スズキのクーペSUVから、トヨタの新型クラウンまで!プロがヒットを確信する4台

2025年に流行するモノは何か、専門家が大断言する「GetNavi NEXTトレンド」。今回取り上げるのはクルマ部門。2025年ヒット確実の4台を紹介する。

スタイリッシュなデザインに4WDの走破性も好評!

スズキ
フロンクス
254万1000円〜282万7000円

 

グローバル展開するモデルが日本向け仕様になって上陸!

SUVらしい力強さとクーペの流麗なフォルムを融合した「クーペスタイルSUV」。世界70か国で販売されているグローバルモデルだが、日本仕様には悪路や雪道の走行を想定した4WDも用意される。10月末には受注台数が1万台を突破した。

 

SPEC【2WD】●全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm ●車両重量:1070kg ●パワーユニット:1460cc直列4気筒DOHC ●最高出力:101PS/6000rpm ●最大トルク:135Nm/4400rpm ●WLTCモード燃費:19.0km/L

 

 

↑流麗なクーペスタイルに存在感のあるフロントマスクや独特のボディラインによる力強さを演出した足回りが印象的。最小回転半径は4.8mと市街地でも扱いやすいサイズだ。

 

↑コンパクトなボディながら、レイアウトの工夫やホイールベースを長くすることで後席も足元が広く、快適に過ごせる。

 

↑ブラック×ボルドーの配色となる内装は日本仕様専用。安全運転支援装備も充実しており、ヘッドアップディスプレイも備えている。

 

↑5名乗車時でも最大210Lの容量を確保するラゲッジルーム。取り外し可能なラゲッジボードを活用してアレンジもできる。

 

↑K15C型エンジンとマイルドハイブリッド、6速オートマチックを組み合わせる。力強くスムーズ、スポーティな走りを実現する。

 

【ヒット確定の根拠】コンパクトでも存在感は大! 4WDも選べる

「印象的な顔とクーペのようなフォルムによりコンパクトでも存在感が十分。装備が非常に充実していて走りもしっかりしています。それでいてお買い得な価格を実現しているのはさすがスズキです。海外にはない4WDが日本では選べます」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

<コレも注目!>待望のスイスポが間もなくデビュー?

※写真は通常のスイフト

 

スズキ
スイフトスポーツ
価格未定

 

スイフトのコンパクトで軽い車体に強力なエンジンを積んで足まわりを強化した高性能版は、歴代モデルも低価格で楽しいクルマとしてもてはやされてきた。ベース車の登場から約1年、まもなく新型が登場する見込みだ。

↑機能的にまとめられたスイフトスポーツ(現行モデル)のインパネまわり。マニュアルトランスミッションが登場するかも注目だ。

 

クラウン4タイプの“最後の砦”はついに2025年発売!?

トヨタ
クラウン(エステート)
価格未定(2025年発売予定)

 

度々の発売延期を経てワゴン(エステート)スタイルが登場!

2022年に新しいクラウンシリーズが発表されてから2年経った現在、4タイプの最後の砦として発売が待たれるエステート。後席の背もたれを倒せばフルフラットなデッキが現れ、機能的なSUVとして使えるのがウリとなっている。

 

SPEC(開発目標値) ●全長×全幅×全高:4930×1880×1620mm

 

↑後席を倒した際に若干の傾斜は生じるが、凹凸のないフルフラットな空間が出現。後席の足元空間を埋める拡張ボードも設置することが可能だ。

 

【ヒット確定の根拠】高級な内外装と使い勝手に優れるトランクが武器

「現行クラウンシリーズの第4弾は、車体後部のトランク(荷室)がポイント。使い勝手に優れる広々としたトランクは並のSUVとは一線を画します。高級感のある内外装もクラウンならでは。完成度の高いPHEVもラインアップされます」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

日本での登場が待たれる正統派AWD

※写真は北米仕様


SUBARU

フォレスター
価格未定

 

高い燃費効率を誇る「ストロングハイブリッド」採用!?

2023年のロサンゼルスモーターショーで世界初公開となり、北米で販売中の新型フォレスター。現行型よりもシャープなデザインとなり、同社のクロストレックで採用した「ストロングハイブリッド」も搭載される見込みだ。

 

SPEC【Tuoring(米国仕様】●全長×全幅×全高:4656×1828×1730mm ●車両重量:1662kg ●パワーユニット:2.5L水平対向4気筒DOHC ●最高出力:180PS/5800rpm ●最大トルク:178lb-ft/3700rpm ●WLTCモード燃費:非公表

 

↑「ストロングハイブリッド」は状況に応じて動力源であるエンジンとモーターを効率よく使い分ける新世代のハイブリッド方式だ。

 

【ヒット確定の根拠】スバルならではのこだわりに満ちた定番モデルの新型

「スバルならではの水平対向エンジン×シンメトリカルAWDや、このスクエアなフォルムがいいという大勢のファンが新型の登場を待っています。秋に発表された待望のストロングハイブリッドもラインナップに加わる見込みです」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

輸入車販売台数No.1モデルはEVも加わり盤石!


BMW

MINI COOPER E(3ドア)
463万円〜531万円

 

約10年ぶりの全面改良でBEV(電気自動車)も追加

2023年の国内輸入車販売台数No.1に輝くMINI COOPERが約10年ぶりにモデルチェンジして4代目に進化。ガソリンモデルのほかBEV(電気自動車)も登場し、より幅広いラインナップから選べる。5ドアモデルも登場した。

 

SPEC【クーパー SE(3ドア)】●全長×全幅×全高:3855×1755×1460mm ●車両重量:1640kg ●パワーユニット:モーター×1 ●最高出力:218PS/7000rpm ●最大トルク:33.7kg-m/1000〜4500rpm ●一充電走行距離:446km

 

↑SUVタイプの「MINI Countryman」も同時にモデルチェンジ。ガソリンモデルのほかクリーンディーゼル、そしてBEVも選べる。

 

【ヒット確定の根拠】10年ぶりのモデルチェンジ!よりシンプルかつモダンに

「もともと日本でも大人気のMINIですが、新型はMINIらしさを継承しながらもガラリと雰囲気が変わり、とことんシンプルになりました。しかも中身は最新の装備が満載されていて、100%BEV版がついに設定されたのもポイントです」(モータージャーナリスト・岡本幸一郎さん)

 

モータージャーナリスト:岡本幸一郎さん
26台の愛車を乗り継ぎ、軽から高級車まで幅広く網羅。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。

 

※「GetNavi」2025月2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。

「上り坂では速度がどこまでも伸びて…」ヒョンデのスポーツBEV「アイオニック 5 N」で箱根を走る楽しさ再発見!

