【総まとめ】9万円以下で買える「高級コンデジ」7モデルの良い点・惜しい点

昨今、コンパクトカメラ市場では特に小型軽量ながら高画質と高機能を兼ね備えた“高級コンデジ”と呼ばれるモデルが人気を集めています。なかでも9万円以下で購入できる比較的リーズナブルな高級コンパクトカメラを比較する本企画。最終回となる今回はその撮影機能をチェックしながら、各モデルの特徴をまとめてみました。

第1回(概要&基本スペック編):掘り出し物の宝庫!! アンダー9万円の高級コンパクトカメラおすすめ7選

第2回(サイズ感・操作性編):画質は折り紙付き、では使い勝手は? 「実売9万円以下」の高級コンデジ7モデルの「サイズ感」と「操作性」を比較レビュー

第3回(画質編):高級コンデジ自慢の「画質」はホンモノ!? 「実売9万円以下」7モデルで実際に検証してみた

20180215_y-koba5_0108_R↑上段左から、パナソニック「LUMIX TX1」、キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」、キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」、パナソニック「LUMIX LX9」、ソニー「Cyber-shot RX100M3」、リコー「GR II」、キヤノン「PowerShot G5 X」

 

【エントリー①】

キヤノン「PowerShot G5 X」

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左右のバランスが取れた一眼風デザインを採用した1型センサー機。レンズは開放値F1.8-2.8の光学4.2倍ズームで、撮像素子には有効2020万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 6」で、感度はISO125~12800に対応しています。実売価格は8万5030円(2018年2月時点)。

20180215_y-koba5_0110_R↑天面に露出補正ダイヤル、背面にコントローラーホイールを装備

 

20180215_y-koba5_0111_R↑バリアングル液晶を備え、カメラの横/縦位置を問わず自由なアングルで撮影できます

 

20180215_y-koba5_0112_R↑前面や背面のダイヤル、ボタン類のカスタマイズができます

 

【連写性能】

1コマ目でピントが固定されるワンショットAF時で約5.9コマ/秒、ピントが連続的に合うサーボAF時で約4.4コマ/秒。最近の1型センサー機に比べて数値的にはやや見劣りしますが、特に遅いというほどではありません。ただし、記録ファイル形式にRAWまたはRAW+JPEGを選んだ場合は、連写速度は大幅に低下します。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は1920×1080/60pのフルHD記録に対応。動画撮影時の5軸手ブレ補正やマニュアル露出、自動水平補正なども可能です。そのほか、カメラ内で自動的に比較明合成が行える「星空」モードや、オートNDフィルター、MFピーキング、最短5cmのマクロモードなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・EVFを搭載しつつ、バリアングル液晶も備えている
・キヤノンの一眼カメラ「EOSシリーズ」用の外部ストロボやリモートスイッチが使える

●ココが惜しい
・撮影可能枚数が約210枚と少ない
・ピクチャースタイルが非搭載

●こんな人にオススメ!
・縦位置でのロー/ハイアングル撮影を多用する人
・外部ストロボを使いたい人

 

 

【エントリー②】

キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」

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キヤノンの高級コンパクト「PowerShot G」シリーズの中位に位置する1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 7」で、感度はISO125~12800に対応。光学4.2倍ズームを継承しながら画質とスピード、機能がさらに向上しています。実売価格は7万8580円(2018年2月時点)。

20180215_y-koba5_0114_R↑天面に露出補正ダイヤル、背面にコントローラーホイールを装備

 

20180215_y-koba5_0115_R↑液晶モニターを180度回転した状態。上方向だけでなく下方向にも動き、ロー/ハイアングル撮影時に役立ちます

 

20180215_y-koba5_0116_R↑レンズ鏡胴部のコントローラーリングや背面のボタンは、割り当てる機能を選択できます

 

【連写性能】

ワンショットAF時で最高約8コマ/秒。ピントが連続的に合うサーボAF時は、最高約5.4コマ/秒となります。JPEG/RAWを問わず、スピーディな連写が楽しめます。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は1920×1080/60pのフルHD記録に対応。静止画をつなぎ合わせて動画に仕上げるタイムラプス動画や、5軸手ブレ補正、動画撮影時のマニュアル露出、自動水平補正なども可能です。

 

そのほか、被写体やカメラの動きを検知して最適なシャッター速度に自動設定できる「流し撮り」モードや、星の光跡が撮れる「星空」モード、オートNDフィルター、MFピーキング、カメラ内RAW現像、最短5cmのマクロモードなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・明るい光学4.2倍ズームと、薄型軽量ボディを両立
・EOSと共通したメニューUIと発色傾向

●ココが惜しい
・EVFは非搭載
・外部ストロボには非対応

●こんな人にオススメ!
・サブカメラとして使いたいEOSユーザー
・薄型ボディでもテレ端(望遠端)100mm相当は欲しい人

 

 

【エントリー③】

キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」

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胸ポケットにすっぽり収まる薄型軽量ボディの1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 7」で、感度はISO125~12800に対応しています。光学3倍ズームや外観デザインを前モデルから受け継ぎつつ、画質や手ブレ補正の性能を高めています。実売価格は5万5610円(2018年2月時点)。

20180215_y-koba5_0118_R↑ボタンやダイヤルは最小限で、多くの操作は液晶タッチパネルで行います。慣れるまでやや違和感がありますが、スマホ世代のビギナーには取っ付きやすいかもしれません

 

20180215_y-koba5_0119_R↑鏡胴部のコントローラーリングは、割り当て機能のカスタマイズができます

 

20180215_y-koba5_0120_R↑今回のモデルのなかでは唯一、Bluetoothを内蔵。スマホやタブレットと常時接続ができ、Wi-Fiにも素早く切り替えられます

 

【連写性能】

ワンショットAF時は最高約8.1コマ/秒、さらにRAW撮影なら最高約8.2コマ/秒の連写が可能。ピントが連続的に合うサーボAF時では最高約5.3コマ/秒となります。JPEG/RAWを問わず、スピーディな連写が楽しめます。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は1920×1080/60pのフルHD記録に対応。静止画をつなぎ合わせて動画に仕上げるタイムラプス動画や、5軸手ブレ補正、動画撮影時のマニュアル露出、自動水平補正なども行えます。

 

そのほか、被写体やカメラの動きを検知して最適なシャッター速度に自動設定できる「流し撮り」モードや、簡単に星の光跡が撮れる「星空」モード、オートNDフィルター、MFピーキング、カメラ内RAW現像、最短5cmのマクロモードなどを搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・圧倒的な薄さと軽さ
・実売5万円台で購入できる価格

●ココが惜しい
・十字キーがなく、タッチパネル主体の操作
・ワイド端は24mmではなく28mm相当

●こんな人にオススメ!
・携帯性を最優先する人
・タッチパネルで操作したい人

 

 

【エントリー④】

ソニー「Cyber-shot RX100M3」

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人気機種「RX100」シリーズの3代目として2014年に発売された1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「BIONZ X」で、感度はISO125~12800に対応。レンズは開放値F1.8-2.8の光学2.9倍ズームを装備します。実売価格は7万7330円(2018年2月時点)。

20180215_y-koba5_0122_R↑天面にモードダイヤル、背面にコントローラーホイールなどを装備

 

20180215_y-koba5_0123_R↑ポップアップ式の有機ELビューファインダーを搭載。側面のスイッチを押すと上にはね上がり、さらに接眼部をつまんで少し引き出して使用します

 

20180215_y-koba5_0124_R↑同社製品でおなじみの「PlayMemories Camera Apps」を搭載。同社サイトにアクセスし、さまざまな機能を追加できます

 

【連写性能】

ピントと露出が1コマめで固定される速度優先連続撮影モード時で最高約10コマ/秒。通常の連写モードの場合は約2.9コマ/秒となります。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は最高で1920×1080/60pのフルHD記録に対応。電子補正を併用した強力な動画手ブレ補正「インテリジェントアクティブモード」や、XAVC S形式とMP4形式の同時記録、120pのハイフレームHD撮影、全画素超解像ズームなども利用できます。

 

そのほか、光量を抑えて明るい屋外でも開放絞りでの撮影を可能にするオートNDフィルターや、自分撮りセルフタイマー、スイングパノラマ、ステップズーム、瞳AF、最短5cmのマクロなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・小型のEVFと上下に動くチルト液晶を両立
・軽量ながら24mmスタートの明るいレンズを搭載

●ココが惜しい
・タッチパネルは非搭載
・テレ端70mm相当はもの足りない

●こんな人にオススメ!
・薄型軽量ボディでもEVFが欠かせない人
・アプリを入れて機能拡張を楽しみたい人

 

 

【エントリー⑤】

パナソニック「LUMIX LX9」

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明るいレンズを搭載した高級コンパクト「LUMIX LX」シリーズの新モデルとして2016年に発売。レンズには開放値F1.4-2.8の光学3倍ズームを、撮像素子に1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「ヴィーナスエンジン」で、感度はISO125~12800に対応します。実売価格は8万2480円(2018年2月現在)。

20180215_y-koba5_0126_R↑天面にモードダイヤルや動画ボタン、後ダイヤルを搭載

 

20180215_y-koba5_0127_R↑鏡胴部には絞りリングを備え、絞り値をダイレクトに調整できます

 

