大型ウッドデッキ&ガーデン家具再生プロジェクトに密着! 和信ペイント×ハンディ・クラウン直伝 塗装テクニック9

経年変化で色あせたウッドデッキが、和信ペイントの塗料「クレオパワー」で、きれいに生まれ変わった!

塗料メーカーの和信ペイントと塗装用具メーカーのハンディ・クラウンがタッグを組んで、「道の駅・アグリパークゆめすぎと」(埼玉県杉戸町)に設置された大型ウッドデッキやガーデン家具を生まれ変わらせると聞いて、DIY誌「dopa」編集部が密着取材を敢行。その道のプロが行なっている、塗装の基本から知られざるテクニックまでをご紹介する。

使った塗料はこちら

屋外木部をしっかりガード!「クレオパワー」

ウッドデッキと枕木アプローチに使用した、防腐・防虫・防カビ・防蟻・防藻性能に優れた和信ペイントの木材保護塗料。厳選した薬剤・樹脂・顔料の組み合わせによって、木材を保護することができる。水性タイプなので臭いが少なく安全で、乾燥も早い(20℃で約2時間)のが特徴。カラーはライトオーク、ライトウォルナット、ウォルナット、ブラウン、けやき、クリヤーの6色(3.2㎏は3色のみ)。今回はブラウンを使った。サイズと価格は、0.7㎏ 1480円、1.6㎏ 2580円、3.2㎏ 4480円、14㎏ 10780円(いずれも税込)

 

半造膜タイプの木材保護塗料「ガードラックアクア」

フェンスやガーデン家具に使用した。防虫・防腐・防カビ・撥水効果に優れた、鮮やかな色に仕上がる塗料

 

総勢14名のチームワークに感動!

塗装は総勢14名が2日間にわたって行った。使った塗料「クレオパワー」は、防腐・防虫・防カビ・防蟻・防藻性能も高く、湿気や紫外線などによる劣化の激しい屋外木部に適した塗料。水性塗料で臭いも少なく、安全な塗料として定評がある。下地処理から1度塗り、2度塗りと進むごとに、きれいに生まれ変わっていくデッキと、そのチームワークに感動すら覚えた。プロの技で生まれ変わったデッキは、道の駅に訪れる人たちの憩いの場になること間違いなしだ。

それにしても、和信ペイントとハンディ・クラウンという塗装のプロフェッショナルから教わる知識やテクニックは、目からウロコの連続だった。優れた塗料の性能をしっかりと活かすためにも、読者の皆さんにはご紹介した塗装テクニックをぜひマスターしてほしい。

 

塗料選びのポイント

造膜タイプ塗料の経年変化に注意!

かつて造膜タイプの塗料を塗っていた箇所は一部、スポンジ状に腐ってしまっていた

ペンキのような造膜タイプの塗料を塗ったにも関わらず木部が腐ってしまった、という読者も多いかもしれない。その理由は、塗膜が劣化してできたひびやはがれ、ビスの頭などから水が浸透し、逆に塗膜があるためにその水分が木部から抜けずに腐ってしまうためだ。造膜タイプの塗料にはそのようなケースがあることも留意して塗料をチョイスしたい。

 

テクニック1
下地処理は念入りに

仕上がりを左右するのが下地作り。見た目はもちろん、塗料の持つ性能を発揮させ、木部を長持ちさせることができるのでしっかりと。

下地処理で使ったハンディ・クラウンの道具。ワイヤーブラシやハンドパットのほか、サンダーなどの工具も場所に応じて使い分けた
下地に塗ってある塗料はスクレーパーなどでこそぎ落とす
ブラシやスクレーパーで削り落としたらウエスで粉を拭くこと
デッキや階段には高圧洗浄機を使った

テクニック2
養生が完成度を決める!

美しい仕上がりにするには養生は必須。ほかのアイテムへの塗料の飛散も防ごう。

養生で使った道具。はさみはマスカー用
ハンディ・クラウンのマスカー用のはさみは、スパッとビニールも切ることができ、かつ左手でもカットできる優れもの
すき間もマスキングテープでしっかりと養生

 

テクニック3
ハケの準備は怠らずに!

案外忘れがちなのはハケの準備。塗料をつける前に後れ毛をしっかりと取ろう。

指でハケをはじくように。後れ毛がしっかりと取れる
サンドペーパーで毛先をなでつけるのもおすすめ。番手は240番程度
今回使用したハンディ・クラウンの塗装道具一式。塗装箇所に応じて使い分けた

 

テクニック4
塗料はよく混ぜる!

塗料の色の成分である顔料は比重が水より重いため沈殿している。そのため、最初によく振って撹拌することが必須だ。

顔料がしっかりと混ざるように、上下左右に大きく振る
注ぎ口のない丸型の塗料缶は、ガムテープや養生テープなどを使って写真のように注ぎ口を作るのがおすすめ。これだとフタの縁に塗料が残らず、フタが塗料で固まることも防ぐことができる
写真のように三角の頂点部分から注ぐ

 

テクニック5
ハケの持ち方は鉛筆握りで!

塗りをストレスなく効率よく行うコツは、ハケを鉛筆を握るようにすること。塗る方向に合わせてハケ先を回転させるのがポイント。

ハケの正しい持ち方。鉛筆を握るように人差し指と中指に挟むように
上から下へ塗る時のハケの向き
上から塗ったハケを指先でクルリと回転させて下から上へと塗っていく
横へ塗る時は写真のような持ち手に。人差し指と中指の間で、塗る方向に合わせて向きを変える

 

テクニック6
最初は塗りづらいところから!

塗りはじめは、角や下側、すき間など塗りづらいところから塗るのが基本。仕上がりに差が出る塗りの基本だ。

塗料をつけるのはハケの長さの7,8割程度。余分な塗料は落としてから塗りはじめる
塗りづらいフェンスの手すりの下側から塗りはじめた
鋭角になった角も最初のうちに塗っておく
ガーデンチェアもひっくり返して裏側から塗る

テクニック7
ハケの特性を活かして効率アップ!

広い面、狭い面など、塗る箇所に応じてハケを使いこなして、スムーズにかつ効率的に塗っていこう。

デッキなど広い面はコテバケを使った。柄をつけることで腰の負担をなくし作業性もアップする
コテバケは後ろにゆっくりと引きながら塗っていくと、均一にきれいに塗ることができる
すき間や下側の塗装には、柄を自由に曲げることができるベンダーが便利
ハンディ・クラウンの防虫防腐用のハケ。固く弾力のある豚毛と化繊の混交で塗料の乗りもいい
枕木の塗装は、防虫防腐剤用の毛先の固いハケを。凸凹にしっかりと塗ることができる

テクニック8
2度塗りが基本!

塗料の性能をしっかりと引き出し、長持ちさせるには2度塗りが基本。ムラなくきれいな仕上がりに。

ウッドデッキの下地処理をしたところ
塗料(クレオパワー)を1度塗りしたところ
塗料(クレオパワー)を2度塗りしたところ。ムラなくきれいに仕上がった!

 

ガーデンテーブルを下地処理したところ
ガーデンテーブルを塗料(ガードラックアクア)で1度塗りしたところ。ガードラックアクアは、1度塗りで十分、発色よくきれいに仕上がる塗料のため、1度塗りで完了

 

テクニック9
後始末もスマートに!

余った塗料は正しい処理を。また、ハケをきれいにして繰り返し使えるようにしよう。

余った塗料は新聞紙でふき取り処分する。塗料缶に戻すのはゴミなど不純物が混ざってしまうため避ける
水性塗料を使ったハケは、まずは水でよく洗う
よく洗ったハケを水につけておくと、翌日には、写真のようにハケの根本などに残った塗料が流れてきれいになっている
ハケを乾かすには、クセがつかないように毛先を上にすること

再塗装プロジェクト、大成功!

総勢14名による塗装が完了!ビフォーアフターの写真をとくとご覧あれ!

ウッドデッキ&階段(塗料は「クレオパワー」使用)

Berore
After

階段&アプローチ(塗料は「クレオパワー」使用)

Before
After

フェンス(塗料は「ガードラックアクア」使用)

Before
After

ガーデンテーブル&チェア(塗料は「ガードラックアクア」使用)

Before
After

 

プロジェクトに参加した和信ペイントとハンディ・クラウンのメンバー。2度塗りしてきれいによみがえったデッキで「大成功!」

「クレオパワー」の〝パワー″を実際に見てみよう!

今回、プロジェクトの現場となった「道の駅・アグリパークゆめすぎと」(埼玉県杉戸町)には、デッキのほかにも和信ペイントの「クレオパワー」で生まれ変わったアイテムが盛りだくさん。「アグリパークゆめすぎと」で、『クレオパワー』の実力に、実際に触れてみてはいかがだろうか。

 

和信ペイントの様々な塗料を試すことができるイベントがあります!

2024年8月29日(木)~31日(土)(29日は一般方は入場できません)

幕張メッセで行われる「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2024」。

このイベントでは、和信ペイントのブースで、様々な塗料を試したり、手作り体験ができます。

カフェトレイやウッドキーフォルダー、ヨーヨーやコマ作りなど、手作りを楽しむことができるワークショップやプレゼント企画も盛りだくさん。詳しくは以下のサイトでご確認を!

https://www.washin-paint.co.jp/

●和信ペイント株式会社ブース:6 ホール 6B17

●ショーに関しての詳しい内容、来場者事前登録などは「第 60 回 JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2024」公式ホームページをご覧ください。https://diy-show.com/

収納家具の基本!棚受けの取りつけ方を徹底解説!/蝶番&金具辞典(19)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。

蝶番以外の金具も種類が豊富で、これらを上手に使いこなせば、建具&家具作りの幅を広げてくれる。今回からは、そんなラッチ、落とし、戸車、ステー…といった建具・家具に使うアイテムを紹介。

*蝶番の基本構造についてはコチラをチェック!

*蝶番の基本的な取りつけ方はコチラをチェック!

*ラッチ・掛け金の基本とバリエーションはコチラをチェック!

 

Hardware 11 棚受け

家具や収納スペースの棚板を支えるための金具。使い勝手をよくするためには強度を第一に考えるのが大切!

 

差し込み式の棚受けダボ。最も一般的なタイプで、棚の側板に穴をあけて埋め込む

 

受け座式の棚受けダボ。側板に埋め込んだメン(メス)に、オン(オス)をはめて棚受けにする

 

棚柱と呼ばれる、棚受けの一種。棚の数と位置を自由に決められるタイプで、重量のあるものにも対応できる

 

壁などに棚を吊るすために使う棚受けには、L字型、L字型に支えがついた三角形、プランターなどを載せるフォーク型、棚柱を立ててそこに棚受けを装着するものなど、さまざまな種類がある。

棚板の位置をいつでも変えられるようにはしたいけれど、作品をスマートに仕上げたいときに便利なのが棚受けダボだ。よく使われるのが上記写真の「差し込み式」や「受け座式」で、他にも先端にクギがついた「打ち込み式」などがある。ダボ穴はそれぞれ深さを一定にするのがポイント。市販のストッパーを装着するか、ビットにビニールテープを巻いて目印としよう。

 

折りたたみ式の棚受け。必要なときに起こして使うことができるので、狭いスペースで活躍する

 

細い角材を棚受けとして使用した例

 

L字のアルミアングルを棚受けとして使用した例

 

棚受けダボ(受け座式)の取り付け例

 

棚柱の取り付け例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

収納家具に欠かせないスライドレール&キャッチの取りつけ方を徹底解説!/蝶番&金具辞典(18)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。

蝶番以外の金具も種類が豊富で、これらを上手に使いこなせば、建具&家具作りの幅を広げてくれる。今回からは、そんなラッチ、落とし、戸車、ステー…といった建具・家具に使うアイテムを紹介。

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Hardware 09 スライドレール

机の引き出しによく使われる金物。引き出し量と耐荷重をしっかりと把握しておこう。

 

横付け式、2段引きのスライドレール。レールの長さ、耐荷重によって価格が異なる

 

レールをつけ、スライド式の棚板にした例

 

スライドレールには、引き出し側面につける「横付け」、引き出し底の裏につける「センター付け」、パソコンデスクのテーブル天板を引き延ばすために使われる「天吊り」などの種類がある。さらに、4分の3ほど引き出せる「2段引き」と、完全に引き出せる「3段引き」など、レールによって引き出し量が異なるので仕様をよく確認しよう。

取り付けの際は、レール同士を平行に取り付けることが大事になる。また、レールの厚さぶんすき間が必要になるので設計の際には注意すること。

 

スライドレールの取り付け例

 

Hardware 10 キャッチ

掛け金などを使用しない扉を保持するための止め金物。キャビネットなどの室内用の収納家具の扉に最適だ。

 

マグネットキャッチ。横型と縦型があり、吸着力にもバリエーションがある

 

ローラーキャッチ。ローラー付きの受けが、扉につけた突起をしっかりとホールド。キャッチがボールタイプのものもある

 

プッシュキャッチを棚の開き戸に使用した例。押し込むだけで開け閉めができるので取っ手がいらない

 

主に、収納家具の扉の内側に使われるキャッチ。掛け金とは違って、表面に金具が見えないので作品をスマートに仕上げられる。種類としては、磁石の力で扉を保持する「マグネットキャッチ」、突起(ストライク)がローラーの受けに挟まることで扉を保持する「ローラーキャッチ」、扉を押すとスプリングの作動によって開け閉めができる「プッシュキャッチ」などがある。テレビやレコーダー用のキャビネットなど、磁気を嫌う製品を置く家具にはローラーキャッチかプッシュキャッチを使うとよい。以下では、マグネットキャッチの取り付け例を紹介するが、ローラーキャッチ、プッシュキャッチでも手順は同じだ。

 

マグネットキャッチの取り付け例(扉が側板の内側にくる場合)

 

マグネットキャッチの取り付け例(扉が側板の外側にくる場合)

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

吊り戸車&ステーの取りつけ方を徹底解説!/蝶番&金具辞典(17)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。

蝶番以外の金具も種類が豊富で、これらを上手に使いこなせば、建具&家具作りの幅を広げてくれる。今回からは、そんなラッチ、落とし、戸車、ステー…といった建具・家具に使うアイテムを紹介。

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Hardware 07 吊り戸車

ドア、窓、カーテンなどに使う吊り下げ式戸車。敷居なしで引き戸を作るならこの金物を使おう!

 

一般的な吊り戸車。金具部分は鉄、車輪は耐摩耗性の優れたジュラコン製のものが多い

 

引き戸には吊り戸車でドアを吊るし、鴨居につけたレールを走らせる方法もある。吊り戸車はよく倉庫の出入り口などに用いられることが多く、通常の戸車はドアの下に取りつけるが、吊り戸車はドア上につけるのが特徴。ドアだけでなく、窓やカーテンなどの戸車として使うことも可能だ。サイズもバリエーションがあり、ひとつの金具に車輪が複数ついているものも存在する。使うときはドアの耐荷重に注意して選ぼう。

 

吊り戸車の取りつけ例

 

Hardware 08 ステー

扉の開きを直角に止めるための金物。扉を開け閉めする感触にこだわることもできる。

 

折りたたみ式のステー。任意の角度で止められる。サイズやデザインもさまざま

 

ソフトダウンステー。扉がゆっくりと閉まるので、上開きの扉に使うのに最適。ある程度、扉に重さがないとうまく働かない

 

ライティングデスクなど、手前に引き出しながら開けるキャビネット扉などに使用される金物。小屋の窓などに流用しても面白いだろう。種類としては写真上のような「折りたたみ式」が一般的。他にも丸棒がスライドする「回転式」、閉まる方向にはゆっくりと折れ曲がる「ソフトダウンステー」、車のバックドアのように少ない力で開けられる「トルクステー」などがある。また、それぞれに横開き用と上開き用が存在するので、注意しよう。取りつけ方は蝶番と併用し、ステーは側板と扉の前板の裏につけて使用する。いずれも扉が直角に開いた状態で、ステーが45度になるように取りつけよう。

 

折りたたみ式ステーの取りつけ例

 

ソフトダウンステーの取りつけ例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

戸車&レールを使った引き戸・引き窓の作り方を徹底解説!/蝶番&金具辞典(16)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。

蝶番以外の金具も種類が豊富で、これらを上手に使いこなせば、建具&家具作りの幅を広げてくれる。今回からは、そんなラッチ、落とし、戸車、ステー…といった建具・家具に使うアイテムを紹介。

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Hardware 06 戸車・レール

引き戸をスムーズに開閉するための金物。ドアの種類や重さなどを考慮して選びたい。

 

平戸車。レールは使わず、敷居の溝を走らせるタイプ

 

丸戸車。車輪に丸いくぼみがあり、丸いタイプのレールと合わせて使う。レールも鉄製や真ちゅう製といった種類がある

 

アルミサッシの取り換え用の戸車。はめ込み式で簡単に取り付けできる。購入する際はアルミサッシのサイズや種類をよく確認しておこう

 

開き戸を開くスペースがない場所などに有効なのが引き戸。戸車とレールを使えば意外と簡単に作ることができる。また、ドア・窓枠の下を戸車のサイズに合わせて掘れば、金具が表面に見えず、スマートに仕上げられるのも大きなメリットだ。

戸車には上記の「丸戸車」「平戸車」以外にも、車輪の両脇が覆われた「ソデ付き戸車」など、様々なバリエーションが存在する。取り付けるドアの種類や重さ、環境によって種類やサイズを選ぶようにしたい。とくにアルミサッシ用の戸車はメーカーによってサイズや形状が異なるので、交換する際は注意して購入しよう。

 

戸車・レールの取り付け例(引き戸)

 

戸車・レールの取り付け例(引き窓)

 

溝彫りや切り欠きを行なわない引き窓の作り方

断面イメージ図のように、上の窓枠に材をつけて窓がはずれないようにすれば、溝掘り&切り欠き加工は不要。ビギナーにおすすめ。

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

クレセント錠やシリンダー錠など「錠前」の留め方を徹底解説!/蝶番&金具辞典(15)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。

蝶番以外の金具も種類が豊富で、これらを上手に使いこなせば、建具&家具作りの幅を広げてくれる。今回からは、そんなラッチ、落とし、戸車、ステー…といった建具・家具に使うアイテムを紹介。

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Hardware 05 錠前

住宅などの防犯対策に欠かせない金具。毎日開け閉めする場所なので、ゆるんでいたらすぐに補修・交換を!

 

シリンダー錠。外側から鍵を回すとデッドボルトが飛び出してドアをロックする。内側からの施錠はサムターン式、プッシュ式などがある

 

引き違い窓用の鍵としてよく使われるクレセント錠。右・左側用があるので購入する際は要注意

 

使い勝手を考え、掛け金やチェーンなどには「南京錠」、小物入れの扉には「パッチン錠」といったスタンダードな錠前で十分だが、玄関などの外と内を隔てるドアには防犯性を高めるために必ず強固な錠前をつけるようにしたい。錠前としては一般的な「シリンダー錠」のほかに、ノブと鍵が一体になったものが使われることが多い。なお、引き違いの窓の錠前には、半円盤の突起(受け)にフックを引っかけて施錠する「クレセント錠」が多くの住宅に使われている。空き巣・泥棒に狙われにくくするために、二重ロック式や、ふたつ以上の鍵をつける(ツーロック)のがおすすめだ。

 

クレセント錠の取りつけ例

 

シリンダー錠の取りつけ例

 

その他の錠前

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*掲載データは2014年8月時のものです。

取っ手・レバー・ノブの留め方を徹底解説!/蝶番&金具辞典(13)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。

蝶番以外の金具も種類が豊富で、これらを上手に使いこなせば、建具&家具作りの幅を広げてくれる。今回からは、そんなラッチ、落とし、戸車、ステー…といった建具・家具に使うアイテムを紹介。

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Hardware 04 取っ手・レバー・ノブ

扉や引出しの開け閉めに必要になるのがこの金物。使い勝手や動作をイメージするのがポイント。

 

一般的なタイプのドアノブ。室内用のドアによく見られる。持ち手が円筒状になったものもある

 

取っ手は、戸の形態と開け閉めする際の動作に合わせて選ぶのが大事。手で握るタイプには「取っ手」や「ノブ」などがある。指先を引っかける「手掛け」や「引き手」、さらに指でつまむ動作の「ツマミ」など、種類やデザインはかなり豊富にある。指先を使うタイプの金物は、小さな力で開け閉め可能な扉や引出しに使うようにしたい。取り付け方はノブ以外はじつに単純で、建具の表側と、裏側から留めるタイプの2種類に分けられる。

 

取っ手のバリエーション

 

取っ手(裏ネジ式)の取り付け例

 

回転取っ手の取り付け例

 

ドアノブの取り付け例

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*掲載データは2014年8月時のものです。

落とし&アオリ止めの留め方を徹底解説!/蝶番&金具辞典(13)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。

蝶番以外の金具も種類が豊富で、これらを上手に使いこなせば、建具&家具作りの幅を広げてくれる。今回からは、そんなラッチ、落とし、戸車、ステー…といった建具・家具に使うアイテムを紹介。

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Hardware 02 落とし

横につければ建具の止め金物として、縦につければフェンスゲートやドア固定の補助として使える便利なタイプの掛け金。

一般的なタイプの落とし。これはキャッチと落とし本体を水平に取り付けるタイプ

 

ボルト式と呼ばれることもある「落とし」は掛け金の一種で、横でも縦でも使えるのが特長だ。物置などのドアの止め金物としてだけでなく、両開き扉の片方を補助的に固定するために使われることも多い。横に取り付けた際はつまみを上げて棒を左右に、縦に取り付けた際はつまみを横に動かして棒を上下にスライドすることで開け閉めできる。

 

落としの取り付け例(横)

 

落としの取り付け例(縦・その1)

 

落としの取り付け例(縦・その2)

 

 

Hardware 03 アオリ止め

ラッチ、打ち掛けなどの掛け金をよりシンプルにした止め金物。建具の一時的な保持、重くない窓や扉の固定などに使いたい。

最もシンプルで一般的なタイプのアオリ止め(真ちゅう製)。値段も安くてコストパフォーマンスがいい

 

機能的には掛け金の一種である打ち掛けと似ており、横向きに取り付けて使用する。構造としてはとてもシンプルで、フックのような形をした金具を、受けとなるリング状のピンに引っかけてロックする仕組み。障子扉や片開き窓といった止め金物として使われることが多い。値段も上写真のようなものであれば150円程度と安く、止め金物としてそれほど強度を求めないのであれば十分使える。

 

 

アオリ止めの取り付け例

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*掲載データは2014年8月時のものです。

ラッチ・掛け金の留め方&バリエーションを徹底解説!/蝶番&金具辞典(12)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。

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Hardware 01 ラッチ・掛け金

ガーデンハウスなどのドアや窓の開閉、戸締りなどのために必要な金具。蝶番と組み合わせて建具を使いやすくするのと同時に、防犯にも役立つ。

一組のオートキャッチラッチは、鉄棒と鉄棒をキャッチしてロックする機構のラッチ本体でワンセット。写真のものは、鉄棒がラッチ本体のロックを押し上げながら進み、鉄棒が進み切るとロックが落ちて固定される

 

エクステリア作品のドアや扉には、蝶番と一緒に開け閉めと戸締りのために、ラッチと呼ばれる鍵(南京錠やダイヤル錠)の掛けられる留め金をつけることが多い。こうしたエクステリアに使用される金具類は、ホームセンターでは木工や大工用の金具売り場ではなく、ガーデン、エクステリア用品のコーナーで売られていることが多い。木工や大工用の金具では、エクステリア用としては小さかったり、強度が足りない場合があるので注意しよう。

ここでは、ガーデンハウスなどのドアによく使われるオートキャッチラッチの取り付け方を紹介。ドア側につける鉄棒がドア枠につけたラッチ部分にあたると、自動的に掛け金の金具が持ち上がり、鉄棒が奥まで進むと掛け金が落ちてロックされる仕組みだ。

 

オートキャッチラッチの取り付け例

 

ドアへの取り付け例

 

エクステリアで使われるその他のラッチ・掛け金

エクステリア作品に使われるラッチ類は、オートキャッチラッチ以外にも様々な形状のモデルが存在する。古くから物置の戸締りに利用されてきたモデルから、カントリー風にデザインされたものまで、ここでは多くのバリエーションが存在するラッチ・掛け金の一部を紹介する。

オーソドックスな形状のラッチ。つまみをスライドさせてロックするタイプ

 

 

 

これはドアノブと一体型の打ち掛け。玄関前の門扉に使われていることが多い

 

帯金具。掛け金の一種で、古くから倉庫の金具として使われてきた。取り付け方は左記のダム掛け金と同じ。カラーも豊富

 

ダム掛け金と呼ばれる帯状タイプの掛け金。南京錠をかけることでロックできる。さらに取り付けるビスが帯の下に隠れるので、防犯上も有利

 

 

ゲートラッチ。鉄棒が折れ曲がっているのが特徴。ガーデンゲートなどにも使える

 

コーナー打ち掛け。つまみ部分がL字に折れ曲がっており、窓または引き戸の枠と、開口部の枠に取り付けて使う

 

忍止安全打ち掛け。コーナー打ち掛けと使い方は同じで、つまみの形状などが異なったタイプ

 

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

ピンヒンジ&ヒジツボはこう留めよう!/蝶番&金具辞典(11)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

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Hinge 12 ピンヒンジ

ちょうど関節のような構造の小さなクラフト用蝶番。小型の箱、文房具、宝石箱、腕時計ケースなど、華奢で上品なクラフト作品にはとてもよく似合う蝶番だ。

ピンヒンジは小型のクラフト作品専用ということもできる超小型の筒型蝶番。写真のタイプで長さは下の写真のように、わずか25mm

 

 

取りつけ作業例

 

Hinge 13 ヒジツボ

和風のエクステリア向き蝶番の代表がヒジツボ。枝折戸や木戸など日本庭園に作られる造作には欠かせない。目立たないシンプルな構造が和風の庭作りによくマッチする。取り付けも比較的簡単。

一般的なヒジツボ。下側のヒジ(肘)と上側のツボ(壺)の組み合わせになる。工業規格ではなく、古くから鍛冶屋によって打たれた金具は、シンプルで独特な雰囲気を持っている

 

ヒジツボの取り付け状態の例。木戸の一部を想定している。柱になる右側の丸太にヒジ部分が打ちこまれ、そこに戸の枠になる竹に打ちつけたツボ部分が引っかけられている。引っかけるだけで、特にヒジとツボを固定することはない

 

取りつけ作業例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

曲がり蝶番&アクリル蝶番はこう留めよう!/蝶番&金具辞典(10)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

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Hinge 10 曲がり蝶番

扉板を上下ではさむタイプの蝶番。少し古いキャビネットなどによく使われていた。そのため、あえて曲がり蝶番を使うと作品にレトロな雰囲気を持たせることができる。

蝶番のイメージとは違い、部材の上下に取り付けるのが曲がり蝶番。最近の住宅ではあまり見ないタイプのレトロな雰囲気を持った蝶番だ

 

 

取りつけ作業例

 

Hinge 11 アクリル蝶番

基本的にアクリルの作品のフタに取り付けるためのアクリル製蝶番。平蝶番のバリエーションのひとつ。専用の接着剤で組み立てる。はじめてアクリルに触れる人には少し慣れが必要だが、慣れてしまえば非常に使いやすい素材だ。

透明のアクリル蝶番。専用接着剤で固定するので、金属の蝶番のようなビス穴はない。ホームセンターではクラフト用として羽根の長さが40mm程度のものが手に入る

 

 

取りつけ作業例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

トルク蝶番&ピアノ蝶番はこう留めよう!/蝶番&金具辞典(9)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をお届け。

*蝶番の基本構造についてはコチラをチェック!

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Hinge 8 トルク蝶番

フリーストップ蝶番と同様に開閉の途中で任意に止めることができる蝶番。こちらはステンレス製で、トルクも高いので、屋外でも使用できる。窓に使えば窓の開閉角度を自由に設定できる。

 

サイズの割にはがっちりとした作りのトルク蝶番。蝶番の真ん中にある、かしめてある部分が蝶番の動きをきつくするダンパー部分。より大きなトルク蝶番では、このダンパー部分がボルトで可動でき、トルク調整できるモデルもある

 

 

取りつけ作業例

 

Hinge 9 ピアノ蝶番

ピアノのフタのように長い部材を、しっかりと支えるための蝶番。長蝶番とも呼ばれている。長さがあるので、少しでもずれて取り付けると、ゆがんで開閉できなくなる。取り付けは注意深く行ないたい。

 

薄く、幅も狭く、その上長さもあるので、ビス留めの力の入れ具合を均等にしないと羽根がゆがんで開閉できなくなるほどデリケート。しかし取り付けた作品には高級感が漂う

 

羽根自体が薄いので、突きつけで真っすぐ留めれば、彫り込まなくてもそれほど違和感はない。彫り込んで取り付ければ、より精巧な仕上がりになる。宝石箱や手の込んだ小箱などに使うときは彫り込んで精度を上げた仕上がりにしたい

 

軸が長い分、回転に掛かる摩擦が軽減されるので、開閉は軽くスムーズになる。しかし、一部分でもゆがんでいると、開閉できなくなるので、くれぐれもビスの締め具合は全体で均一になるように注意する

 

取りつけ作業例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

スライド蝶番&フリーストップ蝶番はこう留めよう!/蝶番&金具辞典(8)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をお届け。

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Hinge 6 スライド蝶番

システムキッチンやビルトインの家具に多く使われるスライド蝶番。キャッチが内蔵されたタイプでは、扉が開閉したときに、自動的に固定されるので使いやすい。また本体の調整ビスを調整することで、扉を取り付けた後で、取り付け位置の微調整ができる。

 

取り付け後も調整ビスで羽根を動かし、扉の位置を微調整できるスライド蝶番。何枚も扉が並ぶクローゼットなどに対応できるよう取り付け位置を工夫したタイプもある。T字型になった羽根部分にカップがあり、この部分を掘り込んで取り付ける

 

全かぶせと表示されたスライド蝶番を使うと、ぴったり本体を覆う扉の取り付けができる

 

取り付け後の扉の位置の微調整は、スライド蝶番の台座金具に内蔵された調整ビスを動かすことで対応する

 

各調整ビスを回すことで、数mmずつ扉の位置を調節できる

 

取りつけ作業例

 

Hinge 7 フリーストップ蝶番

ノートパソコンを開閉するときのようにフタと本体を、任意の角度で止めておける蝶番。

 

樹脂でできたフリーストップ蝶番。写真のもので羽根の幅50mm。羽根を折ると、ちょうどノートパソコンを開閉するぐらいの抵抗感(トルク感)で開閉できる。フリーストップヒンジと呼ばれることも多い

 

 

取りつけ作業例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

バネ蝶番&アングル蝶番はこう留めよう!/蝶番&金具辞典(7)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

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Hinge 4 バネ蝶番

軸に巻かれたバネの反発力で、自動的に元の位置に復元するタイプの蝶番。自由蝶番と違い軸が1本なので、動きはひとつの方向だけに限定される。取り付け時、バネの力に逆らって羽根を広げるので少々力が必要。

 

バネ蝶番は写真のように、羽根が直角になった状態でロックするように軸にバネが巻かれている。蝶番を平らに開くとバネの反発力で、閉じる方向に動く

 

取りつけ作業例

 

Hinge 5 アングル蝶番

装飾性もある丈夫な蝶番で本棚や書斎の家具など、落ち着いた雰囲気を求められる作品によく使われる。羽根の片方はカップを掘り込んでつけ、片方は突きつけで固定するため、取り付けは丈夫になる。

 

アングル蝶番は円形のほうの羽根がカップ状になっていて、カップの分をドリルで掘り込み、そこに埋め込んで固定するので、確実な取り付けができる

 

羽根のバランスやデザインもいいので、取り付け後の内側からの見た目もいい

 

蝶番取り付け後、トビラを閉じて外から見た状態のアングル蝶番

 

取りつけ作業例

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*掲載データは2014年8月時のものです。

大掃除シーズン!フローリングと畳の掃除術を徹底解説/暮らしに生かすDIYメンテナンス(20)

日本の住宅では、一番普通の床であるフローリングと畳の2種類についてメンテナンスの方法を紹介する。

簡単で効果的だから、掃除を家事ととらえず、DIYだと思えば楽しい作業だ。

 

安全な食物素材を洗剤にする

年末ともなると、さすがの不精者も、大掃除のことが気になるもの。家庭の大掃除のなかで、効果的なのが面積の広い床部分、ここがきれいになると屋内の雰囲気はぐっと明るく清潔になるものだ。

今回は食品を洗剤として使う、安全で安く、効果は保障つきという話題のナチュラルクリーニング(世間の主婦はナチュクリと呼ぶ)テクニックで床を拭きあげる。

ここで紹介するナチュクリの素材は食用酢。酢は酸性で殺菌作用と洗浄力があり、生臭いにおいを消したり、雑菌の繁殖を防ぐ効果がある。台所用品や風呂の掃除用には、酢の力を利用した、市販の洗剤も販売されているほどだ。

酢水で効果的に掃除できる床の例

 

酢は穀物酢を使用する

使用する酢は食用酢のなかでも、穀物酢かホワイトビネガー(穀物酢のこと)と表示されたものを使う。これらは、使用後に自然に蒸発して後に残らないからだ。寿司酢や調味酢などうま味成分が入ったものは、拭いた後がべたべたするので使わない。穀物酢は価格も安く、スーパーでも500cc瓶が100~150円程度で買えるはずだ。

掃除に使う場合、酢は、目分量でいいので酢1:水5(濃い目)から酢1:水10(薄目)ぐらいの割合で薄めて使う。原液のままでは酸性が強すぎるし、水で割れば、においも薄まる。なお、床を拭いているときに少しにおいがあるが、乾いてしまえばにおいは無くなる。

水で割った酢は、スプレーを利用して噴霧して使うのが便利。バケツだと残った酢水は捨てなければならないし、掃除のたびに酢水を作らなければならないが、スプレーで保管すれば、気の向いたときにいつでも手軽に使える。

 

フローリングの掃除方法

ここで掃除するフローリングは、ごく一般的な表面を塗装で仕上げられた、家庭用複合フローリングが対象。注文住宅で施工時に別にワックスで仕上げた高級フローリングの場合は工務店に問い合わせて、酸性の酢水で拭いていいか確認したほうがいい。また、Pタイルやクッションフロアも酢水で掃除することができる。

大掃除ならば、動かせる家具など移動して、フローリング面はなるべく広くしてから掃除する。換気を良くしておくと、乾燥が早く酢水のにおいはすぐに消える。

掃除の手順は簡単だ。はじめにホウキや掃除機でフローリング上のほこりやゴミを取り除き、次にスプレーに入れた酢水をフローリングに噴霧しながらウエス(雑巾)で拭くだけだ。酢水を噴霧した直後は酢のにおいがするが、拭き取り乾燥すればにおいは消え、床はきれいになっている、という具合だ。

  1. ホウキや掃除機で掃除する
  2. スプレーで酢水を噴霧する
  3. ウエスで拭けば完了!

 

畳の掃除方法

酢水には畳の黄ばみを落とす効果や、ダニやノミの発生を防ぐ働きもあり、カビの発生も抑制する。ただ注意すべきは、畳は水分を吸う素材なので、フローリングのときのように拭きっぱなしで、自然乾燥させると、畳の内部に水分が浸透してカビの発生や腐れの原因になる。畳の場合は酢水で拭いた後、必ず別の乾いたウエス(雑巾)で乾拭きするのがポイントだ。最後に乾拭きする以外は、フローリングと同様の工程でいい。

  1. ホウキや掃除機で掃除する
  2. スプレーで酢水を噴霧する
  3. ウエスで拭く
  4. 乾いたウエスで乾拭きしたら完了!

 

フローリングの小さな傷を直す

酢水を使った拭き掃除が終わり、さっぱりしたところで、フローリングの表面を見てみると、塗装のはがれた小さな傷を発見することがある。住宅用の複合フローリングは表面の塗装面が、ものすごく固く、適当に物を落としても傷がつくことはないが、角の尖った物や刃物を落とすと、えぐったような小さな傷がつくことがある。

長さがあっても、深さが1mm程度の傷ならば、ホームセンターや100円ショップで売っているフローリング用のクレヨン状補修材を使うと簡単に傷を補修することができる。

クレヨン状の補修材は、蝋のような素材にフローリングに合わせた色が練り込まれたもので、熱を加えると軟らかくなり、常温では硬化する。使い方は、傷を中心にごく狭い範囲にヘアドライヤーの温風を吹きかけて、傷の周囲を補修材が十分軟らかくなる程度に熱しておき、そこに補修材を傷を隠すように塗り込む。補修材が完全に傷を埋めたら、プラスチックのカードの縁などで、補修材を平にならし、次にフローリング面と補修材の高さが同じ面になるように、プラスチックカードの縁で余った補修材をかき落としながら平面にすればでき上がり。どうしても色が合わないときには、セットになった数色を混ぜて色合わせして補修する。

 

畳についたタバコの焦げを補修する

フローリングと同様に掃除の済んだ畳の上に黒い汚れが! と思ったら、タバコの焼け焦げ。きれいになった畳にぽつんと残った黒い点をきれいにしたい。そんなときには透明アクリル絵の具で、畳に色合わせして焦げを消してしまう。

透明アクリル絵の具は、透明水彩絵の具と同じ、何回か塗り重ねて、色の濃さを作っていく絵の具で、透明水彩は濡れるとにじんでしまうが、アクリル絵の具は乾けば固定して、水でにじむこともない。

透明アクリル絵の具と筆は、ホームセンターのクラフト用品売り場や画材店で購入できる。筆は腰の強いナイロン筆の丸筆0号か2号という細筆を使うと細い線が描きやすい。

補修の仕方は、焦げカスをできるだけ取り除き、焦げ部分を白い絵の具で塗りつぶす。そこに黄色、緑色、黒色などを細い線で重ねていき、畳の色と柄に合わせていく。急いで塗ろうとせず、様子を見ながら少しずつ色を合わせていくのがコツだ。

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2011年10月時のものです。

軽量な扉に使うフラッシュ蝶番はこう留めよう!/蝶番&金具辞典(6)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

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Hinge 3 フラッシュ蝶番

2枚の羽根が羽根1枚の厚さに収まるようにデザインされた平蝶番のバリエーション。フラッシュ扉のような軽量な建具に多く使われるためフラッシュ蝶番と呼ばれる。

フラッシュ蝶番は2枚の羽根が中抜きされて、厚さが羽根1枚分に収まっている。その羽根自体も通常の平蝶番よりかなり薄めに設定されているので、掘り込みなしで使っても、あまり不自然には見えない

 

フラッシュ蝶番に使われるビスは小さいタイプ。プラス1番のドライバーが対応する

 

取りつけ作業例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

スイングドアに欠かせない自由蝶番の使い方はこれでばっちり!/蝶番&金具辞典(5)

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Hinge 2 自由蝶番

外からでも内からでも、押し開いて手を離せば自動的にドアが閉まる。スイングドアには欠かせない蝶番。

自由蝶番を展開したところ。2本の軸の中にバネが入っていて、それを締めることで生まれる反発力を利用し、自動的に閉まる。羽根を3枚にすることで、前後どちらからでも開けられる。バネをロックする小さな2本のピンは絶対になくしてはいけない

 

こうして谷に開くことができる

 

反対に山なりに開くこともできる

 

閉じた状態を上から見ると3枚の羽根が折りたたまれている

 

このように開くと上の軸のバネが効いて元に戻る

 

逆に開いたところ。下の軸のバネが効いて元に戻る

 

取りつけ作業例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

平蝶番の使い方がまるわかり!蝶番の取りつけ穴の補修はこうやる!/蝶番&金具辞典(4)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をお届け。

今回は平蝶番をモデルに、蝶番の取りつけ穴の補修方法を紹介。

*蝶番の基本構造についてはコチラをチェック!

*蝶番の基本的な取りつけ方はコチラをチェック!

*建具の取りつけ手順はコチラをチェック!

 

Hinge1-4 平蝶番

平蝶番の取りつけ穴の補修例

蝶番自体は頑丈な金属製なので、それ自体が壊れるということはあまりないが、蝶番が固定されている木部の方は、想定外の力が加わったり、長年の使用でもろくなったりして傷んでしまうことがある。きちんと蝶番が固定できないと、他の部分も傷んでくるので、トラブル部分は早目に補修したい。

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

平蝶番の使い方がまるわかり!建具の取りつけ手順を解説/蝶番&金具辞典(3)

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今回は平蝶番をモデルに、蝶番の基本的な取りつけ方を詳しく紹介。

*蝶番の基本構造についてはコチラをチェック!

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Hinge1-3 平蝶番

基本的な建具の取りつけ例(窓編)

 

基本的な建具の取りつけ例(ドア編1)

 

基本的な建具の取りつけ例(ドア編2)

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

平蝶番の使い方がまるわかり!基本的な取りつけ手順を解説/蝶番&金具辞典(2)

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今回は平蝶番をモデルに、蝶番の基本的な取りつけ方を詳しく紹介。

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<記事内ギャラリー>

 

Hinge1 平蝶番

蝶番をビス留めする前の位置確認

○ 材の合わせ面(線)と蝶番の軸の中心線が一致していればO‌K

 

○ 材のすき間が平行で、蝶番の軸の中心がすき間の中心に正しく乗っていればO‌K

 

実際に材に平蝶番を固定する場合は、蝶番の裏表を確認するとともに、材の合わせ面(線)に対して正確に蝶番の軸線が一致しているか確認してからビス打ちする。必要なら、マスキングテープなどで、蝶番を正しい位置に仮留めしてからビスを打つなど工夫したい。

 

× 材の合わせ面(線)と蝶番の軸の中心線が左右にずれていてはダメ

 

× 材の合わせ面(線)と蝶番の軸の中心線が斜めにずれていると蝶番は開閉できない

 

× 材のすき間に対して、蝶番の軸の中心線が傾いていると、蝶番は開閉できない

 

蝶番の取りつけに使う工具類

木部に使う一般的な蝶番は、付属のビスで固定する。ビスはビス穴の真ん中に固定されないと、蝶番の取りつけ方向がずれて、蝶番が動かないなどのトラブルになる。そこでビス穴の真ん中に下穴を打つための道具が必要になる。下穴は小さなビスなら千枚通しや錐を使い、大きなビスでは下穴錐やドリルビットを使ってあける。またビスの大きさ(プラス1番や2番)によってビスを留めるドライバーや、ドライバービットも使い分ける。

 

下穴あけの道具例

・千枚通し

小さな蝶番の下穴をあける場合は、ビス径より小さな穴をあけやすい千枚通しが使いやすい

 

・貫通式の千枚通し

軸が背まで貫通しておりカナヅチで叩けるので、単純な千枚通しより、深く穴をあけることができる

 

・2mm~3mm径のドリルビット

ドアなどに使う幅100mm以上ある大きな蝶番の下穴あけにはビスの径に合わせて径2~3mm径のドリルビットを使う

 

・センタードリルビット

蝶番のビス穴の皿に合わせて、自動的に真ん中に下穴をあけられる蝶番下穴ドリル

 

ドリルのまわりの筒部分が皿の座ぐりにピッタリはまり、自動的にドリルが皿の真ん中にくる仕組み

 

ビス打ちはビットサイズを合わせる
蝶番の取り付けに使われるプラス1番(左)、プラス2番(右)のネジ頭。それぞれの番手に合ったドライバー、ドライバービットを使って締める

 

プラスドライバーの先端は小さいほうから1番、2番、3番というように規格化されている。写真上は1番、下は2番

 

蝶番の取りつけ手順例

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

平蝶番の使い方がまるわかり!まずは基本構造を解説/蝶番&金具辞典(1)

蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!

