一般の人でも簡単に扱える!セメントその仲間たち/ドゥーパ!資材館【10】

DIYではとくにエクステリアを中心にポピュラーな資材であるセメント。それ単体でなく、ほかの資材と組み合わせて使うことで、さらに広く利用できるセメントについて解説。

 

セメントにはいろいろな使い方ができる

セメントは、石灰石、粘土、珪石、製鉄残渣を粉砕して、熱処理プロセスを経たのちに粉末に加工されたもので、これに適量の水を加えることで、水和反応によって硬化する資材だ。

用途、成分によっていろいろな種類に分類されるが、中でも幅広く使われるのが一般ポルトランドセメントだ。ポルトランドセメントも目的によって調合された超早強ポルトランドセメントや、中庸熱ポルトランドセメントなどがあるが、これらは緊急工事や大規模工事用に成分を調整したもので、小口の袋で販売されたり、一般に使用されることはない。

また、セメントは主に砂、砂利、砕石といった再生骨材と一定の容積で混ぜて、モルタルやコンクリートの材料として使うことが多い。モルタルはペイビングの基礎やレンガ積みの目地など、比較的軽量な作品を支えるために使われ、コンクリートは小屋の基礎やピザ窯の基礎など、重量のある作品の基礎に使われる。

 

一般的に袋入りセメントとして販売されているのは、普通ポルトランドセメントとその着色成分を調整した白色セメント。

 

ホームセンターではあらかじめセメントと骨材が調合された商品も販売されている。これらは水を加えて練るだけでモルタルやコンクリートとして使うことができ、ビギナーでも不安なく利用することができる。自分で配合するよりも割高にはなるが、1袋をそのまま使い切るといった小規模な作業では便利だ。

また、混ぜる骨材や水の比率を変えて、現場での使用状況によってノロ、空練りモルタル、バサモルと使い分けることもある。モルタルやコンクリートを作るためのセメントと骨材・水の配合比は下の表を参考にしてほしい。これらの配合は重量ではなく容積の比となり、バケツ1杯のセメントに対してバケツ何杯の砂を混ぜるというような比率になる。

注意したいのは、水や空気中の水蒸気によって反応するので、使い残したセメントはしっかりと密閉して保管し、早めに使い切ってしまいたい。袋を閉じないで放置すれば1週間もたたずに袋内で硬化してしまう。

 

骨材となる砂、砂利、砕石。塩分が含まれているとモルタルやコンクリートが劣化するので、必ず川砂や川砂利を使おう。

 

レンガ・ブロック積みにおけるモルタルの使い方

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<こんな資材もあるんです!>

「速乾セメント」。こちらは普通セメントの3倍の速さで硬化するので冬場の作業で頼りになる

 

「防水剤」。セメントの水和物と反応して防水性を付与し、耐久性を高めてくれる混和剤

 

「メトローズ」。25㎏のセメントに2分の1袋混ぜると、乾燥時間を遅らせることができる。夏場の作業で重宝する混和剤だ

 

ペイビングにおけるバサモル・ノロの使い方

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土間床作りにおけるコンクリートの使い方

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ガレージの床作りなど大量のコンクリートを使うときは、地元の生コン業者に依頼してミキサー車で配達してもらう方法もある

 

<こんな資材もあるんです!>

セルフレべリング(自己水平)性を持ったセメント系資材。水で練って、コンクリート床面、ベタ基礎、布基礎の立ち上がり部の上端に流し込むだけで、天端を平滑に仕上げることができる

 

ピザ窯における耐火キャスタブルの使い方

セメントの仲間である耐火キャスタブル(キャスター)は、ピザ窯やバーベキュー炉などの高温の炎が直にかかる箇所に使われる。適量の水で練れば、モルタルと同様の使い方で作業することが可能。主に耐火レンガの積みや接着に使われるが、水で練った耐火キャスタブルをドーム状に成形して硬化させれば、燃焼室または焼き室がドーム型のピザ窯を作ることができる。

ドームの成形で使うのはアサヒキャスター13T。アサヒライトキャスターLC-10Sという、軽量で断熱性に優れたキャスタブル材もある。通常は窯や炉の内張りとして使う資材なので、ピザ窯の表面に使う際は屋根がけが必須となる

 

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タイル張りにおけるタイルセメントの使い方

使うのは張りレンガやタイルなどの接着・目地埋めに適したセメント系資材。水を加えて練るだけで使える

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<こんな資材もあるんです!>

「セメント着色剤」。ホワイト色のセメントやタイル目地材に混ぜることで、好きな色に変えられる粉タイプの着色剤。デザインの幅を広げたい人におすすめ

 

壁塗りで使うモルタル造形・軽量発泡骨材の使い方

モルタル造形とは特殊なモルタルを用いて、自然のものから人工的なものまであらゆる素材の形を彫り出し、塗料で着色していく技法のこと。ギルトセメントというモルタル造形を行なうために開発されたプレミックスモルタルを使う。水と混ぜるだけで使うことができ、通常のモルタルに比べて粘性があり、ダレないのが特徴だ。

写真はTS1-Wという製品。色が白いため着色が容易で明るい仕上げになるのが特徴

慣れれば写真のようなリアルなレンガ造りの壁面などを作ることができる

 

壁塗り材として使うのにおすすめなのが、セメントに軽量発泡骨材を混ぜるという方法。モルタルに比べて、軽くて粘りがあるのでDIYでも施工しやすく、骨材が大きいので厚塗りも容易に行なえる。作り方はセメント1袋(25kg)に対し、軽量発泡骨材1袋程度の割合で混ぜ、水を加えて練るだけだ。

写真は業者向けの軽量発泡骨材「オートサンド」。一般的にはネット通販や一部ホームセンターで販売されている「ティエスサンド」という同種の製品が入手しやすい

 

壁下地材にはラスカットを使うのがおすすめ。コテで直接塗りつけ、シーラーと水性塗料で塗装したら、キュートな表情に仕上がる

 

*掲載データは2017年4月時のものです。

浴室のタイル壁・目地の掃除/暮らしに生かすDIYメンテナンス【9】

ふと気がつくと汚れているのが浴室の壁。とくに目地はモルタルなので、カビで黒い線状に汚れてしまう。今回は使いやすい用品を紹介しながら掃除の手順を解説する。

 

目・鼻・口・手をしっかりガードしてから作業する

掃除には液性がアルカリ性の浴室用カビ取り洗剤を使うので、作業前に防護メガネ、マスク、ポリ手袋などで目・鼻・口・手をしっかりガードしてから作業に取りかかる。作業中に衣服に洗剤がかかったら、すぐに洗濯して洗剤分を落とすこと。成分で衣服が激しく酸化してボロボロになってしまう。過去に、洗剤が大量にかかった衣服が原因で爆発事故が起こったという事例もあるので注意が必要だ。また成分の次亜塩素酸塩は塩酸を含むので、作業時は十分に風通しのよい状態にすることも大切。強力な成分の洗剤なので、「風呂に入るついでに裸で作業しよう」などと考えてはいけない。逆に、解説したとおりしっかりと準備さえしておけば、作業自体は比較的簡単だ。

100円ショップの道具が大活躍

作業の手順例としては、初めに浴室のタイル面を掃除してから目地の掃除に進む。目地部分を後回しにするのは、タイル面を掃除した時点で一緒に湿った目地部分をなるべく長い時間湿らせた状態にしておき、洗剤を少しでもなじみやすくするためだ。

タイル面に洗剤を吹きつけてウエスで拭き洗いしたら、すかさずシャワーなどで洗剤分をよく洗い流す。次に目地部分を狙って洗剤を吹きつける。吹きつけ部分が目線より上になる場合は、洗剤をスポンジなどに取って塗りつけ、洗剤が目に入らないように作業する。洗剤の説明にオープンタイムを置くように指示があればそれに従い、目地幅に合う先の細くなったブラシ、メラミンスポンジの角、汚れ磨き消しゴムの角部などを利用して目地部分を掃除する。こうした道具はすべて100円ショップで入手できる。

1回の洗浄でカビが完全に落ちない場合は、再び目地幅に沿って洗剤を拭きつけ、同じ作業を繰り返す。洗浄が終わったら、シャワーなどで洗剤分を完全に流し落とし、乾いたウエスなどでよく拭き、目地が乾くまで換気をよくしておく。さっぱりきれいになった浴室の清潔感は格別だ。

 

【タイルと目地の洗浄作業例】

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タイル壁の割れ・目地の補修の方法

タイルのひび割れは、ひび割れた部分にエポキシ系接着剤を小さなヘラで埋めれば修復できる。タイルが欠け落ちたときは、割れたタイルをエポキシ系接着剤で張りつければOKだ。目地の修復は、ボロボロになった目地をドライバーなどで削り取り、タイル用目地セメントを使って目地埋めする。また、目地埋めには防カビ剤が入ったシリコーン系コーキング剤や、チューブタイプの防水シールを使ってもいい。

コーキング剤の例。浴槽と壁のすき間埋めにも使うことができる。水回りに使うので防カビ剤入りのものを選ぶこと

火遊び好きなDIYerのためのロケットストーブ入門・番外編

もはや自作ストーブ好きの間では、ちょっとしたブームになっているロケットストーブ。今回は、そんな多くのDIYerを虜にするストーブの魅力やつき合い方を紹介しよう。

 

Step5 ロケットストーブの着火と消火の方法

ロケットストーブの着火はじつに簡単。焚き火や薪ストーブのように、小さな薪から火を起こし、火が安定したら大きな薪を燃やしていく、という手順は一緒だが、その難易度はまったく別物。スターターとなる小さな薪に火種を起こせば、ヒートライザーからの強烈な引きで一気に燃え上がっていく。手順はこうだ。

まずストーブ各部のダンパーを全開にし、焚き口に小枝や建築端材などの細めの薪を詰める。注意するのはこの段階では薪を詰めすぎないこと。薪を詰めすぎると空気の供給が制限され、火が起こりづらくなってしまうからだ。着火に新聞紙などを使う人もいるが、煙突の引きによって、煙道に灰が詰まってしまうこともある。バーナーを使って着火するのがいいだろう。スターターの薪に火がついたら、炎が煙道に吸い込まれていくように燃えてくるはずだ。もちろん焚き口から煙は一切出ない。こうなったら焚き口に薪を密に詰めたり、太い薪を入れていけばOK。

 

【超簡単!ロケットストーブの点火手順】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

なお、ロケットストーブの消火だが、薪ストーブと同じく、薪が燃え尽きるまでそのまま置いておくのが基本だ。とはいえ、緊急時は自分で消火する想定もしておくこと。消火の基本は燃焼の原因となる空気の流入を遮断すること。これは一例だが、各部のダンパーを完全に締め、焚き口に砂を詰めれば、内部の火を消すことができる。

 

Step6 燃焼ユニットの熱でストーブ料理を楽しむ

簡易型ロケットストーブ同様、暖房用のロケットストーブでも調理を楽しむことが可能。方法は簡単。燃焼ユニット上部、ヒートライザーからの熱を一番受ける天板部分を利用すればいい。ストーブに着火してしばらくすると天板が暖まってくるので、焼き網を置けば、トーストや焼きもち、お湯を沸かしてコーヒーを淹れる、なんてことは朝メシ前だ。

トーストぐらいなら簡単に焼けちゃいます

 

もうちょっとこだわった料理を楽しみたいという人は、天板の中央を取り外せるように改良してもいい。こうするとヒートライザーから上がってくる直火を利用できるので、調理できるメニューのバリエーションはグッと広がる。また中華鍋などを利用し、天板を覆うことでミニオーブンにすることも可能。ピザを焼くことだってできちゃうのだ。レッツ、ロケットストーブクッキング!

ストーブ天板の中央を取り外せるようにすると、直火が使えるようになるのでかなり便利

 

中華鍋を改造したフタで、天板を使ったミニオーブンも可能

 

ストーブの直火でフライパン調理もOK

 

Step7 煙突や燃焼ユニットのメンテナンスを怠らない

「ロケットストーブはススが出ない」「ロケットストーブは掃除が不要」なんて話を耳にすることもあるが、そんな高性能のロケットストーブを自作できる人はまれ。ほかのストーブと同じように定期的にメンテナンスすることを心がけよう。

まず煙突と蓄熱ユニットの煙道。シーズン中は常に点検口からススや汚れのつき具合をチェックし、問題があればすぐに掃除するといい。1シーズンに1回は組み立てた煙突を取り外し、オーバーホールして、煙突の状態をチェックするユーザーも多い。

煙突掃除用ブラシ。市販の煙突の径に合わせたものが販売されている

 

バラせるパーツはすべて取り外して、きれいに煙突内を掃除しよう

 

直筒も1本1本取り外しておくと掃除しやすい

 

また常に激しい高温にさらされる燃焼ユニットの点検も必須。耐久性に問題が生じたら、すぐにパーツを取り換えられるようにしておこう。頑丈な鋳物の薪ストーブと比べて、ロケットストーブの耐久性はそこまで高くない。常にストーブの状態を把握しておくのは、ロケットストーブユーザーの基本と心得よう。これらの作業が面倒と思うようであれば、ストーブ導入はやめておいたほうが賢明だ。

 

Step8 ストーブのデメリットとうまくつき合っていく

ここまでロケットストーブのメリットばかり紹介してきたが、もちろんいいところばかりではない。実はこのストーブ、意外と手がかかる。その中でも多くのユーザーが声を上げるのが「薪をくべるのが忙しい」という点。その圧倒的な燃焼効率の良さから細い薪はすぐに燃え尽きてしまうので、とにかく薪の投入が忙しい。加えて、焚き口が上方向に向いているロケットストーブは薪を縦にしか入れられず、また投入できる量も少ない。薪ストーブのように、薪をドンと入れて放っておく、ということができないのだ。早くて10分、長くても40分に1回は薪の様子を見てやらねばならない。そのため、焚き口を改良し、大きな薪を横にして突っ込めるようにして、薪の投入時間の間隔を延ばしているユーザーもいる。

通常のロケットストーブの焚き口。薪を立てて入れるようになっている

 

薪を横にして、奥に突っ込めるようにした焚き口。これで薪の投入時間の間隔が長くなる

 

また燃やしたエネルギーを蓄熱ユニットにため込むので、最終的な煙突からの排気温度は30~40℃とかなり低い。結果、壁から出した屋外の煙突内部には結露が起こり、もれなく木酢液(煙が液化した酸性の液体)が垂れてくる。とはいえ、木酢液は集めておけば、土壌改良に使うことができる。燃やした灰と合わせて家庭菜園に使えば一石二鳥だ。

煙突から集められた木酢液。デメリットも捉え方によってはメリットになる

 

このようにロケットストーブは完全無欠の理想のストーブ、というわけではない。自分の作ったストーブをよく観察し、長くつき合っていくのも楽しみのひとつだ。

 

*掲載データは2015年10月時のものです。

火遊び好きなDIYerのためのロケットストーブ入門・後編

もはや自作ストーブ好きの間では、ちょっとしたブームになっているロケットストーブ。ここでは、そんな多くのDIYerを虜にするストーブの魅力と構造をわかりやすく紹介しよう。

 

Step3 蓄熱ユニットの煙道の配管方法

ヒートライザーから生まれる強烈な排気力のおかげで、ロケットストーブは煙道を長く延ばしたり、横に曲げたりしても熱風を送り出すことができる。その長さは最大12mともいわれており、その延ばした煙道に合わせて、長いヒートベンチを作ることが可能だ。

ヒートベンチ内の煙道の配管だが、ただまっすぐ延ばしてしまうと熱源に近いほうから温かくなり、遠くなればなるほど温度が下がるという、伝導熱のムラが生じてしまう(イラスト、ストレート式参照)。そこで延ばした煙道をベンチの端で折り返し、ストーブ本体の脇から立ち上げれば、熱が均一に広がるベンチができる(イラスト、リターン式参照)。なお、リターン式のヒートベンチでは、ベンチ内に煙突が2本入ることになるので、ベンチ自体の幅が広がるから、ヒートベッドとして活用するのもいいだろう。

ヒートベンチ内の煙道から、粘土などの保温材を通して、ベンチ表面に熱が進む距離は1時間に2.5~3cmといわれている。この数字を目安に煙道からベンチ表面までの距離を決めるといいだろう。

蓄熱ユニットのバリエーションとして、煙道を壁のように立ち上げ、ロケットストーブ式のペチカ(ロシアで見られる壁暖房)を作ってしまうのもありだ。あえて蓄熱部分の煙突をむき出しにし、煙突から発生する輻射熱で部屋を暖めるという手もある。

リターン式のヒートベンチをつけたタイプのロケットストーブ(福島県・N邸)

 

ヒートベンチの配管には点検口をつけるのを忘れずに

 

煙道には200mm径のスパイラルダクトを使用。折り返した煙道は、ストーブの裏から垂直に抜けている

 

蓄熱ユニットのバリエーション

漆喰仕上げのヒートベンチタイプ。このなめらかで柔らかなフォルムは漆喰ならでは。造形の自由度が高い

 

レンガを積んだ壁の中に煙道を作ったペチカタイプの蓄熱ユニット。漆喰で仕上げたその姿は存在感抜群

 

煙突むき出しタイプ。あえて煙突を囲わず、上部に延ばし、その輻射熱を暖房にしている例

 

Step4 炉壁、炉床を作ってストーブの熱から家を守る

ロケットストーブを室内に作る場合は、土間など半野外に作るケースが多い。戸外に近く空気の出入りが多いので、薪が燃焼しやすい上、防火対策も取りやすい。しかし、長い蓄熱ユニットを組み込んだロケットストーブを室内に作る場合、壁に寄せて設置することも多い。その際はしっかりとした炉壁と炉台を作りたい。

上のイラストは薪ストーブの安全基準を参考にした炉台の製作例。ロケットストーブは燃焼部分が断熱されているため、薪ストーブのように本体の温度が200~300℃まで上がることはないが、安全な炉壁、炉台を作るに越したことはない。設置場所が低温炭化して、ある日突然火災が起こらないよう、ロケットストーブ自体の構造や材料、設置場所の状況もしっかり吟味しておきたい。放射温度計を1本用意して、ストーブのどの箇所が何度まで上がっているのか常に把握する、ストーブの室内設置前に、燃焼テストを入念に行なうなど、できる限りの対策を取ってほしい。

カーブさせたレンガの炉壁に加え、建物の壁もレンガ積みにして、ストーブの熱から守った例

 

放射温度計。自分のストーブ、煙突の温度を把握するために1本は用意しておきたい

*編集部注:可燃物設置の際は、各自治体による条例や種々の法的規制に従い、安全面に留意して行なってください。

 

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2015年10月時のものです。

火遊び好きなDIYerのためのロケットストーブ入門・前編

もはや自作ストーブ好きの間では、ちょっとしたブームになっているロケットストーブ。ここでは、そんな多くのDIYerを虜にするストーブの魅力と構造をわかりやすく紹介しよう。

 

Step1 ロケットストーブの基本的な構造を知る

ロケットストーブはアメリカで生まれたストーブで、正式名称は「ロケット・マス・ヒーター」と呼ばれる。このストーブの構造はいたってシンプル。まずはロケットコンロとも呼ばれる簡易型のロケットストーブを例に、その構造を紹介しよう。

ロケットストーブとは、簡単にいうと、ストーブの内部に煙突そのものを組み込んだもの。ヒートライザーと呼ばれるL字の燃焼筒がロケットストーブの大きな特徴だ。この燃焼筒の周囲を断熱することにより、薪を燃やした際、煙突内の空気がすぐに暖められ、内部に上昇気流が発生。焚き口から大量の酸素を引き込み、一気に薪を燃やす(イラスト①)。つまり、長さが短くても引きのいい煙突が焚き口に直接つながっていると考えればいい。この燃焼時に起こる「ゴーッ!」という音がロケットストーブの名前の由来だ。

高温になった燃焼筒の中では二次燃焼が起こり、可燃性ガスが再燃焼。結果、薪のエネルギーを最大限利用し、煙の排出が少ないストーブ、つまり熱効率のいいストーブとなるわけだ(イラスト②)。

簡易型のロケットストーブでは、本体にペール缶や一斗缶、燃焼筒にステンレス煙突が使われることが多い。最近では各地でワークショップが開催されているので、参加してみるのもいいだろう。

ペール缶を2本つなげた小型のロケットストーブ。持ち運び可能なモバイルストーブとなる(東京都・Mさん製作)

 

レンガを積み重ねて作る、より原始的なロケットストーブ。最低16個のレンガで作れることから「16 Brick Stove」とも呼ばれる(編集部製作)

 

一斗缶とステンレス煙突を利用したストーブを製作中の様子。煙突周囲はパーライトで断熱

 

Step2 燃焼部と蓄熱部から成り立つ暖房用ロケットストーブ

暖房用のロケットストーブで注目すべきは、燃焼ユニットと蓄熱ユニットで構成されている点だ。

 

【ロケットストーブと薪ストーブの熱伝導比較】

まず燃焼ユニットだが、基本構造は先に見た簡易型と変わらない。J字の燃焼ユニットは焚き口、バーントンネル、ヒートライザーの3つから構成される。このユニットの周囲を断熱することで、内部に上昇気流を起こし、効率よく薪を燃やすというわけだ。

暖房用ストーブの最大のポイントは、燃焼ユニットから続く蓄熱ユニットにある。燃焼ユニットで発生した高温の煙は、ヒートライザーからの上昇気流に押し出され、蓄熱ユニットへ進む。この進んできた高温のエネルギーを煙道周囲の粘土や石など、保温性のある素材がしっかり吸収。蓄熱ユニットはじんわりと温かいヒートベンチになる。つまり、薪ストーブのように発生した熱を煙突からそのまま逃してしまうのではなく、蓄熱ユニットを通過させることで、無駄なく使うことができるのが暖房用ロケットストーブの最大の特長なのだ。

このようにロケットストーブは、燃焼ユニットから発せられる輻射熱と蓄熱ユニットから発せられる伝導熱という2種類の熱で部屋を暖めてくれる。

なお、使用する薪の量が少なくて済むのもロケットストーブのメリット。作ったロケットストーブの機能にもよるが、通常の薪ストーブの1/3~1/4ともいわれている。また高温で一気に燃やすため、薪の種類を選ばないのも、このストーブの特長といえよう。

 

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2015年10月時のものです。

ガーデン資材の基本!張りレンガ&耐火レンガ編/ドゥーパ!資材館【9】

レンガは基本的なガーデン資材のひとつ。とはいえ誰もが思いつく赤レンガ以外にも、さまざまなバリエーションが存在する。ホームセンターの資材売り場に並べられたレンガから特徴あるレンガをピックアップ。

 

張りレンガ

レンガのバリエーションにはコンクリートブロックや壁に張って、レンガ積みの雰囲気を作る、張りレンガという種類がある。これを使えば既存の門柱や塀などを、レンガを積んで作ったような景観にアレンジすることができる。専用の接着剤とプライマーを使うと小屋やサイディングの壁、スチール物置など、コンクリート以外の場所に張ることもできるので、エクステリア、インテリアにかかわらず、さまざまな場所をレンガ風に装飾することができる。目地幅をあけて張り、仕上げにモルタルで目地を入れると、よりリアルな仕上がりにすることができる。

張りレンガで化粧した薪ストーブの炉壁部分

 

アートブリック
割れや欠けを防ぐためにファイバーを配合し、強度を高めた張りレンガ。明るい色から、リアルな色までカラーバリエーションの幅が広い。約200×64×10~15mm

 

グレートウォールブリック
レンガの質感をより高級に再現した張りレンガ。樹脂モルタルを使えばエクステリアにも接着できる。コーナー用にL型のモデルもあるので、リアルな張り方が可能だ。約230×110×13mm

 

かるかるブリック
美濃焼の技術で作られた窯業系の張りレンガ。質感はアンティークで落ち着いたもの。色のバリエーションも多彩。エクステリアでもインテリアでも使用可能。レンガサイズ(約215×65×15mm)、ミニサイズ(約94×45×13mm)

 

かるかるブリック専用接着モルタル
エクステリアでもインテリアでも使用できる専用モルタル

 

耐火レンガ

ピザ窯など直接火がかかるエクステリア作品づくりの場合、耐火温度が300度程度の普通のレンガを使うと、割れたり、欠けたりするおそれがあるので、特別に耐火性能の優れた耐火レンガを使用する。耐火レンガは、表面にSK‐○○とスタンプされている。SKはテストピースとして使われるゼーゲルコーン(SegerKegel・独)の略で、数字がそのレンガの熔倒温度(ゼーゲルコーンが熔け倒れる温度)を示している(表参照)。ホームセンターではSK‐32、SK‐34あたりが多く販売され、このクラスならピザ窯、バーベキュー炉でも十分な耐火性を発揮してくれる。耐火レンガの接着、耐火レンガ積みにはいくつかの方法があるがキャスタブル耐火物(アサヒキャスターCA‐13Tなど)を使うのが簡単で確実だ。

耐火レンガで積んだバーベキュー炉の例

 

[耐火レンガのSK番号と熔倒温度の目安例]
SK番号   熔倒温度
30     1670度
31     1690度
32     1710度
33     1730度
34     1750度
35     1770度

 

リサイクル耐火レンガ
実際に使われていた窯の取り壊しなどで出た耐火レンガをクリーニングしたもの。ひとつひとつ違う焼きむらが味わい深い。ピザ窯などの組み立てにも利用できる。約230×115×65mm

 

耐火レンガSK-32、SK-34
右が基本、左が半丁の耐火レンガ。上2枚がSK32、下2枚がSK34。耐熱温度はSK32が1710度、SK34が1750度。それぞれホームセンターで入手しやすいJIS規格の耐火レンガだ。基本(230×114×65mm)、半丁(230×114×30mm)

 

耐火レンガSK-34 横ゼリ
傾斜をつけて作られる耐火レンガのバリエーション。窯のアーチを作るためのパーツ。左からY-1(230×114×65~59mm)、Y-2(230×114×65~50mm)、Y-3(230×114×65~32mm)

