「現代の流れに合っていない」 NHK「あさイチ」の“24時間営業”特集に様々な意見

1月31日放送の「あさイチ」では、近年見直されつつある“24時間営業”を特集。24時間営業から撤退する店舗も多いようだが、視聴者からは賛否両論の声が上がっている。

出典画像:「あさイチ」公式サイトより。出典画像:「あさイチ」公式サイトより。

 

“24時間営業”はなくなると困る?

番組によると、近年コンビニ業界で問題視されているのは人手不足。例えば売り上げから仕入れの代金を引いた“儲け”が450万円だとすると、そのうちの半分を本社に納めなくてはならないので、店長の手元にのこるのは225万円。そこから人件費100万円など諸々の経費を引くと、店長の収入は55万円になるという。

 

しかしこの“人件費100万円”というのは十年前の水準で、現在は人手不足により人件費が高騰。100万円で収まっていた店舗だと、今では120万円ほどにまで値上がりしているそうだ。そのためこのケースの場合、店長の収入は35万円。実際に生活が苦しくなってしまうコンビニ店長は多いようで、コンビニ研究家の田矢信二氏は人件費を削減するために深夜まで働く人もいると語っていた。

 

このような背景もあり、最近コンビニ業界では“24時間営業”を見直す動きが出てきた。例えばファミリーマートは一部店舗での営業時間短縮を検討していたり、ローソンも“無人レジ”の開発を進めて従来の営業スタイルを見直している。しかし田矢氏曰くコンビニが24時間営業を辞めるには様々な課題があるようで、「現状ではコンビニは“24時間”を前提で始まってます」「物流もすべて“24時間”を前提に全てのビジネスを考えてるわけです。だからやはりなかなか難しい。簡単ではないのかなと思いますね」とコメントしている。

 

24時間営業のコンビニが必要か否かを巡っては以前からネット上でも議論されており、今回の放送にも「24時間営業は働き方が見直されている現代の流れに合っていない」「店長が利益出せてないなら24時間営業なんか辞めてしまえ」「コンビニに限らず人間は深夜に働くな! もっと休め!」との声が寄せられた。

 

一方で「始めちゃったものは仕方ないというか… 今どこかの店舗が24時間営業を辞めても続けてる店舗が売り上げ独占するだけだよね」「24時間営業に需要がある社会をまずどうにかしないとただ単に不便になるだけ。実際今無くなると生活できないレベルで困る」「24時間営業を辞めたコンビニなんてスーパーの下位互換では?」との意見も。やはり既存のサービスをダウングレードするには、様々な困難がつきまといそうだ。

 

コンビニ各社は“無人化”も検討?

賛否の声が上がる24時間営業だが、業界最大手のセブン‐イレブンでも様々な対応が検討されている模様。現在大手コンビニ各社では「セルフレジ」の本格導入が検討されており、2025年までにレジの無人化を進めていくとのこと。そんななかでセブン‐イレブンは、2017年5月に韓国で“無人店舗”をオープン。静脈による生体認証で決済を行うシステムを採用し、新たな店舗スタイルとして注目を集めた。

 

一方でセブン‐イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は、「週刊東洋経済」の取材に「(24時間営業を)見直すつもりはいっさいない」と回答。売上高の激減や「深夜の営業をやめると、昼間に作業負担が集中してしまう」といった理由から、今後も“24時間営業”というスタイルは崩さないようだ。

 

今後コンビニエンスストアはどのように変わっていくのか。店舗設備の技術革新とともに見守っていきたい。