20180215_y-koba5_0128_R↑30コマ/秒の高速連写に相当する4Kフォト機能を搭載。被写体の動きに応じて、3種類の4Kフォトモードが選べます

 

【連写性能】

1コマめでピントが固定されるAFSモード時で最高約10コマ/秒、ピントを合わせ続けるAFCモード時で最高約6コマ/秒に対応。電子シャッター使用時は、約50コマ/秒の超高速連写が使用できます。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は最高で3840×2160/30pの4K記録に対応。カメラを動かさずに映像に動きを与える「4Kライブクロップ」や、フルHDでのスローモーション撮影、5軸ハイブリッド手ブレ補正などの機能も利用できます。

 

そのほか、AF測距点を自由に設定できるカスタムマルチAFや、星空AF、顔・瞳認識AF、最高1/16000秒の電子シャッター、最短3cmのマクロなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・ワイド端F1.4を誇るレンズ開放値の明るさ
・薄型軽量ながら4K動画に対応

●ココが惜しい
・EVFは非搭載
・テレ端72mm相当はもの足りない

●こんな人にオススメ!
・レンズの明るさを重視する人
・4K動画が撮れるチルト液晶搭載機を求める人

 

 

【エントリー⑥】

パナソニック「LUMIX TX1」

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高倍率コンパクト「LUMIX TZ」シリーズと同等の薄型軽量を維持しながら、センサーの大型化を図った「LUMIX TX」シリーズの第1弾。撮像素子に1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「ヴィーナスエンジン」で、感度はISO125~12800に対応します。レンズは光学10倍ズームを装備。実売価格は6万6560円(2018年2月現在)。

20180215_y-koba5_0130_R↑天面にモードダイヤルや動画ボタン、後ダイヤルを搭載

 

20180215_y-koba5_0131_R↑背面の左上に0.2型のライブビューファインダーを装備。アイセンサーによって液晶モニターとの自動切り替えができます

 

20180215_y-koba5_0132_R↑本体に4か所、タッチ画面上に5か所のファンクションボタンを搭載。好きな機能を割り当てられます

 

【連写性能】

連写性能はLUMIX LX9とほぼ同等で、1コマめでピントが固定されるAFSモード時で最高約10コマ/秒、ピントを合わせ続けるAFCモード時で最高約6コマ/秒に対応。電子シャッター使用時に約50コマ/秒の超高速連写が使用できる点も同様です。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は最高で3840×2160/30pの4K記録に対応。4Kで撮影しながらフルHD動画に切り出し、パンやズームイン/アウトの効果を加える「4Kライブクロップ」や、フルHDでのスローモーション撮影、5軸ハイブリッド手ブレ補正などの機能も利用できます。

 

そのほか、EVF使用時に液晶をなぞって測距点を動かすタッチパッドAFや、カスタムマルチAF、星空AF、顔・瞳認識AF、最高1/16000秒の電子シャッター、最短5cmのマクロなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・テレ端250mm相当になる光学10倍ズーム
・高倍率ズーム+EVF搭載ながら小型軽量ボディ

●ココが惜しい
・液晶モニターは固定式
・視度調整ダイヤルが不用意に動きやすい

●こんな人にオススメ!
・広角だけでなく望遠でも撮影したい人
・4K動画が撮れるEVF搭載機を求める人

 

 

【エントリー⑦】

リコー「GR II」

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28mm相当の単焦点レンズを搭載したAPS-Cセンサー機。撮像素子にAPS-Cサイズの有効1620万画素CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「GR ENGINE V」で、感度はISO100~25600に対応。レンズやセンサー、薄型ボディを前モデルから継承しつつ、Wi-Fiの内蔵など撮影機能の強化を図っています。実売価格は7万3800円(2018年2月時点)。

20180215_y-koba5_0134_R↑背面には、各種機能を呼び出すためのADJ.レバーや、AFファンクション切り替えレバーを搭載

 

20180215_y-koba5_0135_R↑フルプレススナップの設定画面。ピント位置を事前に設定した「スナップ時フォーカス距離」に瞬時にセットできます

 

20180215_y-koba5_0136_R↑マイセッティング登録機能では、カメラの各種設定の状態を登録し、必要に応じて素早く呼び出せます。マイセッティングに名前を付けたり、SDカードに書き出したりもできます

 

【連写性能】

連写は約4コマ/秒に対応。JPEGで999コマまで、RAWで10コマまで続けて撮影できます。今回取り上げた他機に比べてやや弱いという印象はぬぐえません。

 

【動画/そのほかの機能】

動画については最高で1920×1080/30pのフルHD記録に対応。連写や動画のスペックは他機に比べて少々見劣りしますが、そもそも「GR」シリーズでは連写や動画の機能はあまり重視されていません。

 

それよりも、薄型ボディと単焦点レンズを生かして軽やかにスナップ写真を撮るための機能が充実しています。例えば、フルプレススナップ機能では、シャッターボタンを一気に押し込むと、AF作動がキャンセルされ、事前に設定した距離で素早く撮影ができます。また自分の撮影スタイルに応じて、ボタンやダイヤルの割り当て機能を細かくカスタマイズすることも可能です。

 

そのほか、カメラ内で比較明合成ができるインターバル合成機能や、最大5枚の画像を重ねて記録する多重露光、最短10cmのマクロ、オプションの外部ストロボによるワイヤレス発光などの機能を備えています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・APS-Cセンサー&単焦点レンズが生み出す高画質
・外部ストロボや外部ファインダー、ワイコンなどに対応

●ココが惜しい
・手ブレ補正は非搭載
・暗所ではAFが合いにくい

●こんな人にオススメ!
・単焦点レンズによるストリートスナップを楽しみたい人
・四隅までのシャープでクリアな描写を求める人

高級コンデジ自慢の「画質」はホンモノ!? 「実売9万円以下」7モデルで実際に検証してみた

高級コンパクトカメラとは、1型以上の大きなセンサーを搭載しつつ、小型軽量で高品位なボディと、多彩な撮影機能を備えたカメラのこと。なかでも9万円以下で購入できる比較的リーズナブルな高級コンパクトカメラを比較する本企画。第3回となる本稿では、描写性能をチェックしてみましょう。

第1回(概要&基本スペック編):掘り出し物の宝庫!! アンダー9万円の高級コンパクトカメラおすすめ7選

第2回(サイズ感・操作性編):画質は折り紙付き、では使い勝手は? 「実売9万円以下」の高級コンデジ7モデルの「サイズ感」と「操作性」を比較レビュー

20180130_y-koba5_0066_R↑上段左から、パナソニック「LUMIX TX1」、キヤノン「PowerShot G5 X」、キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」、ソニー「Cyber-shot RX100M3」、キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」、リコー「GR II」、パナソニック「LUMIX LX9」

 

【エントリー①】

キヤノン「PowerShot G5 X」

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左右のバランスが取れた一眼風デザインを採用した1型センサー機。レンズは開放値F1.8-2.8の光学4.2倍ズームで、撮像素子には有効2020万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 6」で、感度はISO125~12800に対応しています。実売価格は8万9510円(2018年2月時点)。

 

[描写傾向]

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実写では、彩度とシャープネスがほどよく強調されたクリアな描写を確認できました。青空がややマゼンタ寄りになる、見栄え重視の傾向です。解像性能は、ズームワイド端の周辺がわずかに甘めですが、中央部ではシャープネスの高い写りが得られます。

20180130_y-koba5_0069↑上の写真の周辺部(左)と中央付近(右)を100%で表示

 

発色の調整機能としては「マイカラー」を搭載。より濃厚な色になる「くっきりカラー」や落ち着いた色合いの「すっきりカラー」など12種類の色調が選べます。今回の写真は、初期設定である「マイカラー:切」で撮影しました。レンズは広角24mm相当から中望遠100mm相当まで一般用途に使いやすいズーム域をカバーしています。

20180130_y-koba5_0070_R

20180130_y-koba5_0071_R↑上写真はワイド端(広角端)の24mm相当で、下写真はテレ端(望遠端)の100mm相当で撮影

 

最後は高感度画質をチェック。ISO800くらいまでは十分に実用的。ISO3200以上ではノイズ低減処理によって解像感が低下します。

20180130_y-koba5_0072↑高感度の画質。左上から右下にISO200、800、3200、12800

 

【エントリー②】

キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」

20180130_y-koba5_0073_R

キヤノンの高級コンパクト「PowerShot G」シリーズの中位に位置する1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 7」で、感度はISO125~12800に対応。光学4.2倍ズームを継承しながら画質とスピード、機能がさらに向上しています。実売価格は7万8850円(2018年2月時点)。

 

[描写傾向]

20180130_y-koba5_0074_R

実写では、適度に鮮やかで見栄えのいい描写を実感できました。解像性能は、ズームワイド端の周辺がわずかに甘めですが、中央部ではシャープネスの高い写りが得られます。

20180130_y-koba5_0075↑上の写真の周辺部(左)と中央付近(右)を100%で表示

 

発色の調整機能としては「ピクチャースタイル」を搭載。オートやスタンダード、ポートレートなど8種類以上の色調が選べます。今回の写真は、初期設定である「オート」で撮影しました。本機のレンズもG5 X同様、広角から中望遠まで一般用途に使いやすいズーム域をカバーしています