韓国の自動車メーカー、ヒョンデ(現代)自動車が、日本市場において最初のバッテリーEV(BEV・バッテリーに蓄えた電気のみで走行する電気自動車)専用車として提供しているのが「IONIQ(アイオニック)5」です。このモデルは、2022年に日本の乗用車市場へ再参入(かつて2001-10年に日本で展開していた)するにあたり、その主力車種として投入されました。そして、今回の試乗レポートとしてお届けする「IONIQ 5 N」は、それをベースにスポーツモデルの頂点に立つモデルで、Nブランド初のBEVともなります。

◾今回紹介するクルマ

ヒョンデ/IONIQ 5 N

858万円(税込)〜

 

走りの楽しさを実感させるハイパフォーマンスぶりを発揮

「BEVって走るのがこんなに楽しいんだ!」これがヒョンデ・アイオニック5 Nで箱根の峠道を走った正直な感想です。もともとアイオニック5はシャープな操舵感とトルクフルな走りが魅力のBEVとして、日本だけでなく欧州でも高く評価されてきました。そのアイオニック5の走りを徹底的にチューンナップし、走りの楽しさを実感させるスポーツモデルとして誕生したのがアイオニック5 Nなのです。

↑「アイオニック5 N」はヒョンデのサブブランド「N」初の電気自動車としてデビューした。ボディカラーは10色から選べる

 

この“N”の由来は、ヒョンデの開発拠点があるソウル郊外のナムヨンと、足回りを鍛えるためにテストを繰り返したニュルブルクリンクの頭文字を取ったもの。このロゴマークをよく見ると二重に表現されていますが、それはこの二か所を表したものなのだそうです。

↑「N」の位置づけは、ベースモデルの上にその入門用として「N Line」があり、そこからモータースポーツに一歩近づいた位置にある

 

それだけに、アイオニック5 N は単にパワーの強化だけでなく様々な先進デバイスを加えることで、まさに新時代のスポーツカーと呼べるだけのパフォーマンスを発揮するモデルとして誕生しています。

↑フルLEDヘッドランプ(プロジェクションタイプ)。ヒョンデらしいパラメトリックピクセルで独自性を主張

 

↑ヘッドランプと共通の方眼型テールランプを備え、その存在感は抜群に高い

 

そのパワーユニットは前後に2基搭載され、フロントモーターの最高出力は175kW(238PS)/最大トルクが370Nmで、リアモーターは最高出力が303kW(412PS)/最大トルクが400Nmとなっています。中でも注目なのは「N Grin Boost(NGB)」と呼ばれるブースト機能で、10秒間の制限付きではあるものの、システムトータル最高出力は478kW(650PS)、最大トルクは770Nm。最高速度は260km/h、0-100km/h加速は3.4秒というスポーツカー並みの性能を発揮します。

↑ボンネットを開くとインバータをはじめ、フロントモーターが配置されているのがわかる

 

このパワーの源泉となる駆動用リチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度を高めたヒョンデとしては第4世代となる最新バージョンで、その容量は84.0kWhの大容量。そのため、これだけのハイパフォーマンスを発揮しながらも、一充電走行距離は561kmを達成しているのはうれしいですね。

 

内外装共にハイパフォーマンスモデルにふさわしい装備を満載

サスペンションは、フロントがストラットで、リアはマルチリンクの足まわりにホイールGセンサーと6軸ジャイロセンサーを組み合わせた大容量の可変ダンパーを搭載。リアには電子制御式LSDも装備しています。また、ボディそのものもこのパフォーマンスに耐えられるよう、スポット溶接を42か所増やし、接着剤の使用範囲を広げて剛性を大幅にアップ。それらを受け止めるタイヤには、電動車の大トルクにも耐えられるよう専用開発したピレリ「P ZERO ELECT」の275/35ZR21を組み合わせています。

↑タイヤには電動車の大トルクにも耐えられる専用開発のピレリ「P ZERO ELECT」の275/35ZR21を組み合わせた

 

エクステリアにも「N」ならではオリジナルな仕様が施されました。空力性能を向上するためにエアカーテンとアクティブエアフラップ付きの専用バンパーを採用し、スポークからのぞく赤色のブレーキキャリパーやボディ下部のオレンジ色のストライプからは、否応なく高性能ぶりが感じられます。なお、ボディ寸法はベース車と基本的に同じですが、専用エアロパーツによって少しだけ長くなっています。

 

運転席に座ると、ダッシュボードにはN専用グラフィック付き12.3インチカラーLCDメーターをはじめ、ヒーテッド機能付き本革ステアリングホイール、メタルペダルなどインテリアにもN専用品が数多く採用されていることがわかります。シートもヘッドレスト一体型のアルカンターラ+本革仕様のN専用タイプで、サポート性が高く手触り感も上々。また、ステアリングホイールやドアトリム、アームレストなどはパフォーマンスブルーアクセントが施されるほか、Nエンブレムウェルカムライトも搭載されていました。

 

橋折りを楽しませる多彩なドライブモードと疑似エンジン音

ここからはいよいよアイオニック5 Nの走りを体験となりますが、それをより楽しむためにはステアリングホイールに用意された4つのボタンを使いこなすことがポイントとなります。なにせ、これを使いこなせばBEVを活かした多彩なドライブモードとオーバーブースト機能を設定でき、これらは任意にプリセットも可能となるのです。

↑ステアリングには、「N Grin Boost」起動ボタン(右上)、ドライブモードセレクト(左上)、Nボタン(下側左右)が備わる

 

↑ドライブモードの切り替え方法の解説図。右下の“N”ボタンを押すところから「N e-Shift」が起動する

 

