11月5日放送の「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日系)に、映画「シン・ゴジラ」の音楽プロデューサー・北原京子が登場。制作時の裏話を語り話題になっている。
出典画像:「シン・ゴジラ」公式サイトより
庵野監督のこだわりに制作スタッフが困惑?
同番組で「シン・ゴジラ」の劇中音楽が話題になった場面。北原は「大変な作品でした…」と当時を振り返った。
まず彼女は、監督を務めた庵野秀明が企画の段階から、伊福部昭の“ゴジラのテーマ”を使いたがっていたことを告白。しかし当初は楽曲の“カバー”を使おうとしていたのだが、新録をしても伊福部の手法を上回ることが出来ないという問題に直面してしまう。そこで、「旧音楽をどう現代の音響で生かすか」という方向に路線を変更。結果的に“ゴジラのテーマ”の音源をそのまま使うことになった。
そして次に語ったのは、作中に「新世紀エヴァンゲリオン」の楽曲を使うことになった経緯。北原曰く、映画の現場では監督のイメージを共有するために、既存の音楽を試写用のテープ“ラッシュ”に添付することは良くあることだという。そのため彼女はラッシュに添付されていた楽曲を見た時に、あくまで“イメージ”として捉えていたそうだ。
しかし監督の意向は斜め上を行くもので、庵野は「ママ使いたい」と宣言。これには制作スタッフも「それなりにザワザワした」とのこと。ところが出来上がった「シン・ゴジラ」は日本映画史上まれに見る大ヒットを記録。北原も番組で「庵野さんが仕掛けたことが全て成功に繋がっている」「ものすごいセンスの方ですよ」と、若干破天荒な監督を称賛した。
知られざる「シン・ゴジラ」の裏側に視聴者は「ゴジラ映画でエヴァの楽曲を使うのは勇気が必要だっただろうなぁ…」「庵野さんやっぱり面白すぎる!」「やっぱりエヴァ曲の使用にはそれなりにザワザワしたんだ」と興味津々な様子。また「庵野作品のプロデューサーって大変そうだな…」との声も上がった。
なぜ「エヴァ」の楽曲が使われたのか
これまでも何かと「新世紀エヴァンゲリオン」と比較されてきた「シン・ゴジラ」。映画放映当時も、「エヴァ」リアルタイム世代からは「シン・ゴジラとの闘いが使徒との闘いを彷彿とさせる」「BGMもそうだけど、ストーリーもどこかエヴァっぽい」と声が。また、今年には「シン・ゴジラ対エヴァンゲリオン交響楽」というオーケストラコンサートも行われた。
しかしなぜ、庵野は「エヴァ」の楽曲を使うという発想に至ったのか。「エヴァ」「シン・ゴジラ」両方の楽曲を担当した作曲家・鷺巣詩郎は、「シネマトゥデイ」のインタビューに「名人の定石」と答えている。どうやら、ファンの反響を見越した庵野の決断だったようで、鷺巣は「名人の打つ手というのは、打った本人にしか確固たる理由はわかりません。そして何より、その一手で皆が痛快に感じること。それに尽きるんです。悪手と言われる手でも、状況次第では良い手に化ける。今回は、最高の一手だと思います」とも語っていた。
見れば見る程新しい発見がある「シン・ゴジラ」。何十回も見てる人も多いだろうが、次は楽曲に注目して鑑賞してみても面白いかもしれない。