最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をお届け。

まずは平蝶番をモデルに、蝶番の基本的な仕組みや、はたらき、取りつけ方などを詳しく紹介。

 

<記事内ギャラリー>

 

Hinge1 平蝶番

<平蝶番各部の名称>

蝶番(ちょうつがい)は、開き戸やゲートなど開け閉めする動きの部分を支えるパーツ。上の写真の平蝶番というタイプが、サイズや材質のバリエーションも多く、広範囲に使われている。蝶番は付属の皿ビスで固定するのが一般的で、ビス頭が収まるようにビス穴を座ぐりしている面が表になる。

なお、「ちょうつがい」が正しい呼び方だが、「ちょうばん」という呼び方も慣用句として広く使われている。

 

ドアに使われている平蝶番、羽根の長さは100mm。蝶番の厚さ分、ドアの側面と枠は座ぐりされて、面がそろうように加工してある

 

羽根の長さ15mmという小さな平蝶番。クラフトの箱に接着剤で固定されている

 

平蝶番のサイズ

ステンレス製平蝶番のサイズ違いの例。長くなるにつれて取り付け強度を増すためにビス穴が増えていく。幅は左から20mm、32mm、40mmの例

 

<平蝶番のサイズ例> ※単位はmm

長さ 厚さ
25 20 0.8
32 22 0.8
38 26 0.9
40 32 1.2
51 34 1.5
64 40 1.5
76 49 1.5
100 66 1.5

 

それぞれの平蝶番に付属する専用の皿ビス。平蝶番のサイズに合わせた組み合わせになっている。ビスはぴったりの数が付属し、予備は入っていないので、なくさないように注意する

 

羽根が見える位置で取りつけると、作品によっては不自然な感じになる

 

平蝶番は羽根が外に見えないように使うと、すっきりした外観になる

 

平蝶番の背押しについて

左が背押しのある平蝶番、右が背押しのない平蝶番。背押しのない平蝶番は閉じたときのすき間が広くなる

 

平蝶番には、羽根を閉じたときにすき間が軸の太さ分開く背押しのないタイプと、すき間の少ない背押しのあるタイプがある。背押しの有無は、パッケージには明記されていないので、実物を手に取って確認する必要がある。背押しのある蝶番は材の合わせ面の内側に取りつけることが多く、背押しのないタイプは材の外側に取りつけることが多い。

材の合わせ面の内側に取りつける場合は、下の写真のように、掘り込みの深さが違ってくるので、注意が必要だ。

 

背押しと彫り込みの関係
背押しのある平蝶番を材の合わせ面に置くと、羽根2枚を重ねた厚みのすき間があく

↓↓↓

背押しのある平蝶番は、合わせた材をそれぞれ羽根1枚分の厚さずつ彫れば、材の面を合わせることができる

 

背押しのない平蝶番を材の合わせ面に置くと、軸の太さ分のすき間があく

↓↓↓

材を合わせるためには、それぞれの面を軸の太さの半分ずつ彫りこんで、面を合わせるように加工する

*掲載データは2014年8月時のものです。

フローリングの傷はDIYで手軽に直せます!/暮らしに生かすDIYメンテナンス(19)

洋室のフローリングは、いくらきれいに拭き掃除しても、小さな傷がつくと色の違いでけっこう目立つもの。

簡単に交換できるものではないだけに、あきらめてしまいがちだが、傷を埋めるという方法で、DIY歴がそんなにない人でも簡単、手軽に補修する方法があった。

 

今回使ったフローリング補修剤、かくれん棒・調色用(建築の友社)は4色の基本色を削って溶かして混ぜることで、15色のフローリング色に対応することができる、応用のきく補修剤

 

パッケージの裏には色合わせ用のチャートと、その色を作る配合比が解説される

 

その上を人が歩き回ることを前提に作られているフローリング材は、特別に硬い塗料で仕上げられているので、簡単に傷つくようなことはないが、硬く、尖ったものがぶつかると傷つきやすい。普通はすじ傷程度で済むが、ぶつかる角度や速度が、ちょうどよくなると、エグったような傷になってしまう。

エグリ傷は深さがあるので着色だけで傷かくしすることができないが、今回使っている一度液状に溶かして傷に流し込むタイプの補修剤だと、ある程度深さのある傷にも対応できる。熱して溶かすというひと手間があるが、これなら、深さのある傷でも平滑に補修できる。

補修剤、かくれん棒・調色用は4本の基本色がひと組になっていて、配合の比率を変えることで、15色以上のフローリングの色に対応できる。パッケージの裏に色見本とそれぞれの色の配合表がついているので、それに合わせて色合わせして、4本のクレヨンをナイフで削りスプーンで受け、指定の比率で配合したものをライターやローソクで熱し、完全に溶けたところで傷に流し込み、固まったところで余分を削り取って面をそろえるというのが、作業の概略だ。道具類の準備さえしておけば、作業自体は30分かからないですむ、簡単メンテナンスだ。

ポイントは色合わせ。パッケージ裏の色見本どおりの比率でかくれん棒を削ればいいのだが、やはり若干のセンスが必要だろう。まるではじめてというなら、傷ついたフローリングの色味に近いものの上で一度実験してから、本番に取りかかると不安がない。

 

<フローリングの傷補修の手順>

  1. 傷のささくれやバリ、たまったホコリなどを取り除く
  2. 補修剤がまわりに飛び散らないようマスキングテープで囲む
  3. 色合わせの配合比にしたがって、かくれん棒・調色用を削る
  4. 削った細片を溶かす
  5. 溶けた補修剤を傷に流し込む
  6. 補修剤が固まったら、不要部分をヘラでこそげ落とす
  7. フローリング上に残った補修剤をウエスで拭き取る

 

フローリング補修に使う道具類。右上から左下へカッターナイフ、スプーン、ライターかローソク、マスキングテープ

 

<かくれん棒・調色用を使ったフローリングの補修手順例> *画像をタップするとご覧いただけます

*掲載データは2013年2月時のものです。

誰でも美しく棚板を留められる!全米No.1メーカー「Kregポケットホールジグ」の使い方を詳しく解説!

棚を作る際、棚板の留め方はたくさんある。留め方次第で、スマートな棚になったり、頑丈な棚になったり、便利な棚になったりする。

単純なビス留めにもさまざまな方法があるが、ここでは誰でも簡単に美しく仕上げられる「ポケットホールジョイント」と呼ばれる固定パターンについて紹介したい。

ワンランク上の収納家具を作りたい人は必見です!

 

ポケットホールジョイントは裏側から留めるので、ビス頭が見えず、強度も十分にある

 

見えない位置から斜めに下穴をあけて棚板をつなぐ

ポケットホールジョイントとは、材料の裏面に斜めに下穴(ポケットホール)をあけ、ポケットホール専用ビスで接合する方法のこと。表面からビス頭が見えないので、見た目はきれい、かつ十分な強度が確保できる。

接合箇所をきれいに仕上げる方法には埋め木やダボ継ぎなどがあるが、それらと比べるとスピーディーに作業できるのが特徴。通常のビス斜め打ちはややコツが必要で、慣れないと失敗しやすいが、ポケットホールでは専用のジグをドリルガイドとして使い下穴をあけるため、ビギナーでも簡単に作業できる。非常におすすめの方法だ!

 

ビスを下に隠せる
見えにくい場所にポケットホールをあけるようにすれば、見た目すっきりで美しく仕上げられる。ポケットホールさえあいてしまえば、あとはビスを打つだけなので組み立て作業も超簡単

 

秘密は2段の下穴
ポケットホールジグを使えば、ビス頭が収まる大きい下穴と、ビスを打つための細い下穴が専用のドリルビットで同時にあけられる。これにより、ビスを打つ方向や角度が決まるので、ビギナーも安定した斜め打ちが行なえるようになる

 

カスタマイズは無限大!
ポケットホールジョイントでノックダウン式シェルフを作ってみよう

作り方はいたって単純。木取り後に棚板にポケットホール加工を施し、側板に天板・棚板を縦に1列ずつ固定してユニットを作り、最後にそれぞれを合体させるだけ(ノックダウン方式)。作例では階段状に製作したが、中央が凹んでいたり、橋渡ししたような状態で連結したりと、デザインは自由自在。ポケットホールを用いれば、このように棚板が隣り合う構造のシェルフも気軽に作れる!

 

<主な使用道具>
Kregポケットホールジグ320、ドライバードリル、クランプ、サシガネ、サンドペーパー

<その他の材料>
ポケットホール専用ビス(32mm)

<木取り表>

材の種類 サイズ(mm) 数量 使用部位
パイン集成材(18mm厚) 1112 2 側板A
764 1 側板B
416 1 側板C
400 9 天板・底板・棚板D

 

<Kregポケットホールジグ320を使ったノックダウン式シェルフの作り方>
*画像をタップするとご覧いただけます

 

棚の完成度が高まるポケットホールジグの決定版「Kregポケットホールジグ320」

キャリーケースの中に、ドリルガイド(ジグ本体)、ドリルビット、スクエアビット、シックスネスゲージ、クランプアダプター、ポケットホール専用ビスがセットになっている。板厚13~38mmに対応。AmazonほかECサイトにて販売中。希望小売価格7980円(税込)。

●問い合わせ先…(株)Japan Liebe

 

全行程をまるっと凝縮してお見せするYouTube動画はこちら!

tokobo wood

9年前から独学で木工を学び、YouTubeやwebサイトにて木工家具・図面の販売、テクニック指導を行なう木工家。愛知県を中心に全国でイベント出展・協力、ワークショップも精力的に活動している。
https://tokobowood.com/

6つの竹活用アイテムをDIY!正しい良い子の竹くらべ/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(25)

里山暮らしの難題のひとつは、はびこる竹林だ。ちょっと放っておくと竹藪と化し、本来の生態系を破壊するとも言われている。

そこで、小春日和のある日、里山に集合し、外遊びで使える、竹を使ったもの作りを編集部で実践、遊びついでに、竹害の解消にひと役買おうということになった。

竹フレームのドームハウス、竹スモーカー、竹ルアー、竹竿、竹カトラリー、竹の珈琲ドリッパーなどを製作。

題して、正しい良い子の竹くらべ。結果は…!?

 

正しい良い子は、竹ルアーと竹竿で釣った魚を、竹スモーカーで燻製して竹皿に載せ、竹フォークと竹ナイフで食べ、竹ドリッパーで淹れたコーヒーを飲んでから、竹フレームハウスで寝るのだ

 

今こそ、竹伐採の絶好時期

竹害は、近世に、筍をとるために移入された孟宗竹が放置されることによって生まれたというのが定説になっているようだが、dopaのガーデンスタジオの敷地内でも、油断すると、スギやヒノキに混じって、竹がはびこる。(ただし、孟宗竹ではなく真竹なので、やや細めで、肉厚も少なめ。孟宗竹に比べ、伐採が楽)

そんなわけで、暇を見つけてはせっせと竹を伐採し、これまで、竹フェンスにしたり、竹炭にしたり、竹灯りにしたり、ツリーハウスの外壁材にしたりと、竹材の有効利用に努めてきたが、それでもまだ、竹は増え続けている。これをなんとかしたいと考えたのが、竹を使ったモノ作りだ。それも昔からよく見られるような水鉄砲や竹馬なんかのオーソドックスな竹クラフトじゃなく、よりチャレンジ精神にあふれた外遊びのためのもの作りだ。11~2月の今の時期、竹は水揚げが止まっているため、乾燥が早く、虫もつきにくいので、タイミング的にも悪くはない。

で、ガーデンスタジオに集まったのは編集部の面々。それぞれとっておきのアイデア(?)を持ち寄り、ドゥーパ!スタイルの「竹くらべ」を実践したのだが…。

 

竹ルアーを作る

<用意する材料・道具>
竹、手作りルアーの目玉シール、手作りルアー用の模様をつけるシール、釣り針、手作りルアーのための小さなリング(スプリットリング)、最小サイズのヒートン、竹挽用ノコ、切り出しナイフ、ディスクグラインダー(サンディングディスク装着)、紙ヤスリ、ピンセット、ラジオペンチ、キリ

 

竹の延べ竿を作る

<用意する材料・道具>
竹の先部分(2m程度、年数が経って、なるべく硬くてまっすぐなもの。)、竹挽用ノコ、切り出しナイフ、紙ヤスリ、バーナー、手芸用のリリアン紐、糸、瞬間接着剤

 

竹スモーカーを作る

<用意する材料・道具>
太めの竹、120mmのコーススレッド、竹挽用ノコ、紙ヤスリ、金属製の缶の丸いフタ(直径70mm程度)、キャンピングストーブ&燃料、燻製用チップ、Sカン

 

カトラリーや竹皿も作ってみました

 

これもいける! 超簡単・珈琲ドリッパー

 

竹フレームのドームハウスを作る

<用意する材料・道具>
太めの竹(8~15cm径、4mを5本程度)、針金、竹挽用ノコ、ナタ、ハンマー、インパクトドライバー(10mm径ドリルビット装着)、マジックペン、ペンチ、タープ(ヘキサタイプ)

 

今回のメインイベントが、竹のドームフレームハウス作り。4~6分割した竹材を組んで ドーム型のフレームを作るという作業だ。いろいろな資料を見てみると、基本的な組み方には幾何学的なセオリーがあるようで、そのセオリーを忠実に守る方法がベストだという結論に。また、ここではデッキの上で作ったので、竹で大きな輪を作り、その内側でフレームを組んだが、地面で作る場合は、10本の杭を円状に打ち、その杭にフレームを固定するという方法もあるようだ。

*小さく表示されている画像はタップするとご覧いただけます。

*掲載データは2017年12月時のものです。

 

ちょっと上級なチェンソーの玉切りテクニックを伝授!/DIY工具使いこなし術(13)

チェンソーといえば、イメージされるのはエンジンを動力としたモデルだが、今回紹介するのは、充電式バッテリーを電源とする電動チェンソー。

電源がバッテリーなので、一般的な電動チェンソーのように、コードを引き回す必要がなく、屋外でも軽快に使うことができる。

今回使用したバッテリーチェンソーはSTIHL MSA 160 C-BQ。径20cmの丸太の連続玉切りまで使用できる、高い実用性を持つモデル

 

長い丸太をきれいに玉切りする少し上級の切り方

長さのある丸太を玉切りしていると、切っている途中で材の重さで丸太が折れて落ちてしまうことがある。これを防ぐには、玉切りの途中からガイドバーの上側を使って、丸太を下から上に切るという方法を使う。

丸太を馬に載せて固定したら、切り方は下のイラストAのように丸太に(1)~(4)の部分を設定し、まず普通に上から(1)まで切る。次にキックバックしないよう気をつけながら上から(2)を切る。イラストBのようにガイドバーの先端上部(キックバック危険ゾーン)が材に当たるとキックバックしてチェンソーが自分の方に飛んでくるので、十分に集中して作業する。

(3)の部分はソーチェンの上側を使って下から上に切る。チェンソーの上側のスパイクを丸太に当て支点として切ると安定した作業ができる。(4)の部分は(3)から連続した動きで切り上げる。このときガイドバーの先端は必ず丸太の向こう側に出し、ガイドバー先端の上部が丸太に当たらない、キックバックしない体勢で切ること。

 

<丸太を割らない玉切りテクニック>

 

ガーデンリビング作りに使える小技テクニック

ここでは径10cm程度の丸太を杭に加工して、その杭に看板の板を付けるための溝を掘る。

丸太を杭にするには、丸太の片方の端を尖らす加工が必要。これは馬に固定した丸太の左右2面を斜めに切り取り、90度回転させてまた左右2面を斜めに切ればいい。切る度に安全に切れる位置に、その都度足場を決めることと、スパイクが使いづらいので、チェンソーを腕力で支えるため、しっかりと構えることが大切だ。

丸太に看板の板などはめる溝は、取り付ける板幅で2カ所に切れ目を入れたら、切れ目の底に合わせて、チェンソーの先を突っ込んで向こう側に貫通させて切る。キックバックしないように突っ込みはじめは、真っすぐに突っ込まず少し角度をつけて切り込むとうまくいく。

切り出した面はブラッシングという方法でならす。写真のようにチェンソーを立ててする方法と寝かせる方法がある。

 

<テクニック1、丸太を杭にする>

 

<テクニック2、溝を彫る>

 

日々のメンテナンスでチェンソーはいつも快調!

チェンソーは刃が命なので使用する前か後に必ずメンテナンスする。写真のような方法でメンテナンスすれば、チェンソーはいつも軽快に使うことができる。刃の研ぎは最重要なメンテナンスとなる。きれいに研げれば、振動も騒音も少なく、切断作業も早くなる。ソーチェンは小さなカンナが並んでいる状態で、ソーチェンの刃に向きあうデプスゲージはカンナの台にあたる部分。カンナ刃と台の高低差でカンナの切れ味が変わるように、ソーチェンの刃とデプスゲージの高低差で切れ味を保持するので、写真のように専用のファイルゲージでデプスゲージの高さを測定し、必要なら削って、刃とデプスゲージの高低差を合わせるようにする。

また、ガイドバーは上下7対3の使用率でひっくり返して使うと減りは平均して、ガイドバーの片べりを防いで長期間使うことができる。

写真◎冨士井明史/取材協力◎栗田宏武、スチール

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年8月時のものです。

電動だから使いやすい!バッテリーチェンソーの基本と玉切りのやり方/DIY工具使いこなし術(12)

チェンソーといえば、イメージされるのはエンジンを動力としたモデルだが、今回紹介するのは、充電式バッテリーを電源とする電動チェンソー。

電源がバッテリーなので、一般的な電動チェンソーのように、コードを引き回す必要がなく、屋外でも軽快に使うことができる。

今回使用したバッテリーチェンソーはSTIHL MSA 160 C-BQ。径20cmの丸太の連続玉切りまで使用できる、高い実用性を持つモデル

 

バッテリーチェンソーはDIYにぴったり

薪作り、枝払いなど園芸作業、軽度のログワークに使うなら、振動と騒音の少ないバッテリーチェンソーはとても使いやすい。住宅地の庭などで使うとなると、騒音の出るエンジンチェンソーは使えないので、バッテリーチェンソーしか選択肢はない。この、STIHL MSA 160C BQは36Vのハイパワーバッテリーリチウムイオンで駆動する高効率のモーターを搭載し、新型の低振動(=低騒音)ソーチェンを装備したモデル。

長さ30cmのガイドバーは、径20cmまでの樹木を切断するようにデザインされているので、ガーデンDIYで丸太を相手にするにはちょうど手頃なサイズになる。

バッテリーチェンソーは、充電したバッテリーをセットし、ハンドルサイドのセーフティーボタンを押しながら、スロットル(トリガースイッチ)を引けば、シャーッという軽快な音と共にソーチェンが回り出す。ちょうど丸ノコを使うのと同じように使うことができるのは電動ならではの使いやすさだ。

また、体の安全対策も重要なポイント。以下の写真のように頭、目、手、下半身、足は必ず保護して作業する。

 

<始動の仕方>

 

チェンソー作業の基本「玉切り」で扱いに慣れる

直径20cmまでの間伐材を、薪に使いやすい長さに切り分ける。こうした切断は、林業やログワークでは玉切りと呼ぶ。チェンソーの基本的な作業だ。切る材は写真のように馬に乗せ、安定して切れるように準備しておく。

チェンソーは本体と直角になるようにハンドルが付いていて、写真のように、ここを持ってぶら下げると、ちょうどバランスが取れるようになっている。そのままアクセルのハンドルを握り、目線が目、ソーチェン、墨線と一直線になるように構え、材にソーチェンを当てずにチェンソーを始動。すぐ回転が安定するので、目、ソーチェン、墨線を一直線に保ったままソーチェンを材に当てれば切断開始。ちゃんと研いであるソーチェンが付いていれば、チェンソーの重さだけで切れていく。玉切りでは材にチェンソーを押し付ける必要はない。押し付けなければ切れないのは、刃が減っているためなので、すぐ研ぎ直す。

枝払いなども同様に切る場所を決めたら、目、ソーチェン、墨線を真っすぐに構え切る。足元をしっかり決め、枝の落ちる方向を見極めて、なるべく枝の上部から、何回かに分けて切ると安全に切れる。枝払いなど、チェンソーを持ち上げる作業では、チェンソーが肩より上がらないように注意する。

 

<玉切りでのチェンソーの動き>

 

<玉切り作業手順>

写真◎冨士井明史/取材協力◎栗田宏武、スチール

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年8月時のものです。

ひとりでDIYに励むお父さんに贈る!「クランプ&万力の使い方、ソロDIYテクニックガイド」

ひとりでも不自由なく作業を楽しめる術を身につけよう!

材同士を締めて仮固定したり、作業のために材を作業台に固定させる道具、それがクランプ・万力。

単純な工具ながら、ひとりDIYにおいて持っているのと持っていないとでは、作品づくりの手順に大きな影響を与える。

ここでは、木工に親しめば親しむほど使用頻度が上がっていくクランプや万力の使い方とその種類の違い、ソロDIYer必見のワザをレクチャーします!

 

1.クランプの使い方と種類

工房の壁の一角を占領するさまざまな種類のクランプ。使う状況に応じて小さなモデルから大きなモデルまであり、締め込む方法も多彩だ

 

2.万力の種類と使い方

写真のような形状のパーツのカンナがけでも、万力ならしっかり固定でき安定した作業が可能。万力はちゃんとしたものを手に入れれば、数十年は使える道具でもある

 

3.F型クランプを自作してみよう!

クランプの定型といわれるF型クランプを手作り。材料はホームセンターでそろえられるもので集めている。アゴが木製ということで、ちょっとウッデイな雰囲気

 

4.現場で活かせるクランプ使用例9連発!

ひとりで作業する現場では、やっぱり助手がいればなあと思う場面はしばしば発生する。そんなときこそクランプの出番。実際の現場で使われるクランプの使用例を紹介しています!

 

5.ひとりDIYに役立つ素敵なテクニック集

その1

その2

ひとりDIYをサポートしてくれるのはクランプだけじゃない!身近にある道具や資材も、使い方次第で便利アイテムに変身。そんなアイデアフルなテクニックを16個紹介

ノコギリ&カンナのお手入れ方法を解説!/暮らしに生かすDIYメンテナンス(18)

ノコギリ、カンナといった手工具は見るからにシンプルな構造で、メンテナンスといっても拭き掃除ぐらいしか考えられないが、こうした工具も、鉄と木材の組み合わせで組み立てられているので、分解掃除なども可能で、パーツの交換もできるのだ。

これでもっと手工具に親しめるようになろう。今回はノコギリとカンナのメンテナンス。

 

ノコギリの刃交換

ノコギリの刃は一般的に厚さ7mm程度と、薄く仕上げられているので、簡単に曲がってしまうし、サビも浮きやすい。また、切れ味が落ちたのをわからないで使い続けている人も多いようだ。刃が曲がったり、折れたりしていないのに、なんかノコギリの調子が悪いなと思ったら、刃が減っていると思って間違いない。切れ味が悪くなると、そのノコギリに手を出さなくなり、ほっておくとサビサビになってしまうということが多い。

現在のDIYに使われるノコギリは、メーカーごとに取り付け方法が違ったりするが、ほとんどの場合、刃は交換式となっている。自分のノコギリが交換式かどうかわからない場合は、ホームセンターで店員に見てもらえばすぐにわかる。メーカーがわかったら適応する新しいノコギリ刃を買ってくれば、すぐに刃を交換することができる。

新しい交換用の刃を手に入れたら、各メーカーの説明に従って、刃を交換する。ここで紹介する例では、柄の背金に沿った刃のフックを取り外し、取り付けすることで刃を交換できる仕組みになっているタイプ。注意する点は、工程の一部で直接刃を握る場面があるので、手を切らないように紙で包んだり、皮手袋をするなりして作業すること。

 

<ノコギリ刃の交換手順>

  1. 交換刃を用意する
  2. 古い刃を取り外す
  3. 新しい刃を正しくセットする
  4. 新しい刃を取り付ける
  5. できあがり

 

カンナの下面(下端)のメンテナンス

カンナの刃が仕込まれている木の部分は台と呼ばれる。この台の調整を台直しと呼び、刃の突き出し調整と、台の調整の組み合わせで、軽く引いてよく削れるカンナにすることができる。

台の調整はカンナの下面(以下、下端)の一部を薄く削り、刃の幅一杯に材との摩擦を最小限にして、軽く引けるようにすること。

メンテナンスは、はじめにカンナの下端をサンドペーパーで真っ平らに調整してからはじめる。平らな作業台の上にサンドペーパーを広げて、カンナの下端を当てて研摩する。こだわる人は、より精密な平面の得られる、鏡の上や板ガラスの上にサンドペーパーを置いて作業するという。

カンナの下端を削るには台直しカンナという専用のカンナもあるが、DIY用であれば、幅の広めのノミを真っすぐ立てて構え、これで削る方法でいい。台の下端を削る深さは0.1mm程度。デジタルノギスなどを使えば削り量を簡単に計測できるが、真っすぐな定規を下端に当てて、明かりを透かして見るという方法でも十分だ。

<カンナの下端調整の手順>

  1. カンナ刃、裏金を緩めて下端面より沈める
  2. サンドペーパーで下端を平らに均す
  3. 墨つけする
  4. 下端を削る
  5. すき間の確認
  6. カンナ刃、裏金の突き出し量の調整
  7. 試し削り。できあがり

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年12月時のものです。

切断や研磨などディスクグラインダーの使い方を徹底解説!/DIY工具使いこなし術(11)

専用のディスクが、毎分およそ1万回転という超高速で回転し、ディスクを交換することで、材を切ったり、削ったり、磨いたりできる電動工具が今回紹介するディスクグラインダー。

交換用のディスクは、加工する材の材質にあわせていろいろな種類があり、また、それぞれ切断、研削、研磨用に分かれている。

*ディスクグラインダーの基本編はコチラ

 

最新のディスクグラインダーは本体が細く、しっかりとグリップできるようにデザインされている。グリップデザインはディスクグラインダーを選ぶ際の重要なポイントだ

 

ディスクを使い分ければ多用途に使える

切断や研削、研磨する材料によって、取り付けるディスク(砥石と呼ばれる)を交換して使うのもディスクグラインダーの特長。これによって木材から、金属、非金属、レンガなどいろいろな材を加工することができる。

ただし、加工精度は荒く、5mm程度の誤差は想定内として作業したほうがいい。誤差は小さくできるが、練習が必要だ。

ディスクグラインダーで材を切るときは、ディスクをスタートさせ、しっかり本体を保持し、材に対して真っすぐに切断用砥石を当て切り始める。切断の方向は、上から下、奥から手前というように、ディスクグラインダーを引いてくる方向で動かす。切る材の厚さより深くディスクが切り込むと、キックバックを起こし危険なので、材に深く切り込まないように注意する。

同じく、研削や研磨の場合は、切るときと同じようにディスクをスタートさせたら、ディスクが材に対して20~30度の角度になるように構え、対象となる材の上に掛ける力は、ディスクグラインダー自体の重さとし、軽く動かして研削、研磨していく。力を込めて材にディスクを押し付ける必要はない。

また、ディスクの回りをカバーするホイールカバーは必ず取り付けて作業する。プロの現場ではずして使用するのを見ることがあるが、わざわざ進んで危険な状況を作ることはない。

 

中央の黒いボタンがディスク交換の際、ディスクの回転軸をロックするスピンドルロックボタンディスク

 

グラインダーを使った切断、研削

切断は材を切ること、研削は材を削ること。ディスクグラインダーは元々金属の加工用に作られた工具なので、色々な金属、樹脂に対応したディスクのバリエーションがある。ガーデンエクステリアではレンガ、テラコッタを切断するダイヤモンドホイールが活躍する。複数の材に兼用できるディスクもあるが、専用ディスクの方が材に対してよく切断、研削できる。

切断、研削砥石の一般的な見分け方。左の薄いのが切断砥石、右の厚みのあるのが研削砥石と呼ばれる研削用ディスク

 

鉄工用切断砥石

鉄板、鉄棒などを切るためのディスク。厚さ3~4mmまでの鉄板(軟鉄)なら、ストレスなく切断することができる。より硬い鉄鋼やステンレスには鉄鋼・ステンレス用の切断砥石を使う。逆にステンレス用切断砥石なら鉄板も切ることができる。

 

アルミ用切断砥石

建具の材料などによく使われるアルミ材の切断は、鉄工用切断砥石を使っても切断できるが、アルミはやわらかいので、鉄工用ではしばらく使ううちに砥石の目が詰まって切れ味が悪くなる。アルミの材質に合わせて作られた専用のディスクなら、いつでも快適な切断ができる。

 

ダイヤモンドホイール

主に合成ダイヤモンドを配合した金属製のディスク。レンガ、テラコッタ、タイル、あまり厚くない石材の切断に利用される。ガーデンエクステリア作りのDIYでは、一番出番の多いディスクといえる。レンガやテラコッタを切る場合は、火花の代わりにものすごい量の土煙が出るので、ゴーグルはもちろん、マスクの装着も必要だ。

 

プラスチック用切断砥石

よりやわらかく、ねばりのあるプラスチック、塩ビ、FRP等を切るためのディスク。DIYで作る配管や暗渠に塩ビ管を使うときの切断加工を大幅にスピードアップしてくれる。

 

鉄工用研削砥石

研削砥石は切断砥石より厚く作られている。切断砥石は傾けて使ったときに、力が掛かりすぎると回転中に破壊して飛び散り大変危険なので、鉄工での削る作業では研削砥石を使用すること。

 

木工用研削砥石

木工用のサンドペーパーが円周上に重ねて取り付けられたディスク。ディスクの縁が丸められているので、材の内側の隅や角部などでも使いやすい。

 

ディスクグラインダーを使った研磨

研磨は材を磨くこと。ここでは錆びた鉄製品、非鉄製品の錆び落しから、磨き上げまでの作業、木材の艶出しなどのことをさす。一般的に研磨では、何段階かに工程を分けて、その工程ごとに、ディスクを交換しながら磨き上げていく。

 

錆びた鉄材の研磨

一面に錆びの浮いた鉄材も、ていねいに研磨すれば、きれいな鏡面に仕上げることができる。古代、鉄は鏡として使われていたこともあるので、完璧に研磨できれば、言葉どおり鏡面になる。ここでは4段階で研磨している。

 

木材を研磨する

木材のなかでも広葉樹の材は、研磨することによってきれいな木目の浮き出る材が多い。ここではメイプル(カエデ)材を3段階で研磨して、木目を出している。

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、イチグチ

*掲載データは2012年6月時のものです。

切断から研磨まで多用途に使えるディスクグラインダーの基本を解説!/DIY工具使いこなし術(10)

専用のディスクが、毎分およそ1万回転という超高速で回転し、ディスクを交換することで、材を切ったり、削ったり、磨いたりできる電動工具が今回紹介するディスクグラインダー。

交換用のディスクは、加工する材の材質にあわせていろいろな種類があり、また、それぞれ切断、研削、研磨用に分かれている。

 

最新のディスクグラインダーは本体が細く、しっかりとグリップできるようにデザインされている。グリップデザインはディスクグラインダーを選ぶ際の重要なポイントだ

 

ディスク100mm径用のディスクグラインダーが使いやすい

ディスクグラインダーは使用するディスクの径に合わせて100mm用、125mm用、150mm用、180mm用などのバリエーションがあるが、プロも含めて100mm用ディスクグラインダーがもっとも広く使われ、ディスクのバリエーションも豊富だ。実際に作業しても100mm用グラインダーは一番使いやすく、これ以上大きなモデルでは、工具を安定させるだけでも大変で、作業中には危険すら感じる。125mm用以上のモデルは、専門職用といえる。

ディスクグラインダーを使うときに、一番注意する点は、工具の保持。とくにスイッチ位置の関係から、始動するとき、片手で持つことになるので、スイッチを入れた拍子にディスクグラインダーを落とさないように、しっかりと保持すること。新型のモデルには今回使っているモデルのように、本体を細くして、持ちやすくデザインされたモデルもある。細身のモデルなら、手が小さい人でも、片手でしっかり保持することができる。

 

パワースイッチは本体後部についていることが多いため、スイッチのオンオフでは本体を片手で持つことになるので、しっかり保持して始動、停止する

 

誤作動を防ぐため、プラグは作業時以外は必ずコンセントから抜いておくことを習慣づける

 

市販のスピードコントローラーを使い低速側へ回転数の調整ができる。便利な別売アクセサリーだが、電子コントロール式のディスクグラインダーには使えないので注意

 

また、丸ノコのようにトリガースイッチから指を離せば、スイッチが切れるという仕組みもないので、モーターの始動、停止時はしっかり本体を持って、スイッチを操作する。コンセントにつなぐ前には、必ずスイッチが切れていることを確認すること。スイッチが入ったままコンセントにつなぐと、突然始動して危険だからだ。

金属を加工する場合激しい火花が散るが、見た目と違い熱くない。しっかり保持するなら素手。火花はちょっとという場合は革手袋をする。軍手は、万が一繊維が巻き込まれると、手まで引き込まれるので禁止。それよりも、目に切り屑が入るほうが危険なので、メガネ、保護メガネ着用は必須だ。

 

ディスクグラインダーで作業するときはメガネ、ゴーグル等で目を保護することが大切。細かい切り屑が目に入ると失明することもある。また切粉が舞うような作業ではマスクも必要だ

 

研磨砥石で研削する場合は写真のような角度(20〜30度)でディスクを斜めに当て、強く押し付けずに工具の重さなりで、手前に引きながら削る

 

切断砥石を使う場合はディスクを立てて材に当て、手前に引きながら切断する

 

金属の加工では激しい火花が散るが、熱くはない

 

中央の黒いボタンがディスク交換の際、ディスクの回転軸をロックするスピンドルロックボタン

 

ディスク交換の方法

ディスクを交換していろいろな材質を加工できるのが、ディスクグラインダーの大きな特長。ディスクグラインダーを使いこなすには、所有しているディスクグラインダーのディスク交換の方法はマスターしておきたい。

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、イチグチ

*掲載データは2012年6月時のものです。

秋になったら勝負したい!スズメバチ・トラップ大作戦!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(24)

来いや!と叫んでも、その日、スズメバチは来なかった!

逃げたのか!? ビビッたのか!? それともトラップがまずかったのか?

いや、そうじゃなくて、時期が悪かったらしい。でもこの記事を読んでいるあなた、秋になったら、一網打尽のスズメバチ捕獲大作戦、いざ、勝負!

 

オオスズメバチの女王バチ

 

木の枝や軒先にスズメバチ・トラップを吊るす

 

読者から寄せられた「スズメバチ対策」

外で作業中、「スズメバチだ!」の声に逃げ惑う哀しい我らがいる。里山のガーデンDIYはスズメバチとの闘いでもあるのだ。草刈り中に突然鉢合わせ(これがホントのハチ合わせ?)することもあるし、物置のドアをあけると突然飛び出して来ることもある。もし刺されたら!? 痛いのはもちろん、最悪死ぬ(マジっすか?)。

ドゥーパ!スタッフは、今年の5月、キイロスズメバチが我らを偵察飛行しているのを見て、スズメバチ撃退スプレー片手に外階段のペイビング作業をした。6月は、くそ蒸し暑いのに防虫ネットをかぶり、長袖で草刈りをした。7月は離れの小屋の天井にスズメバチが巣を作っているのを発見した。最近では、強力殺虫スプレーで空中戦を闘い抜き、数匹のスズメバチを撃ち落としているが、スプレー臭があたりに蔓延し、こっちも少し気持ちが悪くなった。

ほかに何か手はないのか。そう思っていたら、以前、読者から編集部に寄せられた「スズメバチ対策」の手紙を思い出した。

手紙の主は、愛知県のMさん。いただいた手紙には、スズメバチに刺されないためのアドバイスのほかに、スズメバチを捕獲したり、撃退するためのノウハウが掲載された雑誌の切り抜きなんかも同封されていた。いろいろな説が紹介されていて、どれがいいのか迷うが、とにかくやってみることにした。

 

作戦その1 粘着ねずみ取りシートを使う

ゴキブリホイホイのネズミ取り版を知ってるだろうか? つまりネズミホイホイ。触れると粘着して離れなくなる奴。「粘着ねずみ取りシート」と呼ばれているもので、いろいろなタイプが市販されている。スズメバチは黒いものに向かってくる性質があるから、色は黒いほうがいいかもしれない。これでスズメバチを捕まえる。つまり、スズメバチホイホイ。ネズミが動けなくなるほど強い粘着力があるわけだから、ハチごときがかんたんに脱出できるはずがない。ポイントは、オトリのスズメバチを2~3匹置いておくことだという。空中を飛ぶスズメバチは黒いシートの上で動けない仲間を見つけると「お~い、どうしたの?」と近寄ってきて、ヒョイとシートに下りる。これでOK。もがけばもがくほどネチャネチャになって動けなくなり、悶え死ぬ。う~む、実に残酷な方法だ。

 

作戦その2 ペットボトルでスズメバチ・トラップを作る<一般バージョン>

ペットボトルで仕掛けを作ってスズメバチを捕まえる方法はかなり一般的らしい。市販されているものに似たようなものがある。ただし、ペットボトルに入れる「スズメバチの誘引液」にそれぞれの個性や特徴があるようだ。ポピュラーなのは、「酒、砂糖、酢」を1:1:0・5くらいに混ぜて誘引液にする方法。上部に小さな穴をあけたペットボトルに誘引液を入れ、適当な場所に吊り下げておく。液の香りに誘われ、小さな穴から入り込んだスズメバチが戻れなくなり、溺れて悶え死ぬ。う~む、これも実に残酷な方法だ。

誘引液については、いろいろな人がトライ&エラーを繰り返して実績を残しているはずなので、これがいちばん! などとはなかなか言えない。ただし言えることは、「酸っぱくて甘い香りのするもの」がよさそうだということ。たまに、強い香水をつけている女性が襲われることがあるというのも、「甘酸っぱい強烈な香り」がするからだ。

「酒+砂糖+酢」以外の、いけそうな誘引液をあげてみるとこんな感じだ。

●ワイン2+酢1+砂糖1
●焼酎1+オレンジジュース1+酢1
●グレープジュース4+酒2+酢1

 

作戦その3 ペットボトルでスズメバチ・トラップを作る<北米バージョン>

これも誘引液とペットボトルを使う方法だが、トラップの形が違う。ふたをはずしたペットボトルの上3分の1をカットし、逆さにして、下3分の1の内側に差し込む。中に誘引液を入れ、適当な場所に置く。中に入り込んだスズメバチは外に出られず、液のなかで溺れ、悶えて死ぬ、う~む、北米人も残酷ではないか。

 

作戦その4 三種混合液「ブドウ酢+梅酢+リンゴ酢」を誘引液に

スズメバチをワナにかけ、ワンシーズンで500匹以上捕獲したという方がいる。無農薬の観光ブルーベリー園を運営しているEさんだ。数年前、「イナゴの大群のようにスズメバチが押し寄せ、あまりに危険なので閉園を覚悟した」という経験をお持ちの方だが、そのEさんが試行錯誤を繰り返して行き着いたのが、梅酢、ブドウ酢、リンゴ酢を原液のまま等分にして混ぜた三種混合液を誘引液にする方法。

これをペットボトルの底から40~50mmほど入れ、ペットボトルの上に2カ所、穴をあけ、これを適当な木に吊るしておく。これでOK。Eさんは6ヘクタールあるという園全体に12個くらい仕掛け、500匹以上のスズメバチを捕まえた。もうやるっきゃないでしょ、こっちも。

ちなみに、本誌にスズメバチ対策の情報を届けてくれた愛知県のMさんもこの三種の酢を使ってスズメバチ・トラップを作っているとか。

 

いすみの里で作戦敢行

いろいろやりました。ネズミ取りシート作戦はもちろん、秘密の化学実験のごとく、いろいろな誘引材料を組み合わせ、ペットボトルに入れ、軒先や木に吊るし、じっと待った。1日、2日、3日、そして1週間…それでもスズメバチは来なかった! なぜだ!?

で、思いあまって門を叩いたのが、スズメバチ捕獲名人、Eさん運営のブルーベリー農園だった。彼との一問一答がこれだ。

ドゥーパ!(以下D) 三種混合液が効かない。なぜだ?

Eさん(以下E) 時期が悪い(編集部注:取材時は7月下旬~8月初旬)。6~8月は駄目だ。女王蜂は外に出ない。働き蜂も活発じゃない。今、トラップに集まるのはクワガタやカナブンくらいだ。働きバチが飛びまわる秋か、女王蜂が動き回る春まで待て。

D ベストシーズンはいつだ?

E 越冬した女王バチが巣作りの場所を探したり、巣の材料を運んだりする活動を開始する春~初夏だ。この時期に女王バチを1匹捕まえれば、秋にひと群れ捕まえたのと同じ効果があるのだ。

D 秋はだめなのか?

E 働き蜂が活性化しているので悪くはない。よく捕れる。ただきりがない。

D 場所はどこがいいのか?

E 私の経験では広々とした場所に吊るしておくのがいいようだ。

D わかった。秋まで待つ。そして来春はしっかり勝負したい。

E 幸運を祈る。ちなみに私は1シーズンで500匹のスズメバチを捕まえたゾ。

D ハハーッ。オソレイリマシタ…。

 

かくして、真夏のスズメバチトラップ大作戦は不完全燃焼に終わったが、希望は残った。この記事が公開される9月、つまり、今頃なら大丈夫。強烈な三種混合液はもちろん、強烈な粘着シートおとり作戦をぜひぜひ実行していただきたい。そしてなお、実行してほしいのは、来年春の女王バチ捕獲作戦。幸運を祈る。

 

スズメバチのミニ知識その1 刺されないためには…?

●スズメバチは黒いものを襲う習性がある。春や秋口に外作業するときは白っぽい帽子をかぶり、黒い衣服は避けること。

●巣に近づくと、威嚇飛行したり、カチカチという威嚇音を出す。ゆっくりと頭を低くしてその場を離れること。音の出る草刈り機での作業中は威嚇音が聞こえず、刺されるケースもある。草むらから飛び出すスズメバチは獰猛なオオスズメバチであることが多いことも知っておこう。

●野外作業では、スズメバチを刺激する香水や化粧品はつけないこと。場合によっては虫除けスプレーも逆効果になることもある。

●スズメバチは飛んできた飛行コースを急に変更できないので、後ろから来たら、身を低くかがめてそのまま後ずさりすること。

 

スズメバチのミニ知識その2 刺されちゃったら…!

●刺されたら、応急措置として、刺されたところを絞るようにして毒を外に出し、水で洗い流す。そしてすぐ病院へ。これしかない。

●「スズメバチに2度刺されたら死ぬ」ってホントか? 1度刺されると抗体ができる。もう一度刺されるとこの抗体が過剰に反応し、血圧低下や呼吸困難を起こすことがある。要注意! 1度刺されたことのある人は、病院で抗体の有無を検査してもらうといいだろう。

 

文・写真◎脇野修平

*小さく表示されている写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2014年8月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

ひとりでDIYに励むお父さん応援企画!/ひとりDIYに役立つ素敵なテクニック集・その2

「ちょっとココ押さえてて」、「そっちもう少し持ち上げて」…、そんなことを気軽に頼める相方がおらず、切ない思いに駆られたことがあるDIYerは少なくないはずだ。

運がよければ、ものわかりのいい優しい奥さんや子供が手伝ってくれるかもしれないが、それだって、それぞれに予定もあるし、機嫌の良し悪しもあるし…。

ならばDIYerよ、ひとりでも不自由なく作業を楽しめる術を身につけようではないか!

まず知るべきは、クランプだ。そして、同士たちが編み出したテクニックだ。

これで、ひとりDIYがますます愉快になること間違いなしだ~!

*クランプの種類と使い方編はコチラ

*万力の種類と使い方編はコチラ

*F型クランプの自作編はコチラ

*現場で活かせるクランプ使用例9連発編はコチラ

*ひとりDIYに役立つ素敵なテクニック集・その1はコチラ

 

みんなが実践する裏ワザ、集めました!
ひとりDIYに役立つ素敵なテクニック集

ひとりDIYをサポートしてくれるのはクランプだけじゃない!

身近にあるアノ道具やコノ資材も、使い方次第で便利アイテムに変身!

全国のひとりDIYerよ、知恵で勝負だ! じゃんじゃん応用すべし!

 

9、二丁インパクトで素早く下穴あけ&ビス留め

ハードウッドや竹、金属などをビス留めするなら、先に下穴をあける必要がある。大量にビス留めする場合、これがかなりメンドクサイ。ふたりいれば、ひとりが下穴あけ、ひとりがビス留めと分担してスピーディーに進むのに…というところだが、ひとりでもインパクトドライバーまたはドライバードリルを2台用意し、それぞれに下穴用ドリルビット、ドライバービットをつけて使い分ければとても効率的。また、下穴あけ専用と割り切って安価なドライバードリルを購入するのもナイスアイデア。

 

10、重い枕木も一輪車ならラクラク運べる

一輪車で運べるのは、砂や砂利など、荷台の内部に収まるものだけじゃない。長い枕木だって、いったん載せてしまえばラクに運べちゃう。重い枕木をひとりで抱えて運ぶのは至難の業ですからね!

11、重い材は輪に引っ掛けて高所に上げる

ふたつのカーポートの間に屋根を作って、超幅広のカーポートを作ったFさん。どうやって重い梁などを高所に上げ、固定したのか? その答えは、「針金の輪」でした。

 

12、鉄筋や丸棒の保持は端材を切り欠けばOK

鉄筋にドリルで穴をあけるときは万力に固定するといいが、万力がなくても大丈夫。適当な端材をV字に切り欠き、そこに鉄筋をはめれば転がって逃げることがない。

 

13、丸太の保持は豪快にカスガイで

自然木の形状をそのままデザインに取り入れる「曲がり木工」が得意なYさん。チェンソーで丸太を割くときには、転がらないようカスガイでガッチリ保持。割き終わったら、カナヅチで軽く叩いてカスガイをはずすだけ。作品同様、作り方もワイルド~。

 

14、足を3つ目の手に!? 曲線の墨つけテク

材の端を曲線にカットするために、サシガネをたわませて墨つけ。しかし2本の手でたわませていたら、墨つけできない。そんなときは、足でサシガネを保持!