具体的には駆動用モーターの反応のほか、ステアリングの重さやダンパーの硬さを調整でき、電動LSDの効き具合までも任意に設定が可能。しかもこれらを好みの状態にプリセットしておけば、ドライバーは容易に走りを楽しめるようになるというわけです。ただ、これらはじっくりとその効果を試したうえで使いこなすべきもの。正直言えば、今回の限られた時間の試乗枠ではその効果を自在に使いこなせるまではいきませんでした。

 

その中でも、誰でもすぐに使いこなせるのが「Nペダル」です。いわば“ワンペダルドライブ”ともいえるもので、N専用回生ブレーキによって最大減速力0.6Gを実現。これにより、アクセル操作だけで素早い重心移動が可能となり、ほとんどの場合でブレーキを踏むことなくコーナーへの進入ができます。まさに電動車ならではのメリットを実感できるでしょう。

 

それと、走りをさらに楽しい気分にさせてくれるのが、電子合成音で再生される“エンジン音”です。このモードではBEVにもかかわらず、あたかもエンジン車に乗っているかのような疑似音を伴って走行することができます。しかも変速機能を有効にすれば、変速ショックまでリアルに再現するので、同乗者なら間違いなくエンジン車に乗っていると勘違いしてしまうでしょう。選べるモードは3つ。この中にはジェット機のようなサウンドも含まれ、個人的には楽しく体験することができました。

 

スポーツカー並みの性能を発揮しながら乗り心地も上々!

こうしたパフォーマンスを念頭にアクセルを踏むと、2210kgという車重にもかかわらず車体は軽やかに前へと踏み出します。BEVならではのスムーズな加速はまさに淀みなくトルクが湧き出てくる感じで、どの速度域からアクセルを踏み込んでもその俊敏さには圧倒されっぱなし。特に箱根ターンパイクの最初の上り坂では強大なトルクにより速度がどこまでも伸びていってくれそうな、そんな印象を持つほどでした。

↑アイオニック 5 N。個性的なリアビューが印象的だ

 

コーナリングの入り方も実に気持ちがいい。ステアリングはクイックながら電動パワーステアリングの操舵力は一定で、どんなコーナーでも軽く滑らかにコントロールすることが可能。Nペダルによってブレーキを踏むことはほとんどないから、コーナーの通過もスムーズそのものです。ここに疑似エンジン音を加えると、峠道を走る楽しさは倍増! 箱根の峠道を走る楽しさを改めて呼び起こす思いでした。

 

こんなハイパフォーマンスなアイオニック5 Nですが、一般道を走行すれば硬めではあるものの、電子制御可変ダンパーが巧みに効果を発揮して、乗り心地はむしろベースモデルよりも良いのではないかと思えるほど。広々とした車内はルーミーで明るく、それでいて5人が乗っても480L を確保したカーゴルームは積載量も十分。561kmの航続距離とも相まって、普段使いにも十分対応できるクルマに仕上がっているといえるでしょう。

↑トランク容量は5人乗車時で480Lと十分だが、ベース車の520Lよりも狭くなっている

 

このBEVならではの走りの楽しさを満喫できるアイオニック5 Nの価格は858万円〜。ベース車よりも300万円近くアップすることになりますが、それが妥当かどうかは、まずは試乗してから判断すべきだと思います。もちろん、走りだけを捉えればベース車でも満足してしまうかもしれません。しかし、“N”の圧倒的なパフォーマンスを体感すれば後戻りできなくなるのは確実。ベース車レベルのコスパの高さをとるべきか、アイオニック5 Nの圧倒的な走りの楽しさをとるべきか……。個人的には「悩ましいモデルが登場してくれたなぁ」とマジで思った次第です。

 

SPEC●全長×全幅×全高:4715×1940×1625mm●車両重量:2210kg●パワーユニット:交流同期電動機●最高出力:(フロント)175kW/4600〜1万rpm(リヤ)303kW/7400〜1万400rpm●最大トルク:(フロント)370Nm/0〜4000rpm(リヤ)400Nm/0〜7200rpm⚫一充電走行距離(WLTCモード):561km

 

撮影/宮越孝政

 

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日本に定着したハイブリッド車、世界的な再評価へ!「政策頼み」で根付かない「EVの最新事情」が見えてきた

今、自動車業界が「100年の一度の大変革期」にあるということは、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。そのきっかけとなったのは2016年にドイツ・ダイムラーのディーター・ツェッチェCEO(当時)が、その変革を「CASE(ケース)」の4文字で表現したことに始まります。

 

これは「C=Connected」「A=Autonomous」「S=Shared&Service」「E=Electric」という4つの重要キーワードの頭文字を取った造語で、クルマの使い方や在り方が変わるだけでなく、価値やサービス、産業構造までもが変化していくという考え方に基づきます。つまり、そのうちの「E」に該当する電気自動車(BEV)が走行中にCO2を含む排気ガスを出さず環境面で変化をもたらすとして、世界中で注目されているのです。

 

そのBEVが近年で急速に販売台数を伸ばし始めたのは2020年頃から。ハイブリッド車(HEV)が半数以上を占める日本では、BEVが広く普及していると感じにくいかもしれませんが、海外に目を向ければその状況は大きく違っているのです。

 

世界各国の電気自動車の普及率

では、世界のPHEV(ハイブリッド車に外部からのバッテリー充電機能を追加したクルマ)を含む電気自動車の普及率はどのぐらい進んでいるのでしょうか。EV用充電インフラを手掛ける「ENECHANGE(エネチェンジ)」が国際エネルギー機関(IEA)のデータをもとに公表した「【2024最新版】世界の電気自動車(EV)の動向」から、その動向を紐解いていきましょう。

 

それによると、世界の電気自動車の普及率は、新車販売台数に占める電気自動車(PHEVを含む)の比率として、2023年時点で18%となりました。特に2020年以降の伸び率が大きく、2020年4.2%、2021年9%、2022年14%、2023年18%と一貫して上昇を続けている状況にあります。

 

このレポートでは、世界各国の電気自動車(PHEVを含む)の2023年末での普及率も公表されています。

 