20180130_y-koba5_0076_R

20180130_y-koba5_0077_R↑ワイド端(上写真/24mm相当)とテレ端(下写真/100mm相当)

 

高感度画質は、ISO800くらいまでは十分に実用的。ISO3200ではノイジーになりますが、シャープ感はあまり損なわれません。

20180130_y-koba5_0078↑左上から右下にISO200、800、3200、12800

 

【エントリー③】

キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」

20180130_y-koba5_0079_R

胸ポケットにすっぽり収まる薄型軽量ボディの1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 7」で、感度はISO125~12800に対応しています。光学3倍ズームや外観デザインを前モデルから受け継ぎつつ、画質や手ブレ補正の性能を高めています。実売価格は5万8540円(2018年2月時点)。

 

[描写傾向]

20180130_y-koba5_0080_R

実写では、彩度とシャープネスが高められた、見栄え重視の写りを確認できました。今回テストした7製品のなかでは最も高彩度な色合いです。調整機能である「ピクチャースタイル」を使って、自分好みの発色にカスタマイズすることも可能です。

20180130_y-koba5_0081↑上の写真の周辺部(左)と中央付近(右)を100%で表示

 

ピクチャースタイルは、オートやスタンダード、ポートレートなど8種類以上に対応。今回の写真は、初期設定である「オート」で撮影しました。レンズの焦点距離は28~84mm相当。薄型軽量ボディ優先のため、上のキヤノン機2モデルに比べるとズーム倍率が控えめとなっています。

20180130_y-koba5_0082_R

20180130_y-koba5_0083_R↑ワイド端(上写真/28mm相当)とテレ端(下写真/84mm相当)

 

高感度画質は、ISO800くらいまでは十分に実用的。ISO3200ではノイジーになりますが、シャープ感はあまり損なわれません。

20180130_y-koba5_0084↑左上から右下にISO200、800、3200、12800

 

【エントリー④】

ソニー「Cyber-shot RX100M3」

20180130_y-koba5_0085_R

人気機種「RX100」シリーズの3代目として2014年に発売された1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「BIONZ X」で、感度はISO125~12800に対応。レンズは開放値F1.8-2.8の光学2.9倍ズームを装備します。実売価格は8万4390円(2018年2月時点)。

 

[描写傾向]

20180130_y-koba5_0086_R

実写では、クセのない澄んだ色合いと四隅までのシャープネスの高い描写を確認できました。発色の調整機能「クリエイティブスタイル」を利用して、自分好みの色合いにカスタマイズすることも可能です。

20180130_y-koba5_0087↑上の写真の周辺部(左)と中央付近(右)を100%で表示

 

クリエイティブスタイルでは、スタンダードやビビッド、ニュートラルなど14種類の色を選択できます。今回の写真は、初期設定である「スタンダード」で撮影しました。レンズは24~70mm相当をカバー。標準的なズーム倍率といえます。

20180130_y-koba5_0088_R

20180130_y-koba5_0089_R↑ワイド端(上写真/24mm相当)とテレ端(下写真/70mm相当)

 

高感度画質は、ISO800くらいまでは十分実用的。それ以上でも色ノイズは比較的少なめです。

20180130_y-koba5_0090↑左上から右下にISO200、800、3200、12800

 

【エントリー⑤】

パナソニック「LUMIX LX9」

20180130_y-koba5_0091_R

明るいレンズを搭載した高級コンパクト「LUMIX LX」シリーズの新モデルとして2016年に発売。レンズには開放値F1.4-2.8の光学3倍ズームを、撮像素子に1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「ヴィーナスエンジン」で、感度はISO125~12800に対応します。実売価格は8万3330円(2018年2月現在)。

 

[描写傾向]

20180130_y-koba5_0092_R

実写では、ナチュラルな色合いとズーム全域でのシャープな写りを確認できました。初期設定では、彩度強調を抑えた落ち着きのある色合いが得られます。

20180130_y-koba5_0093↑上の写真の周辺部(左)と中央付近(右)を100%で表示

 

発色の調整機能としては「フォトスタイル」を搭載。スタンダードやヴィヴィッド、ナチュラルなど7種類以上の色を選択できます。今回の写真は、初期設定である「スタンダード」で撮影しました。レンズは24~72mm相当をカバー。

20180130_y-koba5_0094_R

20180130_y-koba5_0095_R↑ワイド端(上写真/24mm相当)とテレ端(下写真/72mm相当)

 

高感度画質では、ISO800くらいまでは十分実用的。それ以上でも細部がつぶれず、解像感を維持している点には好印象です

20180130_y-koba5_0096↑高感度の画質。左上から右下にISO200、800、3200、12800

 

【エントリー⑥】

パナソニック「LUMIX TX1」

20180130_y-koba5_0097_R

高倍率コンパクト「LUMIX TZ」シリーズと同等の薄型軽量を維持しながら、センサーの大型化を図った「LUMIX TX」シリーズの第1弾。撮像素子に1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「ヴィーナスエンジン」で、感度はISO125~12800に対応します。レンズは光学10倍ズームを装備。実売価格は6万7850円(2018年2月現在)。

 

[描写傾向]

20180130_y-koba5_0098_R

実写では、ほどよく彩度を高めた見栄えのいい画質を確認できました。解像性能は、ズームテレ端で周辺がややソフトになる傾向がありますが、中央部はシャープな写り。また、レンズの焦点距離が長いので、滑らかで美しいボケの描写も楽しめます。

20180130_y-koba5_0099↑上の写真の周辺部(左)と中央付近(右)を100%で表示

 

発色の調整機能としては「フォトスタイル」を搭載。スタンダードやヴィヴィッド、ナチュラルなど7種類以上の色を選択できます。今回の写真は、初期設定である「スタンダード」で撮影しました。レンズの焦点距離は25~250mm相当と、このクラスの製品では抜群のズーム倍率を誇ります。

20180130_y-koba5_0100_R

20180130_y-koba5_0101_R↑ワイド端(上写真/25mm相当)とテレ端(下写真/250mm相当)

 

高感度画質は、ISO800くらいまでは十分実用的。それ以上でも細部がつぶれず、解像感を維持している点には好印象です。

20180130_y-koba5_0102↑左上から右下にISO200、800、3200、12800

 

【エントリー⑦】

リコー「GR II」

20180130_y-koba5_0103_R

28mm相当の単焦点レンズを搭載したAPS-Cセンサー機。撮像素子にAPS-Cサイズの有効1620万画素CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「GR ENGINE V」で、感度はISO100~25600に対応。レンズやセンサー、薄型ボディを前モデルから継承しつつ、Wi-Fiの内蔵など撮影機能の強化を図っています。実売価格は7万3800円(2018年2月時点)。

 

[描写性能]

20180130_y-koba5_0104_R

実写では、画像周辺部から中央部までシャープに解像するワンランク上の写りを実感できました。今回テストしたほかの6製品に比べると、画素数が約2割少ない1620万画素ですが、その代わりにセンサーサイズが大きいうえ、レンズの光学性能でも勝るため、結果として得られる細部描写力は一歩抜きん出たレベルといえます。発色は比較的鮮やかめ。青空はマゼンタ寄りになる傾向があります。

20180130_y-koba5_0105↑上の写真の周辺部(左)と中央付近(右)を100%で表示

 

発色の調整機能としては「画像設定」などを搭載。スタンダードとビビッドを選択できます。今回の写真は、初期設定である「スタンダード」で撮影しました。今回取り上げたなかでは唯一の単焦点レンズを搭載します(28mm相当)。

20180130_y-koba5_0106_R↑ワイド端(28mm相当)

 

1型センサー機に比べると、高感度ノイズは少なめ。ISO3200でも汚い印象は受けません。

20180130_y-koba5_0107↑左上から右下にISO200、800、3200、12800

 

【まとめ】画質はわずかな差、焦点距離に個性が出る

以上7モデルの実写を比較した率直な感想は、どのモデルでも撮影時にイメージした通りの美しい描写が得られ、その差はあまり大きくないということ。センサーサイズの大きいGR IIが細部描写力や高感度画質で一歩リードするものの、1.0型センサーを搭載した残り6製品の写りは、発色やノイズの傾向に若干の違いはあるものの、特に優劣はつけられません。

 

一方でレンズの焦点距離については、実写と数値を見てわかるように大きな違いがあります。ワイド端がやや弱い25mm相当のF2.8とはいえ、テレ端が250mm相当をカバーする「LUMIX TX1」はレンズの利便性で一歩リードした存在といえます。ただ、あえて28mm単焦点にこだわった「GR II」も非常に面白いカメラ。利便性を重視するか、面白さで選ぶか、あるいはその中間を取るか。悩ましいところです。

 

画質は折り紙付き、では使い勝手は? 「実売9万円以下」の高級コンデジ7モデルの「サイズ感」と「操作性」を比較レビュー

高級コンパクトカメラと聞くと「価格が高い」と考えがちですが、最新モデルにこだわらなければ、比較的リーズナブルに購入できる製品もあります。そんな財布に優しい高級コンパクトカメラ7製品を選りすぐり、その性能を比較する本企画。第2回となる今回は外観をチェックしてみましょう。