 

15、ドアをつけるときはバールで保持

ドアをつけるとき、上下左右に多少のすき間を作っておかないと、うまく開閉しない。とはいえ、ひとりでドアを持ち上げながら蝶番をビス留めするのは超タイヘン。そこで活躍するのがバール。バールの端をドアの下に差し込み、もう一方の端を足で踏んでテコの原理で持ち上げておけば、両手が使えるのでビス留め作業も問題なし!

 

16、ストレスなしで桟を裏からビス留めする方法

1×4材を数枚並べ、3本の横桟を留めてドアを作る。その場合、裏からビスを打つほうがしっかり接合できるし、見た目もスマート。そこで、平らな場所に横桟を3本並べ、その上に1×4材を並べてビスを打つことになるが、そのままだと必ずといっていいほど作業中に横桟がズレてしまい、イライライライラ…。そんなときは、合板を作業台にして、そこに横桟を仮留めしてしまえば、ズレることなくサクサク作業が進むのだ。

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*掲載データは2012年4月時のものです。

ひとりでDIYに励むお父さん応援企画!/ひとりDIYに役立つ素敵なテクニック集・その1

「ちょっとココ押さえてて」、「そっちもう少し持ち上げて」…、そんなことを気軽に頼める相方がおらず、切ない思いに駆られたことがあるDIYerは少なくないはずだ。

運がよければ、ものわかりのいい優しい奥さんや子供が手伝ってくれるかもしれないが、それだって、それぞれに予定もあるし、機嫌の良し悪しもあるし…。

ならばDIYerよ、ひとりでも不自由なく作業を楽しめる術を身につけようではないか!

まず知るべきは、クランプだ。そして、同士たちが編み出したテクニックだ。

これで、ひとりDIYがますます愉快になること間違いなしだ~!

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*現場で活かせるクランプ使用例9連発編はコチラ

 

 

みんなが実践する裏ワザ、集めました!
ひとりDIYに役立つ素敵なテクニック集

ひとりDIYをサポートしてくれるのはクランプだけじゃない!

身近にあるアノ道具やコノ資材も、使い方次第で便利アイテムに変身!

全国のひとりDIYerよ、知恵で勝負だ! じゃんじゃん応用すべし!

 

1、長材をビスの仮打ちで支える

長い横材を留めるとき、ひとりで水平を保持しながらビスを打つのは難しい。そんなときは材の下端に合わせてビスを仮打ちし、その上に材を載せれば問題解決!

 

2、長材の片端をジャッキで支える

ガレージの外壁を丸太の半割りで仕上げた千葉県のYさん。この半割り材の長さが約3.5mあって、ひとりで水平に保持するのが大変。そこで山口さんが思いついたのが、片端をジャッキで支える方法。なるほど、これなら微妙な調整にも都合よさそう。

 

3、長材の両端を端材の仮留めで支える

小屋を作っていた編集部メンバーが、垂木の木口に3mの幕板をビス留めしたいが、ひとりではどうしても水平に保持できず、思いついた策。両端の垂木の下面に端材を留め、その上に幕板を載せれば、ラクに正確なビス留めが可能に!

 

4、結束バンドをコーナークランプに

宅配物を梱包していた結束バンドは、そのままコーナークランプとして利用可能。巻いて締めただけではどうしてもすき間ができるから、端材をクサビにしてテンションをかければ、簡易コーナークランプの完成だ。

 

5、自作クサビで材を保持

材を上に突き付けてビス留めしたいときなど、片手で材を正確に突き付けながらビスを打つのが難しい。そんなときは材の下にクサビを入れて、材を固定してしまえば作業がラク! クサビは端材を適当に斜めにカットすれば作れるから、とてもお手軽。

 

6、自作つっかい棒で材を保持

壁に蝶番を介して折りたたみ式の作業台をつけるときに、自作つっかい棒で材を支え、蝶番をビス留め。自作つっかい棒は、床から材までの寸法にあわせて端材をカットすればできあがり。床や地面からの高さがさほどない範囲なら、さまざまな場面で使えそうなテクニック。

 

7、両面テープで仮留めして正確にビス留め

ビス留めする際に、あらかじめ両面テープで固定しておくと、材がズレる心配がなく、とてもラクに正確にビス留めできる。とくに、繊細さを要求される小さい材の接合には有効。ガレージ6142の白井さんは、棚作りで、棚受けのアルミアングルを側板に留めるときに、このテクニックを使ってました~。

 

8、あらかじめ仮打ちで素早くビス留め

ビス留めの際、材を突き合わせてからビスを打ち始めると、ビスの先端が滑ったりして手間取るうちに材がズレてイライラ……。材を保持してくれる人がいないひとりDIYではよくあるパターンだ。プロの作業でよく目にするのが、あらかじめビスの先端を材に打ち込んでから、接合箇所に突き合わせる方法。これなら素早くビス留めできるから、材の保持が大幅にラクに!

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*掲載データは2012年4月時のものです。

ひとりでDIYに励むお父さん応援企画!クランプ・万力徹底ガイド/現場で活かせるクランプ使用例9連発!

「ちょっとココ押さえてて」、「そっちもう少し持ち上げて」…、そんなことを気軽に頼める相方がおらず、切ない思いに駆られたことがあるDIYerは少なくないはずだ。

運がよければ、ものわかりのいい優しい奥さんや子供が手伝ってくれるかもしれないが、それだって、それぞれに予定もあるし、機嫌の良し悪しもあるし…。

ならばDIYerよ、ひとりでも不自由なく作業を楽しめる術を身につけようではないか!

まず知るべきは、クランプだ。そして、同士たちが編み出したテクニックだ。

これで、ひとりDIYがますます愉快になること間違いなしだ~!

*クランプの種類と使い方編はコチラ

*万力の種類と使い方編はコチラ

*F型クランプの自作編はコチラ

 

助手代わりに駆使するクランプ術が満載! クランプ使用例現場写真集

ひとりで作業する現場では、やっぱり助手がいればなあと思う場面はしばしば発生する。そんなときこそクランプの出番。クランプなら「重くないですか?」「お茶いれます?」など、気を使わずに、徹底的に使いこなすことができる。ここでは実際の現場で使われるクランプの使用例を紹介。

 

1、根太受けの組み立て

 

2、ひとりで横桟を取り付ける手順例

高い場所に横向きに材を打ち付ける作業の手順を紹介しながら、クランプの使い方を見ていく。こうしたエクステリアの現場では写真のような中型のグリップクランプか、中型のF型クランプが使われている。

 

3、パーゴラの組み立て

 

4、門柱上下の間隔を調整する

 

5、根太張り

 

6、ドアの板材をはぐ

 

7、高所の材の仮固定

 

8、カーブ用墨つけ定規を固定する

 

9、根太の高さを仮固定する

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*掲載データは2012年4月時のものです。

ひとりでDIYに励むお父さん応援企画!クランプ・万力徹底ガイド/現場で活かせるクランプ使用例9連発!

「ちょっとココ押さえてて」、「そっちもう少し持ち上げて」…、そんなことを気軽に頼める相方がおらず、切ない思いに駆られたことがあるDIYerは少なくないはずだ。

運がよければ、ものわかりのいい優しい奥さんや子供が手伝ってくれるかもしれないが、それだって、それぞれに予定もあるし、機嫌の良し悪しもあるし…。

ならばDIYerよ、ひとりでも不自由なく作業を楽しめる術を身につけようではないか!

まず知るべきは、クランプだ。そして、同士たちが編み出したテクニックだ。

これで、ひとりDIYがますます愉快になること間違いなしだ~!

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*万力の種類と使い方編はコチラ

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助手代わりに駆使するクランプ術が満載! クランプ使用例現場写真集

ひとりで作業する現場では、やっぱり助手がいればなあと思う場面はしばしば発生する。そんなときこそクランプの出番。クランプなら「重くないですか?」「お茶いれます?」など、気を使わずに、徹底的に使いこなすことができる。ここでは実際の現場で使われるクランプの使用例を紹介。

 

1、根太受けの組み立て

 

2、ひとりで横桟を取り付ける手順例

高い場所に横向きに材を打ち付ける作業の手順を紹介しながら、クランプの使い方を見ていく。こうしたエクステリアの現場では写真のような中型のグリップクランプか、中型のF型クランプが使われている。

 

3、パーゴラの組み立て

 

4、門柱上下の間隔を調整する

 

5、根太張り

 

6、ドアの板材をはぐ

 

7、高所の材の仮固定

 

8、カーブ用墨つけ定規を固定する

 

9、根太の高さを仮固定する

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*掲載データは2012年4月時のものです。

ひとりでDIYに励むお父さん応援企画!クランプ・万力徹底ガイド/万力の種類と使い方編

「ちょっとココ押さえてて」、「そっちもう少し持ち上げて」…、そんなことを気軽に頼める相方がおらず、切ない思いに駆られたことがあるDIYerは少なくないはずだ。

運がよければ、ものわかりのいい優しい奥さんや子供が手伝ってくれるかもしれないが、それだって、それぞれに予定もあるし、機嫌の良し悪しもあるし…。

ならばDIYerよ、ひとりでも不自由なく作業を楽しめる術を身につけようではないか!

まず知るべきは、クランプだ。そして、同士たちが編み出したテクニックだ。

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材をガッチリつかめ! 万力の種類と使い方

単純な工具ながら、ひとりDIYの工房にあるとないとでは、作品づくりの手順に大きな影響を与える。

万力はちゃんとしたものを手に入れれば、数十年は使える道具でもある。

 

木工用万力

バイスとも呼ばれる万力。まさに鉄の塊りといった道具だが、はじめは鉄工の道具として発展してきたので、無骨さは鉄工所向き。木工用の万力はつかむアゴが鉄工用より薄く、アゴには木の板か、木の板を取り付けるためのネジ穴が切ってある。

木の板が取り付けられない万力は鉄工用で、これで材を挟むと材をつぶしてしまうので、購入の際には木の板の保護材が見極めのポイントになる。アゴの長さが5cm程度のものから90cmもあるダブルハンドルの長大なモデルまで、バリエーションもある。

 

高速早締めバイス

 

平バイス

こちらも元は鉄工で穴あけをするとき、ボール盤のテーブルに置いて材を固定するための小型の万力。木工でもボール盤を使った穴あけでは、材を仮固定して、より正確な穴あけをするために使われる。

 

作業台兼用万力

簡易式の作業台として日曜大工に愛用される写真のような製品には、万力機能を備えたモデルもある。ハンドルを回すと天板が開き、ここに材を挟んで万力として使えるし、付属のブロックを天板上の穴にセットすることで、幅広な材にも対応できる。なんといってもホームセンターの店頭価格が1万円でお釣がくるという手頃さがうれしい。

 

スーパージョーズ

足踏みでアゴを動かし材を挟む大型の万力。締め付け力は1トンという強力なもので、丸太や枕木もつかむことができる。家具木工ではオーバークオリティー気味だが、エクステリアの木工では、ハードな作業もしっかりこなしてくれる。

 

ツインスクリューバイス

作業台の側面に取り付けるハンドルが2本付いた大型の万力。海外通販のキットで販売されている。2本のハンドルは同期させて回すこともできるし、別々に回すこともできるので、長い材はもちろん、少々テーパーのかかった材も締めることができる。

写真◎冨士井明史/インストラクター◎白井 糺

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*掲載データは2012年4月時のものです。

ひとりでDIYに励むお父さん応援企画!クランプ・万力徹底ガイド/クランプの使い方と種類編

「ちょっとココ押さえてて」、「そっちもう少し持ち上げて」…、そんなことを気軽に頼める相方がおらず、切ない思いに駆られたことがあるDIYerは少なくないはずだ。

運がよければ、ものわかりのいい優しい奥さんや子供が手伝ってくれるかもしれないが、それだって、それぞれに予定もあるし、機嫌の良し悪しもあるし…。

ならばDIYerよ、ひとりでも不自由なく作業を楽しめる術を身につけようではないか!

まず知るべきは、クランプだ。そして、同士たちが編み出したテクニックだ。

これで、ひとりDIYがますます愉快になること間違いなしだ~!

 

ひとりでも快適に木工を楽しむために
クランプ・万力を使いこなす

材同士を締めて仮固定したり、作業のために材を作業台に固定させる道具がクランプや万力。
使う状況に応じて小さなモデルから大きなモデルまであり、締め込む方法も多彩だ。

 

工房の壁の一角を占領するさまざまな種類のクランプ

 

写真のような形状のパーツのカンナがけでも、万力ならしっかり固定でき安定した作業ができる

 

木工に親しめば親しむほど、使用頻度が上がっていくのがクランプや万力。さまざまな作業で、材をしっかり仮固定することは大切なポイントで、いろいろな寸法の作品づくりをするたびに必要なサイズのクランプが増えていく。壁一面にクランプを収納しているベテランも少なくない。

クランプと呼ばれる道具には、使う目的や、サイズ、それに製造者のアイデアによって、バラエティー豊かなデザインがそろっている。その数はちょっとしたコレクションとしてもいいぐらい多い。実際、実用と趣味を兼ねて、サイズ別に違うデザインのクランプを買い足して楽しんでいるDIYerもいるほどだ。

クランプと並んで材を仮固定するのに活躍するのが万力。バイスとも呼ばれる万力は、作業台などに本体が固定され、材を挟んで締めて固定する。切断やカンナがけなど、材をしっかり固定して作業する必要がある場合に使われる。木工では木工用万力と呼ばれる、アゴに保護用の木の板をつけた、木工用のモデルを使う。

 

接着剤を使った組み立てはクランプ技の見せ所

 

エクステリアの木工でもクランプは大活躍

 

バリエーション豊かなクランプで木工を楽しむ
クランプの種類と使い方

デザインと使い方に、バリエーションが豊富なのもクランプの特長。材を締めるという単純な目的のためにさまざまなアイデアを詰め込んだ、いろいろなクランプが市販されている。

 

F型クランプ

ロックなしのF型クランプ。ホームセンターで一番よく見るタイプがこれだ

 

木工用クランプでもっともベーシックといわれるのが、F型クランプ。見た目がアルファベットのFに見えるのでF型と呼ばれている。

片方のアゴにネジがついていて、アゴを動かして大体の締め位置を決め、次にネジを締めて本締めするという使い方をする。使用できる幅が10cmから60cm程度でさまざまな長さがある。アゴがロックできるロック付きタイプと、ネジを締めることで摩擦力で軸にロックするロックなしのタイプがある。

 

C型クランプ

本来は鉄工、溶接用として作られている鉄製のクランプだが、シンプルで頑丈なので、木工でもよく使われ、価格も安い。

構造上あまり大きな開口が作れないので、木工でも開口幅5cmから10cm程度のものが、作品の細かな部分で使われることが多い。アゴが鉄製で小さいので、木工に使う場合は、アゴに当て木をして使うこと。

 

ピストルグリップ式クランプ

現在クランプの主流となりつつあるのが、ピストルグリップ式のバークランプ。リリーストリガーを引くとアゴが自由に動くようになり、材を挟んだらピストルグリップを数回握ると本締めできるという動きで材を仮固定できる。

家具作りはもちろん、片手で締めと緩めができるので、高所でも使いやすく、エクステリア木工の現場でもよく使われている。

開口幅のバリエーションは中型のモデルで30cmと60cmというものが多い。同型のモデルで大型と小型もラインナップされているので、クラフトから家づくりまで、いろいろな場面で使うことができる。

 

クランプでゆがみを修正しよう

 

リバース機能のあるクランプを利用する

 

スプリングクランプ

濯バサミ型のクランプで、クリップとも呼ばれる。樹脂製のものが多く、開口部をあまり広く設定できないので、比較的薄いものや小さいものの仮固定に使われる。

 

ベルトクランプ

額縁などの組み立てに使われるクランプ。角を押さえるブロックの数を増減することで、三角形から多角形に、ブロックを外せば円形や不定形を固定することもできる。

 

ハタガネ

伝統的に日本の指し物作りで使われるクランプ。開口は30cmから90cm程度まで腕の長さで何種類かある。アゴは小さいが、慣れるとシンプルな構造だけにけっこう使いやすい。

 

ウッドクランプ

こちらは、西洋の伝統的なクランプ。2本のネジを回して材を締める仕掛けは、最初は回す方向に戸惑うが、慣れれば問題はない。このクランプならではの木の雰囲気もよい。

 

コーナークランプ

角部分で2方向の材を直角に仮固定するクランプ。額縁の組み立てなどで便利に使える。あまり大きなものには使えない。

 

写真◎冨士井明史/インストラクター◎白井 糺

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*掲載データは2012年4月時のものです。

洗面台の排水パイプのメンテナンス方法を詳しく解説!/暮らしに生かすDIYメンテナンス(17)

歯磨き、手洗い、洗顔と毎日使う洗面台。長年使ってる間に、排水口から嫌な臭いが立ち上ってきたり、排水の流れが悪くなったりしたら、排水管の詰まりを疑いたい。

排水管は簡単な構造なので、ちょっと注意すれば、DIYでメンテナンスできる。リフレッシュした排水管で気持ちよく洗面台を使おう。

 

家庭の洗面台。下側にU字に曲がったトラップのあるタイプが今回の対象

 

<洗面台の排水パイプメンテナンスの手順>

  1. 止水栓を閉じる
  2. U字管の上側のナットを緩める
  3. U字管の下側のナットを緩める
  4. U字管のパッキングを検査する
  5. U字管の内部を掃除する
  6. 排水管の内部を掃除する
  7. U字管の上下ナットを締める
  8. 止水栓を開ける
  9. 水を流して排水の状態を確認する

 

排水管は洗面台から水が流れ落ちていく部分にUの字(Jの字)に曲がったトラップ部分(U字管)がついている。この部分に水を溜めて、排水管本管から上がってくる悪臭やゴキブリ、ネズミの侵入をシャットアウトしているのだが、曲がっている部分なので、知らない間にここに髪の毛や練り歯磨き粉、石鹸かすなどが堆積すると、水が腐って悪臭を発したり、除々に管が詰まって排水の流れが悪くなることがある。この部分をきれいにするだけで、悪臭や詰まりの問題は一発解消できる。

作業はトラップ部分を取り外して、管の内部を洗浄し、再び元に戻すだけなので、基本的な工具はトラップのナットを緩めるウォーターポンププライヤーと管内掃除用のブラシがあればいい。作業中に漏れた水を受けるバケツ、飛び散る可能性の高い汚水を拭く雑巾も用意しておくと安心だ。

U字管のナットは六角で対辺幅が36mm、43mmなどと太いので、ウォーターポンププライヤーも開口幅が十分なものを用意する。また口金がギザギザしているものは、ナットのメッキをはがし、傷つけてしまうので、口金はギザギザのない平らなタイプか、写真のような口金に樹脂のついたタイプを使う。ギザギザのものしかない場合は、口金にテープを巻いてナットを傷つけないように気をつけたい。

 

ウォーターレンチプライヤー(パイプレンチ)は開口が広く取れるようにデザインされたプライヤー。配管を傷つけないように、口金に樹脂のついたモデルを使った

 

パイプ洗浄用のブラシ。U字管の口から底まで届くものを使う

 

補助的に柄つきタワシがあると便利

 

水まわりの作業では基本となるのが止水栓を閉めてから作業をはじめること。排水管に直接関係ないがDIYでの安心感のためにも止水栓は閉めておく。

長年ほったらかしになっていたナットは、サビや水垢で固まって動かないことがある。CRC5-56など潤滑材を吹き、木づち、ゴムハンマー、プラスチックハンマーなどナットを傷つけないハンマーでナットを叩くと回るようになる場合が多い。

U字管のU字を抜けて向こう側まで届くパイプ掃除のブラシもあるが、かなり高価。実際の作業では、写真のようなパイプブラシで両側からU字の底までブラシをかければ、効果は十分ある。

 

<排水トラップのメンテナンス作業例>

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*掲載データは2012年10月時のものです。

マルチな使い方ができる!「ジグソー」活用の上級テクを徹底解説・後編/DIY工具使いこなし術(9)

切断用の電動工具としては、動きが穏やかで、手に触れにくいところに刃がついているので、初心者でも危険なく使えるDIYの入門用工具ととらえられることが多い。確かにそれは見識だが、使い方を工夫したり、選ぶモデルによっては、ベテランの片腕となる性能を発揮してくれるのもジグソーの実力だ。

*ジグソーの基本を解説した前編はコチラ!

 

ビギナーからベテランまでいろいろ使える切断用電動工具、それがジグソーだ

 

ジグソー用の直線切りジグを作る

フリーハンドでは切り線が墨線からぶれやすいが、ジグを手作りして、ジグソーが真っすぐにしか進めないように工夫すれば、安心して直線切りにジグソーを活用できる。厚さ3mm程度の合板やMDFボードを必要な長さ×幅30cm程度用意し、そこから左右2枚のフェンスを切り出す。このフェンスでジグソーのベースプレートを左右から挟み、両面テープで固定したら、ブレードを付けたジグソーを一度通して溝を切るだけの簡単な工作だ。

 

直線切りジグの作り方

 

直線切り用ジグを使う

 

メーカー製のジグもある

写真は、ボッシュ純正別売アクセサリーにラインナップされたPLS300というジグソーガイド。写真中央のスライドガイドにジグソーをセットして、スライドさせれば、簡単に直線切り、角度切りなどができる。最大切断幅は315mm、最大切断厚さは25mm、ガイド部は左右45度まで振ることができる。ボッシュの現行DIY用ジグソーに適応するが、ベースプレート幅があえばボッシュプロ用ジグソーでも使用できる。

ボッシュのジグソーに対応するPLS300

 

ジグソーはブレード交換でマルチ工具に変身

ジグソーは切断用電動工具の中ではブレードの交換が容易にできる。ジグソーを所有する人口も多いので、用途別にさまざまなブレードが開発されて販売されている。使いこなせば、DIYのいろいろな場面で活躍してくれる。

 

塩ビ管を切る

 

ゴム板を切る
鉄棒を切る

 

アクリル板を切る

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写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、ブラック&デッカー、ボッシュ

*掲載データは2012年4月時のものです。

曲線だけでなく直線切りもおまかせあれ!「ジグソー」の基本を徹底解説・前編/DIY工具使いこなし術(8)

切断用の電動工具としては、動きが穏やかで、手に触れにくいところに刃がついているので、初心者でも危険なく使えるDIYの入門用工具ととらえられることが多い。確かにそれは見識だが、使い方を工夫したり、選ぶモデルによっては、ベテランの片腕となる性能を発揮してくれるのもジグソーの実力だ。

 

ビギナーからベテランまでいろいろ使える切断用電動工具、それがジグソーだ

 

直線、カーブどちらも切れるのがジグソーのいいところ

ジグソーは、ベテランでもよく使う汎用性の高い工具だ。ただし、気持ちよくサクサクと切断を楽しむには、モーターの力がある程度以上のものを選ぶ必要がある。厚さ38mmある2×材を切るなら消費電力が500W以上あるものを選ぶと、軽快に切ることができる。主に厚さ20mm程度の材を切るなら消費電力は400Wのモデルでも大丈夫だ。

作動は家庭用のコンセントを電源にして、トリガースイッチを引くと始動する。このときロックボタンを押すと、次にトリガースイッチを引くまで動作状態でロックされ、連続切断ができる。

新型モデルのジグソーの多くにオービタル機能が搭載されている。オービタル機能とは、イラストのように、スイッチをオービタル機能に切り替えると、普通は上下に動いているブレード(刃)の動きに前方にしゃくり上げる動きが加わり、切断スピードを増すことができる。直線を切る場合、とくに縦挽き(木目に平行に切る場合)では、オービタル機能を使わないと、切断スピードはのろのろしたものになってしまう。ただし、カーブを切る場合、オービタル状態では、曲線が切りにくくなるので、カーブ切りではオービタル機能はオフにして使う。

丸ノコの場合は、刃が少なくとも長さ10cm程度材に沈んでいれば、直進安定性は確保できるが、ジグソーでは、ブレードを見れば分かるように、ブレードの前後の幅は6~7mmしかなく、フリーハンドで正確な直線を切るのはベテランでも難しい作業だ。そこで、ジグソーを使った直線切りでは、必ず写真のようなフェンスで、ベースプレートの直進がぶれないようにして切るのが基本となる。

より正確に、いつでも直線をきれいに切るためには、紹介しているようなジグソー用の直線切りジグを自作したい。このジグの作成時間は30分以内。使う道具はジグソーとドライバードリルかインパクトドライバー。それにブレード幅より太いドリルビットがあればOK。簡単で効果の高いジグなので、自分のジグソーに合わせて自作したい。

ジグソーには、木材以外の素材を切るためのブレードも市販されている。これらを使えば、DIYの幅を広げることができる。

 

ジグソーのブレードの取り付け例

ジグソーのブレードの取り付け方法は、メーカーによりいくつかの種類があり、同じメーカー内でも開発時期によって違いがある。取り付け方法によって使えるブレード、使えないブレードがあり、各自のジグソーで確認していただきたい。失敗のないブレード選びは、ジグソーと同じメーカーの純正品から選ぶのが一番だ。

現在ホームセンターに並ぶジグソーのブレードはこの2種類がほとんど。取り付け部分の形の違いで、上が一般型、下がボッシュ型と呼ばれる

<ブレード前で固定する例>

<ブレード側面で固定する例>

 

ジグソーの構え方・基本の切り方

ジグソーは本体のベースプレートから下に向けて直角にブレードが出ているので、作業中のブレードの様子を見るのは難しい。インジケーターのついたモデルの場合、それを墨線に沿わせて進めればいいが、ない場合は、ジグソーの真上からブレードを覗き込むようにし、ブレードが墨線にのっているか確認しながら切る。

 

曲線を切る

カーブ切りは、フリーハンドでは、ぶれて少々墨線からはみ出すこともある。それを防ぐには、ねじ伏せるとは大げさだが、機械は真っすぐ進もうとするので、手首に力の入りやすい位置に、立ち位置を変えながら、カーブを追いかけながら切るとズレは少ない。小さなカーブや穴を切るときは曲線切り専用のブレードを使うとよい。

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写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、ブラック&デッカー、ボッシュ

*掲載データは2012年4月時のものです。

暑さも雨もしのげる!屋根つきウッドデッキの作り方を図解で解説(5)屋根張り~壁つけ編

ウッドデッキを作るなら、あるいは既にデッキをお持ちなら屋根をつけて、雨天でも使える空間にしてみてはいかがだろうか。

さらに、ちょっとした壁をつければ、適度な開放感とプライベート感を両立する半野外空間が生まれる。

内でもなく、外でもない、風が通り抜ける居心地のいい場所。きっとそれは、ライフスタイルを変えてしまうほどに、効果的なスペースとなるだろう。

そして、そんな魅力的な空間は、十分、DIYで作ることができる。

方法はいろいろあるが、ここでは創刊以来14年にわたってノウハウを蓄積してきた本誌が、もっとも現実的と考える手順を、モデルケース図を使って詳しく紹介していこう。

*step1~2・根太の仮設置編はコチラ!

*step3~4・基礎と束柱の設置編はコチラ!

*step5~6・床板~桁の設置編はコチラ!

*step7~8・垂木と桁の続き~桟と幕板の設置編はコチラ!

 

 

<記事内ギャラリー>

 

Step9 屋根を張る

骨組みの上に屋根を張っていく。屋根材はいろいろあるが、ここでは中空ポリカを使用する。

アクリル板や標準タイプのポリカーボネート板など、平板状の屋根材なら、同様の手順で施工すればいい。

なお、波板状の屋根材を使用する場合は、骨組みに横桟を追加する必要がある(後述参照)。

 

屋根上の作業は合板に乗って行なう
合板などを敷き、その上に乗って作業すれば中空ポリカを傷めない

 

下列と上列が重なる部分をコーキングする
下列の中空ポリカに、桟に沿ってコーキングを施してから、上列を重ねる。下列と上列の重ね幅は200mmほどが目安

 

中空ポリカの継ぎ目をコーキングして上にアルミ板を張る

 

さらに防水に念を入れたい場合は、雨押さえを使う手もアリ

雨漏り対策を万全にしておきたいという場合には、雨押さえを追加してみては。雨押さえは、本来、戸袋や土台の上に雨が回り込むのを防ぐ資材だが、今回のケースでは家の壁と屋根材の接点のカバーとして、効果を発揮する。

 

やっぱり定番は捨てがたい!?
波板を屋根材に選ぶなら…

自作屋根や簡易的な屋根で使われる屋根材といえば、もっともポピュラーなのが波板。なんといっても安価なのが魅力だ。材質は塩ビ、ポリカーボネート、トタン、ガルバリウムなど、いろいろ選べる。

前述で触れたように、波板を屋根材に選ぶなら、骨組みに横桟を追加する必要がある。波板がたわむのを抑えるため、横方向にこまめにクギを打たなければならないからだ。

また、波板の場合は、形状的に、平板よりも壁との接点をコーキングするのが難しい。接点の上に2×4材などをかぶせ、その材と壁との接点をコーキングするなどして雨漏り対策をしよう。前述で紹介した雨押さえをつけるのも有効だ。

Step1 垂木の上に横桟を接合する

Step2 波板を張る

 

波板ミニカタログ

ひとくちに波板といってもいろんな種類があり、見た目も性能もさまざまだ。

 

Step10 壁をつける

最後に、あらかじめ立てておいた壁用の支柱と屋根の支柱に1×4材などを張り、簡易な壁とすれば、適度なプライベート感を得られるし、空間を演出するための素材としても使える。

さらに、壁をつけることで構造物全体の強度が上がるというのも重要な点だ。

高い位置まですき間なく板材を張っていけば、まさに壁のようになるし、低めにしたり、板と板の間にすき間を空けたりすれば、壁というよりもフェンスと呼ぶほうがふさわしくなる。そのあたりは、周囲の環境も踏まえてプライベート感と開放感のバランスを考慮したり、デザイン的な好みを反映させたりして決めるといいだろう。

壁をつけ終わったら、いよいよ完成。これからこの空間をどのようにアレンジするかは、オーナーのセンス次第だ。

壁アレンジ術ウォッチング

「さて、完成した半野外空間をどのようにアレンジしようか。とりあえずテーブルとチェアを持ち出して、照明を吊るして…」と、アイデアはいろいろ広がるに違いないが、そこで忘れちゃいけないのが壁。ぜひ壁を上手に活用して、居心地バツグンの空間を作ろう。というわけで、壁のアレンジ例を少しだけご紹介。

 

  • とにかく飾る
植物もオブジェも照明もプレートも、とにかくお気に入りのアイテムを飾りまくって、眺めているだけでうれしくなるような壁にする。板のすき間を少しあけ、そこにフックを引っ掛けているのがポイント

 

  • 棚をつける
柱を切り欠いて板を収め、棚を作る。プランターや小物を並べたり、ミニテーブル代わりに使ったり。もちろん切り欠きが難しければ、棚受けを使ってもいいし、ビスを斜め打ちして固定してもいい。同様の方法で、ベンチを作ることもできるだろう

 

  • キッチンをつける
壁を背板代わりにして、側板、前板、天板をつければ、作りつけの箱ができあがる。これだけでも収納や作業台として使えるが、さらに給排水の配管をして、天板に蛇口とシンクをつければ、キッチンの完成だ。ここまでやれば、もう無敵!?

 

*掲載データは2011年2月時のものです。

イラスト◎丸山孝広

暑さも雨もしのげる!屋根つきウッドデッキの作り方を図解で解説(4)垂木と桁の続き~桟と幕板の設置編

ウッドデッキを作るなら、あるいは既にデッキをお持ちなら屋根をつけて、雨天でも使える空間にしてみてはいかがだろうか。

さらに、ちょっとした壁をつければ、適度な開放感とプライベート感を両立する半野外空間が生まれる。

内でもなく、外でもない、風が通り抜ける居心地のいい場所。きっとそれは、ライフスタイルを変えてしまうほどに、効果的なスペースとなるだろう。

そして、そんな魅力的な空間は、十分、DIYで作ることができる。

方法はいろいろあるが、ここでは創刊以来14年にわたってノウハウを蓄積してきた本誌が、もっとも現実的と考える手順を、モデルケース図を使って詳しく紹介していこう。

*step1~2・根太の仮設置編はコチラ!

*step3~4・基礎と束柱の設置編はコチラ!

*step5~6・床板~桁の設置編はコチラ!

 

 

<記事内ギャラリー>

 

Step7 垂木と桁をつける

桁に垂木を接合する。もちろんビスの斜め打ちなどで接合する方法もあるが、ここではできるだけ簡単に強固な接合を行なうため、シンプソン金具を使った接合を紹介する。

シンプソン金具は2×材用の接合金具。さまざまな接合箇所に対応するよう、いろんな形状のものがラインナップされている。ウェブサイトの他、一部ホームセンターなどで入手可能だ。

垂木の長さは、柱側の桁より適度に張り出すように設定しよう。 垂木をつけてから、柱の内側の面に桁をつける。

<家側の桁と垂木の接合手順>

<柱側の桁と垂木の接合手順>

 

Step8 桟と幕板をつける

垂木の間に、屋根を張るための桟をつける。屋根材の継ぎ目になる位置に、垂木の間隔に合わせてカットした2×4材を接合していく。続いて、垂木の先端に幕板を接合する。これで屋根の骨組みの完成だ。

<桟の接合方法>

 

ちょっとハイレベル!切り欠きを使って屋根の骨組みを作る

各接合箇所に切り欠きを使えば、金具なしでも頑丈な骨組みが作れる。すっきりとして見栄えもいい。ただし、やはりそれなりに手間がかかるし、きれいに仕上げるにはある程度ウデも必要だ。匠の骨組みを目指して、挑戦してみよう。

Step1 垂木を接合する位置に合わせて家側の桁を切り欠く
Step2 垂木を接合する位置に合わせて柱側の桁を切り欠く
Step3 桟を接合する位置に合わせて垂木を切り欠く
Step4 各部材を組み、接合部をビスで留める

*掲載データは2011年2月時のものです。

イラスト◎丸山孝広

暑さも雨もしのげる!屋根つきウッドデッキの作り方を図解で解説(3)床板~桁の設置編

ウッドデッキを作るなら、あるいは既にデッキをお持ちなら屋根をつけて、雨天でも使える空間にしてみてはいかがだろうか。

さらに、ちょっとした壁をつければ、適度な開放感とプライベート感を両立する半野外空間が生まれる。

内でもなく、外でもない、風が通り抜ける居心地のいい場所。きっとそれは、ライフスタイルを変えてしまうほどに、効果的なスペースとなるだろう。

そして、そんな魅力的な空間は、十分、DIYで作ることができる。

方法はいろいろあるが、ここでは創刊以来14年にわたってノウハウを蓄積してきた本誌が、もっとも現実的と考える手順を、モデルケース図を使って詳しく紹介していこう。

*step1~2・根太の仮設置編はコチラ!

*step3~4・基礎と束柱の設置編はコチラ!

 

 

<記事内ギャラリー>

 

Step5 床板を張る

根太に床板を張る。

屋根のないデッキの場合は、デッキ上に雨がたまるのを防ぐため、わずかに間隔を空けながら張っていくが、今回は屋根つきという前提なので、間隔を空けなくても問題ない。もし間隔を空ける場合は、3~5mm程度がいい。それより広いと、ものを落としたり、子どもが指をひっかけたりするおそれがある。

柱と干渉する部分は、ジグソーやノコギリ、ノミなどを使って切り欠いて収めよう。

柱と干渉する部分の切り欠き方

 

床板は根太に沿ってビスで留める

端から1枚ずつ張っていく場合は、根太の位置を確認しながらビスを打てる。一方、あらかじめ全体的に床板を並べてしまい、チョークラインで根太の位置を墨つけして、一気に張っていくという方法もある。

先端の針を材の端にさし、糸を張った状態で持ち上げてはじくと、材に直線を墨つけできる

 

材が反っている場合はバールで矯正する

長さのあるSPF材は反りが激しいものも少なくない。その場合はバールを使い、テコの原理で反りを矯正しながら張っていく。

バールを使って板を寄せる

 

まず平らなデッキを作って後から柱を立ててもOK!
~または既存のデッキに屋根&壁をつける方法~

今回のモデルケースでは屋根や壁を支える柱を基礎石の上に直接立てているが、ひとまず平らなデッキを作って、その床の上に柱を立てる方法もある。柱と床面を金具で接合する方法だ。

この方法なら、柱の長さを計算する必要も、床板を切り欠く必要もなくなる。

また、既存のデッキに屋根や壁をつけることも可能になる。

というわけで、編集部がホームセンターなどで見つけた、柱の接合に使える金具を紹介。

 

パーゴラ支柱用金具。まず金具をビスで床面に固定し、金具に柱を固定する。90mm角用と75mm角用がある

 

フェンス後付け用金具。90mm角用。コーナー用とセンター用がある

 

バフクローム巾広金折れ。鉄製の補強金物。写真のように4個使い、柱を立てられる

 

Step6 桁をつける

柱と家の壁に桁をつける。桁の長さは、両端の柱より少し外に出るように設計するといいだろう。

まず、柱の外側の面に、柱と上端をそろえて桁を1本つける。

続いて、家の壁に桁をつける。屋根に雨流れの勾配をつけるため、柱につけた桁より高い位置につける必要がある。勾配は2%(1mにつき2cm上がる)~3%(同3cm上がる)以上あったほうがいいが、正確に測る必要はない。ちなみに、勾配が大きいほうが雨流れはよくなり、勾配が小さいほうが屋根張りの作業がしやすい。見た目の好みも判断材料にして、適当な高さにつけるといい。

ただし、垂木は、家側では桁と同じ高さに設置し、柱側では桁の上に載せるため、両方の桁の高さの差が、そのまま屋根の高低差にはならないことに注意しよう。

このあと柱の内側の面にも桁を1本つけるが、これは垂木を載せてから現物合わせで行なう。

防水のためにコーキングする

家の壁にビスを打つ場合は、そのためにあいた穴のわずかなすき間から水が浸入し、家の構造材を腐らせるおそれもあるので、コーキングしておきたい。ビスを打つ前に下穴をあけ、そこにコーキング(シーリング)剤を注入してからビスを打つと、ビスにコーキング剤がからんで密閉される。続いて、桁と壁の接点をコーキングしておけば万全だろう。

 

コーキング剤はカートリッジで販売されているので、コーキングガンという専用注入器にセットして使う。ガンの引き金を引くとコーキング剤が出る

 

 

壁の裏の柱を見つける方法

家の壁に桁をつけるには、柱がどこに立っているのかを知る必要がある。方法はいくつかあるが、どの方法が有効かは住宅の構造などによっても異なる。複数の方法を組み合わせて調べるのもいいだろう。柱の位置が1カ所わかれば、そこから455mmの間隔で隣の柱が立っていることが多いので、それを目安に見当をつけるといい。もし間違って柱のない場所に穴をあけてしまったときは、きちんとコーキングしてふさいでおこう。

 

方法1 下地センサーなどを使う

柱までの距離が短いはずなので、掃き出し窓近くの内壁側で柱の位置を知り、それを外壁に反映させればいいだろう。壁面に針を突き刺して柱を探す器具もあり、こちらはセンサーよりも安価だ。

下地センサー。壁面で徐々に横にずらしていくと、柱がある位置で点灯する
下地探し。柱がない場所では、針が突き刺さり、先端パーツが最後まで縮む。針が柱に当たると、そこで先端パーツの縮みが止まる。先端パーツの目盛りによって、壁から柱までの距離がわかる

 

方法2 掃き出し窓を手がかりにする

掃き出し窓の両わきには、大抵、柱が立っているはずなので、それを頼りに柱の位置を特定する。同様の方法として、室内のコンセントを手がかりにする方法もある。コンセントも左右のどちらかが柱に固定されていることが多い。

ここでは掃き出し窓のわきに柱があることを示すために下地センサーを使用しているが、掃き出し窓を手がかりに柱の位置の見当をつけるなら、特別な器具は必要ない

 

方法3 外壁のビス頭やクギ頭の位置を手がかりにする

サイディングなどを留めているビスやクギの頭が見えているところに、柱があることも多い。ただし、柱ではなく、サイディング用の下地材にビスやクギを打っていることもあるので、絶対ではない。

外壁材を留めているクギの頭が見える。この奥に柱がある可能性は高い

 

家の外壁に穴をあけたくない場合は……柱の上に桁を載せる

屋根つきデッキは欲しいけど、家の壁に穴をあけたりビスを打ったりするのには抵抗がある…。そんな場合は、家の壁側にも柱を立てて、その上に桁を載せるといい。

桁には柱と同じ4×4材を使い、接合金具やビスなどを使って柱に接合。柱と桁の間には、やはり4×4材を使って方杖と呼ばれる斜めの補強材を入れる。

続いて、桁の上に垂木を載せて屋根材を張り、屋根材と壁の接点をコーキングする。

桁を家の壁に直接留める方法に比べて、家の壁と屋根を密着させづらくなるため雨が漏る可能性は増すが、半野外である以上、いずれにせよ強雨の際の吹き込みなどは避けられない。多少の雨漏りは許容するのも現実的な選択といえるだろう。

むしろ、それ以上に見落としてはならないのが、桁を家の壁に留める方法に比べて、構造物全体の強度が落ちるということだ。この方法で製作するなら、ぜひとも頑丈な壁やフェンスをつけるなどして、柱の強度を高めたい。

*掲載データは2011年2月時のものです。

イラスト◎丸山孝広

暑さも雨もしのげる!屋根つきウッドデッキの作り方を図解で解説(2)基礎と束柱の設置編

ウッドデッキを作るなら、あるいは既にデッキをお持ちなら屋根をつけて、雨天でも使える空間にしてみてはいかがだろうか。

さらに、ちょっとした壁をつければ、適度な開放感とプライベート感を両立する半野外空間が生まれる。

内でもなく、外でもない、風が通り抜ける居心地のいい場所。きっとそれは、ライフスタイルを変えてしまうほどに、効果的なスペースとなるだろう。

そして、そんな魅力的な空間は、十分、DIYで作ることができる。

方法はいろいろあるが、ここでは創刊以来14年にわたってノウハウを蓄積してきた本誌が、もっとも現実的と考える手順を、モデルケース図を使って詳しく紹介していこう。

*step1~2・根太の仮設置編はコチラ!