 

フランスレンガ
焼き締めの模様がくっきり残るフランスのレンガ。耐火温度が1200度あるので、バーベキュー炉の火床に使うことができる。約220×105×54mm

 

耐火セメント
補修用に使われる耐火セメントで、水を加えるだけで使用できる。窯や目地のひび割れの補修に便利。耐熱温度1100度。2㎏

 

アサヒキャスターCA-13T
耐火レンガの積み、接着に簡単確実に使えるキャスタブル耐火物。普通のモルタルと同様に適量の水を混ぜるだけで使用できる。常用温度は1300度で、プロの間でも広く使われている。25㎏

 

*掲載データは2017年2月時のものです。

ガーデン資材の基本!普通レンガ編/ドゥーパ!資材館【8】

レンガは基本的なガーデン資材のひとつ。とはいえ誰もが思いつく赤レンガ以外にも、さまざまなバリエーションが存在する。ホームセンターの資材売り場に並べられたレンガから特徴あるレンガをピックアップ。

 

普通のレンガ

紀元前3000年頃に生まれたといわれるレンガは、建築資材として世界中で使われてきたが、日本に紹介されるのは幕末の頃で、国内では古い歴史があるというわけではない。明治に鉄道が発達してから国内での使用が増えるが、関東大震災でレンガ造りの建物は地震に弱いことが認識され、コンクリートの発展とともにレンガが建築の構造資材として使われることは、ほとんどなくなってしまう。現在はもっぱらガーデンの造作やエクステリアの景観を作る資材として利用されている。現在でもレンガが住宅建築に使われる地域のレンガでは、鉄筋とモルタルを打つための穴があいたレンガもあるが、これらを含めてガーデンエクステリアでは、とくに既成の使い道にはこだわらず、デザインのバリエーションとして利用したい。

日本の赤レンガはJIS規格で寸法や品質が規格化され、世界のレンガと比べても高い品質を持ち、ばらつきがなく均質的。一方海外から輸入されるガーデン用のレンガは地域ごとに大きさ、色などに個性があり、いろいろ組み合わせることで多彩な庭作りが楽しめる。レンガの接着や積みの作業では、一般的にモルタルを使用する。

ホームセンターの屋外にある資材売り場で販売されるレンガ

 

レンガ積みの作品例。レンガはモルタルで接着し、積み上げられている

 

レンガ敷きの作品例。レンガとレンガのすき間(目地)には珪砂や砂をはき込み固定する

 

ベルギーレンガ
素朴でソフトな雰囲気のレンガ。ベルギーレンガは多くのプロガーデナーも使う、人気のアイテムだ。約190×90×50mm

 

赤レンガ
日本製の赤レンガ。JIS規格により誤差の少ない安定した作りになっている。かちっとした作品に最適。写真上から、基本(210×100×60mm)、ヨーカン(210×45×60mm)、半ペン(210×100×30mm)、半マス(100×100×60mm)

 

コボルブリック
角の取れた丸みのある柔らかなフォルムが特徴のレンガ。レッドとクリームがある。標準サイズ(約220×103×67mm)、ハーフサイズ(約100×100×50mm)

 

ミックスレンガ
多用途に使える薄めのレンガ。3色のミックスで自由な敷き、積みのパターンを楽しめる。約190×94×45mm

 

オールディッシュレンガ
古びたイメージで焼かれたオランダ産レンガ。濃いブラウン系の色と、赤系の色がある。約215×100×65mm

 

飾りレンガ
ハート、足跡、犬などが型抜きされたレンガ。平面が正方形の半マスサイズで焼かれている。約100×100×60mm

 

イギリスレンガ
モルタルを盛るための大きな窪みがあるイギリス積みレンガ。約210×100×60mm

 

アンティークレンガ
実際に使われていた窯などの解体時に出たレンガをクリーニングしたもの。ひとつひとつ風合いが異なる。約235×115×65mm

 

パシフィックブリック
クッキーのようなかわいらしい質感のレンガ。穴あきレンガと、笠木に使う穴のあいていないレンガがある。穴あき(約230×114×75mm)、笠木(約230×114×60mm)

 

グレートウォールレンガ
頑丈なレンガ積みができるよう、鉄筋とモルタルを打つための穴があいている少し大きめのレンガ。約230×110×75mm

 

マレーシアブリック
実際にレンガ積みによる住宅建築が行なわれているマレーシアのレンガ。穴あきのレンガは鉄筋を差し込むためのもの。約215×110×67mm

 

スティックストライプレンガ
断面が正方形のレンガ。アプローチのエッジや、ペイビングのワンポイントなどに効果的に使用できる。ブラウン、シルバー、イエロー、ピンクの4色。約170×60×60mm

 

クイーンズランドブリック
わざと焦がした風合いで焼かれた、少し大きめのレンガ。積み、敷きともに使うことができる。穴あきタイプもあり、積む場合は鉄筋とモルタルを打つこともできる。約230×110×76mm

 

ニューサウスウェールズブリック
古典的なデザインのレンガ。基本的には積みレンガだがDIYのガーデン作りでは、用途にとらわれずに自由なセンスで利用したい。濃い色と明るい色がある。約230×110×76mm

 

ゴールドコーストペイパーレンガ
堅く平滑に焼かれたペイビング用レンガ。ゴールドとタンの2色があり、大中小3サイズを選択できる。大(230×460×50mm)、中(230×230×50mm)、小(230×115×50mm)

 

ドライモルタル
あらかじめセメントと骨材(砂)が配合されたドライモルタル。水を混ぜるだけでモルタルとして使用できる。自分でセメントと砂を混ぜるより割高だが、小さな作品づくりなどでは合理的に使える。25㎏

 

*掲載データは2017年2月時のものです。

塗装をするための道具とその使い方・後編/超実践的DIY道具ラボ【12】

エクステリア、インテリアを問わず、塗装することで、美しい色で装飾され、その塗膜や成分で材の劣化を防ぎ、保護をすることができる。今回は、塗装の工程で使用する道具を集めて紹介。

 

不要な部分に塗料がつかないようにする養生用品

せっかくきれいに塗装しても、本来しなくていい部分にまで塗料がついてしまっては台無しだ。そこで塗装の前段階として、養生と呼ぶ作業をして、不要な部分を汚れないように保護する。

養生にはマスカー、ブルーシート、マスキングテープなどを使うのが一般的。マスカーはマスキングテープと半透明のポリシートを組み合わせた製品で、塗装しない部分の境界線にマスキングテープを張って、ポリシートを広げればその部分の養生ができるというもの。住宅の塗装現場で多くの例を見ることができる。ブルーシートはおなじみの青いシートで、養生シートとも呼ばれる、まさに養生のためのシート。マスキングテープは塗らない部分に張って、塗料がつくことを防ぐテープ。粘着力が調節されていてはがしやすくなっている。マスキングテープの代わりにガムテープは使わないほうがいい。ガムテープは粘着力が強いので、はがす時に下地部分をはがしてしまうからだ。

マスカー。それぞれ下の白い部分が折りたたまれたポリフィルム。使う時はポリフィルムを広げて養生する。ポリフィルムの幅は300mmから3600mmまであり広さに合わせて選択できる

 

[マスカーの張り方]

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

幅広のマスキングテープ。幅は一般的ガムテープと同じ

 

マスキングテープの幅の狭いタイプ。細かな部分のマスキングに

 

広く使われている紙製のマスキングテープ。セロテープ等と同じサイズ

 

紙製マスキングテープで塗装の境界線を養生しているところ

 

塗装場所にするウマの下にブルーシートを敷いて地面が汚れないように養生している

 

つやつや塗装面にするための下地調整に使う道具

エクステリアの塗装ではあまり登場しない工程だが、インテリアの家具塗装で重要視される工程に下地調整がある。下地調整は木地面を研磨して平らになめらかにする作業。塗装した際にきれいに塗料が載り、すべすべの塗面に仕上げることができ、透明塗料を塗った場合は木目を際立たせることができる。

研磨には主にサンドペーパーを使い、製材された材ならば240番程度から320番、400番と目の細かいものに替えてなめらかに研磨する。320番で研磨した後、材の研磨面を湿らせ400番の耐水ペーパーで水研ぎするとさらさらな研磨面を作ることができる。また研磨工程では電動サンダーを利用すると快速に研磨できる。

市販のサンドペーパー。同じ番手でも空研ぎに使うサンドペーパーと、水研ぎに使う耐水ペーパーがあるので注意。一般的には、空研ぎに使うサンドペーパーから必要な番手を選ぶ

 

サンドペーパーの裏には番手が大きく印刷されているのでわかりやすい

 

[サンドペーパーの番手(粒度)の目安]

60 粗目
80
100
120 中粗目
150
180 中目
220
240
280
320 細目
360
400
500 超細目
600
800

 

手動のハンドサンダー。専用のサンディングパッドから必要な番手を選んで使う

 

電動サンダーで下地調整する場合、研磨程度をコントロールしやすいオービタルサンダーが使いやすい。材に密着させつつ、強く押し付けることはせず、振動なりに研磨する

 

適当な木片にサンドペーパーを巻き付ければ、即席のサンディングブロックとして使うことができる

 

鉄部の塗装、再塗装の下地調整に使う道具

サビの浮いてきたトタン屋根など、金属に塗られた古い塗料を塗り直す場合は、サビや汚れを取り除いて、金属の面を出し、しっかり塗装できるように下地を調整する。この調整には、金属ブラシ、スクレーパー、塗装はがし用砥石などや、研磨ディスク、カップブラシなどをセットしたディスクグラインダー、200番前後のサンドペーパーを取り付けた電動サンダーといった道具を使う。また新品の鉄材は保護のため油分が塗布されているのでそのままでは塗料が載らない。これを落とすには燃料用アルコール、パーツクリーナーなど脱脂剤を使うのが簡単で確実だ。塗料はDIYでは、木部、鉄部共用できる水性多用途塗料が使いやすい。

鉄塗装の下地調整に使う道具例。左からカップブラシをセットしたディスクグラインダー、スクレーパー、金属ブラシ

 

脱脂に使う燃料用アルコールは薬局でも手に入る

*掲載データは2017年2月時のものです。

塗装をするための道具とその使い方・前編/超実践的DIY道具ラボ【11】

エクステリア、インテリアを問わず、塗装することで、美しい色で装飾され、その塗膜や成分で材の劣化を防ぎ、保護をすることができる。今回は、塗装の工程で使用する道具を集めて紹介。

 

塗装用ハケの基本的な選び方と使い方

塗装に使うハケは塗料に合わせて水性用、油性用、万能(共用)などがあり、毛にもウマ、ヒツジ、ブタ、イノシシそれに合成繊維などがある。それぞれ毛質や弾力性に違いがあるので、目的に合わせて使い心地も考慮しながら選びたい。ハケのサイズは使用目的に合ったものを購入すればいいが、一般的にハケ幅30mmと50mmのスジカイバケと70mmの平バケがあれば不自由しない。それ以外のサイズは必要なときにそろえていけばいい。ハケのサイズは号数で表示されていることもあるので、号数と㎜寸法の関係を示す表組を掲載しておく。

手を汚さないための手袋は必須アイテム。使い捨てのプラスチック手袋や洗濯などで使うビニール手袋をするのがいちばん。軍手は塗料が染みると、手を汚してしまうので、使わないほうがよい。

水性塗料に使ったハケは使用後、たっぷりの水で洗い塗料分を完全に落とし、乾燥させて保管する。油性塗料に使ったハケは指定のうすめ液を使って洗浄した後、中性洗剤で洗い塗料分を完全に落としてから乾燥させるが、水性塗料と違って完全な洗浄は難しい。プロはハケを使う間隔が短いので洗浄乾燥はせずに、水性、油性共に使ったハケの毛部分を水中にぶら下げて保管する。また、色味の変化をきらい、ある色に使ったハケはほかの色には使わない。

ハケの洗浄を忘れてハケが固まってしまった場合、水性塗料に使用したハケはもう使えないので捨てるしかない。油性塗料であれば、うすめ液を使えば戻せる可能性はあるが、大量のうすめ液を使うことになるので、そのハケは捨て、新しいハケに替えるほうが現実的だ。

塗装の様子。ここではビニール手袋をしてスジカイバケを使い、材をウマに載せて塗装している

 

[ハケの幅、号数と寸法の関係]

号数 尺寸 mm(約)
3号 3分 10mm
5号 5分 15mm
8号 8分 25mm
10号 1寸 30mm
12号 1寸2分 36mm
15号 1寸5分 42mm
16号 1寸6分 48mm
20号 2寸 55mm
25号 2寸5分 70mm
30号 3寸 84mm
35号 3寸5分 100mm

 

基本的な塗装道具

50mmスジカイバケ。使用する機会の多いハケだ

 

30mmスジカイバケ。細かいスペースの塗装で必要

 

70mm平バケ。幅の広さを利用して広い面を一気に塗るときに使用

 

ビニール手袋

 

塗料を小分けにして使える塗料カップ

 

塗装用ハケのバリエーション

塗装に使うハケには、柄の先に毛のついた一般的なハケ以外にもデザインの違うハケのバリエーションがある。

ローラーバケ、コテバケ、ベンダー、ウエスなどだ。ローラーバケはハンドルの先に塗料を含むローラーがつき、ローラーをころころと転がして塗る。コテバケはハンドルの先に塗料を含ませるコテがついて、平らな面にコテを滑らせて塗るタイプ。

ベンダーは鉄の薄板にフェルトやスポンジが張られていて、そこに塗料をつけて塗る道具。全体を自由に曲げることができるので、狭い部分、入り組んだ部分の塗装に使われる。きれいなウエスは、ステインのような粘度の低い塗料を、雑巾がけのように拭き塗りするときに使う。

ローラーバケと塗料を入れる塗料バット。バット上でローラーを転がして塗料をつける。ローラーバケは幅が60mmから250mm程度まで何種類か選択でき、ローラー部分は交換できる

 

ベンダー。曲げやすい鉄板のハンドルに塗装用のフェルトがついている。全体を曲げてすき間などを塗ることができる

 

コテバケで塗装しているところ。コテ面に塗料をつけたらを滑らせて塗装する

 

ステインをウエスで材に吹き塗りしているところ。使い古した雑巾やTシャツなど、きれいな綿布ならウエスとして使える

*掲載データは2017年2月時のものです。

 

壁紙の張り替え/暮らしに生かすDIYメンテナンス【8】

今回は壁紙の張り替えを紹介。いくつかある壁紙の張り替え方法のなかでも、既存の壁紙の上からも張れるタイプの壁紙をチョイス。基本的な張り方の手順を解説。

 

ポイントは天井から正確に垂直に張る作業

壁紙を張る方法にはいくつかあるが、基本として共通することは、壁紙を真っすぐに張ること。

壁紙を真っすぐに張るには、壁に垂直線を設定して、そこに壁紙の端をぴったり合わせて作業する。垂直線の設定には糸を結んだ下げ振りを壁の上端から下ろして垂直線を得る方法や、垂直をマーカーできるレーザーレベラーで壁に垂直線を投射する方法がDIYでは多く使われる。壁紙を張るスタート部分が建具、例えばドア枠、窓枠などの垂直線部分を利用できれば、それらを利用して垂直線を設定してもいい。

垂直線が設定できたら、この垂直線に沿って壁紙を張る。壁紙を張る範囲にスイッチやコンセントがある場合、そのカバーははずしておく。壁紙を張ったあとで、カッターで周囲を切り取るので、コンセントのほうは適当なボール紙などで、コンセント穴をカバーをして万が一の感電を予防しておくといいだろう。

今回張った壁紙は、アクセント壁紙と呼ばれる、裏にノリのついたタイプの塩ビの壁紙。裏側の保護フィルムをはがして壁に張り、なでべラで空気を押し出すようにしてしわにならないように張ればいい。均等に張れたらスイッチの周囲を切り取りカバーを元に戻し、上下の余分を切り離せば、作業は完了する。アクセント壁紙は張った後でもノリ残しなしではがすことができるので、賃貸の部屋の模様替えにも使えるのが特徴だ。賃貸も含み現代住宅の壁紙はほとんどが表面が塩ビなので、相性もいいだろう。

 

【壁紙張りの作業例】

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継ぎ目の目立たない壁紙の張り方

壁紙を並べて張っていく場合、気になるのは継ぎ目。不自然に継ぎ目にすき間があると、非常に気になるし、見た目も悪い。これを解消する継ぎ方が突き付け張り。

突き付け張りは、一方の壁紙を重ね張りして、重ねた部分の中心を一度に切り、余分な切れ端を取り除いてから、元のように張り直すことで、重なり分がなくなり、切断した線で継ぎ目が目立たなく張れるというわけだ。壁紙張りの基本となるテクニックのひとつなので、本番前には少し練習して身につけておきたい。

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広い範囲で使われるボルト&ナット類/ドゥーパ!資材館【7】

数えきれないほどの種類が存在するが、ここではDIYでよく使われ、ホームセンターで購入できるタイプのボルト&ナット類をセレクトして紹介。

 

DIYで使うならどこでも手に入るメートルネジ

ホームセンターで販売されているボルト&ナットはJIS規格およびISO規格で製造されるメートルネジがほとんど。そこに若干USインチネジも在庫しているという感じになる。メートルネジのパッケージには、必ずM6×20などという表示がされている。これはMに続く数字がネジの軸径(mm)、×の後の数字がネジの軸長さ(mm)となる(表組参照)。これを見れば必要なボルト、ナットを簡単に見つけることができる。ネジは世界的に規格の統一化が進んでいて、現在ではアメリカやヨーロッパでも多くメートルネジが使われている。ただし、ハーレーはUSインチのボルト、ナット、BMW以前のミニ、旧車のスーパーセブン等はイギリスインチのボルト、ナットを採用している。マニアには知られた話題だ。他に管用ネジ、管用テーパーネジ、特殊ネジなど産業界で使われる規格もあるが、普通にDIYをしている限りはお目にかかることはない。また木材にボルト、ナットを使う場合は、ワッシャーを挟んだほうが材を傷つけにくい。

六角ボルト、六角ナットは、スパナ、メガネレンチ、ソケットレンチなどで六角部分をくわえて締めるので、六角部分の2面幅を知ってサイズが合った工具を使って作業する。2面幅もごく例外を除いて規格化されている(表組参照)。まれに例外があるので、最初の購入時はボルト、ナットをスパナ、メガネレンチ、ソケットレンチなどに現物合わせで購入するのが安心だ。

 

ボルト&ナットの主な種類を一挙に紹介!

 

六角ボルトを手回しできるノブに変換

混合水栓の水漏れを止める/暮らしに生かすDIYメンテナンス【7】

温度調節ハンドルの操作で、お湯と水を混合し、好きな温度で使うことができる混合水栓は、どこの家庭でも見られるもの。便利な機能だが、機械である限り経年の劣化は避けられない。今回は設置して20年以上経過している混合水栓の水漏れを止める。

 

Oリングをチェックして必要なら交換する

バスルームにある混合水栓の、温度調節ハンドルの根元から水漏れ。ひと晩で手桶一杯の水が漏れている。とりあえずDIYで対処できるか、この段階で心配であれば、バスルームの混合栓のメーカーに問い合わせて相談すればいいだろう。問い合わせる場合は製品番号を控えておくと、話がスムーズになる。

混合水栓の動き自体に問題はないので、今回のメンテナンスでは内部の温度調節機能部のOリングをチェックしてみる。金属製の水栓で水漏れの原因になるのが、Oリングやパッキンといったゴム製の部分。今回の混合栓は1997年までには製造が中止されているらしいので、少なくとも20年は経ったモデルだ。さすがに金属部分はしっかり作られているが、ゴム部分の経年劣化は避けられないだろう。

Oリングをチェックするために、温度調節機能部を取り出すには、このモデルではウォーターポンププライヤーを使う。ウォーターポンププライヤーがない場合は、温度調節機能部のスプラインをしっかりくわえることができる大きめのプライヤー、モンキーレンチなどで代用できる。温度調節機能部を取り出したらOリングを取り外し、点検して摩耗や傷、へたりがあれば同じサイズの新品Oリングと交換する。ホームセンターにはたくさんの規格Oリングが並んでいるが、古いOリングの場合、すでに規格外品となっている場合もあるので、そうした場合はメーカーに問い合わせれば間違いない。

 

作業の手順例

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身近なDIY素材、波板のいろいろ/ドゥーパ!資材館【6】

屋根材や外壁などの資材として使われる波板は、実に多くのバリエーションがあり、軽くて、加工もしやすいということから、DIY素材としては、身近なものになっている。

 

金属系素材の波板

DIYの素材として身近な波板は、素材が樹脂系と金属系に分けられ、物置や小屋、ガレージの簡易な屋根や外壁の素材として使われることが多い。金属系の波板なら、薄鋼板に亜鉛メッキしたトタンがポピュラー。このトタンにカラー焼き付け塗装したカラートタンは塗装の分耐久性は高くなる。エクステリア関係で話題に上がるガルバリウム鋼板の波板は薄鋼板に亜鉛とアルミ、少量のケイ素がメッキされた製品で、独特な結晶質の表面を呈するのが特徴。20年以上の耐久性を持ち、一般住宅の建材としても十分に使うことができる性能を持っている。その分価格も6尺サイズで1枚1800円程度はする。

※波板の一般的規格
幅(共通)655㎜
ピッチ(共通)約32㎜
実寸(呼び寸法)
長さ 1515㎜ (5尺)
1820㎜ (6尺)
2120㎜ (7尺)
2420㎜ (8尺)
2730㎜ (9尺)
3030㎜(10尺)
3640㎜(12尺)

 

ガルバリウム角波
一般の建築にも使われる高性能な屋根材。写真は6尺、厚さ0.5mm、参考価格1858円。

 

カラートタン波板
焼き付け塗装して耐久性を上げたトタン波板。写真は6尺、厚さ0.25mm、参考価格610円。

 

樹脂系素材の波板

最もスタンダードな波板と呼べるのが、塩ビ波板で価格も安く定型の6尺サイズで1枚600円見当。惜しみなく使えるが、耐候性はそれほど高くない。特に熱にあたると劣化が進みやすい。スタンダードな塩ビ波板は仮設用と考えておけばいいだろう。同じ塩ビでも、硬質塩ビ波板なら、耐久性は向上するが、価格も若干高くなる。塩ビ波板を使うのであれば、ガラスネットと呼ばれるガラス繊維を挟み込んだタイプがもっとも耐久性が高い。

樹脂系の波板で耐久性が高いのがポリカーボネート製の波板。有機ガラスとも呼ばれ、透明度はガラスよりも高く、耐衝撃性は一般のガラスの250倍といわれ、ジェット戦闘機のキャノピー、機動隊のヘルメットシールドにも使われる。屋根のスカイライトなどに使えば、室内を明るくすることができる。ポリカーボネート波板には表裏の指定があるので、作業時には、張ってあるラベルで確認する。6尺サイズで1200円程度だ。

 

発泡ポリカ波板
ポリカーボネートの発泡材で作られた波板。緑、赤、灰色など。写真は6尺、厚さ1.6mm、参考価格1315円。

 

ポリカ波板
樹脂系の波板では1番性能が高いポリカーボネート製。6尺、参考価格1210円。

 

ガラスネット強化波板
細かなガラス繊維のネットを塩ビ波板で挟み込んでいる。3尺、参考価格665円。

 

オンデュリン・クラシックシート
アスファルトシングル系の波板型屋根仕上げ材。940×2000mm、参考価格1980円。

 

波板の切断加工

スタンダードな規格なら、波板は厚さが0.7mmしかないので、加工は簡単にできる。丸ノコを使う場合はトタンの切断では金属切断用のチップソーを取り付け(ガルバリウムの場合はガルバ専用チップソーもある)、樹脂系の波板では樹脂切断用のチップソーを装着するのが一般的なセオリーだが、経験上数枚のカットなら木工用のチップソーでも切断できる。この場合、切断深さは最低必要な深さに設定して、波板の下には捨て板を敷いて作業する。電動工具で切断作業するときは必ずゴーグルをして、目を保護するようにしたい。ハサミで切る場合は波板切りバサミという専用のハサミもあるが、金切りバサミがあれば切ることができる。金属の波板の場合は切断面にバリが出て、手を切る場合があるので、心配なら手袋をして作業する。

 

金切りバサミがあれば波板を切ることができる。用心のために革手袋があるとより安全

 

丸ノコでガルバリウム鋼板の波板を切っているところ。チップソーを専用品にすればストレスなしで切断できる。屋外の作業では写真のようなコードレスの丸ノコが使いやすい

 

丸ノコ用の切断砥石。波板程度の厚みなら金属も樹脂も切断できる。価格も手ごろだ

 

金属切断用チップソーの例。金属の大きな抵抗に対抗する強化されたソーチップがついている

 

樹脂切断用のチップソーの例。バリや割れを防ぐ小さなソーチップのモデル

 

切断砥石を装着したグラインダーで金属板を切断する。盛大な火花が出るが熱くはない

 

波板のクギ打ち

傘クギなど波板固定用の各種クギを使って、波板を打ち留める場合は、あらかじめ建物の骨組みにクギを受ける桟を固定して、波板の位置を決めたら、この桟でクギを受けるように打っていく。普通カナヅチで打てば、ほとんど下穴は必要ないが、ちょっと硬すぎて打ちにくいならば、ドリルでクギ径よりほんの少し大きい下穴をあけてから打てばいい。クギ打ちの間隔は原則4~5山間隔で、山の部分に打ち留める。波板を並べて張る場合は、山が2.5山ずつ重なるように張る。山の流れ方向に並べて張る場合は、8㎝程度重なるようにして、傾斜の下側から張り始め、先に張った波板に重なるように上側の波板を張る。雨流れが波板の内側に漏れないようにするためだ。重なった部分には必ずクギ打ちして、強風ではためかないようにしておく。