もっとも普及率が高い国はノルウェーで93%、次いでアイスランド71%、スウェーデン60%、フィンランド54%、デンマーク46%、ベルギー41%と北欧を中心としたヨーロッパ諸国が上位を占めており、ヨーロッパ全体で見ると21%の普及率となっているそうです。つまり、ヨーロッパでは5台に1台が電気自動車となっていることがわかります。

 

一方、ヨーロッパ以外での普及率が高いのは中国で38%。次いでイスラエルが19%、ニュージーランドが14%と続きます。ちなみに世界最大の自動車市場を持つアメリカは9.5%で、お隣の韓国では7.9%、日本はそれよりもさらに低い3.6%にとどまりました。

 

各地域の電気自動車の詳細

次に電気自動車の販売台数と保有台数を実数で見てみましょう。

 

ここでトップに立つのが中国です。2023年に世界で販売された電気自動車は約1400万台ですが、このうち中国が60%で810万台、ヨーロッパが25%で約330万台、アメリカは10%で約139万台がそれぞれ販売されました。

 

また、電気自動車は世界ですでに約4000万台が保有されていますが、このうち中国では約2190万台を保有。世界の電気自動車のうち半分以上が中国に存在していることになります。それに続くヨーロッパは28%の1120万台を、アメリカは12%の480万台を保有し、この2か国1地域で世界全体の95%近くを占めていることになるわけです。

↑タイに進出した中国のメーカーBYD。タイではBEV産業振興政策「EV3.0」に基づき、1台当たり7万~15万バーツ(約32万~約68万円、1バーツ=約4.5円)の補助金が支給された。しかし、これを利用する場合、その翌年に販売した台数を現地生産することが義務化され、これがタイでの過剰生産を生み出した

 

ちなみに日本はといえば、2023年の電気自動車の販売台数は約14万台で世界のちょうど1%。保有台数は約54万台で、世界の1%強にとどまっています。

 

各地域の電気自動車の詳細

ここからは、電気自動車の普及が著しい各地域の詳細を見ていくことにします。

 

まず中国です。中国政府は新車販売における新エネルギー車(NEV)の割合を2027年までに45%まで引き上げることを目標としています。もともとは25年までに20%以上としていましたが、早々にこの目標を達成してしまったためにこの目標値が23年に引き上げられたのです。その結果、その割合は30年までに40%以上、35年までに50%以上にまで引き上げる目標が設定されています。

 

ただ、この目標を達成できるかは否かはわからない状況です。というのも、目標達成のために2010年から続けられてきた電気自動車の購入補助金を22年末に完全終了したからです。折しも不動産不況による景気悪化の影響も受け、新車販売が鈍化。そのため、中国のEVメーカーは過剰生産状態となり、周辺国やヨーロッパなどへの輸出に力を入れている状況にあります。

↑中国・深圳での光景。グリーンのナンバープレート車がNEV(New Energy Vehicle)。この写真だけでも3割程度がNEVであることがわかる

 

ヨーロッパはどうでしょうか。欧州連合は2035年までに合成燃料(e-fuel)車を除いて、ガソリンやディーゼルを使う内燃機関搭載車の新車販売を禁止する方針を掲げています。つまり、電気自動車シフトを積極的に推進してきたわけですが、2024年1月~9月の累計で見ると新車販売におけるEV(BEV)のシェアは約14%の約143万台にとどまり、前年比で普及率・販売台数で減少する結果となりました。

 

その要因は2020年以降、ヨーロッパ全体で実施されてきたEV購入支援策の厳格化や打ち切りが相次いで実施されたことが理由です。こうした支援策の変更で販売台数が鈍化するあたりは、EV市場そのものが根付いていないことの証しなのかもしれません。

 

一方でアメリカは意外にも電気自動車の販売が好調です。2022年末時点でのEV新車販売台数比率は、BEVとPHEVを含めて約8%。前年比では1.7倍の伸びとなり、販売台数では約36万台も増えました。見逃せないのがBEVの大幅な増加で、47万台から80万台へと急増。さらに23年になると第一四半期には約8.6%にまで上昇し、それは前年同期比で45.4%の増加となり、BEVだけに絞っても48%増加しているのです。(データ:国際エネルギー機関)

 

ただ、これが今後も続くかは不透明です。アメリカでもこれまで電気自動車に対する税額控除がありましたが、それにも関わらず2024年に入ってその伸びが鈍化しているからです。一方でこの優遇策を廃止することを示唆していたトランプ次期政権でしたが、テスラ社のイーロン・マスク氏の支援を受けたことで、この考えは留保している状況にあります。HEVの販売が伸びている状況もあり、今後、これがどう展開していくのか目が離せない状況にあるといえるでしょう。

 

最後に日本です。日本自動車販売協会連合会によれば、2020年の電気自動車の新車販売比率は0.6%(約1.5万台)だったのに対し、21年は0.9%(約2.1万台)、22年は1.4%(約3.2万台)となり、23年には1.7%(約4.4万台)にまで上昇。さらに欧米などでEVとしてカウントされるPHEVやFCEV(燃料電池車)を含めると、2023年には3.6%(約9.7万台)となり、電動車の新車販売比率は日本でも着実に上がってきています。

 

なかでも日本のEV販売比率向上に大きく貢献したのが軽EVである日産「サクラ」や三菱「ekクロスEV」です。全国軽自動車協会連合会の資料によれば、2023年の販売台数は軽自動車全体の2.2%(約4.4万台)となり、電動車の普及底上げに大きく貢献したといえるでしょう。また、中国のBYDや韓国のヒョンデがBEVで日本市場に参入したことも刺激になったはずです。

↑日産「サクラ」

 

↑三菱「ekクロスEV」

 

しかし、2024年に入ると日本でも販売台数はマイナスに転じます。2024年11月時点でEVとPHEVを合わせた新車販売比率は2.98%で、前年同月の3.21%から減少していたのです。2026年以降にトヨタやレクサスがEVの投入計画を明らかにしていることから、それが販売増につながる期待もありますが、新車が出なければ途端に販売台数が急減する状況は、ハイブリッド車(HEV)の使い勝手の良さを知り尽くした日本ならではの背景があるといえるのかもしれません。

 

肝心な充電インフラの状況はどうなのか?

