「3Dプリンター」で劇変するナイジェリアの製造業と医療業界

【掲載日】2022年7月6日

3Dプリンターがアフリカの製造業に変革を起こしています。学校建設や義手の制作など、高い汎用性を持つこの技術には、過去の産業革命のように、国や地域の経済を一変させる可能性がありますが、ナイジェリアでは特に若い世代の間で大きなビジネスチャンスを生み出しています。

アフリカ経済を変える3Dプリンター

 

長年、ナイジェリアにとって機械部品は悩みの種の一つでした。同国は機械製品の輸入依存度が高く、特に中小規模の製造業者にとって機械部品を調達することは簡単ではありません。製造ラインが故障した場合、粗悪な部品を代用して製造を再開せざるを得ないケースが多く、それが商品の品質低下や機械の再故障を招くという悪循環を生み出すことに。全体として、この問題はナイジェリアの製造業の発展を大きく阻害してきた要因の一つでした。

 

3Dプリンターはそれを変えています。現在のナイジェリアでは、機械部品を3Dプリンターで製造する新興企業が続々と生まれており、需要が急増している模様。これまで中小の製造業者に対して主導権を握っていた部品輸入業者などから見れば、混乱した状況かもしれませんが、3Dプリンターによって今後のナイジェリアの製造業は大きく飛躍していくことが見込まれます。

 

実際、機械工学を専攻している大学生が、研究の一環で導入した3Dプリンターが仕事につながるなど、この技術は、学生やアーティストを含めた同国の若い世代に、雇用や起業の機会をもたらしています。ナイジェリアでは医療分野においても3Dプリンターの導入が始まっており、例えば、手術を予定している患者の情報にもとづいて、手術器具の一つであるカッティングガイドをこの方法で作った結果、手術時間が短縮されるということが起きています。

 

このように、3Dプリンターに代表される最先端テクノロジーは、新興国にとって大きなビジネスチャンスを生み出す爆発力を秘めています。この「産業革命」は始まったばかりで、ニッチな分野を含めて広範囲に需要が生み出されていく見込み。外国企業にとっても進出チャンスが大いにあるでしょう。

 

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世界初の「3Dプリンター学校」、アフリカの教育を変える驚きの手法

【掲載日】2022年6月13日

アフリカの南東部に位置するマラウイでは現在、学校と教員が不足しています。ユニセフ(国際連合児童基金)によれば、同国では約3万6000の教室が必要であるうえ、教員1人当たりの生徒数は99人であるとのこと。この状況は生徒の習熟度に大きく影響します。そこで、マラウイは学校不足を解消するために、意外な手法を用いました。

マラウイで開校した世界初の3Dプリンター学校(画像提供/14Trees)

 

2021年6月、3Dプリンターを使って建設した学校が世界で初めてマラウイで開校しました。この学校を建設したのは、スイスの建築資材企業ホルシムと英国政府系の開発金融機関ブリティッシュ・インターナショナル・インベストメントの共同事業である14Trees。建設に要した時間はわずか18時間で、この学校は70人の生徒を収容することができます。マラウイの多くの児童は、自宅から数キロ以上離れた、かなり遠い学校に通学することを余儀なくされており、この学校はアクセスの改善においても強く期待されています。

 

また、従来の工法では約3万6000の学校を建設するために約70年を要するとユニセフは試算していますが、14Treesは3Dプリンター工法を活用することで、それを約10年に短縮することができると推計しています。

 

3Dプリンター工法は建設時間に加えて、コストと環境負荷の軽減にも有効。従来工法と比較すると建設コストは約25%減、二酸化炭素排出に関しては約86%も軽減することが判明しています。その反面、課題も存在しており、現在の建設用大型3Dプリンターのコストは約10万ドル(約1330万円※)以上と高価なもので初期の資金調達をクリアすることが必要です。投資家や寄付者を募る国々も多いとは思いますが、将来性の観点からすると非常に高い興味を持たれる事業であると想定できます。

※1ドル=約133円で換算(2022年6月8日現在)

 

3Dプリンターを使った学校建設プロジェクトは、マラウイ以外にもケニアや南アフリカ、マダガスカルなどで進行中。アフリカは爆発的な人口増加の渦中におり、子どもの数は増える一方ですが、多くのアフリカ諸国がマラウイと同様の問題を抱えています。また、今後アフリカ全土に広まる可能性を持つ本事業は、ほかの大陸の新興国にも注目されています。教員不足は別の問題ですが、学校が増えることはアフリカの教育にとって重要な進展となるでしょう。