 

カラートタンクギ。カラートタンと同じ色で塗装されたトタンクギ。クギ頭が少し広くなっている

 

プラスチック連結傘クギ。1本ずつばらして使う。傘があらかじめ山にかぶさるデザインになっている。軸がスクリュー状なので、とても抜けにくい。

 

亜鉛メッキされたスポンジ付き連結傘クギ。スポンジが山にフィットして雨が漏りにくい

 

写真奥に向けて高くなる屋根の例。奥の波板の前端部が手前の波板にかぶさっている。また半透明部分ではクギを受ける左右方向に渡された桟が透けて見えている

 

屋根張りの手順例

実際にガルバリウム鋼板の波板を使った片流れの屋根張りの手順を紹介する。

屋根部分に垂木を渡したら、波板を打ち留める桟を垂木と直角の方向に固定する。作例では垂木の両端と、真ん中に合計3本の桟を渡してそこにクギを打つように組み立てている。波板の切断は金切りバサミを使用している。写真では波板の下に角材を置いて、地面から持ち上げて作業している。こうすると切断中、すき間があるのでハサミが使いやすい。打ち留めにはメッキされたスポンジ付き連結傘クギを使っている。

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

*掲載データは2016年10月時のものです。

断熱DIYのポイントはこの4カ所!/断熱DIYアイデア&テクニック

断熱とは、室内外の「熱」の移動を「断つ」こと。外は寒くても家の中は暖かく、外が暑くても家の中は涼しい。そんな春の陽気のように年中快適なマイホームをDIYで手に入れよう。今回は、DIYのポイントを建築のプロに伝授していただきました。

 

location1 窓ガラス → 二重窓で空気層を作るかガラスにシートを張る

・二重窓を作る

外気の影響を受けやすい窓の断熱は、内窓を取りつけてもともとある窓との間に空気層を作るのがもっとも効果的。木材を枠にガラスをはめ込んで一から自作してもいいが、アルミレールと中空ポリカがセットになった簡易内窓キットを使うのもおすすめ。

 

内窓キットの「エコな簡易内窓」(アクリサンデー)。フレームの色はホワイトとブラウンの2色で、サイズも豊富にある

 

窓枠の形状が特殊だったり、内窓キットのサイズが合わないときは一から自作にチャレンジしよう

 

・シートを張る

窓に直接シート状の透明フィルムを張るパターン。もっとも手軽に窓の断熱ができるが、デコボコした意匠性の高いものや、ワイヤー入りのガラスには使えないこともあるので注意しておこう。

 

窓に張るだけで二重ガラスの構造が作れる透明フィルム。断熱に加え、紫外線をカットしてくれる効果も。シールタイプと水に濡らして張るタイプがある

 

プチプチ(気泡緩衝材)のような構造をしたシートもある。細かい空気層があるため、断熱性が高い。張りつけ後は外の景色が見えなくなるので、すりガラスなどに最適

 

location2 壁 → 断熱材を入れて放射熱をコントロールする

・充てん断熱工法

柱や梁の間に断熱材を詰めていく工法。建物を建てたあとからでも施工がしやすい。ただ、スジカイが入った壁や配線が通った部分などはすき間ができやすく、しっかり詰め込まないと断熱効果が得られないだけでなく内部結露
の原因にもなるので注意が必要だ。資材はグラスウールやロックウールといった繊維系断熱材、吹きつけによる発泡ウレタンフォームなどがよく使われる。

 

・外張り断熱工法

柱や梁の外側から断熱材で覆っていく工法。配線などの障害物の影響を受けないのですき間ができにくい、結露しにくいというメリットがある。その反面、充てん工法よりもコストがかかる。資材は発泡スチロール(EPS)、スタイロフォーム、ネオマファームといった発泡プラスチック系断熱材がよく使われる。

 

DIYで使われる主な断熱資材

・グラスウール

溶かしたガラスを細く綿状に加工した繊維系断熱材。繊維系断熱材のなかでも比較的価格が安く、断熱性も高い。袋詰めされたタイプならそのままの状態で詰め込むことができ、軽いため施工しやすいのも特長

 

・スタイロフォーム

一般名称は押出法ポリスチレンフォームと呼ばれる、発泡プラスチック系断熱材。熱伝導率が非常に小さく、断熱性が高い。ホームセンターでも入手しやすく、発泡スチロールの一種なので加工もしやすいのがうれしい

 

・防風 防湿透水シート

壁用の防水紙。壁内の湿気を屋外に出し、結露を防ぐ効果があるので、湿気に弱い繊維系断熱材と併用して使いたい。また、風の流入を防ぐ効果もあるので断熱性もアップする

 

断熱DIYお役立ちアイテム

 

location3 建具のすき間 → すき間テープを使って外気の侵入を防ぐ

・窓のサッシに張る
ポイントは窓枠の横や、引き違い窓の中央部分(縦桟が重なる場所)。このわずかなすき間から冷気が入ってくるのを防ぎたい。テープの素材はポリウレタンフォームタイプ、モヘアタイプなどが主流。内窓を設置するスペースがないというときに有効な方法だ。

弾力性に富んだ毛足がついたモヘアタイプのシールを、引き違い窓の中央に張った例。不均等なすき間もバランスよくふさいでくれる

 

・ドアの下部に張る
冷気の侵入経路としてよくあるのが、ドアと床のすき間。家によっては、かなりのすき間があいているのでチェックしておきたい。テープの素材は弾力性のあるゴム、ドア下端にはめ込むモール材などが主流。

ゴム(アクリル系エラストマー)を両面テープでドアの下端に張った例。弾力性があるので床にこすれても傷がつかない

 

location4 天井・床 → 断熱材を入れて熱の上昇気流をなくそう

足もとから冷たい空気を入れない&暖かい空気を天井から逃がさない
暖かい空気は上昇する性質がある。床と天井の断熱性が低いと、足もとはいつまで経っても寒く、暖かい空気は天
井から抜けてなかなか室内に留まってくれない。熱の上昇気流を抑えることで、部屋全体を快適な温度に保ちやすくなる。

屋根の野地板の裏側、垂木の間にグラスウールを詰め込んで天井断熱を施した例。梁がある構造の建物なら、天井裏に断熱材を敷き詰めるだけでも効果がある

 

古い家屋の場合、畳下の床下地が古くなって、すき間ができてしまっていることがあるのでェックしておきたい。ここに防水透湿シート、アルミシート(または薄いスタイロフォームなど)を敷けば、冷気の侵入が防げる

 

河野 直 Nao Kouno

設計事務所「つみき設計施工社」代表。施主参加型の家づくりを提案し、定期的に道具の使い方ワークショップを開催。DIYマインドを持った建築家。http://tsumiki.main.jp/

 

*掲載データは2019年12月時のものです。

イラスト◎丸山孝広

プロに聞く断熱の仕組みとコツ/断熱DIYアイデア&テクニック

断熱とは、室内外の「熱」の移動を「断つ」こと。外は寒くても家の中は暖かく、外が暑くても家の中は涼しい。そんな春の陽気のように年中快適なマイホームをDIYで手に入れよう。今回は、快適な部屋づくりへの第一歩となる断熱の基本を解説。

 

POINT1 断熱を高めるメリットはこんなにある!

・夏は涼しくて冬は暖かいからいつでも快適

断熱性が高い家だと、夏は外からの熱を遮断、冬は室内の暖かい空気が外に逃げなくなる。家の隅々まで均一な温度に保てるため、天井が熱を持ってロフトがすごく暑い……、部屋の足もとが寒い……、部屋間で温度差がある……といったことをなくすことができる。「頭熱足寒」から「頭寒足熱」の快適な空間作りを目指そう。

 

・暖房器具の稼働時間を減らせてエコ

断熱がしっかりとした家では、エアコンやストーブといった冷暖房の効きがよくなり、日によっては使わなくても快適に過ごせる場合も。電気代や燃料を使う量を減らせるため、体にもお財布にも優しいエコな暮らしへとつながる。

 

・室内に冷えた場所を作らず表面結露を防ぐ

冬は窓が曇ったり水滴がつく「表面結露」が発生することがあるが、断熱が不十分だと壁の表面にも結露が現れることがある。とくに冷えやすいコーナー部分、家具の裏側などは要注意。結露はカビやダニの発生源となり、ぜんそくやアレルギーを引き起こす要因になるので、建物全体の断熱性を高めて家の中に冷えた部分を作らないようにしたい。

 

・冬場に多いヒートショックの対策になる

気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こるヒートショックと呼ばれる現象。暖かいリビング→寒い廊下や脱衣所、浴室→熱いお湯のはった浴槽に入ることで起こるケースがもっとも多いが、トイレでの発生例もあるので、お風呂以外でも温度変化のある場所には注意したい。断熱がしっかりされていると家全体の温度差が少なくなるため、ヒートショックが起きる心配をなくすこともできる。

 

POINT2 熱の伝わり方は3通り

熱は高温側から低温側に向かって移動するが、そのルートには種類がある。物質によって運ばれる「伝導」、温度差によって生じた液体や気体によって運ばれる「対流」、電磁波によって運ばれる「放射(輻射)」の3パターン。断熱でとくに意識しておきたいのは対流と放射で、すき間をなくして風の流れをなくすこと、窓や壁の表面温度を上げることが大事になる。

 

・触れることで感じる温度「伝導」

物質の中の熱が高い部分から冷たい部分に徐々に移動する現象で、肌に直接触れることで感じとれる。とくに熱伝
導率の高い金属は、そのまま触れてもヒンヤリとしているが、熱せられたトタン屋根などを触ると熱く感じるのはこのため。熱の伝わり方が遅いほど「断熱性が高い」資材となる。

 

・熱が空気や液体によって運ばれる「対流」

熱を蓄えた空気や液体が移動することで他の物質に伝えること。暖かい空気や水は熱による膨張で比重が軽くなり、上昇する性質がある。「暖房をつけても室内の上だけ暖かくて足もとが寒い」「お風呂を追い炊きしたら上だけ熱くて底のほうは冷たかった」と感じるのはこの現象のため。

 

・熱エネルギーが体に直に届く「放射(輻射)」

離れた物質から電磁波によって感じる熱さ。日陰だと寒いが、日なたにいると暖かく感じるのは、一帯の気温が変化しているのではなく太陽の熱エネルギーが放射によって直に体に届いているから。ストーブや焚き火などに手をかざすと暖かく感じるのもこのため。

 

POINT4 大事なのは室温よりも体感温度

熱の移動ルートで忘れがちなのが「放射(輻射)」で、これが体感温度に密に関わってくる。体感温度は左の計算式で求めることが可能。たとえば下のイラストのように、同じ室温でも窓や壁の表面温度が低い、つまり断熱性が低い状態だと体感温度は下がるというわけだ。

右が断熱性が低い家、左が断熱性が高い家

 

放射温度を測ってみよう!

放射温度を測るには、赤外線式のサーモメーターが便利。安いものならネットで2000円程度から購入できる

 

POINT4 動かない空気層を作ることが断熱

熱は、固体>液体>気体の順に伝わっていきやすいという性質がある。多くの断熱材は内部に小さく区切られた気泡、つまり動かない空気の層を持っており、熱の対流を防ぐことで断熱性能を高めることができる。断熱材とは建物の洋服ともいえるので、以下のようにイメージしておくとわかりやすい。

河野 直 Nao Kouno

設計事務所「つみき設計施工社」代表。施主参加型の家づくりを提案し、定期的に道具の使い方ワークショップを開催。DIYマインドを持った建築家。http://tsumiki.main.jp/

 

*掲載データは2019年12月時のものです。

イラスト◎ヒラノマキコ

溝を彫るための道具とその使い方・後編/超実践的DIY道具ラボ【10】

木工では切るだけでなく溝を彫る(切る)ことも、作品の出来映えを上げるためにも必要なテクニックだ。今回は溝加工にスポットをあてて、さまざまなアイテムによる溝加工のバリエーションを紹介する。

 

大入れの溝彫り1/ノコギリとノミで幅のある溝を彫る

棚板などを差し込む溝にする大入れの溝はノコギリとノミで彫る。墨線に沿って溝の底まで切れ目を入れたら、左右切れ目の真ん中にもう1本切れ目を入れてから、ノミで不要な部分を欠き取る。最後にノミで溝の底をきれいにさらっておく。

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大入れの溝彫り2/トリマーで幅のある溝を彫る

トリマーの両側にフェンスを固定し切削幅を限定して、トリマーの動きを規制する。こうしてまず溝の左右端を彫り、あとはトリマーを左右に振りながら溝をさらっていけば、幅のある溝もきれいに彫れる。

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本ザネ接ぎの溝彫り/丸ノコとノミで細長い溝を彫る

本ザネは、向かい合った2枚の板の木端の、片方に凹部、片方に凸部を加工して接合する方法。凹部の溝を彫るには、まず丸ノコで溝の幅を決め、次によく切れるノミでさらって整える。

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ホゾ継ぎのホゾ穴/ノミだけでホゾ穴を彫る

ノミだけで溝や穴を彫るのは古くからの方法。よく研いだノミでも根気、時間がかかる方法だが、焦らず意識的にていねいに作業するときれいに加工できる。作業は「彫る」よりも「切る」感覚で進めるとよい。

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溝のデザインバリエーションが楽しめる/ルーターテーブルで板接ぎの溝を彫る

ここではルーターを取り付けたルーターテーブルならではの溝加工として、板接ぎの溝加工を紹介。登場するビットは海外から取り寄せたもの。いずれもルーターテーブルでのみ使用できるビットだ。

 

・ジョインテッドビットで二重の斜め接ぎ

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・一度の切断でサネ接ぎができる

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・カッターで彫る雇いザネ接ぎの溝

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・見た目もきれいなフィンガージョイント

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溝切り専用の組み合わせカッター/テーブルソーでダドーを使う

ダドー(DADO)は昇降盤や、テーブルインサート(チップソーの厚みに合わせて、突出し部周囲を覆うフタ)のあるテーブルソーしか使うことができないスペシャルな溝彫り用カッター。セットされたカッターの枚数を変えることで、いろいろな幅の溝彫りに対応する。輸入品のためサイズがインチ規格なので、材の加工時に注意が必要。

*掲載データは2016年10月時のものです。

 

溝を彫るための道具とその使い方・前編/超実践的DIY道具ラボ【9】

木工では切るだけでなく溝を彫る(切る)ことも、作品の出来映えを上げるためにも必要なテクニックだ。今回は溝加工にスポットをあてて、さまざまなアイテムによる溝加工のバリエーションを紹介する。

 

ハガキの厚さの溝を切る/ノコギリで溝を一筋切るだけで端材が作品に

銘木は小さな端材になっても、材特有の味わいがあるものが多く、捨てるには忍びないもの。ラフに木取りしたものにノコギリで溝を切るだけで端材が小品に変身。絵ハガキなどは厚さが約0.3mmなので、ノコギリは胴付きノコギリを使用する。

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小穴作り1/平行定規をつけた丸ノコで薄板を差し込む細い溝を彫る

合板などの薄い板材を箱の底板や、本棚の背板などに差し込むための狭い溝を彫ることを小穴作りと呼ぶ。作業は平行定規をつけた丸ノコを使用。丸ノコのチップソーの厚さは標準で1.5mm程度なので、必要な幅になるまで丸ノコを横にずらして作業する。

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小穴作り2/トリマースタンドを使った細い溝を彫る

細いビットの種類が充実しているトリマーを使えば、小穴作りはもっと簡単。トリマースタンド(トリマーテーブル)にトリマーをセットし、ビットが小穴作りの位置にくるようにフェンス位置を調節して、フェンスに材を沿わせて送れば、きれいな小穴作りを簡単に何度でも同じ位置に彫ることができる。

必要なビットをセットしたトリマーのついたトリマースタンドを使えば作業は簡単

 

真っすぐな溝彫り1/トリマーにストレートガイドをつけて溝を彫る

トリマーは切削するビットの回転のために、フリーハンドで溝彫りをすると、左にカーブしていく性質を持っている。しかしストレートガイドを取りつければ、確実にまっすぐな溝を彫れる。トリマースタンドがなくても、この方法なら小穴作りの溝を彫ることも可能。

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真っすぐな溝彫り2/フェンスを置いてトリマーでまっすぐ彫る

ストレートガイドが使えないような部分では、トリマーが左カーブしないように、トリマーの左側にフェンスを立てて、これにトリマーを沿わせて切削すれば、まっすぐな溝を彫ることができる。

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2.4mmから21mmまでの溝が自由に彫れる/小型ミゾキリ(マキタ3005BA)

ミゾキリとは内蔵したカッターを8000回転/分という高速で回転させ、溝を彫る専用の工具。カッターを交換することで2.4mm~21mmの溝を彫ることができる。手持ちで作業するミゾキリの中では、高輝度LEDライト、ブロア、30度傾斜などの新機能を搭載し取りまわしがいいのがマキタ小型ミゾキリ3005BA。DIYでは見慣れない工具だが、溝彫りでは専用工具ならではの能力を発揮する。

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*掲載データは2016年10月時のものです。

トタンひさしの再塗装にトライ!/暮らしに生かすDIYメンテナンス【6】

屋根が瓦やスレートでも、ひさしはトタンという家は多い。新築時にはしっかり塗装されていても、5年から10年で塗装の効果が弱まるという。サビで穴のあく前に再塗装する。

 

きれいな塗装のコツはていねいな下準備!

ひさしの再塗装作業では、基本的に脚立上での作業になるので、脚立を設置する地面がしっかり安定しているかを確認すること。

塗装する部分は平滑できれいであれば、塗装自体は誰でも簡単にきれいに塗れるもの。塗装前の下準備を念入りにしておくことが、きれいな塗装のポイントだ。

古い塗装やサビを落とすには、スクレーパー、真ちゅうブラシ、電動サンダーなどの道具を使う。広い部分は電動サンダーやスクレーパー。狭い部分には真ちゅうブラシが使いやすい。削ったり、研磨する作業が済んだら、ウエスできれいにぬぐっておく。

塗らない範囲を汚さないためのマスキングもていねいに、徹底的に張り巡らしておく。今回のようにローラーバケを使う場合は、ローラーバケの長さも考慮してマスキングしておかないと塗装しなくていい壁部分に塗料がついてしまうので、よく観察してていねいにマスキングする。

塗装は、塗料をしっかりかくはんして開始する。ハケ塗りの場合、塗料は少なめに取り、ハケは立てて塗る。とくに垂直部分は厚塗りせず、塗料が垂れないように塗る。ローラーバケはまんべんなく塗料を取ったら、よくしごいて取り過ぎた塗料を落としてから塗装する。

ポイントは本塗装の前に、トタンの素地まで出た部分を、ハケを使って拾い塗りしておくこと。下ごしらえをしっかりしておけば、本塗装は簡単。ローラーブラシを使い均一を心がけて塗れば、誰でも失敗なく塗装できるはずだ。

アサヒペン水性シリコンアクリルトタン用3Lを使用。酸性雨、酸性雪、排気ガス、塩害に強い超耐久塗料

 

再塗装には塗装道具以外に、古く浮き上がったり、はがれかけた塗装や、サビを落とすための道具も必要になる。写真は右からローラーバケつぎ柄、シーリングガンと変性シリコン充てん材、サンドペーパー、スクレーパー、ローラーバケ、ワイヤーブラシ、水性トタン用ハケ、マスカー、マスキングテープ、トタン用塗料、バケット型ローラートレイ

 

数十年は経ったと思われるひさし部分。全体に塗装部分の劣化がはっきりと見てとれる

 

Step1 下準備

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Step2 塗装

*掲載データは2016年10月時のものです。

DIY全般で活躍する接着剤・後編/ドゥーパ!資材館【7】

木工作品づくりをはじめ、DIYの全般に活躍する接着剤。今回はホームセンターで入手できる製品を中心に、木工用、多用途、瞬間の各接着剤を紹介する。

 

瞬間系

瞬間接着剤は主成分のシアノアクリレートが空気中の水分に反応し、瞬間的に硬化して接着する。

 

スコッチ 強力瞬間接着剤

さらさらした液状の瞬間接着剤。金属、木、紙、陶磁器、合成ゴム、硬質プラスチック、皮革と多用途に対応。写真はハードケース入り2gチューブ

 

スコッチ 強力瞬間接着剤ジェル

たれないので、壁など垂直面での接着に使うことができるジェル状。金属、木、紙、陶磁器、合成ゴム、硬質プラスチック、皮革の接着に使用できる。写真はハードケース入り3gチューブ

 

スコッチ 強力瞬間接着剤耐衝撃

接着後ぶつかっても取れにくく、耐衝撃、耐振動が必要な部分の接着に適している。金属、木、紙、陶磁器、合成ゴム、硬質プラスチック、皮革等接着できる。写真はハードケース入り2gチューブ

 

ゴリラ スーパーグルー ジェル

プラスチック・木材・金属など素材の接着に幅広く使える強力瞬間接着剤。耐衝撃&耐振動に強く、最速10秒で接着。内部硬化を防ぐ特殊キャップを採用している。内容量3g

 

アロンアルフアEXTRA 即効多用途

シリーズ最速接着スピードの瞬間接着剤。木や陶磁器、プラスチック、金属、合成ゴム等も接着できる多用途タイプ。写真は2gパッケージ

 

アロンアルフアEXTRA スティック

キャップについている細いスティックを使って、細かい部分に少量を塗布できる、模型やクラフトに使いやすいタイプ。プラスチック、金属、合成ゴム、木、陶磁器等が接着できる。写真は2gボトル

 

アロンアルフア カラーチェンジ

塗るときは紫色で、接着後は透明になる、接着するポイントが見やすい瞬間接着剤。プラスチック、金属、合成ゴム、木、陶磁器等の接着が可能。写真は2gパッケージ

 

アロンアルフアEXTRA ゼリー状

ゼリー状でたれず、しみ込まず、超高速なので垂直面などでも確実に接着できる。プラスチック、金属、合成ゴム、皮革、木、陶磁器等の接着が可能。写真は4g容器

 

接着部分はクランプで仮固定しよう

接着剤が実用強度まで硬化するまでは、クランプで押さえて仮固定しておくとしっかり固定できる。クランプで固定するときは、両方のアゴが均等に材をはさむようにして締めつける。接着部分に長さのある場合は複数個のクランプを使い、もれなく圧力がかかるように工夫する。クランプにはベルトクランプと呼ばれる額縁などの角4カ所を一度に仮固定できるクランプがあり、額縁、ミラーフレーム、窓枠などの組み立てに重宝する。

・F型クランプの場合

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・ベルトクランプの場合

 

瞬間接着剤を長持ちさせる保管法

便利な瞬間接着剤は通常の使用では、ほんの少ししか使わないもの。そして次に使おうとすると、固まってしまって使えなくなっているというのも、瞬間接着剤にありがちなこと。せっかく便利な瞬間接着剤、保管法を工夫していつでも使えるようにしたい。

瞬間接着剤の主成分シアノアクリレートは空気中の水分に反応して硬化するので、パッケージには保管法として「直射日光を避け、湿気の少ない場所に保管する」と書かれている。そこで、使ったあとは冷蔵庫で保管する人が多いらしいが、そこにもう一工夫。瞬間接着剤と明記したタッパーに乾燥材(シリカゲル等)を入れ、そこに瞬間接着剤を入れて保管するという方法。これで性能をそこなわず長期保管できるはず。使う前には取り出し常温に戻す。冷凍庫には入れないこと。

乾燥剤を入れたタッパーに入れて冷蔵庫で保管

 

アクリル板のDIYには専用の接着剤を使う

アクリサンデー接着剤
溶剤接着タイプなので、仕上がりが透明で美しい。アクリル樹脂のほかに、ポリカーボネート樹脂、スチロール樹脂に使用可能。本体、注入器、針がセットになっている。容量30ml。

DIY全般で活躍する接着剤・前編/ドゥーパ!資材館【6】

木工作品づくりをはじめ、DIYの全般に活躍する接着剤。今回はホームセンターで入手できる製品を中心に、木工用、多用途、瞬間の各接着剤を紹介する。

 

天然接着剤から高性能な合成接着剤へと進化を続ける接着剤

人類は原始時代から接着剤を利用してきた。はじめの接着剤は自然由来のもので、世界各地、また日本の縄文時代の遺跡からも、矢尻と矢柄の接着に自然のアスファルトを利用したものが発掘されている。日本ではアスファルトは新潟、秋田の日本海沿岸で、自然に地面にしみだしてくる地域があり、古代では重要な特産品として、大和朝廷への献上物となっていた。

こうした天然の接着剤では、国内では天然うるしも古くから使われ、うるしで修理された土器が出土している。日本にウシ、ウマが移入されるにつれニカワの利用が、米の大規模な栽培が広まるにつれデンプン糊が広まっていったと考えられる。接着剤の原料となる動物や米の伝播とともに、接着剤の種類も増えていったのだ。牛乳や海苔からも天然接着剤は作られていた。明治時代にかけてこれらは接着剤の主流として日本文化を支えていく。近代になり天然ゴムやシェラックといった自然由来の接着剤が海外から導入され、昭和のはじめまでには、日本でも合成接着剤が登場。尿素樹脂、メラミン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂などを原料とした接着剤が生まれ、現在に至るまで進歩は留まることがない。現在の接着剤は木工や家庭での使用から、建築、自動車、航空機、造船、ロケット産業まであらゆるもの作りのシーンでなくてはならないものとなっている。

 

木工系

具作りなどの木工をする人にはなじみ深い接着剤。多用途化した製品もある。

 

タイトボンド・オリジナル

50年以上アメリカの木工家に支持され続けるタイトボンド。オリジナルは室内木工用の水性接着剤。乾くと木材自体より強度が出る製法で開発。写真は118mlのボトル

 

タイトボンドⅡ・プレミアム

高い耐水性を持たせ、インテリアはもちろん、屋外に置いて使うエクステリアの家具作りにも使用できる木工用水性接着剤。写真は118mlのボトル

 