 

 

<記事内ギャラリー>

 

Step3 四隅に基礎石と柱・束柱を設置する

根太の四隅の下に穴を掘り、砕石を入れて突き固め、羽子板つき基礎石を設置して、柱・束柱を立てる。

穴は広めに掘っておくと、柱・束柱が垂直になるよう調整する際に、基礎石を動かしやすい。砕石を突き固めるには、タンパーを使うと作業しやすい。

家から遠いほうの2本の柱の長さは、屋根の高さを基に決める。この2本の柱と上端がそろうように桁をつけ、その上に垂木を載せ、その上に屋根を張るから、思い描く屋根の高さから垂木の厚さを差し引けば、床面から上の柱の高さとなる。それに基礎石から床面までの高さを加えれば、必要な柱の長さをはじき出せる。

家側の柱のうち一方は、壁を張る際の支柱にするため、思い描く壁の高さに、基礎石から床面までの高さを加えれば、必要な長さがわかる。

家側のもう一方の束柱は、上に床板を張るので、根太の上端より10mm程度低くなるよう長さを決める。

 

 

羽子板つき基礎石と柱・束柱の設置手順

タンパーは自作も可能

地面や砕石を突き固めるために使う道具、タンパー。もちろん市販品は効果抜群だが、枕木など重量のあるものに持ち手として垂木などをつけた自作品でも代用できる。

自作のタンパー

 

市販のタンパー

 

柱の長さ=床面から上の高さ(自分で設定)+基礎石から床面の高さ(実測)

床面から上の高さは、自分が設定した屋根の高さや壁の高さから計算できる。基礎石から床面の高さは、実際に基礎石から根太の上端までの高さを測り、さらに床板の厚さを加えたもの。これらを合わせれば、必要な柱の長さとなる。

たとえば、屋根の高さが2200mm、屋根の下の垂木の厚さが89mm、床板の厚さが38mm、基礎石から根太上端までの高さが175㎜とすると、(2200ー89)+38+175=2324で、柱の長さは2324mmとなる。

基礎石から根太上端までの高さは、1カ所ごとに測る

 

Step4 すべての基礎石と柱・束柱を設置する

四隅以外の位置に基礎石(コンクリート平板)と柱・束柱を設置する。

束柱の間隔は600~1200mmが目安なので、それに合わせてまんべんなく配置する。

束柱の長さは、1カ所ごとに基礎石から根太上端までの高さを測り、それより10mmほど短くする。

なお、桁をつける2本の柱と同一線上に、壁の支柱となる柱を1本立てておく。

基礎石(コンクリート平板)と束柱の設置手順

 

ゆっくりコツコツ派はこちら!
根太を1本ずつ設置して土台を完成させる方法

ここまで紹介してきた土台作りの方法は、まず根太を組んで、一気に全体の水平を出すという、いわば力技。早さは抜群だが、デッキの面積が巨大な場合や人員が少ない場合には、やりづらいかもしれない。

そこで、土台作りの方法をもうひとつ紹介しておこう。根太を1本ずつ設置していくので、少人数でコツコツ作業するには適した方法といえる。最初に施工する家側の列だけ先に基礎石と束柱を設置するが、あとはやはり根太を基準にして基礎石と柱・束柱を設置していく。

なお、この方法では、最初に設置する列のみ、すべて羽子板つき基礎石を使用したほうが作業しやすいだろう。

 

Step1 家側の列に基礎石と束柱を設置後、根太を水平に仮留めして墨つけする

Step2 根太と束柱をいったんはずし、墨線に合わせて接合する

Step3 再び束柱を基礎石に固定、長い柱と基礎石を設置する

Step4 2本目の根太を水平に仮留めする

Step5 2本目の根太に柱・束柱と基礎石を設置する

Step6 同様にして残りの根太を組み、柱・束柱と基礎石を設置する

*掲載データは2011年2月時のものです。

イラスト◎丸山孝広

暑さも雨もしのげる!屋根つきウッドデッキの作り方を図解で解説(1)根太の仮設置編

ウッドデッキを作るなら、あるいは既にデッキをお持ちなら屋根をつけて、雨天でも使える空間にしてみてはいかがだろうか。

さらに、ちょっとした壁をつければ、適度な開放感とプライベート感を両立する半野外空間が生まれる。

内でもなく、外でもない、風が通り抜ける居心地のいい場所。きっとそれは、ライフスタイルを変えてしまうほどに、効果的なスペースとなるだろう。

そして、そんな魅力的な空間は、十分、DIYで作ることができる。

方法はいろいろあるが、ここでは創刊以来14年にわたってノウハウを蓄積してきた本誌が、もっとも現実的と考える手順を、モデルケース図を使って詳しく紹介していこう。

 

 

<記事内ギャラリー>

 

Step1 根太(床の下地)を組む

まず、床=デッキを作る。

デッキを作るというと、地面の整地から始めて基礎→束柱→根太というように、下から上へと作業を進めなければならないと考えるかもしれない。しかし、もともと水平ではない地面の上に水平なデッキを作るには、この手順では非常に手間がかかる。

それより、先に根太を組んで、設計した高さに水平に仮置きし、それに合わせて束柱と基礎を設置したほうが、作業が早い。

そのため、最初に行なう作業は根太を組むことだ。

デッキの面積にもよるが、組み上がった根太を運ぶため、人員が4人いると申し分ない。

 

 

コーススレッドの基礎知識

コーススレッドはビスの一種で、ネジ山のピッチが比較的大きく、締め込みやすいのが特長。今回のモデルケースにおける接合作業は、特記のない限り、コーススレッドを、ドライバービットを装着したインパクトドライバーで締め込んで行なうのが作業性がよく、おすすめだ。

厚さが38mmの2×4材、2×6材を使ったデッキ作りでは、材の厚さの2倍に近い65mm、75mm程度のものを使うといい。壁材に厚さ19mmの1×4材を使うなら、38mm程度のものが適している。材質はメッキを施した鉄が一般的。予算に余裕があれば、ステンレス製が錆びにくくていい。

上から75mmステンレス、75mmユニクロメッキ、65mmユニクロメッキ、38mmユニクロメッキのコーススレッド

 

木材の基礎知識

木材は、インチ単位で規格化された2×材が使いやすい。1×4材は木口(断面)が約19×89mm、2×4材は38×89mm、2×6材は38×140mm、4×4材は89×89mm。モデルケースでは、根太、床板、桁に2×6材、垂木、桟、幕板に2×4材、柱、束柱に4×4材、壁に1×4材を使用している。

樹種については、SPFがもっとも安価で、大抵のホームセンターで販売されていて入手しやすい。やわらかく加工しやすいのも利点だ。ただし、耐久性は低いので、最初にしっかりと塗装するのはもちろん、定期的に再塗装してできるだけ長持ちさせたい。束柱や根太など地面に近い部分には、あらかじめ防腐処理が施されたものを使うのもいいだろう。

SPFより耐久性が高いウエスタンレッドシダーも、加工性がいいソフトウッドで、デッキ材として定番だ。

塗装不要なほどに耐久性が高いのが、サイプレス、ウリン、イペ、セランガンバツーなどのハードウッド。2×規格ではないが、デッキ材としてそれに近いサイズで販売されている。硬いため、加工しづらい面もあり、ビスを打つにはあらかじめ下穴をあける必要がある。

また、最近では上記以外の樹種や人工デッキ材なども目立つようになり、選択肢が広がっている。

 

SPFの2×材の木口。他に1×6材(木口サイズ約19×140mm)、2×8材(38×184mm)、2×10材(38×235mm)などさまざまなサイズがある

 

Step2 根太を仮置きする

組んだ根太を、設置場所に仮置きする。

基礎石やコンクリートブロックなどを下に置いて、根太を仕上がりの高さに持ち上げる。その際、根太の上に床板の厚さが加わることを計算に入れておくこと。

根太がほぼ思い通りの高さになったら、次は水平になるよう調整する。根太の上に水平器を置いてチェックしながら、端材で作ったクサビを根太の下にはさんで微調整していく。

なお、この作業の後、根太の四隅の下に穴を掘って基礎石を設置するので、ここでは四隅付近には基礎石やコンクリートブロックを置かずに空けておく。

根太の高さを決める際は床板の厚さが加わることを忘れずに

床面の高さは、掃き出し窓の水切りの下にちょうど収まるぐらいか、それよりやや低く設定するのが一般的。

 

塗装の基礎知識

SPF材を使う場合は、必ず塗装して耐久性を高めよう。

使用する塗料は、「木部」および「屋外用」と表記されているもの。その中で、水性か油性か、そしてステイン系かペンキ系かを選ぶことになる。それぞれ、どちらを選んでも問題ないので、好みを生かせばいい。

水性は溶剤が水で、油性は溶剤がシンナー、アルコールなどの油性のもの。扱いが手軽なのは水性だ。

ステイン系は木材に浸透し、内側から木を保護する。一方、ペンキ系は木材の表面に塗膜を作り、表面で木を保護する。そのため、見た目でも、ステイン系は木目を生かし、ペンキ系は木目を隠すという違いが出る。

塗装のタイミングは、完成後だと、ちょっとしたすき間や隅など塗りにくい部分ができる。その上、色を塗り分けるとなるとマスキングが必要になるなど手間が増える。組み立て作業に入る前に、材を作業台に並べて一気に塗ってしまうほうが効率がいいだろう。ただし2度塗りをする場合は、製作前と完成後に1回ずつ塗るのが一般的だ。

 

組み立て前に、作業台に材を並べて一気に塗装する。ハケで塗る他、ウエスで拭き込むようにして塗り広げるのも有効な方法

 

塗装した材を切断した場合は、あらためて木口を塗装する

 

*掲載データは2011年2月時のものです。

イラスト◎丸山孝広

夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(3)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

*ピザ窯・パン窯の基本とPOINT1・2はコチラ!

*ピザ窯・パン窯の形状や煙突などのPOINT3・4はコチラ!

 

<記事内ギャラリー>

 

POINT5 断熱層

とりあえずピザやパンが焼ければOKなら、耐火レンガでひと周り囲んだだけの窯で問題ない。

ただ、より長時間、窯料理を楽しみたいなら、さらに、その外側に断熱層を設けて、蓄えた熱が逃げにくくするといい。冷めにくい窯は、ひと晩おいても使えるほどだ。

断熱層の資材に求められる耐火性は、窯内部ほどシビアではなく、普通レンガを使用するケースが多い。

また、外壁を普通レンガで仕上げ、その内側に砂や小石、割れたレンガなどを詰めたり、あるいはすき間を設けて空気層にしたりして、断熱層をより分厚くする方法も見られる。

 

Kさん製作の窯を上から見た状態。耐火レンガで作った窯内部と赤レンガで作った外壁の間に砂を詰めて、断熱層としていることがわかる

 

窯内部からすき間をあけ、外側に赤レンガを積んで仕上げた。そのすき間も断熱のための空気層として機能している(山梨県・Hさん製作)

 

耐火レンガの外側に粘土を塗って断熱性を高めた。粘土層の中には使い古しのナベやヤカンを詰め、かさ上げしている(Oさん製作)

 

POINT6 扉

窯が温まり、食材を入れたら、窯口をふさいで熱が逃げないようにする。ピザなら窯口をふさがなくても焼けるが、パンを焼く場合は必ずふさぐ。

最も手軽なのは、耐火レンガや鉄板で窯口をふさぐ方法。窯を使用するときの作業性や、見た目にこだわるなら、扉をつけるといい。

扉は、鉄板を加工して作ったものが定番だ。本格的でかっこよく、耐火性も問題ない。

DIYで鉄製扉に挑戦するのも面白いが、道具ぞろえも含めて敷居が高いと感じるなら、扉の製作だけは鉄工所に頼むというのも現実的な選択といえる。

 

窯口の形に合わせて鉄板で枠を作り、その枠に蝶番を介して扉をつけている。扉に温度計を差し込めるようにすれば、温度管理が容易になる(前出・Kさんの友人製作)

 

窯口部分の耐火レンガに鉄枠をかぶせている。床の耐火レンガは鉄枠施工後に敷いたもの

 

あらかじめ耐火レンガの目地に蝶番の一部を埋め込み、その蝶番を介して扉をつけている(前出・Oさんの友人製作)

 

窯口の形状に合わせ、耐火レンガを加工して作った扉(Sさん製作)

 

耐火レンガを並べて窯口をふさげば扉代わりになる

 

POINT7 土台

窯は、ピザやパンを焼くときに作業しやすいように、適当な高さに設定しよう。低すぎる窯は思いのほか不便なので、土台を設けて腰あたりに窯口がくるようにしたい。

土台は、コンクリートブロック(重量ブロック)で作るケースが多い。表面を塗り壁材で仕上げれば、デザイン性が上がる。また、強度を保つ程度にすき間をあけておけば、薪や道具の置き場として活用できる。窯より広めに作れば、作業台や食材置き場になる。

なお、窯の重量は数百㎏に及ぶことも珍しくない。そんな場合は、土台の下に頑丈な基礎を打っておくと安心だ。

 

重量ブロックを3段積み、コンクリート平板を載せた土台。塗り壁材で仕上げ、窯の雰囲気にマッチしている。すき間は薪置き場として活用(木村グリーンガーデナー&ドゥーパ!編集部製作)

 

自然石を積み重ねた土台。手間はかかるが、ナチュラルな雰囲気で人気が高い(鹿児島県・Mさん製作)

 

食材などが置けるよう、窯の手前を広くした土台。重量ブロック3段積みの上に、型枠にモルタルを流し込んで固めたものを載せた。モルタルの中にはワイヤーメッシュを入れている(京都府・Tさん製作)

 

ケヤキの丸太を大胆に使った土台。土台のデザインでオリジナリティーを出すのも面白い(Iさん製作)

 

POINT8 屋根

窯の上には、屋根を作りたい。雨で濡れた窯は、使用時に温めるのに時間がかかる。それに、もし使用中に雨が降ってきたら、屋根のない窯は冷えてまともに使えなくなるし、食材の片づけなどにも不便だ。

また、繰り返し雨で濡れた窯は、耐久性が低くなる。レンガ類は水濡れと高温の状態を繰り返すことでもろくなり、粘土などは一度の雨で崩れることもある。

屋根のシンプルな作り方は、四隅に柱を立て、柱に桁と垂木をつけて屋根材を載せるというもの。要は、窯が雨で濡れるのを防ぎ、十分な強度があることだ。

さらに、屋根の下に道具を収納できるようにするなど、工夫するのも面白い。

 

窯を覆うように作った屋根。骨組みは足場用の細い丸太、屋根材はスギ板を使用。柱にフックをつけるなどして、道具をうまく収納している。薪置き場としても活躍(千葉県・Yさん製作)

 

まさに必要最小限の屋根。廃材を利用した柱は、土台のブロックにボルトで固定。そもそも高さがないので、さほど強度を心配する必要もない。手軽な屋根作りのお手本だ(新潟県・Fさん製作)

 

トタンの波板で壁を張り、もはや小屋と呼ぶ方がふさわしい。ここまでやれば少々の雨でも快適にピザパーティーを楽しめるだろう(千葉県・Nさん製作)

夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(2)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

*ピザ窯・パン窯の基本とPOINT1・2はコチラ!

 

<記事内ギャラリー>

 

POINT3 ドーム型か、アーチ型か、スクエア型か?

 

窯は、内部の形状によって空気の流れが変わり、薪の燃え方、熱の回り方が変わる。つまり、ピザやパンの仕上がりに影響を及ぼすことになる。

が、それはあくまで「突き詰めれば…」の話。形に関わらず、窯で焼いたピザやパンは十分においしいはずだ。大まかな焼き具合なら、薪やオキ火の位置によって調整することもできる。

ちなみに理想は、横から見て丸く尻上がり、上から見ると滴のような形状だといわれている。粘土を使えば可能だが、耐火レンガで作るには難しい形だ。

 

ドーム型
耐火レンガをドーム型(半球型)に組んだ窯。壁、天井の各部から中心までの距離が均一なので、ムラの少ない焼け具合になる(兵庫県・Kさん製作)

 

ドーム状の型を合板で作り、その型に合わせて、カットした耐火レンガを並べていく

 

ドーム型に組むには、耐火レンガひとつにつき、3面をカットする。スライド丸ノコがあれば比較的作業が速いが、それでも手間はかなりのもの。なお、レンガや石材のカットはディスクグラインダーでもできる

 

アーチ型
上部が半円状のため、熱が回りやすいアーチ型。DIYでは最もポピュラーなタイプ。壁を積み上げ、天井をアーチ状に組む。ここでは手前の列にはアーチ用の扇形レンガを使い、奥の列には標準形のレンガをそのまま使用。扇形の目地は真っすぐになり、標準形の目地は上が広がる

 

アーチ状(カマボコ状)の型を作り、さらに目地分のスペーサーを合板などで作って並べていけば、アーチ型に組める。組み終わったら、目地に耐火コンクリートを流し込みながら、スペーサーを抜いていく(神奈川県・Mさん製作)

 

スクエア型
四角い箱のような単純な形。これでも十分にピザやパンが焼ける(木村博明さん&ドゥーパ!ワークショップ参加者製作)

 

幅が広い耐火材を壁の上に渡せば完成。実に簡単だが、薄いと割れやすいので注意。二層式窯の上段の床と同様の資材を使うといい

 

DIYで作る窯のほとんどは、ドーム型、アーチ型、スクエア型のいずれかに分けられる。

この中では、ドーム型が熱の回りがいい。ただし、作るのは最も大変なはずだ。ドーム型の木型を作り、レンガをひとつずつ加工するという手間がかかる。

アーチ型も標準形の耐火レンガを使えば、ドーム型と同様の手順で作ることになる。ただドーム型ほど複雑な形状ではないので、比較的作業は楽だ。さらに、もともと扇形をしたアーチ用の耐火レンガも販売されているので、それを使えばグッと手軽になる。

スクエア型はもっとも単純。前項で紹介した二層式の上段の床と同じように、板状の資材をのせて天井を作ればいい。

どの形状にもいえるのは、窯口を小さくすれば熱が逃げにくいということ。

とはいえ、小さ過ぎると、空気の流入が少なくなって薪が燃えにくくなる(煙突をつければ解消できる)。また、ピザやパンだけでなく、ピール、トレー、ダッチオーブンなど、出し入れするもののサイズも考慮しなければならない。

なお、窯本体のサイズは、ピザ、パン、ダッチオーブンなどのサイズから見当をつければいいが、大きいほど温まるまでに時間がかかり、小さいほど薪が燃えにくくなるということは知っておこう。

 

窯口を小さくする場合は、カットして形状を合わせた耐火レンガを、耐火コンクリートで接着する。耐火コンクリートが硬化するまで、クランプなどで押さえて固定する

 

POINT4 煙突

窯に煙突があれば、空気の流れがスムーズになり、薪がよく燃え、煙の抜けもいい。

煙突は細め(100~150mm程度)で、真っすぐ立ち上がっているほうが、空気の流れが強くなり、薪が燃えやすい。

煙突がうまく働けば、窯口が小さくても薪が燃えるため、熱が逃げにくい窯を作ることができる。

熱が逃げにくい窯を目指すなら、煙突にはダンパーを装備したい。ダンパーは煙突を遮断する板のこと。薪を燃やす間は開放して空気を流し、窯が温まったら遮断して熱が逃げるのを防ぐというわけだ。

もともと空気をよく取り込み、薪がしっかり燃える窯なら、窯口から煙が出ることにはなるが、必ずしも煙突は必要でない。

 

資材の選択が面白い煙突。本体は2本の土管を連ねて耐火セメントで接着。土台は穴あきレンガで、笠はボウル。薄いレンガを抜き差ししてダンパーとしている(栃木県・Iさん製作)

 

DIY窯の煙突資材で最もポピュラーなのは、薪ストーブ用の煙突。簡単に組み立てられ、安価なのが魅力。あらかじめ窯に開口部を設けておき、煙突を差し込んで、耐火コンクリートなどで固定する(京都府・Hさん製作)

 

窯の天井に開口部を設け、耐火レンガで簡単に囲っただけの煙突。ダンパーは耐火レンガをスライドさせるだけ。とても単純だが、立派に役目を果たしている(長野県・Sさん製作)

 

煙突側面の目地部分に鉄板と鉄筋で作ったダンパーを差し込んでいる。レンガを積んで作る煙突は、手間はかかるが、窯との一体感があって完成度が高まる。雨が入りにくいよう、煙の排出口を側面に設けていることに注目(千葉県・Mさん製作)

イラスト◎丸山孝広

夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(1)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

 

<記事内ギャラリー>

 

introduction 窯を作る前に知っておきたい基本のトコロ

Q.どうして窯で焼いたピザやパンはおいしいのか?

対流熱と遠赤外線で焼くから、おいしいんです

 

これでおいしいピザやパンが焼けるのは、窯が温まると、ふたつの効果が生まれるから。

ひとつは、窯内部に熱風の対流(対流熱)が生まれること。その対流がピザやパンを一気に包み込んで、うまみや水分を逃がさずに効率よく焼き上げる。

もうひとつは、熱を蓄えた窯(耐火レンガなど蓄熱する材)が、遠赤外線(輻射熱)を出すこと。なんと遠赤外線は、ピザやパンに浸透して、内部から加熱をする。

このように、ピザやパンの外側は対流熱によって、内側は遠赤外線によって同時に加熱することで、外はパリパリ、中はふっくらモッチリのおいしいピザ、パンが焼けるのだ。

以上のことから言えるのは、とにかく耐火レンガなど蓄熱性のある資材できっちりと囲めば、その空間は、おいしいピザやパンが焼ける窯になるということ。

そう考えると、窯作りのハードルはグッと下がるはずだ。

さぁ、窯の設計に取りかかろう。

 

 

こんなカンタンな窯だってしっかりピザ、パン焼けるんです

このページで説明している通り、窯って、とても単純なもの。その証拠に、こんなにカンタンに作れる窯でも、おいしいピザ&パンが焼けるのだ。まずは、超お手軽に窯ライフを始めてみますか?

 

千葉県のNさんが製作したドラム缶窯。耐火レンガで作った窯も所有するNさんだが、「ピザを焼くだけなら実はドラム缶窯のほうが速くて便利です。ちょっとスモーキーになりますけどね」とのこと

 

 

以前、編集部で製作した超カンタン窯。20個の耐火レンガを並べて床と壁を作り、天井にはバーベキュー用の鉄板を載せただけ。これで、おいしいピザもパンも焼けちゃいました

 

耐火レンガ32個と天井用の大谷石2枚を積み木のように重ねるだけで窯にした例

 

扇形の耐火レンガ30個と標準形の耐火レンガ10個を使って、アーチ型の窯を作った例。耐火レンガの数を増やしてアレンジするのも簡単

 

POINT1 主要資材は耐火レンガ

火が直接当たる窯内部には、耐火性のある資材を使う。石や粘土でもいいが、圧倒的にポピュラーなのは耐火レンガ。入手しやすく、定形なので設計・組み立てにも都合がよく、洋風なルックスも人気がある。なお、普通レンガも焼成されたものではあるが、高温に長時間さらされると割れることがあるので、避けるのが無難。

 

フランスレンガという名称でホームセンターで販売されるフランス産耐火レンガ。ふぞろいな焦げ跡はデザインにも活きる。サイズは約220×105×54mm

 

耐火レンガは普通レンガよりやや大きいものが多い。耐火性能を刻印しているものもある。SK-32は耐火性能が1200度くらい、SK-34は1400度くらいということを表す。写真は約230×114×65mm

 

長さが半分の耐火レンガ。約115×114×65mm

 

厚さが半分の耐火レンガ。約230×114×30mm

 

ひとつずつ形も色も違うアンティーク耐火レンガ。できあがった窯もアンティークな雰囲気になること間違いなし。サイズは約220×110×65mm

 

耐火レンガの接着(目地)にはコテ塗り用の耐火コンクリート(キャスタブル、不定形耐火物ともいう)または耐火モルタルを使う。普通モルタルは、高温にさらされると割れてしまう。

耐火コンクリートは、通常のセメント同様に、水で練って施工し、常温で1日おけば硬化するので扱いやすい。なお、コテ塗り用ではない骨材の大きいタイプは、目地には適さない。

耐火モルタルは、高温で加熱するまで硬化しない熱硬性タイプが一般的。800℃程度で熱しないと硬化せず、硬化後でも水に弱いため、ピザ&パン窯には使いにくいのが実情だ。使用する場合は、普通セメントを15~20%程度混ぜると多少施工しやすくなる。

 

耐火コンクリート、アサヒキャスターCA-13T。25㎏入り

 

耐火コンクリート、イワキキャスタブル(コテ塗り用)。25㎏入り

 

耐火モルタル。25㎏入り

 

POINT2 単層式か、二層式か?

ピザ&パン窯では、単層式か二層式が一般的。

作るのが簡単なのは単層式だ。天井をどんな形状にするかが、製作上のポイントになる。

単層式の場合、ひとつの床で、薪を燃やす火床と、ピザやパンを置く焼き床を兼ねる。

一方、二層式の場合は、下段は火床、上段は焼き床と分けられるため、ピザ、パンを焼きながら薪を燃やして温度を上げることができる。あるいは、上段を火床兼焼き床とし、窯が温まったら下段にオキ火を移して上段でピザ、パンを焼くという使い方をすれば、オキ火を外にかき出す場合に比べ、より長く窯内部を高温に保つことができる。

二層式を作る場合は、上段の床をどう作るかがポイントだ。標準サイズの耐火レンガを空中に並べて作るのが難しいことは、容易に想像できるはず。

現実的なのは、左右の壁に渡せるサイズの材料を使うこと。もちろん耐火性のある資材だ。たとえば、600×300mmなど大判の耐火レンガ、大谷石、耐火コンクリートで自作した板が挙げられる。

 

300×600×65mmの耐火レンガを前後に2枚並べて床にした窯(茨城県・Fさん製作)

 

なんと三層式の窯。上2段の床はどちらもアサヒキャスターCA-13Tで作っている(Iさん製作)

 

全体的に赤レンガで覆った窯だが、上段の床に大谷石を使っていることがはっきりとわかる(岐阜県・Kさん製作)

 

二層式窯の上段の床にはコレがイイ

超カンタン!並べるだけで床が作れる

大判で厚みのある耐火レンガや大谷石を、左右の壁に渡して並べれば、簡単に床を作れる。

 

約900×300×120mmの大谷石

 

約600×300×65mmの耐火レンガ

 

わがまま設計OK!都合のいい寸法で床が作れる

前項で紹介した耐火コンクリートで板を成形し、床として使うことも可能だ。板の広さにもよるが、厚さは60mm以上あれば割れにくいだろう。

イラスト◎丸山孝広

蛇口の水漏れの修理方法を詳しく解説!/暮らしに生かすDIYメンテナンス(16)

蛇口の先からぽたりぽたりと止まることなく続く水漏れ。イライラするし、長引けば水道代にも影響あり。作業前の止水をきちんと行ない、水道管内の水を抜いておけば、作業自体は簡単なもの。使う道具も簡単なものだけでメンテナンスできる。自分でやれば200円。

 

洗面台の場合はシンク下に止水栓があることが多い

 

<蛇口の構造>

 

今回は蛇口を閉めてもぽたぽたが止まらない蛇口からの水漏れをDIYでメンテナンス。

いくらハンドルを閉めても、蛇口の口からぽたぽたと水が止まらない場合は、蛇口の中で、開閉や水量を調節するパッキンとなるコマ(ケレップというのが本来の名称)がへたっているためで、これを新しいものに交換する。

水道関係のメンテナンスでは、まず水を止めてから作業を開始すること。水を止めるには止水栓というバルブを閉めて、水の流れを止める。

止水栓は戸建ての住宅では、屋外の母屋寄りの地下に、ケースに入って納められている。集合住宅では戸別の玄関近くにある配管スペースの中にある。洗面台、キッチンのシンクでは洗面台の下に止水栓があることも多い。

 

止水栓の状況。これは戸建住宅の例

 

これは集合住宅の例

 

止水栓を完全に閉めて、水を止めたら蛇口のハンドル下にあるパッキング押さえを緩めて、ハンドルごとスピンドルを取り出す。パッキング押さえを緩めるには、ウォーターポンププライヤーやカランレンチといった水道工事専用の、かみ合わせ部が平なレンチを使うが、家庭にあるプライヤーやペンチを使う場合はかみ合わせ部にガムテープを巻いたり、ゴム板などをあてがい、パッキング押さえを傷つけないように作業する。

パッキング押さえを緩めたら、蛇口本体からハンドルごとスピンドルを取り外す。スピンドルを取り外した穴からへたったコマをつまみ出し、新しいコマと交換する。まれに、スピンドルにコマがくっ付いて出てくることもある。

コマは家庭用のものなら、ほとんどが13用というタイプで大丈夫だが、念のため本作業前に一度今の手順で分解してコマを取り外し、コマを持ってホームセンターで現物合わせで確認してから購入するのが安全だ。

蛇口本体に新しいコマを差し込んだら、スピンドルを戻して、パッキング押さえを戻して締める。ここは締めすぎるとハンドルが回せなくなるし、緩いとパッキングから水漏れするので、あんばいが大切だ。ハンドルを回しやすく、水漏れもない状態で固定する。最後に止水栓を開けて、蛇口を開け閉めして具合がよければできあがり。

 

使う道具は口金の平らなモンキーレンチ、ピンセットの2点

 

コマ(ケレップ)の例。左が節水コマ、右がゴムパッキン付きコマ

 

パッキング押さえを傷つけないように口金にギザギザのない工具を使う(上)モンキーレンチ、(下)片口スパナ

 

<蛇口内のコマ(ケレップ)交換手順>

  1. 止水栓を閉じる
  2. 水の停止を確認
  3. パッキング押えを緩める
  4. 蛇口本体からスピンドルを引き出す
  5. コマを取り出す
  6. コマを交換する
  7. スピンドルを戻す
  8. パッキン押さえを締める
  9. 止水栓を開く

 

洗面台の蛇口の水漏れ修理の例

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年8月時のものです。

アルミサッシ網戸の網交換はDIYで簡単にできます!/暮らしに生かすDIYメンテナンス(15)

アルミサッシ網戸の交換は業者に依頼すると、都内で1枚1800円からというのが現在の相場。これをDIYでやれば、最初の1枚は専用ローラーなどの工具代も含まれるので1枚1000円程度になるが、2枚目からは網と押さえのゴムの代金だけなので1枚500円程度で交換できる。自分でやればセーブ・マネー。これこそお得で楽しいDIY。

 

<アルミサッシ網戸各部名称>

 

<網戸交換作業の主な手順>

  1. 古い網を押さえている網押さえゴムをはずす
  2. 古い網をはずす
  3. 大きさを合わせて新しい網を枠に置く
  4. 一方の長辺(イラストのA)の網を網押さえゴムで押さえる
  5. 向かいの長辺(イラストのB)の網を網押さえゴムで押さえる
  6. 一方の短辺(イラストのC)の網を網押さえゴムで押さえる
  7. 向かいの短辺(イラストのD)の網を網押さえゴムで押さえる
  8. 周囲にはみ出した網を切り取る

 

アルミサッシ網戸の網は、サッシ枠の溝に専用の網押さえゴムで張られているだけなので、道具をそろえ、基本的な作業手順を覚えてしまえば、誰でもDIYで交換ができる。実際に自分で1回交換を体験して、手加減をつかめば、2回目からは、どんなサイズのアルミサッシの網も交換ができるようになる。

作業の大きな流れは、古い網押さえゴムをはずし、網をはがし、新しい網を張り、新しい網押さえゴムで固定すれば、交換は完了する。作業中の細かいポイントは左ページの写真で説明する。専用の工具は網戸用ローラーで、ホームセンターで300円程度。ほかの工具は下の写真のように、どこの家庭にも常備される一般的なものばかりだ。

古い網をはずすには、網押さえゴムを引っ張り出してはずせば、ぱらりと網ははずれる。このとき網押さえゴムは2分の1周ずつ2本取れるので、同じ長さで新しい網押さえゴムも2本用意する。網をはずした溝は古い歯ブラシなどで掃除しておくとよい。

古い網をはずした開口部に新しい網をかぶせ、あまりピンと張らずに、溝から3~10cm外側で、開口部に沿って網を切り分けておく。

溝の線と網の線を合わせたら、網が3~10cmはみ出すようにして、網を網押さえゴムで押し込むように溝にはめていく。網押さえゴムでの固定はまず両長辺からはじめ、次に残った短辺を押さえていく。まだ網が固定されていない長辺に網押さえゴムをはめるときは、網を押さえてくれる助手がいると作業がはかどるが、いないときには、写真のようなクリップで軽く押さえるとやりやすい。

長辺と短辺のすべての網押さえゴムを固定したら、枠の内側にカッターを当て、枠の立ち上がりに沿って余分な網を切り取れば、できあがり。

 

<使用した道工具>

左上から時計回りに、メジャー、目玉クリップ、歯ブラシ、網戸用ローラー、カッター、ハサミ

 

交換用の網と、網押さえゴムは事前に用意する。網は張ってある状態より、天地、左右が5~10cm以上大きいものを用意する。網押さえゴムには太さの種類があるので、同じ太さのものを手に入れること

 

STEP1 古い網を取りはずす

 

STEP2 新しい網を取り付ける

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

*掲載データは2012年6月時のものです。

バリエーション豊かな電動工具「サンダー」の基本を徹底解説・後編/DIY工具使いこなし術(7)

日本では、あまり注目される工具ではないけれど、欧米ではカンナに代わる研磨道具として活躍する工具。

モデルのバリエーションも多く、研磨の種類に合わせていろいろ使い分けることも可能だ。

サンディングすれば作品の質が一気に上質になるぞ!

*電動サンダーの基本とオービタルサンダーの使い方を解説した前編はコチラ

 

電動サンダー4種。手前はデルタサンダー、中右からオービタルサンダー、ランダムサンダー、後ろがベルトサンダー

 

小さな角までカバーできるオービタルの発展型・デルタサンダー

名前の通りサンディングディスクがデルタ(三角州)型になっているサンダー。サンディングディスクの動きはオービタルサンダーと同じだが、サンディングディスクがデルタ型になっているために、写真のように作品の角部まできっちりと研磨することができる。

研磨力はオービタルサンダーと同様におだやかなので、広く木工一般から、複雑な構造の作品まで、利用することができる。

ただし、専用のサンディングパッドを使うことになるので、サンディングパッドを交換するごとに専用のサンディングパッドを購入することになる。

 

回転研磨でよりパワーアップ!・ランダムサンダー

ランダムサンダー(ランダムアクションサンダー)は、オービタル振動する研磨面が回転することによって、よりパワフルに研磨できるようにデザインされている。研磨面全体が回転するために、ランダムサンダーの研磨面はすべて円形になっている。基本的な運動にもうひとつの運動を加えてパワーアップするというのは、インパクトドライバーの考え方と同じだ。

オービタル振動しながら回転して研磨するため、研磨した粉の排出性もよく、目詰まりしにくいので研磨力も大きい。中ぐらいの番手のサンディングディスクをつければ、塗装のはがしも平滑にできるし、粗目のサンディングディスクをつければ、少々の材を削り取ることもできる。

パワーの必要なエクステリアの木工作品の仕上げ研磨や塗装はがしには最適なモデルだが、サンディングディスクが専用品となり、少し価格が張るのと、円形のディスクのため、入り組んだ部分が研磨しにくいというのが、ネックといえる。

 

ランダムサンダーの作動パターン

 

作品の段差をランダムサンダーで解消する

作品ができあがったら、端のほうに1mm程度の段差ができていたというとき、ノコギリの刃が段差に掛かれば、切り取れるが、刃がはずれてうまく切れないときに、ランダムサンダーのサンディングディスクを粗目に交換して研磨すれば、きれいに段差を解消できる。

 

大きな研磨で威力を発揮・ベルトサンダー

ベルト駆動でロール状のサンディングベルトを、キャタピラのように回して研磨するサンダー。手持ちで使うサンダーとしては大きなモデルで、作業中はしっかり保持しておかないと、力のない女性などだと、サンダーに引っ張られてしまう。また、ベルト面を上にして、作業台に固定して据え置き式として使うこともできる。

ベルトサンダーはパワーがあるので、研磨だけでなく、砥ぎ減らしのような、削る作業もできる。付属の定規を取り付けて、材の角度を一定にして研磨すれば、手押しカンナをかけたような、平面出しや角度出しの加工もできる。木工では、ベルト面を上にして固定して使われることが多い。

 

ベルトサンダーのベルトの流れ

 

力の強いベルトサンダーは両手でしっかり保持する

 

ベルトサンダーを作業台に固定して使う

ベルトサンダーは、ほとんどのモデルがベルト面を上にして作業台などに固定できる金具が付属している。研磨する材を手でもって作業するほうがやりやすい場合などに便利だ。

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、ブラック&デッカー、ボッシュ、リョービ

*掲載データは2012年2月時のものです。

バリエーション豊かな電動工具「サンダー」の基本を徹底解説・前編/DIY工具使いこなし術(6)

日本では、あまり注目される工具ではないけれど、欧米ではカンナに代わる研磨道具として活躍する工具。

モデルのバリエーションも多く、研磨の種類に合わせていろいろ使い分けることも可能だ。

サンディングすれば作品の質が一気に上質になるぞ!

 

電動サンダー4種。手前はデルタサンダー、中右からオービタルサンダー、ランダムサンダー、後ろがベルトサンダー

 

モーターの力で素早くきれいに材を研磨できる

電動サンダーは、モーターで本体に取り付けるサンドペーパーを、振動、または回転、もしくは両方を合成して細かく動かして、材を研磨する工具。他にもベルトコンベアーのようにベルト駆動するものや、円筒を回転させてそこに材を当てて研磨するなど、目的によって特化されたモデルも存在する。単純な加工から、塗装前の仕上げ研磨まで、木工の工程の中でも、ひんぱんに使われるべき工具だが、日本の日曜大工では、登場する機会が少ない工具だ。

日本では工作用に販売されている材が、きれいにカンナがけされたものが多く、仕上がりも白木が好かれているので、必ずしもサンダーが必需品ではないと考えられているからともいわれる。

しかし、木工の常識として、研磨した面を作ってから最後に塗装して本当の仕上がりとなるのだし、市販の材がカンナがけ済みといっても、自分でサンダーを使って研磨すれば、よりきめ細かい面を作ることもできる。よりよい作品づくりのために、ぜひサンダーに注目してほしい。

 

サンダーに共通する使い方

一般的なサンダーは振動スピードを調節するスイッチなどはついていない。研磨の程度は振動の速度ではなく、サンディングペーパーやサンディングパッド、サンディングベルトの交換で調節する。

サンディングペーパー類は、細かい目から粗い目まで段階的に作られていて、交換することで粗い研磨から、細かい研磨まで使い分けられる。目の程度は番号がつけられていて、目が粗いほど番号が小さくなる。木工では80番から400番までの間の番手が多く使われる。

研磨する材や作品は動かないように固定しておく。サンダーは研磨したい部分にサンディングディスクを当て、サンダーが十分に振動できるように、あまり強くは握らず、軽く押さえる程度で作業する。材の木端など細い部分の研磨では、研磨中にサンダーが傾かないように支えて作業する。

 

サンダーは研磨面に対して平らに持つこと!傾くとどんどん斜めに研磨されてしまう

 

木工用サンダーのスタンダードモデル・オービタルサンダー

ベテランの間では仕上げサンダーとも呼ばれるモデル。研磨面がオービタルダイヤと呼ばれる微小な軌道を描きながら、細かく振動してサンドペーパーを動かして、材を研磨する。

電動サンダーの中では、一番おだやかな動きをするサンダーで、木工では、塗装時の木地調整や、切断面の簡単な研磨に使いやすい。材の形を変えるほどの大きな研磨はしにくいが、粗目のサンドペーパーを使えば、面取りなどに不自由はない。

他のサンダーが、専用のサンディングパッドを使うのに対して、四角い研磨面のオービタルサンダーは、市販のサンドペーパーを使うことができるので、ランニングコストの面でも有利だ。

またメーカーではオプションでサンドペーパーに、集じんの穴をあけるためのアクセサリーがあるので、これを使ってサンドペーパーに穴あけすれば集じん機能を生かすこともできる。

研磨作業では、あまり強く押し付けることはせず、サンドペーパーが自由に振動できる程度に押さえ、木目に沿って研磨するのがコツだ。オービタルサンダーは、長時間作業しても腕が疲れることが少なく、女性でも保持しやすいスタンダードなサンダーといえる。

 

オービタルサンダーの作動パターン

 

オービタルサンダーで塗装前の木肌調整をする

木肌調整とは、なめらかな塗装に仕上がるように、作品を研磨する作業。塗装自体より木肌調整のほうが、きれいな塗装のためには重要といわれる工程。細かな振動のオービタルサンダーに向いた作業だ。

 

オービタルサンダーに市販のサンドペーパーを取り付ける

*小さい写真はクリックすると大きく表示されます。

写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、ブラック&デッカー、ボッシュ、リョービ

*掲載データは2012年2月時のものです。

自転車のパンクの直し方を詳しく解説!/暮らしに生かすDIYメンテナンス(14)

現在タイヤチューブの穴あきによるパンクの修理料金はひと穴1000円から1500円程度。これが、タイヤレバー2本(プラスチック製200円程度)と、パンク修理キット(100円ショップで110円)を用意しておけば、あとは日曜大工の道具を利用してDIYで修理できる。

 

パンク修理はやればやるほど慣れてきて簡単に行なえるようになる

ここで紹介しているパンク修理は、英式バルブというバルブ形式のチューブを使う自転車のパンク修理の仕方。ママチャリと呼ばれる一般自転車、実用車に利用できる。

朝見たら、空気が抜けていたという場合、パンクと同時にバルブの破損という線も疑ってみる。バルブの虫ゴムを交換するだけで、大丈夫という場合もある。

自転車はひっくり返し、車輪を上にして作業するとやりやすいが、ハンドル上にランプやアクセサリー類が付いているときは、傷付かないように養生するか、外しておく。

まず、最初にブレーキを緩めて、タイヤまわりでチューブを自由に動かせるスペースを作っておく。チューブはリムに引っ掛けたり、かまれたりしないようにていねいに取り出すこと。修理したチューブをタイヤに入れるときは、捻じれたり、タイヤ内で折りたたまれたりしないように注意する。急がず、焦らず、ていねいに作業するのがコツだ。

 

購入したパンク修理キット。写真右から紙ヤスリ、虫ゴム2本、専用接着剤、パッチ4枚がセット。収納用のケース付き

 

長さ10cm程度の自転車用タイヤレバー。平らなプラスチック製が使いやすい(写真下)

 

STEP0 バルブの補修

 

STEP1 ブレーキを解除する

 

STEP2 チューブをはずす

 

STEP3 パンクを修理する

 

STEP4 チューブをタイヤに入れる

 

STEP5 ブレーキを元に戻す

*掲載データは2012年4月時のものです。

草刈り達人になろう!刈り払い機の正しい使い方、教えます/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(22)

「夏は雑草との闘いである」。これが菜園ライフや里山暮らしをする人の一致する意見だ。太陽の熱射を受け、ムシムシする空気の中で、刈り払い機を持ち、長袖&長ズボン姿で伸び盛る草に挑む。これが実にツライ。でも、草刈りが終わった後、ひとッ風呂浴びて飲む冷えたビールって、実にカンドー的!

 

 

【記事内ギャラリー】

 

「田舎」と呼ばれている地域では、刈り払い機(草刈り機)の常備が当たり前だ。農家では「一家に1台」どころじゃない。「ひとり1台」のケースだって珍しくないのだ。千葉県いすみ市の里山にあるドゥーパ!のガーデンスタジオも例外ではない。2サイクルのエンジン式と電動式バッテリータイプの2種類の刈り払い機を用意しており、夏が近づくと、とにかく草刈りに追われる。人気はやはりバッテリータイプだ。スイッチひとつで始動するし、軽くて取り回しが楽で静か。ただし、バッテリーが20分ほどでなくなるから、充電する時間帯が必要で、これを休憩時間にしている。

これに対してエンジン式は、ポンピングで燃料を送り込んだり、チョーキングしたり、スターターを引っ張ったりして、始動までにするべき手続きがいろいろある。パワフルだがうるさいし、振動も大きい。やや重い。排気ガスも充満する。ただし中には、エンジン式にこだわる人もいる。聞くと「あの振動とピーキーな2サイクル音がいいのだ」という。確かに、エンジン式刈り払い機で草刈りに集中していると、つい夢中になっちゃって、最後に気持ち悪くなるなんてこともあった。実は、これはかなりヤバイ状態なのだ。独立行政法人「国民センター」によると、刈り払い機の作業中の事故は、60歳代が最も多く、次いで70歳代、50歳代とか。事故の内容も、「刈り刃のキックバックで指を切断」「軍手が絡まり、巻き込まれて指を切断」「刈り刃の回転による飛散物が目に混入」「転倒して刈り刃が身体に接触」など、実にさまざまだ。

そこで、夏の草刈りシーズンを控えた今、気をつけたい草刈り作業をまとめてみた。

 

 

服装について

前述の写真を参照すること。頭のてっぺんからつま先まで油断禁物。刈り払い機の刈り刃による事故のほか、スズメバチへの対策も怠ってはいけない。また、草むらに入るときはマムシに注意すること。

 

作業時間

1日2時間以内、連続30分以内、休憩5~10分を基本にしよう。振動障害予防のためもあるし、熱中症対策にもなる。疲労による事故も防げる。

 

刈り刃に接触する事故対策

キックバックを避けるために、刈り刃の左右往復刈りを避けること。右から左に振りながら、刈り刃の先端から左側の3分の1の部分を使って刈ること。刈り刃の先端から右側の3分の1の部分が障害物にあたるとキックバックを起こしやすい(上写真参照)。できれば、切り株や岩、狭い場所などがある場所では、刈り刃が障害物にあたってもキックバックしにくい、ナイロンコードに変えたほうがいい。ベテランの中には、草などが絡むのを嫌がって、飛散防止カバーをはずす人がいるが、これは飛散物の事故の原因にもなるのでやめること。

 

刈り払い機(草刈り機)と刈り刃の種類と一般的な特徴

 

刈り払い機の草刈り、スペシャル情報

これ、おすすめ!斜面の草刈りで大活躍の「土手歩き」

一度やった人ならわかるはずだが、急斜面での草刈りはけっこう辛い。足元が不安定で、滑ったり、足が痛くなったり、体勢を立て直すために各所に力が入り、疲労の度合いもハンパじゃない。そこで使ってみたのが「土手歩き」という斜面専用草刈りスパイクだ。靴を載せるとほぼ水平になるように、角度をつけた鉄板を組み入れたもので、斜面でも足首を曲げずに作業できる。20~45度位までの斜面に対応でき、靴の脱着も簡単。本誌が実際に試した結果、ホントに楽だし、安全に作業できることがわかった。(イーハトーブ合同会社

これが「土手歩き」(左足用)。山側にスパイクが2本ついていて、地面をしっかりとらえる。靴を履いたまま、下駄の上に載せるようにして固定するだけ

 

谷川の足に「土手歩き」を装着して斜面の草刈り作業をする。驚くほど楽だった。斜面を平行に歩き、山側から刈り降ろしながら進むのが基本

 

肩掛けベルトを2点吊りベルトにすると作業が楽になる

これも「土手歩き」を考案した同社のアイデア。刈り払い機を1点で吊っている肩掛けベルトに1mほどのロープを結んで延長し、ハンドルとシャフトの交差位置に縛って2点吊りベルトにすると、刈り払い機がより自由に動かせ、作業が楽になるとか。一度試す価値あり?

