「こういった構想が出てくる時点で日本はヤバい」 手助けをしたい人×困った人のマッチングサービスに悲しみの声

12月11日から15日にかけて、困難を抱えた人と手助けをしたい人をマッチングする「&HAND」構想の実証実験が行われる。画期的な試みだが、ネット上では「こんなサービスがないと手助けもできない現代人のコミュ力が心配…」と物議を醸した。

出典画像:「&HAND」公式サイトより出典画像:「&HAND」公式サイトより

 

「LINE」が人の善意を後押し!

「&HAND」構想とは、誰もが手助けし合えるインフラを提供して「やさしさからやさしさが生まれる社会」を実現しようという取り組み。今回はその一環として、「&HAND」プロジェクトチームの中心に、LINE、東京地下鉄、大日本印刷が協力。東京メトロ銀座線の最後尾車両内で、妊婦と手助けをしたい人をマッチングするサービスの実証実験が行われる。

 

この実験には、「&HAND」のLINEアカウントを“友だち登録”して「サポーター」になることで参加可能。サポーターが車両に乗車すると、妊婦の人が「座席に座りたい」というメッセージを「&HAND」のLINEアカウント宛に送信する。このメッセージを受け取ったサポーターは、妊婦の人と同じように同アカウントへ返信。座席位置を伝え、やって来た妊婦に席を譲るという流れだ。

 

今回の実証実験では、「乗客の方の行動変容や今後のサービス開発に向けた課題」などが調査されるとのこと。このプロジェクトにSNSなどでは「素敵な取り組みだと思う!」「お腹の膨らみが目立たない妊婦さんもいるし、これは画期的」「こういうITの活用の仕方はどんどん推し進めていくべき」と賛同の声が。

 

一方で疑問視する声も少なくないようで「逆にここまでしないと席を譲れないのかな? なんか複雑」「普通に声をかけて普通に譲る。そんな社会になれば良いのに…」「こういった構想が出てくる時点で日本はヤバい」「これが効果を発揮したらそれはそれで悲しいな」との声が上がった。

 

席を譲らない国・日本

「思いやり」「おもてなし」などを前面に押し出して世界に発信しているが、“席を譲らない国”としても有名な日本。2016年にヴァル研究所が行ったアンケートでは、「あなたは優先席以外でも席を譲るべきだと思いますか」という質問に57.1%の人が「はい」と回答。5割以上の人が“譲るべき”と考えているようだが、2013年の調査と比較すると19%も減少している。

 

また「あなたが座席に座っていて、目の前にお年寄りや妊婦がいると気づいても席を譲らなかったことがありますか」という質問には、約6割の人が譲らなかった経験があると回答。この結果を受けて同アンケートには「例えば席を譲ろうとして断られてしまったことがあるなど、何らかの要因により、席を譲る意識が低下したものと推測されます」とも掲載されている。

 

譲らない理由にも色々あるようで、ネット上では「結構な確率で断られるから譲りにくいよね」「妊婦さんなのか太ってる人なのか判別が難しい時がある」「『年寄り扱いされたくない』って人も多そうだから難しい」との声が。

 

このような意見には「そんな深く考えないで、話かけて断られたら座ればいいじゃん」との反論もあるが、「断られると恥ずかしい」という人もおり中々ままならないようだ。このような社会で「&HAND」の試みはどのような効果を発揮するのか、まずは実証実験の結果に期待したい。