タイトボンドⅢ・アルティメット

タイトボンドのシリーズで「究極」を冠された木工用水性接着剤。より強力な接着力と耐水性でインテリア、エクステリア双方の木工に使うことができる。写真は118mlのボトル

 

ボンド 木工用

木工用接着剤の代名詞にもなっている接着剤。酢酸ビニル樹脂を主成分とする水性の接着剤。木、布、紙の接着に使用できる。ボトルの色は黄色。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用速乾

ボンド木工用と並んで人気のある速乾タイプ。酢酸ビニル樹脂の配合が増えている。用途は木工用と同じ。ボトルの色は白。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用多用途

木、革、布、紙同士、または片方が塩ビ、金属に接着できる。使用範囲を広げた水性の速乾性木工接着剤の、多用途タイプ。ボトルの色は薄緑。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用プレミアム

水性の速乾木工用接着剤。細口のノズルを採用しているので、速乾の性質を利用して細かいクラフト作品の製作にも使いやすい。写真は30mlのチューブ

 

ゴリラ ウッドグルー

木材・布・紙の接着に使える木工用強力接着剤。開け閉めがしやすく、詰まりも防いでくれるワンタッチノズルを採用。硬化後は自然な木材色に。写真は118mlボトル

 

多用途系

木、布、紙といった基本的な素材に加えて、金属、陶器、セラミック、タイルなど広範囲に接着できる高性能接着剤。

 

ボンド ウルトラ多用途S・U

ウルトラの名どおり金属、ガラス、コンクリート、石、タイル、陶磁器、発泡スチロール、木、硬質プラスチック、軟質塩ビ、合成ゴム、革、布、フェルト等の接着が可能な速硬化、強力、耐水性のある屋内外で使える接着剤。写真は120mlのチューブ。専用のヘラとノズルが付属する

 

スコッチ 超強力接着剤 プレミアムゴールド スーパー多用途2

金属、プラスチック、軟質塩ビ、合成ゴム、木、革、陶磁器、タイル、シリコーンゴム等の接着が可能な多用途接着剤。写真は20gのチューブ.。薄くて塗りやすいヘラが付属

 

スコッチ 強力接着剤[多用途]

水回りの補修にも使える耐水性多用途。金属、陶器、セラミック、ガラス、タイル、硬質プラスチック、皮革、木、布等の接着が可能。両面に塗るタイプの接着剤。写真は30mlのチューブ

 

ボンド G17

皮革の接着後のねじり、曲げ、引っ張りに強く、レザークラフトの分野では絶大な支持を得るボンドG17。皮革以外に、合成ゴム、金属、硬質プラスチック、木等の接着が可能。両面に塗るタイプの接着剤。写真は50mlチューブ。塗布用のヘラが付属する

 

ボンド Gクリヤー

G17 は接着剤が黄色がかっているが、Gクリヤーは透明なので、より使いやすい。皮革、合成ゴム、布、硬質プラスチック等の接着ができる。写真は50mlチューブ。接着面の両面に塗るのでヘラが付属する

 

ゴリラグルー クリア

紙、布以外のあらゆる素材に使える強力多用途接着剤。接着面は異なる素材でも使え、硬化後はクリアな仕上がりに。耐寒・耐熱(-29~82℃)。内容量51ml

 

接着剤は薄く均等に塗ろう

接着剤によって使い方が違うので、それぞれどんな方法で使うか、説明をよく読んでおく。そのため、接着剤のパッケージや台紙は捨てないでとっておいたほうがいい。接着する材の面はきれいな平面にしておくこと。でこぼこだったりざらついていると、うまく接着できない。荒材の場合は、カンナを掛けるか、サンディングして、きれいな平面を作ってから接着する。接着剤はできるだけ薄く均等に塗るのが原則。接着面には単に接着剤を置くのではなく、指先やハケでならしたり、ヘラが付属しているタイプでは、そのヘラを使って接着剤を薄く均等にならして塗る。

接着剤は容器から適量を取り出したら接着する前に、均等に薄くならす

 

接着剤を塗った材同士は、クランプで均等な力を掛けると、しっかり接着できる

 

水性の接着剤はハケを利用してもきれいにならすことができる

 

ヘラが付属しているタイプの接着剤では、付属のヘラを利用して薄くならす

 

接着する面は互いにきれいな平面に加工しておくこと

 

密着させてはみ出した水性のエマルジョンタイプの接着剤は濡れたウエス等で拭き取ることができる。はみ出した部分に接着剤が残ると塗装が載らないので必要なら研磨する

集じんシステムを自作しよう・実践編/超実践的DIY道具ラボ【8】

木工で使う切断工具には切り屑、粉じんの飛散はつきもの。どんな工房でも掃除は欠かせない。しかし、今回紹介する集じん機を導入すれば、切り屑、粉じんを自動的に集めることができ、周辺をきれいに保って、作業空間をクリーンにすることができる。

 

工房中の複数ある工具を集じんする集じんシステム

工房に置かれた電動工具すべてに集じんホースを張り回して、中大型の集じん機やサイクロン集じん機で集じんするというシステムの設置は、工房派にとっては夢のシステムだ。専門の洋書でよく見ることができるが、国内でも工房に集じんシステムを導入している例を見ることができる。

そのような集じんシステムを作るには、工具ごとに枝分かれする集じんホースの長さと太さ、それに適応するパワーを持った集じん機やサイクロン集じん機の選択が重要になる。前ページのように、工具単体と集じん機単体の組み合わせなら、小型の家庭用電気掃除機で問題はないが、たとえば工房にあるすべての工具とサイクロン集じん機をひとつにまとめるシステムの場合は、各工具からサイクロン集じん機までのパイプやホースの長さと直径に対して適したサイクロン集じん機を選ばなければ、切り屑を吸引する力が足らずに吸い切れないことになってしまう。自分の工房に集じんシステムを作る場合は、ホースやパイプの長さが全部合わせて何mになるか、集じん機から一番離れた工具まで何mあるか、屈曲部が何カ所あるかを事前に確認しておき、購入予定のサイクロン集じん機のメーカーや販売店に問い合わせて、工房に合った機種を選定するようにしたい。

また各工具に接続するホースやパイプが主パイプに接続する部分には、空気の流れを遮断するシャッターを設置し、そのとき使う工具以外のシャッターを締めきって、空気の流れを切り換え、無駄な吸い込みを遮断して、使う工具1台だけから集じんするようにしなければ、効率のいい集じんはできない。

集じんシステムを構成するホース、パイプ、金具類はホームセンターの資材売り場を探せば合うものを見つけることができるが、専門ショップやウェブショップでも集じんシステム用にそろえられたパーツを購入することができる。

 

集じんシステム例1

壁に面してセットされた糸ノコとベルトディスクサンダーから集じんするシステム例。ベルトディスクサンダーには手製の集じんポートを介して、ベルト用、ディスク用それぞれの集じんパイプがセットされている。上部の集じんパイプの途中にはシャッターがつき、空気の流れをコントロールする

 

集じんシステム例2

プロの工房に設置されたシステムのパイプが集じん機に集まる部分。壁に設置されたパイプが工房のいくつかの据え置き型工具から引かれる集じんパイプ。右側手前の集じんホースは切り屑の多いテーブルソーから伸びて、一度ダストバケツに吸引され、ここで切り屑と空気の流れを分離し、切り屑の落ちた空気が集じん機に吸引される。集じん機に入るのはごく少量の粉じんだけになるので、メンテナンスの手間を大きく省くことができる

 

集じんシステム例3

写真左窓際に置かれたルーターテーブルと奥のテーブルソーの2台を集じんするシステム例。ルーターテーブルには途中分岐した集じんホースが取りつけられ、テーブルソーから取り出した集じんホースと2本束ねられ、テーブルソー下のダストコレクターにつながる。ダストコレクターにはシャッターのついた集じんポートが2口あるので、そこに2本の集じんホースをつなぐことができる。ダストコレクター上にある吸引パイプを集じん機に接続すればすっきり集じんできる

 

集じんシステム例4

広い工房に設置された大規模なサイクロン集じんシステム。写真では3系統に分岐した天井の集じんパイプが写真奥で集合し、手作りの大型サイクロン集じん機に集じんされるシステム。分岐した集じんホースは各据え置きの工具に接続され、空気の流れはパイプ各部に設置されるシャッターの開閉によってコントロールされる。据え置きの工具だけでなく、作業台の上で使う工具に集じんホースを接続できる取りつけポートや、工房の掃除に使える集じんホースも分岐されている

 

メイン写真の一番奥右側に設置されたオリジナルのサイクロン集じん機。すべての粉じんはここに集まる

 

シャッターの一例。これはシャッターを閉めた状態

 

シャッターを引き出して開いた状態。指で引いているアルミ板がシャッター板

 

天井に設置された集じんホース取りつけポートから集じんホースを伸ばしてくれば作業台で使う工具の集じんができる

 

木工旋盤はこのように切削ポイントの近くに集じん用フレキシブルホースをセットして集じんできる

 

掃除機ヘッドを取りつけ、集じんシステムを工房の掃除に使えるようになっている

 

クリーンな空気の工房を実現するエアフィルターシステム

JETエアフィルターシステムAFS-500

集じん機のフィルターでは取りきれない、微細な粉じんを取り除き工房内にきれいな空気を循環させるエアフィルターシステムを導入するのもおすすめだ。据え置きでも吊り下げでも使用できる。粉じんを取り除くフィルターの能力は外側5ミクロン、内側1ミクロン。風量3段階切り替え、タイマー3段階切り替え。リモコンつき。

しっかり支えて固定すれば吊り下げてセットできる

*掲載データは2016年8月時のものです。

 

集じんシステムを自作しよう・入門編/超実践的DIY道具ラボ【7】

木工で使う切断工具には切り屑、粉じんの飛散はつきもの。どんな工房でも掃除は欠かせない。しかし、今回紹介する集じん機を導入すれば、切り屑、粉じんを自動的に集めることができ、周辺をきれいに保って、作業空間をクリーンにすることができる。

 

集じん機を取り入れて快適木工作業

家庭用電気掃除機は工具から出る切り屑を吸い込んで集められれば集じん機として使うことができるので、工具との接続やホースの設置方法を工夫すれば、実用的な集じん機として利用できる。とりあえず今家庭にある電気掃除機を集じん機として使って、その便利さを体感してみるのもいいだろう。市販の電動工具には別売部品として、集じんホース接続用パーツが用意されているので、それらを使えばホースとの接続は確実に行なえる。

リョービ製トリマーのベースプレートに取りつけられた、集じんホース用アタッチメントとホース

 

リョービ製トリマーのベースプレートに取りつけられた、集じんホース用アタッチメントとホース

 

小型の集じん機として利用できる家庭用電気掃除機だが、本格的に連続利用するには、集じんの量とパワーが少々不足気味だ。家庭用電気掃除機のパック容量は大きくても12〜15L程度で、構造上吸引するモーターが集じんパックの後ろにあるため、パックが一杯になってくると、それにふさがれて吸い込み能力も落ちてくる。

家庭用電気掃除機でも工具に取りつけられれば集じん機として利用することができる

 

家庭用電気掃除機が採用する集じん方法の例。粉じんはホースからパックに入る。モーターはパックの後部にあり吸い込む

 

この吸い込み能力を維持しながら集じん容量も確保するために、工具メーカー製の集じん機は本体を円筒形にして、吸引する空気の流れが内部で旋回するようにしたタイプが多い。モーターを本体上部に設定し、集じん機内部で空気が上に吸い込まれ、切り屑は下に落ちるようにして、切り屑の堆積で吸引能力が下がらないように工夫している。

プロやベテラン木工家が使う木工用集じん機に広く採用されているのがサイクロン式集じんだ。サイクロン式は一部家庭用電気掃除機にも採用されて、能力の高さが話題になったシステムで、サイクロン容器の中で切り屑を旋回させ、空気の流れと切り屑を分離する仕組みになっている。容器の中で分離した空気は上部に流れ、フィルターを介して排出されたり、外付けの掃除機に吸い込まれ、一方切り屑は下方の集じんバッグやバケツに落下して集められる。このため集じん容量を多く取りながら、集じん能力が低下することもない。

吸い込んだ切り屑による影響を受けにくいように上部(フタ部分)にモーターを設置した工具メーカー製集じん機の例

 

吸い込まれた切り屑が内壁に沿って旋回するよう工夫された、工具メーカー製集じん機の集じんホース接続部

 

サイクロン集じんのバリエーション

手作りサイクロン集じん機

手作りサイクロン集じん機を使った作業例。工具から出て集じんホースを通った切り屑はサイクロン集じん機で分離され下のダストバケツに落ちる。吸引には家庭用電気掃除機を使用

 

ダストバケツに集じんされた切り屑

 

吸引に使った家庭用電気掃除機には細かな粉じんだけが少量集じんされる。このため長い時間使用しても、吸引パワーの低下がない

 

Oneidaダストデピュティー

Oneidaダストデピュティー(サイクロン集じん機)を使った集じんのシステム。円錐形のサイクロン集じん機横から出る集じんホースを工具に接続し、本体上に出るホースを掃除機(写真はコンドルバキュームクリーナー)に接続して吸引する仕組み。サイクロンとなることで集じん能力がアップし、切り屑が下のバケツに分離されて溜まるので、メンテナンスも楽になる

 

マイコレクターMY-75X

サイクロンドラム機能を搭載したムラコシのマイコレクターMY-75X。68ℓのポリ袋に集じんする、100V電源で使用できる工房向きサイクロン式集じん機。運転中の高さは約2m

 

オプションのアルミ丸型集じんフード

 

キャスターつきなので、作業場所の近くで集じんすることができる

 

天板全面に集じん穴のあいたフードつき作業台に接続することも可能

 

ダストコレクター

tritonのダストコレクターも集じんした切り屑と空気をコレクター内で分離する方式。家庭用電気掃除機を使うことができる

 

集じんホースからダストコレクター内に入った切り屑は下に落ち、空気は上に吸引される

*掲載データは2016年8月時のものです。

エンジンがかからないときはココをチェック!チェンソートラブル対処術

よく耳にするチェンソートラブルといえばやっぱり「エンジンがかからない!」。そんなときは落ち着いて、ここに挙げた項目をチェックしてみよう。意外にあっさりと解決してしまうかもしれない。それでもダメなときは、チェンソー販売店に相談を。

 

check 1 燃料をチェックしよう

そんな初歩的な…と思うかもしれないが、実際「半年前に使って燃料を入れたままにしておいたらエンジンがかからなくなった」なんて例は少なくない。この場合、燃料の劣化や結露により適切な燃料ではなくなってしまっている可能性が高い。燃料を入れ替えて再チャレンジしてみよう。

 

check 2 エアフィルター、燃料フィルターをチェックしよう

エアフィルターが詰まるとエンジンへの空気の供給が不足し、燃料フィルターが詰まると同じく燃料の供給が不足して、最悪、エンジンがかからなくなる。それぞれゴミが詰まっていないかチェックし、必要があれば掃除または部品交換をして再チャレンジしてみよう。

 

check 3 キャブレターの設定をチェックしよう

キャブレターの設定がずれていると燃料が適正に供給されず、エンジンがかからない可能性がある。あらためて取扱説明書に書かれているとおりに設定してから再チャレンジしてみよう。

STIHL MS 170 C-Eの場合、取扱説明書に「アイドリングスピード調整スクリューを反時計回りにしっかり止まるまで慎重に回してから、時計回りに2回転回します」とあるので、そのとおりに調整スクリューを回す

 

check 4 スパークプラグをチェックしよう

エンジン始動の際、チョークを引いてキャブレターの空気通路を絞り、燃料を濃くすることで始動しやすくする。ただ、操作手順を間違え、チョークを引いたまま始動操作を繰り返したりすると、供給過多の燃料によってプラグの電極がびしょびしょに濡れ、エンジンがかからなくなることがある(この状態を「プラグがかぶる」という)。そうなってしまった場合は、プラグおよびシリンダー内部をしっかり乾かしてから、正しい操作手順で再チャレンジしてみよう。

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

写真◎門馬央典/アドバイザー◎相信武司(STIHL)

実用性も美しさも高い!合板とその仲間たち/ドゥーパ!資材館【5】

ベニヤ板と呼ばれることもある合板。二流の素材と見られがちだが、インテリア家具や建築の材料として、実用性はもちろん、材としての美しさも高いレベルの素材なのだ。

 

無垢板の短所を取り除いた合板の構造

広い平面を持ちながら、単板のような反りやねじりがない正確で均一な材として使うことができるのが合板だ。合板は丸太からかつらむき状に薄く切り出した無垢板を、奇数枚、交互に直角に重ねて接着し、平らに熱プレスして製造される。合板は面積の割に安価なので、無垢材の代用品のように扱われるが、そうではなく無垢板の短所を取り除いた改良品と見ることもできる。

全体に合板を使って組み立てられたチェアの作例。自由でモダンなデザイン

 

合板の積層が作る模様を装飾として取り入れている

 

合板の素材になる薄板をかつらむきにする特殊な機械

 

かつらむきにされロール状になった材木

 

合板は安心のJAS(日本農林規格)品質

合板はJASの規格にしたがって生産されている。寸法はもちろん、接着程度、使われる板面の品質、ホルムアルデヒドの放散値など、厳密な規格のもとに生産されているので、全国どこで購入しても、同じ品質で手に入れることができる。たとえば910×1820×12mmの合板は、どこのホームセンターで購入しても確実に同じ寸法の合板を購入することができる。

JAS規格の認定製品として認められた証明に押されるスタンプの例

 

針葉樹合板のように木目のきわだつ合板は室内家具の素材としても注目される。ただし合板は一般に湿気に極端に弱いため、エクステリアの作品の素材としては使用できない

 

合板は厳密な規格によって生産される。写真はシナ合板の厚さの規格のサンプル。左から3、4、5.5、9、12、21、24、30mm厚

 

ホームセンターで購入できる合板のバリエーション

全国の一般的なホームセンターに置かれている合板は、普通合板、シナ合板、化粧合板、針葉樹合板、OSB、ランバーコア、コンパネなどだ。

普通合板はラワン合板とも呼ばれ、広葉樹のラワン材を素材に作られている。

シナ合板は、普通合板の裏表、または片面にシナの面材を張ったもので、白くきめが細かい仕上がりになっている。

化粧合板は普通合板などの表面に高級材の突板を張ったり、印刷で模様や色をつけた合板。針葉樹合板はラジアータパインを素材にし、表面にあざやかな木目の出ているものが多い。木目のきれいな針葉樹合板は家具の素材としても適している。

OSBはオリエンテッド・ストランド・ボードの略で、木材を薄い削片に加工し熱加工性接着剤と一緒に積み重ねて、高温でプレスして作られる。接着剤で固めてある板であるが、JASのF☆☆☆☆認定を受けたものはホルムアルデヒドを放散しない。OSBも独特な模様を生かして内装などに使われる。

ランバーコアは細かい角材を寄せ集めて芯にした上に面材を張ったもの。芯があるため上に物を置く棚板などに使いやすい。

コンパネはコンクリート型枠用パネルの略で、コンクリートの構造を作るときの型枠として使われ、コンクリートの水分の影響を受けにくくするため、表面が塗装されている。合板の標準寸法は大部分がサブロクと呼ばれる910mm×1820mmだが、コンパネだけは例外的に900×1800mmとなっている。

ランバーコアの断面。内部は角材を並べた構造になっているので、側面にクギやビスを使うことができる

 

普通合板(ラワン合板)

 

シナ合板

 

シナ有孔板。等間隔に穴があいており、DIYでは壁面収納の壁材として使われることが多い

 

針葉樹合板(構造用合板)

 

OSB

 

合板独特の選び方や保管方法

購入するときは一般木材と同じように、反りやねじれがないことを確認した上、合板の積層部分がよく見える木口、木端をチェック。ここに割れや欠けが見える場合は、その合板の見えない内部まで傷がつながっていることがあり、切断したらすかすかの部分が現れて、材として使えなくなることや、合板の一部がはがれたりすることもあるので、こうした合板は購入しないほうがいいだろう。また扱いの雑な店舗だと合板の角に欠けやこすれのあることもある。合板はこの角の部分がもっとも大事な存在といえるので、きれいでちゃんとしている合板を選ぶようにしたい。また合板は大きいので運ぶときに自分で傷つけないように慎重に取り扱いたい。大きな合板は家に持ち帰る前に、ホームセンターなら工作室のカットサービス(有料)を利用して、切り分けてもらうと、運びやすいし保存もしやすい。

ホームセンターでは平積みで売られている合板でも、家では広さの関係もあり、立てて保管することになる。場所は雨や直射日光が当たらない所を選び、できるだけ直立させることでクセのついてしまうのを防ぐことができる。

ホームセンターの有料のカットサービスに使われるのは、ほとんどがパネルソーと呼ばれる、広い面でも高い精度で材を切断できる電動工具。まさに合板を切るには最適の工具といえる。切断は1カット50円程度。丸ノコよりもテーブルソーよりも正確なカットができるパネルソーで切れば、正確な木取りを期待できる

 

環境、空調が整備され広いスペースがあるホームセンターでは平積みで販売される

 

合板を扱う場合、材にトゲやササクレがあるので、写真のような木工用やDIY用のグローブを使ってケガから手を守る

 

合板にはコンマ5mmの誤差も存在しない

 

木口面で強い保持力を得られない合板の接合では、写真の三角の部分のようなブレースと呼ぶ補強材で補強すると安心

 

薄板を積層した合板にビスは打ちにくい

取材協力◎合板博物館

これで万全!チェンソーのアフターメンテナンス術13

チェンソーを使用するたびにしっかりとメンテナンスすれば、愛機が好調を保ち続けるだけでなく、いっそう愛着が増して心豊かになるもの。過去にドゥーパ!本誌で好評だったチェンソーメンテナンス企画をさらにボリュームアップして、13のメンテナンス術を紹介。

*すべてのメンテナンス作業はエンジンが冷えてから行なうこと。また火気厳禁。

撮影モデルはSTIHLのMS 170 C-E。ビギナーにも扱いやすい排気量30.1ccの小型機。価格のリーズナブルさも魅力

 

maintenance 1 全体の破損をチェックする

まず使い終わったチェンソーの外観をひと通り見て、破損や部品の欠落がないか確認する。

とくに防振ゴム(ドライバー先端で指している部品)が切れたり、ヒビ割れたりしていないか要注意。防振ゴムが切れると振動が大きくなり、真っすぐ切るのが難しくなる

 

maintenance 2 ファンハウジングを掃除する

エンジンの冷却風を取り込むファンハウジング。とくにヤニが多い木を伐るとここが詰まりやすいので、汚れを取り除いておく。

木クズなどはブラシでこすり落とす。こびりついた汚れはドライバーなどでそぎ落とす

 

maintenance 3 スプロケット周辺を掃除する

スプロケットカバー、ガイドバー、チェンを取り外し、隠れていた部分を掃除する。

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maintenance 4 エアフィルターを掃除する

エアフィルターが詰まるとエンジンに空気を供給しづらくなり、エンジン性能に影響を与えるので、きちんと掃除しておく。エアフィルターを取り外している間にゴミがエンジンのほうに入り込まないよう、周囲を掃除してからエアフィルターを取り外す。

エアフィルターにはさまざまなタイプがあるが、基本的にフィルターが2~3層重なり、内側のフィルターのほうが目が細かい構造なので、エアガンで掃除するときは内側から吹く(外側から吹くと内側の細かいフィルターにゴミが詰まる)。水洗いOKのものもあるので、それぞれの取扱説明書に従って手入れしよう

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maintenance 5 燃料フィルター、チェンオイルフィルターを掃除する

燃料フィルター、チェンオイルフィルターが詰まっていると、それぞれ燃料、チェンオイルの供給が不十分となり、不具合をきたす。状態をチェックし、詰まりがあれば交換する。

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maintenance 6 シリンダーフィンを掃除する

エンジンシリンダー外側は表面積を増やして冷却性能を上げるためフィン状になっている。ここにゴミが詰まると冷却性能が落ちるので、取り除いておく。

ブラシやドライバーでゴミを取り除く

 

maintenance 7 スパークプラグをチェックする

プラグ先端の電極のすき間が大きくなったり、カーボンがたまったりすると本来の性能を発揮できないので、状態をチェックしておく。プラグ交換の目安は100時間使用。交換の際は、最初についていたものと同じ型番のプラグを選ぶこと。異なる型番のものをつけると性能ダウンや故障の原因になりうる。

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maintenance 8 マフラーの吐出口を掃除する

不完全燃焼によるカーボンの発生は、チェンソーに使われている2サイクルエンジンの宿命。マフラーの吐出口にカーボンが詰まっていないかチェックする。なお、メーカー指定のエンジンオイルを使えば、カーボンの発生は比較的抑えられる。

マフラーの吐出口にカーボンが詰まっていたらドライバーなどで取り除く

 

maintenance 9 チェンオイルの吐出口を掃除する

チェンオイルの吐出口にゴミが詰まると、オイルの供給を妨げ、トラブルにつながる可能性も。状態をチェックし、必要があれば掃除する。

ドライバー先端で指しているところがチェンオイル吐出口

 

ゴミが詰まっていたらドライバーなどで取り除く

 

maintenance 10 チェンスプロケットをチェックする

チェンスプロケットは消耗品。ソーチェンによって摩耗し、溝ができてしまう。溝の深さが0.5mmになったら交換すべきなので、状態をチェックしておく。なお、各部品の交換時期の目安として「1:2:4の法則」というものがある。ソーチェンを2本使ったらスプロケットを交換し、スプロケットを2個使ったらガイドバーを交換。つまり、ガイドバー1本:スプロケット2個:ソーチェン4本の使用期間が同じというものだ。

まだソーチェンによる摩耗がない、きれいなチェンスプロケット

 

摩耗したスプロケット

 