電気自動車の使い勝手を高める上で重要なのが充電インフラです。エネチェンジによれば、2023年時点で世界の公共EV充電器は390万台で、もっとも多いのが中国、続いてヨーロッパ、アメリカの順となります。特に中国は普通充電器が150万台、急速充電器が120万台設置されているという充実ぶりです。実際、中国に行くとショッピングセンターなどちょっとした施設にも充電設備が充実しており、高速道路のSAなどでも待つことなく充電できるようでした。

↑充電設備が充実した中国・深圳市内のショッピングモール

 

↑中国・深圳で高速道路のSA。ここだけでも5台の急速充電器が稼働していた

 

この状況に大きく後れを取っているのが日本です。2023年時点でその数は普通充電器で2万2000台、急速充電器に至っては9600台しかありません。日本政府は2030年までに公共用の急速充電器3万口を含む30万口の充電インフラを整備することを目指していますが、待ち時間なしで充電するにはこれでも決して十分とはいえないでしょう。

↑日本のスーパーに設置されていた出力90kWの高出力型急速充電器。日本でも徐々に身近な場所でのインフラが整い始めた

 

↑常磐道・友部SAでの急速充電器。6台が整備されていた

 

とはいえ、自動車の電動化への流れは決して止まることはないと思います。現時点でこそ、まだバッテリーの充電に要する時間が負担となっていますが、近い将来、こうした問題も解決されていく方向にあるのは間違いないからです。バッテリーの充電時間が短縮されたら電気自動車の使い勝手は大幅に高まり、小さなバッテリーであっても充電を繰り返す負担も減少してロングドライブもしやすくなるでしょう。それは電気自動車をより身近にできる大きな一歩となるはずです。

 

こういった状況から、すぐに電気動車の使い勝手を高めることが難しいのは事実です。そこで、エンジン車から電気自動車への橋渡し役として位置付けられるのが、日本で普及が進んで圧倒的シェアを持つハイブリッド車(HEV)なのです。【世界のHEV販売台数は約553万台で、新車販売の33.2%。それに対し、日本のHEV販売台数は146万台で、軽自動車を除く新車販売の55.1%。(※2023年時点)】

 

HEVは、エンジンと小さいバッテリーを上手に組み合わせることで、充電が不要な自動車としての使い勝手の良さと環境負荷を可能な限り低くできることを最大の特徴としています。まさにHEVはそうしたバランスの良さを最大限に発揮できるパワーユニットといえるでしょう。

 

このHEVのメリットはグローバルでも徐々に理解されてきているようで、当初はHEVをNEVから対象外としていた中国でさえも今では低燃費車として認定しているほど。欧米でもハイブリッドのメリットが再認識されるようになり、好調な販売を続けていると伝えられています。こうした状況を踏まえると、HEVはもう少し先まで活躍すると考えるのが妥当ではないでしょうか。

 

 

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3000kmのデスロードを太陽光だけで疾走! 世界最高峰のソーラーカー耐久レースで世界一奪還を誓うチームの秘策とは?

ブリヂストンがタイトルスポンサーを務める「2023 Bridgestone World Solar Challenge(以下、BWSC)」は、オーストラリアのダーウィンからアデレードまでの約3000キロの道のりを、太陽光のみで走行する世界最高峰のソーラーカーレース。

 

2021年は新型コロナウイルスの流行により中止されましたが、今年4年ぶりに復活します。2023年10月22日から5日間をかけて競われるBWSCは、全世界20以上の国と地域から43チームが参加し、日本からも大学や高校など複数がエントリーしています。とくに2009、2011年と連覇経験のある東海大学は、人気・実力ともにトップクラス! 世界一を期待されているチームのひとつです。

【関連記事】大クラッシュから逆転優勝! 東海大学ソーラーカーチームが世界的な強豪であり続ける理由 |@Living

 

今回は、レースを前に先日、東京都小平市にあるBridgestone Innovation Parkで開催された「Bridgestone Solar Car Summit 2023」の様子を紹介。東海大学の新型マシン「2023年型Tokai Challenger」のお披露目と試走会の様子から、チームやサポートするブリヂストンが4年ぶりのBWSCへかける意気込みまでをレポートします。

 

ソーラーカーの進化は「タイヤ」にあり!?

↑ブリヂストンは新技術によって生まれた再生資源・再生可能資源比率63%の新タイヤをモータースポーツに初めて供給する

 

BWSCは、1987年に第1回大会が開催された世界で最も歴史があるソーラーカーレース。2013年からブリヂストンがタイトルスポンサーを務めています。大会期間中は、毎朝8時~夕方17時までオーストラリアの公道を太陽の力だけで走行。砂漠の中を走るため、風や激しい気温変化に対応しながら、チーム一丸となってゴールを目指します。

 

1996年から東海大学ソーラーカーチームに所属する東海大学 木村英樹教授によると「ソーラーカーレースは、ブレインスポーツ。常にベストなコンディションで走行するためには、気象条件の把握やドライバーとのコミュニケーションが必須。チームで戦わないと勝てません。BWSCは、若手エンジニアの育成だけでなく、テクノロジーの共創といった観点からも大変重要な大会です」といいます。

↑東海大学ソーラーカーチームを率いる、同大学工学部機械システム工学科・木村英樹教授

 

またレーシングカーや飛行機などに用いられるカーボンコンポジット技術を開発する東レ・カーボンマジック株式会社の奥明栄氏も「ソーラーカーは、走る実験室。これらの経験や実験が、ものづくりに貢献する」と語り、未来のモビリティ開発との関係性を強く訴えていました。

↑東レ・カーボンマジック株式会社の奥明栄代表取締役社長

 

さらに株式会社ブリヂストン モータースポーツ部門長である堀尾直孝氏は「BWSCは、世界中のハイレベルな技術と人が集結する大会。サステナブルなモータースポーツとして価値あるプラットフォームにしていきたい」と、大会の意義について語ります。

↑株式会社ブリヂストン モータースポーツ部門長の堀尾直孝氏

 

そんなソーラーカーレースの歴史の中で、大きく進化しているのはどこなのでしょうか?