第1回(概要&基本スペック編):掘り出し物の宝庫!! アンダー9万円の高級コンパクトカメラおすすめ7選

20180112_y-koba7 (1)↑上段左から、パナソニック「LUMIX DMC-TX1」、キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」、ソニー「Cyber-shot DSC-RX100M3」、リコー「GR II」、キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」、パナソニック「LUMIX DMC-LX9」、キヤノン「PowerShot G5 X」

 

※記事内の価格は2018年1月現在の、編集部調べによるものです

 

【エントリー①】

キヤノン「PowerShot G5 X」

20180112_y-koba7 (2)

左右のバランスが取れた一眼風デザインを採用した1型センサー機。レンズは開放値F1.8-2.8の光学4.2倍ズームで、撮像素子には有効2020万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。発売は2015年。参考価格は7万4800円。

 

外形寸法は幅112.4×高さ76.4×奥行き44.2mm。質量は約377g。今回のモデルのなかでは最も重量があり、サイズもやや大きめ。胸ポケットに入れるのは困難です。とはいえ、EVFとバリアングル液晶を装備していることを考えれば、十分に小型軽量といえます。

20180112_y-koba7 (3)

前面には、電源に連動したレンズバリアや電子ダイヤルなどを装備。前面に縦向きで電子ダイヤルを備えるのは希少です。適度なクリック感があり、操作感は悪くありません。

 

20180112_y-koba7 (4)

背面には、EVFと液晶モニター、動画ボタンなどを搭載。液晶モニターの視認性は良好です。

 

20180112_y-koba7 (5)

天面には、モードダイヤルやホットシュー、露出補正ダイヤルなどを搭載。電源オフでも露出補正の状態がひと目でわかるのは便利です。

 

20180112_y-koba7 (6)

20180112_y-koba7 (7)

電源オフの状態(上)、電源オンの状態(下)。外装には高品位な質感があります。

 

【エントリー②】

キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」

20180112_y-koba7 (8)

キヤノンの高級コンパクト「PowerShot G」シリーズの中位に位置する1型センサー機。2014年に発売された「PowerShot G7」の後継として2016年に登場しました。光学4.2倍ズームを継承しながら画質とスピード、機能がさらに向上しています。参考価格は6万7000円。

 

外形寸法は幅105.5×高さ60.9奥行き42.2mm。質量約319g。今回のモデルのなかでは平均的なサイズと重量です。

20180112_y-koba7 (9)

前面には、電源に連動したレンズバリアやセルフタイマーランプなどを搭載。グリップには突起があり、しっかりとボディを支えられます。

 

20180112_y-koba7 (10)

背面には、液晶モニター、動画ボタン、RING FUNC.ボタンなどを搭載。ボタン類は大きめで押しやすいといえます。

 

20180112_y-koba7 (11)

天面には、モードダイヤルや露出補正ダイヤルなどを搭載。鏡胴部のリングでは絞りやシャッター速度を素早く調整できます。

 

20180112_y-koba7 (12)

20180112_y-koba7 (13)

電源オフの状態(上)、電源オンの状態(下)。起動は約1.2秒と素早く、ストレスを感じません。

 

【エントリー③】

キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」

20180112_y-koba7 (14)

胸ポケットにすっぽり収まる薄型軽量ボディの1型センサー機。2015年に発売された「PowerShot G9 X」の後継として2017年に登場。光学3倍ズームや外観デザインを受け継ぎつつ、画質や手ブレ補正の性能を高めています。参考価格は5万9140円。

 

外形寸法は幅98×高さ57.9×奥行き31.3mm。質量は約206g。今回選んだモデルのなかでは最も薄くて軽い製品です。胸ポケットにすんなりと収まり、長時間入れたままで歩きまわっても苦になりません。

20180112_y-koba7 (15)

前面には、電源に連動したレンズバリアやセルフタイマーランプなどを搭載。両サイドには滑り止めの素材が張られており、小型ながらしっかりとホールドできます。

 

20180112_y-koba7 (16)

背面には、液晶モニターや動画ボタンなどを搭載。ボタン類の数は今回のモデルのなかで最も少なくシンプルで、ビギナーにも取っ付きやすいといえます。

 

20180112_y-koba7 (17)

天面には、再生ボタンやモードダイヤルなどを搭載。再生ボタンが背面ではなく天面にある仕様は珍しく、慣れるまではやや戸惑うかもしれません。

 

20180112_y-koba7 (18)

20180112_y-koba7 (19)

電源オフの状態(上)、電源オンの状態(下)。側面のボタンによって素早くWi-Fi 接続ができるのが便利です。

 

【エントリー④】

ソニー「Cyber-shot DSC-RX100M3」

20180112_y-koba7 (20)

人気機種「DSC-RX100」シリーズの3代目として2014年に発売された1型センサー機。レンズには開放値F1.8-2.8の光学2.9倍ズームを、撮像素子には1型の裏面照射型CMOSセンサーをそれぞれ搭載しています。参考価格は8万2780円。

 

外形寸法は幅101.6×高さ58.1×奥行き41mm。質量は約290g。「PowerShot G9 X Mark II」の薄さと軽さには一歩及びませんが、EVFとチルト液晶を備えた1型センサー機としてはかなりの薄型軽量ボディです。

20180112_y-koba7 (21)

前面には、電源に連動したレンズバリアやセルフタイマーランプなどを搭載。外観デザインの面では歴代のRX100シリーズで大きな差はなく、ひと目で見分けるのは難しいでしょう。

 

20180112_y-koba7 (22)

背面には、液晶モニター、動画ボタン、Fnボタンなどを搭載。ボタン類は小さめで、手の大きな人はやや窮屈に感じることもあるでしょう。

 

20180112_y-koba7 (23)

天面には、ポップアップ式のEVFやモードダイヤルなどを搭載。天面の後方には段差があり、ボディの薄さを際立たせています。

 

20180112_y-koba7 (24)

20180112_y-koba7 (25)

電源オフの状態(上)、電源オンの状態(下)。側面のFINDERボタンを押すとファインダーがポップアップするギミックは、RX100シリーズのなかでもこのMark 3から採用されています。

 

【エントリー⑤】

パナソニック「LUMIX DMC-LX9」

20180112_y-koba7 (26)

明るいレンズを搭載した高級コンパクト「LUMIX LX」シリーズの新モデルとして2016年に発売。レンズには開放値F1.4-2.8の光学3倍ズームを、撮像素子には1型の高感度MOSセンサーをそれぞれ採用しています。参考価格は8万8020円。

 

外形寸法は幅105.5×高さ60×奥行き約42mm。質量は約310g。今回のモデルのなかでは平均的なサイズと重量です。

20180112_y-koba7 (27)

前面には、電源に連動したレンズバリアやセルフタイマーランプなどを搭載。グリップが薄くホールド性は少々もの足りなく感じますが、デザイン的にはオシャレです。

 

20180112_y-koba7 (28)

背面には、液晶モニターや4Kフォトボタンなどを搭載。カスタマイズ可能なFnボタンの多さも、本機のメリットのひとつです。

 

20180112_y-koba7 (29)

天面には、モードダイヤルや動画ボタンなどを搭載。電源は他社とは異なり、レバー式です。電源スイッチの形状はボタン派とレバー派で好みがわかれますが、個人的にはレンズ交換式カメラと共通の仕様であるレバー式が好みです。

 

20180112_y-koba7 (30)

20180112_y-koba7 (31)

電源オフの状態(上)、電源オンの状態(下)。精悍な雰囲気が漂うフルブラックの外装です。

 

【エントリー⑥】

パナソニック「LUMIX DMC-TX1」

20180112_y-koba7 (32)

高倍率コンパクト「LUMIX TZ」シリーズと同等の薄型軽量を維持しながら、センサーの大型化を図った「LUMIX TX」シリーズの第1弾。レンズは光学10倍ズームで、撮像素子には1型MOSセンサーを搭載。発売は2016年。参考価格は6万9430円。

 

外形寸法は幅110.5×高さ64.5×奥行き44.3mm。質量は約310g。今回のモデルのなかでは質量は2番めに重く、サイズも大きめです。胸ポケットに入れるのは厳しいでしょう。ただ、光学10倍ズームという抜きん出たズーム倍率を持つ1型センサー機としては、画期的な小型軽量ボディであることは確かです。

20180112_y-koba7 (33)

前面には、電源に連動したレンズバリアやセルフタイマーランプなどを搭載。DMC-LX9と同じく前面や天面に製品名が記されておらず、底面に小さく書かれているだけ。デザイナーのこだわりを感じます。

 

20180112_y-koba7 (34)

背面には、EVFと液晶モニター、4Kフォトボタンなどを搭載。EVFと液晶モニターはアイセンサーによる自動切り替えに対応。便利ですが、やや敏感すぎるのは気になりました。

 

20180112_y-koba7 (35)

天面には、モードダイヤル、動画ボタン。後ダイヤルなどを搭載。電源は他社とは異なり、レバー式です。動画ボタンの位置に関しては、背面派と天面派にわかれますが、個人的には録画スタート/ストップの際にボディがブレにくい天面が好みです。

 

20180112_y-koba7 (36)

20180112_y-koba7 (37)

