴が何年も履けるような靴のお手入れ法」を雑誌、WEBメディア、SNSなど幅広いメディアを通じて発信している。
HP

化学物質フリーで衣替え! エッセンシャルオイルを使った人と地球にやさしい防虫剤の作り方

衣替えの際の必須アイテムといえば、衣類を虫やカビから守る防虫剤や防カビ剤。手軽に使える一方で、化学的物質を使用しているものが一般的で、身体への影響や環境への負荷も気になります。そこで注目したいのが、天然の香料を使った防虫剤。アロマテラピーなどで用いられる、植物から抽出したエッセンシャルオイルを使ったものです。

 

どんな香りが虫を寄せつけないのか、また、エッセンシャルオイルを使った手軽な防虫剤の作り方を、アロマセラピストの橋本裕子さんに教えていただきました。

 

防虫剤には防虫効果のある「パチュリ」と「カンファー」を

エッセンシャルオイルは植物から抽出した天然の成分です。植物が生命活動を通じて育んだ有効成分をそのまま利用でき、ブレンドすることで好きな香りにアレンジすることができるのも魅力です」と橋本裕子さん。

 

「防虫効果があるといわれる代表的なエッセンシャルオイルに『パチュリ』と『カンファ―』があります。これらは昔から衣類の防虫剤・芳香剤として使われてきました。『パチュリ』はシルクロードの時代より布を運ぶ際にその葉を挟み、防虫剤として使用してきたと伝わっています。また『カンファー』は古代バビロン王宮の宝物の一つとして秘蔵されていたほどだそうです」(アロマセラピスト・橋本裕子さん、以下同)

 

■ パチュリ

葉を発酵させて抽出。エキゾチックで上品な香り。リラックスできる香りとして墨汁にも使われていることがあります。

 

■ カンファー

クスノキの木部から水蒸気蒸留で抽出。フレッシュでツーンとした香り。日本でも古くから防虫剤として使われてきました。

 

エッセンシャルオイルを衣類ケアに使う理由

「防虫剤としてのエッセンシャルオイルのもう一つの魅力は、デオドラント(=消臭)効果です。エッセンシャルオイルと香水、どちらもいい香りがして同じように思われるかもしれませんが、実はまったく違います。香水は合成香料なので、良い香りが安定して長く続きますが、悪臭をマスキングできても根本から断つことはできません。一方、エッセンシャルオイルは自然の植物から抽出された有機物で、悪臭の成分と化学変化を起こしながら中和消臭してくれます。そのため、悪臭が染みつきやすい繊維質の衣類ケアには、消臭効果のあるエッセンシャルオイルがおすすめなのです」

 

エッセンシャルオイルは何に染み込ませる?

「エッセンシャルオイルは紙や布などに染み込ませても使えますが、防虫剤として使いやすいのは、木製のブロックやキューブ、ソラの木の皮で造られたソラフラワーなどを使う方法です」

 

ウッドキューブ(左)とウッドブロック(右)使う場所に合わせて選びます。

 

「木製のブロックやキューブには、ヒノキやヒバなど、それ自体に芳香や抗菌・防虫作用があるものもありますし、廃材を使って作ったエコなものもあります」

 

「ソラフラワーとは、東南アジアの水辺に生息するマメ科の植物を薄いシート状にして作った造花です。見た目もかわいらしく使い勝手もいいのですが、壊れやすいので、タンスや衣装ケースに入れるよりクローゼットに吊り下げて使うのがおすすめです」

繊細で見た目も楽しめるソラフラワーは、アロマショップやネットなどでも購入できます。

 

エッセンシャルオイルを使った防虫剤の作り方

それでは、実際に防虫剤を作ってみましょう。まずは一番シンプルなものから紹介します。

 

【準備するもの】

・パチュリのエッセンシャルオイル
・ウッドブロック
・小さな巾着(綿や麻、オーガンジーなど)

 

【作り方】

1.ウッドブロックにエッセンシャルオイルを垂らす

ウッドブロックを2個1組にし、片方の広い面にパチュリのエッセンシャルオイルを1〜2滴垂らします。

 

2.パチュリのエッセンシャルオイルを塗り広げる

ウッドブロックを2個、広い面をこすり合わせるようにしながら、液体を面の全体に塗り広げます。

 

3.巾着に入れる

パチュリのエッセンシャルオイルを塗った面を合わせて袋に入れます。タンスや衣装ケースに1個、香りがなくなったら同様にして何度でも使えます。「防虫効果があるエッセンシャルオイル1種類でも十分ですが、ブレンドすると楽しみも広がります。巾着は、ジュエリーを買ったときにもらえる小さな袋や子供のいらなくなった靴下など、何でも代用できます」