 

木村教授によると、一番の進化はタイヤにあるとのこと。というのも大会の初期には、自転車のタイヤが代用されており、ソーラーカー専用のタイヤは開発されていませんでした。ソーラーカーレースでは、なるべく少ない電力で効率よく走行することが求められます。タイヤが大きく重たいと、タイヤを動かすために必要以上の電力が使われてしまうため、非効率に。しかし軽さにこだわりすぎるとパンクしてしまうリスクが上がります。軽くて摩耗しにくい、そんなタイヤが求められていました。

 

このような背景を踏まえ、タイトルスポンサーであるブリヂストンでは、2013年大会からソーラーカー専用のタイヤ供給を開始。2023年大会では、35チームにタイヤを提供する予定です。

 

↑メディアに初公開された、東海大学ソーラーカーチームの新車「Tokai Challenger」。採用するタイヤには、ブリヂストンの商品設計基盤技術「ENLITEN」を搭載している。左端は工学院大学の濱根洋人教授

 

今大会から使用されているブリヂストンのタイヤは、カスタマイズが可能な「ENLITEN」技術を採用。ソーラーカーで重視される「低転がり抵抗」「耐摩耗性能」「軽量化」に特化したタイヤになりました。さらに再生資源・再生可能資源使用率(MCN比率)も向上し、より環境にやさしいタイヤを実現しています。

 

リサイクル可能な再生材料を利用し、よりサステナブルなソーラーカーを実現

↑「Tokai Challenger」を前に勢ぞろいした東海大学ソーラーカーチームのメンバーたち

 

大きく変わった点は、3つ。まず、四輪から三輪への変更です。こちらはルール変更により、これまで四輪のみ走行可能だったものから、三輪も選択できるようになったとのこと。東海大学では、初の試みとなる三輪(前2輪、後1輪)を選択しました。

 

東海大学の佐川耕平総監督は「最後まで悩んだ部分でしたが、さまざまなシミュレーションを行い、経験値も踏まえつつ空気の絞りが利く三輪を選択しました。大きなチャレンジではありますが、正しい選択だったかはこれからわかること。楽しみですね」と話します。

↑新車で東海大学が採用したのは、新レギュレーションの三輪。後輪が1本で、軽快さが増した

 

2つ目は、軽量化。2023年型は強度・剛性を保ちながら、車体全体重量を24.6kgにまで軽減! これは前回大会の車体から約50%の軽減に値します。軽くなった分、バッテリーやモーターなど駆動に関わる部分の向上にも貢献することができました。

↑軽量化が進んだコンポジットパネル

 

最後は、環境への配慮。これまでリサイクルが難しいとされていた炭素繊維をリサイクル可能な再生材料へと変更しています。

↑リサイクル材からなる炭素繊維

 

走行時、二酸化炭素を排出しないソーラーカーですが、使う素材にまでこだわるのは、BWSCが持続可能なソーラーカーレースに変化しているとも言えますね。

 

コロナ禍の悔しさと走れる喜びを胸に、目指すは世界一奪還!

↑2023年型「Tokai Challenger」

 

今回は新型マシンが披露されただけでなく、実際に走行する様子も見ることができました。快晴の中、滑るように走り抜けるソーラーカーは、太陽の力だけで走行しているとは思えないほどの力強さがありました。

 

BWSCでは、5日間ドライバーを交代しながら時速約90キロで走行し続けます。砂漠の中を走ると聞くと気持ちよさそうに感じてしまいますが、車内にクーラーは搭載されていないため、ドライバーは体力勝負になることも。またコース付近にはホテルがないため、参加者は自分たちでキャンプ地を決め、料理など身の回りのことも全てチーム内で行います。非常に過酷な大会のため、いくら技術があったとしてもチーム力がなくてはゴールを目指せません。

 

今大会でチームリーダーを務める東海大学大学院2年生の宇都一朗さんは、2019年のBWSC経験者。今大会に向けて以下のように話してくれました。

↑東海大学ソーラーカーチームのリーダー、宇都一朗さん。右は佐川耕平総監督

 

「2019年大会は、1位と僅差で負けてしまいました。残念ながらすぐにリベンジとはいかず、悔しさを晴らせないまま卒業していった仲間も多くいます。その仲間のためにも、2011年以来となる首位奪還を目指したいです。この4年間でいろんな経験ができました。たくさんのスポンサーさまにも支えていただきやっと大会に参加できるという嬉しさと、リベンジしたい気持ちを胸に頑張ります」

↑この日は、スポンサーの東レ株式会社、東レ・カーボンマジック株式会社、大和リビング株式会社、株式会社ブリヂストンが参加

 

大学生は4年間という限られた時間の中で、BWSCに挑戦しています。2021年大会が中止になったことで、BWSCに参加できないまま卒業してしまった学生も多くいます。悔しい時期を乗り越え、さらにパワーアップした学生たちを応援しましょう。大会はこの週末から来週にかけて、現地での静的・動的車検などを経て、いよいよ10月22日に北端のダーウィンでレース初日を迎えます。10月29日に南端のゴール地点アデレードで予定されている表彰式では、一番高いところに上れるか? 期待が高まります。

 

かつての「シティ」や「シビック」を彷彿とさせる、ホンダの電気自動車「アーバンEVコンセプト」市販型は2019年に発売か!?

2017年フランクフルトモーターショーで初公開された、ホンダの電気自動車「アーバンEVコンセプト」が2019年にも発売とウワサされている。

 

 

このほど公開された予想CGでは、コンセプトモデルで採用されていた、かつて大人気を博した初代「シティ(1981年発売)」のようなレトロな丸眼ヘッドライトを含め、初代「シビック」をも思い出させるようなフロントマスクが印象的だ。

 

 

 

しかし新開発のEVプラットフォームを採用するスタイルは、「シティ」のような背高ではなくクーペの雰囲気を醸し出すCピラーに特徴をもたせ、フェンダーに切れ込みが入れられたワイド感が強調されている。

 

パワーユニットについての情報はまだないが、国産EVのトップを走る日産「リーフ」同等のパフォーマンスを持ち、航続距離は1回の充電で400km程度になるという。

 

 

 

室内には大型のディスプレイが装備され、人工知能(AI)を用いた「ホンダ・オートメーテッド・ネットワーク・アシスタント」の搭載が予想されている。

 

2030年までには市販車の3分の2以上を電動化する計画をもつホンダにとって、この「アーバンEVコンセプト」はその第一弾となるはずだ。

 

 

 

アウディ x イタルデザイン x エアバスの提案とは?