電源オフの状態(上)、電源オンの状態(下)。望遠端までズームアップすると、レンズの前玉部分はさらに数センチせり出しますが、そもそも小型軽量なので特にアンバランスには感じません。

 

【エントリー⑦】

リコー「GR II」

20180112_y-koba7 (38)

28mm相当の単焦点レンズを搭載したAPS-Cセンサー機。2013年に発売された「GR」の後継機として2015年に登場。レンズやセンサー、薄型ボディを継承しつつ、Wi-Fiの内蔵など撮影機能の強化を図っています。参考価格は6万9140円。

 

外形寸法は幅117×高さ62.8×奥行き34.7mm。質量は約251g。高さを抑えた横に長い薄型ボディです。重量は「PowerShot G9 X Mark II」に次いで2番めに軽く、ワイシャツの胸ポケットにも楽々と収まります。レンズは、電源オンでせり出す沈胴式ですが、光学ズーム機構がないため、使用中でもボディは比較的薄いといえます。

20180112_y-koba7 (39)

前面には、電源に連動したレンズバリアやAF補助光ランプなどを装備。Wi-Fiを搭載したため、前モデル「GR」に比べると天面がやや膨らみ、高さが1.8mm増しています。

 

20180112_y-koba7 (40)

背面には、液晶モニターやADJ.レバーなどを搭載。ADJ.レバーはやや小さめで回しにくい点が気になるものの、多機能を素早く設定できるのは便利です。

 

20180112_y-koba7 (41)

天面には、ホットシューやアップダウンダイヤル、モードダイヤルなどを搭載。ホットシューには外部ストロボのほか、光学式の外部ファインダーなどを装着できます。拡張したい人にはうれしいポイントです。

 

20180112_y-koba7 (42)

20180112_y-koba7 (43)

電源オフの状態(上)、電源オンの状態(下)。側面のEffectボタンでは「クロスプロセス」や「ハイコントラスト白黒」などの特殊効果を素早く呼び出すことができます。

 

【まとめ】携帯性はもちろん、ホールド感や装備とのバランスも考慮すべし

7モデル中、最薄・最軽量なのは「PowerShot G9 X Mark II」。装備を絞ったことで胸ポケットにもすっぽり収まる大きさとなり、携帯性は抜群です。ただし、他モデルもファインダーや可動液晶の搭載、あるいはレンズスペックといった点などでそれぞれ魅力があるので、譲れないポイントを決めて絞り込んでいくと良いでしょう。

 

撮影時のホールド感も重要なポイント。今回の7モデルを実際に手にしたときの印象は、グリップ部の突起が大きい「PowerShot G5 X」と「GR II」が特に持ちやすく感じました。「PowerShot G7 X Mark II」と「PowerShot G9 X Mark II」「LUMIX DMC-TX1」のホールド感もまずまずです。

 

一方、「Cyber-shot DSC-RX100M3」と「LUMIX DMC-LX9」はやや滑りやすい印象。いずれのモデルに関しても、持ちにくく感じる場合は、オプションのカメラジャケットを装着したり、サードパーティ製のグリップを探してみるのもいいでしょう。

 

外観デザインについては、いずれも物欲を刺激するような、高品位な雰囲気が漂っています。カラーバリエーションについては「PowerShot G9 X Mark II」のみがブラックとシルバーの2色を用意。個人的には、ラバーグリップがしっくりと手になじむ「GR II」と、カジュアルさと高級さをあわせ持つ「PowerShot G9 X Mark II」のデザインが気に入りました。

 

次回はいよいよ実写比較編です。

 

掘り出し物の宝庫!! アンダー9万円の高級コンパクトカメラおすすめ7選

画質に優れた小型軽量のカメラが欲しい。でも使える予算には限りがある。そんな人には、アンダー9万円の高級コンパクトカメラがおすすめ。そこで、スマホを超える高画質と高機能を備えつつ、携帯性や予算の面でも魅力の高い7製品を選りすぐり、その性能を比較してみました。本稿では、各モデルの概要と基本スペックをおさらいしていきます。

20180110_y-koba2 (1)↑上段左から、パナソニック「LUMIX DMC-LX9」、リコー「GR II」、キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」、キヤノン「PowerShot G5 X」、ソニー「Cyber-shot DSC-RX100M3」、パナソニック「LUMIX DMC-TX1」、キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」

 

そもそも「高級コンデジ」って何?

一般的に高級コンパクトカメラとは、1型以上の大きなセンサーを搭載し、小型軽量で高品位なボディと、多彩な撮影機能を備えたカメラのこと。通常のコンパクトカメラよりもグレードが上という意味で「高級」と呼ばれていますが、実際には最新モデル以外なら、実売4万円台の高級コンパクトカメラもあります。

 

そこで今回はあえて高価なモデルは除外し、9万円以内で購入できる高級コンパクトカメラをピックアップしてみました。よりハイスペックな最新モデルに飛びつくのも悪くないですが、カメラとの付き合い方はそれだけではありません。限られた予算内で最良のモデルを選択し、余ったお金で撮影旅行に出かける。そんな賢い写真生活を目指してみましょう。

 

ここからは、今回取り上げた7モデルの概要と基本スペックを見ていきましょう!

※記事内の価格は2018年1月現在の、編集部調べによるものです

 

【その1】

EVF&バリアングル液晶採用で撮影が快適

20180110_y-koba2 (2)

キヤノン
PowerShot G5 X
参考価格7万4800円

左右のバランスが取れた一眼風デザインを採用した1型センサー機。レンズは開放値F1.8-2.8の光学4.2倍ズームで、撮像素子には有効2020万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。発売は2015年。

20170111_G5X_2

 

注目したいポイントは、今回紹介する7製品のなかでは唯一バリアングル式の液晶モニターを採用していること。チルト式の液晶とは異なり、バリアングル式は上下だけでなく左右にも動くので、カメラの横位置/縦位置を問わず自由なアングルで撮影しやすいメリットがあります。

20180110_y-koba2 (3)↑レンズは光学4.2倍ズームで、センサーには1.0型有効2020万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (4)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは0.39型約236万ドット

 

【その2】

小型ボディにトレンド機能を過不足なく凝縮

20180110_y-koba2 (5)

キヤノン
PowerShot G7 X Mark II
参考価格6万7000円

キヤノンの高級コンパクト「PowerShot G」シリーズの中位に位置する1型センサー機。2014年に発売された「PowerShot G7」の後継として2016年に登場しました。光学4.2倍ズームを継承しながら画質とスピード、機能がさらに向上しています。

20170111_G7XMk2

本機ならではの特徴は、明るいレンズやチルト可動式液晶、タッチパネル、アナログダイヤルといった高級コンパクトのトレンドを過不足なく薄型軽量ボディに凝縮していること。

20180110_y-koba2 (6)↑レンズは光学4.2倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (7)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは非搭載

 

【その3】

胸ポケットにすっぽり収まる薄型軽量ボディ

20180110_y-koba2 (8)

キヤノン
PowerShot G9 X Mark II
参考価格5万9140円

胸ポケットにすっぽり収まる薄型軽量ボディの1型センサー機。2015年に発売された「PowerShot G9」の後継として2017年に登場。光学3倍ズームや外観デザインを受け継ぎつつ、画質や手ブレ補正の性能を高めています。

20170111_G9XMk2

ユニークなのは、コンパクトデジカメで一般的な十字キーがなく、主要な操作のほとんどをタッチパネルで行うこと。撮影機能としては、オートNDフィルターや星空モード、クリエイティブフィルターの「背景ぼかし」などを搭載しています。

20180110_y-koba2 (9)↑レンズは光学3倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (10)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは非搭載

 

【その4】

性能と価格のバランスに優れた人気シリーズの3代目

20180110_y-koba2 (11)

ソニー
Cyber-shot DSC-RX100M3
参考価格8万2780円

人気機種「DSC-RX100」シリーズの3代目として2014年に発売された1型センサー機。レンズには開放値F1.8-2.8の光学2.9倍ズームを、撮像素子には1型の裏面照射型CMOSセンサーをそれぞれ搭載しています。

20170111_RX100M3

シリーズ最新モデル「DSC-RX100M5」と比べた場合、AFや連写、動画などの性能はやや見劣りしますが、レンズやポップアップ式のEVF、チルト液晶モニターなどは同等ものを採用。実売価格も抑え目になっています。

20180110_y-koba2 (12)↑レンズは光学2.9倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (13)↑液晶モニターは3.0型約123万ドット。EVFは0.39型144万ドット

 

【その5】

開放値F1.4を誇る明るいレンズが魅力

20180110_y-koba2 (14)

パナソニック
LUMIX DMC-LX9
参考価格8万8020円

明るいレンズを搭載した高級コンパクト「LUMIX LX」シリーズの新モデルとして2016年に発売。レンズには開放値F1.4-2.8の光学3倍ズームを、撮像素子には1型の高感度MOSセンサーをそれぞれ採用しています。

20170111_LX9

最大の特徴は、ズームワイド端の開放値が、今回の7製品中で最も明るいF1.4を誇ること。薄暗いシーンでも感度をあまり上げずに高画質で撮影したり、比較的速いシャッター速度を使って手ブレや被写体ブレを低減したりできる利点があります。