 

次に紹介するのは、ウッドキューブを使ったブレンドタイプです。

 

【用意するもの】

・パチュリのエッセンシャルオイル
・カンファーのエッセンシャルオイル
・ローズウッドなど好みのエッセンシャルオイル
・ウッドキューブ
・小さな巾着(綿や麻、オーガンジーなど)

 

1.巾着にウッドキューブを入れる

巾着にアロマキューブを入れます。

 

2.エッセンシャルオイルを垂らす

パチュリ、カンファー、ローズウッドのエッセンシャルオイルをウッドキューブの中心に1~2滴ずつ垂らします。

 

3.巾着の上からよくもむ

両手で巾着をもみながら、エッセンシャルオイルをウッドキューブ全体になじませます。

 

4.紐を結んで、完成。

紐を結んで完成。ウッドブロックの量でサイズを調整できるので、使う場所に合わせて作ることができます。

 

「カンファーのエッセンシャルオイルは揮発性が高いので、香りをタンスの隅々まで届けてくれます。カンファーのエッセンシャルオイルの代わりに、同じく芳香分子が小さく香りを広げてくれるユーカリのエッセンシャルオイルもおすすめです。また、甘い香りのローズウッドの代わりにラベンダーのエッセンシャルオイルなども相性抜群です」

 

ソラフラワーを使ってクローゼットにも

繊細で形が崩れやすいソラフラワーは、クローゼットに吊り下げて使うのがおすすめです。中が透けるオーガンジーなどの巾着を使えば、インテリアとしても映えます。

 

エッセンシャルオイルはソラフラワーの真ん中あたりに1~2滴垂らします。

 

ソラフラワーを巾着に入れて完成です。香りがなくなったら同様にして何度でも使えます。ちょっとしたプレゼントにもおすすめですね。

エッセンシャルオイルを使った手作りの防虫剤はとても簡単にできます。好きな香りのブレンドを楽しみながら、人にも地球にもやさしい衣替えを実践してみませんか?

 

プロフィール

アロマセラピスト / 橋本裕子

英国IFA認定アロマセラピスト、JAA認定アロマコーディネーターインストラクター、アットアロマ株式会社認定 アロマ空間コーディネーター。子どものアレルギーのケアをきっかけにアロマの勉強を始め、現在は自宅でアロマサロンを開催するほか、講師としても活躍。テレビなどのメディアでもアロマの魅力を伝えています。


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

コタツ・ホットカーペット・加湿器など季節家電の翌年にラクするメンテナンス方法

寒さ暑さも彼岸まで。暖かくなり本格的に春の訪れを感じるようになると、こたつやヒーターなど暖房器具を、そろそろしまおうと考えている人は多いでしょう。ひと冬分の掃除と収納となると面倒に感じますが、メンテナンスを怠るとトラブルの原因になりかねません。整理収納アドバイザーの丸マイさんに、冬物家電の正しいメンテナンス方法を教えていただきました。

 

片付ける前にメンテナンスが必要なのはなぜ?

期間限定で使う冬物家電は、 “使い終わってしまう前のメンテナンス” が一番大切なのだといいます。代表的な家電を挙げて、メンテが必要な理由を聞きました。

 

・ホットカーペット

「冬の間ずっと床に敷いていたホットカーペットは、ダニの死骸やフンのほか、人の皮脂汚れや髪の毛、食べこぼしなどたくさんのハウスダストが付着しています。これらを放置するとアレルギー症状をおこす恐れもあります。また、一見目立たない汚れを放置したまま長期間保管することによって取り出して、いざ使おうとしたときには大きなシミになっていることもよくあります」(整理収納アドバイザー・丸マイさん、以下同)

 

・こたつ

「こたつはホコリに気をつけてください。ホコリがあるまま湿気のある場所に保管すると、カビが発生しやすい環境を作ってしまいます。以前、こたつの天板を拭かずに収納していて、次のシーズンに出したコタツの天板にカビが発生しているのを見たことがあります」

 

・加湿器

「加湿器は水を使う家電製品ですので衛生面がとくに気になるのではないでしょうか。加湿器にピンクぬめりのついた状態で使用するのは気持ちの良いものでもありませんし、放置していると黒カビとなり、加湿器の中の汚れがそのまま気化してお部屋中に漂うことになります。それを吸い込むことで、人体に影響を及ぼすこともあり、とくに小さな赤ちゃんや子どものいるご家庭では注意が必要です」

 

このようにメンテナンスを怠ることで何が起きるかというと……。

 

