“自前ハイレゾ”はじめました――スタジオにオリンパスLS-P4を持ち込めばプロレベルのクオリティで録れる!

ICレコーダーの用途は、会議や商談の録音などといったビジネスシーンだけのものではない。高音質なハイレゾフォーマットで録音できるオリンパスのリニアPCMレコーダーLSーP4なら、趣味の音楽活動にも活用できる。試用してその実力をチェックした!

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高音質録音だけでなく編集の多機能ぶりにも驚き

日本の楽器演奏人口は500万人以上いると言われている。せっかくなら演奏を高音質で録って残したいし、上達にも生かしたい。そう考える人も少なくない。とはいえ、レコーディングなどというと予算も手間もかかり、趣味で気軽に行うにはハードルが高い……。そんな悩めるミュージシャンにオススメなのがLSーP4だ。

 

ハイレゾフォーマットによる高音質録音もさることながら、本機の特徴は編集における多機能ぶり。既存の音楽データにオリジナルの演奏や歌を重ね録りできる「オーバーダビング」や、入力が小さいときにPCレスで適正音量に変換できる「ノーマライズ機能」などには、プロミュージシャンも舌を巻くほどだ。コンパクトなICレコーダーで、手軽にプロ品質の“自前ハイレゾ”をはじめよう。

 

 

【バンドマンがLS-P4を使って実感!】

原音さながらのフラットな良音でノイズも少ないのがスゴすぎです!

LS-P4の性能を、メジャーデビュー経験もあるミュージシャンが実際に使用して体感。本機の音質と使い勝手について、マニアックな視点も交えながらリアルに語ってくれた!

 

【使った人】

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雑誌編集者・高橋真之介さん
2000年にtokyo-mirai名義でメジャーデビュー。バンド解散後に編集者へ転身も、自宅にスタジオを設置するなど音楽活動は継続

 

【使えるPoint 01】

3つの高性能マイクで立体的な音が録れる!

20180220実99_C↑カバーで隠れているが、2基のマイクのセンターに低域用の無指向性マイクを1基搭載する。オフにすることも可能

 

指向性を変えられるため楽器に合わせて録音可能

ステレオ感を際立たせる90°設計のマイク2基のセンターに、低域に強い無指向性マイクを搭載するシステム「TRESMIC」を採用。この内蔵マイク使用時で20Hz~20kHzの広帯域をカバーする。「マイクは指向性を変えられるため、ボーカルや楽器に合わせて録音できるのが素晴らしいです」(高橋さん)

 

 

【使えるPoint 02】

FLAC96kHz/24bitのハイレゾ音源で録れる!

20180220実99_D↑録音する形式や、サンプリング周波数/量子化ビット数を設定可能。ハイレゾからMP3フォーマットまで対応する

 

フラットかつ低ノイズな音でそのままサンプリングにも!

最大96kHz/24bitのFLAC形式で録音可能。CD音質を超えるハイレゾ音源ながらコンパクトなサイズとなるため、長時間のレコーディングに対応する。「音が良すぎて怖いほど。原音さながらの音で録れて、ノイズも少ないです。生ドラムのサンプリングなどもそのままで使えそう」(高橋さん)

 

 

【使えるPoint 03】

PCに接続しなくても本体のみで編集できる!

携帯用とは思えないほどの高度な編集機能を搭載

20180220実99_E↑リニアPCMレコーダーとして初めて「フェードイン・フェードアウト」機能を搭載。曲と曲との間を自然につなげる

 

音源データをPCに移さなくても、本体内で編集できるのもメリット。通常なら専用ソフトを必要とするような高度な編集にも対応する。「『オーバーダビング』は、使いこなせればハンパなく素晴らしい。携帯用レコーダーに『ノーマライズ』を搭載するのも驚きました」(高橋さん)

 

高橋さんの結論

音質・機能性・携帯性が高くミュージシャンの強い味方に!