20180110_y-koba2 (15)↑レンズは光学3倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (16)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは非搭載

 

【その6】

薄型軽量ボディと250mm相当の望遠撮影を両立

20180110_y-koba2 (17)

パナソニック
LUMIX DMC-TX1
参考価格6万9430円

高倍率コンパクト「LUMIX TZ」シリーズと同等の薄型軽量を維持しながら、センサーの大型化を図った「LUMIX TX」シリーズの第1弾。レンズは光学10倍ズームで、撮像素子には1型MOSセンサーを搭載。発売は2016年。

20170111_TX1

見どころは、薄型軽量ボディでありながら、250mm相当の望遠撮影ができること。遠景の被写体を大きく引きつけた撮影のほか、ボケを生かした表現が気軽に楽しめます。また、ワイド側で最短5cm、テレ側で最短70cmまで近寄れるマクロ機能もあります。

20180110_y-koba2 (18)↑レンズは光学10倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (19)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは0.2型約116万ドット

 

【その7】

画質と携帯性を重視して、あえて単焦点レンズ採用

20180110_y-koba2 (20)

リコー
GR II
参考価格6万9140円

28mm相当の単焦点レンズを搭載したAPS-Cセンサー機。2013年に発売された「GR」の後継機として2015年に登場。レンズやセンサー、薄型ボディを継承しつつ、Wi-Fiの内蔵など撮影機能の強化を図っています。

20170111_GR2_2

注目は、画質と携帯性を重視してあえて単焦点レンズを採用したことと、ユーザーの撮影スタイルに応じて細かくカスタマイズ可能な独自の操作系を備えていること。外部ファインダーやワイコン(レンズに装着することで画角を広げられるアクセサリー)など、オプションのアクセサリーが充実している点も見逃せません。

20180110_y-koba2 (21)↑レンズは単焦点レンズで、センサーには1型よりも大きなAPS-Cサイズの有効1620万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (22)↑液晶モニターは3.0型約123万ドット。EVFは非搭載

 

機能の豊富さという点ではほぼ互角

以上の7モデルに共通した特徴としては、フルオートからフルマニュアルまでの多彩な撮影モードを備え、リングやダイヤルの回転操作でシャッター速度や絞り値の調整ができることです。また、RAW撮影やUSB充電、Wi-Fi機能についても全モデルが対応しています。

 

搭載している機能の内容には違いがありますが、機能の豊富さという点ではほぼ互角といっていいでしょう。拡張性に関しては、天面にアクセサリーシューを備えた「PowerShot G5 X」と「GR II」の2台がやや有利です。

 

メニューのUIについては、キヤノンの3台は「EOS」シリーズに、ソニー機は「α」シリーズに、パナソニックの2台はミラーレスカメラの「LUMIX」シリーズにそれぞれ近いデザインを採用しています。一眼レフやミラーレスのサブ機として選ぶ場合は、同じメーカー内であれば取っ付きやすいといえます。リコー「GR II」に関しては独自のUIですが、従来のGRシリーズから受け継がれたものです。

 

次回以降、それぞれの外観や画質などをチェックしていきます。

 

 

掘り出し物の宝庫!! アンダー9万円の高級コンパクトカメラおすすめ7選

画質に優れた小型軽量のカメラが欲しい。でも使える予算には限りがある。そんな人には、アンダー9万円の高級コンパクトカメラがおすすめ。そこで、スマホを超える高画質と高機能を備えつつ、携帯性や予算の面でも魅力の高い7製品を選りすぐり、その性能を比較してみました。本稿では、各モデルの概要と基本スペックをおさらいしていきます。

20180110_y-koba2 (1)↑上段左から、パナソニック「LUMIX DMC-LX9」、リコー「GR II」、キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」、キヤノン「PowerShot G5 X」、ソニー「Cyber-shot DSC-RX100M3」、パナソニック「LUMIX DMC-TX1」、キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」

 

そもそも「高級コンデジ」って何?

一般的に高級コンパクトカメラとは、1型以上の大きなセンサーを搭載し、小型軽量で高品位なボディと、多彩な撮影機能を備えたカメラのこと。通常のコンパクトカメラよりもグレードが上という意味で「高級」と呼ばれていますが、実際には最新モデル以外なら、実売4万円台の高級コンパクトカメラもあります。

 

そこで今回はあえて高価なモデルは除外し、9万円以内で購入できる高級コンパクトカメラをピックアップしてみました。よりハイスペックな最新モデルに飛びつくのも悪くないですが、カメラとの付き合い方はそれだけではありません。限られた予算内で最良のモデルを選択し、余ったお金で撮影旅行に出かける。そんな賢い写真生活を目指してみましょう。

 

ここからは、今回取り上げた7モデルの概要と基本スペックを見ていきましょう!

※記事内の価格は2018年1月現在の、編集部調べによるものです

 

【その1】

EVF&バリアングル液晶採用で撮影が快適

20180110_y-koba2 (2)

キヤノン
PowerShot G5 X
参考価格7万4800円

左右のバランスが取れた一眼風デザインを採用した1型センサー機。レンズは開放値F1.8-2.8の光学4.2倍ズームで、撮像素子には有効2020万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。発売は2015年。

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注目したいポイントは、今回紹介する7製品のなかでは唯一バリアングル式の液晶モニターを採用していること。チルト式の液晶とは異なり、バリアングル式は上下だけでなく左右にも動くので、カメラの横位置/縦位置を問わず自由なアングルで撮影しやすいメリットがあります。

20180110_y-koba2 (3)↑レンズは光学4.2倍ズームで、センサーには1.0型有効2020万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (4)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは0.39型約236万ドット

 

【その2】

小型ボディにトレンド機能を過不足なく凝縮

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キヤノン
PowerShot G7 X Mark II
参考価格6万7000円

キヤノンの高級コンパクト「PowerShot G」シリーズの中位に位置する1型センサー機。2014年に発売された「PowerShot G7」の後継として2016年に登場しました。光学4.2倍ズームを継承しながら画質とスピード、機能がさらに向上しています。

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本機ならではの特徴は、明るいレンズやチルト可動式液晶、タッチパネル、アナログダイヤルといった高級コンパクトのトレンドを過不足なく薄型軽量ボディに凝縮していること。

20180110_y-koba2 (6)↑レンズは光学4.2倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (7)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは非搭載

 

【その3】

胸ポケットにすっぽり収まる薄型軽量ボディ

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キヤノン
PowerShot G9 X Mark II
参考価格5万9140円

胸ポケットにすっぽり収まる薄型軽量ボディの1型センサー機。2015年に発売された「PowerShot G9」の後継として2017年に登場。光学3倍ズームや外観デザインを受け継ぎつつ、画質や手ブレ補正の性能を高めています。

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ユニークなのは、コンパクトデジカメで一般的な十字キーがなく、主要な操作のほとんどをタッチパネルで行うこと。撮影機能としては、オートNDフィルターや星空モード、クリエイティブフィルターの「背景ぼかし」などを搭載しています。

20180110_y-koba2 (9)↑レンズは光学3倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (10)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは非搭載

 

【その4】

性能と価格のバランスに優れた人気シリーズの3代目

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ソニー
Cyber-shot DSC-RX100M3
参考価格8万2780円

人気機種「DSC-RX100」シリーズの3代目として2014年に発売された1型センサー機。レンズには開放値F1.8-2.8の光学2.9倍ズームを、撮像素子には1型の裏面照射型CMOSセンサーをそれぞれ搭載しています。

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シリーズ最新モデル「DSC-RX100M5」と比べた場合、AFや連写、動画などの性能はやや見劣りしますが、レンズやポップアップ式のEVF、チルト液晶モニターなどは同等ものを採用。実売価格も抑え目になっています。

20180110_y-koba2 (12)↑レンズは光学2.9倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (13)↑液晶モニターは3.0型約123万ドット。EVFは0.39型144万ドット

 

【その5】

開放値F1.4を誇る明るいレンズが魅力

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パナソニック
LUMIX DMC-LX9
参考価格8万8020円

明るいレンズを搭載した高級コンパクト「LUMIX LX」シリーズの新モデルとして2016年に発売。レンズには開放値F1.4-2.8の光学3倍ズームを、撮像素子には1型の高感度MOSセンサーをそれぞれ採用しています。

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最大の特徴は、ズームワイド端の開放値が、今回の7製品中で最も明るいF1.4を誇ること。薄暗いシーンでも感度をあまり上げずに高画質で撮影したり、比較的速いシャッター速度を使って手ブレや被写体ブレを低減したりできる利点があります。

20180110_y-koba2 (15)↑レンズは光学3倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (16)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは非搭載

 

【その6】

薄型軽量ボディと250mm相当の望遠撮影を両立

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パナソニック
LUMIX DMC-TX1
参考価格6万9430円

高倍率コンパクト「LUMIX TZ」シリーズと同等の薄型軽量を維持しながら、センサーの大型化を図った「LUMIX TX」シリーズの第1弾。レンズは光学10倍ズームで、撮像素子には1型MOSセンサーを搭載。発売は2016年。

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見どころは、薄型軽量ボディでありながら、250mm相当の望遠撮影ができること。遠景の被写体を大きく引きつけた撮影のほか、ボケを生かした表現が気軽に楽しめます。また、ワイド側で最短5cm、テレ側で最短70cmまで近寄れるマクロ機能もあります。