「家電製品の寿命を短くするリスクや、人体への悪影響がないとも限りません。また怖いのが、発火です。ごみやホコリが大量に溜まったまま使用すると発煙や異臭の原因にもなります。季節家電のメンテナンスは面倒くさいと思われがちですが、長期保管の前には必ずしてもらいたいと思います」

 

メンテナンスしやすい環境づくり

続いて、丸さんが冬物家電をしまうときに意識しているポイントについて解説いただきました。「冬物家電と同様に、夏に使う扇風機や除湿機についても同じようにしています。ぜひ参考にしてください」

 

・お手入れ方法をすぐ確認できる環境をつくる

「長期保管の前のメンテナンスは年に一度なので、また次のときにはメンテナンスの手順を忘れてしまいます。わざわざ取扱説明書を探すのも意外と面倒です。私は、スマホに『お手入れ方法』のページのみを抜粋して写真に撮り、写真アプリの中で『電化製品』などラベリングしていつでも見れるようにしています」

 

・取扱説明書をよく読む

「『お手入れ方法』のほか、取扱説明書をくまなく読む人は少ないと思いますが、じつはとても大切なことです。とくに冬物家電はカビや発火の恐れもあるため注意して読んでください。読むことで『こんなことができるのか』という発見があったり、逆に『これはしてはいけないんだな』といったことに気付いたりすることも。事細かに記載されているので、取扱いの仕方を知っているだけで電化製品を持ちよく、そして長く使うことができます。
最近はインターネットに製品の型番を入れると取扱説明書を見られることも多くなりました。ぜひ手元で確認できるよう環境を整えましょう」

 

・購入時の箱をとっておく

「整理収納アドバイザーの観点から基本的に『購入したものの箱は捨ててください』とお伝えしていますが、季節家電の箱は例外です。なぜならば、保管の際にちょうど良い大きさ・形をしているからです。購入時の状態で保管することがもっとも良い保管方法なんです」

 

・冬物家電はまとめて保管する

「同じタイミングで使い始める冬物家電は、できるだけまとめて同じ場所に保管をすることをおすすめしています。これにより、出し入れしやすく管理もラクになります。保管する場所は、押入れやクローゼットなど、室内の換気できる場所が良いでしょう。マンションのトランクルームは建物ごとに状況が異なるため、そのマンションの『預けてはいけないもの』リストなどを確認してから冬物家電を保管するかを検討してください。高温多湿にならない湿度が調節できる場所を選びましょう」

 

冬物家電のメンテナンス方法

ここからは、冬物家電として代表的なホットカーペット、こたつ、加湿器について、掃除の仕方や収納方法、注意するポイントなどを教えていただきます。

 

ホットカーペット

「冬の間、毎日使うホットカーペットは、肌と接することの多い家電なのでお手入れはとても大切。水でじゃぶじゃぶ洗えないため、こまめなお手入れを日頃から心がけてください。ちなみに食品のカスはやシミは、カビ発生の原因になるので使用中も掃除機かけを含むメンテナンスが必要です」

 

【用意するもの】

・掃除機
・ごく少量の中性洗剤入りのぬるま湯
・乾いた布

 

1.掃除機をホットカーペットの表と裏にかける

「ホコリを掃除機できれいに吸い取ります。ホットカーペットの裏の繊維に髪の毛がついていることが多いので注意して吸い取るようにしてください」

 

2.布で拭き取る

「汚れが気になる場合は、ごく少量の中性洗剤を入れたぬるま湯で拭き、日陰で自然乾燥させましょう。さらに、最近のカーペットについている『ダニ退治機能』を活用するのもおすすめです。『ダニ退治機能』が効果的に機能する所要時間は製品ごとに違います。取扱説明書を読み適切な時間、『ダニ退治機能』をオンにしてください。汚れの拭き取りは、日ごろから発生したらすぐに固く絞ったクロスで拭くことでシミ防止になります」

 

3.湿気をとる

「パネル部分の水拭きは避け、乾いた布でホコリを拭き取りましょう」

 

4.通電してから折り畳む

「しまう前に一度、ホットカーペットを通電し、温度を上げて湿気を完全に除去しましょう。温度が十分に下がったことを確認してから、表面が表にそしてパネルを上にして折りたたみます。購入時の折りたたみ跡があると思いますので、その折り方通りに折るようにしましょう。購入時の箱またはポリ袋に収納し、パネルや発熱体に負荷をかけないよう、上にものを乗せないでください。パネルや発熱体を傷める可能性があるので防虫剤は決して使用しないでください」

 