摩耗してできた溝の深さが0.5mmになったらスプロケットの交換時期。専用のチェックゲージ(別売)もある

 

maintenance 11 ガイドバーを掃除して、各部をチェックする

ガイドバーの溝やチェンオイル用の穴を掃除する。その際に、ガイドバーが変形していないかチェックしておく。

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maintenance 12 ソーチェンを掃除する

ソーチェンに付着した木のヤニを掃除する。ワイヤーブラシでざっとこすればいいが、ワイヤーブラシによって刃が傷つくので、あとで必ず目立てを行なうこと。また、ソーチェンの各パーツをつないでいるリベット周辺にガタつきがないかチェックしておく。ガタついていたら、リベット穴が広がり、切れやすくなっているということだ。

ワイヤーブラシでこすってヤニを落とす。その後、潤滑・防錆のため、KURE 5-56を吹いたり、オイルに浸けたりしておく

 

からまったチェンをほどくコツ

ソーチェンをはずして作業していると、いつの間にかグチャグチャにからまっていることが。そんなとき、1カ所ずつほどこうとすると、別の所がより複雑にからまってしまうのでNG。輪になっている部分を2カ所持ってほどいていくのがコツだ。

常に2カ所の輪を持ち、順次ほどいていく

 

maintenance 13 ソーチェンの目立てをする

チェンソーは、常に刃の切れ味を良好にしておくことが大切。そのために、こまめに目立てをする。目立て作業は、丸ヤスリで刃を研ぐだけのシンプルなもの。ただ、正確な角度でヤスリを当てる必要があるので、とくにビギナーは補助具を使うと便利だ。また、目立ての後には、刃の出幅を決めるデプスの調整も行なう。

目立て道具セットの例。右から、補助具(やすりホルダー)を取りつけた丸ヤスリ、ファイルゲージ、平ヤスリ。丸ヤスリは、刃のサイズに合う径のものを選ぶ

 

やすりホルダーを、刃の角度および水平に維持するための補助具(ホルダーガイドFF1)もある

 

丸ヤスリによる目立てと、平ヤスリによるデプス調整が同時にできる便利ツール(2-in-1 やすりホルダー)。丸ヤスリと平ヤスリが適正な位置関係で固定されている

 

【目立ての手順】

 

【デプスの調整手順】

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写真◎門馬央典/アドバイザー◎相信武司(STIHL)

正確に穴あけするための道具・後編/超実践的DIY道具ラボ【6】

DIYの基本テクニックのひとつとなる穴あけ。ドライバードリルやインパクトドライバーでなにげなく作業しているが「正確」に材に穴あけするのはけっこう難しい。今回は正確な穴あけのために考案されたいろいろなアイテムを紹介する。

 

ダボ穴を正しい位置にあける「Wolfcraftドウェルマスター」

板はぎなどに活用されるダボ接ぎのダボ穴は、はぎ合わせる板の双方に正確なダボ穴をあけなければならない。ドウェルマスターは対面するダボ穴の位置を正確に合わせてあけることができるジグ。付属のガイドピンや本体のフェンス、センターファインダーを組み合わせて、相対する板に正確なダボ穴をあけることができる仕組みになっている。

本体には6mm、8mm、10mmの径に対応する3個のドリルガイド穴が設定されている

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斜めのポケットホールを正しくあける「Kregジグジュニア」

アメリカン木工の組み立てテクニックであるポケットホールを正確にあけるためのジグ。厚さ約13mmから38mmの材に使用することができる。材の厚さに合わせて本体のスライダーを動かし、材にジグジュニアを固定したら、専用のドリルビットで穴あけすればきれいなポケットホールをあけることができる。

ジグジュニアのセット。本体、専用ドリルビット、専用ドライバービット、専用ビスなどがケースにまとめられている

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棚ダボ穴を規則正しくあける「Kregシェルフピンジグ」

シェルフ(棚)の棚板を載せるシェルフピン(棚ダボ)を整然とすばやくあけることができるジグ。専用のドリルビットも付属し、ドリルガイドでふらつかず、一定の間隔でダボ穴をあけることができる。棚ダボは5mm径の市販の棚ダボを使うことができる。

6連のドリルガイドがついた本体。専用のドリルビットなどがセットになっている

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工房に置きたい憧れの穴あけ専用工具「ボール盤」

穴あけ精度の高さという点では一番なのがボール盤。頑丈な支柱で支えられたモーター部に装備されたドリルチャックを送りハンドルで操作し、テーブルに固定した材に穴あけすることができる。手持ちで使うドライバードリル、インパクトドライバーの不安定さを完全に払しょくした工具だ。ボール盤は操作音が低いのも特徴で、一般家庭の室内で操作しても問題になることはない。さまざまなメーカーの製品があるが、ホームセンターで2万円~5万円程度が目安。

DIY向きモデルの例

 

精巧な穴あけでの操作性もよい

 

テーブルの高さを上下して穴あけ深さを調節できる。角度の調整も可能

 

プーリーの掛け替えで速度を変えることができる

 

正確なホゾ穴をあける「角ノミ機」

ホゾ接ぎに欠かせないホゾ穴をあけるための電動工具。角ノミと呼ばれる四角い穴をあけることのできるドリルを取り付けて使用する構造となっている。基本的な構造はボール盤と同様になる。ドリルビットを使えばボール盤として使用できる。角ノミは6.4mm、8mm、9.5mm、12.7mmなどを交換して使用することができる。いろいろな家具をホゾ接ぎで作りたいと考えているなら導入を考えてもいい工具といえる。

角ノミ機(中橋製作所NH-400)

 

材木のサイズに合わせてフェンスの位置を変えられる

 

ホゾ穴をあける位置を合わせてフェンスをセットする

 

材の位置を移して加工すれば、長方形のホゾ穴もきれいにあけることができる

正確に穴あけするための道具・前編/超実践的DIY道具ラボ【5】

DIYの基本テクニックのひとつとなる穴あけ。ドライバードリルやインパクトドライバーでなにげなく作業しているが「正確」に材に穴あけするのはけっこう難しい。今回は正確な穴あけのために考案されたいろいろなアイテムを紹介する。

 

水平器で垂直を確認する「丸型気泡管」

本体後部が平面なドライバードリルなら、そこに丸型気泡管を取り付けて、ドリルビットが垂直に立っているか確認しながら作業できる。丸型気泡管は気泡が左右に動く円筒型の気泡管と違い、写真のように全方位で水平の確認ができる水平器として使うことができる。全国のホームセンターで円形部分のみの単品を数百円で購入することができる。

丸型気泡管。これ以外にもさまざまなタイプの丸型気泡管が市販されている

 

このようにドライバードリルの後部に取りつけて、気泡の位置を確認すればドライバードリルが垂直に立っているか確認できる

 

鏡に映るドリルビットで垂直を確認「丸穴あき鏡」

ドリルビットが映るように鏡を置いて、そこに映るドリルビットと、本物のドリルビットが一直線に見えれば、ドリルビットは材に対して真っすぐ立っていることになるという理屈を応用したテクニック。作業例では丸穴のあいた鏡を使っているが、たまたま都合よく手に入ったもので、実用的には普通の手鏡などを立てたドリルビットの脇に置いて確認しながら作業すればいい。

ごく普通の鏡を利用すればいいが、写真のような鏡ならより使いやすい

 

鏡に映るドリルビットと実際のドリルビットが一直線に見えれば、ドリルは垂直に立っている

 

1台で6種のドリル径に対応「MILESCRAFTドリルブロック・穴あけガイド」

比較的コンパクトな本体に4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mmの6サイズに対応するドリルガイド穴が設定されている。材の加工面に対して垂直な穴加工ができるほかに、角材の角部分、丸棒にも正確な穴あけをすることができる。

6種類のドリル径に対応するデザイン

 

底面には切り欠きがあるので角材の角の穴あけにも対応

 

こうした丸棒にも正確な穴あけができる

 

手持ちのドライバードリルがスタンドに変身「ドリルスタンド」

2本の支柱の間に取り付けられたドリルチャックにドライバードリルを接続してドリルスタンドとして使用できるようにしたモデル。上下の動きを支柱で支えるので、安定性は抜群。穴あけの深さを設定できるストッパーもついているので、一定の深さの穴あけも可能だ。6角軸の口金を持ったインパクトドライバーで使用できるモデルも登場している。

ドライバードリルを取りつけて、ボール盤のように使用することができる

 

ベースから支柱を下に引き出し、これで材をはさめば自動的に材のセンターに位置決めできる

 

ドリルチャック部分を左右の支柱で支えるので、正確で安定した作業が可能

 

ベースにはVブロックがついているので丸棒を保持することもできる

 

ホームセンターで入手しやすい「ドリルガイド」

ドリルガイドはプラスチックのベースと、そこに差し込むドリルのガイド穴があいたスリーブがセットになったもの。スリーブにあいたドリル径は4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mmの6種類。ベースの対角線上にあいた小穴にクギなどを差し込むと、材のセンター位置決めもできる。コンパクトなのでパーツをなくさないように注意したい。全国のホームセンターで入手できる。

スリーブを差し込むプラスチックのベースとドリルを差し込む6種類の金属スリーブがセットになっている

 

ベースの小穴にクギなどを差し込むと、センター出し機能として利用できる

 

このようにベースに必要なスリーブを差し込み、ドリルビットを真っすぐに支えて作業できる

ウッドショックに負けるな!チェンソーで丸太から木材を切り出す製材テクニックを伝授/DIYerのためのチェンソー使いこなし術

田舎暮らしの頼れる相棒、チェンソー。薪作りや枝打ちなど日々の仕事を能率的にこなすには欠かせない道具だが、価値はそれだけにとどまらない。もっとクリエイティブなDIYを楽しませてくれるし、じっくり大切に整備するほどに愛着を感じさせてくれる味わい深い機械でもある。そんな素晴らしきチェンソーライフに誘ういくつかのノウハウを紹介しよう。

今回はチェンソーを使った製材術を解説。丸太を玉切りして薪を作るのはチェンソーワークの定番だが、丸太を割いて板や角材を切り出すのも面白い。緻密に製材された木材にはないラフな風合いが、いつもとは違う創作意欲をかき立ててくれるだろう。

 

technique 1 フリーハンドで製材する

曲面を切り落とすように丸太を割いて、平面を作る。それを4回繰り返せば、断面が四角の板や角材になる。まずは補助道具を使わずにチェンソーだけで割く方法を紹介。

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ラフな仕上がりでOKなら縦切りもアリ

より簡単に割きたいなら、丸太を立ててフリーハンドで縦切りするという手もある。当然、technique1の方法に比べればラフな仕上がりになるだろうし、熟練度によっても差がつくはずだが、チャレンジしてみるのも面白い。

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バンパースパイク(ガイドバーの根元付近にあるギザギザ)を支点にして切り込み、technique1と同様にガイドバーを斜めにしてカットしていく(*作業現場はオガクズを敷き詰めてあるので材を地面に置いたまま最後までカットできる。そうでない場合は材を安定した台に載せて作業するといい)

 

technique 2 割いた後の切断面を整える

切断面が荒れているときに、チェンソーを使ってきれいに整える方法(ブラッシング)を紹介しよう。

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technique 3 補助道具を使って製材する

市販の補助道具を使えば、チェンソーで、より精密な製材が可能になる。製材用の補助道具は一般的に「ソーミル」や「ランバーメーカー」と呼ばれ、ガイドバーを水平にセットして切るタイプと、縦向きにセットして切るタイプがある。ここではインストラクターの栗田さんが所有する、縦向きタイプを使った作業例を紹介する。

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曲面にガイドレールを設置する場合

ランバーメーカーのガイドレールを丸太の曲面に設置する場合は、水平にすること。そうすればガイドバーが垂直になり、垂直な面を切り出せる。

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写真◎門馬央典

栗田宏武 Hiroaki Kimura

カナダで開催されるチェンソーカービングチャンピオンシップで3年連続チャンピオンに輝いた経歴を持つ、国内チェンソーアーティストの第一人者。

換気扇の油汚れをさっぱり落とす!/暮らしに生かすDIYメンテナンス【5】

キッチンの換気扇は、調理中の微小な油分を含んだ煙などを排出するのに利用されるため、とくに油分が集まる場所だ。換気扇をきれいに保つには、3カ月に一度はメンテナンスしてきれいな状態を保ちたい。

 

手作りブレンド洗剤で汚れ落としをパワーアップ

今回は2種類の洗剤をブレンドして使った。洗剤のなかには混ぜると化学反応で毒性のあるガスを発生するものもあるが、今回混ぜた中性洗剤と酸素性漂白剤では、そうした心配はない。安全に使うことができる。ただ、酸素性漂白剤は弱アルカリ性で、皮膚につくとヌルヌルするので、肌の敏感な人は食器洗い用のグローブをして作業したほうがいいだろう。素手でさわったあとは、よく真水でアルカリ分を洗い流しておく。

ブレンドの目安は、写真の酸素性漂白剤で水1Lに付属のキャップで1杯。同じく中性洗剤は水1Lに25cc程度入れて、よく混ぜて泡立てておく。使う水は40度程度に温めておくといい。温水だと顆粒の酸素性漂白剤がよく溶けるからだ。

 

分解できるところまで分解する

作業はコンセントから電源プラグをはずしてからとりかかる。換気扇のカバーはベースにビスや爪で固定されているので、固定パーツを見つければ簡単に取り外すことができる。羽根は回転方向と逆に回すとはずすことができるはずだ。カバーと換気扇は、すぐに油分が付着する部分なので、目で見て汚れていなくても、3カ月経っていれば、表面は油分でべたついている。目で見て汚れがわかる状態では汚れは相当進んでいるということだ。またプルスイッチの紐は油汚れが溜まりやすいので年に1度程度交換するといい。紐はパーツとして150円ぐらいで購入できる。

 

つけ洗いでしつこい汚れを浮かして落とす

カバー、羽根を取り外すとベース部分とモーターを支える支柱が見える。ここが一番汚れる部分だ。この部分は写真のようにクッキングペーパーを短冊状に切り分けたものを、ブレンドした洗剤に浸けて、汚れの上から張りつけて20分以上そのままにしておく。取り外したカバーと換気扇は、これらを完全に浸けることができる容器に入れて、洗剤をそそぎ20分以上こすったりせず、つけ洗いする。

待ち時間が過ぎたら、クッキングパーパーをはがして、真水に浸けてよく絞ったウエスで洗剤分を拭き取り、乾燥すればOK。つけ洗いしているカバーや換気扇は、スポンジで軽くぬぐいながら、流水で洗剤分を落とし、よく拭いて乾燥させる。乾燥したカバーと換気扇を元に戻せば終了だ。

 

汚れ落としの例

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木材を正確に切断するための道具 後編・超実践的DIY道具ラボ【4】

DIYを始めて最初にぶつかる難関といえるかもしれない“真っすぐ切る”。これまで多くの人が難関を越えようといろいろ知恵を絞ってきた。ここではノコギリ編、丸ノコ編に分けて“真っすぐ切る”というシンプルなテーマに合わせた補助道具、ジグ類を集めて紹介する。

 

丸ノコ編

アングル材
アングル材はアルミを成形したL字型の材で、これを必要な長さに切り、丸ノコのフェンスとして使う方法。アングルにはいろいろなサイズがあるが、今回は手近にあった立ち上がりが30×30mmのものを使っている。使用方法はチップソーを引っ込めた状態で丸ノコを墨線の上に正確に置き、丸ノコのベースプレートにそわせてアングルを配置し、アングルの両端を切る材にクランプで固定。丸ノコを滑らせて、チップソーが正確に墨線にそって動くか確認したら、チップソーを必要な切断深さに設定して切断する。

アングルをフェンスにして材を正確に切断できる

 

アングルはクランプで切る材にしっかり固定する

 

使う素材は必要な長さのアングルとアングルの両端を固定するクランプ2個だけ

 

丸ノコ用平行定規
平行定規は材の木端にそわせて、材を正確に割く(縦挽きする)ための定規。一定以上のレベルの丸ノコには標準装備品として付属している。長いほうの腕を丸ノコのベースプレートの取りつけ穴に差し込み、短いスライドが材にそって動くようにする。割く幅を決めたら写真のように材にそわせて丸ノコを進める。より安定させるにはスライド部分についたビス穴を利用し長さのある角材を取りつけるといい。

丸ノコに付属している平行定規

 

このように丸ノコに装着する

 

切る幅を決めて、木端をスライドさせて丸ノコを進める

 

なお、端材を両面テープなどで張りつけて、スライド部分を長くしておくと安定度を増すことができる

 

これは2本腕タイプの平行定規を装着した例。丸ノコによっては取りつけられないモデルもあるので事前に確認を

 

角度定規
建築やエクステリア木工の現場でしばしば目撃されるのが、角度定規と呼ばれる角度の変更できるフェンスがついた定規。定規は一方の腕にフェンスが立ち、丸ノコをそわして動かすことができ、もう一方の腕を材に押し当てて手で押さえ固定する。使用するときは定規の角度を設定し固定したら、墨線に丸ノコの刃を合わせ、フェンスを丸ノコのベースプレートにそわせて、もう一方の腕を材に押し当てる。あとは電源を入れて丸ノコをフェンスにそわせて前進させればいい。

持ち運びにも便利な小型のモデル

 

幅のある材にも対応する中型のモデル

 

フェンスの立つ腕に丸ノコをそわせれば材を正確に切断できる

 

小型のモデルについた角材を、フェンスからチップソー左側面までの長さで固定すれば、角材先端が墨線の位置になる

 

自作の丸ノコ用直線ジグ
必要な長さのフェンスとスペーサーを組み合わせて自作する直線切断用ジグ。丸ノコはメーカーやモデルによってベースプレートのサイズが違っており、汎用品がないので自作することになる。スペーサーの幅が、ベースプレート左側面からチップソー左側面までの長さになる構造なので、スペーサーの端を墨線に合わせ、フェンスにそって丸ノコを進めるだけで、墨線どおりに正確な直線が切れる。裏側に100番程度のサンドペーパーを張ると滑り止めになって使いやすい。

直線ジグに丸ノコを置いた状態

 

【作り方】

01 フェンスにする材の裏に両面テープを張り、スペーサーの材に張りつける。スペーサーのベースプレートの載る部分はベースプレート幅より広く取っておく
02 ベースプレートをフェンスにそわせて進め、スペーサーのはみ出した部分を切り取れば完成

 

【使い方】

01 墨線にスペーサーの端を合わせる
02 フェンスにそわせて丸ノコを進めれば正確に切断できる
03 なお、ベースプレートのスペーサーに載る側の反対側にスペーサーと同じ厚さの端材を張っておくと丸ノコが傾かない

木材を正確に切断するための道具 前編・超実践的DIY道具ラボ【3】

DIYを始めて最初にぶつかる難関といえるかもしれない“真っすぐ切る”。これまで多くの人が難関を越えようといろいろ知恵を絞ってきた。ここではノコギリ編、丸ノコ編に分けて“真っすぐ切る”というシンプルなテーマに合わせた補助道具、ジグ類を集めて紹介する。

 

ノコギリ編

当て木
反りやねじりのない真っすぐな角材を使いやすい長さにカットし、ノコギリを墨線に合わせて真っすぐに立てたら、この当て木の真っすぐな部分をノコギリにそえるようにして、ノコギリが傾いたり、墨線からそれないようにサポートする道具。じつにシンプルな道具だが、同じ原理の補助具は建具職人や指物師の作業場でも使われている。

ノコギリをあてる面にマグネットシートを張った当て木

 

当て木をスコヤで押さえた状態で、ノコギリを安定させて挽く例

 

マグネットシートを張った当て木をクランプで固定して挽く例

 

マイターボックス
正確なコの字型に組み立てられた溝型の箱側面に、数種類の角度の切れ込みを入れた、ノコギリで正確な切断をするためのジグの一種。溝の幅は市販品では約100mmに設定されているモデルが多い。ビスで作業台に固定できるタイプもあり、作業台に固定したほうが切断精度は高くなる。クラフト用の小さなタイプもある。

いろいろな角度の切れ込みがついたマイタ―ボックス。大きなほうは溝幅が100mm、小さなほうは溝幅が4mm

 

必要な角度の切れ込みにノコギリを差し込んで、切る角度を固定して切れる

 

小さなマイタ―ボックスにはノコギリも小さなものを使う

 

側面の張り出しを作業台に引っかけると安定する

 

ノコギリガイド
自由な角度に設定できる腕の片方にはノコギリを支えるマグネットがつき、もう片方の腕は材に引っかけて安定した作業ができるようL字のフェンスになっている。支点には角度目盛りがつき、15度間隔で角度を固定できるようになっている。折りたたんでしまえばコンパクトに収納することができる。

硬質なプラスチックでできたノコギリガイド。腕の角度を15度間隔で設定できる

 

たたんでしまえばコンパクトに収納できる

 

片方の腕を材に固定して、マグネットのついた腕でノコギリを支えて切る

 

腕にはノコギリを支えるためのマグネットがついている

 

支点の切り欠きを動かして角度を調節できる

 

ソーガイド・エフ
直線切断、角度切断以外に、傾斜切断、角度のついた傾斜切断までできる、刃の厚さが0.6mmのノコギリに対応するガイド。ノコギリの刃を上から押さえるというユニークな構造なので、マイターボックスのように材の制約があまりなく、かなり長い材の縦挽きも可能になっている。クラフトでさまざまな角度、傾斜を正確に切断する必要がある場合は非常に便利に使える。また、よりコンパクトになった「ソーガイド・ベスト」もある。

円形のプレートでノコギリを上から押さえる。ノコギリに合わせてプレートの高さも調節できる

 

直角に設定した状態。ボルトでしっかり固定できる

 

角度切りで左に45度振った状態。右にも45度まで設定することができる

 

プレートの角度を変更すればいろいろな角度の傾斜切断にも対応する

 

上から押さえるデザインなので、長さのある縦挽きにも対応する

古くから活躍してきたクギの種類と使い方 後編・ドゥーパ!資材館【4】

ビスにその座を追われてしまった感もあるが、古くから木材の接合に活躍してきたクギ。前回はクギの基礎知識や丸クギのバリエーションなどを紹介したが、今回はちょっと変わったクギたちを一挙に紹介!