20180110_y-koba2 (18)↑レンズは光学10倍ズームで、センサーには1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (19)↑液晶モニターは3.0型約104万ドット。EVFは0.2型約116万ドット

 

【その7】

画質と携帯性を重視して、あえて単焦点レンズ採用

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リコー
GR II
参考価格6万9140円

28mm相当の単焦点レンズを搭載したAPS-Cセンサー機。2013年に発売された「GR」の後継機として2015年に登場。レンズやセンサー、薄型ボディを継承しつつ、Wi-Fiの内蔵など撮影機能の強化を図っています。

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注目は、画質と携帯性を重視してあえて単焦点レンズを採用したことと、ユーザーの撮影スタイルに応じて細かくカスタマイズ可能な独自の操作系を備えていること。外部ファインダーやワイコン(レンズに装着することで画角を広げられるアクセサリー)など、オプションのアクセサリーが充実している点も見逃せません。

20180110_y-koba2 (21)↑レンズは単焦点レンズで、センサーには1型よりも大きなAPS-Cサイズの有効1620万画素CMOSセンサーを搭載

 

20180110_y-koba2 (22)↑液晶モニターは3.0型約123万ドット。EVFは非搭載

 

機能の豊富さという点ではほぼ互角

以上の7モデルに共通した特徴としては、フルオートからフルマニュアルまでの多彩な撮影モードを備え、リングやダイヤルの回転操作でシャッター速度や絞り値の調整ができることです。また、RAW撮影やUSB充電、Wi-Fi機能についても全モデルが対応しています。

 

搭載している機能の内容には違いがありますが、機能の豊富さという点ではほぼ互角といっていいでしょう。拡張性に関しては、天面にアクセサリーシューを備えた「PowerShot G5 X」と「GR II」の2台がやや有利です。

 

メニューのUIについては、キヤノンの3台は「EOS」シリーズに、ソニー機は「α」シリーズに、パナソニックの2台はミラーレスカメラの「LUMIX」シリーズにそれぞれ近いデザインを採用しています。一眼レフやミラーレスのサブ機として選ぶ場合は、同じメーカー内であれば取っ付きやすいといえます。リコー「GR II」に関しては独自のUIですが、従来のGRシリーズから受け継がれたものです。

 

次回以降、それぞれの外観や画質などをチェックしていきます。

 

 

コレがコンパクトカメラの生きる道! キヤノン/ソニー/富士フイルムの大型センサー機三つ巴比較

1型以上の大きなセンサーを搭載した高級コンパクトカメラの多くは、携帯性と高画質をバランスよく両立させています。同時に、レンズ交換式にはない独自のギミックや個性が際立ったモデルも多数存在。ここでは、話題の3製品を取り上げ、その革新性を1~5の5段階(5が最高)で評価します。

※記事内の価格は2017年12月末時点の編集部調べによるものです

 

【エントリー①】

APS-Cセンサー&3倍ズームを小型ボディに凝縮して搭載

 

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キヤノン
PowerShot G1 X MarkIII
実売価格12万7460円

APS-Cサイズの大型センサーと光学3倍ズームを装備しながら、従来の1型センサー機と大差ないコンパクトボディを実現した注目の一台。EOSシリーズから継承した高速AFや高性能な画像処理エンジン、明快な操作性なども魅力です。

 

【SPEC】

●センサーサイズ:APS-Cセンサー ●有効画素数:約2420万画素 ●レンズ:24~72mm相当F2.8-5.6 ●モニター:3.0型、約104万ドット ●大きさ・重さ:W115×H77.9×D51.4mm・約399g

 

【CHECK01】独自機能:5

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小型ボディにAPS-Cセンサーを採用しつつ、単焦点ではなく光学ズームを搭載できたことは非常に画期的。

 

【CHECK02】使い勝手:4

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上下左右に回転するバリアングル液晶によって、自由な構図で撮影可能。タッチ操作にも対応しています。

 

【CHECK03】操作性:4

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前面グリップ部にダイヤル、レンズ部にリング、背面にホイールを搭載。各種の設定を直感的に変更できます。

 

【CHECK04】EVF性能:4

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約236万ドットの有機ELを装備する。EVF使用時に液晶をタッチして、測距点を自在に動かすことも可能。

 

 

【エントリー②】

電子式と光学式を切り替えて使える唯一無二のファインダー

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富士フイルム
X100F
実売価格12万8840円

初代X100から数えて4代目となる単焦点レンズ搭載機。高品位なデザインと各種ダイヤルによるアナログ操作や、独自の「ハイブリッドファインダー」を継承しつつ、センサーの高画素化やAF強化などを図り、完成度を高めました。

 

【SPEC】

●センサーサイズ:APS-Cセンサー ●有効画素数:約2430万画素 ●レンズ:35mm相当F2 ●モニター:3.0型、約104万ドット ●大きさ・重さ:W126.5×H74.8×D52.4mm・約469g

 

【CHECK01】独自機能:3

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35mm相当の明るい単焦点レンズを継承。今回のテーマである革新性という点で評価は控えめですが、高性能で魅力的なレンズです。

 

【CHECK02】使い勝手:5

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ジョイスティック型フォーカスレバーを背面に新設。心地よく操作でき、測距点を素早く快適に動かせます。

 

【CHECK03】操作性:4

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直感的なダイヤル操作を継承。絞り値やシャッター速度、露出補正などをダイレクトに設定できます。

 

【CHECK04】EVF性能:4

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特徴的な「ハイブリッドビューファインダー」を搭載。電子式と光学式を自動または手動で切り替えて使用できます。

 

 

【エントリー③】

小さなボディに明るいズームと高精細なEVFを搭載

 

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ソニー
DSC-RX100M5
実売価格11万7930円

シリーズ5代目となる1型センサー搭載の高級コンパクト。胸ポケットにも収まる小型軽量ボディを維持しながら、先代機よりAFと連写が大きく進化しています。レンズにはツァイスブランドの光学2.9倍ズームを搭載。

 

【SPEC】

●センサーサイズ:1型センサー ●有効画素数:約2010万画素 ●レンズ:24~70mm相当:F1.8-2.8 ●モニター:3.0型、約123万ドット ●大きさ・重さ:W101.6×H58.1×D41.0mm・約299g

 

【CHECK01】独自機能:4

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AF/AE追従で約24コマ/秒の高速連写に対応。動画並のスピードであり、狙った瞬間を逃さず撮影しやすくなっています。

 

【CHECK02】使い勝手:4

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シリーズで初めてファストハイブリッドAFを採用。薄暗いシーンや動きのある被写体にも素早く合焦します。

 

【CHECK03】操作性:4

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気軽に持ち運べる小型ボディはシリーズ共通の魅力。ただ手が大きな人には、やや窮屈で操りにくい印象も。

 

【CHECK04】EVF性能:5

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収納式有機ELファインダーを継承。表示は小さめですが、スリムな1型センサー機でEVF内蔵はお見事。

 

 

文・作例/永山昌克  撮影/高原マサキ(TK.c)

センサーは大きく、でもボディはコンパクトに! キヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」の与えた衝撃

11月30日についに発売となったキヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」。製品名からもわかるとおり、本機は「PowerShot G1 X Mark Ⅱ」の後継モデルであり、本格志向ユーザー向けのレンズ一体型カメラ(コンパクトデジカメ)である。その最大の特徴は、キヤノンのコンパクトデジカメでは初となる“APS-Cサイズ”CMOSセンサーを採用した点(有効画素数は約2420万画素)。そして、映像エンジン「DIGIC 7」との連携により、PowerShotシリーズのフラッグシップモデルにふさわしい高画質を実現している。それでいて、外観デザインや大きさ重さは、1.0型センサー採用モデルの「PowerShot G5 X」と大差ない小型軽量設計というから驚きだ。

20171128_y-koba2 (1)↑小型軽量設計の「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」。その外観デザインは、1.0型センサー機「PowerShot G5 X」に酷似している。レンズは24-72mm相当の新開発キヤノンレンズを搭載。参考価格は13万7700円

 

センサーは大きく、ボディはコンパクトに進化

キヤノンのPowerShot Gシリーズは、2000年に発売された「PowerShot G1」から始まる。このモデルのセンサーは「1/1.8型・有効約334万画素CCD」だった。そのG1の登場から17年。センサーのフォーマットはついにAPS-Cサイズに到達。G1のセンサーと比較すると、大きさ(面積)は約8.7倍、有効画素数は約7.2倍と、その差の大きさに改めて驚かされる。

 

今回、PowerShot G1 X Mark Ⅲに採用された有効画素数約2420万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーは、高い解像感、広いダイナミックレンジ、豊かな階調表現、といった特徴をもっている。また、フォトダイオードの開口率向上や光電変換効率に優れた構造の採用などにより、常用ISO感度は「最高25600」に到達。さらに、デュアルピクセルCMOS AFや最高約9.0コマ/秒の高速連写を実現している。それでいて、ボディサイズは従来モデルからかなりスッキリした印象だ(従来モデルとの比較の詳細は後半部を参照)。

20171128_y-koba2 (2)↑G1 X Mark Ⅲの小ささは、こうやって手にすると、さらに実感できる

 