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下手なオーディオインターフェースをかませるよりも、LS-P4だけで良い音が録れることにビックリしました。このままでDAW(※1)に入れても十分なクオリティ。編集機能は多彩で携帯性も高いので、ミュージシャンにとっては本当に“使える”相棒になりますよ!

 

※1:Digital Audio Workstationの略。コンピュータを使用する音楽制作ソフトウェアで、デジタルの音源データを自在に編集できる

 

 

高音質&多機能なLS-P4は用途が多彩!こんなシュミレコも楽しめる!

LS-P4は楽器演奏の録音だけでなく、様々な趣味のレコーディング(=シュミレコ)にも高音質で対応。機能をフル活用して満喫しよう。

 

①語学学習

シーンをセレクトして最適な録音ができる!

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シーンを選んで最適な録音設定に。「講義」ならズームマイク機能が働いて話者の声を捉える。

 

繰り返し聴くことで正しい発音を身に付ける

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外国語のリスニングやスピーキングをマスターするには、反復練習が欠かせない。ネイティブ講師の声を録音して繰り返し聴くことで、正しい発音が身に付くはずだ。

 

②音鉄

イヤなウインドノイズも効果的にカット

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屋外では風の騒音は意外に気になるもの。ウインドシールド WJ2(※2)で効果的に低減しよう。
※2:別売品。希望小売価格5118円

 

発車メロディや走行音など様々な楽しみ方がある

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鉄道ファンのなかでも、各種の「音」を収録して楽しむ層を指す音鉄。発車メロディや車内・ホームのアナウンス、踏切の音や列車の走行音など、様々な楽しみ方がある。

 

【製品情報】

オリンパス
リニアPCMレコーダー
LS-P4
オープン価格(実売価格2万1600円前後/オリンパス オンラインショップ参考)

 

高音質のままファイルサイズをコンパクトにできるFLAC形式に対応し、最大96kHz/24bitのハイレゾ録音が行えるICレコーダー。独自の3マイクシステムで広範囲の周波数特性をカバーする。Bluetooth対応デバイスとの無線接続も可能。

 

SPEC●記録形式:リニアPCM、FLAC、MP3●内蔵メモリー:8GB(microSDカードスロット1基搭載)●電源:単4形乾電池1本またはオリンパス製ニッケル水素充電池1本●サイズ/質量:W39.6×H108.9×D14.4mm/75g(電池含む)

20180220_実98_B↑USB端子を搭載し、PCにそのまま接続して音声データを移動できる。使用しないときは本体内に格納しておける

20180220実98_C↑電池の脇にmicroSDカードスロットを1基備える。メモリーを最大で32GB拡張できるため、高音質録音時も安心だ

20180220実98_D↑片手に収まるほどのコンパクトサイズ。バッグやポケットに入れていつでも気軽に持ち歩けるので、使い勝手が良い

 

 

撮影:高原マサキ(TK.c)

 

【リニアPCMレコーダーLS-P4について詳しくはコチラ】

https://olympus-imaging.jp/product/audio/lsp4/

ICレコーダーは用途に応じて選ぶ時代! 一芸に秀でた個性派モデル3選

ビジネスシーンや日常生活での録音需要の増加に伴い、汎用的なICレコーダーのほかにも、様々な用途に応じた個性的なモデルが次々登場しています。前回は、ビジネス用途に適したスティック型ICレコーダーを紹介しましたが、今回は一芸に秀でた「個性派ICレコーダー」3機種を紹介します。

 

今回も、デジタル製品に詳しいライターのナックル末吉さんが、ユーザーに合った製品の選び方を解説します。

20171030-i04 (2)↑ナックル末吉さんがひとつずつ実際に使ってチェック

 

【紹介する機種】

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ソニー
ICD-TX800
実売価格2万円前後

付属のリモコンを使い、遠隔操作で録音できる小型ICレコーダー。スマホアプリ「REC Remote」や本体でも録音の開始や停止操作が可能なので、シーンに応じて3通りの操作を使い分けることができます。