 

チップソーの目立てで切れ味をアップ!

あまり聞いたことはないが、古いチップソーは、ダイヤモンド砥石をつけたディスクグラインダーで目立てすれば、驚くほど切れ味がよくなるそうだ。コツは砥石をほんの1秒くらいずつ、チップソーのチップの「逃げ面」と「すくい面」にあてることらしい。強くあてると削りすぎでチップソーの寿命が短くなってしまうとか。

 

刈った草を「まとめながら」刈る

刈り刃を右から左へ動かして刈り進むとき、左端で刃先を少し左側に倒してやると、刈った草がそこにまとまるので、刈り跡がきれいになるばかりか、あとで刈った草を集めるときに都合がいい。地域住民総出で行なう村道の草刈り作業のときは、これであなたはヒーロー?

左側で少し刃を傾けて、刈った草を寄せておく。これポイントです

 

文・写真◎脇野修平/取材協力◎金綱良行

参考文献/農家が教えるラクラク草刈り・草取り術(農文協刊)

*掲載データは2015年4月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

DIYの基本切断工具「丸ノコ」を使いこなそう!・実践編/DIY工具使いこなし術(5)

手で挽くノコギリと同じく直線を切るという作業を、ノコギリより大幅に素早くこなせるように生まれた電動丸ノコ。DIYでも大量の材を切断するなど、基本的な工程で大活躍してくれる電動工具だ。

基礎知識編はコチラ

 

作業中、丸ノコの動きに逆らわない

材を切るときは、材が傾かないように平らに置き、刃が正確に墨線に沿うようにベースプレート先端の墨線目盛りを合わせ、ベースプレート前部を材に載せる。このとき刃は材に触れないように注意する。刃が材に触れていないことを確認したら、ハンドル下のトリガースイッチを引き、モーターを始動させ、刃が安定したスピードで回転しているのを確認して切り始める。刃が材に触れている状態でスタートすると、キックバックして刃が跳ね上がるので危険だ。

材を切っているときは、丸ノコのベースプレートの前や後ろが持ち上がらないように置き、刃が材を切っていく速さに合わせて、真っすぐに墨線に沿って切り進める。丸ノコの作業中は、絶対、無理に押してはいけない。無理に押すと必要以上に刃が材に押し付けられ、キックバックして、跳ね上がった丸ノコが自分の方に走ってくる場合があり、とても危険だ。このため丸ノコの真後ろに立たないようなポジションを取ることも大切だ。運転中の電動工具を腕力で制御するのは不可能なので、機械なりの動きに素直に動かしてやるというのは、電動工具の使いこなしでは重要なポイントだ。

丸ノコは手で支えて機械の方を動かして材を切る電動工具なので、絶対に万力などで丸ノコを固定するような使い方はしてはいけない。

 

<丸ノコを使って木材を切る❶(切る量が少ない場合)>

 

ロアガードは固定しない!

切り始めにロアガードを上げてから、丸ノコを進めるのがわずらわしいので、本職の人たちは写真のように、木のくさびでロアガードを上げた状態で、固定して使っていることが多いが、刃がむき出しになり、回転しない状態でも体に触れれば切れるし、回転している状態なら、指など簡単に吹き飛ぶ。丸ノコのロアガードを固定した状態でキックバックしたり、転倒したりしたはずみに大怪我をしたり死亡したりという事故は、本職の大工の間でも年に何件かあるという。ロアガードの固定は絶対にしてはならない。

木のくさびで固定されたロアガード

 

<丸ノコを使って木材を切る❷(切る量が多い場合+ガイドの利用)>

 

作業中、体は伸び切らないようにする!

合板など長い面を切るときに、丸ノコを進めているうち、写真のように体が伸び切ってしまうと、丸ノコを保持しづらくなり、刃が左右にぶれたり、丸ノコの前が持ち上がったりする。これが原因でキックバックが起こり、丸ノコがもんどり打って自分の方に飛んで来たり、材の上に飛び出して、自分の方に走ってくるという、とんでもない事故の原因になる。長い距離を切るときは、体が前に傾いて腕が伸び切る前に、材の横に移動して、無理のない姿勢で切るようにする。材の横に体を出せば、何メートルある材でも、丸ノコと一緒に材の横を歩いていけ、安全に切ることができる。

体が伸び切ると丸ノコをコントロールできなくなる

 

<丸ノコを使って材を切る❸(平行定規を使って長い距離を切る)>

 

<丸ノコ用直線切りジグ(角度定規)の使い方>

 

<丸ノコを使った傾斜切り>

 

刃を交換して丸ノコの性能を使いきる

刃の交換できる丸ノコは、素材別に用意された交換刃を使えば木材、木質素材、スタイロフォームなど異素材を切ることができる。交換刃は金属、非鉄金属、アクリル、塩ビ、レンガ、コンクリート、石材などを切るためのものがあり、刃の表面やパッケージに適応素材が明記されているので、必要に応じた交換刃を購入する。購入する刃のサイズは、自分の使っている丸ノコの使用サイズと、同じものを使うのが原則だが、若干小さい径のものも使用できる。また丸ノコに取り付ける刃の真ん中の開いた取り付け穴径も、自分の丸ノコのものと同じものを選ぶ。165mm径の丸ノコでは20mmというのが一般的だ。

市販の交換刃に付属するスペーサー、取り付け穴径を2~4mm修正することができる。保管しておくと、思わぬときに役立つことがある

 

アングル用チップソー

主な切断の目的が、Lアングルの切断なのでアングル用と名づけられているが、ステンレス、焼きの入った鋼材以外の厚さ5mmまでの金属を切断できるチップソー。

アングル材やチャンネル材といった金属素材をきれいに切るためにデザインされたソーチップが32枚ついたチップソー

 

金属の大きな抵抗にもびくともしない頑丈な下地にソーチップがついている

 

アルミアングル材などはやわらかい材木のようにさくさくと切れる

 

数種の素材が複合された金属系サイディング材の切断も軽快

 

丸ノコ用切断砥石

レンガやコンクリートブロックを切るといえばダイヤモンドホイールを使いたいが、一枚の価格が数千円と、ちょっと高価。切断砥石なら同じサイズで数百円。ダイヤモンドホイールより減りは早いが、価格はリーズナブル。

ディスクグラインダーで使う切断砥石を大きく、薄くしたような外観。砥石といっても切断専用で回転する縁の部分で材を切る。盤の面上で何かを削ったり、研いだりすると砥石がばらばらに飛び散ることもある

 

切断砥石は切る素材にあわせた砥粒が、特殊な繊維と接着材で固められて作られる

 

厚さ20mmのレンガの切断したもの。刃の深さが50mmあれば、厚さ60mmの普通レンガでも表、裏と2回通せば簡単に切断できる

 

コンクリートブロックを切り落とした瞬間。切り粉がすごいが、簡単に切ることができる

 

墨線の上にガムテープを張ってから切ると、切断途中で材が割れたり、はじけたりしにくい

写真◎冨士井明史

*掲載データは2011年10月時のものです。

DIYの基本切断工具「丸ノコ」を使いこなそう!・基礎知識編/DIY工具使いこなし術(4)

手で挽くノコギリと同じく直線を切るという作業を、ノコギリより大幅に素早くこなせるように生まれた電動丸ノコ。DIYでも大量の材を切断するなど、基本的な工程で大活躍してくれる電動工具だ。

 

基本は刃径165mmモデル

DIYの現場で使われる切断工具の主役が丸ノコ。材料を切り分ける木取りという作業で、正確に素早く材を切断するためには欠かせない電動工具だ。

2×4材を切るにしても、完全に切断するのに手で挽くと1分程度かかるが、丸ノコを使えば数秒で切り落とすことができ、作業の効率を大幅にアップしてくれる。

丸ノコは円盤型のチップソーと呼ばれるノコ刃の大きさで、本体が大中小いくつかの大きさに分けられるが、DIYの現場ではチップソー直径が165mmのモデルが使いやすい。165mmチップソーの丸ノコは、プロの現場でも多く使われるスタンダードモデルといえる。165mmのチップソーを取り付けるタイプの丸ノコの、最大切り込み深さは、モデルによるが57mmから66mmと十分な深さがある。これだけの切り込み深さがあれば、薄い合板から厚さ38mmの2×材まで余裕を持って切断することができる。

丸ノコは直線切りの専用機という電動工具だが、直角の直線切り以外に、傾斜した直線切りができるように、チップソーを傾ける機能がついている。また、材の木目に沿って縦に長く切るときに、切り線が曲がらないように丸ノコをガイドする、ソーガイドや平行定規と呼ばれるガイドバーが付属することも多い。

 

ベースプレートと刃は直角に

家庭用の100V電源を電源にする丸ノコは、出力1000W以上のモーターとチップソーが組み合わされ、ハンドルと安全カバーのついた本体部分が、ベースプレート(定盤)の上に載っている構成で、基本的には、ベースプレートの面に直角にチップソーがセットされている。

 

丸ノコで切断作業するときの基本的ポジション。丸ノコの真後ろより少しずれて、墨線と墨線目盛りは真上から見える位置に立ち、右手をハンドルに添え、左手はモーターハウジングを支えるように置く。コードは自分の後ろに流れるように肩かけして背中に回しておく

 

作業の前には刃とベースプレートが正確な直角になっているか確認する。傾いている場合は、その丸ノコの説明書にしたがって修正する。説明書は取り出しやすいところに保管しておく

 

一般的な丸ノコは片側に45度の角度まで傾斜できるようになっていて、傾斜のついた直線も切ることができる。

ベースプレートは材料の上に載り、回転するチップソーをしっかりと支える重要なパーツで、精度の高さと頑丈さが必要とされる。鉄板製とダイキャスト製があるが、一般的にダイキャスト製のほうが性能は高く、ダイキャストのベースプレートのついた丸ノコは高級機とされる。

 

ベースプレートの前後についた蝶ボルトを緩めるとベースプレートを45度までの角度で傾斜させることができる

 

丸ノコに取り付けて木工用に使われるチップソーの刃。写真のように刃先はタングステンカーバイトなど超硬チップが使われることが多い

 

安全に丸ノコを使いこなすポイントのひとつは、電源プラグの管理。材を切る直前までプラグを抜いておくことを習慣づければ、思わぬ事故を予防することができる(バッテリー式なら電池をはずす)

 

モーター周りには、モーターを回すためのカーボンブラシが入ったホルダーがあり、カーボンブラシを交換するためのブラシキャップが2カ所ついている。カーボンブラシはモーターを回転させるためのパーツで、自動車のタイヤのように目印まで磨り減ったら交換する消耗品だが、週末だけの日曜大工での使用なら5~6年は交換しないで使えるので、日常的に心配はいらない。ただし交換するときは、2個一緒に交換する。また、最近の丸ノコには、チップソーの切断部分を照らすライトがついたモデルも多く、多少暗くなっても正確に墨線を追うことができる。

 

オプションの集じんノズルをセットすれば集じん機に接続することもできる

 

四角いブロック状のものがカーボンブラシ、モーターを回転させるために欠かせないパーツ。長年使っていた丸ノコが突然止まった場合、これが磨り減っていることが多い

 

丸ノコの刃(チップソー)の取りつけ方

古いチップソーを新しく交換したり、別の用途の刃と入れ替える場合は、写真のようにノコ刃交換レバーを押して、刃が回らないようにしながら、センターの固定ボルトを緩めてフランジをはずし、交換する刃を取り外して、シャフト側フランジの凸部に合わせて新しい刃を取り付ける。写真では刃のついていない丸ノコに新しいチップソーを取り付ける手順を紹介している。取り外し手順は写真の逆の手順で進めればいい。作業中は必ず電源プラグを抜いておく。

<木工用チップソーで切断できる材の一例>
木材、集成材、木質合板、MDFボード、木質フローリング、OSB合板、スタイロフォーム、ケイカル板、石膏ボード、ラスボード、ラスカットボード、パーチクルボード、竹材、ファイバーボード、インシュレーションボード等

 

写真◎冨士井明史

*掲載データは2011年10月時のものです。

ウッドデッキの洗浄と再塗装のコツを徹底解説!/暮らしに生かすDIYメンテナンス(13)

出来たてのころはぴかぴかだった自慢のウッドデッキも、2~3年経過すると塗料も抜けて、がさがさになるし、つやも消えてしまう。そんなときは洗浄と再塗装でリフレッシュ。

 

ウッドデッキの洗浄のコツ

洗浄には、クオファームの木部専用洗浄剤ウッドリバイバーを使用した。この洗剤は木部の変色、汚れや水垢、カビ、日焼けを洗浄するエクステリア専用の洗浄剤。

作業はウッドデッキ上に椅子やテーブル、植木鉢などがあれば、それらをすべてどかして、ウッドデッキ上に何も置かれていない状態にして掃き掃除。土ぼこりや枯れ葉など完全に掃き出してしまう。

掃き掃除が終ったら、ウッドデッキ全面に水をまいて、軽くブラシで洗浄する。ここまでが前段階。

ウッドリバイバーをバケツにあけたら、ブラシにウッドリバイバーをつけて本洗い。ごしごし擦れば、泡だってくるので、ウッドデッキ全面が泡だらけになるように、十分な量のウッドリバイバーを使って洗浄する。ウッドリバイバー1Lで約10平米が洗浄できる。

洗剤で洗浄したら、大量の水で洗剤分をよく洗い流す。泡が見えなくなるまで洗い流す。これで洗浄は完了だ。

 

ウッドデッキの再塗装のコツ

再塗装の前には洗浄したウッドデッキを完全に乾かすことが大切。洗浄から一晩置いて、デッキ面が完全に乾いてから再塗装に取り掛かる。

ウッドデッキの再塗装で一番気をつけることは、塗る色の選択。ウッドデッキに使われるオイルステインは浸透性の塗料なので、塗り重ねるたびに色は濃く黒くなっていく。ちょうど色つきのセロハン紙を重ねていくと、どんな色を重ねても濃く黒く見えるようになるのと同じだ。なるべく同じ色味で再塗装したい場合はナチュラルやクリヤーといった色味の薄いカラーを選ぶ。今回使ったインウッドというステイン塗料ではナチュラル色というもっとも色味の薄いタイプを使用している。それでも若干色は濃くなる。

ウッドデッキ面の乾燥を確認したら、後は再塗装するだけ。面の塗装がほとんどなので、ハケはローラーバケが使いやすい。ローラーバケには長い柄をつけて、あまり腰を曲げずに作業できるようにすると、体も楽だし、塗るスピードもアップする。

塗装に使用したオイルステインはアメリカ製のインウッド。粘度が低く塗りやすく、1度塗りで十分に染み込み、乾けば抜群の撥水性を見せる絶妙のブレンドオイルを使い、ホルムアルデヒド放散なしのフォースター認定も受けている。使用者の評価も高いオイルステインだ。

作業は、塗料がびちゃびちゃしないように、ウッドデッキ面を拭くように塗っていく。塗料が乾くまで塗装面には乗れないので、事前に塗るコースを考えて、必ず脱出できるコースを決めてから作業にかかること。全体が均等に塗りあがったら塗装作業は完了。道具を片付けて、乾燥に一昼夜待てば、よみがえったウッドデッキを堪能できる。

*掲載データは2012年2月時のものです。

太陽熱を利用したソーラークッカーで簡単クッキング!/太陽を連れて歩こう!~太陽熱編~

大変な時代になった。これまで当たり前と思っていた電気の供給が危ないというのだ。もしかしたら、「大節電時代」の到来!?

そんな不安を解消するためにも、ぜひ、チャレンジしてほしいのが自分でできる太陽エネルギーの活用。ここでは、太陽熱と太陽光を利用した自作エネルギーの作り方を紹介。簡単かつとってもお役立ち、しかも、場所を選ばない携帯性もある画期的な方法を提案してみた。

今回製作したソーラークッカーは、予算、なんと1000円! 製作時間60分でできたカンタン太陽熱調理器で、美味しいランチを作った! 日照30分で、お米が炊けた!

 

ソーラークッカーを作れば、電気やガスをいっさい使わないで本格的な調理ができる。製作を指導してくれたのは富岡裕子さん。「にこネットつくば」副代表としてソーラークッカー紹介はもちろん、環境教育・国際理解教育のための活動を幅広く行なってきている。ソーラークッキング協会の会員でもある

 

アフリカでも大好評だった
富岡式ソーラークッカー「サンピース」を作ってみた

太陽熱を利用して調理するソーラークッカーには、大きく分けると【1】パネル型、【2】ボックス型、【3】パラボラ型の3種類がある。熱効率からいうとパラボラ型が一番すぐれているが、DIYとなるとややハードルが高い。そこで、熱効率は落ちるが、段ボールやアルミシートなど身近な材料で簡単に製作できるパネル型やボックス型がDIY向きということになる。

そこで、今回はチョーお手軽なパネル型クッカー「サンピース」を紹介したい。発案したのは、環境教育や国際理解活動を推進しているグループ「にこネットつくば」の富岡裕子さんだ。

富岡さんがパネル型のオリジナルソーラークッカーを発案したのは2009年のことだった。もちろん、それまでさまざまな形のソーラークッカーが発案され、また販売もされてきていたのだが、富岡さんは「被災地や途上国でも簡単に作れる」ということを前提において考えた。

そのための基本方策のひとつが、「定規で計らずに作れる」だった。そうしてできあがったのがここで紹介する「サンピース(SUN PEACE)」だ。昨年の夏には、アフリカのマダガスカルを訪れ、現地で仲間とサンピースの講習会を開き、大好評を博したという。作り方を知っておくと、庭でも、アウトドアでも、もちろん被災地でも、大活躍するに違いない。

 

サンピースの製作に準備する主な材料、道具など>

プラスチック段ボール900×900mmくらいの正方形(紙の段ボール板でもOK)、防災用アルミシート(アルミホイルや非常用のアルミブランケットなどでもOK)、ガムテープ、梱包用の透明ガムテープ、梱包用のビニールひも、両面テープ、目玉クリップ4個、カッター(ハサミ)、マジックペン、定規(なくてもOK)

 

プラスチックダンボールの加工

 

アルミシートを張る

 

いざ調理実践!「お日様があれば、そこがキッチン」だった!

ソーラークッキングを始めるにあたって、いくつか注意点がある。

まず、熱効率をあげるためにできるだけ外側が黒っぽい鍋を用意しよう。金属性で薄手のものがベスト。さらに、保温のためにOPP袋(ラッピング用の透明な袋)のような耐熱袋で鍋を包み、鍋の下には魚焼き網などを置き、鍋が直接クッカー本体に触れないようにするとよい。

調理時間は、もちろんメニューによっても違うが、天気によって変わってくるのがソーラークッカーの特徴。気温の高低よりは湿気が少なくすっきり晴れる天気のほうが、効率はいいようだ。

また、太陽は移動するので、太陽と正対するようにマメにクッカーの位置を動かして調節することも大切だ。もちろん、何かの影が入るのは避けたい。鍋は熱くなるので軍手もあると便利。また、ソーラークッカーの反射光は直接目に入らないよう注意しよう。できればサングラスをかけて作業したい。

 

ご飯・ゆでタマゴ・ポテトサラダ・プリンを作る

 

いろいろあります!ソーラークッカー・ウォッチング

パネル式<鳥居式携帯用ソーラークッカー>

本誌27号(2002年4月号)で紹介した鳥居ヤス子さん(日本ソーラークッキング協会会長)が発案したパネル型ソーラークッカー。簡単に作れる上、折りたたんで携帯できるのが便利(日本ソーラークッキング協会)

 

パネル式<エデュクッカー003>

足利工業大学の中條祐一教授が設計したソーラークッカー。富岡さんが参考にしたクッカーだ。使わないときは写真のように折りたたむことができる(昭和理化学機械株式会社)

 

ボックス型<サンオーブン>

アメリカ製のボックス型ソーラークッカー。箱の内部に熱を閉じ込めて調理するため、煮込み料理に適しているようだ。反射板を折りたたんでしまうとトランク状になり持ち運びも便利(アンテロープ)

 

パラボラ型<かるぴかIP8C>

ベランダクッキングで手軽に利用できる軽量型(3.1kg)のパラボラ型ソーラークッカー。太陽への照準操作が簡単にできる照準器がパネル内部についている。収納するときは、三脚をはずすのでパラボラ型にしては意外とコンパクトだ(工房あまね)

 

取材・文◎オフィスインクベリー/写真◎伊勢和人

*掲載データは2011年6月時のものです。

移動式ソーラーパネルをDIYして発電をしよう/太陽を連れて歩こう!~太陽光編~

大変な時代になった。これまで当たり前と思っていた電気の供給が危ないというのだ。もしかしたら、「大節電時代」の到来!?

そんな不安を解消するためにも、ぜひ、チャレンジしてほしいのが自分でできる太陽エネルギーの活用。ここでは、太陽熱と太陽光を利用した自作エネルギーの作り方を紹介。簡単かつとってもお役立ち、しかも、場所を選ばない携帯性もある画期的な方法を提案してみた。

今回の太陽光編では、太陽光パネル架台+バッテリー収納一体式移動ボックスを作り、どこでも発電所を実現! 12V用の車載機器はもちろん、安価な車用のDC/ACインバーター導入で、フツーの100V家電やUSB機器も使える!

ライフラインのない場所で優雅に電気のある時間を楽しむ

 

太陽光を受けるためのパネルは、屋根の上に固定するというケースが多いが、それは「1日3〜4時間以上の日照時間」を確保できる場所に限られた話だ。ドゥーパ!が提案するのは、その条件を満たせないさまざまな場所でも太陽光発電の恩恵に浴せるアイデアだ。

そのために、考えたのが簡単木工でできる「太陽光パネル架台兼用のフタつき・移動式バッテリー収納ボックス」だ。

 

 

まず、太陽光パネルは角度を調整できる架台(フタ)に固定。太陽光を受けられる場所に移動し、太陽光を受けやすい角度に架台を起こしてやればいい。この架台は、収納ボックスから取り外しができ、パネルとコントローラーを結ぶケーブルの長さの範囲内なら、架台だけを移動できる。つまり、太陽光を受けやすい位置にパネルのみを動かすことができるというわけだ。

キャスターつきの移動式ボックスには、ディープサイクルバッテリーが収められているばかりでなく、底板にチャージコントローラーが、外側には12Vシガープラグが刺せるコンセントボックスが取り付けられている。これで12V用の電気機器が使用可能。通常の100V用家電を使いたい場合は、コンセントボックスに車のシガーソケットにつないで使うタイプのインバーターを介せばOK。パネルとコントローラーは、脱着が簡単な長い(今回は10m)ケーブルでつながっている。

なお、収納ボックスの作り方は簡単。板材を単純にカットしたり、木ネジで接合する程度の技であっという間に完成するはずだ。(後述参照)

 

覚えておきたい、ソーラー発電の豆知識

太陽光パネル(太陽電池)の発電量は…?

太陽光パネルの発電量は、地域や季節によって日照条件が異なるので一概にはいえないが、国内の日照時間の平均を1日あたり4時間程度と考えた場合、太陽光パネルの定格出力の4時間分くらいだと思えばいい。たとえば、今回の太陽光パネルのような40Wのパネルであれば、1日あたりの発電量は40W×4h=160Wh(ワットアワー)となる。設置場所は南向きが基本で、夏場は水平~30度くらい、冬場は40~60度くらいの設置角度にしたい。

チャージコントローラーの役割は?

チャージコントローラーの役目は、バッテリーの過充電防止と電流の逆流防止。なお、チャージコントローラーとバッテリー間の電線ケーブルは、できるだけ太い物を使って短く接続したい。

なぜ、ディープサイクルバッテリーなの?

ィープサイクルバッテリーは、通常の車用バッテリーに比べ、充電、放電の容量が多く長寿命。今回のバッテリーは、内部が液状でなく密閉タイプなので、液漏れの心配がない。こうした理由で太陽光発電には、ディープサイクルバッテリーが使われることが多い。 容量はAh(アンペアアワー)という単位で表されるが、実際に使用できる容量はその半分程度。今回使っている85Ah容量のバッテリーだと、40Ah程度となる。なお、バッテリーは雨に濡れない、換気のいいところに置いておきたい。

DC/ACインバータの役目は…?

DC/ACインバーターは、バッテリーに蓄電された直流電気を、家庭用電源と同じ交流100Vに変換するための機器。ただし、エネルギーの変換ロスがあるので、直流12V をそのまま使える電気機器を使うほうが理想的だ。

 

いつでも太陽光に正対し、場所移動も簡単にできるために
こんなバッテリー収納ボックスを作ってみた

バッテリー収納ボックスを製作していただいた堀口丈夫さん。東京・世田谷で「みんなの木工房D.I.Y好き。」を主宰

 

<バッテリー収納ボックスの製作に準備する主な資材、金物など>

コンパネ(12×600×1800mm・2枚)、2×4材(1820mm・2本)、キャスター(100mm径・自在&ロックつき・4個)、横長丁番(1個)、六角フランジタッピング(8×25mm・4個入り袋・4袋)、L型金具(4個)、ステンレスコーススレッド(38mm・適宜)、水性工作用塗料(黄色)

 

<木取り表>

材の種類 サイズ(mm) 数量 使用部位
12㎜厚コンパネ(12×600×1800㎜) 600×650 1 フタ兼太陽光パネル架台A
576×626 1 底板B
650×300 1 側板C
576×300 1 側板D
2×4材(SPF) 626 2 キャスターをつける材E
2×4材(SPF)を半分の幅に割いた板 248 4 コーナー材F
630 2 太陽光パネルを受ける材G
490 2 フタを収めるときの留め材H
530 1 太陽光パネル架台の角度調整脚I

 

ボックスの製作

 

太陽光パネル架台(フタ)の製作

 

キャスターの取り付け断面の保護塗装など

 

太陽光パネルの固定

 

*掲載データは2011年6月時のものです。

 

太陽光発電システムの配線&セット

 

さっそく12V用の扇風機と野外ランタンをコンセントボックスにつなげて通電、見事成功でした!

 

いざ通電実践!お日様のある場所で、発電開始!

配線が終了し、いよいよ発電実験。太陽光を十分に受けている状態で、まず、シガーライターソケット用のプラグのある12V用の扇風機や電気ランタンをコンセントボックスに接続してスイッチオンしてみる。見事に通電!

次に車載用のインバーターをコンセントボックスにつなぎ、100Vのパソコンや携帯用充電器をつないでみると、もちろんこれもバッチリ。さらにと調子にのり、アンプをつないでエレキギターをかき鳴らしてみると、もちろんこれもバッチリ。

今回の取材でいろいろと教えていただいたオフグリッドソーラーのスタッフによれば、「インバーターの最大出力(今回は350W)を超えない消費電力の電気機器だったら、まず大丈夫」だとか。

常識的にいえば、通常の明かりやテレビやラジオ等の通信機器、ゲーム機器なら、今回設置したレベルで十分。消費電力が大きい電子オーブンや冷蔵庫、エアコン、調理機器等は難しいということになりそうだ。

 

夏はパネルを上向きにした状態で太陽光を受ける

 

冬はパネルを立て、太陽光を受ける

 

車にもコンパクトに積めるから、
山川やキャンプ場、ガレージでの〝出張発電〟もOK

今回目指した太陽光発電システムは、なによりも携帯性、機動性ということがあげられる。そのため、太陽光パネルの架台とバッテリー収納ボックスとが一体になって移動できたり、あるいは別々でそれぞれが移動できたりという作りにした。

たとえば、車に積んで、ライフラインのないアウトバックに移動して「電気のあるアウトドアライフ」を楽しむこともできるし、家の中にバッテリー収納ボックスを置き、パネルだけ太陽光のあたる場所、2階のベランダなどに移動させたりすることもできる。

ただし、パネルとバッテリー収納ボックスとの距離は、ケーブルの長さの範囲内に限る。今回作った手作り太陽光発電システムは、キャンプや夜釣り、夜のガーデンパーティー、庭での演奏会など、いろいろな場面で大活躍するに違いない。

バッテリー収納ボックスとパネル架台を離し、陽の当たる時間帯を選んで、バルコニーにパネル架台を移動させるということもできる

 

写真◎佐藤弘樹、伊勢和人/取材協力◎ネクストエナジーアンドリソース

ドライバードリル&インパクトドライバーでのビス打ちテクニックを解説!/DIY工具使いこなし術(3)

ビス打ちテクニック編

ビス打ちはドライバードリル、インパクトドライバーのもっとも一般的な作業。両工具のデザインもビス打ちを基本に考えられているのだ。

 

ビス打ちを極める者は、ビスにもこだわる!
木工に多用されるスリムビス(細ビス、なげしビスとも)。長さは28mm程度から120mm程度まで各種がある。左が錐先付きビス。右が割れ防止機能付きビス、共に長さ40mmのプラス2番

 

きれいなビス打ちのやり方

 

ビスの斜め打ちのやり方

 

溝をなめたビスを抜くビット

 

 

穴あけテクニック編

ドリルビットを使う穴あけテクニック。ここではより正確な穴あけや、ちょっと変わったテクニックを紹介。

 

ドリルガイドを使った穴あけのやり方

 

蝶番用ドリルビットで蝶番のビス穴センターに下穴をあける方法

 

ホールソーで少し大きな穴をあける方法

 

ドリルスタンドを使った穴あけのやり方

 

あると便利なドリルビット

 

写真◎高島宏幸

*掲載データは2011年12月時のものです。

強力なパワーでサクサクビス留め!インパクトドライバーの基本の使い方/DIY工具使いこなし術(2)

ドライバードリルと同様、ビス打ちはもちろん、ビスの下穴をあけたり、丸棒を通す穴あけなど、ドライバーとしてもドリルとしても活躍!作品の組み立てにかかわる作業の中心的存在になるのがこの電動工具。

 

より強力なパワーが必要な場面で威力を発揮する! インパクトドライバー

インパクトドライバーは、より強力なパワーを必要とする現場で多く使われている。大工はドライバードリルはほぼ使わず、もっぱら動きやすいコードレスのインパクトドライバーを愛用している。

先にも少し触れたが、インパクトドライバーは長さ60mm以上のビスを多量に打つ必要があるエクステリアの作品づくりの場面で威力が発揮される。

長いビスを素早く確実に打つために、インパクトドライバーにはインパクト機能が内蔵されている。インパクト機能はビットに負荷が掛かると、ビット軸の回転方向に打撃が加わって、より強い力でビスを回すことができる。長さ40mm程度の短いビスでは負荷がかからず、ドライバードリルのようにスッと打ててしまうが、長さ60mm以上のビスでは打ち込みの途中ぐらいからダラダッ、ダラダッと打撃音を発する。これがインパクト機能が効いている状態だ。

 

インパクトドライバーの操作部分は通常トリガースイッチと正逆回転切り替えスイッチだけとシンプル

 

ビットは2面幅6.5mm(=4分の1インチ)の六角軸のインパクトドライバー専用のものを使う。以前はインパクトドライバー用のドリルビットは少なかったが、現在は入手できるドリルビットの種類も増えて、ドライバードリルと同様に、ビス打ちにもドリル作業にも使えるようになっている。ボルトナットを締めるときも、インパクト機能が効き、しっかりと締めることができる。電源もドライバードリルと同様で家庭用100Vを使うモデルと、充電式の電池を使うコードレスモデルがある。

インパクトドライバーに使用できる六角軸ビットの例、左からソケットレンチ、六角レンチ、マイナスドライバー、プラス2番ドライバー、プラス1番ドライバー

 

<ビットの装着手順例>

 

エクステリア作品に使いやすい!
ハイパワーでコードレスなインパクトドライバー
14.4Vという高電圧、大容量の電池を電源とするインパクトドライバー(現在は18Vを超えるものもある)。コードレスでハイパワーなので、長いビスを使うことが多い野外でのエクステリア作品づくりにちょうどいい

 

1カ所に止まって作業するならいいが、エクステリアの作品づくり、特にウッドデッキのような面積のある作品の作業ではコードレスのインパクトドライバーがイチ押し。それも14.4Vや18Vという高い電圧、大きな容量を持った電池を使うモデルなら、屋外で長時間使っても、長いビス打ちの連続にもへこたれず働いてくれる。もちろん、野外で連続作業するときは予備の電池を充電状態にしてスタンバイしておくことも大切だ。

 

エクステリアでの作業では工具を写真のように横に構えることも多い

 

ウッドデッキ材の連続ビス打ちのような作業で活躍

 

写真◎高島宏幸

*掲載データは2011年12月時のものです。

木工を変えた!ドライバードリルの基本の使い方/DIY工具使いこなし術(1)

ビス打ちはもちろん、ビスの下穴をあけたり、丸棒を通す穴あけなど、ドライバーとしてもドリルとしても活躍、作品の組み立てにかかわる作業の中心的存在になるのがこの電動工具。

 

DIY木工に劇的な変化をもたらした! ドライバードリル

ドライバードリルの普及によって、それまでの材の木部同士で組む継ぎ手や、カナヅチとクギで組み立てるという方法が、広くビスを使った組み立てに変化したといわれる。現在ではDIYからプロの木工作家まで、作品の組み立てはドライバードリルやインパクトドライバーを使ったビス打ちによるのが一般的となるほど広く普及している。

ドライバードリルはモーターの力で、先端に装着する先端工具(ビットと呼ぶドライバーやドリルのこと)を素早く強力に回転させてビスを締めたり、穴をあけたりできる。

ドライバードリルは電源に家庭用100Vを使うモデルと、充電式の電池を使うコードレスのモデルがある。本体には締め付け力やスピードを調節するスイッチがあり、材の硬さやビスの締め込み具合、ドリルの回転スピードなどをかなり細かく調節できる。

同じ仕事をする電動工具には、次に紹介するインパクトドライバーがあるが、基本的な使い分けとしては長さ50mm以下のビスを多用し、細かなパワー調節が必要な家具作りにはドライバードリル、長さ60mm以上のビスを多用し、多くのビスを連続打ちするウッドデッキなど、エクステリアの作品づくりにはインパクトドライバーが向いているといわれる。

10.8Vのモデル(右)とそれよりも小さい3.8V充電式ドライバードリル(左)。ビットは付属品の専用ビットを使う。本格木工用というよりは組み立て家具や、家庭内のちょっとした修理などで使いやすい

 

ドライバードリルでは工具の先端にあるチャックと呼ばれる口金にくわえるビットを交換することで、1台のドライバードリルで、いろいろなドライバーやドリルとして使うことができる。

ビットの交換は、工具先端のチャックを必要な口径にゆるめ、ビットを口金の底まで差し込み、チャックを締めてビットを固定すればいい。

作業はビス頭や墨線をビットの先端で真っすぐに押さえたら、トリガースイッチを引き、ビットを真っすぐに押し込んでいく。ドライバードリルを保持する力が弱い女性などは、写真のように、片方の手でドライバードリルを後ろから押すように手を添えるといい。

ドライバードリルでは丸軸、六角軸両方のビットを使うことができる

 

<ビットの装着とビス打ちの例>

 

ボール盤はドリル用据え置き式工具

写真の工具はボール盤と呼ばれる据え置き式電動工具。ドリルビットを取り付けて、穴あけ、座ぐりに使われる。加工する材は、定盤と呼ぶ台の上に置かれ、レバーの操作で、ビットのついたチャックが下に下がってきて材に穴をあける。精度の高いポールで支えられているため、芯が振れることなく穴をあけることができる。DIY用の卓上ボール盤ならば、ドライバードリルより価格が安いものもあるので、家具作りの穴あけ専用として工房に設置すると便利だ。

 

写真◎高島宏幸

*掲載データは2011年12月時のものです。

スニーカーの寿命を延ばすメンテ術を伝授!/暮らしに生かすDIYメンテナンス(12)

軽く、歩きやすいので、誰もが履いているスニーカー。ソールが減って、穴があいたらそこで寿命として捨てちゃうのが一般的。でも、簡単なメンテナンスで、スニーカーの寿命は何倍にも延ばせるのだ!

 

はがれたソールのメンテナンス

スニーカーのソール(靴底)は強力な接着剤で接着されているが、年月を経ると歩行時にかかるねじれや、湿気、といったものによって、ソールがはがれてしまうことがある。ひどいものでは、歩いている最中にはがれることもあるので、くたびれたスニーカーを愛用している方は注意が必要だ。

ソールのはがれた部分はできるだけきれいに掃除して、泥やほこり、水分を取り去っておく。接着剤を使った接着では、接着面がしっかりと乾燥していることが大切だ。次に接着面にヤスリをかけてカサカサにしておく。

接着剤は接着する両面に薄く均一に塗り(ヘラが付属している)、5~10分おいて、両面を合わせてクランプなどできちっと固定する。クランプがなければガムテープでぐるぐる巻きにしておいてもいい。温度25℃、湿度50%あれば数時間で実用強度に達し、2〜3日で完全に接着される。

 

<はがれたソールの修理手順(スーパー多用途超強力を使用)>

 

すり減ったかかとの補修

かかとが減って捨てるということも多い。しかし補修材を使えば、簡単な作業でかかとを再生することができ、スニーカーの寿命を延ばせる。

まず、かかと部分の汚れを落としたら、補修材付属のやすりで補修面を粗くする。次に写真のように補修材がたれないようにかかと周りをダム状にカバーする。ダムはクリアーファイルを切って使うと具合がいい。ダムの高さをソールの高さに合わせてテープで固定したら、そこに補修材を入れて均していく。均すには付属のヘラを水で濡らして使うと、やりやすい。この補修は一度にあまり厚く塗らず、厚くともかかとのふちで5mm以内にしておいて、1日おいて塗り重ねていくようにする。十分な厚さで固まったらダムをはがして、埋まり損ねた部分を修正すればできあがりだ。はみ出して硬化した部分はハサミなどで形を整える。

 

<すり減ったかかとの補修手順(シューグーを使用)>

 

すり減ったソールを直す

歩けば歩くほど減るのはソールの運命。ソールが減ってつるつるになると、雨の日は滑るし、ソールが薄くなってでこぼこした場所では足の裏が痛い。そこで、さっそくメンテナンス。すり減ったソールの補修は、専用の補修材を使うとやりやすい。

作業は、掃除と面を粗すことから。磨り減った部分を周囲まで、広めに掃除して、ゴミと水分を完全に取り除いてしまい、補修材の接着をよくするために付属のやすりで補修材を塗る面全体をこすっておく。

面の用意ができたら、補修材をソールに5mm程度の厚さで塗る。あまり厚く塗るとなかなか固まらなかったり、たれてしまうので、厚く塗る場合は1日おいて補修材が固まってから塗り重ねる。

1日おいて補修材が固まったら、カッターや彫刻刀を使って滑り止めを刻めば、補修は完了だ。

 

<すり減ったソールの補修手順(シューグーを使用)>

*掲載データは2011年12月時のものです。

鶏小屋の作り方をニワトリ愛に目覚めたログビルダーに教えてもらいました!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(21)

べべ、マリリン、オードリー、ナタリー、イングリッド…。かつて、銀幕をにぎわせた名女優たちの名前がつけられた5羽の雌鶏(メンドリ)たちが元気に庭を走り回っている。「かわいいでしょ…」と目を細めるのは里山新住民のログビルダー、Hさん。そんなHさんに教えてもらった鶏小屋の作り方。

 

「名前つけちゃったら、もうかわいくて…」とHさん。ちなみに、ニワトリはホームセンター(ジョイフル本田八千代店)で、生後2日のヒヨコのときに買ってきた。1羽800円だった。種類はアメリカ種のボリスブラウン

 

ドゥーパ!のガーデンスタジオがある千葉県いすみ市には、都会からの移住者が多く住んでおり、DIY熱も実に高い。その中でもトップクラスのDIYerがHさん(70歳)だ。2年半かけ、独力で本格的な丸太小屋を自作し、さらに怒濤の勢いで物置、薪小屋、露天風呂などを建てた。先日、ふと気がつくと、いつ作ったのか、立派な鶏小屋ができていて、小屋の周りで若い雌鶏が走り回っていた。近づくと、一見コワモテのHさんが、猫なで声で「マリリンちゃん、おいで…」などとつぶやいているのだ。聞けば、3カ月前、ホームセンターで生後2日のヒヨコを5羽購入し、往年の名女優たちの名前をつけて溺愛中だという。両手に雌鶏を抱え、「だって、かわいいよ…」と、ニタニタと笑っているHさんを前に、「マ、タシカニ…」などと若干ヒキ気味に答えるしかないのだが、それにしても、ニワトリ愛に目覚めたログビルダーか…。間違っても「ツブして、鶏鍋にしますか!」などと言っちゃいけない。

でも確かに、全国の新・里山住人には、できればニワトリを飼ってみたいと思う方が相当いるんじゃないか。そんな気持ちもあって、さっそくHさんに鶏小屋の建て方を教えてもらった。この鶏小屋は、朝日があたるように東向きに建てられ、幅2300×奥行1200×最大高さ1500mm。

基本的な建て方は通常の物置や小屋と同じ。基礎石を並べ、根太を組み、柱や桁を組んでから、床、壁、垂木、屋根、金網、建具(ドアやニワトリの出入口)を作る。最後に小屋内部の寝床や止まり木、エサ箱などを作ってやる。最後に外まわりの塗装をしてもいい。

 

<Hさんの鶏小屋平面図>*単位はmm

 

外敵に備え、コーキング剤を使ってすき間をなくす

ポイントは、いくつかある。まず、イタチやハクビシン、ヘビなどの外敵の侵入を防ぐために絶対にすき間を作らないこと。骨組み(柱や桁)の接合部をすべて相欠きにしたのは、金網を張るときにぴったり張って、すき間ができないようにするためだ。金網もしっかりしたものを選びたい。イタチは金網を破って侵入することがあるし、壁の下の地面を掘って侵入してくることもある。ヘビは高いところも平気で上ってくるので、屋根の下地の垂木の間のすき間もコーキング剤などを使って、バッチリ塞ぐこと。

また、ニワトリは暑さに弱いので、風通しをよくすることもポイント。屋根はブリキやトタンではなく、断熱性の高いガルバリウム鋼板にしたのはそのためだ。

その他、小屋内部のレイアウトや設備。これは先ほどのイラストや後述の施工手順写真を見てもらえばわかるように、寝床と止まり木を用意してやればいい。

また、ニワトリ自身が自由に出入りするための出入口をドアとは別に用意した。ニワトリを自由に運動させることも大切だからだ。

購入した資材は、金網、ガルバリウム鋼板、コンパネ、基礎石くらいで、骨組みの木材の多くは、建築現場からもらってきたもの。鶏小屋は小さな構築物だし、こう作らねばならないというものではないから自由度も高い。廃材や端材をうまく利用するのも鶏小屋作りの醍醐味なのだ。

某日某朝。もうすぐ食べられる美味しい生みたて卵を楽しみに、今日もニワトリ愛を貫くHさんの朝が始まった。「べべちゃん、ご飯だよ…。オードリー、こっちこっち…」。

 

<Hさん流・鶏小屋の作り方>

文・写真◎脇野修平

*掲載データは2018年8月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

梅雨のシーズンに備える!雨どいのトラブル予防術を伝授/暮らしに生かすDIYメンテナンス(11)

今回は、どこの住宅にもあり、目立たないけれどトラブルを起こすと面倒な、雨ドイ(雨樋)のメンテナンスがテーマ。簡単なメンテナンスが、手に負えないトラブルを予防する。

 

雨ドイの構造と掃除方法

<雨ドイの基本構造例>

軒先に設置され、屋根の雨水を受けて、まとめて排水するのが雨ドイ。

雨ドイは、年に一度程度、落ち葉の季節が終わったころに、軽く掃除をしてやるだけで、トラブルを未然に防ぐことができ、雨ドイ全体の寿命を延ばしてやることができる。取り付けてから5年以上、何もしていないという場合は、ぜひ、目で見て状態を確認してみたい。

掃除自体は、軒トイに溜まった枯れ葉や塵をホウキで払い、縦ドイの内部を、イラストのような、長い針金の端に雑巾をつけた手作りの掃除用具を使って掃除するだけと、いたって簡単な作業だが、雨ドイは軒先という高所にあるため、ハシゴをかけて作業することになる。このためハシゴを掛け間違えて、肝心の雨ドイ自体を壊してしまったり、作業する人が、ハシゴ上でバランスを崩して落下してケガするということも心配だ。安全には十分気をつけて、個人の責任において慎重に作業したい。

雨ドイは耐候性の高い樹脂で作られているが、屋外で使われる樹脂の宿命で、10年を過ぎれば、劣化が進み、接合部分にヒビが入ったり、割れることもある。全体の強度が落ちてくれば、高温や、雪の重みに耐えられずゆがんだり、ごみが溜まって雨水の重みで金具が曲がる、錆びるなどのトラブルが起きる。

雨ドイは細かいパーツに分かれているので、こうしたトラブルが単発で起きているものなら、パーツ単体の交換で対応できる。雨ドイのパーツは円筒の樹脂タイプのものなら、メーカーごとにサイズが規格化されているので、補修する雨ドイの径を正確に測定するか、補修部分を取り外して現物合わせで確認すれば、間違いはない。

<縦ドイの掃除例>

 

縦ドイの割れのメンテナンス

物をぶつけて縦ドイがひび割れることは、確率の高いトラブルだ。大きな割れの場合は縦継ぎ手を使って、割れた縦ドイ部分を交換することになる。雨水がしみ出る程度のヒビの場合は、雨ドイ用補修テープ(雨ドイの色に合わせて何色かバリエーションがある)を縦ドイに巻いて補修すればいい。

<ひび割れの補修例1>

<ひび割れの補修例2>

 

軒トイの交換方法

例えば、軒トイが垂れ下がって、雨がジャブジャブあふれてしまうなら、トイ受け金具とトイ受け金具の間で軒トイを切り取り、新しい軒トイを、軒継ぎ手を使って取り付ければいい。軒トイ、軒継ぎ手は、ホームセンターの雨ドイ売り場で売っている雨ドイ用接着剤で固定する。

<軒トイの交換例>

 

集水器の詰まりのメンテナンス

雨水の詰まりが起こりやすいのは、集水器の部分。ここは、いくつかの軒トイが集まる部分なので、詰まりやすい。詰まるものは、枯れ葉が土ぼこりや飛び砂と混ざって固まったものが多いようだ。風で飛ばされてきたレジ袋が詰まっていたという例もある。

イラストのような棒に、太さ2mm程度の腰のある針金(針金を曲げたハンガーなど)を取り付けた棒で、集水器の上から、詰まった部分を突きまわすと、詰まりを取ることができる。土ぼこりがふやける、雨の降っているとき作業すると有効だ。

 

取り付ける箇所の木部の補修方法

古い木造家屋の場合、雨ドイのトイ受け金具は、イラストの金具のように、軒の垂木や、鼻隠しに、直接打ち込む金具で取り付けられていることがある。トイが破損して、雨水が漏れ、金具を伝わって、金具を錆びさせた上、伝わった水分が木部分を腐らせてしまうというトラブルがある。日本家屋の場合、トイの打ち込まれた部分が、家を支える主要な柱構造の部分でなければ、腐った部分を切り取って、材を継ぎ足し、新しい金具と取り換え、トイの破損部分を差し替えるという日曜大工の作業で補修することができる。

<取り付け木部の補修例>

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2011年8月時のものです。

ピザ窯作りのスタンダードな作り方を大公開!/ピザ窯・パン窯の作り方web上講座・後編

ピザ窯・パン窯を作る前に“知っておきたいこと”を解説した記事はコチラ

 

「これがピザ窯作りのスタンダードな手順です」(K県Mさんの場合)

手作りによるピザ窯の製作は、難しいともいえるし、簡単だともいえる。なぜか。手順をしっかりと踏めばピザ窯は誰でも簡単にできる。これは間違いがない。

しかし、だからといって、そこで美味しいピザやパンが焼けるかというとその保証はない。

最終的には偶然も支配するという火加減や熱加減になるわけで、そのあたりがピザ窯の奥の深さに通じるということなのだろう。

ここで紹介したいのがK県在住のDIYer、Mさんのケース。二層式ピザ窯を作った彼の記録を中心に見ながら、基本的な手順を説明してみよう。

 

手順1 土台を作る

窯を支える土台作りが最初の手順。基本的には現場を掘り下げ、砕石や砂利を打ち、地盤を固めてから土台を積んでいく。土台を薪のストック場所として使いたい場合はブロックを周りに積み、空間を作っておくといいだろう。そうじゃない場合は、ブロック、コンクリート、石材、自然石などを積み、場合によっては土や砂、ガラなどを詰めて土台を作る。予定している窯のサイズよりも大きめに作りたい。窯の重量がハンパじゃないので、がっちり作ること。ブロック積みは鉄筋を入れるほうがベター。

 

手順2 火床(燃焼室)を作る

土台の上に火床を作る。ここは直接薪を燃やすところなので耐火性が要求されるので、耐火レンガや大谷石、前述のアサヒキャスターなどが使われる。まず、土台の上に頑丈な板(コンクリート平板や石材、頑丈な角材など)を載せ、その上に耐火性資材を載せて火床にするというケースが多い。

 

手順3 窯の壁積みを始める

いよいよ窯作りスタート。火床の両サイドと後に耐火レンガを積み始める。接着材は素人には手に負えない耐火モルタルではなく、アサヒキャスターを使うほうが安心。蓄熱性を高めたいならば、レンガをダブルに積んで壁を厚くすればいい。耐火レンガの外側がそれほど高温にならないので、通常のレンガを積んでいる例も多い。

05 耐火レンガを積んだ。内側にいくつかのレンガが飛び出しているのは、この上に後述の焼き床を載せるため。レンガの接着はアサヒキャスターで行なった

 

手順4 焼き床を作る

二層式(連続燃焼式)では、窯の中段に焼き床が必要になる。焼き床は耐火性が要求されるので、大谷石や耐火レンガ、アサヒキャスターなどを使用する。アサヒキャスターによる焼き床作りは、型に流し込んで固めて作るという方法がスタンダードだ。流し込んでから24時間後にはカチンカチンに固まっている。これを焼き床として中段に載せる。

 

手順5 窯の壁積みと天井、煙突を作る

耐火レンガやアサヒキャスターを使って、窯をドーム状、あるいはかまぼこ型にするときは「型」が必要だ。ドーム状にするときには、砂を山のように盛ってその上にアサヒキャスターを流すという手法もあるが、一般的なのはやはりベニヤ板などで型を作る方法。型に沿ってレンガを積み、並べていく。レンガをかまぼこ型に並べて積んでいくにはくさびをうまく挟んでいくのがポイントだ。なお、目地材はやはりアサヒキャスターがおすすめ。

 

手順6 窯口の扉を作る

窯口が大きすぎると温度が上がらなくなるので、レンガを加工し、アサヒキャスターをうまく使って、窯口を適当な広さまでふさぐ。扉は鉄製の立派なものじゃなくても実用上何の差し支えもない。燃えにくい堅木を窯口の形に加工し、ピザ窯使用時のみに窯口を塞いでもいい。多少焦げるが、これが嫌だという人は、内側に防火効果のあるケイカル板や石こうボードを張ってもいい。もし、鉄板の加工や溶接に挑戦したいという人がいれば、鉄製の扉を作ってもいい。

 

*掲載データは2010年6月時のものです。

ピザ窯・パン窯を作る前に知っておきたいことを徹底解説/ピザ窯・パン窯の作り方web上講座・前編

その1 ピザ窯・パン窯の構造って、どうなっているの?

