編集部が体当たりで実践!七輪で陶芸/火を愉しむDIY

窯なんかいらない!七輪があれば陶芸はできる! それも粘土をこねはじめてから焼き上がるまで、なんと1日!
でもって、できあがりはジューブンにホンカク的。ホンマですか?と疑う人がいれば、ぜひこのページを見てください。棟梁脇野がしっかりと証明してくれる……はず!?

 

自分で焼いたという実感がいいのだ

数年前、陶芸教室に通ったことがある。結果からいうと、つまらなくなって途中でやめた。なぜか。自分で焼けない(焼成できない)からだ。生徒たちは、好きな形に粘土を成形するだけ。あとに続く素焼きや本焼きはみ〜んな先生がやってくれる。ある日、「これがアンタの作品」といってできあがった作品を見せられ、かかった費用の請求書がまわってくる。どうも自分で作ったという実感がない。陶芸が火の芸術であるなら、そのクライマックスシーンに立ち会いたいじゃないですか。

そこで、七輪陶芸である。家庭にある七輪で立派に陶芸ができるらしい。もちろん、火加減、焼き加減を見ながら自分で焼成する。失敗も多い。でも、誰でもできるし、手軽だし、なによりも始めから終わりまで、ぜんぶ自分でやるというのがいい。聞けば、焼いている時間が愉しいらしい。自分で成形した作品がどんなふうになるのかは火まかせだから、誰もわからない。それをわくわくしながら待つ時間。正しい待ち方は酒を飲みながら…というのも気に入った。まるでジャズの即興ライブを聴きながらバーボンを飲んでるみたい。まるで落語のオチを待ちながら、熱燗を飲ってるみたい。そんなわけで、大人がやる冬の野遊びとしては絶対におすすめですね、これは…。

もうひとつおまけに、その日にできちゃうというのがすごい。大ざっぱにいうと、陶芸の手順は、粘土の成形→乾燥→素焼き→冷却→釉がけ→本焼きというふうになるわけで、あたりまえにやったら、乾燥に1週間とか、冷却に半日とか、本焼きにひと晩とか、とにかく時間がかる。これをなんと1日で終わらせちゃう! 実はこれ、『ドゥーパ!』創刊の頃に、著名な陶芸家、吉田明氏から教わったやり方なんだけど、今回はこれを実践してみたい。ちなみに、成功率は50%くらい。でもいいじゃない。ハードルは少し高いほうが面白いはずだから。

今回用意した信楽と瀬戸の粘土。3キロ、500円程度で買えるよ

 

炭は、マレーシア産マングローブを使ったBBQ用を用意。これが一番いいとか

 

[用意した材料]
粘土、細かい砂(ここでは珪砂)、釉薬、ヤマト糊、炭 *ホントは、どこかで粘土採取からやればいいのだが、今回は専門店で買った陶芸用の粘土(陶土)。釉薬も陶芸専門店や陶芸.comなどで購入

[用意した道具]
七輪、餅網、鍋(ここではダッチオーブン)、一斗缶を浅くカットして底を抜いたもの、ドライヤー、ガスバーナー、火バサミ、釉薬を入れる容器、へら、刷毛etc.

 

手順1・粘土で形を作る
とにかく好きな形。オンリーワンを目指そうぜい!

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

手順2・乾燥
ホントは自然乾燥が一番だが、時間がないので強制乾燥!

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手順3・余熱&素焼き
七輪登場!急激な温度変化は超危険!十分に余熱をしてから、徐々に温度を上げていこう

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手順4・釉掛け&本焼き
スリリングな時間がやってきた!酒でも飲りながら、火の神のご沙汰を待とう!

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日本酒をさらにおいしく飲むために手びねりで「マイぐい呑み」を作ろう!

私は日本酒が好きなので、お猪口や、ぐい呑みをいくつか集めています。骨董品店やフリーマーケットで気に入ったものをみつけて、買いあさってしまうこともしばしば。そんなとき、近所のスーパーで見つけた陶芸教室の貼り紙が気になってしまいました。

 

そうだ、自分で作った器を使ってお酒を飲んだら、どんなにおいしいだろう! 妄想がどんどん膨らんできます。

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初心者でもチャレンジできる陶芸

とはいえ、私は生まれつき不器用ですから、陶芸なんて一回もやったことがありません。私でもチャレンジできるのでしょうか。少し不安な気持ちで手にしたのが、陶芸の入門書『基礎からわかる はじめての陶芸』(学研パブリッシング・編/学研プラス・刊)です。

 

本書には、誰でもマスターできる陶芸のいろはやテクニックが満載です。“ぐい呑み”の作り方ももちろん載っています。なにやら、初心者でも気軽に作れるそうなので、最初の一作におすすめの器のようです。

 

 

ロクロなしでもできる、手びねりのススメ

陶芸はぐるぐる回るロクロという器械に粘土をのせて、作るイメージがあります。テレビの旅番組で芸能人が回すのに失敗して、いびつな器を作っている、あれです。なんだか扱うのが難しそう。

 

けれども、ご安心あれ! ロクロなしでも作品は作れるのです。

 

その手法が“手びねり”という技法です。指先や手のひらを使って粘土の形を整えるため、形は少しいびつになるかもしれませんが、それはむしろ“味”というもの。ぎこちなさがあふれる器も手作りの陶芸ならではの魅力といえるでしょう。

 

 

玉作りをマスターしてから成型へ!

手びねりの器づくりは、まず、粘土を玉形に丸める作業からはじまります。これを“玉作り”といいます。粘土を両手でキャッチボールをするように丸めて、きれいな球形に丸めていくのですが、なんだか子どものころの粘土遊びのようで、楽しくなります。

 

続いて、玉作りを終えた粘土を器状に成型します。このときのポイントは、厚みをなるべく均一にすること。そして、指の腹やなめし皮などを使って、丁寧に縁をならしていきます。器の縁は舌が触れる部分なので、なめらかに仕上げたいですね。

 

最後に高台をきれいに削って、完成です。なんだ、意外に簡単にできそうです!

 

 

自分が気に入る器を作ろう

本書を読んで、苦手かもと感じていた陶芸が身近に感じられました。無理にきれいに作ろうとしなくてもいいのです。そして、他人が見て美しいと思う器より、自分がいかに気に入る器を作るかが重要といえます。そんな器なら愛着もわきますし、使って楽しめるのではないでしょうか。

 

私が求めているのはもちろん、晩酌がおいしくなる器です。極上の一杯のために、さっそく陶芸教室の門をたたいてみることにします!

 

 

【著書紹介】

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基礎からわかる はじめての陶芸

著者:学研パブリッシング(編)
出版社:学研プラス

手びねりやロクロでの成形から、釉薬の使い方や絵付け、焼成まで、陶芸のイロハを豊富な写真やイラストで解説した入門書。初心者が陥りやすい失敗例や上手な解決方法といったノウハウの他に、窯元や釉薬など役立つデータも満載する。陶芸ビギナー必携の一冊。

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