 

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時速321kmで街を突っ切る! 米デンバーで進む高速輸送システム「Arrivo」

米国ロサンゼルスで開催されたSOLIDWORKS WORLD 2018に目を引くユニークなスタートアップが登壇しました。高速輸送システムを開発する「Arrivo」です。

 

高速輸送システムといえば、起業家イーロン・マスク氏が構想した輸送システム「ハイパーループ」が有名でしょう。ハイパーループは真空のチューブに車両を浮かばせて高速で走らせる超高速輸送システム。構想では時速1000㎞超が想定されています。

 

現在、複数のスタートアップがハイパーループの実現に向けて動いている段階です。その筆頭であるヴァージン・ハイパーループ・ワンはネバダ州に全長536メートルのハイパーループを建設し、走行テストを行っています。

 

しかしながら、ハイパーループはチューブを真空状態に保つことが難しいこと、多大な建設コストが発生すること、車両制御の難易度が高いこと、建設地の確保が難しいことなど多くの課題が山積みで、実現まで時間がかかりそうなのが現状です。

 

また、実際に利用者に「選ばれる」サービスになり得るかどうか疑問符も付いています。現に前述のヴァージン・ハイパーループ・ワンの共同創業者ブローガン・バンブローガン氏は独立して「現実的」な高速輸送システム実現のためにArrivoを立ち上げています。

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ブローガン氏はWiredに対してこう語っています。「2つの都市の間を、金属製のチューブに入って低圧下で速く移動したいと思えば、私は飛行機を使います。飛行はスムーズだし、オレンジジュースは無料だし、とても効率的な乗り物ですよ」

 

ブローガン氏の見解は、人々は都市間を跨ぐくらい遠い距離であれば飛行機を利用するだろうし、都市圏内の短い距離ではハイパーループほど速い輸送システムを必要としないというものです。

 

Ariivoは都市圏内の輸送システムを想定しており、チューブで真空状態を作る輸送システム構築は目指していません。その実現にはコスト面、エンジニアリング面でクリアすべき課題が多すぎるためです。

 

Arrivoの構想は一般道に沿ってレールを引き、そのレールに高速で車両を走らせるリニアカーのような高速輸送システムです。ハイパーループ並みの超高速での移動にはなりませんが、それでも最高時速は200マイル(321キロ)ほど。

Arrivoの高速輸送システムでは自動車を乗せることができる車両、貨物を乗せる車両、人を乗せる車両など目的に合わせた車両が用意される予定。

 

Arrivoの車両はレールのみならず一般道も走ることができるように設計されています。なお、この高速輸送システムの設計には3D-CADツールのSOLIDWORKSが活用されているそうです。

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ArrivoのエンジニアであるRyan Kraft氏がSOLIDWORKS WORLD 2018で登壇しました。Solidoworksを使うことで設計、製造、テストのプロセスを早めることができ、コストを削減できたなと語っていました。迅速にサービスを展開する必要があるスタートアップにとってこのようなツールは欠かせないでしょう。

 

Arrivoの動きは非常に早く、既に昨年11月にコロラド州交通局との提携が発表されています。2019年にシステムの建設に着工し、2021年には営業開始を目指すとのことです。コロラド州のデンバー空港からデンバー市内までのラッシュ時には車で55分かかる32マイル(51㎞)の道のりがArrivoの高速輸送システムだと9分に短縮される想定とのこと。

 

今後Arrivoは様々な自治体や利用者に受け入れられるのか、また、現実的な高速輸送システムとして機能するのか。その動向から目が離せません。

 

 

 

 

大幅に価格安! HPが「メーカー」の鍵を握る業務用3Dプリンター「HP Jet Fusion 300/500シリーズ」を発表

米国で話題となった書籍「MAKERS」において、著者のクリス・アンダーソンは、「アイデアがあれば、製造に関する専門知識や大がかりな設備がなくても誰もが1人メーカーになれる」時代がやって来ていると述べています。これがいわゆる「パーソナルファブリケーション(個人が自宅の机やガレージでものづくりを行うこと)」という考え方です。

 

その「1人メーカー」にとって重要な役割を果たすのが3Dプリンターです。この機器によって、デジタルデータを基にして立体物を簡単に造形することができるようになりました。この技術革新が、家内制手工業(生産者が道具や原材料を自ら調達し、家において手作業で生産し、販売する生産形式の一形態)ならぬ「家内制“機械”工業」の実現を後押ししています。

