話しかけるだけで色々な操作をしてくれる音声アシスタントスピーカー。Google Homeの日本語版も販売が開始され、Amazonも「Echo」を年内には日本へと投入予定ですが、日本でも普及するのかどうか――。ガジェット通の皆さんは期待を持って注目しているのではないでしょうか。
アメリカではGoogleとAmazonが競争を繰り広げ、少しずつ機能やデザインの異なるアシスタント・デバイスを次々に発表しています。そんななかで長い間、音声アシスタントを提供しながらも、なかなか話題に登らないのがMicrosoftの音声アシスタント「Cortana」です。
そこで、MicrosoftがHarman Kardonと共同開発したのが、音声アシスタントスピーカーの「Invoke」です。Cortanaが搭載されて価格は約2万2800円。ライバルに大きく遅れた形ですが、AppleのHome Pod(約4万円。未発売)やGoogle Home Max(約4万5000円。未発売)よりも安い価格設定で、果たしてここから追い上げることができるのか。10月末に販売が開始されると、すぐに海外テックメディアが取り上げました。
パッと見は初代Amazon Echoのようなタワー型のスピーカー。360度に音を広げる構造で、ウーファーが3つ、ツイーターも3つ、パッシブラジエーター2つを搭載し、低音も高音もパワフルに提供してくれるとのこと。早速のレビューを展開している海外メディアも「音質はAmazon EchoやGoogle Homeに比べるとかなり良い」と高評価です。
GoogleもGoogle Home Maxでハイエンドスピーカーとしての性能を備えたバージョンを展開する一方、Amazon Echoも最新式は2.5インチウーファー、0.6インチツイーターを搭載してきています。各社が「スピーカーとしてもちゃんと使えるよ」という点をプロダクトの強みとして出してきていますが、Invokeもオーディオ機器ブランドのHarman Kardonと共同開発されると決まったときには、多くのユーザーが音質に期待しました。
機能面は物足りないけど、音質の良いものが欲しければ買う価値ありそう
しかし、ただ音質が良いだけでは後発のアシスタントスピーカーとしては物足りません。実際のアシスタントとしての使い心地が気になるところです。
AmazonのAlexaやGoogle Homeと比べて一番大きい違いは音声認識の精度のようです。TIMEやArstechnicaといった大手メディアはレビュー記事で「Google Homeが自然な言葉の認識に最も長けており、Invokeは分かりやすい質問で聞き返す必要がある」とまだまだ改善の必要性を述べています。
では、Alexaに匹敵しているのかというと、Alexaには既に一般ディベロッパーたちが開発してきた何万というスキル(サードパーティーが開発した音声制御アプリ)が存在しているわけです。NestやPhilips Hueといったスマートホーム関連のプロダクトはInvokeだけではなくGoogleもAmazonも対応しており、プラスアルファの機能が求められるわけですが、発売されたばかりのInvokeに追加できるスキルはわずか100ほど(Amazon Echoは2万以上)。今後ディベロッパーたちによって増やされることが期待されます。
とはいえ、老舗オーディオブランドとMicrosoftによるプロダクトですから、失敗作というわけでもありません。音質の良いアシスタントスピーカーを手ごろな価格で求めているユーザーにとっては買いかもしれません。Twitter上のコメントを見てみると「Invokeのスピーカーは本当に良いよ! 音量が大きい!」とサウンドの面では絶賛されています。
Skypeが利用できる点もセールスポイントです。スピーカーを通してそのまま通話をすることが可能。これはSkypeを多用する方には地味に有り難いポイントですよね。この一点で購入を決定する人もいるかもしれません。
Microsoftのプロダクトということでオフィス関連のソフトウェアを統合した機能を期待したユーザーも多かったようですが、機能面では他のスマートスピーカーと大きく違っていないようです。この点もスキルの追加と平行して期待していきたいところです。
日本語ユーザーとして一番気になるのは、日本語での認識がどれくらいの精度で実現されているのかどうか。こればかりは日本語版の開発を待つしかなさそうです。