●内蔵メモリ:16GB ●録音時間(最大):<ステレオ>PCM 44.1kHz/約21時間35分、MP3 192kbps/約159時間、MP3 128kbps/約238時間、<モノラル>MP3 48kbps/約636時間 ●電源:内蔵バッテリー ●録音/再生時間(ステレオ/MP3 128kbps):約15時間/約12時間 ●サイズ/質量:(本体)W38×H38×D13.7mm/22g、(リモコン)W38×H38×D10.8mm/15g(いずれも充電池を含む)

 

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タスカム
DR-10L
実売価格2万4000円前後

ピンマイクから直接録音できる小型レコーダー。ポケットなどに本体を入れておけば目立たず身につけられ、イベントや舞台、動画収録、講義、セミナーといった様々なシーンで音声を録音できます。

●内蔵メモリ:非搭載(32GBまでのマイクロSDHCカードを使用)  ●電源:単4形電池 ●連続動作時間(アルカリ乾電池使用時):約10時間 ●サイズ/質量:W52×H55.6×D24.4mm/63g(電池を含む)

 

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サンコー
スマホすぐレコイヤホン
実売価格4980円

スマホのイヤホンジャックに接続するだけで、アプリを使わずボタンひとつで通話の録音ができるICレコーダー。512MBのメモリを内蔵しているので、本体に約16時間分の音声を記録できます。

●内蔵メモリ:512MB ●録音時間(最大):約16時間 ●電源:内蔵バッテリー ●連続動作時間:約5時間 ●サイズ/質量:W20×H1310×D22mm/24g(充電池を含む)

 

①目的に応じた製品を選ぼう

今回紹介する3機種は、いずれも独自の機能を備えた個性派モデル。まずは、どのような用途に向いた機種なのかチェックしましょう。

 

ソニー/ICD-TX800

↑遠隔操作ができる専用リモコンが付属↑遠隔操作ができる専用リモコンが付属

 

「TX800の特徴は、付属のリモコンやスマホアプリで遠隔操作ができる点。本体もICレコーダーには見えないデザインなので、相手に威圧感を与えずさりげなく録音することができます。こっそり録音したい人にもオススメです」(ナックル)

 

タスカム/DR-10L

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「このDR-10Lは、放送業界などで使われるピンマイク&レシーバーをレコーダーにしたもの。動画を撮る際に、カメラ内蔵のマイクやカメラ取り付け型マイクで音声を録ると、喋る人とカメラとの距離によって音量が変わったり、周囲の雑音まで拾ってしまったりしてしまいます。そういうときはこのDR-10Lで音声を別撮りしてあとから映像に入れれば、クリアで安定した音声の動画にすることができます。YouTuberを目指す人にもオススメ!」(ナックル)

 

サンコー/スマホすぐレコイヤホン

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「こちらはスマホ通話の録音に特化したレコーダー。アプリ不要で、ワンボタンで録音を開始できるので、通話中に録音したいと思ったらすばやく録音をスタートできます。特に、iPhoneは標準のボイスレコーダーアプリでは通話音声を録音できないので、iPhoneユーザーにオススメです」(ナックル)

 

②使い勝手をチェック

続いて、実機を使いながら操作性や使い勝手を確認しました。

 

ソニー/ICD-TX800

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「録音時には本体の画面とランプの点灯で知らせてくれますが、“さりげなく録音”というテーマのせいか控え目なので、特にリモコンから遠隔操作した場合はちゃんと録音できているか確認しづらいですね。大事な場面などでミスできないときは、録音レベルをリアルタイムで表示してくれるスマホアプリを使うといいでしょう」(ナックル)

 

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「気になったのが、音声をモニタリングするのが結構面倒なこと。本体は小型化を優先したのかイヤホンジャックやスピーカーを備えておらず、録音した音声を聴くためには本体のマイクロUSBポートに付属の変換アダプターを接続し、そこにイヤホンをつながなければなりません。せめてスマホアプリで音声を再生できれば、変換アダプターを持ち歩かなくて済むので、そこは次のモデルで改善してほしいですね」(ナックル)