こたつ

「こたつの内部にはホコリが溜まりがちです。放っておくとカビの温床になります。しっかりとホコリを除去しましょう。また、こたつ布団はとくに分厚い布ものです。湿気対策を忘れずに」

 

【用意するもの】

・掃除機
・空気ポンプ
・濡れた布
・乾いた布

 

1.天板をしっかりと拭く

「天板を濡れた布で拭きあげます。汚れが気になるときは、中性洗剤を少量入れた水を使います。その後、乾いた布でしっかりと水気を拭き取りましょう」

 

2.こたつ布団を取り、手入れをする

「天板を外して、こたつ布団をベランダに干ししっかりと湿気を取り除きましょう。食べこぼしなどが気になる場合は、クリーニングに出すと次回も気持ちよく使うことができますね。こたつ布団は完全に空気を抜けるわけではないため圧縮袋ではなく、寝具の季節布団をしまうような布製の袋に入れることをおすすめしています」

 

3.こたつの脚を水拭きする

「意外と汚れを見落としがちなのがこたつの脚です。冬場ずっとこたつ布団やカーペットに接しているためホコリが多くついています。水拭きしてホコリを除去しましょう」

 

4.プラグを抜いてコード、コンセントの手入れをする

「プラグとコード、コンセントを乾いた布でしっかりと拭きましょう。火災の予防としてもコンセントは日頃からホコリがたまらないように手入れをすることを心がけてください」

 

5.ヒーター部分を掃除機でホコリをとる

「ヒーター部分は起毛になっていますので、布で拭くとさらに繊維が付着してしまい逆効果です。掃除機をブラシノズルに変え、丁寧にホコリをとっていきます。最近では、ヒーター部分の作りもさまざまです。メーカーの推奨するの手入れ方法をぜひ確認してください」

 

6.ヒーター部分内部のホコリを空気ポンプで吹き飛ばす

「ヒーター部分の内部は手が届かない場所です。ボールや自転車のタイヤに使う空気ポンプで空気を送り込み、ホコリを吹き飛ばしましょう。そして湿気の少ない場所に保管してください」

 

加湿器

「水を使う加湿器は手入れを怠るとすぐにカビである “ピンクぬめり” が発生してしまいます。これは見た目にも気持ちよく使えませんし、黒カビの原因ともなり、発生すれば空気中にカビを撒き散らしてしまい、衛生的ではありません。使用時には時間を決めて、1日1回は水を捨てて新しい水を入れ替えるようにするだけで掃除をする回数を減らすことができます。
また、加湿器に浄水器の水を入れている方も多いと思いますが、雑菌繁殖しやすくなる原因です。塩素処理されている水道水を入れるようにしましょう」

 

【用意するもの】・掃除機
(・漂白剤)
・濡れた布
・乾いた布

 

1.外側のホコリを布で拭き取る

「まずは外側のホコリを乾いた布で拭き取ります」

 

2.内部の清掃をする

「ふたを開けて内部の掃除を行います。外フィルターがある場合は、掃除機でホコリを吸い取りましょう。加湿フィルターがある加湿器の場合は、水洗いを行います。メーカーによっては漂白剤を使えるものもあるので確認してから行いましょう。加湿フィルターを洗浄の後、ドライヤーで乾かすと縮む可能性もあるため日陰干しにします。その他のパーツは、ブラシで強く擦ると破損の原因になることもあるので注意が必要です」

 

3.しっかりと乾かしてから保管する

「内部の清掃が終わったら、十分に乾燥させましょう。乾いたら、購入時の箱またはポリ袋に入れて、歪まないよう立てた状態で保管してください。加湿器は製品によって手入れの仕方がまちまちです。必ず取扱説明書をよく読みメンテナンスを行ってください。水を入れてはいけないと書いてある送風口などに水が入ると破損の原因にもなり得ます」

 

メンテナンスをしてからしまうことで、思わぬトラブルを防ぎ、家電製品を長持ちさせられます。何より、次の冬に使うとき、面倒な手入れなく使い始められるのもうれしいですね。まずはそれぞれの取扱説明書を確認し、家電製品にあったお手入れの仕方を確認してみましょう。

 

プロフィール

 

整理収納アドバイザー・クリンネスト2級認定講師(お掃除スペシャリスト) / 丸 マイ

整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー2級認定講師、クリンネスト(お掃除) 1級、防災士。片づけが苦手な方やもっと片づけのスキルをアップしたい方に向けて、整理収納アドバイザー2級認定講座、片づけサービスを行う。忙しい人の休日が家事や買い物など平日の準備で終わらないよう、効率の良い家事の動線と動作を考えた「片づけ」を提案している。

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」