いろいろな言い方がある。石窯、パン窯、ピザ窯…。基本的にはみんな同じだ。石で作ったパン窯やピザ窯は石窯だし、レンガを多用したピザ窯やパン窯もある。ピザを作ればピザ窯だし、パンを作ればパン窯。とにかくみんな同じ。重要なことは、輻射熱(余熱)=遠赤外線を利用して調理できるから、料理がうまいということ。だから、みんな庭に窯を作りたがる。とりあえず、そう考えてよろしい。

で、どんな仕組み=構造になっているかだが、これも驚くほどシンプルだ。

 

まず、図Aを見てほしいのだが、火床=薪を燃やすところがあって、熱を蓄えるところがある。さらに、蓄えた熱は外に逃げないように断熱する。これが基本。燃やした薪をどかし、濡れ雑巾などできれいにして、そこにピザ生地を置けば、美味しいピザやパンが焼けるというわけ。

それからもうひとつ。今度は図Bを見てほしいのだが、これが二層式とも連続燃焼式とも呼ばれるもので、火床とピザ生地を置くところ(焼き床)が別になっている方式で、煙を抜く煙突があるのが一般的だ。この方式だと、ピザ生地を置いたまま、連続して薪を投入し、燃やし続けることができるというわけ。

この発展形として、これまで紹介した実例のように扉をつけたり、窯の形をドーム状にしたり、かまぼこ状にしたり、外観をおしゃれに仕上げたり、雨対策に屋根をつけたり、いろいろなバリエーションがあるが、手作りのピザ窯の場合、このふたつの方式を頭に入れて事に臨めばいいだろう。

また、窯口の形状もいろいろで、正面から見て半円形であったり、台形であったりするが、少なくとも、ピザを出し入れするときに使うピールと呼ばれるヘラが自由に出入りできるだけの大きさがほしい。

 

その2 どこにどんな素材を使ったらいいの?

両横綱は耐火レンガと大谷石

ピザ窯作りで、まず最初に悩むのが素材選びだ。とくに熱のかかる火床(燃焼室)や焼き床、窯内部の素材は、ピザ窯そのものの性能に関わるのでとても重要だ。

要するに、ピザやパンを焼く温度(約200〜300℃)の耐熱性を持ち、しかもある程度の蓄熱性のある素材ということになるのだが、さまざまな手作り窯の実例を見てみると、メイン資材としては耐火レンガと大谷石が両横綱といえそうだ。どちらも熱に強く、加工もしやすいというのが理由だ。耐火レンガは、ホームセンターやウエブ通販での入手が簡単だが、大谷石は近年、ホームセンターでの流通が少なくなり、ウエブ通販が主流となりつつあるようだ。また近年、関東での大手ホームセンターで売り出したイタリアからの輸入石「タフ・ステンストーン」も耐熱性が高く、大谷石と同様の使い方ができそうだ。

また、粘土も比較的ポピュラーなピザ窯の素材だ。比較的蓄熱性も高く、成形もしやすいので、窯の外壁などによく使われる。ただし、雨に弱く、崩れる場合もあるので、屋外に作る場合、窯を雨から守る屋根組みが必要になる。

フランス産の耐火レンガ。ふぞろいの焦げ跡がいい味になっている。 220×105×54mm、約198円

 

JIS規格の刻印が入っている耐火レンガ。約227×110×60mm、約128円

 

タフ・ステンストーン。イタリアからの輸入石。熱に強く、軽く、加工しやすい。370×200×110mmの基本が約480円、370×110×110mmが約380円

 

ピザ窯作りの救世主は、アサヒキャスター?あるいはSic棚板?

耐火セメントや耐火モルタルと呼ばれるものが市販されているが、これらはDIY向きではないというのが多くのプロ職人の意見だ。これらの多くは通常のセメントやモルタルのように水を加えても常温では硬化せず、かなり高度の熱を加えてはじめて硬化するという特性を持っているため、扱いが非常に難しいのだ。そこで、本誌編集部がおすすめするのが、「築炉業界のインスタントセメント」とも呼ばれる「アサヒキャスター」という耐火コンクリート資材だ。1300~1500℃に耐える強固な耐火性能を持ち、耐火レンガの目地材として、流し込んで作る焼き床の資材として、もちろん、ピザ窯の壁、天井にも使えるし、BBQ炉や囲炉裏、暖炉、陶芸窯などにも使える。なによりも扱いが簡単で、通常のセメントのように水を加えて練るだけ。24時間後にはカチンカチンに固まっている。さらに入手も楽だ。

アサヒキャスターには、いくつかの種類があるが、メーカーがDIY向きということですすめているのが「アサヒキャスターCA‐13T」という製品。原則として一般店頭での扱いはなく、すべて代金引き換えの通販による購入となる。(発売元:AGCセラミックス

また、本誌に寄せられた情報によれば、陶磁器の焼成に使うSic棚板=カーボランダム棚板と呼ばれる人工鉱物(炭素とケイ素の結合物)が焼き床の素材として使われていることがあるという。熱伝導率も非常に高く、遠赤外線放射も高いといわれる。価格的にはたとえば600×600×14mmで、約1万6400円(編集部調べ)と、やや高いが、使用感はいいという。興味のある人は「陶磁器焼成用棚板」で検索してチェックしてみることをおすすめしたい。

アサヒキャスターCA-13T。1袋25㎏入り。1袋分に水を加えて流し込むと、590×480×45mmのコンクリート板ができ、これを焼き床にすることも多い

 

大谷石。栃木県の大谷町付近で採掘される軽石凝灰岩の1種。熱に強く柔らかいので加工しやすい。外壁材として利用されている。等級によって価格はバラバラだが、2級クラスで、約450×150×90mmで1500円前後が目安(編集部調べ)

 

陶磁器を焼成するSic棚板=カーボランダム棚板を焼き床にしている例(H邸の例)

 

耐火レンガにもグレードがあるのだ

耐火レンガにもいろいろなグレードがある。なにも刻印されていないノーブランドのアンティーク品もあるが、通常は、耐火レンガのグレードは、JIS規格により、レンガに刻印されている番号で表される。例えば、よく出回っている「SK32」は1350℃までの耐火性能、「SK34」は1400℃まで、「SK38」が1560℃までの耐火性能を表している。

「SK32」の刻印がある国産の耐火レンガ。1350℃までの耐火性能がある

 

熱のかからない部分は好みの資材好みのデザインで…
以前、本誌が作ったピザ窯。土台はブロック積みで、センプラムで仕上げた

 

全面レンガを積み上げた本格的なパン窯(岩手県大船渡市寿限無の会の手作り作品)

 

Wさんが長野の別荘に作ったピザ窯。ドーム状の窯の表面には地元で調達した小さな丸石と粘土が盛られている。また、粘土は雨に弱いので屋根が架けられている

 

ブロックを積み上げて作ったパン窯。窯部分のみ耐火レンガを使っている。扉は縞鋼板を加工して作った(Wさんの手作り作品)

 

火床に鉄板を使うというケースもまれにみるが、熱による変形や膨張を考えると避けたほうが無難。ただし、縞鋼板や厚めの鉄板を窯口の扉(蓋)に使っているケースはよく見かける。その場合でも、内側にはケイカル板や石こうボード、アサヒキャスターなどを入れて、鉄板が過熱するのを防ぐことが多い。

その他、熱のあまりかからない部分には、施主の好みや事情によって、さまざまな素材が使われている。たとえば土台などは、窯の重量を支えることが重要なわけで、よく見るのは重量ブロックを積むという方法だが、他にも枕木や自然石、平板コンクリート、木材などが使われる。

さらに、土台の化粧や熱のあまりかからない窯の表面などはさらに自由度が増す。市販の壁塗り材や粘土、細かい自然石や乱張り石、貝殻など、好みの素材、好みのデザインで、ピザ窯のある庭作りを楽しんでほしい。

 

ピザ窯の土台は、重量ブロックで作ることが多い。3段積み程度で鉄筋入りが前提。頑丈にするために空洞部にガラやモルタルを詰めることもある

 

枕木は、ピザ窯の土台にも使える。写真は、防虫・防腐処理されたACQ枕木。180×100mm角で、長さ600mmが約980円、長さ900mmが約1480円、長さ1200mmが約1980円

 

新品枕木。防腐加工済みで、200×140mm角で、長さ900mmが約2380円、長さ1200mmが約2980円、長さ2100mmが約4980円

 

スペイン産の大理石粉末入り塗り壁剤、センプラム。ガーデンウオールなどに使われ、エキゾチックなテイストを作り出す。ピザ窯作りではブロックなどで作った土台の化粧などに最適

*掲載データは2010年6月時のものです。

「南京結び」完全習得!これであなたも半径5mのヒーロー!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(19)

いろいろなロープテクニックがあるが、ここでは「南京結び」1本に絞りたい。軽トラに荷物を載せ、しっかりと固定するための代表的なロープテクニック。暗闇の中でも、目をつぶっても、すばやくできるようになれば、周囲のリスペクト、独り占めだ!

 

 

ロープはただの便利アイテムじゃない

アウトドア関連の書物やネットなどでチェックすれば、いやになるほど出てくるのがロープテクニックだ。連続写真やイラストなどでていねいに解説され、その種類も実に多彩。だが、どうだろう。その多彩さのため、その場で覚えることを後回しにして、とりあえずあとで役立たせるための「資料」としてとっておき、そのまま現在に至ってはいないだろうか? つまり、何も身についていない、という方はいないだろうか?

何を隠そう、最近までの筆者がそうだ。

たとえば、実際に車に荷物を固定するときにそれまでどうしていたのかというと市販の「タイダウンベルト」を使っていた。歯止めのついたベルトを引っ張るだけで簡単に荷物を固定できる。歯車を組み合わせたラチェット式のものだとさらに簡単に固定できる。大した力のいらない確実な方法だ。じゃあ、それでいいじゃないかと思うかもしれないが、それは違う。タイダウンベルトはただの便利アイテムだが、ロープは里山に生きる男のシンボリックな武器でもある。つまり、ロープ1本を自在に使いこなすことで得る利便性に加え、「俺はロープさえあればダイジョブさ…」という男としての構えがアピールできる。

で、前述の話に戻るのだが、じゃあ、多彩なローピングテクニックのなかで、ひとつだけ覚えるとしたら何がいいか? もちろん、迷わず「南京結び」を選びたい。またの名を「万力結び」、英語では「トラッカーズヒッチ」と呼ばれる、トラックなどの積載物をしっかり固定するためのローピングだ。当然ながら、トラックを使う職人さんや運送業者の方なら、ほぼ100%身についているローピングでもある。レンタルトラックなどで資材を運ぶDIYerにとってもめちゃくちゃ役に立つテクニックで、図解などを見れば、誰もが簡単に覚えられる。だが、しつこいようだが、覚えても身につかなければダメ。

では、身につける秘訣を伝授しよう。

 

軽トラに材木を固定するときの南京結びの手順例

 

まず、前述の手順写真を見ながら3~4回、次に実際に軽トラに資材を積んで実施すること5回。その後、これを使うチャンスが2週間に1回程度ほしい。これで、もう大丈夫。あとは、ギャラリーの前でさりげなくその技を披露するチャンスを待つだけだ。いつの日か、「おっ、やるじゃない」と思わせれば大成功。半径5mのヒーローの誕生だ。もし、これでいい気持ちになったら、ほかのローピングを覚えればいい。欲張らず、とりあえず「南京結び」1本に絞れば、必ずワンステップ進めます。

PS:もしこれで身につかなかったら…やっぱりタイダウンベルトしかないね、一生。

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2018年2月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

実践!モルタル造形3つのテクニック/枕木ドア&錆びたポストの壁の造形編

ここからは実際にモルタル造形が作られていく過程とそのノウハウを紹介する。プラスターからレンガがのぞく壁、乱積みされた自然石の壁、枕木ドア&錆びたポスト、代表的な3パターンを製作。

*まずはこちらをチェック。モルタル造形の基礎知識編はコチラ

*テクニック1「レンガ&プラスター壁の造形」はコチラ
*テクニック2「乱積みされた自然石風の壁の造形」はコチラ

 

テクニック3 枕木ドア&錆びたポストの壁

 

各作業の共通の流れ

<モルタル造形>

  1. ギルトセメントをかくはんする
  2. ギルトセメントを薄く(5mm厚)圧着させる
  3. 造形用にギルトセメントを15mm程度塗り重ねる
  4. 作りたいものの形をレイアウトする
  5. デザインを元にカービングする

<エイジング塗装>

  1. 表面を清掃し、シーラーを塗る
  2. ベースとなる色の塗装
  3. ダークな色で全体に陰影を与える
  4. 乾いたハケと塗料で素材感を出す
  5. 全体の色調の調整
  6. クリア塗装で仕上げ

 

下準備

ギルトセメントと水をあわせて、よく混ぜ合わせる。目安は1袋に対し、5L

 

左官ひしゃくやコテ板にのせてダレない程度に水の量を調節しよう

 

モルタル造形の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

エイジング塗装の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時ものです。

実践!モルタル造形3つのテクニック/乱積みされた自然石風の壁の造形編

ここからは実際にモルタル造形が作られていく過程とそのノウハウを紹介する。プラスターからレンガがのぞく壁、乱積みされた自然石の壁、枕木ドア&錆びたポスト、代表的な3パターンを製作。

*まずはこちらをチェック。モルタル造形の基礎知識編はコチラ

*テクニック1「レンガ&プラスター壁の造形」はコチラ

 

テクニック2 乱積みされた自然石風の壁

 

各作業の共通の流れ

<モルタル造形>

  1. ギルトセメントをかくはんする
  2. ギルトセメントを薄く(5mm厚)圧着させる
  3. 造形用にギルトセメントを15mm程度塗り重ねる
  4. 作りたいものの形をレイアウトする
  5. デザインを元にカービングする

<エイジング塗装>

  1. 表面を清掃し、シーラーを塗る
  2. ベースとなる色の塗装
  3. ダークな色で全体に陰影を与える
  4. 乾いたハケと塗料で素材感を出す
  5. 全体の色調の調整
  6. クリア塗装で仕上げ

 

下準備

ギルトセメントと水をあわせて、よく混ぜ合わせる。目安は1袋に対し、5L

 

左官ひしゃくやコテ板にのせてダレない程度に水の量を調節しよう

 

モルタル造形の作業手順

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エイジング塗装の作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時ものです。

実践!モルタル造形3つのテクニック/レンガ&プラスター壁の造形編

ここからは実際にモルタル造形が作られていく過程とそのノウハウを紹介する。プラスターからレンガがのぞく壁、乱積みされた自然石の壁、枕木ドア&錆びたポスト、代表的な3パターンを製作。

*まずはこちらをチェック。モルタル造形の基礎知識編はコチラ

 

テクニック1 レンガ&プラスター壁

 

各作業の共通の流れ

<モルタル造形>

  1. ギルトセメントをかくはんする
  2. ギルトセメントを薄く(5mm厚)圧着させる
  3. 造形用にギルトセメントを15mm程度塗り重ねる
  4. 作りたいものの形をレイアウトする
  5. デザインを元にカービングする

<エイジング塗装>

  1. 表面を清掃し、シーラーを塗る
  2. ベースとなる色の塗装
  3. ダークな色で全体に陰影を与える
  4. 乾いたハケと塗料で素材感を出す
  5. 全体の色調の調整
  6. クリア塗装で仕上げ

 

下準備

ギルトセメントと水をあわせて、よく混ぜ合わせる。目安は1袋に対し、5L

 

左官ひしゃくやコテ板にのせてダレない程度に水の量を調節しよう

 

モルタル造形の作業手順

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エイジング塗装の作業手順

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写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時ものです。

モルタル造形テクニック・これだけは知っておきたい!基礎知識編

中世ヨーロッパの石積みの街並み、ロンドンのようなレンガ造りの建物……。そんな外国の風景や理想のイメージを形にできるモルタル造形の世界。実はDIYでも十分製作可能である、そのノウハウをここに紹介する。

 

モルタル造形ってどんなもの?

造形用の特殊なモルタルを用いて、自然石や大木などの自然素材から、レンガや枕木、鉄扉といった人工的な素材の形を彫りだし、塗料で着色していく技法のこと。まるで中世ヨーロッパの石積みの壁や経年変化が起こった味のある枕木などを造形することができる。テーマパークや店舗の内外装などに用いられているので、誰でも一度は目にしたことがあるはず。主に床面から壁を造形する。DIYであればフェンスやゲート、小屋の壁などをターゲットにするのがオススメ。

こちらはDIYerが作った自転車小屋。外、内ともに壁面に造形用モルタルと珪砂を混ぜたモルタルを用い、アンティーク風に仕上げている。(埼玉県/H邸)

 

壁から屋根にいたるまですべてモルタル造形で作られた小屋。イギリス・コッツウォルズをイメージ。(埼玉県/ミズムラデザイン)

 

ガレージ扉の壁面と屋根、それに続く門扉にモルタル造形を用いた例。このように瓦なども造形できる。(奈良県/T邸)

 

どんな材料を使うの?

ギルトセメントというモルタル造形を行なうために開発されたプレミックスモルタルを使用する。ダレずに厚塗りができ、表面をしっかり削り取ることができるので、ダイナミックでシャープな造形が可能。また硬化反応が緩やかなため、時間をかけた造形ができるのが特長だ。その種類も豊富で、色が白く着色が容易で明るい仕上げになる「TS1-W」、擬岩や彫刻など細かな造形に向いた「レリーフ」などのさまざまなタイプをラインナップ。

写真はTS1-W。25㎏入りで定価3960円。20mm厚で約1平米の範囲を塗ることが可能。なお、販売元のギルトバンクではモルタル造形用の塗料、道具も購入することができる

株式会社ギルドバンク

 

通常のモルタルに比べて粘性があり、ダレない。使用しているのはTS1-W

 

必要な道具は?

モルタル造形の作業工程は、モルタルを作りたいものに造形する作業とそれを本物のように着色していくエイジング塗装の作業のふたつに分かれる。まず造形に必要になるのは、大小のコテや千枚通し、刷毛跡をつけるブラシなど。塗装に必要なのは、大小の刷毛と色を伸ばすためのウエス、霧吹きなど。塗料はホームセンターに売っている水性塗料を使用するので、誰でも簡単に道具をそろえることができるはずだ。

造形に使用する道具。左から時計回りに、ブラシ、刷毛、コテ板、カービング用のポイントツール、千枚通し、中塗りゴテなど

 

大量のモルタルを練るにはかくはん機は必須。その他、トロフネや左官バケツも用意しておくといいだろう

 

塗装に使用する道具。左から時計回りに、パレット(合板の端材)、海綿、ウエス、ビニール手袋、塗料カップ、バケツ、霧吹き、各種刷毛など

 

使用する塗料は通常の水性塗料でOK。写真のように何色かカップに出しておくと、調色しやすい。絵の具を混ぜる要領で自然に近い色を作ろう

 

下地はどうなっているの?

モルタル造形を作る前の下地は、作品によりさまざま。小屋壁に塗る場合、合板に防水シートを張り、ラス網、珪砂や砕いた発泡スチロールを混ぜた下地用のモルタルの上に、ギルトセメントを塗ることになる。既設のコンクリートブロックの上から造形する場合は、高圧洗浄機などで表面をきれいにした後、下地用のモルタルにガラスメッシュをふせ込めばOK。その他、スタイロフォームを下地にすれば、好きな形を切り出すことも可能だ。

枕木を造形した作品。このように庭のアクセントになる小物を作ることも可能。なおこれは塗装前の状態

 

裏返すと下地の発泡スチロールが見える。スタイロフォームや発泡スチロールを好きな形に切り出して、ラス網を張れば、軽くて見栄えのある枕木や自然石を作ることができる

 

屋根の瓦を製作中の1枚。防水シートを張った下地の上に、瓦の形にカットしたスタイロフォームを並べ、ラス網をかけた後、下地用のモルタルを塗っている。(奈良県/T邸)

 

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2012年12月時ものです。

長持ちの秘訣教えます!刈り払い機のDIYメンテナンス/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(17)

里山の朝は空気をつんざくような2サイクルエンジンの轟音から始まる。刈り払い機(草刈り機)を使った雑草刈りだ。鎌(カマ)と比べて圧倒的な機動力を持つこの道具なくして、里山の暮らしは成り立たない、と思うくらいの必携道具だが、刈り払い機を長持ちさせ、安全かつ気持ちよく使うためには、地道なメンテナンスと整備が欠かせない。

 

最近びっくりしたのが、車のタイヤ交換をできない若者が増えたという話。ガソリンスタンドでお金を払ってやってもらうのだとか。おそらくそんな奴はマイカーのエンジンルームだってあけたことがないに違いない。腰が痛くなったジイさんならともかく、いい若いもんがめんどうなことはすべて業者頼り、お金で解決するというのでは、ちょっと情けないと思ったのだが、あなたはどう思います?少なくともそんな奴はJAFの来ないアウトバックには行けないね。

そんなわけで、今回は以前(本誌106号)、本欄で掲載した「刈り払い機の正しい使い方」で触れられなかった「刈り払い機のDIYメンテナンス」。車と同じように、とても簡単な作業なのだが、もしかしたら「自分でやったことがない」という人がいるかもしれない。刈り払い機は刃物がついた危険な道具でもあるわけで、日ごろの保守管理は自分や周囲の安全にもつながるし、もちろん刈り払い機の寿命を延ばすことにもなるのだから、しっかりやっておきたい。具体的には、刈り払い機のメンテナンスは、消耗部品の交換の判断とエンジンの始動不良の予防というのが主な目的だ。

なお、刈り払い機には、2サイクルと4サイクルの2つのエンジンタイプと電動式のバッテリータイプがあるが、ここでは現状では最もポピュラーな混合オイルを使った2サイクルのエンジンタイプをモデルケースにして説明してみた。刈り払い機は、メーカーや機種によって各部の位置が異なっているが、点検ポイント自体は基本的に同じなので、取り扱い説明書などをみてチェックしてほしい。また、4サイクルエンジンの機種も、燃料が違うくらいで、メンテナンスポイントは基本的に2サイクルエンジンとほぼ同じなので、参考になるはずだ。

 

<用意するもの>

左から、太めの針金、プラスドライバー(大小2本)、付属のコンビボックススパナ、付属の六角レンチ、古い歯ブラシ、グリス、ウエス、ダイヤモンドヤスリ

 

最低限やっておきたい!刈り払い機のメンテナンスポイント

POINT1 点火プラグのチェック

毎回ではないが、20~25時間程度の作業ごとにチェックしたい。電極がカーボンなどで汚れていたら歯ブラシなどで軽く掃除する。濡れていたら、ガソリンで洗い、乾かす。なお、電極のすき間(火花の間隔)は0.6~0.7mm(ハガキ3枚分程度)が正常。電極が焼けて黒くなっている場合は交換。

コンビボックススパナでプラグをはずす

 

汚れていたら歯ブラシなどで電極を掃除

 

POINT2 刈り刃の摩耗や破損をチェック

チップが埋め込まれた刃の先端が磨耗したり、変形している場合は、刈り刃の交換。たとえば、任意の3つ並んでいる刃の先端のうち、2個以上が欠けていたり、変形したり、先端のチップがなくなっている場合は、即交換。大丈夫な場合は、磨耗した刃先(チップ)をダイヤモンドヤスリで目立てして切れ味を再生する。

3つ並んだ刃の先端のうち、2個以上のチップが磨耗したり、欠けている場合は、即交換。そうでなければまだ使える。この写真でいうと右は欠けていないが、真ん中と左が欠けているのでNG

 

先端のチップをダイヤモンドヤスリで目立てする

 

POINT3 ギヤケースにグリスを補充する

50時間程度の使用ごとにグリスを補充する。ギヤケースのヘッド部の側面のネジをはずし、そのネジ穴からグリスを注入。ネジを元の穴に取りつけるとき、ゴミやホコリがつかないように気をつけること。

ギヤケースヘッド部の側面のネジをはずす

 

このネジ穴からグリスを注入する

 

POINT4 エアクリーナー内のエアフィルター(クリーナーエレメント)の掃除または交換

普通は25時間程度の使用ごとに、エアクリーナーケースのカバーをあけてチェックするが、ホコリの多いところでは使用後に毎回チェックしたい。汚れがあればはずして軽く叩く程度の掃除でOK。汚れがひどい場合は、混合オイルで洗い、固く絞って、乾燥してから取りつける。一般的には5~8年ごとに交換。

エアクリーナーを取り出して掃除

 

POINT5 アイドリングの調整

エンジンの回転が高すぎたり低すぎたりするときにアイドリング調整ネジを回して調整する。調子がいいときは触らないこと。

プラスドライバーでネジを回す。右回しで回転が高くなり、左回しで回転が低くなる

 

POINT6 燃料フィルターのチェック

汚れなどで詰まっていると燃料が回らずにエンジン不調の原因となる。

燃料の給油口から、太めの針金で燃料フィルターを引き出してチェック。汚れているときは、ガソリンでよく洗っておく。出し入れするとき、ゴミが燃料タンクの中に入らないように注意する

 

POINT7 各部の取りつけ部分をチェック

各部のゆるみを直し、サビやすい箇所はサビ止めスプレー

 

POINT8 刈り刃をはずしてヘッド内部を掃除

古い刃をはずす。ギヤケースの穴(ヘッド部横にある)に付属の六角レンチ(細い鉄の棒でもかまわない)を差し込んで、刃の回転を止めた状態で、コンビボックススパナで六角ボルトをまわして巻きつけ防止カバーや刃の押さえ金具をはずして掃除する。刃を固定している金具とヘッド部のすき間に泥や草が巻きついていたら除去する。なお、刃を固定しているネジは、逆ネジになっており、ゆるめるときは時計回り、閉めるときは逆時計回り。

ギヤケースのネジ穴に六角レンチを差し込み、刃が回転しないようにする

 

付属のコンビボックススパナで六角ボルトを回して刈り刃をはずし、すき間の草などを除去する

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2017年6月時のものです。

 

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自作の専用ツールが大活躍!自然薯採ったど~!これがDIYerの山芋堀りだ!?/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(16)

里山の自然薯(じねんじょ)掘りにハマって3年、すでに関東だけで500カ所のポイントを押さえているという自然薯掘り名人に出会った。つい、同行させていただけないかと頼んだのがいけなかったのか…?

今回は、房総の山林で経験した地獄のヤマイモ掘りの顛末。

 

初めて自然薯を自分で採るとこんな顔になります(両端のふたり)

 

自然薯とは?

山野に自生しているツル性のヤマイモ。栽培されているナガイモより細く、長い。葉は先が尖り、根元がハート形になっていて、夏には葉の付け根に花が咲き、葉のわきにムカゴができる。ナガイモよりも粘りがあり、トロロにすると美味。栽培されている自然薯も出回っているが、野生のものは珍重され、採集が難しいことから、価格も高い。

 

パソコンに500カ所、登録

今回の師匠、自然薯掘り名人を紹介したい。A・Kさん、64歳。電子回路設計の仕事に携わりながら、オフの日は神出鬼没に里山を駆け回るという野生の男だが、小学校のころから、真空管ラジオやワイヤレスマイクを組み立てていたという真正の理工系DIYerでもある。したがって、自然薯掘りのアプローチもやや理系。まずインターネットでグーグルマップとストリートビューを駆使し、自然薯ポイントのあたりをつける。後日、現場に行って確認し、自然薯の葉っぱや花、ツルなどを発見するとマーキングし、地中に持参の磁石を埋め込んでおく。次回ここに来たとき、コンパスが反応するので、迷うことはない。こうして確認した自然薯ポイントは、現在500カ所。ツルの太さを見て、それぞれ「ちょい大物」「かなり大物」「大物」と分類して自身のパソコンに登録している。

今回、出かけたのはそんなポイントのひとつ。場所はいえないが、房総の住宅地の裏手に広がる人けのない山林。もちろん土地オーナーの許可を取って入り込んだ。同行したのは名人とその友人親子。それに私の4人。全員、長靴に作業服、手袋に首タオルという〝闘う自然薯ファッション〟だ。

 

名人のパソコンに登録された500カ所の自然薯ポイント

 

ちょっと触るとすぐポッキリ

場に着いて広げたのは、名人手作りの自然薯スコップ。柄が分割式で、穴の深さに応じて、長さを調整できるし、先端部もいろいろあって、状況によって使い分ける。これを使って、いよいよ地面を掘り下げる。自然薯は大きなものだと地下1.5~2m以上に達する。これを折らないように掘り下げるわけで、自然薯の位置を見当しつつ、周りの土を取り除く。つまり2m近く掘るのだが、これだけでかなりの体力を消耗する。

 

ツール
今回持ち込んだ名人手作りの自然薯掘りツール。自然薯スコップは、柄がスチール製で軽く4~5つなぎで長さ調整が可。最長で2m40cm

 

磁石&コンパス
磁石(右)とコンパスは、常に携帯。ポイントを見つけると磁石を地中に埋めておく

 

自転車
自転車で行くときはこんなスタイル。自然薯スコップをフレームのように固定し、残るパーツはリアにくくりつけて走る。自転車も急坂に対応できるように超多段ギアに改造してある

 

自転車の荷台には…
鎌、自然薯スコップの先端、持ち手、マグライトなどが収まる

 

斜面で足場を確保する苦しい姿勢で、穴倉に顔を突っ込み、わけのわからない根や地中の茎を鎌でぶったぎり、指を伸ばして手を差し込み、曲りくねって伸びている自然薯を探るのだが、ちょっと触るとすぐ折れる。ミスを連発し、ポッキリと折れて4分割になった自然薯を手に、「採れた…」とよろよろと立ち上がったのは、穴掘りを始めてから2時間後だったが、私の頭の上で、「次、いきましょか…」の声が…。

その「次」がすごかった。今度は平地だったが、視界ほぼゼロの藪の中での穴掘りが続く。ここでも名人の手ほどきを受けながら、2m近く穴を掘るが、自然薯の先端が出てくるまで、ひたすら忍の一字。穴の入口にマグライトを吊るし、穴の中を照らしながら、ほぼ垂直に穴を掘る。穴の径が細くて、思うように土が持ち出せない。疲れ果て、手が震え、息が切れ、腹が減り、腰が立たず、もうダメ!と叫ぶ寸前、約1時間半後、ついに作業の終わりを示す自然薯の先端を捉えたのだった。

 

こ、こんなとこ、行くの?と思わず聞いてしまった藪の中

 

も…もう少しで…

 

こ、来なけりゃ、よかった……

 

ついに自然薯の頭を発見、その手前をほぼ垂直に掘り、芋の周りの土を慎重に取り除きながら進む。くれぐれも折らないように…

 

こ、腰が…

 

本日の収穫。トロロにしたら、ホントにうまかった

 

最後に名人にマジでいわれたことを伝えておこう。

私有地で掘るときは、必ず許可を取ること。また、現場を立ち去るときは、必ず穴を埋め戻しておくこと。そのとき、そこで根づくように自然薯の先端部分を埋めておくこと。あなたが自然薯掘りに挑戦するときは、この3つは守ってほしい。

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2017年4月時のものです。

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すぐできる技を直伝!キャンパーのための「裁縫」入門テクニック

DIYキャンパーのネクストステップは、ズバリ鉄と布の加工。木工と組み合わせれば、ギア作りの幅が一気に広がること間違いなし!ここでは誰もがトライできるお手軽テクニックを厳選して紹介します。

 

~教えてくれる人~

浅田圭介さん

誰でも気軽に溶接体験ができるショップ、Fe★NEEDS(SUZUKID)鎌倉店、中目黒店の店長で溶接の腕前はプロ級。キャンプ歴20年のベテランキャンパー。自作ギアの一部は商品化、販売されている。

Fe★NEEDS
SUZUKID(スター電器製造)

 

<裁縫編>

工業用ミシンの構造と名称

問い合わせ◎わくわくミシン工房

  1. LEDライト…手元の明かりに
  2. 押さえレバー…押さえ金を上下させる。作業中は下ろして布を押さえる
  3. 糸調子ダイヤル…上糸の糸調子を合わせる際に使用
  4. 押さえ金と送り歯…布地を上下でしっかり挟んで送る
  5. 下糸用半回転垂直釜…下糸を巻いたボビンとケースを収めておく釜
  6. 二つ折りバインダー…帯状の素材を二つ折りにして縫いつけていくツール
  7. 縫い目調整レバー…縫い目長さを0~5.5㎜の間で調整する。一番下に下げると縫う向きが逆に変わる。返し縫いに使用
  8. はずみ車…回すと針が上下に動く
  9. ジグザク振り幅レバー…ジグザグ縫いをする際の振り幅を0~5㎜の間で調整する
  10. 大型糸立て棒…使用中はミシン糸を棒に通し、立てておく
  11. 針移動レバー…針位置の変更レバー。基本はR(右)でOK
  12. 作業台…ミシンに合わせて作った木製の作業台

 

<工業用ミシン針>

ミシン針は交換することにより、レザーにも対応。布地にはDP×17、19番針を使用

 

<ミシン糸>

ミシン糸。左が8番、右が20番

 

<フットコントローラー>

スタート、ストップを足元で操作する道具

 

ミシンをざっくり分けると家庭用、職業用、工業用の3種類がありますが、僕が使っているのは工業用ミシン。理由は単純でキャンプギアによく使う厚い布地やレザーも縫えるパワーがあるから。もちろん、いきなり高価な工業用ミシンを買う必要はなくて、家庭用ミシンで裁縫に慣れていき、ステップアップしていくのもいいと思います。工業用は使い方や構造もシンプルなので、本気で裁縫を絡めたギアを作りたい人にはぜひおすすめです。

工業用ミシンで使う縫い糸ですが、帆布用・厚地ステッチ用途に適した20番か8番を使います。針のサイズは19番。これは数字が小さくなるに従って、径が太くなっていきます。ちなみに今回は紹介しませんが、レザーを縫う場合は針を革専用のものに代えて使用します。

工業用ミシンは家庭用ミシンと違って、下糸はボビンケースを使用する垂直釜でセットする仕組み(後述参照)。家庭用ミシンでよくみる水平釜に比べ、糸締りがよく、縫い目の仕上がりが安定するところもポイントですね。

ミシン縫いのスピードは付属のフットコントローラーで操作します。踏み具合によって、無段階に調節できるので、ゆっくり縫ったり、縫い目を微調整しながら縫えて、使いやすいですね。

 

使用する材料と選び方

キャンピングギア作りで使う布地の例

左から、ナイロン(裏面PVCコーティング防水生地)、8号帆布、ブラッシングデニム

 

キャンプギアで使う布地は用途に合わせて選びましょう。強度が必要なのか、それとも防水が必要なのか。僕が作るのはチェアの座面やコットが多いので、厚手の布地、例えば4号帆布や耐久性のあるコーデュラナイロンをよく使います。逆に作ったギアを収納するツールバッグなんかは、薄手のものでOKです。いずれにせよ、外で使うものだから撥水加工されている生地であればベターです。でもそこにこだわりすぎず、デニムなど好みの生地を使うのもひとつの手です。ちなみに購入方法ですが、手芸屋さんではなかなか厚い生地が見つからないので、ウェブショップやネットオークションを使うことが多いですね。

 

ミシン縫いの準備

ミシンは上糸と下糸の2本の糸を絡ませて縫っていく。まずはミシン糸をボビンに巻いて、下糸の準備から始めよう。

 

<下糸を巻いて垂直釜にセットする>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

<上糸をかけて針に通し、下糸を引き出す>

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基本の縫い方

まずはミシン縫いの基本となる直線縫いと返し縫いをマスターしよう。はじめはゆっくり縫って動作になれたり、はぎれで練習してみよう。

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<縫う前にここも確認!> 縫い目幅の調整

直線縫いの場合は、布の厚さに応じて、縫い目の長さ(送り幅)を選ぶ。縫い目調整レバーの位置を変えて幅を調整しよう。薄地の布であれば、縫い目を細かく、厚手であれば送り幅を広く設定する。キャンプギア作りの場合は、厚手の布地が多くなるので、送り幅は3~4mmになるよう広めにとっておこう。

 

レバーを上下して縫い目幅を調整する。目盛りはないのでどの位置でどのくらいの幅になるのか覚えておこう

 

縫い目幅を変えて縫った例。下に向かって縫い目幅が細かくなっている

 

<縫う前にここも確認!> ジグザク縫いの振り幅調整

ジグザク縫いの振り幅もレバーで変更可能。縫い目幅と同じく、薄地の布には振り幅は狭く、厚手の生地には振り幅が大きくなるように設定しよう。

 

振り幅調整レバーには目盛りがついており、0~5mmの間で調整可能

 

ギア作りにおけるジグザグ縫いは、布テープで作ったループの縫いつけなどで活用する

 

チェアの背もたれを縫う

直線縫いのテクニックを使って、ローチェアの背もたれを作ってみよう。二つ折りバインダーを使って、布端の処理をするテクニックにも注目!

 

8号帆布で作るローチェアの背もたれ。布の上下の切れ端はアクリルテープを使って処理。張りつけ時にテンションのかかる座面の左右は、厚みが出るよう折り返して仕上げた

 

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写真◎佐藤弘樹、冨田寿一郎

*掲載データは2019年4月時のものです。

すぐできる技を直伝!キャンパーのための「鉄工」入門テクニック

DIYキャンパーのネクストステップは、ズバリ鉄と布の加工。木工と組み合わせれば、ギア作りの幅が一気に広がること間違いなし!ここでは誰もがトライできるお手軽テクニックを厳選して紹介します。

 

~教えてくれる人~

浅田圭介さん

誰でも気軽に溶接体験ができるショップ、Fe★NEEDS(SUZUKID)鎌倉店、中目黒店の店長で溶接の腕前はプロ級。キャンプ歴20年のベテランキャンパー。自作ギアの一部は商品化、販売されている。

Fe★NEEDS
SUZUKID(スター電器製造)

 

<鉄工編>

使用する材料と選び方

ホームセンターで購入できる鋼材一覧がこちら。異形鉄筋や丸鋼は、焚き火ハンガーやスタンド脚部に、鋼板やエキスパンドメタルは焚き火台やグリルスタンド天板に……と用途に合わせて鋼材の形状やサイズを選びましょう。またアングルをテーブル端の補強兼飾りに使うなど、アイデア次第でさまざまな使い方ができるのがギア作りの面白いところ。機能だけでなく、デザインのアクセントとしても積極的に取り入れると面白いですよ!

 

テクニック1 切る<Cut>

鋼材を切る道具は手工具から大がかりなパワーツールまで実にさまざま。日曜大工の道具ぞろえですぐに始められる加工方法をピックアップ!