 

タスカム/DR-10L

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「プロの世界でも使われるタスカムブランドの製品だけに、ボタン配置などはとてもシンプル。取扱い説明書を読まなくてもすぐに使えます。一方で、高いレベルと低いレベルで同時に撮れる『デュアルレコーディング機能』や、入力音量にあわせて録音レベルを自動で調節する『オートゲインコントロール機能』など、細かい設定も可能。初心者から上級者まで対応しています」(ナックル)

 

20171030-i04 (10)↑ピンマイクはシャツの襟もとなどに装着します。ケーブルをシャツの下に通せば、ほとんど目立ちません

 

サンコー/スマホすぐレコイヤホン

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「ボタンは、録音開始/停止、着信応答、ファイル送り、ファイル戻しの4つだけなので、誰でも簡単に使えます。アプリを立ち上げる必要がないので、電話中にイヤホンを挿して会話の途中から録音することも可能。PCに録音データを出力できるので、トラブル時の証拠として残しておくこともできます」(ナックル)

 

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「一般的なマイク付きイヤホンのように、音楽を聴いたりハンズフリー通話したりすることもできます」(ナックル)

 

③気になる音質は?

ICレコーダーを利用する上で必ずチェックしておきたいのが、録音した音声の音質とファイル形式です。一般的なICレコーダーでは、録音時のファイル形式を「リニアPCM」と「MP3」の2種類から選ぶことができます。リニアPCMは非圧縮形式で音質が良い反面、ファイルデータが大きくなり、録音できる時間も短くなります。MP3は圧縮形式でデータサイズを小さくできますが、音質はリニアPCMに比べて劣ります。両方選択できるのか、片方のみ対応しているのかチェックしておきましょう。

 

ソニー/ICD-TX800:PCM、MP3対応

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「音声をマイク内部でダイレクトにデジタル化する『高性能デジタルマイク』に加え、録音環境に応じて最適なマイク感度に自動で設定する『おまかせボイス』などの機能を有しており、小型の本体からは想像できないほどクリアな音声を録音できます。また、ポケット、会議、講演、ボイスメモ、インタビューなどのシーンを選択すれば、より明瞭で聴き取りやすい音質に。ファイル形式はリニアPCMとMP3から選択できます」(ナックル)

 

タスカム/DR-10L:PCM対応

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「44.1kHz/48kHz、16/24ビットでのリニアPCM録音(モノラル)で音質は非常にクリア。ピンマイクが話者の声だけをしっかり拾ってくれるので、雑音の多い環境でも安心して使えます。また、デフォルトで録音レベルの異なる2つのファイルを記録してくれる『デュアルレコーディング機能』で、録音レベルの設定ミスによる失敗もありません」(ナックル)

 

サンコー/スマホすぐレコイヤホン:MP3対応

「録音音質の設定はできないものの、通話記録という目的を考えればそのクオリティは十分。ハンズフリー通話も違和感なく行えます。ファイルの形式はMP3のみ」(ナックル)

 

【総評】

「いずれも個性派モデルですが、ソニー『ICD-TX800』は色々な場面で使える万能な1台なので、ICレコーダー初心者にもオススメ。また、遠隔操作に対応するモデルはあまりないので、離れた場所から操作する必要があるなら要チェックですね。タスカムの『DR-10L』は、プロ仕様の本格派ですが、利用シーンはやや限定的。自分の用途に合うか、見極めが必要です。サンコー『スマホすぐレコイヤホン』は、とにかく簡単で手軽なのがウリ。一般的なICレコーダーのような汎用性はありませんが、通話の録音に特化したアイテムなので、目的に合致すれば便利に使えます」(ナックル)

 

どういったシーンで録音するのか、まずは使用用途を考えて、そこから最適な1台を探してみて下さい。