2018年3月6日、アウディ、イタルデザイン、エアバスの3社は、ジュネーブ・ショーにおいて、道路および空中を移動する完全自動運転の電気自動車コンセプトモデル、「Pop.Up Next(ポップ・アップ・ネクスト)」を展示した。

 

 

 

まだ先の話になるが、このポップ・アップ・ネクストは、人々を乗せて都市の道路と空中をすばやく便利に移動。さまざまな交通問題を解決する可能性を秘めている。

 

インテリアの最大の特徴は49インチのスクリーンで、人と機械のやりとりは、音声および顔認識システム、視線追跡操作システム(アイトラッキング)、タッチ機能によって行なわれる。

 

 

超軽量な2人乗りキャビンは、車両モジュールまたは飛行モジュールのどちらにも取り付けることが可能。アウディは、バッテリーおよび自動運転技術のノウハウで、このプロジェクトを支援している。イタルデザイン社長のDr.ベルント・マルテンスは、次のように述べた。

 

「都市および人々の多様なニーズを考慮した新しいコンセプトを策定する場合には、創造性が必要になります。イタルデザインは、革新的なテクノロジーと先進的なプロトタイプを作成する拠点となっています。ポップ・アップ・ネクストは、将来的に都市における生活を根本的に変える可能性を秘めた野心的なビジョンです」

 

 

イタルデザインは、アウディおよび世界中のユーザーのために未来志向の車両コンセプトを開発している。イタルデザインCEOのヨルグ・アスタロッシュは、次のように述べている。

 

「未来におけるアーバンモビリティのルールは、さまざまなプレーヤーによって定義されていくでしょう。私たちは、航空宇宙産業において世界有数の企業であるエアバスと協力して、未来のモビリティへ向けたソリューションを研究できることを誇りに思っています」

 

 

さらに、アスタロッシュは、ポップ・アップ・ネクストを都市に住む人々に3次元のモビリティへの道を拓く、柔軟性の高いオンデマンド コンセプトであると見なしている。イタルデザインは、都市におけるモビリティの未来をより良く予測するために、都市、大学、様々な関係者のネットワークを活用している。

 

なお、ポップ・アップの最初のバージョンは1年前のジュネーブ・ショーで発表されているが、今回のポップ・アップ・ネクストは、それよりも大幅に軽量化。インテリアのデザインも見直されている。

 

“Pop.Up Next”ウェブサイト
https://www.italdesign.it/geneva2018

 

 

 

デビュー前夜のジャガー Iペイスが寒冷地テストの模様を公開!

ジャガー・ランドローバーは1月31日、ジャガーの新型電気自動車「ジャガーIペイス」を3月1日に発表するとともに、3月6日に開幕するジュネーブショーで公開すると発表。寒冷地でのテスト風景を公開した。

 

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寒冷地テストは、スウェーデンにあるジャガー・ランドローバーのテスト施設。公開されたのはボディにカムフラージュを施したIペイス。-40度という厳しい環境のなか、AWDシステムの仕上がり具合とともに、雪上でパワフルなパフォーマンスが確認された。

 

バッテリーは急速充電にも対応し、最高45分で充電を完了するとのこと。そのほか、車両スペックなどの詳細は3月1日を待つことになるが、ジャガー・ランドローバーは、スポーツカーのパフォーマンスとSUVの実用性を併せ持つというFペイスやEペイス(日本未導入)と同様のキャラクターを、EVで実現したとアピールしている。

 

 

 

 

ガソリンには税金がかかるのに電気にはかからない…これって不公平?

2040年までにエンジンで走る自動車の販売を禁止するというフランスやイギリスの発表がきっかけとなった電動化の流れは、今年も進みそうだ。日本でも新型車の発売やインフラ整備についてのニュースが飛び込んでいる。

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ちなみにこの電動化という言葉には、電気自動車(EV)だけでなくハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も含まれる。つまり今後もガソリンやディーゼル自動車が使う軽油の消費は続くのだが、モーターとの併用で給油の頻度が減ることは容易に想像できる。この状況に不満を寄せているのが石油業界だ。ガソリンや軽油が売れなくなるという危機感もあるだろうが、不公平に感じる部分もあるという。

 

現在ガソリンには揮発油税とその暫定税率、地方税扱いになる地方揮発油税を含めると、合計1リッターあたり53.8円が税金となっている。この原稿を書いている時点でのレギュラーガソリン価格の約4割に相当する。実燃費リッター10キロの乗用車で年間1万キロ走行した場合には、5万円以上もの税金を支払っている勘定になる。

 

これに対し、EVやPHVを走らせる電気、燃料電池車(FCV)が使う水素には税金が掛からない。これを不公平だと言っているようだ。また当然ながら、EVやPHVが普及すれば税収減が不可避になるわけで、国家財政にとっても一大事になるだろう。ガソリン税は多くが道路の建設のために使われる。自動車重量税や自動車税も同じであるが、自動車税については環境性能の悪い大排気量車が割高になるので、環境効果にも寄与している。

 

日本の自動車関連の税金は高いとよく言われる。たしかに税金の種類は多いものの、ガソリン代は米国よりは高いが欧州よりは安い。軽油になるとその差がさらに広がる。また自動車税についても、米国や西欧諸国よりは高いものの、シンガポールのようにトヨタ・プリウスが税金その他で約1500万円に達する国もある。

 

それはともかく、ガソリン税収が減るとなれば、当然ながら道路を作るための予算も減少することになる。しかし今の日本は、これからも数多くの道路を新しく作らなければならない状況ではないはずだ。おまけに人口減少と少子高齢化が進んでおり、ドライバーの数は減ることが予想される。こうした中で、従来と同じ勢いで道路整備を続けていく必要があるのかという疑問が残る。

 