 

<丸ノコ>

鉄・ステンレス兼用のチップソー

 

ドゥーパ!読者の多くが持っているであろう丸ノコ。その刃を鉄工用に交換すれば、金属カットのできる丸ノコに変身! 板厚にもよりますが、木材を切るのと大差ない感覚で切れるはず。ちょっとした鋼材のカットならこれが確実。

 

作業音はやや大きめで、切断時には火花が飛び散る

 

6mm厚、32mm幅のフラットバーを切ったところ。切断面はきれい

 

<ジグソー>

鉄工用ブレード。刃が非常に細かい。3~5本セット、1000円前後で販売されている

 

木工の曲線カットや切り抜きに登場するジグソー。実は鉄工用のブレードを装着すれば、鋼材をカットすることができるんです。ただし木材に比べると切断に時間がかかることに注意。木材・金属兼用や厚板用のブレードもあるので、購入の際は注意を。

 

鉄工用ブレードを装着すれば、こんな鋼板を切断することもできる。しっかりと材を固定し、ゆっくりていねいに切り進めよう

 

カットした1.6mm厚の鋼板。切断面もきれい

 

<ディスクグラインダー>

ステンレス・金属用の切断砥石

 

丸ノコやジグソーと同じくディスクの付け替えにより、鋼材のカットができます。切断の際は火花の量、切断面のバリともに多く、切り口はやや粗め。焚き火ハンガーに使う太径の異形鉄筋やエキスパンドメタルなど、精度を求めない箇所に使うとベターです。

 

異形鉄筋やエキスパンドメタルの加工に

 

異形鉄筋の切断面。切り口はよ〜く見るとやや粗い

 

テクニック2 曲げる<Bend>

丸鋼や鉄筋など棒状の鋼材を曲げる方法を紹介。特殊な道具はいらないので、思い立ったら即実践!

 

バイスとパイプで曲げる

テーブルやチェアなどのフレームの曲げに

 

10mm径くらいの鉄筋や丸鋼なら簡単に曲げられるテクニックです。必要なのはバイスとパイプ、たったこれだけ。テコの原理で思った以上に簡単に鋼材が曲がるはず。ただし曲げたあとは必ず角度を確認して、狙った曲がりになるよう調整してくださいね。

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

バーナーで熱して曲げる

焚き火ハンガーに使う細径のフックなどに

 

トーチバーナーなどで鋼材をあぶり、材が赤くなるまで熱して、軟らかくしてから曲げる方法。細い丸棒を細かく曲げたいときなどに有効です。バーナーは火力が強ければ強いほど、曲げるまでの時間が短くなります。

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

細径の棒ならパイプベンダーも

フックに使うような細い径の棒ならパイプベンダーで曲げるという手もある。ベンダーには目盛りがついているので、任意の角度に曲げるのも簡単。写真のような手動式のハンドベンダーであれば3000~5000円ほどで購入できる

 

テクニック3 あける・つなぐ<Drill&Connect>

溶接ではなくボルト&ナットで鋼材を接合するテクニックを紹介。鉄工用ドリルで材にネジやボルトを通す穴をあける。

 

インパクトドライバーであける

木と鉄を組み合わせたテーブルに。写真の作例ではアングルに穴をあけ、天板裏に桟として固定。さらに脚となる角パイプと桟をボルトで接合している

 

3mmくらいまでの薄いフラットバーや鋼板など、材に厚みがない場合に有効な方法。インパクトドライバーに鉄工用ドリルビットを装着し、木材と同じように穴をあけていくだけ。厚みのある材やシビアな精度を要求されるシーンでは、後述のボール盤がベターです。

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

ボール盤であける

厚みのある材は、ボール盤の出番です。鉄工用のドリルビットを装着してビットをゆっくり下ろせば、確実に真っすぐな穴を加工することができます。また大量の鋼材を加工するときにもオススメです。

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

写真◎佐藤弘樹、冨田寿一郎

*掲載データは2019年4月時のものです。

解体するための道具の種類と使い方・後編/超実践的DIY道具ラボ(21)

住宅用家屋の解体というと急に敷居が高くなってしまうが、今回はDIYで作った小屋や物置、模様替えのための室内などをターゲットに、道具とその使い方、解体手順を紹介しよう。

作業服選び&解体の3大道具などを解説した前編はコチラ

 

解体作業で持っていると便利な道具

在来工法であれ、2×4工法であれ、解体には前編で紹介した「チェンソー」「はつり機」「バール」の3アイテムがあれば、大体の工程をクリアできる。だが、廃材をリサイクルしたいからていねいに解体したい、古民家によくあるホゾ組みを生かしたままにしたい、高所での解体作業をより安全に行ないたいという場合には、以下の道具が役立つので覚えておくといい。

 

<プライヤー>

ネジ頭の溝がつぶれたり、途中で折れたビスを無理やりこじり取るときに便利

 

<インテリアバール>

片手で扱いやすいサイズ(250mm程度が多い)のバール。へら部分が広いので、すき間をこじってはがす作業で活躍する。反対側はクギ抜きとしても使える

 

<インパクトドライバー>

木材からビスをはずすときに使う。錆びついていたりビス頭の溝が埋まっていてはずせないときは、ビットをネジはずし専用のものに替えるといい

 

<ハツリハンマー>

クサビ状のヘッドが特徴的な解体用ハンマー。ホゾ組みの柱をはずす際に衝撃を与えたり、ブロックやモルタルをはつる(壊したりはがしたりする)作業に使用する。重さは450g、700gが一般的

 

<折り込みノコギリ>

折りたたみ式ノコギリ。刃の長さは150mm程度が扱いやすい。持ち運びしやすく、細かな切断が必要な場面に使用する

 

<脚立>

天井など高い箇所の解体時に活躍する。足場板が広いモデルなどバリエーションが豊富。一番上に乗ってぎりぎり届くのではなく、中段ぐらいでも安全に作業できるサイズを選びたい

 

<ガラ袋>

解体で出た廃材を分別して廃棄するのに便利なポリプロピレン製の袋。サイズは600×900mm規格

 

小型重機ミニユンボをレンタルして使う

廃材を再利用するためにきれいに解体する必要がない、周囲に十分なスペースがあるということであれば、小型重機を解体作業に使う手も。1トン未満のミニユンボでも物置ぐらいなら簡単に壊すことができ、基礎の撤去から整地まで、短時間で作業することができる。こうした重機は自動車と同じで、私有地で私用に使う限り免許が不要。しかし、レンタル業者から借りる場合は、技能講習修了書の提示を求められる。購入して独学で操作方法を学んでもいいが、確実な操作と安全のためにも、建設機械メーカーなどが主催する専門の教習所で講習修了証を取得しておくのが得策だ。

3トン未満の小型重機なら扱うのもそれほど難しくはない。講習修了証は1~2万円程度で取得できる

 

解体作業の基本手順を知る

ここでは建築申請のいらないDIY小屋や物置を例に基本的な解体手順を紹介。解体といっても、やみくもに壊しては現場がグチャグチャになって整理がつかなくなる。基本的には組み立て時の手順と逆に進めていけばいい。なお、外装材解体(STEP4)と、屋根の解体(STEP5)の順番はどちらを先に行なってもいいので、天候や作業のしやすさに応じて決めよう。また、各工程を終えるごとに、各廃材は分別して整理しておくと片付けがラクになり、作業スペースも確保しやすくなる。

 

STEP1 現場の準備
住宅街なら近所に粉じんが飛び散らないか、ほこりが舞わないか確認。必要なら建物周囲に足場を立て、養生シートを張ろう。解体中に粉じん、ほこりが多く出そうならホースで散水してくれる助手も用意したい

 

STEP2 建具を取りはずす
室内の家具類はすべて運び出し、窓やドアなどを取りはずす。ていねいに作られた建具は、エイジングされたアンティーク風の作品として再利用できるし、金具類も状態がよければ、保管して次の製作に利用することができるので、細かくチェックしながら解体したい

 

STEP3 内装材を解体する
壁紙、壁板、床板、断熱材などを解体。天井から床(上から下)の順に作業を進める。はがす作業が多いので使う工具はバールがメイン。上下水道、電気、ガスを引いている場合は業者に撤去を依頼するのが確実だ

 

STEP4 外装材を解体する
外壁、窓枠、ドア枠などをはがしてしまう。部材に合わせて各種電動工具を使うとはかどる。解体した廃材からビスや金具を取りはずし、材質ごとに分別してガラ袋に収まる長さ(900mm程度)に切断してまとめておく

 

STEP5 屋根材や屋根下地を解体する
アスファルトシングルやスレートなどの屋根材をはがし、屋根下地も解体していく。高所での作業となるので、転落防止の安全対策には十分な注意が必要だ。可能なら、解体した廃材は取りあえず地面に落としてしまい、後で整理すればいい

 

STEP6 構造材を解体する
チェンソーを使って解体する。途中で崩れないように解体する部位、順番に注意し、バランスよく進めていく。基本は上から解体していくが、必要であれば突っかい棒をかますなど安全策をとる。長い材は解体したら運びやすい長さ(ガラ袋に入るサイズ)にカットしておこう

 

STEP7 基礎石を撤去して整地する
モルタルなどで固定した場合はハツリ機を使うとスムーズに粉砕、解体できる。現場に残った細かな屑を掃除し、地面を平らに均して整地する。なお、一連の作業で発生した大量の廃材は、たとえ木材でも焚き火で処分することは多くの自治体で規制されているので、近くのごみ処理場や環境センターに持ち込んだり、産廃業者に頼んで処分してもらおう

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2017年10月時のものです。

解体するための道具の種類と使い方・前編/超実践的DIY道具ラボ(20)

住宅用家屋の解体というと急に敷居が高くなってしまうが、今回はDIYで作った小屋や物置、模様替えのための室内などをターゲットに、道具とその使い方、解体手順を紹介しよう。

 

作業服は動きやすくてケガを防ぐウエアで決める

解体作業中は材が頭に落ちてくる、床を踏み抜く、すき間に手をはさむといった予期しないアクシデントに見舞われることがある。そんなトラブルを安全にやり過ごせるようなウエアを身に着けることが大事。今回のテーマになっているDIY小屋や物置の解体では、それほど大げさなウエアは必要ないが、それでもこれらのポイントを押さえておくことで、快適に作業することができる。

 

 

とび職が愛用するニッカポッカも、作業服としてのズボンにおすすめ。太ももの上げ下げ、ひざの屈伸が快適だそう

 

粉じんやほこりから身を守るには、とにかく皮膚を露出しないようにし、汚れても気にならない服を着用する。コットン生地のTシャツは、汗をかくと粉じんや小さな木端がくっついて身体がかゆくなることがある。ジーパンは丈夫でいいが、汗をかくとひざが上がりにくくなって動きにくい。暑い季節でも半袖、短パンはケガのもととなるので避けておきたい。寒い時期には、少し大きめのつなぎを重ね着してもいい。また、服装以外の小物装備にもこだわろう。

 

<ヘルメット>

頭をぶつける可能性、物が落ちてくる可能性のある場所、屋根上などの高所では必須となる装備

 

<防護メガネ>

切断、はつり、引きはがしなどの作業では、くずが飛び散るので目の防護が大切。視野が広くとれるものを着用したい

 

<手ぬぐい>

汗をふくためというよりも、首に巻いて粉じんが衣服の中に入らないために着用する

 

<防塵マスク>

粉じん、ほこりが出る工程では必需品。呼吸がしやすく、顔にフィットし、しっかり防塵できるタイプを選びたい

 

<グローブ>

軍手でもいいが、写真のような作業用グローブのほうが性能がいいのでおすすめ。バリエーションも豊富

 

<安全靴>

つま先はもちろん、クギの踏み抜きから足裏を保護してくれるモデルをセレクトする

 

解体作業で使う3大道具

実際の木造住宅の解体作業を見ても、メインとなる道具は案外とシンプルだ。壁材や屋根材をはがすバール、柱など構造材を切るためのチェンソー、基礎を砕いて解体するためのはつり機の3アイテムが主に使われる。なお、構造材の切断に丸ノコは使わないようにしよう(解体後の木材カットなどには使ってもいい)。丸ノコは下に置いた材を上から切るものなので作業が進めづらく、横向きや上向きにして使うのは危険。構造材の解体には、いろいろな方向から切ることができるチェンソーのほうが適している。

 

<チェンソー>

柱材など構造部分の解体に使う。住宅街なら音の静かな電動チェンソーのほうがおすすめ。大排気量のエンジンチェンソーと比べるとパワーは劣るが、十分使うことができる

 

<はつり機>

ハンマードリルや電動ハンマーとも呼ばれている小型の削岩機。コンクリートにこびりついたモルタルなども比較的簡単にかき落とすことができ、コンクリートブロック、レンガを粉砕したいときにも使える

 

<バール>

長いバール(900mm程度が使いやすい)はテコの原理で、はがす、こじる、持ち上げるといった使い方をする。多少荒っぽい作業となる解体現場で活躍

 

小回りの利くレシプロソーで作業スピードアップ!

構造材に2×4材や垂木など、比較的薄い材を多く使っている場合は、レシプロソー(またはセイバーソー)と呼ばれる小型の電動ノコギリが便利。チェンソーでは作業がしづらい場所で手ノコを使うよりもすばやく解体できる。ブレードを交換すれば金属系の素材も切断できるので、1台あると非常に心強い。

チェンソーとは違って片手で操作でき、写真のような隅っこや狭い場所でも安全に使える

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2017年10月時のものです。

解体するための道具の種類と使い方・前編/超実践的DIY道具ラボ(20)

住宅用家屋の解体というと急に敷居が高くなってしまうが、今回はDIYで作った小屋や物置、模様替えのための室内などをターゲットに、道具とその使い方、解体手順を紹介しよう。

 

作業服は動きやすくてケガを防ぐウエアで決める

解体作業中は材が頭に落ちてくる、床を踏み抜く、すき間に手をはさむといった予期しないアクシデントに見舞われることがある。そんなトラブルを安全にやり過ごせるようなウエアを身に着けることが大事。今回のテーマになっているDIY小屋や物置の解体では、それほど大げさなウエアは必要ないが、それでもこれらのポイントを押さえておくことで、快適に作業することができる。

 

 

とび職が愛用するニッカポッカも、作業服としてのズボンにおすすめ。太ももの上げ下げ、ひざの屈伸が快適だそう

 

粉じんやほこりから身を守るには、とにかく皮膚を露出しないようにし、汚れても気にならない服を着用する。コットン生地のTシャツは、汗をかくと粉じんや小さな木端がくっついて身体がかゆくなることがある。ジーパンは丈夫でいいが、汗をかくとひざが上がりにくくなって動きにくい。暑い季節でも半袖、短パンはケガのもととなるので避けておきたい。寒い時期には、少し大きめのつなぎを重ね着してもいい。また、服装以外の小物装備にもこだわろう。

 

<ヘルメット>

頭をぶつける可能性、物が落ちてくる可能性のある場所、屋根上などの高所では必須となる装備

 

<防護メガネ>

切断、はつり、引きはがしなどの作業では、くずが飛び散るので目の防護が大切。視野が広くとれるものを着用したい

 

<手ぬぐい>

汗をふくためというよりも、首に巻いて粉じんが衣服の中に入らないために着用する

 

<防塵マスク>

粉じん、ほこりが出る工程では必需品。呼吸がしやすく、顔にフィットし、しっかり防塵できるタイプを選びたい

 

<グローブ>

軍手でもいいが、写真のような作業用グローブのほうが性能がいいのでおすすめ。バリエーションも豊富

 

<安全靴>

つま先はもちろん、クギの踏み抜きから足裏を保護してくれるモデルをセレクトする

 

解体作業で使う3大道具

実際の木造住宅の解体作業を見ても、メインとなる道具は案外とシンプルだ。壁材や屋根材をはがすバール、柱など構造材を切るためのチェンソー、基礎を砕いて解体するためのはつり機の3アイテムが主に使われる。なお、構造材の切断に丸ノコは使わないようにしよう(解体後の木材カットなどには使ってもいい)。丸ノコは下に置いた材を上から切るものなので作業が進めづらく、横向きや上向きにして使うのは危険。構造材の解体には、いろいろな方向から切ることができるチェンソーのほうが適している。

 

<チェンソー>

柱材など構造部分の解体に使う。住宅街なら音の静かな電動チェンソーのほうがおすすめ。大排気量のエンジンチェンソーと比べるとパワーは劣るが、十分使うことができる

 

<はつり機>

ハンマードリルや電動ハンマーとも呼ばれている小型の削岩機。コンクリートにこびりついたモルタルなども比較的簡単にかき落とすことができ、コンクリートブロック、レンガを粉砕したいときにも使える

 

<バール>

長いバール(900mm程度が使いやすい)はテコの原理で、はがす、こじる、持ち上げるといった使い方をする。多少荒っぽい作業となる解体現場で活躍

 

小回りの利くレシプロソーで作業スピードアップ!

構造材に2×4材や垂木など、比較的薄い材を多く使っている場合は、レシプロソー(またはセイバーソー)と呼ばれる小型の電動ノコギリが便利。チェンソーでは作業がしづらい場所で手ノコを使うよりもすばやく解体できる。ブレードを交換すれば金属系の素材も切断できるので、1台あると非常に心強い。

チェンソーとは違って片手で操作でき、写真のような隅っこや狭い場所でも安全に使える

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2017年10月時のものです。

棚板の留め方見本帳(5)・棚柱の可動棚&スライド式の棚の作業手順を詳しく紹介!

棚板の留め方はいろいろある。ここでは9パターンの作業手順を詳しく紹介。デザイン、機能、使用資材、製作難易度…何を重視したいか検討した上で、好みの留め方を選べばいい。

パターン1&2の製作手順はコチラ
パターン3&4の製作手順はコチラ
パターン5&6の製作手順はコチラ
パターン7の製作手順はコチラ

 

パターン8 棚ダボをつけて可動棚にする

側板に棚柱をつけ、そこに専用金具を差し込めば棚受けになる。棚柱には、上から下まで細かい間隔で金具の差し込み口があり、棚板の高さを変えられる。

 

5×15×715mmの棚柱と、別売りの棚受け金具

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

パターン9 レールをつけてスライド式の棚板にする

側板にスライドレールをつけ、そのレールに棚板をつければ、引き出すことができるスライド式の棚板になる。

 

10×17×246mmのスライドレール。前後どちらにもスライドする

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

施工◎アポロ佐藤/写真◎福島章公

*掲載データは2012年12月時のものです。

建具に使う金具の種類と選び方を解説!・後編/ドゥーパ!資材館(15)

今回は、建具の開け閉めの動きを支える蝶番以外の金具類を用途別に紹介。デザインのバリエーションを知り、各パーツをうまく使いこなすことができれば、建具作りの幅がうんと広がるはず。

戸締り、角度保持のための金具を紹介した前編はコチラ

 

開閉するために手を掛ける金具

ドアの開閉に欠かせないのが取っ手やノブなどの金具類。指を引っかけるためだけのシンプルなものから、ロック機能を組み合わせた複雑なものまでと種類は豊富。エクステリア用には、鉄製の黒塗りで素朴なデザインのものが多い。

 

エクステリア向きの取っ手

■ラッチ一体型の取っ手

取っ手にラッチを組み合わせたモデル。取っ手側のボタンを押すと、テコの原理で裏側のレバーが持ち上がりロックを解除する

 

■回転取っ手

主に床下収納のフタ部分に取りつける。取っ手を上下に回転させることができ、使わないときは取っ手が床面とツライチに収納される

 

■ネームプレート

ネームプレートを差し込める窓がついた取っ手。フォルダーケースや書類棚に使うと内容物の検索が簡単にできる

 

■大型取っ手

大きく、厚みのある取っ手。開閉に力のいる大きなドアや引き出しに使う。作品に威厳のある雰囲気を持たせることもできる

 

インテリア向きの取っ手

■ハンドル

エクステリア用よりも少しサイズが小さい取っ手。デザインや材質のバリエーションが豊富。建具の裏側からネジ留めするタイプは表面からビスが見えないため見た目がいい

 

■ツマミ


指でつまんで開け閉めする金具。ハンドル同様、デザインはかなり豊富にそろう。中心を押すとツマミの手がかりが引っ込んだり飛び出したりするプッシュ式なんてのもある

 

 

スムーズに開閉するための金具

ゲートや引き戸をスムーズに開閉するために使うのが戸車と呼ばれる金具。扉の場所、大きさ、重さによって使う戸車のサイズを選ぼう。扉が大きくなるにしたがって戸車も大きなサイズを使うと、スムーズに動かすことができる。

 

■丸戸車用レール

上面に丸みのついた専用レール。真ちゅう製、鉄製などがある。頭が引っかからないように小さなクギで固定する

 

■丸戸車

車輪の形状が丸く凹んだタイプ。丸みのついたレールの上を走らせる

 

■V戸車

車輪の形状が山型になっているタイプ。V字の溝が彫られたレールの上を走らせる

 

■平戸車

レールは使わず、敷居の溝を走らせるタイプ。車輪の形状がフラットになっている

 

■重量戸車

車輪の直径が50mm以上ある大型の戸車。高耐久のステンレス枠、ボールベアリング内蔵で、重量物の開閉が可能になっている

 

戸車は扉の底面に内蔵して取りつけるのが基本。戸車にはレールに載せて使うタイプと、敷居に掘った溝を走るタイプがあるので、施工方法に合わせて選択しよう

 

■吊り戸車

扉の上部に固定し、鴨居に取りつけたレールを走らせるタイプ。車輪は耐摩耗性、静音性にすぐれたジュラコン製が多い

 

 

*掲載データは2017年10月時のものです。

建具に使う金具の種類と選び方を解説!・前編/ドゥーパ!資材館(14)

今回は、建具の開け閉めの動きを支える蝶番以外の金具類を用途別に紹介。デザインのバリエーションを知り、各パーツをうまく使いこなすことができれば、建具作りの幅がうんと広がるはず。

 

戸締りに使う留め金具

主にガーデンハウスやフェンス、物置のドアや扉、窓をロックするために使う留め金具。現在は雰囲気のあるデザインでエクステリア作品によく似合う製品も多い。

 

ラッチ

オートキャッチラッチの取りつけ例。ロックした状態で、本体に南京錠を掛けて施錠できる

 

■オートキャッチラッチ

ドアの戸締りとしてよく使われる、オーソドックスな形をしたラッチ。鉄棒がラッチ本体のロックを押し上げながら進み、鉄棒が進み切るとロックが落ちて固定される

 

■ゲートラッチ

オートキャッチラッチの簡易型ともいえるモデル。南京錠を掛けることができる

 

■ステンレスキャッチ

住宅のトイレや勝手口などに使われるオーソドックスなモデル

 

■ストレートオートヌリラッチ

プッシュボタンでロックを解除できるモデル。「ヌリ」とは塗装済みだということを指す

 

掛け金

打ち掛け型の使用例。窓同士を室内から留めたり、物置のドアを留めるためなどあらゆる場所で使われている

 

■ダム掛け金

帯金具の別タイプ。南京錠を掛けてロックすることができ、取りつけるビスが帯の下に隠れるので防犯上も有利だ

 

■帯金具

倉庫、物置、納戸などの施錠などに使われてきた掛け金の一種。ロックするつまみの部分に南京錠を掛けて施錠できる

 

■打ち掛け型

昔から多用途に利用されてきたタイプ。価格も手頃で使いやすい

 

キャッチ

マグネットキャッチの使用例。ラッチや掛け金とは違い、表面に金具が見えないので、作品がスマートなデザインに仕上がる。磁気を嫌う電化製品を置く家具には、ローラーキャッチかプッシュキャッチを使おう

 

■プッシュキャッチ

扉を押すとスプリングの作動によってロックが解除される、プッシュ解除機能を持たせたタイプ

 

■ローラーキャッチ

2個のローラーに扉側に取りつけた突起が挟まって保持するタイプ

 

■マグネットキャッチ

磁石の力で保持するタイプ。黒い箱状のマグネット部を本体に取りつけ、小さな鉄板の方を扉に取りつけて使う

 

アオリ止め

■真鍮アオリ止め

もっとも一般的なタイプのアオリ止め。簡易的な止め金物として使えて価格も手頃。軸が長いタイプもあり、軽量の扉ならこれで保持することができる

 

■ウエスタンアオリ止め

各パーツが太めに作られた丈夫なタイプ。エクステリア作品向け。これなら重量のあるゲートの止め金物としても使うことができる

 

落とし

窓枠の内側にストレートヌリラッチを取りつけた例。軸棒をキャッチする金具は窓枠に取りつけ、縦横両方向で使うことができる

 

■ストレートヌリラッチ

ヌリ(保護用の塗装)済みの落とし。取りつけ方に応じて選べる2タイプのキャッチが用意されている

 

■丸落とし

落としのバリエーションのひとつで、曲げ軸を使ったタイプ。簡易的な扉の固定に便利だ

 

■貫抜

ドアの左右につける金具。木材などを通してドアが開かないようにする

 

一定の角度で保持するための金具

窓や折りたたみ作業台の天板などを展開する際、任意の角度で保持しておきたいときに使うのが、ステーという金具。耐候性のあるモデルは少ないので、雨に濡れる心配がない箇所に利用するのがいいだろう。下記以外にも、丸棒がスライドする回転式、少ない力で開け閉めできるトルクステー(ダンパー)などもある。

 

■折りたたみステー

一般的なタイプのステー。横開き用、上開き用があり、さまざまなサイズ・デザインがラインナップされている。材の側面に取りつけて使う

 

■ソフトダウンステー

重量に応じてゆっくりと折れ曲がるステー。押し開き式の窓に使うのに最適。窓を蝶番で固定したら、ソフトダウンステーを折りたたんだ状態で取りつけよう

*掲載データは2017年10月時のものです。

棚板の留め方見本帳(4)・棚ダボによる可動棚の作業手順を詳しく紹介!

棚板の留め方はいろいろある。ここでは9パターンの作業手順を詳しく紹介。デザイン、機能、使用資材、製作難易度…何を重視したいか検討した上で、好みの留め方を選べばいい。

パターン1&2の製作手順はコチラ
パターン3&4の製作手順はコチラ
パターン5&6の製作手順はコチラ

 

パターン7 棚ダボをつけて可動棚にする

側板に埋め込んだメン(メス)に、オン(オス)をはめて棚受けにする棚ダボ。さまざまな高さにメンを埋めておけば、オンをはめる位置によって、棚板の高さを変えられる。

 

ネジで付けはずしができるメンとオンからなる棚ダボ。今回は9mm径を使用

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

memo 代表的な収納物のサイズ

棚間の高さは収納物の高さ+α、棚板の奥行きは収納物の奥行き(本やCDの場合は幅)+αに設定すれば、ムダのないサイズの棚を作ることができる。代表的な収納物のサイズを列記しておくので、棚作りの設計にお役立てを。

 

施工◎アポロ佐藤/写真◎福島章公

*掲載データは2012年12月時のものです。

棚板の留め方見本帳(3)・ビスを使わない大入れ継ぎでの作業手順を詳しく紹介!

棚板の留め方はいろいろある。ここでは9パターンの作業手順を詳しく紹介。デザイン、機能、使用資材、製作難易度…何を重視したいか検討した上で、好みの留め方を選べばいい。

パターン1&2の製作手順はコチラ
パターン3&4の製作手順はコチラ

 

パターン5 大入れ継ぎで留める(トリマー編)

側板に溝を掘り、そこに棚板を収めるのが大入れ接ぎ。ある程度、作業の精度が要求されるが、接合のための部材が必要ない。

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

パターン6 大入れ継ぎで留める(丸ノコ編)

トリマーを持っていない場合は、丸ノコを細かくずらしながら切り込みを広げていき、溝を掘れば、大入れ接ぎが可能。

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

施工◎アポロ佐藤/写真◎福島章公

*掲載データは2012年12月時のものです。

棚板の留め方見本帳(2)・木製&アングル金物を棚受けに使う作業手順を詳しく紹介!

棚板の留め方はいろいろある。ここでは9パターンの作業手順を詳しく紹介。デザイン、機能、使用資材、製作難易度…何を重視したいか検討した上で、好みの留め方を選べばいい。

パターン1&2の製作手順はコチラ

 

パターン3 木製の棚受けをつける

側板に棚受けをつけ、その上に棚板を載せる方法。面木や角材など、木製の棚受けにすればさりげなく仕上がる。

 

木製の棚受けで代表的なのは細い角材(真ん中の2本)。一番奥は出隅材。L字型なので棚受けにぴったり。今回は手前の面木を使う。断面が三角形でスマートに仕上がる

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

パターン4 アングル金物を棚受けにする

アングルと呼ばれるL字型の金物を側板につけ、棚受けにする方法。メタリックなアクセントをつけたいならオススメ。

 

右奥のふたつが今回使う建築金物。大ぶりなので、メタリックな雰囲気を主張したい場合にいい。加工せずこのまま使える。右手前のふたつは30mm角のアルミアングルをカットし、ビス用の穴をあけた自作品。左は適当な長さにカットしたアルミアングル。このままタッピングビスを打っても側板に固定できる

 

<作業手順>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

施工◎アポロ佐藤/写真◎福島章公

*掲載データは2012年12月時のものです。

ドゥーパ!が実感した必修ポイント教えます、これが正しい薪割りだ!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(13)

薪ストーブ、囲炉裏、ピザ窯、焚き火、BBQ…。里山暮らしには、何かと薪がいり用だ。そこで斧を振り上げ、せっせと薪作りに励むことになるのだが、けっこうこれが大変。で、今回は正しい薪の割り方、ここがポイント集。けっこう深~い世界なんだぜい…。

 

薪割りは里山暮らしの基本

薪がなくちゃ始まらない。これがD型の里山暮らしの基本だ。そこで薪をいかに要領よく確保するかが大問題になる。ドゥーパ!のガーデンスタジオがある房総の里山の暮らしも、木工で出た端材はもちろん、敷地内の森で間伐した材や立ち枯れた木、近くの山歩きで見つけた倒木などを利用し、せっせと薪作りに精を出すわけなのだが、これがとっても大変。柔らかくて軽いスギ材ならまだしも、コナラやスダジイ、クリの木などの硬木となると、チェンソーを使った玉切りさえもけっこうな作業になる。そしてさらに大変なのが、玉切りした材を薪にするための薪割り。斧でエイ!とやったあと、上半身裸になって、光る汗を拭くのは古い青春映画の話で、実際には、七転八倒、顔を歪め、腰を痛め、空振りし、腕を捻り、疲れ果て、最後に嫌になって斧を放り投げる。そこで、今回そんなあなたに捧げたいのが、里山暮らしの正しい薪の作り方。

 

POINT1 丸太の玉切り台を作ろう

2×4材8本を使って作った玉切り台。丸太を載せて動かないようになればいい。自分が作業しやすい高さにしたい

 

間伐した長めの材を必要な長さに玉切りするためにぜひ用意したいのが専用の玉切り台。丸太を載せて動かないようにしてチェンソーで玉切りする。ある程度の高さがあるので、腰が楽なのが一番。地面に置いたまま玉切りして、ソーチェンを傷めることもない。写真は2×4材で作ったもの。単純構造だから、簡単DIYで作れるはず。

 

丸太を載せてチェンソーで玉切り。安定した作業ができる

 

POINT2 一度使ったら離せない、リフティングトング(丸太はさみ)

リフティングトング。直径270mmまでの丸太をつかめる

 

玉切りした丸太を腰をかがめてつかむとき、腰にけっこうな負担がかかるが、そんなとき涙が出るほど嬉しいのがリフティングトングと呼ばれる丸太はさみ。氷屋さんが使う氷ばさみと同じ原理で、丸太をしっかりつかむツールだ。森から丸太を運ぶときや玉切り台に載せるときなど、あるとないとでは全然違う。たとえば2個用意してふたりで使えば、長くて重い丸太の移動もホントに楽なのだ。ドゥーパ!で使ったのは、ファイヤーサイド(株)から発売されているリフティングトングで、価格は約4200円。腰を痛め、鍼灸治療をすると1回5000円以上かかることを考えたら……おすすめです。

 

丸太をひっかけるとき、腰をかがめないのでとっても楽。この状態で移動できるので、山から丸太を運び出すときにも便利

 

POINT3 感動しました!焚きつけを作るなら、キンドリングクラッカーが超便利

これがキンドリングクラッカー。約1万5000円。ファイヤーサイド(株)から発売中

 

薪を燃やすには、まず細くて火つきがいい焚きつけが必要だが、その焚きつけを作るためにめちゃくちゃ便利なツールが「キンドリングクラッカー」。リングに囲まれた刃に薪を載せ、軽く支えながらハンマーで叩くだけで簡単で安全に細い薪が作れるというもの。力がいらないし、ハンマーの的をはずすこともない。これなら女性でも安心して細い薪が作れるはず。

 

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POINT4 斧割りは、腕を伸ばして、足の位置を決めるのがポイント

薪材を薪割り台の中心より遠くに置くこと。腕をまっすぐ伸ばして斧を持ち、斧刃が薪材に当たる状態で足の位置を決める。防護メガネ、安全靴、グローブは必要

 

まず太くて硬い丸太を利用した薪割り台は必要。それも割る人の膝より低いものを用意しよう。玉切りした材をこの台に立て、斧で割るのだが、ポイントは薪材を薪割り台の向こう半分に立てること。斧が薪の材に当たり損ねたとき、斧が台に当たるようにするためだ。次に割る人の格好だが、防護メガネと安全靴、滑り止めのグローブは当然必要。ヘルメットがあれば完璧だ。これで準備はOK。

まず、腕を真っすぐ伸ばし、柄のにぎりを両手でしっかりにぎり、斧の刃を薪の材の中心に当てた状態で、足の位置を確認。これが正しい足のポジションだ。続いて、片手は柄の尻を、もう一方は柄の少し中ほどを持ち、斧を肩に担ぐようにして振り上げ、柄の中ほどを軸に回転させるように振り下ろす。スナップを効かせ、力を加減し、斧自体の重さで割るのがコツだ。斧が材を打つ瞬間、斧の柄は水平になっているのが理想的だ。

 

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POINT5 堅い木はクサビを2本使って

薪割り用のクサビ。2個準備したい。写真は、特に割れにくい材に使用する「ねじりクサビ」。価格は1個約2300円。発売元:ファイヤーサイド(株)

 

薪割りとクサビ打ち兼用の「薪割り鎚(中大径木用)。価格は約2万2000円。発売元:ファイヤーサイド(株)

 

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POINT6 やっぱり電動薪割り機は偉大だった

これがMさんの愛機、XL7500R 7トンタイプ。材料の最大処理長さは53cm

 

なんといっても電動薪割り機。当たり前だがこれが一番楽。ただし高価なので、大量に薪を使うプロは別として、それほど普及はしていないはずと思っていたら、けっこう持ってる人がいるらしい。そんな電動薪割り派のうちのひとり、Mさん(51歳・会社員)のお宅にお邪魔して、電動薪割り機の威力を実感させてもらった。Mさんは、本格的ピザ窯を手作りし、週末のピザパーティーで、大量の薪を使うため、2~3カ月に1回、この電動薪割り機で薪割りにはげむ。

Mさんの愛機は、油圧式100V1500Wの7トンタイプ、XL7500Rという機種だ。定価は6万円台だが、ネット通販で7掛けで購入したので実際には4万円台。

さっそく、薪割りスタート。スイッチのオンオフはレバーの上げ下げだけ。薪材をセットし、スイッチをオンするとメリメリと裂け、アレヨアレヨと薪ができてくる。2分割だけでなく、4つ目刃を装着すれば4分割もできる。オーナーのやることといえば、そばに座って、材料をセットするだけ。ちなみに、本誌が持参した堅いコナラの丸太も簡単に割れた。

Mさんの愛機の粉砕力は7トンタイプ。機種によって、それよりも小さいものや大きなものもあるが、人によって「最低でも12トンタイプ」とか「20トンタイプ」とかいう人もいるが、7トンタイプでも十分という感触を得た。価格的にも、ネット通販で購入するとけっこう大幅なディスカウントをしているようだ。ピザ窯や薪ストーブなどで大量に薪を作る人は十分購入の対象にしてよさそうだ。

 

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取材・文◎脇野修平

*掲載データは2016年2月時のものです。

 

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棚板の留め方見本帳(1)・ビス留め&埋め木で棚板を留める作業手順を詳しく紹介!

棚板の留め方はいろいろある。ここでは9パターンの作業手順を詳しく紹介。デザイン、機能、使用資材、製作難易度…何を重視したいか検討した上で、好みの留め方を選べばいい。

 

パターン1 ビスで留める

最もシンプルなのは、側板の外面からビスで留める方法。皿取りしてビスの頭を収めれば、スッキリ仕上がって完成度アップ。

*右側

 

<作業手順>

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パターン2 ビスで留めて頭を隠す

これも側板の外面からのビス留めだが、あらかじめダボ穴をあけてビスを打ち、その穴にダボを埋めることで、ビスがまったく見えないようにするテクニック。

*左側

 

<作業手順>

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施工◎アポロ佐藤/写真◎福島章公

*掲載データは2012年12月時のものです。

薪ストーブ&ピザ窯ライフの必須アイテム・薪棚を作ろう/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(10)

薪ストーブ、ロケットストーブ、ピザ窯、囲炉裏など、火のある暮らしを楽しむために、薪は欠かせない。オンシーズンが来る前に、できるだけたくさんの薪を準備し、安心して次の寒い冬を迎えたい。そんなアナタに捧げる、正しい薪棚の作り方。

 

正しい薪棚とは?

冬場に備えて用意した薪をどう保管するか。家の裏の軒下に適当に置いておいて、湿って腐っちゃったり、虫に食われたり、カビが生えたり、椎茸が生えてきちゃった(!)なんて話を聞くと、やっぱりちゃんとした薪棚が欲しくなる。どうせ作るなら間違いのない薪棚を作りたい。そこで、薪棚作りの名人から聞いた正しい薪棚の条件を挙げてみた。

 

 

・日陰でも日向でもいいが、風通しのよい場所に作る。軒下や建物に沿って設置するときは家側と薪棚の間に必ずすき間を作ること。

・風通しのよい構造にする。棚板を空き空きにする。側板や背板は全面張りにしない。

・屋根は必要。適当な傾斜をつけて、軒の長さは十分に。

・薪の長さは35~40cmが基本。棚の奥行サイズもこれに合わせたい。

・細い薪、太い薪、未乾燥の薪、乾燥した薪、樹種など、薪の分類に沿って区分けできるようにすると便利。

・薪を、奥と手前の2列に並べるときは、手前と裏側の両側から薪を取り出せるようにすると便利。

・なるべく材を無駄にしないようなサイズとする。たとえば、2×材を使うなら、市販されている6ftとか3ftの材をノーカットで使えるようなサイズとする。

・敷地の端に作る場合、隣地に屋根の軒がかからないように注意をする。

 

以上が、薪棚作りのポイントだ。

 

薪が収納されていないときの薪棚。構造がよくわかる。最初に下の枠板を組み、続いて枠の内側に柱(2×4材)を立てて、基礎石を置き、これをベースに組み立てていく

 

斜め後ろから見る。薪は2列に並び、後ろからも取り出せる

 

薪棚ミニウォッチング

軒下の三和土の端に薪を積んでいる例。薪が家壁にぴったりくっつかないようにしたい

 

隣家との境目に作った薪棚。枕木を基礎に、2×4材を棚板&側板、垂木として活用。見にくいが、屋根は透明のポリカを使っている

 

伐採した丸太を柱にした2段&2列の薪棚。方杖を入れて強度を増している。屋根材は塩ビの波板で、軒の出が十分。下地の垂木もたくさん入っている。羽子板付きの基礎石を使用

 

これだって、薪棚。石の上に柱を立て、下に板を引いて薪を積み、とにかく雨をしのぐために屋根を作った、なぜか雰囲気はある

 

高床デッキの下を薪収納にしているケース。通気さえ確保できれば、見た目にも面白い

 

2×材で組んだ薪棚。薪を3列にして収納。高さを抑え、トタンの波板を屋根材にしている

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年10月時のものです。

 

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レンガや石材加工のための道具の使い方を徹底解説!/超実践的DIY道具ラボ(19)

工事現場で使われるような本格的な石材加工の道具を使わなくとも、身近なDIY工具でレンガや石材、コンクリートブロックなどは成形できる。今回は本誌編集部がこれまで実際に使ってきた工具を実践例とともに紹介。

 

石工道具の基礎知識

手工具の石工道具は体力と叩くタイミングがポイント

石工に使う工具は、硬いレンガや石材を加工するために鋭くて強い打撃で加工できるように工夫されている。手工具だと、タガネ、レンガタガネ、石工ハンマー、ブロックハンマーなどがあるが、これらは鋼鉄製であることがほとんど。ハンマーの類は木工で使うカナヅチよりも重く、軽いもので約900g、重いものだと3kgを超えるものもある。

連続して使用するには体力が必要で、また思うように加工するには、材を打撃するタイミングや打つ位置など、実際に経験して作業のポイントを会得することも大切になる。

 

電動工具を活用するとスムーズに加工できる

石工作業のメインともいえる電動工具がディスクグラインダーだ。毎分1万5000回転という高速回転する先端部に、ダイヤモンドホイールを装着すれば、レンガ、石材、テラコッタ、コンクリートブロックといった石材全般の加工に利用することができる。ダイヤモンドホイールを装着したディスクグラインダーはプロのガーデナーにとっても必需品。

また石工用のチップソーを使えば、丸ノコでもレンガや石材の加工ができる。とくに長い寸法を切るには便利だろう。

 

<石材加工に使う主な道具>

 

CASE01 石工ハンマーと平タガネを使ったレンガの切断

石工ハンマーと平タガネだけを使ったシンプルな切断方法。レンガに墨線を引いたら、墨線にタガネを合わせて溝を削る。溝はなるべく深くくっきりと4面につけておく。その後は溝に合わせて平タガネを垂直にあて、一発で割れるように石工ハンマーで鋭く叩こう。

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加工中の安全装備の例

石工作業では粉じんと切粉が激しく飛び散るので、必ず防護メガネと防塵マスクを装着する。帽子、衣服もすべすべの素材を選ぶと、多量にかぶる粉じんを落としやすい。

 

CASE02 ディスクグラインダーを使ったレンガの切断

ダイヤモンドホイールを取りつけたディスクグラインダーを使えば、平タガネよりも確実にきれいに割ることができる。墨線に合わせてディスクグラインダーで4面に切り込みを入れ、平タガネを切り溝にあてて石工ハンマーで叩けばOK。

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CASE03 丸ノコを使ったレンガ・コンクリートブロックの切断

ダイヤモンドホイールや石材用切断砥石を装着すれば、丸ノコ(またはスライド丸ノコ)でレンガやコンクリートブロックをカットすることも可能。ディスクグラインダーよりも切断線に合わせるのが簡単で、切り込める深さが大きいのでワンアクションで切断できるのが魅力だ。

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CASE04 ディスクグラインダーを使ったレンガの欠き取り

ピザ窯やバーベキュー炉の煙突や火床の部分などでは、レンガを切り欠く加工が必要になることがある。このような場合は、切り欠く部分に細かく切り込みを入れ、レンガタガネを使って欠き取る。切り残った部分はディスクグラインダーの刃先で削り取ればきれいに仕上げられる。

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CASE05 ディスクグラインダーを使った石材の切断

厚さ2㎝程度の石板ならディスクグラインダーを1度通すだけでカットできる。厚みのある石材では、レンガを切るときと同じように、材の4面に切り込みを入れてから平タガネをあて、石工ハンマーで叩いてカットしよう。

乱張り石などの薄い石板は簡単に加工できる。手順や感覚はCASE02とほぼ同じ。材の下側には枕木を置いたりして、ダイヤモンドホイールが傷つかないように作業する

 

このぐらいの厚さの石材も、ディスクグラインダーを一度通せばカットすることができる。石材の場合でもディスグラインダーは奥から手前に動かすことが大事

 

厚さのある石材はレンガと同じように、4面に切れ目を入れてから平タガネと石工ハンマーで割る

 

CASE06 丸ノコを使ったテラコッタタイルの切断

石材用(非金属用)切断砥石を取りつけた丸ノコを使えば、テラコッタや陶製のタイル、石板などもカットできる。表面が凸凹した材だと滑りにくく、キックバックを起こしやすくなるので十分に注意して作業しよう。

写真のような厚さのテラコッタタイルなら、サクッとカットできる

 

CASE07 タガネを使った石板の切断

石板やテラコッタタイルなどは、タガネをあててハンマーで叩けば、自然な感じにカットできる。乱張りのペイビングなど自然になじんだデザインにしたいときにおすすめだ。タガネは何種類か使い分けると雰囲気を出しやすい。

写真のように材の表面にすじを引いてから、平タガネで叩き割る。電動工具を利用するより自然な感じの加工ができる

 