 

主にインテリアで使われるクギ

サカメクギ
スクリュークギと呼ばれることもある、軸がスクリュー加工されたクギ。一度打ち込むと抜くことは非常に困難。写真の例は軸の太さが5mm程度と太く作られたタイプで、羽子板などの建築金具を柱や梁などに固定するために使う。

 

隠しクギ
おもに接着剤を塗った薄板の接合に使われる。頭に取り付けたプラスチック部分で材を圧着し、接着剤が硬化したら、頭のプラスチック部分をカナヅチで横から叩き、プラスチック部分から上を折り取ってしまう。接合部分には軸が見えるだけになるので、目立たない。

軸のプラスチックがかぶる部分の位置に切れ込みがついていて、ここから折れる

 

仮クギ
隠しクギと同じ原理で、薄板を圧着するのに利用される細クギ。軸径が0.9mmと細いので、曲げないように打つのに注意が必要だ。このクギは頭を折り取るのではなく、圧着後はプラスチック部分をペンチなどでつまんで引き抜いてしまう。

 

木クギ
円錐形に加工した硬木で作られた木製のクギ。和物の家具、建具等の組み立てに使われる。使用するとき接着剤を併用しなければ、作品を容易に分解することができる。使用するときはきつめに下穴をあけてから打ち込む。

 

合いクギ
軸の両側が尖っているクギ。クギを隠して材を接ぐために使われる。クギの頭がないため、下穴が必要だが、きれいに接ぐには正確な墨つけと下穴あけが必要になる。下穴をあけたら片方にクギを差し込み、もう片方をかぶせて、当て木をして材を叩いて打ち留める。

 

アンティーククギ
欧米の古い家具などに使われたクギを再現したクギ。頭のデザインはもちろん、打ち込んだら見えない軸部も再現されている。原則下穴をあけてから打ち留める。ワックス仕上げや、エイジング塗装した材によく合う。どこでも販売されているものではないので、見かけたら購入しておくのが得策。

手作りなので1本ずつ微妙に仕上げが違う
頭のデザインが不規則なところが個性的

 

糸カスガイ
木工で使われる小さなカスガイ。建築やエクステリアで使用する軸太さが8mm程度あるカスガイに比べて、こちらの軸径は3mm程度で作られている。作品をぴったり接合するのはもちろん、材と材の間にわざとすき間をあけて接合するときにも使うことができる。

 

波クギ
材を接いだり、割れ止めとして使われる波状をしたクギ。箱作品の角部分の接ぎなどにもよく使われる。クギ自体の高さがないので指でつまんで立たせにくい。指でうまくいかない場合は、ラジオペンチなどでつまんで支えてから打つとよい。

留め接ぎにした材の角部を波クギで接いだ例

 

飾りクギ
太鼓の革を張り留める場合は太鼓鋲、椅子の座面の革を張り留める場合は椅子クギなどと、使う場面によっていくつかの名前で呼ばれている。普通の丸クギを打った後で、クギ頭を隠すように頭にかぶせて打つ場合は飾りクギ、隠しクギなどと呼ばれる。写真は頭部分に装飾性の強い菊花をあしらった「菊」と亀甲をイメージした「亀」。

丸クギの頭のすぐ脇に打てば、クギ頭を隠すことができる。右が「亀」、左が「菊」

 

太鼓鋲
商品名としては太鼓鋲と呼ばれるが、このクギも使用する場面によって、上の飾りクギと同じように別の名前で呼ばれるタイプのクギだ。シンプルな飾りクギと見ても間違いではない。写真は黒く塗装されたタイプだが、白、赤、茶など何色か色のバリエーションもある。打つ場合は塗装がはがれないように木ヅチやプラスチックハンマーなどで打ったほうが安全だ。

使い勝手のいいシンプルな半球の頭

 

配線用ステープル
VVFケーブル等の配線を固定するための、ごく小さなカスガイ状のコの字型のクギ。絶縁のためにビニール被膜がかけられている。現在は電気工事士の資格がないとステープルで固定する配線作業は禁止されている。

配線用ステープルで固定された配線例

 

主にエクステリアで使われるクギ

カスガイ
カスガイといえばすぐ思い出すのがこちら。コの字型で両端が尖り、軸は9mm程度と太く、建築や仮設の現場で丸太、枕木などをつなぐために使われる。先端が2カ所あるのできれいに打ち込むには左右を均等に交互に打ち込むように作業する。カナヅチはなるべく重いものが使いやすい。

丸太の接合に使われた例
先に紹介した糸カスガイ(下)と比べたところ

 

カラー傘クギ
トタン波板などの波板を固定するためのクギ。広く押さえ防水性を高められるようにクギ頭に傘が取りつけてある。市販のカラートタンの色に合わせられるように、何色かのカラーで塗装されている。

上から見ると広い傘がついている

 

連結傘クギ
樹脂製の連結した傘にクギがセットされている。使用するときは1本ずつ切り離して使用する。こちらも各種波板の固定に使われる。波板の固定ではクギは山部分に打ち、山をつぶさない程度の力で押さえるように打つ。

ポリカ波板を打ち留めている例

 

カラートタンクギ
こちらもトタン波板を固定するクギだが傘はついていない。主に波板を壁として使うときに使われる。長さは25㎜と32㎜の2種類が設定され、市販のトタン波板の色に合わせられるように青や茶、ベージュなど10色程度のカラー設定がある。

トタン波板のカラーに合わせてクギを選べる

 

和クギ
鍛冶屋が鍛造で鍛えて作る日本のクギ。洋クギが進出してくる以前、明治初期までは使われていた。現在は樽やワッパ作り、民芸作品作り用にごく少量が流通している。四角い軸が特徴で、下穴をあけてから打つ。鍛造で赤めた鉄を水に漬けたときできた黒サビでおおわれている。打ち留めると材の表面に四角く残る頭の形も特徴的だ。

 

又クギ
逆V字の軸の両側が尖っているクギ。主に屋外で使う柵の番線や有刺鉄線、金網などを固定するのに使われる。どちらかというと仮設の組み立てに使われることが多いクギといえる。

丸太の柱に又クギで固定された番線

古くから活躍してきたクギの種類と使い方 前編・ドゥーパ!資材館【3】

ビスにその座を追われてしまった感もあるが、古くから木材の接合に活躍してきたクギ。長い歴史の中ではぐくまれたいろいろなクギや、DIYで活躍するクギを目的別にピックアップ。

 

クギのショートストーリー

どのくらい古くからクギが使われてきたかというと、日本では法隆寺金堂の調査で確認されているというので、なんと飛鳥時代のこと。西暦700年ぐらいだとすると、日本のクギには約1300年の歴史があるということになる。それから明治時代のごく初期までは和クギと呼ばれる四角い断面のクギが使われてきた。このクギはクギ鍛冶という専門の鍛冶屋によって鍛造。和クギは現在ではすっかり見る機会もなくなってしまったが、2013年から行なわれた伊勢神宮の式年遷宮では、新潟三条や燕の鍛冶によって特別に作られた和クギが使われた。

明治4~5年になると文明開化、欧風文化の導入による洋館の建築のためにフランスからクギを輸入。これが現在使われているクギが国内に広まるきっかけとなった。その後、クギはヨーロッパ各地、アメリカからも輸入される。クギの需要の広がりから国産品も作られるようになり、1908年北九州の官営八幡製鉄所で原料の線材の本格生産が開始され、現代使われている多種多様なクギの生産につながっているというわけだ。

 

斜めに打って接合力を高くする

クギは真っすぐの引き抜きに対して抵抗なく抜けてしまうが、意識的に少し斜めに打つことで、引き抜きに対する抵抗力を強くすることができる。写真では少し大げさに示しているが、クギ頭が凸凹に並ばない程度に斜めに打つのは非常に効果的。

斜め打ちするクギの方向を変えることで、効果が高くなる

 

使うクギの長さの目安は接合する材の厚みの約3倍

材を打ち留めるクギの長さは、写真のように板厚の約3倍を目安にする。接着剤を併用するなら2.5倍でもいいだろう。この目安はネジ山のあるビスに比べると長く設定されている。これはネジ山がない分保持力が低くなることを長さで補うためだ。厚さ12mmの板なら使うクギは30mmから36mm。厚さ20mmの板なら使うクギは50mmから60mmを目安にすればいい。

材に対するクギの長さは写真のようなイメージになる

 

丸クギのバリエーション

ステンレス丸クギ
丸クギのスタンダードとなる鉄丸クギのステンレスタイプ。JIS規格では16mmから100mmまで12種類の長さが規格化されている。サビに強いステンレス製なので、エクステリアや水分、湿気の強い場所では、積極的にステンレス丸クギを使用したい。

 

真ちゅうクギ
真ちゅうは黄銅のことで、身近では五円玉の素材として使われる。真ちゅうクギは元来下穴をあけた真ちゅう板を木材に打ち留めるために作られたクギ。強度は鉄、ステンレスより劣るが、磨くと金色に輝くので、クラフト作品の組み立てにアクセントとして使われることもある。

 

銅クギ
下穴をあけた銅版を木材などに打ち留めるためのクギだが、錆びにくさや風合いの渋さから民芸品、下駄、草履などの工作にも使われる。また、真ちゅうと同様に一般の木工の接合でもアクセント的に使うと和風の雰囲気を醸し出し、効果的な場合もある。

 

小鋲(こびょう)
軸径が0.9mmという極細のクギ。長さは6mmから25mmの間に6種類が規格化されている。薄い板材の接合に使われ、小型のクラフト作品で活躍する。クギ自体の保持力はあまり強くないので、組み立てには接着剤を併用したい。

指で支えられない場合は、プライヤーなどでつまんで支えて打つと安定して叩ける

 

フロアクギ
木製フローリング材を床下地に固定するために使う専用クギ。写真のように軸は細く頭が小さく、スクリュー加工されているので、一度打ち留めると抜くのは難しい。実際の作業はフローリング材のサネ部分に45度で打ち留め、クギシメで頭を材に沈めて固定する。

フローリング材のサネに斜めに打ち込んでいるところ
材の面まで打ったら、クギシメをあてて打ち、頭を完全に沈める

 

150mm鉄丸クギ
鉄丸クギの規格でもっとも長い150mmの鉄丸クギ。いわゆる五寸クギと呼ばれるもの。藁人形を打つのではなく、梁や棟木、柱など大型の建築構造を接合するのに使われる。鉄丸クギなので、建築構造の内部で使用し、湿気のある外部には使用しない。

 

材を傷つけないでクギを抜く

クギ抜きはなるべくしたくない作業だが、どうしてもクギを抜かなくてはならない場合、材を傷つけないように、写真のようにクギ抜きの下に当て木を置き、材を傷つけないようにして作業する。スペアの材がない場合などは慎重に作業したい。

当て木をしてクギを抜いているところ

 

丸クギの頭を目立たなくするつぶしクギのやり方

クギの頭をできるだけ目立たせずに打つ方法につぶしクギがある。クギの頭をアンビルや万力のたたき台に載せてカナヅチで叩いてつぶしたクギを使う。つぶした頭が材の木目と平行になるように打つと効果的だ。気になるようなら、打ち込んだ痕を木工パテで埋めてしまい、塗装すればクギ打ちの場所を完全に隠すことができる。

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ステンレスシンクのもらいサビを落とす!/暮らしに生かすDIYメンテナンス【4】

ステンレスシンクに鉄の缶や、料理用具を置きっぱなしにすると、成分が溶け出してステンレスにこびりついてしまう。このもらいサビを日用品できれいに落とす簡単テクニックをご紹介!

 

使用するのは身近な用品類

重曹(炭酸水素ナトリウム)、日本薬局方の品質規格のものが安くて安全

 

メラミンフォーム製スポンジ

 

台所用合成洗剤。裏の液性の項目が中性と記されているもの

 

クリームクレンザー。裏の成分の項目に研磨剤と界面活性剤が記されているもの

 

できるだけ傷をつけずにもらいサビだけを落としたい

ステンレスは鉄にクロム、ニッケルなどを加えた合金で、乾燥状態ではステンレス自体が表面に不動態被膜を作ってサビにくくなっている。ステンレスの表面に鉄が触れて、そこに水分を含むことでサビが発生する。ステンレス自体がサビたものではないので、このサビをもらいサビと呼ぶ。

とはいえ、そのまま拭いたり、こすったりしても落とせるものではないので、サビ落としのテクニックが必要だ。シンクを傷つけたくないので、工具は使わずスーパーなどで買える家庭用品で落とす方法を2パターン紹介する。メラミンスポンジを使い研磨するので、きつくこすると、かすかなヘアラインが入る場合があるが、それもイヤという場合は、重曹パックで使うメラミンスポンジを普通のスポンジにして重曹パックの時間を延ばして試すといいだろう。

 

クリームクレンザーとメラミンスポンジを使ったもらいサビ落とし

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重曹パックとメラミンスポンジを使ったもらいサビ落とし

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デッキチェアの再塗装/暮らしに生かすDIYメンテナンス【3】

デッキチェアはウッドデッキやガーデンリビングに欠かせないエクステリア家具。今回は木製の作品を例に、研磨〜再塗装を実践する。

 

ばらせるパーツはばらしてから研磨する

今回はデッキチェアを例にして、エクステリアで使う木製家具類の再塗装を実践。このチェアは屋根はないが木陰になるウッドデッキに、あまり使われることなく雨ざらしにされていたもの。木陰に置きっぱなしというのが汚れやすいポイント。公園のベンチなども木陰のもののほうが汚れている。樹液や落ち葉、湿気などの影響が大きいからだ。

本体を掃除して現在の状態をチェック。汚れはひどいが木部そのものには損傷はない。高圧洗浄機で洗って、乾燥したら再塗装という方法もあるが、それだけだと、古い塗装の上に再塗装となり塗装が厚くなって見た目がよろしくない。そこで塗装を全部はいで木地を出し再塗装という方法にする。これだとスッキリスマートな仕上がりになる。

取り外せるパーツは外してしまう。これで削り残しと塗り残しを防ぐことができる。

研摩にはオービタルサンダーを使用した。オービタルサンダーでも60番のサンドペーパーを使えば、スピーディーに汚れごと塗装をはがすことができる。オービタルサンダーは市販のサンドペーパーを3等分したものを装着して使うので、専用のサンディングパッドを用意する必要もなく、コスト的にも使いやすい。60番のサンドペーパーを5枚使ったとしても250円程度で済む。

研磨作業は、塗装されているところ、表面、裏面、側面とやり残しがないように木地面が出るまでていねいに作業する。作業は隅から始めて、広い面に進んでいく。工具の入らない部分は手でサンドペーパーを掛ける。本体の研磨が済んだら、取り外したパーツも研磨する。

 

1度目の塗装は薄く広く塗る

研磨が済んだら塗装する。今回は見えるところは2度塗り、見えない部分は1度塗りとする。塗料は油性のステイン、ハケは50mmのスジカイバケ。忘れてならないのはプラスチックの手袋。ステインはサラサラした塗料なので軍手では染みて汚れる。塗料はよくかくはんして、ハケの3分の1程度に取り、ハケは立て目にしてハケ目をそろえて薄く塗り広げる。塗り始めは隅から開始。木口や木端など塗り残しのないように気を配りながら塗装する。全体の塗装が済んだら各面を点検して、塗り忘れをチェック。乾けば作業は終了だ。

再塗装前はこの汚れ様

 

研摩に使うオービタルサンダー、使用する60番サンドペーパー、パーツ分解用のスパナなど

 

使い捨てタイプのプラスチックやビニールの手袋。塗装の重要なアイテム

 

【デッキチェアの汚れ落とし研磨】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

【デッキチェアの再塗装】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

破れたビニール壁紙の補修/暮らしに生かすDIYメンテナンス【2】

どこの家庭でも使われている壁紙といえばビニール製の壁紙。引っかいて傷ついたり破れた部分をDIYで補修する。

 

ビニール壁紙の破れた部分の補修

今回は室内クロス壁紙の破れた部分を粘着タイプ補修用カベ紙を使って補修する方法を紹介。

粘着タイプ補修用カベ紙は、すでに粘着剤が塗ってあるので、裏紙をはがせばすぐ張ることができる。

一番簡単な方法は破れた部分の上から直に補修用カベ紙を張りつける方法だが、これだと補修部分が盛り上がって、目立ってしまう。やはり、破れた部分をはがして新しく補修用カベ紙を張り直すという方法で補修したい。

ポイントは補修用カベ紙とはがす傷ついた壁紙のサイズをまったく同じに加工するところ。

これは、左の写真のように一度補修用カベ紙を破れの上に仮張りして、重ねた上から2枚同時に、同じ大きさに切り抜き、破れた壁紙をはがしてから、補修用カベ紙をそこへはめ込むように張る方法で補修できる。この方法なら補修した部分と壁が同一の面になるので、補修部分が目立たない。仮張りした補修用カベ紙と破れ部分周囲の壁紙を同じ大きさで切るときは、カット定規はできるだけ立て、カッターも立てて慎重に2枚を一度に切り抜くようにすると、ずれないで切ることができる。

修理には壁紙張りの工具がセットになった「粘着タイプカベ紙貼りセット」を使えば、必要な工具を手頃な価格で一度にそろえることができる。

 

【アサヒペン「粘着タイプカベ紙貼りセット」】

左からおさえヘラ、おさえローラー、カッターナイフ、ステンレスカット定規

 

【アサヒペン「粘着タイプ補修用カベ紙」】
サイズは15×60cm、30×60cm、46×60cm、の3種類。色は白。柄は写真のように3種類

HK-4、HK-14、HK-24
HK-6、HK-16、HK-26
HK-5、HK-15、HK-25

 

【補修の手順例(HK-4を使った作業)】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

ガタつく室内錠(空錠)を新品に交換する/暮らしに生かすDIYメンテナンス【1】

築40年の住宅玄関とダイニングの仕切りドアの室内錠を例に、錆びついてボロボロになってきた室内錠を新品のステンレス錠に交換する方法を解説!

 

【取りつける空錠を構成するパーツ】

ドアノブの基本タイプ、空錠を交換する

室内においてカギをかけなくてもよいドアに使われているのが、空錠と呼ばれる鍵のつかないシンプルなドアノブ。空錠はれっきとした建築用語で「くうじょう」「そらじょう」と読む。

空錠はもっとも基本的な構造をしているので、初めてのドアノブ交換には、もってこいのモデルとなってくれる。今回は取り外す空錠も、新たに取りつける空錠も同じデザインの握り玉型のドアノブだ。

ドライバー2本でできる取り外しと取りつけ

旧型の握り玉の取り外し方は以下のとおり。どちらかの握り玉と丸座をつなぐ円筒部の側面を探すと、マイナスネジの頭が見えたり、小さな穴が見えたりするはずで、これらが握り玉を固定しているロックになる。ネジの場合はドライバーでネジをはずし、小さな穴の場合はそこに千枚通しを差し込んで押しロックをはずす。今回のモデルはネジでロックする方式なので、ネジをゆるめてはずし、握り玉を左に回せばはずすことができる。握り玉をはずしたら丸座を固定している上下2本のネジを緩めて取り外す。

次に反対側の丸座のネジをゆるめて取り外し、握り玉を引き出せば、角芯も一緒に取り外すことができる。

最後にフロントのネジを取り外し、角芯を抜いて貫通したケースの穴にドライバーのシャフトを差し、両手でフロントの方向へドライバーを引き出せば、ケースを取り出すことができる。これで古い空錠の取り外しは完了だ。

新品の取りつけは、取り外すものと同じサイズの空錠を購入しておけば、何の加工もいらずに写真のように取り外しと逆の順番で作業でき、簡単に取りつけることができる。ただ、使用した空錠に付属のビスは丸座用がナベ頭、フロント、受け金具用が皿頭になっているので、間違えないように注意すること。

 

【取り外し方】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

【取りつけ方】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

ガタつく室内錠(空錠)を新品に交換する/暮らしに生かすDIYメンテナンス【1】

築40年の住宅玄関とダイニングの仕切りドアの室内錠を例に、錆びついてボロボロになってきた室内錠を新品のステンレス錠に交換する方法を解説!

 

【取りつける空錠を構成するパーツ】

ドアノブの基本タイプ、空錠を交換する

室内においてカギをかけなくてもよいドアに使われているのが、空錠と呼ばれる鍵のつかないシンプルなドアノブ。空錠はれっきとした建築用語で「くうじょう」「そらじょう」と読む。

空錠はもっとも基本的な構造をしているので、初めてのドアノブ交換には、もってこいのモデルとなってくれる。今回は取り外す空錠も、新たに取りつける空錠も同じデザインの握り玉型のドアノブだ。

ドライバー2本でできる取り外しと取りつけ

旧型の握り玉の取り外し方は以下のとおり。どちらかの握り玉と丸座をつなぐ円筒部の側面を探すと、マイナスネジの頭が見えたり、小さな穴が見えたりするはずで、これらが握り玉を固定しているロックになる。ネジの場合はドライバーでネジをはずし、小さな穴の場合はそこに千枚通しを差し込んで押しロックをはずす。今回のモデルはネジでロックする方式なので、ネジをゆるめてはずし、握り玉を左に回せばはずすことができる。握り玉をはずしたら丸座を固定している上下2本のネジを緩めて取り外す。

次に反対側の丸座のネジをゆるめて取り外し、握り玉を引き出せば、角芯も一緒に取り外すことができる。

最後にフロントのネジを取り外し、角芯を抜いて貫通したケースの穴にドライバーのシャフトを差し、両手でフロントの方向へドライバーを引き出せば、ケースを取り出すことができる。これで古い空錠の取り外しは完了だ。

新品の取りつけは、取り外すものと同じサイズの空錠を購入しておけば、何の加工もいらずに写真のように取り外しと逆の順番で作業でき、簡単に取りつけることができる。ただ、使用した空錠に付属のビスは丸座用がナベ頭、フロント、受け金具用が皿頭になっているので、間違えないように注意すること。

 

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材の接合に使うビスの種類と使い方 後編・ドゥーパ!資材館【2】

毎回、ジャンルを絞ってDIY資材を紹介する本企画。前回はビス選びの基本と木工用ビスを紹介したが、今回は金属用、コンクリート・石膏ボード用のビスの種類と使い方を解説!

 

金属用ビス

薄鋼板やアルミ材、鉄板同士など、またはそれらと木材を接合するビス。長くタッピングビスの一択だったが、
ドリルネジの登場でDIYでも簡単に作業できるようになった。

 

なべドリルねじリーマー
先端部に薄鋼板、鉄板、アルミ材などを貫通できる強力なリーマー(錐)がついたドリルねじ。金属同士はもちろん金属と木材の接合にも使うことができる。タッピングビスのように下穴あけの工程が省けるので、作業が省力化にできる。

【作業例】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

六角ドリルねじ
ドリルねじの六角タッピング版。左の六角フランジタッピング同様、フランジがついている。下穴なしで金属板にビス打ちすることができる。

六角ボルトを締めるには写真のようなボックスレンチ(箱スパナ)ビットが必要になる

 

こちらも六角ボルトの周囲には接合力を高めるフランジがついている

 

タッピングビス
鉄板、薄鋼板、アルミ材同士やアルミサッシの窓枠の固定に使われることが多いタッピングビス。ナベ頭、トラス頭が使われることが多い、皿頭を使う場合は、ビス打ちする素材に合わせた皿取りビットで頭に合わせた皿を切削してから打つ。

左がナベ頭、右がトラス頭。トラス頭のほうが径が大きいので、より確実な締め込みができる

 

【作業例】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

六角フランジタッピング
普通のビスより大きな力の掛かる部分を接合する場合にはボックスレンチで締める六角頭のタッピングを使うことがある。ウッドデッキの上にフェンスや柱のベースを固定するときなど必要になる。

六角ボルトの周囲についたふちがフランジ。ボルト頭の面積を広げて、よく締めつけられるようになる

 

コンクリート、モルタル、ボード用ビス

コンクリートへのビス打ちは、基本的に振動ドリルにコンクリートドリルを装着して下穴をあけた上で行なう。
ボード類は専用の下地を打ちこんだ上にビスを打つ。

 

コンクリート用プラグ
ビス打ちの下地になるプラグと呼ばれる樹脂の筒。これを振動ドリルであけた穴に打ち込み、この上にビス打ちする。コンクリート用の表示のあるものはモルタルにも同様に使用できる。

【作業例】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

コンクリート用ビス
こちらはプラグなしで、下穴をあけるだけで直接コンクリートに打てるビス。ビスの写真をよく見ると、軸の山が高い山と低い山の2重らせんの組み合わせでコンクリートにがっちり固定される。なお、このビスはレンガにも対応する。

【作業例】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

カベロック(アンカー)
中空ボード、石こうボードにビス打ちするための下地になる大きな錐状のブロック。下穴なしで直接ボードに打ち込め、これを下地にビスを打つことができる。写真のものはビスもセットになっている。

【作業例】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

材の接合に使うビスの種類と使い方 前編・ドゥーパ!資材館【1】

毎回、ジャンルを絞ってDIY資材を紹介する本企画。第1回のテーマは、まさに何万種類のアイテムが存在するビス。その中からDIYで活躍するものをセレクトして紹介する。

 

ビスのいろいろ
ドゥーパ!ではビスという呼び方で統一しているが、ねじやスクリューも同じものを指している。ビスはフランス語、ねじは日本語(JIS規格はひらがなでねじ)。スクリュー、スレッドが英語。いずれも実際の現場で使われる呼び方だが、どれも軸にねじ山のついた円錐で、材と材を接合したり、材に何かを接合するために使われる。

頭のデザイン、溝の種類
ビスの頭はナベ頭、皿頭、トラス頭の3種類が一般的。ビスを締めたりゆるめたりするためにビス頭に切ってある溝は、プラスドライバーや電動ドライバーのビットで使える、十文字のプラス頭が圧倒的多数を占める。ドライバービットには+1番、+2番、+3番と規格があり、ビス頭の十文字溝の大きさに合わせて使い分ける。年配の方にはなじみ深いマイナス溝は、現在ではほとんど使われず、ホームセンターでは扱っていないところもある。1950年代以前の家具の再生や、アンティーク感を出すために使われる程度だ。溝の種類にはほかに四角穴、六角穴、ポジドライブなどあるが一般的ではない。

ビス選びの基本を覚えよう
DIYで使われるビスは主に、コーススレッド、スリムビス、ミニビスの3種類。ネジ部分、頭、首などの形状にはいくつかバリエーションがあるので、下記表を参考にしてほしい。なお、屋外で使うならサビに強いステンレス素材が頼りになるが、比較的高価なので予算と相談して使う材質を決めよう。

【代表的なビスの形状と特徴】

ドライバービットにはビス頭の溝のサイズに応じたバリエーションがある。一般的なビスの溝に合うのは写真右の+2番ビット。写真左は先端がシャープな+1番ビットで、蝶番用のミニビスなどに合う。また、より大きい溝に合う+3番ビットも存在する

 

ビスの長さは接合する板厚の2~3倍程度を目安に選ぼう

 

ビスを真っすぐ正確に打ち込むには、ビットとビスの間にすき間を作らないように、手首と腕を固めてしっかりと体重をかけるのが基本。また、インパクトドライバーはパワーがあるので、いきなり強く回すとビス頭をつぶす危険がある。打ちはじめはスイッチを軽く押してゆっくり回し、徐々に回転数を上げて小刻みに締めていくとミスを減らせる

 

材の保持が必要なく、もう一方の手があいた状態なら、ビスが安定するまで指をそえておくといい

 

高所のビス留めにおいても、なるべく電動ドライバーと目線の高さを合わせて作業するようにすると失敗しにくい

 

木用ビス

基本的に木材同士を接合するビス。木材以外でも樹脂と木材、竹と木材など条件が合えば、広範囲に使用できる。*各名称はパッケージ表記によります。

 

さら木ねじ
木用ビスの典型デザインといえるビス。きれいに打つには下穴をあける。SPFなど柔らかい樹種に向く。長さ15~75mm程度までのものが販売されている。

 

コーススレッド
小屋作りでよく使われるのがこのタイプ。軸径が太く、深くて幅広のネジ山で、木材を強力に締結できる。

 

木割れ解消ビス
木材の木口近くにビスを打つことでおこる木割れを独特な先端形状で解消するビス。頭の下面はフレキ加工され、材への密着度を高めている。

独特なスクリューデザインをした先端部分。この特殊な形状が木割れを防ぐ

 

しっかり加工されたフレキ部分。ここで材を削り、材への食い込みをよくする

 

万能ビス
高低2種類の山が2重らせんになってデザインされているビス。頭下面をラッパのような曲線にしてあるため、石こうボードに使っても張られた紙を破ることがない。先端には錐加工もされている。

打ち込み時の安定性がよい先端の錐と高低が組み合わされた山

 

ラッパ状にカーブした特徴的な頭下面

 

スレンダー木割れ防止ビス
現在のビスの多くは、先端部が木割れを防止するための特別なデザインになっている。このビスの先端は素早く材に入っていくようにデザインされている。頭下面のフレキもくっきり刻まれ、材にしっかり頭が沈むようになっている。軸も細めなのでエクステリアの家具などで、すっきりしたビス打ちができる。

打ち始めが安定して、素早く入っていく先端デザイン

 

ミニビス
頭を小さく、軸も細く作られた内装仕上げ用のビス。細かい部分にも使用でき、+1番のプラスドライバーまたはドライバービットを使う。頭は小さく目立たない。

一般的なビス(上)と比べると、ミニビスの頭の小ささと軸の細さ(2mm)が際立つ

 