もちろん高度経済成長期に建設された橋やトンネルをはじめ、補修が必要になる道路は多くなるだろう。しかし補修には用地買収などの費用は掛からないはずで、新設道路並みの予算はいらないと考えるのが自然だろう。だから道路整備のための税金は減らして良いと考えるが、地球環境を考えると安易なガソリン価格引き下げには賛同しかねる。欧州などで実践しているように公共交通や自然エネルギー発電所の整備に税金を転用すべきだろう。

 

そしてもうひとつ、燃料に課税するというのは前時代的という感じもしている。現在の多くの自動車は電子制御化が進んでおり、当然ながら走行距離や燃料消費量もカウントすることが可能だからだ。携帯電話は充電時の電気に課金されるわけではなく、通話時間やパケット使用量などを機械が自動的にカウントし、それに応じて課金している。現在の自動車であればこうしたシステムができるはずだ。

 

いずれにしても、道路が税金によって建設されている以上、それをドライバーが税金によって支払うのは当然のこと。なんらかの形でEVやPHV、FCVなどにもエネルギー供給や消費に応じた課税はあってしかるべきだろう。

 

【著者プロフィール】

モビリティジャーナリスト 森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

日産「リーフ」の技術を移植した「軽EV」が2019に登場する!?

順調に行けば2019年にも発売されるという、日産初の軽・電気自動車の情報が入ってきた。開発は日産主導のもと行われ、傘下の三菱へOEM供給されることになるという。

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予想CGによれば外観は三菱「i-MiEV」を彷彿とさせる卵型のシルエットで、フロントにはVモーションの流れを持つワイドグリル、ヘッドライトはEVらしさを感じさせるブルーのLEDやホワイトの透過パネルを装着している。立体感を表現するラインが特徴的なサイドは高級感と上質さをアピールし、中央のアンダー部分を削ったデザインはフロント、リアともにタイヤハウスに迫力を増すのに貢献しており、これまでの軽自動車では見られない斬新なデザインになりそうだ。

 

ボディサイズは全長3440mm、全高1600mm程度と予想されており、最高出力は75ps、航続距離は200kmを新型リーフ搭載のEV技術を移植し、目指すという。

ZFジャパンが自動運転に向けた先端技術を日本初公開

2015年にセンサーや安全技術を得意とする米TRWオートモーティブ社を統合し、グローバルなメガサプライヤーの仲間入りを果たしたZF(ゼットエフ)AGの日本法人となるZFジャパンが、国内の大手自動車メーカー向け試乗会「Vision Zero Days Japan」を初開催。静岡県の富士スピードウェイおよび東名高速道路において、自動料金決済システム「Car eWallet」を組み込んだ電気自動車(EV)のプロトタイプや先端運転支援システム(ADAS)搭載のデモカーを使って同社の最新技術および製品を披露した。

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開発パートナーであるIBM社のブロックチェーン技術を応用した「Car eWallet」は、車両のユーザー情報を安全に維持・管理し、有料道路や駐車場などさまざまな電子決済が可能に。さらにパブリック・クラウドサービス・プラットフォームを活用して、将来的にはカーシェアリング、給油や充電、配達サービスなどの料金支払いを行うネットワークの構築も進める。9月のフランクフルト・モーターショーで世界初公開されたこのプロトタイプ車両は、今回がドイツ国外での初披露目となる。

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運転支援システムを搭載したデモカーは、ZF製カメラとレーダーの検知により、一般的な車間距離の保持や車線維持機能に加え高速道路上における分流(一部自動でのインターチェンジ流出)機能も搭載。ADASおよび自動運転機能に関しては、欧州と中国、アメリカおよび神奈川県横浜市の「ジャパン・テックセンター」が連携して開発を進めており、2018年より自動車メーカーの要望に応じたソリューションを提供していくとのことだ。

トヨタとマツダにデンソーも加わりEV戦略の新会社を設立し、各ブランドにふさわしいEVの開発を進める

資本提携により次世代車の開発や米国での合弁生産など、幅広い提携に踏み切ったトヨタ自動車とマツダが、第1弾ともいえる協業に着手する。その内容は大方の予想どおり電気自動車(EV)の開発・生産に向けたもので、国内サプライヤー最大手のデンソーも参画。3社連合で世界的なEVシフトに対応する構えだ。

欧米メーカーがEV開発に経営資源を集中させる中、3社連合によりEV開発の体制を整え、全方位で次世代車の開発をスピードアップさせるのが狙いだ。

 

3社は共同出資で新会社「EV C.A.Spirit株式会社」を設立。資本金は1000万円と立ち上がりの規模はそう大きくなく、出資率もトヨタが90%、マツダが5%、デンソーが5%とトヨタ主導で、代表取締役にはトヨタ副社長の寺師茂樹氏が就任。本拠は名古屋のミッドランドスクエア内に置かれ、社員は各社から出向するエンジニア主体の40人程度とされている。

 

英国やフランスの政府がEVシフトを宣言し、中国がEV優遇政策を進め、アメリカでもカリフォルニア州がEV比率を高める政策を打ち出しているが、一方でいまだ世界におけるEVの販売比率は1%以下に過ぎない。とはいえ、今後EVの販売台数が増えていくのは確実で、今から手を売っておかないと競争に出遅れる可能性は高い。今回の3社連合もそうした将来を見据えたもので、お互いの開発技術や生産技術を出し合いながら、エンジニア同士の交流を図っておこうというものだ。

 

また、現時点では3社の協業ながら、他のメーカーやサプライヤーの参画も可能なオープンな体制を目指しており、トヨタの子会社のダイハツはもちろん、資本系列のあるスバルが加わってくる可能性は高い。当面は互いに出資した「EV C.A.Spirit」がEVに関する技術開発を手がけ、そこにトヨタとマツダが開発委託をする形となるが、同社がノウハウを蓄積しながら他メーカーの委託を受けるという形も考えられる。

 

機構が比較的単純なEVは、家電のような画一化に陥る恐れがあるとされており、それを防いで付加価値を持続するにも、それぞれのメーカーが持つ見識やセンスは欠かせない。独自にEVブランドを立ち上げている欧州メーカーに対し、トヨタ、マツダ連合がどんな具体策を出してくるのか!? 次の動きに期待したい。