CASE08 ハンマーを使った石材の割り方

ディスクグラインダーなどの工具を使えば、石材でもきれいな直線で切ることができるが、作品によってはより自然な景色にしたい場合もある。そんなときは、あえて石工ハンマーやブロック槌のみで直接材を叩き割って、偶然できる形状を利用するというのもテクニックのひとつだ。

好きな形・大きさにするのは難しいが、単純にハンマーで割るという加工も場合によっては作品づくりにいかすことができる

 

CASE09 平タガネを使ったレンガのクリーニング

自然な雰囲気で人気のあるアンティークレンガだが、古いモルタルがこびりついて使いにくいことがある。そんなときは平タガネなどで削れば、凸凹を修正できる。この方法は石材やタイルにも応用可能だ。

アンティークレンガにこびりついた古いモルタルを削り取っている様子。平タガネをあててこそげ取ったり、石工ハンマーで叩けば取り除ける

*掲載データは2017年8月時のものです。

DIY用のキャスター&タイヤの種類と選び方を解説!・後編/ドゥーパ!資材館(14)

木工を中心にいろいろな家具作りに取り組んでいると、ふと「この家具を自由に動かせると便利だろうなあ」と思うことがあるはず。そんな思いを簡単に実現してくれるのが、キャスターの活用だ。

選び方や機能性を解説した前編はコチラ

 

キャスターの材質とプレートの種類

キャスターの車輪にはさまざまな材質が使われており、材質によって耐久性、走破性、デザインなどが異なる。使われている材質は、ゴム、ナイロン、プラスチック、空気入りタイヤ、金属などが一般的。どれが最高のものということは難しく、転がる場所に対するキャスターの直径の選択と、作品のデザインとの兼ね合いで選べばいいだろう。価格も相当の差があるので、ホームセンターで実物を確認・検討しよう。実際にキャスターの陳列棚をじっくり見ていくと、いろいろなアイデアが出てくるはず。

また、キャスターの取りつけ方法も選択のポイントになる。普通の木工作品であれば、ネジ穴が4カ所ついたプレート型(台座・面付け形)が一般的。接地する部分が細い脚などの場合は、ねじ込み式や差し込み式など、取りつける面に差し込み穴の加工が必要なタイプを選択する必要もあるだろう。

 

知っておくとトクをする!? キャスターにまつわる3つの豆知識

キャスターの固定は確実に行なう

たとえばプレート型のキャスターの場合は、プレートの四隅にビス穴があけられているので、必ず四隅すべてをビスで固定する。ビスを減らして固定すると、そこに荷重が集中して破損の原因になる。また、ビス穴が皿取りされている場合は皿頭のビス、皿取りされていない場合はナベ頭のビスで固定するのが原則だ。

インパクトドライバーなどを使い、しっかりと確実に固定する

 

デザインを優先したインテリア用キャスター

比較的軽量な作品のキャスターにはボールキャスターを使う手もある。ボールキャスターは車輪が金属や樹脂の玉でできており、大きなボールベアリングのようなデザインをしているのが特徴だ。また、ボールキャスターは円形のターンテーブルを下から支えるなど、使用方向に上向き、下向きタイプがある。購入時は耐荷重だけでなく使用方向にも注意しておきたい。

ボールキャスター。ひとつのボールベアリングのようなデザイン

 

固定用のクギがついたタイプのボールキャスター。ごく軽量な作品の支持に使いたい

 

キャスターの動きをストップするアイテム

ストッパーのついていないキャスターを定位置に置いておきたいという場合には、キャスターの下に置く専用のストッパーを活用しよう。ストッパーは滑りにくい材質で作られており、車輪の下に置いて使えば、キャスターが勝手に動かないようにすることができる。

これはキャストップという商品。くぼみの中に車輪を置けば簡単にキャスターを固定できる

*掲載データは2017年8月時のものです。

DIY用のキャスター&タイヤの種類と選び方を解説!・前編/ドゥーパ!資材館(13)

木工を中心にいろいろな家具作りに取り組んでいると、ふと「この家具を自由に動かせると便利だろうなあ」と思うことがあるはず。そんな思いを簡単に実現してくれるのが、キャスターの活用だ。

 

キャスターの働きと選び方

ほとんどの家具は面で床に接していて、大きな家具になると大人ひとりで動かすことは難しい。そこでキャスターの登場だ。作品の底面にキャスターを取りつければ、誰でも簡単に押したり引いたりすることができるようになり、利便性が大幅にアップする。

ひと口にキャスターと言っても直径・形・機能など種類が豊富で、自分で作った家具にキャスターを取りつけようと思ったとき、どれを選べばいいのか迷うことが多い。キャスター選びの簡単なポイントは、キャスターが転がる場所の状態に合わせて車輪のサイズを選ぶといいだろう。

たとえば、室内のフローリングの上で使うなら、キャスターの直径が35mm以上あればスムーズに動かすことができる。ウッドデッキのようなラフな床面では直径60mm以上、ガーデンの締まった土の上だと直径100mm以上あると動かしやすい。

ガーデン作業用のカート。土の上を移動するために直径220mmの大型空気タイヤを採用している

 

キャスター付きのキッチンカート。スムーズなフローリングの上で使用するため、35~50mmのキャスターが最適。さらに、外からキャスターが見えにくくなるようにデザインしている

 

ウッドデッキや締まった土の上で使うために作られたガーデンキッチンワゴン。ラフなコンディションに対応するため、100mm以上のキャスターを採用している。状況によっては空気タイヤの採用を考えてもいい例

 

キッチンで使うことを想定したキャスター付き分別カート。こちらもフローリング上での使用が前提のため、デザインをそこなわない程度の小型サイズを取りつけている

 

キャスターのタイプとストッパー機能

キャスターには車輪が前後にしか動かない固定タイプ、台座にベアリングがついて360度方向を変えることができる自在タイプがある。普通の家具にはキャスターを4個つけるが、4個すべてを固定タイプにすると、前後にしか動かせない。自在に動かしたいときは4個を自在タイプにすればいい。自動車のように進行方向をコントロールしやすくするなら進行方向前側の2輪を自在タイプに、後側の2輪を固定タイプにする。作品と使用場面に応じてチョイスしよう。

また、それぞれキャスターにはストッパー付きのバリエーションもあり、車輪近くにあるレバーの操作でブレーキを掛けておくことができる、4輪のうち2輪をストッパー付きにしておくと作品の位置を確実に固定でききる。

キャスターの組み合わせ例。進行方向に自在タイプのキャスターを選び、ひとつはストッパー付きを選択。進行方向後ろ側は固定タイプを選ぶのが一般的だ

 

前述のガーデンキッチンワゴンへのキャスターの取りつけ方。写真左側が進行方向で、前側ふたつは自在タイプ(片方はストッパー付き)。写真右側の後部のキャスターは固定タイプにして、移動をコントロールしやすくしている

*掲載データは2017年8月時のものです。

野外DIYのお助けツール、一輪車(通称:ネコ)はエライ!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(9)

たった1個しかないタイヤだからこそできるパフォーマンス。それが通称ネコとも呼ばれる作業用一輪車の魅力だ。重い資材満タンで、足場の悪い作業場をさっそうと駆け回る。地味だけど、ハードな里山DIYにはなくてはならないアイテムなのだ。

 

タイヤが1本だから機動力アップ!

タイヤが1個しかないからできること。まず細い1本道の走行ができる。たとえばビル施工の高所作業で、細い足場を資材を積んで移動するなんてことは2輪車や3輪車じゃ絶対できない。障害物があるところでも、車体を左右に倒しながら避けて移動できるのも一輪車の得意技だ。もっとすごいのは、タイヤの接地点を支点にして、その場でUターンができる。だからビルの工事現場はもちろん、農地の細いあぜ道でも大活躍するのだ。

 

細い1本道も安心して通過できる

 

車体を傾けて、障害物を避けながら走行できる

 

構造は恐ろしく簡単だ。フレームの前の下に車輪が1個、フレームの後ろの上の両側にハンドルがあり、両手にハンドルを持って押して走行する。荷台はフレームの上にあり、ハンドルの下に固定式のスタンドがある。荷台は、深型と浅型がある。タイヤはゴムチューブ式のものが一般的だが、近年では発泡ゴムを充填したノーパンクタイヤも多く出回っている。フレームの材質はスチール(鉄パイプ)が多いようだが、アルミニウム管を使った上級機種もある。というわけで、スペックによって多少価格帯は広がるが、スチール製なら1台5000~1万円程度、アルミ製なら1台1万円~2万5000円程度が目安。ブレーキ付きのものやエンジン付きのものもあるが、これはやや特殊で高価。一般DIYなら普通の一輪車で十分だ。なお、交換用タイヤは、チューブ入りが1本800円程度が目安、ノーパンクタイヤが1本1300円程度が目安で、タイヤ交換も簡単だ。

 

 

ちょっとアイデアな使い方、教えます

荷台で汚れた左官道具を洗う

 

ハンドルを下にして立てると絶妙なチェアに早変わり。作業の合間の休憩タイムにぜひ! けっこう気持ちいいです

 

荷台がトロフネ!? モルタルを練るのにちょうどいい

 

一輪車に囲炉裏の天板を載せ、「動く野外囲炉裏」を作ったことがあったが評判はイマイチ。中に砂を入れている

 

正しい持ち方、ダメな持ち方

ハンドルを持つ両手は肘を伸ばし、なるべくハンドルを低い位置でつかんで押して歩くというのがセオリー。肘を曲げると腕の筋肉の動きが不安定でバランスを崩しやすいという。確かに腕がフリー状態でふらつくと安定した走行ができない。これは一度やってみるとわかる。

 

なぜネコって呼ばれるの?

いろいろな説があるようだ。インターネットなどで検索してみると、ネコが通るような狭い場所を身軽に動き回れるからという説と逆さに伏せて収納するときの格好がネコの背中みたいだからとする説が有力。なかには、移動するとき、ゴロゴロと猫なで声のような音を出すからという説やネコの両後ろ足を持って歩かせる姿に似ているからという説もあるがホントですかね?

逆さに伏せると、ネコが前足を伸ばし、背中を曲げているように…見えるのかな?

 

サビだらけの一輪車を復活させました!

大切に使いたいと思っても、つい雨ざらしにしてサビつかせてしまいがちなのが作業用一輪車。編集部の一輪車も例外ではなかった! そこでこのぼろぼろ一輪車をサンディングし、2色の鉄部用塗装スプレーでオールペイントしてみました。

 

~用意するもの~
レンチ(24mm)、ミニバール、サンディングディスク装着のディスクグラインダー、潤滑スプレー(KURE5-56)、鉄部用塗装スプレー(グレイ&レッド)、金属用プライマー

左から潤滑スプレー、ディスクグラインダー、 コンビネーションレンチ(24mm)、ミニバール

 

用意した鉄部用スプレー塗料と金属用プライマー

 

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取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年8月時のものです。

 

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マジで野鳥を呼べる!巣箱の作り方と掛け方を伝授/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(5)

「巣箱は庭のエクステリア」っていうのも悪くはないけれど、できれば本気で野鳥を呼び寄せ、野鳥観察を楽しみながら、彼らの子孫繁栄に手を貸してみたい。あなたがそう考えているならば、9割以上の確率で野鳥が入るという「まちがいのない巣箱作り」を目指したいものだ。で、今回は巣箱作りのスペシャリストに教えてもらった「正しい巣箱作り」の実践。

 

庭のマツの木に掛けられたシジュウカラの巣箱

 

これは、ビッグサイズのフクロウの巣箱。表面にスギの樹皮を張ってある

 

アオバズク(フクロウの一種)の巣箱。細長い形で、巣穴も大きい

 

子どもが自由な発想で塗装した巣箱も発見

 

3年前から巣箱作りに取り組んでいるというFさんのお宅を訪ねてみた。庭のマツの木に2カ所、母屋の裏手の柿の木に1カ所、シジュウカラ用の巣箱が掛けてあり、営巣する小鳥たちの様子を家の中から家族で観察できるようになっている。この他にも、アオバズク用(フクロウの一種)の大きな巣箱や大型のバードフィーダーなども用意され、かなりサスガな〝スバコロジスト〟(?)の香りが漂っている方なのだが、そんなFさんに、DIYで作る巣箱の作り方や巣箱の正しい掛け方を教えてもらった。

 

巣箱の作り方の基本

  • 素材はスギかヒノキの一枚板がおすすめ。合板は反るからダメ
  • 鳥の種類によって、適切な巣穴や巣箱のサイズの目安がある(下記表参照)
  • 塗装はしてもいいが、原色を使った過剰な模様や目玉のような模様は避ける。バーナーで焦げ目をつけてもいい
  • 屋根から雨水が入らないように気をつける
  • 底板の四隅に水抜き穴をあける
  • クギや蝶番はステンレス製にする

 

*留鳥:年間を通して同じ場所にいる野鳥 夏鳥:春〜夏にやってくる渡り鳥
*表内の数字は、ウェブサイト「森林管理局/巣箱作り資料」を参考としました。

 

1時間でできる、正しい巣箱の作り方

さっそくFさんにかんたんな巣箱を作ってもらった。対象となる鳥はシジュウカラ。日本全国の里山はもちろん、都会でも多く見られる。ヤマガラやスズメと並び、巣箱で繁殖する確率が最も高い野鳥だ。この形が、表にあるサイズの条件を満たしたオーソドックスな巣箱だ。慣れた人なら30分、子どもといっしょでもほんの1時間ほどで完成するはずだ。

 

<用意するもの>

スギ材野地板(12×120×1820mm)、ステンレス・スクリュークギ(32mm/34本程度)、ステンレス製蝶番(38mm程度のもの1枚)

 

<使用工具>

ノコギリ、定規、鉛筆、キリ、カナヅチ、ドライバー、ドリル、インパクトドライバー(ドライバードリル)、ドリルビット(28mm/10mm径)、トーチバーナー

 

 

<作り方手順>

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シジュウカラがやってくる正しい巣箱の掛け方

せっかく作った正しい巣箱も、正しい掛け方をしなければダメ。シジュウカラが巣を作るためにどうしたらいいのか? Fさんに聞いた「必勝ポイント」がこれだ。

ドゥーパ!(以下D) 巣箱を掛ける時期は?
Fさん(以下F) シジュウカラ(留鳥)の場合11〜1月。繁殖期に入った春では遅い。アオバズクのような夏鳥の場合は春(3〜4月)がいいだろう。
 巣箱を掛ける場所は?
F 巣箱を掛ける高さは1.5〜3m。これより高いとスズメと競合して負けることもある。木でも電信柱のような人工物でもいい。木に掛ける場合、枝葉が茂っていないすっきりした場所がいい。枝葉が茂っているところは蛇などの外的侵入があるのでシジュウカラが恐れるからだ。東西南北の位置は関係ない。また、複数の巣箱を掛ける場合、巣箱の間隔は10m以上。ひとつのつがいで10m程度の縄張りがあるからだ。
D 巣箱の掛け方は?
F 巣箱はやや下向きに掛けること。雨水が入ることや明るくなりすぎるのを鳥は嫌うのだ。また、人工物に掛けるなら針金でもいいが、木に掛けるときはシュロ縄などで固定したい。水に浸して湿らせた状態で木に縛りつけると、あとで収縮してがっちり固定できることも知っておきたい。
 ワカリマシタ。
F 成功を祈る…

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2014年2月時のものです。

 

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高所作業のための道具とその使い方・後編/超実践的DIY道具ラボ(18)

家屋のメンテナンスを手がけていると、屋根や煙突の掃除、2階ベランダや外壁上部の補修、植木の剪定など、高所での作業が必要になることがある。そこで今回は高所で作業するための基本的な道具のバリエーションを見ていきたい。

服装や脚立のバリエーションを解説した前編はコチラ!

 

脚立とハシゴの使い方

脚立とハシゴは、使用中に傾いて倒れたり、滑ったりしないように設置することが大切だ。まず設置する地面の状況を見極め、脚立は4本の足が水平に立つことを確認し、脚立全体が傾いていないか確認する。どうしても水平に置けないようなら、足場の地面を少し削って全体が水平になるように修正するか、厚めの合板を敷いたりして水平面を作ってから設置しよう。ハシゴは2本の脚が水平に立つことを確認し、滑らないようにがっちりと地面にふんばることができるか確かめること。ハシゴは横から見て75度の角度で屋根などに寄りかかるように設置する。

ハシゴは上部がしっかり構造物に寄りかかるように余裕をもって立てる。ハシゴの角度は75度に設定するのが理想。写真のような場合、ハシゴ下部と小屋の階段をロープで固定するとより安定する

 

脚立やハシゴの昇り降りでは、3点確保を守るように心がける。3点確保とは、動きの中で両手両足の4点のうち、3点が確実に踏ん張っている状態のこと。たとえば、昇りの動きで両手が支柱をつかんでいるとき、両手は支柱をつかんだままにして、右足を上げて1段昇る。このとき左足はステップに踏ん張っているので、3点で確保していることになる。3点確保は木登りや険しい登山でも守られる基本的な昇り降りのルールで、これを守ることで脚立やハシゴからの転落を確実に防ぐことができる。

 

脚立を使うときは、手をついて身体を支えられる(3点確保できる)構造がある場所か、足場板に立たずに作業するのが理想

 

ロープによる身体の固定方法(屋根上作業時)

本格的な高所作業ではさまざまな安全対策が実施されているが、今回はなるべく安価でより安全に屋根上作業を行なえるよう、簡易な安全ロープを張って墜落を防止する方法を紹介する。

基本的には作業する屋根面の反対側にロープを張り、腰につけた安全ベルトとロープを結んだ状態を作ること。若干作業範囲に制約ができ、移動するのにロープの掛け替えといった作業が必要となるが、屋根からの落下は防止できる。安全ベルトやロープ、接続金具はホームセンターで購入することができるので、店員に相談すればそれほど高額な出費をしなくても装備をそろえることができるはず。ロッククライミングやフリークライミングをやっている人なら、手持ちの器材を使うことも可能だ。

ロープはm単位で販売されていることが多い。購入したら端部分がほどけないようにテープを巻くなど処理してから使用する

 

黄色と黒色の縞模様が特徴のトラロープ。強度が高い太さ12mmのタイプがおすすめ。ポリエチレン製で結び目が少し滑りやすいので注意して使うようにしたい

 

安全ベルトを腰に装着し、ここにロープを結ぶ。ベルトを締める位置は腰骨の高さにする

 

 

事前に足場を組んで作業するのもアリ

高所作業でもっとも本格的なものといえば、足場を組んで作業する方法。足場とは、単管パイプと足場板、足場板を支える支持材などで構成される、建物を囲む仮設の作業スペースのこと。基本は外径48.6mm規格の単管パイプを骨組みに、足場板や階段板、ランヤード(墜落防止用ロープ)を引っかける手すり材などを組み合わせて、高所でも安全に作業できるようにしている。

 

住宅に設置された単管足場の例。作業は足場板の上に立って行ない、手すり状に配置された単管パイプにランヤードのフックを掛けて安全を確保する

 

2丁掛けフックタイプのランヤードがついた安全ベルト

 

ただ足場はとても便利だが、材料をそろえるのにかかる費用や手間、各部材の組み方などを事前に知っておくことが必要。足場を組んだ高所作業の機会はそうそうなく、次回の使用まで単管パイプや金具類を劣化させずに保管しておく場所を確保するのは難しい。そのためDIYでは業者からレンタルするのが望ましい。レンタル料金は壁面積250平米で1カ月~1カ月半単位で20~30万円程度が相場。これに、輸送、安全管理、設置、撤去などの費用が加算されることもある。昇降機付きのタワーや高所作業車を貸し出しているところもあるので、近所のレンタル業者をチェックしてみよう。

 

骨組みに使う単管パイプ、接続金具のクランプ(写真は直交)、固定ベース。近年はハンマーだけで組み立てられる、ユニット化されたパイプを使うことが多い(クサビ緊結式足場)

 

金属製足場板。使うときは足場自体の重量制限によるスパン(渡し長さ)に注意する

 

自在ステップ。足場に階段を作るために使われる足場板だ

 

単管パイプに差し込んで使うジャッキベースにキャスターを組み合わせたもの。地面がコンクリートの場合に限るが、ベース金具として使えば移動式の足場(タワー)などが組めるようになる

 

単管パイプ用の簡易ブラケット(足場板受け)。足場板を好みの高さに取りつけられる

 

現在はあまり見られなくなったが、足場を構成する部材には丸太を番線(なまし鉄線)で組んだものもある。自然木なので使用後は薪にするなり、ガーデニングや木工の資材として活用できるため、DIYでの足場作りではこちらのほうが現実的かもしれない。使われる丸太は直径10cm程度のスギやヒノキの間伐材の皮をむいたもので、5~7mが定尺とされている。

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2017年6月時のものです。

高所作業のための道具とその使い方・前編/超実践的DIY道具ラボ(17)

家屋のメンテナンスを手がけていると、屋根や煙突の掃除、2階ベランダや外壁上部の補修、植木の剪定など、高所での作業が必要になることがある。そこで今回は高所で作業するための基本的な道具のバリエーションを見ていきたい。

 

安全を確保するための服装選びの2大ポイント

1、足の動きを制限しないズボンを履く

ハシゴや踏み台の上からバランスを崩して転倒すると、床の上で転んだときよりもケガをする確率は高くなる。高い場所での作業では作業のしやすさとともに、安全対策を講じておくのが大切だ。そのため服装は動きやすいものを身に着けるようにしよう。

ホームセンターで売られている作業着は価格が手ごろで、動きやすい機能を備えているのでおすすめだ。登山用のズボンやトビ職が履く下が広がったズボンも足さばきが楽で動きやすい。反対にジーンズはヒザが上がりづらく、高所作業には向いていない。

 

屋根に上がり、薪ストーブの煙突掃除をしている様子。傾斜がついているうえに手すりもないので特に注意が必要だ

 

屋根上の作業ではこのような無理な体勢をとることもあるため、動きやすい服装が必要となる

 

2、屋根上作業では頭と足元にも気を配る

屋根に乗る場合、もっとも重要なアイテムとなるのが作業靴だ。屈んだり中腰になることが多いので、滑りにくく脚の甲の部分がよく曲がるものを選ぶと、傾斜でもバランスが取りやすくなり踏ん張りもきく。トビ職の地下足袋もこうした作業に向いたアイテムといえる。また、滑る危険を回避するには、雨の日や現場が濡れている間は作業しない判断も大切だ。

 

傾斜のある屋根では屈んだり、ひざをつく姿勢をとることが多いので、よく曲がる靴の選択は重要だ

 

靴底が硬い靴は高所作業ではなるべく使わないようにし、写真のように靴底がよく曲がり滑りにくい材質の靴を履こう

 

ヘルメットもいざというときに頭を守ってくれるので、屋根に上がるなら確実に着用したい。購入する際は用途に墜落時保護用の表示のあるものを選ぼう。着用時は、ヘルメット内のサイズ調節ベルトやあごひもを締め、確実に頭にフィットさせることを意識しておきたい。

 

高所作業に使うヘルメットは必ず墜落時保護用の表示のあるものを選択する。これは透明バイザーがついたタイプで目の保護にも役立つ

 

脚立やハシゴのバリエーションを知っておこう

一般的な脚立は、2面のハシゴがAの字に開いて自立するタイプのことを指す。ホームセンターでは電球の交換など手軽に使えるコンパクトな1段モデルから、2m程度の高さのものまで購入できる。脚立は原則的に4本脚で自立した状態で使う道具なので、2面を平らに開いてハシゴのようにした使い方はしないようにしたい。

 

一般的なアルミ製脚立。ハシゴのついた2面を写真のように開いて自立させる。使用時はストッパーを正しくかけておくことが重要

 

片手で楽に開閉できるワンタッチバーが特徴の「脚軽~ASHIGARU~」という製品。軽くて持ち運びしやすいのが人気

 

足場板を広く取った折りたたみ脚立の小型タイプ

 

上部に持ち運びに便利なハンドルがついた小型タイプの脚立

 

なお、脚立には洗車用脚立と呼ばれるタイプもある。台形に開くため作業者が乗る足場が広く、足元の踏ん張りが利きやすい。横幅があり動ける範囲が広がるため、より安全に高所作業が行なえるだろう。ただし、あまりにも高さがあると前後に倒れる可能性があるので、そこまで高いモデルは販売されていないのが現状だ。

 

洗車脚立として販売されている幅広タイプの脚立。足場板が広いので上に立って作業することができる

 

ハシゴは、単純な固定式のものが一般的だが、ハシゴ部分をスライド式に延長して使えるタイプもある。外国製ではハシゴを1段ずつ伸び縮みできるモデルもある。

 

3脚タイプの脚立。植木職人がよく使っている

 

鉄パイプ製の脚立。いまはあまり使われていないタイプだ

 

1段ずつ伸縮できるハシゴ。長く使えてコンパクトに収納できる便利なタイプ

*掲載データは2017年6月時のものです。

作品をがっちり支える!基礎材のいろいろ・後編/ドゥーパ!資材館(12)

前回に引き続き、ウッドデッキ、小屋、フェンス、ガレージ&カーポートなどあらゆる作品の基礎を固めるための資材の数々を紹介。地味でごつい見た目のものばかりだが、作品をがっちりと支える重要な資材だ。

 

一般的な基礎石以外で作る独立基礎

湿気や雨水による土台の腐食防止、上部構造の水平維持ができれば、ほかの資材でも独立基礎材として使うことが可能。たとえばコンクリートブロックやコンクリート平板といった資材があてはまる。また、全体の水平が取れるなら自然石を流用するという手もある。

本来基礎材でない資材を基礎として使用する場合は、設置する方向に注意したい。たとえばコンクリートブロックを使用する場合は、上部からの重量に対して本来の強度が保障されるように空洞が上下に向くように使うことが大切。横倒しにして使うと、上からの圧力に対して強度が足りず、時間の経過と共に割れたり、崩れたりする可能性がある。また、高さが低い基礎材の場合、上部構造に湿気が及ぶおそれがあるので、基礎石の上に載る束柱を高くするなど考慮が必要だ。

 

<専用品の代わりに使える主な資材>

 

単管支柱台

上面に単管パイプを立てるための丸い穴があいた資材。ガードレールの設置にも使われ、形状的には束石の一種といえる

 

スライドブロック

上面の溝にボルトナットをかませ、看板などを固定できるようにしたコンクリート資材。室外機の土台としてよく使われている。長さがあるので基礎としても安定がいい

 

コンクリート平板

本来は道路の舗装、庭のステップストーン(踏み石)として使われる平板。60mm厚のものが一般的。ウッドデッキなどで、高さを抑えたいときに利用できる
基礎パッキンや鋼製束など(後述参照)とセットで使われることが多い

 

重量ブロック

JIS規格のコンクリートブロックの中で圧縮に対して最も強度がある。穴のなかにコンクリートを充填して、アンカーボルトなどを埋め込むことができる。写真は190×390×150mm幅のタイプ

 

コンクリート角材

歩道のエッジなどに使われるコンクリート製の角材。地先ブロックとも呼ばれる。写真は100×120×500mmのタイプ。長さがあるので基礎としても安定がいい

 

プラスチック製角杭

樹脂でできた角杭。ビスが効くので、腐らない掘っ立ての独立基礎として使用できる

 

フェンスブロック

本来はフェンスの柱を支えるためのブロック。上面にあけた穴は奥に行くほど狭くなるようにテーパーがついている。柱が止まったところで、柱の周囲にモルタルを打てば柱をしっかり固定できる

 

基礎石を自作してみよう!

製作費を抑えるために、基礎石自体を自作するという選択もある。簡単な方法はペール缶などにコンクリートを打てばそのまま基礎石として使える。もう少しスマートに作るなら木枠を組んでそこにコンクリートを打ち、コンクリートが固まったら木枠を取りはずせばOKだ。ここでは、厚めのボール紙でできたボイド管を使う基礎石作りを紹介。

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コンクリート土間の基礎

カーポートなどある程度の広さを持ったコンクリート土間を作る場合は、砕石を敷き込んで突き固めたあと、ワイヤーメッシュを配してからコンクリートを打つ。コンクリートは固さは十分だが、たわみに対する粘りがない。そのためワイヤーメッシュを入れずに作ると、車の重量が集中した部分が簡単に割れてしまう。

作業上のポイントは、コンクリートの厚みの中間部分にワイヤーメッシュを設置すること。スペーサーを利用してワイヤーメッシュを浮かしてコンクリートを打つようにしよう。また、平らにコンクリートをならすためには、一般的な左官コテでは小さいので、地面をならすトンボや土間ゴテと呼ばれる大型のコテなどを使うと効率よく作業できる。

 

<コンクリート土間で使う主な資材>

 

ワイヤーメッシュ

コンクリート土間のひび割れ防止に使用。6mm径や10mm径の鉄筋を150mm角の格子状に組んだ1×2mのものが一般的

 

鋼製束

腐食の心配がない鋼板製の束。高さの調節が可能。受け部分に大引きを取りつける

 

滑り止め加工用ゴム型

傾斜したコンクリート面に乾く前に押しつけて、滑り止めのくぼみをつける硬質ゴム製の型

 

プラスチック製スペーサー

高さ60mmと40mmで使い分けられる樹脂製のスペーサー

 

調整束柱

マルチポストとも呼ばれている。傾斜に合わせて高さの調整ができるのが便利

 

コンクリート土間の作り方

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*掲載データは2017年6月時のものです。

作品をがっちり支える!基礎材のいろいろ・前編/ドゥーパ!資材館(11)

今回紹介するのはウッドデッキ、小屋、フェンス、ガレージ&カーポートなどあらゆる作品の基礎を固めるための資材の数々。地味でごつい見た目のものばかりだが、作品をがっちりと支える重要な資材だ。

 

基礎作りにおける5つの「基礎知識」

1、作品の水平を保ったまま支えてくれるのが基礎の役割

設置されたエクステリア作品の水平を保ち、傾いたり沈んだりすることなく安全に上部を支える下部構造の構成部分のことを基礎と呼ぶ。基礎には、上に載る上部構造の重量を受け止め、長期間地面に接していても腐ったり変形したりすることのないよう、丈夫で耐久性のある材料が使われている。今回はDIYで作る小屋や物置、ウッドデッキ、ガレージ&カーポート、フェンスなどの基礎として使われ、ホームセンターで購入できる資材を中心に紹介している。

 

2、ウッドデッキや小屋作りでは独立基礎がベター

本格的な住宅では、敷地全体に鉄筋コンクリートの基礎をめぐらす、耐震性能が高いベタ基礎が採用されることが多い。DIYで作る小屋やウッドデッキなどは、束石を床下部分に並べ、必要に応じて立てた束柱の上に、大引きや根太が載る「独立基礎」のほうが施工は容易でコストも抑えられるのでおすすめ。

束石を配置し、その上に束柱を立て根太とつないだ設置例。独立基礎の典型的な構造だ

 

ピンコロの基礎に直接根太を置いて支持する独立基礎の設置例。根太の交差部分にもピンコロが配された頑丈な構造

 

3、柔らかい地面や大きな作品の基礎には砕石も併用する

基礎の設置で基本となるのは、地面の状態に応じた設置場所の調整だ。しっかり固められた状態の地面に小型の物置やエクステリア作品など比較的軽量なものを設置する場合は、地面の上に直に基礎材を設置してもいい。畑地のような柔らかい土地や、3坪以上ある小屋やウッドデッキでは、基礎材の設置部分の下に基礎材よりひと回り広く
50mm以上の厚さで水平に砕石を敷き詰め、基礎の沈み込みを防止する。作品に応じて、適格な基礎の選択とプランニングをすることが大切だ。

 

4、車庫の基礎は鉄筋入りコンクリート土間でがっちり作る

1トンほどの重さのある車が載るガレージやカーポートの基礎は、重量に対して十分な強度を持たせる必要があるため、コンクリート土間が最適だ。コンクリート土間は6~12mm径の鉄筋を井桁に組んだワイヤーメッシュを、100mm程度の厚さのコンクリートの中間部分に張り巡らせて作る。

上部構造の面積全体をカバーするベタ基礎の例。外縁の立ち上がり部分をコンクリートブロックで作っている

 

5、既設のコンクリート土間を利用する手もある

もともとあるコンクリート敷きのテラスなどの上にウッドデッキや小屋を建てる場合は、金属や強化プラスチック製の基礎材を利用するのも便利だ。なかには高さの調整が自由に行なえるのもあり(鋼製束など)、その場合は既存のコンクリートテラスにつけられた雨勾配による高低差にも対応できる。

テラスの上に基礎パッキンを敷き、その上に束柱を立てて土台を作った例

 

独立基礎

独立基礎は上部構造をしっかり水平に支えるとともに、本体部分の木部が地面に直接触れないように地面からある程度持ち上げて、地面の湿気や雨の跳ねかえりを避け、風通しをよく保つ役目も担っている。

このため独立基礎材はコンクリート製の角型をしたものが大半で、単純なサイコロ型をしたものはピンコロ、上すぼまりの台形をしたものは束石や沓石などと呼ばれている。束石や沓石は上面にホゾ穴があるもの、羽子板が立っているもの、ボルト穴のあいたもの、2×材を差し込める溝があるものなど実に種類豊富だ。

DIYの小屋作り程度の規模であれば、とくにどれを選んだほうがいいという制約はなく、製作するもののデザインや好みに合ったもの、購入する店舗の在庫や価格との兼ね合いを考えて選ぶといい。

 

<主な独立基礎>

 

沓石

「くついし」と呼ばれる基本的な基礎石。上面の各辺が9cm、12cm、15cmなどのサイズがある。上面にあいた穴はホゾ穴で、束柱の底面にホゾを作りここに差し込む

 

羽子板付き沓石

上面に羽子板ボルトが埋めてあるタイプの沓石。上に載る束柱を羽子板にビスやボルトで固定することができる。DIYでは多く使われるタイプ

 

2×4用束石

上面センターの穴には4×4材、側面の溝には各種2×材を差し込むことができる。ウッドデッキの基礎として使われることが多い

 

ピンコロ

コンクリートをサイコロ状に固めたシンプルな基礎材。サイズは150×150mm程度が多い。束柱や根太を固定することはできないが、価格的にはリーズナブル

 

多目的ピンコロ

ボルトを打てるナットが埋め込まれ、ホゾ穴のついたピンコロ。ナットサイズに合わせて羽子板ボルトやアイボルトを固定して使うことができる

 

独立基礎材の使い方

基礎が置かれる地面をある程度平らにならし、各基礎石(束石)の設置場所を決めてから、一度基礎石をはずし、基礎石よりひと回り広く50mm以上掘り込む。穴の底をよく突き固めたら砕石を充填し、砕石が動かないように突き固めて、コンクリートを打ち、その上に基礎石を配置する。並べた基礎石が互いに水平になっているか確認し、最後に土で埋め戻せば作業完了だ。

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*掲載データは2017年6月時のものです。

フローリングのしつこい汚れを落とす/暮らしに生かすDIYメンテナンス(10)

揚げものや炒めもの、油を使った料理をする限り避けられないのがキッチンの油汚れ。床に飛び散る微細な油は、料理中に熱せられることで粘度を増し、ほこりやちりと混ざることで、フローリングをひどく汚してしまう。今年の汚れは、今年のうちに徹底的に落としてしまう掃除術。

 

Before。油汚れを放っておかれたフローリング

 

After。きちんとメンテナンスすればきれいさっぱり

 

汚れ落としは家庭用の中性洗剤でOK

掃除の手順として最初のポイントは、汚れたフローリングに掃除機をかけること。これでフローリングの上の油分で固定されていないほこりやごみを吸い取ってしまい、拭き掃除を簡単にするという狙いだ。掃除するスペースの全体に掃除機をかけて、目に見えるほこり、ごみ、毛髪などきれいに吸い取ってしまう。

掃除機をかけ終わったら、いよいよ本格的に汚れを洗浄する。使う洗剤は中性洗剤。室内各部の掃除には効き目がマイルドな中性洗剤が、トラブルなしで使いやすい。

バケツにぬるま湯を張ったら、その50分の1の分量を目安に中性洗剤を混ぜて使う。ぬるま湯にするのは、油分が溶かしやすいし、寒くなるこの時期に少しでも気持ちよく掃除したいからだ。

中性洗剤を混ぜたぬるま湯につけたウエスはよく絞って、フローリングの汚れを拭き取っていく。しつこく厚さのある汚れには、中性洗剤を直接かけて汚れを落とせばいい。こうして中性洗剤を直接使った部分は、洗浄後、よく水拭きして洗剤分を取り除いておく。

掃除に使うのはごく普通の中性洗剤。これを必要な濃さに調整して使う

 

キッチンのフローリングは、特に油で汚れやすいスペース

 

一般的な汚れならバケツ1杯のぬるま湯に中性洗剤を50分の1混ぜる

 

ひどい汚れでは、中性洗剤の原液を振りかけて、数分放置して汚れを浮かせるときれいに掃除できる

 

ワックスがけで一段上の仕上がりに

水拭きして洗剤成分を取り除いたら、フローリングを完全に乾燥させる。これで汚れ落としは完了だが、せっかくきれいになったフローリングはワックスをかけて新品同様に仕上げたい。また中性洗剤の原液を使った部分は古いワックスがはがれているので、必ずワックスがけして仕上げたい。

ワックスをかける前に水拭きして、洗剤分を拭き取り、フローリングを完全に乾かす

 

スーパーなどで買える一般的なフローリング用のワックスを使用

 

ワックスを塗る範囲全体を見渡して、ワックスがけのコースを決める。逃げ道がないと、ワックスが乾くまで閉じ込められることがあるからだ。

ワックスは原液のままワックス塗布用のモップや半分に折ったウエスにまんべんなくしみ込ませ、想定したコースを後ずさりしながら塗る。ワックスは線で塗り、円で塗ってはいけない。薄く塗るように気をつける、さあーっとフローリングの上を滑らせる感じ。手に力を入れたりごしごしこすってはいけない。

ワックスがけは引きながらかけるのが原則。ワックスが完全に硬化するまで乗れないので、うまく脱出できるようにコースを設定する

 

ウエスやシートを簡単に交換して使えるモップが便利

 

モップにセットしたウエスにワックスの原液をたっぷりしみ込ませて、先述のようなコースでワックスをかける

 

ワックスがけは一度に広い面を塗るのではなく、手の届く範囲を一区切りとして塗ると疲れないし失敗もない。塗り終わったらよく乾燥させる。乾燥する前に水をこぼしたり、水滴をこぼしたりすると、そこが白い跡になってしまうので乾燥までは気をつける。

できれば2度塗りするといい。厚い1度塗りより薄い2度塗りが効果的だ。

最後に、ワックスは乾くと固まるので、ワックスがついたウエスやモップは濡れている間に洗ってしまうこと。

ワックスが完全に乾き、硬化する前に水で濡らすと、その部分が白く濁ってしまうので、乾くまでは水気厳禁

 

ぴかぴかに仕上がったキッチンのフローリング

金属を切断するための道具とその使い方・実践編/超実践的DIY道具ラボ(16)

鉄の加工でも木工の木取りと同じように、プランのサイズに合わせて切断するのが作品づくりの第一歩となる。
今回は金工の現場で鉄材の切断に使うポピュラーな道具の実際の使い方を紹介する。

 

CASE1 ポリカ屋根のつなぎ目などに使うフラットバーの切断

【金切りノコギリ】

【丸ノコ】

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CASE2 ロケットストーブに使う一斗缶やペール缶の穴あけ

【金切りバサミorディスクグラインダー】

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CASE3 家具の骨組みに使うアングルと角パイプの切断

【ディスクグラインダー】

【バンドソー】

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CASE4 屋根に使うガルバリウム波板の切断

【チップソー切断機or金切りバサミ】

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CASE5 家具の脚やブロック積みに使う異形鉄筋の加工

異形鉄筋はブロック積みの補強に使うものだが、棚や椅子の脚のパーツとしてなど、家具作りに使われることも多い

 

【ディスクグラインダー】

【ベンダー】

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CASE6 ウエルカムボードに使う鉄板の切断&切り抜き

【ジグソー&プラズマ切断機】

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*掲載データは2017年4月時のものです。

金属を切断するための道具とその使い方・基礎知識編/超実践的DIY道具ラボ(15)

鉄の加工でも木工の木取りと同じように、プランのサイズに合わせて切断するのが作品づくりの第一歩となる。
今回は金工の現場で鉄材の切断に使うポピュラーな道具を紹介する。

 

金属の切断は刃の選択がポイント

金属の切断加工の手段を考える場合、すでに電動工具を持っていれば、その工具の刃を金属切断に適したものに交換して作業するのが一番合理的だ。DIYでも使われているジグソー、丸ノコ、ディスクグラインダーには、それぞれ専用の鉄工用の刃(刃の呼び名はジグソーではブレード、丸ノコではチップソー、ディスクグラインダーでは切断砥石)がラインナップされている。これら刃の種類には鉄用のほかにも、アルミ用、ステンレス用など細分化されたバリエーションが販売されている。切断面のきれいさでみると、この3機種では、丸ノコ、ジグソー、ディスクグラインダーの順に切断面は粗くなる。

手軽に金属の切断をするなら、手工具の金切りノコギリや金切りバサミを使う手もある。電動工具と比べて安価に手に入れることができ、金切りノコギリは金属パイプの切断に、金切りバサミは薄鉄板の切断に便利に使うことができる。

 

道具の基礎知識・手工具編

金切りバサミ

倍力機能のついた金切りバサミ。鉄製ペール缶(厚さ0.5mm程度)なら、軽い力で切ることができる

 

こちらは刃とグリップ部分に、スジカイバケのような角度のついたタイプ。刃先が鉄板の下に差し込みやすくなっているので、墨線を狙って切りやすい。小屋の水切りなどのパーツ製作に使われる

 

金切りノコギリ

ノコ刃を前後で保持する弦架けタイプ。一方の手でハンドルグリップ、もう片方の手で前方のグリップを保持して作業する。刃の取りつけ方向が前後どちらでも可能なモデルが多い

 

木工用ノコギリと同じ感覚で使えるグリップタイプ。弦架けがないのでコンパクトになり、込みいった場所でも作業しやすい

 

パイプカッター

小径の金属パイプの切断に有効。刃を回してあてながら、徐々に締め込んでいく仕組み。写真の面取りカッターもついているモデルが便利

 

ワイヤーカッター

ワイヤーや飛び出したクギなどを切断するときに便利な道具。1.5mm径のワイヤーなどペンチでは切れないことがあるので、持っていると重宝する

 

ベンダー

鉄筋の曲げ・切断が簡単に行なえる専用工具。非常に便利だが、高価なので使用頻度の高い本職でないともったいないと感じてしまうかもしれない

 

道具の基礎知識・電動工具編

丸ノコ

木工ではおなじみの電動丸ノコもチップソーを鉄工用に交換すれば、強力な金属切断工具になってくれる

 

写真はステンレスも切れる、鉄・ステンレス用。鉄工用チップソーは刃の部分が木工用に比べて大きく、見た目が角型になっている

 

ジグソー

丸ノコよりも比較的安全な木材切断工具として紹介されるジグソーは、ブレード(刃)を鉄工用(金工用)に交換するだけで、安全性はそのままに金属の切断に使用できる

 

金属切断用ブレードの例。木工用に比べて刃が細かく、全長も短くなっている。素材には折れにくくて寿命の長いバイメタルなどが使われている

 

チップソー切断機

板材は切れないが、溶接加工でよく使われる鉄パイプやアングルなどの棒材の切断に利用できる。チップソーで切るので、切断スピードは速く、決断面がきれいだ。溶接工房では溶接機とセットで使用されることが多く、騒音は大きめ

 

こちらは鉄工用、アルミ用のチップソーを装着して、金属を切断するスチールカッター。丸ノコと同じ感覚で使用でき、鉄のアングルなどが簡単かつきれいに切断できる

 

ディスクグラインダー

切断砥石の交換で、あらゆる金属を自由自在に切断することができる。すっぱりと切ることができるが、正確な直線で切るのは熟練が必要だ。また、回転するディスクを軽くなでるようにあてれば、切断面のバリ落としとしても使えるので便利

 

鉄工用バンドソー

専用のソーバンドをセットし、バンドソー部分を上から下に下ろして材を切断する。騒音が小さく、火花が出ないので使いやすいが、チップソーと比べると切断スピードがやや遅く、切り口には少しバリが出る

 

高速切断機

チップソー切断機がチップソーを装着するのに対して、切断砥石を装着するのが高速切断機。上から切り下ろして金属を切断するのだが、大量の火花が出るので安全メガネは必須だ

 

プラズマ切断機

プラズマジェットの噴射で瞬時に金属を溶解し、高速切断する。直線の切断だけでなく、フリーハンドで操作して、細かな文字や複雑な曲線を切り抜くことが可能。使うには別途コンプレッサーが必要で、背部にあるエアーレギュレーターにエアーホースを接続する。写真は100V 15Aのコンセントから電源を取れるDIY向きのモデル「SUZIKIDエスパーダ15トゥット」。厚さ1.6mmまでの鉄板を切断することができる

 

*掲載データは2017年4月時のものです。