20171128_y-koba2 (3)↑カメラ本体も小さいが、付属のバッテリーチャージャーCB-2LHもコンパクト!(しかも、差込プラグ一体型だし)

 

24-72mm相当の新開発キヤノンレンズを搭載

ボディサイズもさることながら、搭載されるズームレンズのコンパクトさにも感心する。24-72mm相当(35mm判換算の画角。実焦点距離は15-45mm)F2.8-5.6の光学3倍ズームレンズ。この仕様だけ見ると平凡だが、APS-Cサイズ用のズームレンズとしては驚くほど小さい。最前部鏡筒の直径はわずか40mmくらいなのだ。このコンパクトサイズで“広角端F2.8”の明るさを実現しているのは立派である。もちろん、描写性能にもこだわった光学設計になっている。両面非球面レンズ3枚と、片面非球面レンズ1枚を採用して、諸収差の発生を抑制。また、インナーフォーカス方式の採用により、高速なAF作動も可能にしている。

 

ただ、24mm相当の広角端はともかく、72mm相当の望遠端の画角は、物足りなく感じる人も多いだろう。少し言葉は悪いが「標準に毛が生えた程度の中望遠」の画角なのだから。しかし、このカメラには「プログレッシブファインズーム」と呼ばれる、画質劣化の少ない先進のデジタルズーム機能が搭載されている(ズームバーで黄色に表示される部分。画質設定がRAWの場合は使用不可)。この機能を使用すれば、高い解像感を保ったままで「144mm相当」までの望遠撮影が楽しめるのである。

20171128_y-koba2 (4)↑広角端15mm(24mm相当)

 

20171128_y-koba2 (5)↑望遠端45mm(72mm相当)

 

20171128_y-koba2 (6)↑光学ズーム望遠端(72mm相当)

 

20171128_y-koba2 (7)↑プログレッシブファインズーム望遠端(144mm相当)

 

上の作例を見てもらえばわかるとおり、24mm相当の広角端は、標準ズームレンズの広角としては十分ワイドな画角が得られる。だが、72mm相当の望遠端は、一般的な望遠効果を望むのは難しい。遠くの風景や近づけない被写体などで、思い通りの大きさで撮れない……という不満が出てくる。そんなときには前述の「プログレッシブファインズーム」を活用したい。

 

続いて、ボケ描写について見ていこう。次の作例は“72mm相当の望遠端・開放F5.6”という条件で撮影したもの。正直なところ、ボケ効果を追求するには、画角も開放F値も物足りない値である。だが、APS-Cサイズの大型センサー採用機なので、それなりのボケ効果は得られた。

20171128_y-koba2 (8)72mm相当 絞り優先オート F5.6 1/160秒 WB:オート ISO100

 

操作性を犠牲にせず小型化と多機能化を両立

ボディの小型化と多機能化を両立させようとすると、どうしても操作性が犠牲になりがちだ。しかし、このG1 X Mark Ⅲは、その点も考慮した設計・仕様になっている。

 

まず、上面に露出補正ダイヤルが設置され、前面グリップ上には電子ダイヤルが設置されている。これは1.0型センサー機・G5 Xと同じスタイルである。通常、この手の電子ダイヤルは、グリップ上部や右手側の背面上部に設置されることが多いのだが、G1 X Mark Ⅲの小型ボディだと、その位置に設置するのは少々厳しい。その点、前面グリップ上ならスペース的に無理がないし、操作性も良好である。

20171128_y-koba2 (9)↑露出補正ダイヤルや前面の電子ダイヤルは、ファインダーを覗いてカメラを構えたままでも快適に操作できる。それはレンズ鏡筒基部のスムーズリングも同様である(撮影スタイルや撮影シーンに合わせて設定したい項目の割り当が可能)

 

液晶モニターは、自在に角度が変えられる「バリアングル液晶」を採用。この方式は、上下チルト式とは違い、カメラを縦に構えた際にも対応できる。だから、画面の縦横に関係なく、地面すれすれからのローアングル撮影や、高い位置から被写体を見下ろして撮るハイアングル撮影が快適に行えるのである。

20171128_y-koba2 (12)↑バリアングル液晶の機能と、コンパクト設計(細身のレンズ鏡筒)を生かして、フェンスの隙間からローポジション&ローアングル撮影を敢行

 

20171128_y-koba2 (13)↑こちらが実際に撮れた写真。絞り優先オート 24mm相当 F11 1/60秒 WB:オート ISO160

 

20171128_y-koba2 (14)↑こちらの作例は、石造りのアーチをローポジション&ローアングル撮影することで、この被写体の存在感を高めている。それと同時に、手前に散らばる落ち葉の存在感も高まった。24mm相当 絞り優先オート F11 1/60秒 WB:オート ISO320

 

バリアングル液晶は「タッチパネル」機能も搭載している。画面をタッチしてAF位置が迅速に選択でき(タッチAF)、そのままシャッターを切ることも可能である(タッチシャッター)。また、機能の設定や画像の閲覧なども、タッチ操作で快適に行える。サイズも3.0型と十分な大きさがだが、ボディがコンパクトなぶん、モニター右側のボタン配置が少々窮屈な点がやや惜しい。

20171128_y-koba2 (11)↑タッチパネルが反応する領域を設定することも可能。これによって、ファインダー撮影時に“自分のスタイル”に応じた操作が可能になる

 

20171128_y-koba2 (10)↑3.0型液晶モニターがとても大きく見える、コンパクト設計のG1 X Mark Ⅲボディ。そのため、モニター右側のボタン配置が少々窮屈な印象。ボディをホールドする際に重要になる“親指を置くスペース”も少々物足りない

 

風景撮影などで悩ましい小絞り時の解像感が向上

レンズの絞りを過度に込んだ際に発生する「回折現象(※1)」は、画像の解像感を低下させる原因になる。その点、G1 X Mark Ⅲでは、映像エンジン「DIGIC 7」の高速処理性能による光学情報を活用した補正を実現。これにより、回折現象を高度に軽減することが可能になった。風景撮影などでの、画面全体にピントを合わせる(パンフォーカス)撮影で、細部までシャープに描写することが可能になる。

※1. 光や音などが進む際に、障害物に遮られるとその背後に回り込む現象。絞りの背後に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなるために解像力が低下する

20171128_y-koba2 (17)↑ここでの作画のポイントは遠方の赤く色づいた木(葉)になるが、手前に入れる近くの木の枝もシャープに写したい。そのためには十分に絞り込む必要がある

 

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20171128_y-koba2_19_R↑F8からの部分切り出し(上)とF16からの部分切り出し(下)の部分比較。F8で撮影したほうと比べると、最も絞ったF16のほうは少し解像感が劣っている印象。だが、その差は通常のカメラほどではない

 

20171128_y-koba2_20↑逆光に映える手前のカツラの葉と、その後ろにそびえるメタセコイアの並木。その両方をシャープに描写するため、最小絞りのF16まで絞って撮影した。24mm相当 絞り優先オート F16 1/80秒 +0.3補正 WB:オート ISO100

 

“最短撮影距離10cm”を生かして被写体に踏み込む

G1 X Mark Ⅲの最短撮影距離は、広角端は10cm、望遠端は30cm(いずれもレンズ先端からの距離)。その際の撮影範囲を仕様表で確認すると、望遠端のほうがわずかに狭い。つまり、クローズアップ度が高くなる。だが、その差は本当に“わずか”である。筆者個人としては“広角端10cm”のほうを評価したい。広角域で被写体の近くまで接近する“肉薄感”は、望遠域とは違うダイナミックな描写・表現が得られるのである。

20171128_y-koba2_21↑渓流脇の岩場に落ちていた一葉の紅葉。広角端で最短撮影距離近くまで接近する。イイ感じ。24mm相当 絞り優先オート F2.8 1/60秒 -0.3補正 WB:太陽光 ISO200

 

20171128_y-koba2_22↑菊花展に展示されていた色鮮やかな棚作りの菊。広角端で最短撮影距離近くまで花に接近しつつ、広い画角で背後の様子も写し込む。これまたイイ感じ。24mm相当 絞り優先オート F2.8 1/250秒 WB:オート ISO100

 

【まとめ】驚くほどコンパクトだが仕様や機能は本格志向

キヤノンのコンパクトデジカメ初の“APS-Cサイズ”CMOSセンサーの採用。広角端で10cmまで接近できる、24-72mm相当の高性能な光学3倍ズームレンズを搭載。約236万ドットの高精細な有機EL 内蔵EVF。AF追従で最高約7コマ/秒の高速連写(実写の結果、画質設定がRAW+Lでも、速度が落ちずに15、16カットは撮影できた)。しかも、雨雪やホコリの多い場所でも安心な「防塵・防滴構造」を採用。

 

こういったハイレベルな仕様や撮影機能を持ちながら、1.0型センサー搭載機と見紛うほどの小型軽量なボディ。PowerShot G1 X Mark Ⅲは、軽快に使える本格派コンパクトデジカメである。

20171128_y-koba2_31↑同梱のネックストラップ NS-DC12とストラップアダプターを装着して、首からPowerShot G1 X Mark Ⅲをぶら下げる。このスタイルで半日ほどブラブラと散策したが、ほとんど負担は感じなかった