ステン木用ねじフレキつき
酸化、サビに強いステンレスの仲間、SUS410ステンレスを使ったビス。鉄に比べて圧倒的にサビにくいので、水気のある場所や、エクステリアで使う作品では、ビスはステンレス製を選びたい。

頭の下面にはあっさりとしたフレキが刻まれている

墨つけするための道具の種類と使い方 後編・超実践的DIY道具ラボ【2】

テーマ別に便利な道具のいろいろを紹介する本企画。今回は、正確できれいな木取りの前に欠かせない作業「墨つけ」のための道具の後半編を紹介(前編はこちら!)。切断のための線引きの道具といった単純な見方ではくくれない、墨つけにこだわった便利な道具を紹介しよう。

 

分度器のついたスコヤ/プロトラクターステンNo.19

自由に動く腕と分度器を組み合わせたプロトラクター

自由スコヤは、任意の角度の対称から角度を写すので、角度を数字的に測定する必要がない。そのため目盛りなどはついていないが、プロトラクターは竿の端に分度器がついていて、墨つけする角度を測定することができる。設計図に従って墨つけする場合や、作品から設計図を起こして数値的に記録する場合に便利に使える道具だ。

分度器の目盛りを必要な角度に合わせれば正確な角度で墨つけできる

 

筋を切り込んで墨つけする/ケビキ

硬木で作られており、竿(横方向のパーツ)の先には小刃がついている

竿の端に取りつけた小刃で筋を引く道具。小刃で引いた筋は鉛筆で引いた筋に比べて圧倒的に細いので、それだけ精密な墨つけができる。ホゾで組む家具作り、指物作りには、シラガキとともに欠かせない道具だ。小刃は鋼なので、切れ味が悪くなったら鋭く研ぎ、いつでも軽くケビキが引けるように手入れが必要だ。

必要な長さに竿を設定し固定したら、材の端に台を密着させ、小刃で筋を引く

 

筋で墨つけするための小刀/シラガキ

シラガキは写真のようにシンプルなデザインの道具

柄のない小刀といったデザインをした、材に筋を引く(墨つけする)ための刃物。工作用の小刀にくらべて刃の角度が少なく刃幅が短いのが特徴で、鉛筆のように持って筋を引きやすくなっている。刃は片刃で、ときどき研いでいつも軽く筋を引けるように手入れしておく必要がある。この道具はケビキと同様に、ホゾで組む家具作りや指物作りでよく使われる。

鉛筆と同じように使って材にけがく(筋を引く)ことができる

 

欧米の木工家がケビキと言えばこれ/ホイールマーキングゲージ

ホイールマーキングゲージは先端にホイールカッターのついたシャフトと、真ちゅうのフェンスを組み合わせた欧米で使われるケビキの仲間

ステンレスのシャフトに、木製の柄がついた真ちゅうのフェンスを組み合わせたウッドリバーのホイールマーキングゲージ。ホイールマーキングゲージは西洋ケビキと呼ばれる道具で、フェンスを材に滑らせながら、シャフト先端についたホイールカッターで材に筋を引く。シャフトの先端にカッターがついているので、小刃の位置が竿の先端でないケビキよりも、筋を引ける範囲の自由度が高い。

フェンスから必要な寸法でシャフトを伸ばし、シャフト先端のホイールカッターで筋を引き、墨つけできる

 

自然木や多角形でも簡単に中心に墨つけできる/センターファインダー

センターファインダーは一辺が15cm程度のプラスチック板にフェンスを立てた道具

製材された丸棒はもちろん、自然木の丸太や、多角形の角材の木口のセンターを簡単に墨つけできる道具。半透明のプラスチック板の上に90度と60度に設定されたフェンスが立ててあり、そこにセンターを墨つけしたい材をあてて、板の真ん中にあいたすき間の定規で墨線を引く。材にあてる部分をずらして何本か線を引けば、全部の線が交わったところが、その材のセンターということになる。

フェンスで材をはさみ、写真のように線を引くとセンターを墨つけできる

 

円やカーブを墨つけする/コンパス、手作りコンパス、缶類、雲形定規

円を墨つけする道具の基本はコンパス。学生時代から使っていたものがあればそれで十分。普段の墨つけに鉛筆を使っているなら写真のように鉛筆を取りつけて使えるモデルが便利だ。

鉛筆を取りつけるタイプのコンパス

コンパスで引けないような大きな円を墨つけする場合は、木製の定規などを使って大きな半径で墨つけできるコンパスを手作りすることができる。一方の端にビスを打ち、必要な半径で鉛筆を差し込む穴をあけるだけでできあがりだ。

使わない木製の直定規の端にビスを打ち、必要な寸法に鉛筆を差す穴をあける

 

センターをビスで固定すれば大きな半径の円を墨つけできる

材の角に角丸を墨つけするときは、写真のように缶やテープなどのカーブを利用すると安定した墨つけができる。

缶類も安定したカーブの墨つけに利用できる

 

テープやテープの芯を利用して カーブを墨つけできる

もっと複雑なカーブを墨つけするには、製図用の雲形定規を使う。雲形定規はさまざまな半径のカーブを組み合わせた定規で、定規の中から自分の必要なカーブを選んで墨つけする。必要なカーブをつなげていけば複雑な墨つけも可能だ。

複雑なカーブを組み合わせた雲形定規

 

定規から必要なカーブを探して墨つけする

墨つけするための道具の種類と使い方 part1・超実践的DIY道具ラボ【1】

テーマ別に便利な道具のいろいろを紹介する本企画。今回は、正確できれいな木取りの前に欠かせない作業「墨つけ」のための道具を紹介。切断のための線引きの道具といった単純な見方ではくくれない、墨つけにこだわった便利な道具を紹介しよう。

 

墨線がくっきり引ける/工事用シャープペン2.0mm

一般の筆記具にはない、芯の太さが2mmある工事用に開発されたシャープペン。鉛筆や一般のシャープペンに比べて、よりくっきりした線を引くことができる。2mmという太さはノコギリ用の墨つけには若干広いが、丸ノコ用とすればとても使いやすい芯幅で墨つけできる。芯の色は黒、赤、白があり、木材以外の鉄、モルタル、防水紙など、墨つけする材に合わせて使い分けることができる。

見やすい墨線をくっきりと引くことができる

 

時間が経つと消える墨線/工事用消えるマーカー細字丸芯

合板、鉄、ガラス、プラスチック、コンクリート、塩ビ、布、皮革に使える消えるマーカー。植物から抽出した人体に無害なインクを使用する細字のマーカーは、墨つけ後72時間で自然に消えてしまう。作業後に放っておけば消えてしまうので墨つけの消し忘れを心配することもない。水性インクなので急ぐ場合は水拭きすれば消える。

木材に引くとほんのり紫がかった薄茶で線が引ける

 

3日後には線が消えている

 

ボード類に素早く正確にビス打ちピッチをマーキング/ビスピッチマーカーマルチ5段ピッチ

小屋の壁や屋根など、長さのある部分に正確な間隔で、ビス打ちの位置を墨つけできる道具。メインブロックのカートリッジで墨つけ間隔をセットし、材の端にガイド定規を突きつけて材の上をスライドさせれば、指定した間隔ごとにビス打ちの目安になる点がマーキングされる仕組みになっている。ふたつセットされたカートリッジで対応するピッチは100mm、150mm、200mm、250mm、300mmの5種類。エクステリアのDIYからインテリアのリフォームまでさまざまな場面で使える。

ガイド定規を材の端にあて動かせば写真のように点でビス打ちの位置をマーキングできる

 

アメリカン大工必携の墨つけグッズ/スピード定規

二等辺三角形をしたスピード定規。右の辺に材に引っかけるフェンスが立ち上がっている

アメリカのフレーマー(住宅組み立て大工)に広く使われている45度、90度、各種傾斜角などを確実に測定、墨つけできる道具。英語ではスピードスクエア。スピードスコヤとも呼ばれる。いろいろな大きさのモデルがあり、日本のサシガネのような感覚で使うことができる。45度と90度は定規の一辺に立ち上がるフェンスを材の端に突き当てれば簡単に測定、墨つけができる。国内のホームセンターでも徐々に見られるようになってきた。写真のものは12インチのモデル。

フェンスを材に引っかけて突きあてれば、素早く90度と45度の墨つけができる

 

90度と45度を組み合わせたスコヤ/止型スコヤ

台の右側が45度、左側が90度になっている止型スコヤ

片方が90度、反対側が45度に設定されたコンビネーションスコヤ。写真のモデルは商品名は止型スコヤとなっている。使い方は長辺に設定された厚めに作られた台を材の端に押しつけるだけ。必要に応じて、台から90度、45度を墨つけすることができる。90度の辺の長さが100mmの設定と比較的小型で、目盛りもついているので、家具木工など小型の作品づくりで重宝されている。

台を材の端に引っかけて密着させれば90度と45度を正確に墨つけできる

 

DIYからプロまで直角墨つけの必需品/スコヤ

腕の長さが25㎝ある目盛りつきのスコヤ。腕の付け根角を材に突きつければ45度も墨つけできる

利用する人も多く、作業中もっとも頻繁に使われる直角定規がスコヤだろう。写真のように片方の腕が厚く作られたL字型の定規で、台と呼ぶ厚い腕を材の端に押しつければ、片方の腕が台に対して正確に直角を指してくれる。単純な構造の道具だが、クラフトや指物に使いやすい小さなものから、エクステリアの小屋作りなどに使える大きなものまで、腕の長さで5cm程度から30cm程度まで選択できる。

台を材に突きつければ、自動的に台の直角に墨つけできる

 

任意の角度に設定して墨つけできる/自由スコヤ

腕(写真上部分)が自由な角度に動かせる構造になっている

定規の端についているネジで、任意に設定した角度に固定して使うことができるスコヤ。45度や90度以外に設定された角度を、別の部分に墨つけするときなどに使われる。腕の長さが15cmのモデルと25cmのモデルがあるので製作する作品の大きさに合わせて選択すればいいだろう。作品のバリエーションを広げてくれる、使い勝手のよい墨つけ道具。

使い方。まず必要な角度を自由スコヤに移して固定

 

別の部材に角度を写して墨つけする

 

連続して寸法を写す際に、設定長さを固定する/直尺用ストッパー

写真は15cmと30cmの直定規にストッパーを取りつけたところ

金属製の直定規と組み合わせて使うストッパーで、特定の長さや深さを設定して、その寸法を写す場合に便利に使える。材の位置を決める墨つけや、ホゾ作りなどでは、これがあるとないとでは、作業のはかどり具合が全然違ってくる。15cm、30cm、60cm、1mなどの定規に合わせたサイズが販売されている。ストッパーだけ単品で購入するときは自分の直定規に取りつけることができるか、実際に定規を持って買いにいけば間違いはない。

ストッパーは普段は取り外しておける

 

使い方。必要な深さ(長さ)をストッパーで固定

 

対になる部材に固定した寸法を墨つけできる

ガーデニング王に学ぶ!ウッドデッキの教科書【5】~フェンス、ベンチ、ステップの製作~

シンプルなウッドデッキ作りをベースに、作り方の基本を学ぶ本企画。最後はデッキにあると便利な、フェンス、ベンチ、ステップと+αの機能の作り方を伝授!

今回製作したフェンス&ベンチつきのデッキ。広さは幅5400×奥行2790mm。これを例に製作手順を解説する

 

ウッドデッキのフェンス

フェンスは思わぬ荷重がかかる部分。基礎から支柱を立ち上げて強度があるものを作ろう。

 

フェンスはあらかじめ仕上がり高さを決めて作る

フェンスはデザイン的に楽しめる部分だが、もたれかかったり、子どもが遊ぶことがあったり、意外と力がかかるところなので十分な強度を持つ構造にしたい。

第1回の記事の構造図のように基礎からフェンスの支柱を立ち上げるのがベストだ。基礎からフェンス支柱を立ち上げるときはフェンスの仕上がり高さをあらかじめ決めておくこと。

今回、製作したウッドデッキではベーシックにフェンスの板を横張りした。

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フェンス支柱は施工後にカットしてもOK

フェンスの高さが定まらないときは長めに切り出した支柱を基礎から立ち上げるといい。床板施工後にバランスを見て、好みの高さに切断する。切断するときは丸ノコやノコギリを使う。

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ウッドデッキのベンチ

ウッドデッキにベンチを作りつけておくと新たに椅子を準備しなくてすみ、スペースを有効活用できる。

 

ベンチを作りつけることでフェンスの強度がアップする

ウッドデッキにベンチが作られていると、新たに椅子を置かずにすみ、スペースを有効活用できる。フェンスがあるならその支柱を利用してベンチを作るのがおすすめ。フェンスを背もたれに利用できるし、フェンスの強度もアップするので一石二鳥だ。ウッドデッキ作りにチャレンジするならもうひと踏ん張りして、ぜひベンチを製作してみよう。

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デッキ完成後にフェンスなどを作るときは支柱固定金具が有効

ウッドデッキ完成後にやっぱりフェンスを作りたい、となったときは支柱固定金具を使うといい。デッキ床面に支柱固定金具を接合し、そこに柱を立てるだけ。

支柱固定金具。ホームセンターや通販サイトなどで1000円前後で売られている

 

ウッドデッキのステップ

一般的な住宅の掃き出し窓に合わせてウッドデッキを作ると、1、2段程度のステップが必要になる。

 

ステップを作って庭からの出入りも快適に

一般的な住宅の掃き出し窓の前にウッドデッキを製作すると高さは約500mmになる。庭からデッキに出入りするときはステップが必要だ。ステップの段差(蹴上げ)の目安は150mm程度なので、1、2段のステップになる。

DIYで作るならデッキにステップを組み込んだデザイン(デッキと同じ要領でステップを作れる)か側板に踏み板をつけた側桁階段がおすすめ。今回製作したウッドデッキではデッキに組み込むことにした。

【根太伏せ図】*単位はmm

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DIY向きのステップ側桁階段

側桁階段はシンプルな作りでDIYしやすいステップ。側板には2×10材など幅が広い材を使用する。デッキ本体に側板を合わせて、適切な角度を割り出し、側板をカットする。そこに踏み板受けと踏み板を接合していけばできあがり。

腐食予防のため、側板の下にはレンガや石材などを敷いておくこと

写真◎佐藤弘樹、福島章公/イラスト◎丸山孝広

木村博明 Hiroaki Kimura

今回のウッドデッキのデザイン・施工を担当したのは木村グリーンガーデナーの代表(写真左)。SOU・SOUのウェアを身にまとって作業するおしゃれな庭師。モダン和風なガーデン施工に定評がある。「TVチャンピオン 極」(テレビ東京系)のガーデニング王決定戦で優勝。写真右は蔭山さん。親方である木村さんの指示を受け、テキパキと木材の切断、接合を担当。

ガーデニング王に学ぶ!ウッドデッキの教科書【4】~床張り~

シンプルなウッドデッキ作りをベースに、作り方の基本を学ぶ本企画。今回は、ウッドデッキ作りで最も楽しい床張り作業を解説!

今回製作したフェンス&ベンチつきのデッキ。広さは幅5400×奥行2790mm。これを例に製作手順を解説する

 

ウッドデッキの床

目に見えて完成に近づいていく床張り作業はデッキ作りの中でいちばん楽しい時間だ。

 

ビス留め位置をそろえると見栄えよく仕上がる

土台が完成したら床板を張っていく。土台でしっかり水平が出ているので、多少ねじれや反りのある材でも押したり引いたりしながら張ると、きれいに接合できる。

また、床板は基本的に木表(年輪の外側)を上にするが、木肌の美しさを優先して木裏(年輪の内側)を上にしてもよい。

床板を張るときは、デッキ上に雨水がたまらないようにしたり、通気性を良くするためにわずかにすき間をあけて張るのが原則。すき間が広すぎると物を落とす恐れがあるので3〜5mm程度がよい。すき間がまちまちだと見栄えが悪いのでスペーサーを利用するのがおすすめだ。

なお、床板をビス留めするときはビス留め位置をそろえること。そうすることで見た目にも美しく仕上がる。

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丸ノコで床板を割く

施工場所の都合で、床板をそのまま張れない場合がある。そんなときは平行定規をつけた丸ノコで板を割くといい。

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床板張りパターンのいろいろ

ウッドデッキは床板の張り方次第で個性的に仕上げることができる。ここでは根太の配置とともに、いくつかの床張りパターンを紹介したい。想定サイズは、1800×1200mmとした。想定使用木材は床板と根太が2×6材、束柱が4×4材。

写真◎佐藤弘樹、福島章公/イラスト◎丸山孝広

木村博明 Hiroaki Kimura

今回のウッドデッキのデザイン・施工を担当したのは木村グリーンガーデナーの代表(写真左)。SOU・SOUのウェアを身にまとって作業するおしゃれな庭師。モダン和風なガーデン施工に定評がある。「TVチャンピオン 極」(テレビ東京系)のガーデニング王決定戦で優勝。写真右は蔭山さん。親方である木村さんの指示を受け、テキパキと木材の切断、接合を担当。

ガーデニング王に学ぶ!ウッドデッキの教科書【3】~整地&土台の施工~

シンプルなウッドデッキ作りをベースに、作り方の基本を学ぶ本企画。第3回目は、ウッドデッキ作りで最も重要な土台部分の施工のポイントを伝授!

今回製作したフェンス&ベンチつきのデッキ。広さは幅5400×奥行2790mm。これを例に製作手順を解説する

 

ウッドデッキの整地

施工場所にある障害物を取り除いて地面を整える。施工前にこの作業をすませておくとスムーズにウッドデッキ製作を進められる。

 

石や雑草などを取り除き、施工現場を整える

整地はしっかりやっておきたい。一見、地面には何もなさそうに見えても、いざ基礎石を置こうとしたら大きな石が隠れていたなんてこともある。施工前の準備として、石や雑草などの障害物を取り除く作業はやっておきたい。障害物がなくなったのを確認したら地面を平らにならしておく。同時に施工現場の周囲をスッキリさせて資材置き場と作業スペースを確保しておこう。

施工の邪魔になる大きな雑草はすべて抜く。石などの障害物があったら避ける

 

障害物を取り除いたらジョレンで地面を平らにならす

 

床下の雑草をシャットアウトする防草シートの敷き方

日当たりの良い場所にウッドデッキを作ると、床のすき間からニョキニョキと雑草が顔を出すなんてことがある。そんな雑草予防のために防草シートを敷いておきたい。デッキ床下は床の張り替え作業などをしない限りチェックできない部分なので、防草シートは耐久性が高く、しっかりと雑草を予防する不織布タイプを選ぼう。

使用した防草シートはカインズホームの雑草ブロックシート。1×10mで2480円ほど。左は別売りの押さえピン。10個入りで498円ほど

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ウッドデッキの土台

デッキ作りで一番重要な土台作り。窓の前に立てた束柱を基準に根太を設置した。大きさやデザインを問わずに使える基本的な施工方法だ。

 

掃き出し窓前に立てた束柱を基準に根太を設置していく

土台作りはウッドデッキ作りで一番大事な作業。時間をたっぷり使って慎重に進めたい。

今回のデッキ作りでは母屋の掃き出し窓前に立てた束柱を基準に根太を設置する方法をとった。両端に根太を設置して水糸を張り、その水糸を基準に内側の根太を設置する。なお、根太の高さはできあがり高さから床板厚を引いたもの。

根太の設置方法は次のとおり。基準となる掃き出し窓前の束柱に根太を仮留めし、水平を確認しながら庭側の束柱の必要な高さを測る。基礎石に束柱を立てたら再度水平をチェックして根太を接合する。この繰り返しで土台ができあがっていく。

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地盤が弱いときは砕石を敷く

なお、地盤が弱く不安定な場所に施工する場合は、基礎石を設置する箇所に穴を掘り、砕石を敷き、地面をしっかりと突き固めるといい。これだけで丈夫な地盤になる。

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根太には真っすぐな材を使う

ウッドデッキでは安定した土台を作ることが一番大切。土台には反りやねじれのないいちばん真っすぐな木材を使用すること。反りやねじれがあるものは床板に使用する。床板は土台に接合することで、多少のゆがみが矯正される。

木口から木材を見て反りやねじれがないか確認する

 

何人ぐらいで作業するとよいのか?

作業人数については少なくとも3人。できれば4人欲しいところだ。というのも長い木材を接合するときなど、ふたりで材を支え、ひとりがインパクトドライバーでビスを打つというかたちを取れるからだ。4人いれば部材の切断作業に集中できる「切り出し要員」をつくれる。切り出し要員がいると作業効率が格段にアップする。

ウッドデッキ作りはこのように長い材を接合することがある。材を支える人員がいると作業しやすい

 

小面積のウッドデッキに最適!根太を先に組む土台作り

先に根太を組んでしまう土台の作り方は小面積デッキに最適な方法だ。根太を組んだら基礎石の上に仮置きし、束柱を立てていく。通常のデッキ作りよりスピーディーに作業できる。根太枠を持ち上げて仮置きするため、この方法で作るときも作業人員は3名程度欲しい。

写真◎佐藤弘樹、福島章公/イラスト◎丸山孝広

木村博明 Hiroaki Kimura

今回のウッドデッキのデザイン・施工を担当したのは木村グリーンガーデナーの代表(写真左)。SOU・SOUのウェアを身にまとって作業するおしゃれな庭師。モダン和風なガーデン施工に定評がある。「TVチャンピオン 極」(テレビ東京系)のガーデニング王決定戦で優勝。写真右は蔭山さん。親方である木村さんの指示を受け、テキパキと木材の切断、接合を担当。

ガーデニング王に学ぶ!ウッドデッキの教科書【2】~道具&資材の準備と塗装~

シンプルなウッドデッキ作りをベースに、作り方の基本を学ぶ本企画。第2回目となる今回は、ウッドデッキ作りに必要な道具や資材、木材の塗装など、施工前の準備の仕方を伝授します!

フェンス&ベンチつきのデッキ。広さは幅5400×奥行2790mm

 

ウッドデッキの道具

必要な道具がそろっていることがデッキ作り成功の秘訣。「デッキ作り必携道具表」を参照し、道具を準備しよう。

 

ウッドデッキの資材

ウッドデッキ作りで使用する主な材料は木材、基礎資材、金物、塗料の4つ。木材だけでも場所を取るので保管場所を確保しておこう。

 

資材は予算と相談しながらベストなものをセレクトしよう

ウッドデッキは基礎資材も、木材(デッキ材)も種類が豊富にあるのでセレクトがけっこう大変だ。

特にデッキ材は国産材、ウエスタンレッドシダー、人工木材、ハードウッド、SPF材など多種多様。ホームセンターや通販サイトなどを物色し、予算と相談しながら使用木材を決めるといいだろう。なお、樹種によって多少のばらつきがあるが、デッキ材の多くが2×材と似たサイズで製材されている。ただし、使用する材を決めたらデッキ材の寸法(厚さ×幅×長さ)をしっかりとチェックしておきたい。

金物はビスやクギなどのこと。DIYではインパクトドライバーで作業できるビスがベスト。少し割高になるが、サビに強いステンレス製のビスを選ぼう。

基礎資材である基礎石もいろいろなものがある。DIYなら手頃な価格帯で購入可能なピンコロタイプを選ぶのがおすすめだ。

 

デッキ材を買うなら通販サイトが便利

通販サイトの魅力はなんといっても資材を自宅まで届けてくれること。また、商品のバリエーションが豊富なのもポイント高し。ホームセンターに出回らない樹種がそろっていたり、店舗に置けない長尺ものの取り扱いもある。

ウッディロバート
ウエスタンレッドシダー専門店。さまざまなサイズのウエスタンレッドシダーがそろっている。

木工ランド
ウエスタンレッドシダーやイペ、ウリンなどのデッキ材からウォルナットやメープルなどの家具向けの材までそろう。

リーベ
ウリンやサイプレスなどの海外産の木材から人工木材まで幅広くデッキ材を扱っている。

 

ウッドデッキの塗装

塗装はSPF材など耐久性の低い木材を使用するときに必須の作業。塗装作業は乾燥時間を考慮するのが大切だ。

 

塗装は組み立て前と完成後に1回ずつ

耐久性に不安のある木材でウッドデッキを製作する場合は必ず塗装すること。塗装するタイミングは、組み立てる前と完成後にそれぞれ1回ずつ。

なお、床板の裏など組み立ててしまうと塗装できない箇所もあるので、組み立て前の塗装は2度塗りして木材の耐久性を高めたい。

塗料は屋外木部タイプを選ぶ。水性、油性とある。水性は扱いやすく、油性は耐久性が高め。それぞれ長所があるので好みで選ぼう。

塗装の補助ツール。ソーホースブラケットを使って作ったウマ。作業するときは地面が汚れないようにブルーシートを敷く

 

組み立て前にウマなどに木材を並べて一気に塗装すると効率的

 

写真◎佐藤弘樹、福島章公/イラスト◎丸山孝広

木村博明 Hiroaki Kimura

今回のウッドデッキのデザイン・施工を担当したのは木村グリーンガーデナーの代表(写真左)。SOU・SOUのウェアを身にまとって作業するおしゃれな庭師。モダン和風なガーデン施工に定評がある。「TVチャンピオン 極」(テレビ東京系)のガーデニング王決定戦で優勝。写真右は蔭山さん。親方である木村さんの指示を受け、テキパキと木材の切断、接合を担当。

ガーデニング王に学ぶ!ウッドデッキの教科書【1】~構造を知りプランを立てる~

シンプルなウッドデッキ作りをベースに、作り方の基本を学ぶ本企画。まずは今回製作したウッドデッキを例に基本構造と各部の名称、プランニングの立て方などを知ろう。

フェンス&ベンチつきのデッキ。広さは幅5400×奥行2790mm

 

ウッドデッキの構造図

【ウッドデッキ作りに用意した主な資材】

材の種類 数量 使用部位
スギ板(20×140×4000mm) 5 フェンス
スギ板(40×140×4000mm) 45 根太、床、ベンチ(座板、補強材)
スギ角材(90×90×4000mm) 4 束柱、支柱、ベンチ(脚)
羽子板つきピンコロ 8 基礎石
ピンコロ(小) 17 基礎石

材料費の目安…30~40万円 *木材、基礎資材、金物なども含む

【大引が必須のウッドデッキもある】
ウッドデッキの床が地面から高い場合や、土台の強度に不安がある場合は根太を支えるために大引(おおびき)を追加する。大引は束柱に取りつける。根太は大引の上に載り、直角に交わる(イラスト参照)。

 

ウッドデッキのフローチャート

塗装が必須な木材を使用したケースのウッドデッキ作りの標準的な流れを紹介する。デッキ作りの肝は「土台作り」。じっくりと土台作りに取り組めるようにスケジューリングしよう。

1、イメージを固める
ラフスケッチを描いてデザインやサイズ、作りつけたい設備などを決めるといい。

2、設計図を描く
設計には設計図を描くだけで木取りも算出してくれる「caDIY3D×(キャディスリーディークロス)」というPCソフトの利用がおすすめ!

3、資材を調達する
資材保管用のブルーシートの準備を忘れずに!

4、施工予定地を整地する
防草シートは整地のタイミングで敷くといい。

5、木材を塗装する
塗装作業を省ける耐久性の高い木材をチョイスするのも手。

6、土台を作る
土台に使用する木材は反りやねじれの少ない木材を選ぶ。

7、床板を張る
ビスの位置をそろえて見栄えよくする。

8、ステップを作る
デッキの高さに合わせて階段の段数を決める。

9、フェンスなどを作る
パーゴラやベンチなどもこの段階で作る。

10、全体を塗装する
2度目の塗装。耐久性の低い木材で製作する場合は必須の作業。

 

ウッドデッキのプランニング

製作するデッキのイメージが固まったら設計をする。束柱や根太の間隔、デッキの高さを念頭に置き、フェンスやパーゴラなどの設備を作るかを決めるといい。

 

1、床板の並べ方を決め土台のプランを立てる

製作するデッキのサイズが確定したら床板の並べ方を決める。床板は根太に対して直角に取りつけるのが基本になるので床板を縦に並べるか、横に並べるかで根太の向きが定まり、基礎(束柱&基礎石)の位置を決められるようになる。

基礎は四隅から位置を決めて、その間に配する基礎の間隔を決めていく。根太に2×6材、束柱に4×4材を使うときの束柱の間隔の目安は600~1200mm。根太の間隔は600~900mmが目安。

施工前の現場の状態をチェックする。地面の固さ、排水枡、室外機などの位置も確認しておきたい

 

2、デッキやフェンスの高さを決める

ウッドデッキは母屋の掃き出し窓前に作ることが多い。そのため、デッキの高さは掃き出し窓に合わせて作るのが一般的。イラストのように掃き出し窓のサッシの水切り下にデッキの床材をもぐらせるように取りつけると見栄えがいい。

フェンス(パーゴラも含む)の支柱は基礎から立ち上げたほうが頑丈に作れる。設置する場合は設計の段階で仕上がりの高さを決めておこう。フェンスはデッキ床上1000mm程度が一般的な高さといわれている。

写真◎佐藤弘樹、福島章公/イラスト◎丸山孝広

木村博明 Hiroaki Kimura

今回のウッドデッキのデザイン・施工を担当したのは木村グリーンガーデナーの代表(写真左)。SOU・SOUのウェアを身にまとって作業するおしゃれな庭師。モダン和風なガーデン施工に定評がある。「TVチャンピオン 極」(テレビ東京系)のガーデニング王決定戦で優勝。写真右は蔭山さん。親方である木村さんの指示を受け、テキパキと木材の切断、接合を担当。

作品づくり成功への近道!2×材の選び方と使い方

ビギナーこそ2×材の特徴を知り、いい状態のものを使うことが大事。木材購入の秘訣4カ条をドゥーパ!編集部が伝授します!

 

成功の秘訣1 サイズを知る

2×4という名前は木口が2インチ、幅が4インチのサイズが由来となっているが、実寸法は異なっているため注意が必要。2×材の種類は多く、基本の2×4のほかに、幅が異なる2×6(ツーバイシックス)や、半分の厚さの1×材(ワンバイ材)、束柱によく使われる4×4(フォーバイフォー)などが日本では一般的に流通している。長さもいろいろあり、基本的にはフィートで表記されているので、覚えておくと設計する際に役立つ。おおよそのミリサイズは以下にまとめたのでチェックしてほしい。

【一般的な2×材のサイズ表】

材の種類 厚さ×幅サイズ
1×2材 19×38mm
1×3材 19×63mm
1×4材 19×89mm
1×6材 19×140mm
1×8材 19×184mm
1×10材 19×235mm
1×12材 19×286mm
2×4材 38×89mm
2×6材 38×140mm
2×8材 38×184mm
2×10材 38×235mm
4×4材 89×89mm

 

【ft(フィート)換算表】

3ft 914mm
4ft 1220mm
6ft 1830mm
8ft 2440mm
10ft 3048mm
12ft 3650mm

 

 

成功の秘訣2 樹種にもこだわってみる

2×材に採用されている代表的な樹種は「SPF」。これはスプルース(トウヒ)材、パイン(マツ)材、ファー(モミ)材が混在したもので、それぞれ性質が似通っているため一括して製材&出荷されている。売り場に置いていないホームセンターはほぼないといってもいいだろう。ショップによっては、違う樹種の2×材もあるので作品に合わせて使い分けるのも面白そうだ。

 

・ホームセンターで手に入りやすい樹種

SPF
美しい白い木肌を持った北米生まれの針葉樹。加工性がよく、切断もビス打ちも容易に行なえるのでDIY向き。屋外の湿気には弱いため塗装が必須。

ホワイトウッド
オウシュウトウヒとも呼ばれている。性質はSPFとほぼ同じだが、木が若いうちに製材されるので、SPFよりも節が少なかったり小さかったりするのが特徴。

 

・ひと味違う樹種や変わった種類の2×材と類似材
※表記価格は2019年4月取材時の参考価格になります。また、現在は取扱いを休止している場合があります

スギ国産材
主に宮崎県で生産される飫肥杉(おびすぎ)を使った2×4規格の木材。輸入材の2×4材と比べると、軽量で加工しやすいのが特徴。指定長さカットに対応。塗装品もあり。(WOODPRO)
2×4/38×89×1900mm/1240円(無塗装・税別)

 

ヒノキ国産材
木肌のよさと独特な香りで人気のヒノキの規格材。狂いが少なく、耐久性、耐水性が高いのが特徴。1×材、2×材と近いサイズ感覚で使うことができる(ジョイフル本田 千葉ニュータウン店)
桧特等AD材/20×85×2000mm/390円
桧特等AD材/40×85×2000mm/578円

 

防腐加工材
SPF材やレッドウッド材に防腐・防蟻剤を加圧注入し、耐久性を高くした木材。色目は緑色がかっている。腐りにくいため屋外使用に向いており、防腐塗料で塗装すればさらに耐久性がアップ(ジョイフル本田 千葉ニュータウン店)
1×4/19×89×1830mm/228円
2×4/38×89×1830mm/578円

 

ウエスタンレッドシダー
北米原産のヒノキ科の針葉樹。褐色の木肌に細かくてきれいな木目が魅力。狂いが少なく、均一で軽い材なので加工がしやすい。さらに腐朽にも強く、湿気が少ない低い場所なら無塗装でも耐久性が期待できる(ウッディロバート)
2×4節付/40×90×1820mm/1190円
2×4クリア/40×90×1820mm/3770円

 

インテリア2×4
パイン集成材を2×4サイズに加工し、塗装を施した木材。寸法安定性に優れ、反りや曲がりが発生しにくい。ディアウォールやラブリコなどの突っ張り金具の支柱として使うのに最適。カラーはクリアー、ホワイト、ライトブラウン、ダークブラウンの4色(ジョイフル本田 千葉ニュータウン店)
2×4/38×89×2440mm/2480円

 

イエローシーダー
北米原産ヒノキ科の針葉樹。淡い黄色と独特の香りが青森ヒバに近いことから、ベイヒバとも呼ばれている。完全KD材(人工乾燥)で、暴れが少なく耐久性も高い。乾燥後はプレーナーで磨きあげている(木工ランド)
2×4/40×90×1800mm/1200円

 

ホワイトオーク
北米産のブナ科の広葉樹。ウイスキーやワインの樽材によく使われている。色は淡黄白色。耐久性は高いが重厚で強靭な材なので、ビス打ちの際は下穴加工が必須(木工ランド)
1×4クリアー/19×89×1800mm/1900円

 

ツーバイ材棚板用
棚板をはめるため(大入れ継ぎ)の深さ11㎜の溝が彫られた2×4材。ディアウォールやラブリコなどの突っ張り金具の支柱として使うのに最適。1×材用(20mmの溝を彫ったもの)と2×材用(39mmの溝を彫ったもの)の2種類をラインナップ(オカモク)
1×材用/38×89×2440mm/2180円
2×材用/38×89×2440mm/2180円

成功の秘訣3 状態のいい材を見極める

とくにSPFは大量生産されていることもあり、どうしても状態の「いい材」と「悪い材」が出てきてしまう。店頭に並んでいるものがすべていい材というわけではないので、以下のチェックポイントを押さえて、購入前によく吟味しよう。状態のいい材を使えば、作品の仕上がりがよくなるのはもちろん、加工するのも楽になるため軽視できない。

 

・節の位置と状態をチェック

節とは、木の枝の跡を表す茶色い円形模様のこと。節は非常に堅く、カットするときに刃が通らなかったり、組み立てるときにビス打ちができなかったりする。節が少ないものを選び、避けながら木取りするのが基本。また、節の状態も確認しておこう。生き節(周りの繊維とかみ合った節)は問題ないが、死に節(凹凸やヒビがあったり、周囲が黒かったりする節)はすっぽりと抜け落ちることがある。幅広の材にはとくに表れやすい。

とくに木端にある節は見逃しやすく、写真のように欠けやすいので避けるのがベター

 

・反りやねじれをチェック

SPFは早く成長する針葉樹ということもあって、反りやねじれが出やすい。曲がったものをそのまま木取りして使うと寸法が狂ったり、収まらない原因となるので、1本1本確認してなるべく真っすぐなものを買うようにしよう。

 

反りやねじれは木材と目線を合わせ、木口側から見てチェックする

 

・仕上がりにこだわるなら木目の向きを気にしよう

木材は丸太からの取り方によって、大きく柾目板(まさめいた)と板目板のふたつに分けられる。さらに丸太の樹皮側を木表、中心側を木裏と呼び、これらは材の木口を見れば判別できる。とくに板目板は収縮すると木表側に反る性質があるので、家具作りなどでは木目の向きは重要だ。たとえば箱ものは木裏を外側、引き出しは木表を外側にして作るのが一般的。テーブルの天板は基本的にはきれいなほうの木表を表面に使うことが多いが、木目の好みなど場合によっては木裏を表面に出して使ってもいい。

 

 

成功の秘訣4 木取りの仕方を覚える

資材を購入したら、いよいよ必要な分だけ部材を切り出す「木取り」を行なう。一見簡単に見えるこの作業も、注意しておきたいポイントがいくつかある。とくに忘れがちなのは、材を切断するときに使うノコギリや丸ノコの刃の厚みを計算に入れること。たとえば「長さ1830mm材を半分にカットしたら、ちょうど915mm!」ということにはならない。なので、あらかじめ長さに余裕を持って設計しておくのが大切。

 

・必要寸法の長い材から先に取る

1本の材から複数の材を取りたいときは、まずサイズの長いほうから取るのが基本。短いものから取っていくと、最後に長い材が取れなくなってしまった……という事故を防げる。

このポイントを守れば、用意する資材の数や、最後に出る端材を減らせるメリットも

 

・カットに使う刃の厚みも考慮する

カットするために使う刃には数ミリの厚みがある。この厚みを考慮しながら余裕を持たせて設計していないと、木取りの際に足りない部分が生まれ、最終的にサイズの狂った作品ができあがってしまうこともあり得る。材はあとからカットしたり削ったりして減らすことはできても、増やすのは非常に難しく手間もかかるので注意したい。

刃の種類にもよるが丸ノコなら2mm前後が一般的。また、薄い刃のノコギリにもごくわずかな厚みが存在するので要注意

暮らしに合わせた開き方を選べ! 収納扉作りの極意【7】引き違い戸(アクリル板)編

収納家具を作るうえで重要なポイントになるのが扉の固定方法。設置場所の環境、用途に合わせて最適な扉を取りつけるのが、快適な収納空間を実現するセオリーだ。ここではシーンに合わせた7つの扉の製作方法を紹介。空間にベストマッチする金具選びと扉の納め方を学ぼう。

写真◎福島章公

堀口”Good”丈夫(グッジョブ) Takeo Horiguchi

東京都世田谷にある木工専門シェア工房「みんなの木工房DIY好き。(だいすき)」主宰。各種工具の使い方から製図の方法までを指導するDIYアドバイザー。https://www.diysuki.com/

見せる収納でおしゃれな空間を演出 引き違い戸(アクリル板)

透明なアクリル板を使った中身の見える扉作り。飾った物を外から愛でることのできるコレクションケースに最適だ。施工は上下のレールを両面テープで張り、カットしたアクリル板を張るだけと想像以上にイージー。開口部の大きさ、レールの溝の深さから戸(アクリル板)の大きさを計算しよう。ビギナーにもオススメな扉のひとつだ。

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作例では幅553×奥行300×高さ361㎜のボックスを製作

アクリル板をトリマーで彫り込んで引き手とした

【使用する資材と金物】
ラジアタパイン集成材(厚さ15×幅300×長さ1800mm)2枚、ガラス戸レール(3mm/長さ1000mm/上部と下部)それぞれ1本、アクリル板(270×320×厚さ3mm)2枚、ビス(32mm)適宜

【使用する道具】
丸ノコ、ドライバードリル、トリマー(10mm径ストレートビット)、ストレートガイド、金ノコ、サシガネ、メジャー、両面テープ(幅10mm)

【木取り表】*背板はなし
336×273mm 2枚 板戸
300×523mm 2枚 天板・底板
300×360mm 2枚 側板

【引き違い戸(アクリル板)の製作手順】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

暮らしに合わせた開き方を選べ! 収納扉作りの極意【6】引き違い戸(板戸)編

収納家具を作るうえで重要なポイントになるのが扉の固定方法。設置場所の環境、用途に合わせて最適な扉を取りつけるのが、快適な収納空間を実現するセオリーだ。ここではシーンに合わせた7つの扉の製作方法を紹介。空間にベストマッチする金具選びと扉の納め方を学ぼう。

写真◎福島章公/イラスト◎丸山孝広

堀口”Good”丈夫(グッジョブ) Takeo Horiguchi

東京都世田谷にある木工専門シェア工房「みんなの木工房DIY好き。(だいすき)」主宰。各種工具の使い方から製図の方法までを指導するDIYアドバイザー。https://www.diysuki.com/

省スペースな扉の代表格 引き違い戸(板戸)

収納家具の扉の定番のひとつでもある引き違い戸。そのメリットは開き戸のように開閉のためのスペースがいらず、左右両方から開けられること。また開けたままの状態でキープできるので、食器棚などにぴったりだ。一方、デメリットは戸が片側ずつしか開かないので、間口が小さく、戸が前後に重なるぶん有効奥行が狭くなる。戸を上手に入れるには、溝の深さ、戸の大きさ、すき間の細かい設計がポイントとなる。

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作例では幅553×奥行300×高さ361mmのボックスを製作

 

【使用する資材と金物】
ラジアタパイン集成材(厚さ15×幅300×長さ1820mm/長さ910mm)それぞれ1枚、ステンチリ返し引き手(90mm)1セット

【使用する道具】
丸ノコ、ドライバードリル(プラスビット1番/2番、6mm径ドリルビット)、トリマー(10mm径ストレートビット)、ストレートガイド、サシガネ、メジャー

【引き違い戸の側面図】*単位はmm *金具は省略

【木取り表】*背板はなし
336×273mm 2枚 板戸
300×523mm 2枚 天板・底板
300×360mm 2枚 側板

【引き違い戸(板戸)の製作手順】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

暮らしに合わせた開き方を選べ! 収納扉作りの極意【5】上開きドア編

収納家具を作るうえで重要なポイントになるのが扉の固定方法。設置場所の環境、用途に合わせて最適な扉を取りつけるのが、快適な収納空間を実現するセオリーだ。ここではシーンに合わせた7つの扉の製作方法を紹介。空間にベストマッチする金具選びと扉の納め方を学ぼう。

写真◎福島章公

堀口”Good”丈夫(グッジョブ) Takeo Horiguchi

東京都世田谷にある木工専門シェア工房「みんなの木工房DIY好き。(だいすき)」主宰。各種工具の使い方から製図の方法までを指導するDIYアドバイザー。https://www.diysuki.com/

 

頭上の収納家具にコレ!上開きドア

下から上に向かって開閉する構造上、目線より上の高さの収納にぴったりの扉だ。キッチン吊戸棚はもちろん、冷蔵庫の上のデッドスペースのように、縦に短く横に長いスペースにも向いている。デメリットは高い場所に取りつけることが多いので、開閉動作がやや煩わしく、環境によっては照明や火災報知器などに干渉してしまうケースも。上手に取り入れて、快適な収納環境を実現したい。下開きドア同様、扉の大きさ、重さで、ステーを左右2個使う場合もある。

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下開きドア同様、任意の位置でドアを保持できるフリーストップステーを採用

 

作例では幅430×奥行300×高さ400mmのボックスを製作

【使用する資材と金物】
ラジアタパイン集成材(厚さ18×幅400×長さ1820mm)1枚、フリーストップステー(上開き用)1個、スライド蝶番(105度開き/19㎜かぶせ)本体と座金それぞれ1組、木製取っ手、ビス(32mm)適宜

【使用する道具】
丸ノコ、ドライバードリル(プラスビット1番/2番、4mm径ドリルビット)、ボール盤(35mm径フォスナービット)、キリ、サシガネ、メジャー

【木取り表】*背板はなし
400×430mm 1枚 扉
300×400mm 2枚 天板・底板
300×400mm 2枚 側板

【上開きドアの製作手順】

暮らしに合わせた開き方を選べ! 収納扉作りの極意【4】下開きドア編

収納家具を作るうえで重要なポイントになるのが扉の固定方法。設置場所の環境、用途に合わせて最適な扉を取りつけるのが、快適な収納空間を実現するセオリーだ。ここではシーンに合わせた7つの扉の製作方法を紹介。空間にベストマッチする金具選びと扉の納め方を学ぼう。

写真◎福島章公

堀口”Good”丈夫(グッジョブ) Takeo Horiguchi

東京都世田谷にある木工専門シェア工房「みんなの木工房DIY好き。(だいすき)」主宰。各種工具の使い方から製図の方法までを指導するDIYアドバイザー。https://www.diysuki.com/

 

扉を水平に保持して棚板に下開きドア

ステーとドロップ蝶番を組み合わせることで、下側を支点に開いた扉が水平な位置で保持され、そのまま棚板として使うことができる。収納とデスクを兼ねるライティングビューローなどに見られるが、大型キャビネットの一部に採用するなど、アイデア次第で強い味方になる。ステーはフリーストップステーを採用。トルクの調整ができるので、いきなりバタン!と開くことを防ぐことができる。扉の大きさ、重さで、ステーを左右2個使う場合もある。

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作例では幅430×奥行300×高さ400mmのボックスを製作

 

フリーストップステーは六角レンチでトルクの調整が可能。任意の位置で扉を保持できる

 

【使用する木材と金物】
ラジアタパイン集成材(厚さ18×幅400×長さ1820mm)1枚、フリーストップステー(下開き用)1個、ドロップ蝶番(48mm)1組、マグネットキャッチ1個、木製つまみ(30mm)1個、ビス(32mm)適宜

【使用する道具】
丸ノコ、ドライバードリル(プラスビット1番/2番)、ボール盤(30mm径フォスナービット)、キリ、サシガネ、メジャー

【木取り表】*背板はなし
400×430mm 1枚 扉
300×400mm 2枚 天板・底板
300×400mm 2枚 側板

【下開きドアの製作手順】

暮らしに合わせた開き方を選べ! 収納扉作りの極意【3】耐震ドア編

収納家具を作るうえで重要なポイントになるのが扉の固定方法。設置場所の環境、用途に合わせて最適な扉を取りつけるのが、快適な収納空間を実現するセオリーだ。ここではシーンに合わせた7つの扉の製作方法を紹介。空間にベストマッチする金具選びと扉の納め方を学ぼう。

写真◎福島章公/イラスト◎丸山孝広

堀口”Good”丈夫(グッジョブ) Takeo Horiguchi

東京都世田谷にある木工専門シェア工房「みんなの木工房DIY好き。(だいすき)」主宰。各種工具の使い方から製図の方法までを指導するDIYアドバイザー。https://www.diysuki.com/

 

セーフラッチでドアをロック「耐震ドア」

プッシュボタンとスライドラッチを組み合わせたセーフラッチで、ドアを閉めた状態でロック。地震の揺れでもドアが勝手に開かないので、頭上に設置した収納棚や食器棚にぴったりな扉だ。プッシュボタンを押しながら扉を引けばオープン。なお、使用したセーフラッチはスガツネのSL-211。製品により固定方法や適応板厚など違うので注意してほしい。

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プッシュボタンを押している間のみロックが解除される仕組み

 

【使用する木材と金物】

ラジアタパイン集成材(厚さ18×幅400×長さ1820mm)1枚、セーフラッチ1個、蝶番(38mm)1セット、木製取っ手(64mm)1個、ビス(32mm)適宜

【使用する道具】

丸ノコ、ドライバードリル(プラスビット1番/2番、4mm径ドリルビット)、ボール盤(15mm径/26mm径フォスナービット)、T型ボックスレンチ、キリ、サシガネ、メジャー

【木取り表】*背板はなし

400×430mm 1枚 扉
300×394mm 2枚 天板・底板
300×400mm 2枚 側板

【セーフラッチの取りつけ側面図】*単位はmm

 

【耐震ドアの製作手順】

暮らしに合わせた開き方を選べ! 収納扉作りの極意【2】プッシュドア編

収納家具を作るうえで重要なポイントになるのが扉の固定方法。設置場所の環境、用途に合わせて最適な扉を取りつけるのが、快適な収納空間を実現するセオリーだ。ここではシーンに合わせた7つの扉の製作方法を紹介。空間にベストマッチする金具選びと扉の納め方を学ぼう。

写真◎福島章公

堀口丈夫 Takeo Horiguchi

東京都世田谷にある木工専門シェア工房「みんなの木工房 D I Y 好き。(だいすき)」主宰。各種工具の使い方から製図の方法までを指導するDIYアドバイザー。https://www.diysuki.com/

 

ワンタッチで扉が開く

プッシュドア

プッシュドアは取っ手がいらないので見た目がスッキリ! 軽く押したら開く操作性の高さも魅力だ。簡単に開閉できるので、システムキッチンのキャビネットドアにも採用されることが多い。一方、押し出すバネの力が決まっているため、扉が重かったりする場合は不向き。インセットの扉向きの固定方法となる。

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作例では幅430×奥行300×高さ400mmのボックスを製作。扉を押せばラッチのバネが飛び出し、扉が開く仕組み

 

【使用する木材と金物】
ラジアタパイン集成材(厚さ18×幅400×長さ1820mm)1枚、プッシュラッチ(マグネット式)1個、蝶番(38mm)1セット、ビス(32mm)適宜

 

【使用する道具】
丸ノコ、ドライバードリル(プラスビット1番/2番)、キリ、サシガネ、メジャー

 

【木取り表】*背板はなし
370×400mm 1枚 扉
300×394mm 2枚 天板・底板
300×400mm 2枚 側板

 

【プッシュドアの製作手順】

暮らしに合わせた開き方を選べ! 収納扉作りの極意【1】フラップドア編

収納家具を作るうえで重要なポイントになるのが扉の固定方法。設置場所の環境、用途に合わせて最適な扉を取りつけるのが、快適な収納空間を実現するセオリーだ。ここではシーンに合わせた7つの扉の製作方法を紹介。空間にベストマッチする金具選びと扉の納め方を学ぼう。

写真◎福島章公/イラスト◎丸山孝広

堀口丈夫 Takeo Horiguchi

東京都世田谷にある木工専門シェア工房「みんなの木工房 D I Y 好き。(だいすき)」主宰。各種工具の使い方から製図の方法までを指導するDIYアドバイザー。https://www.diysuki.com/

 

扉が内部に収納できる

フラップドア

収納家具本体に扉をスライドさせて収納することのできるフラップ扉。作例では取っ手とキャッチをつけて箱の中に収めたが、図書館のラックのように扉の下端を伸ばし、棚板をつければディスプレイラックにもなる。好きな雑誌の最新号が出るたびにディスプレイ棚に置き換える作業は室内の小さな模様替えにもなる。

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作例では幅430×奥行300×高さ330mmのボックスを製作

【使用する木材と金物】
ラジアタパイン集成材(厚さ15×幅300×長さ1820mm/長さ910mm)それぞれ1枚、木ダボ(6㎜径×長さ30mm)4本、木製取っ手(64㎜)1本、マグネットキャッチ1個、ビス(32mm)適宜

 

【使用する道具】
丸ノコ、ドライバードリル(プラスビット1番/2番、6㎜径ドリルビット)、トリマー(1/4インチストレートビット/丸面ビット)、ストレートガイド、キリ、サシガネ、メジャー、木工用接着剤

 

【フラップドアの側面図】※単位はmm

 

【木取り表】*背板はなし
297×298mm 1枚 扉
300×400mm 2枚 天板・底板
300×330mm 2枚 側板

 

【フラップドアの製作手順】