 

そんな3Dプリンターを開発しているのがアメリカのHP(ヒューレット・パッカード)です。ロサンゼルスで開催された「SOLIDWORKS World 2018」で同社は業務用3Dプリンターシステム「HP Jet Fusion」を新発表しました。

20180223_kubo14↑ HP 3Dプリンティング部門プレジデントStephen Nigro氏

 

HPは既に3Dプリンターをリリースしていますが、現行モデルでは価格は数千万円台と個人やベンチャー企業には手が届かないものでした。

 

今回発表された「HP Jet Fusion 300/500シリーズ」の価格は5万ドル(日本円換算約543万円)からとなっており、個人で購入するのは厳しいかもしれませんが、中小規模の企業には手の届く価格帯となりました。

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「HP Jet Fusion 300/500シリーズ」には造形色が白黒の「HP Jet Fusion 340/540」と、フルカラーの「HP Jet Fusion 380/580」が存在します。

 

従来、新製品のプロトタイプを作るには金型から作成する必要がありました。当然ながらそれには時間とコストがかかります。しかし、「HP Jet Fusion 300/500シリーズ」のような3Dプリンターを利用することで、金型を作ることなしにプロトタイプを簡単に作ることができるわけです。

 

プロトタイプが作れると、ユーザーテストを実施することもでき、市場に受け入れられそうかどうか高い精度で判断することも可能となります。

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HPのプレスリリースによると「HP Jet Fusion 300/500シリーズ」は同価格帯の競合他社の3Dプリンターと比べてもだいたい数倍速いとのこと。プロダクト設計→プロトタイプ製作→ユーザテスト→改良→製造のプロセスをグッと短縮できそうです。中小企業に重宝されそうですね。

 

「HP Jet Fusion 300/500シリーズ」はすでに受注を開始しており、2018年後半に出荷を始める計画とのことです。

 

(取材協力:ダッソー・システムズ)

ポルシェが3Dプリンターから旧車のパーツを供給

ポルシェクラシックは、パーツ供給問題への解決策として3Dプリンターを活用することを発表した。「スペアパーツの入手不可」という言葉は即座に問題を引き起こし、最悪の場合、クルマを走らせることができなくなる可能性があるだけに、クラシックなポルシェの愛好家にとっては朗報となる。

 

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その解決策となるのが、3Dプリンターを駆使することで少量のみ必要とされる非常に希少なパーツをリプロダクトするというもの。実際、生産されるパーツは技術的にも外観的にも、すべてオリジナルのパーツに対する完璧な忠実性という要件を満たしているという。

 

現在、ポルシェ クラシックでは約52,000点のパーツを揃え、スペアパーツの在庫が少なくなったり在庫切れになると、オリジナルのツールを使って複製している。しかし、需要がごく小数に限られてしまう欠品パーツの供給を確保することは、ポルシェ クラシックのエキスパートにとってさえ大きな課題となっている。

 

そんな非効率な部分を極力減らすため、特定のコンポーネントを製造するプロジェクトに乗り出す際、ポルシェ クラシックでは常に事前に幅広い製造方法を検討している。

 

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「レーザー溶融法」と「SLSプリンター」

実際に3Dプリンターを活用して作られたのは、「レーザー溶融法」を用いて製造されるスチールおよび合金製のパーツと「SLSプリンター」を用いて製造される樹脂製コンポーネントである。

 

「レーザー溶融法」は、不活性ガスの中で、高エネルギーのライトビームを用いて希望する場所で粉末を溶融、スチール層を作り出してプリントされ、3トン近い負荷をかけた圧力試験と、その後の内部欠陥を調べる断層撮影法による検査にも見事にクリア。実地試験と徹底的な走行試験により、コンポーネントの完璧な品質と機能が確認されている。なお、この手法を用いて作られたのはポルシェ959(生産はわずか292台)のクラッチリリースレバーだとか。

 

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一方、「SLS」は「レーザー焼結法」の略で、これは融点の直前まで材料を加熱し、残余エネルギーを用いレーザーで目的とする箇所の樹脂粉末を溶解するという方法。全パーツとも、最低でもオリジナルの品質要件以上に高い基準をクリア。また、取り付けたパーツを用いて試験することで、寸法と嵌め合いの精度が確保。オリジナルと同様、多様な材料で作られた樹脂製パーツは、オイル、燃料、酸、光への耐性を有する必要もあるが、結果はいずれも満足できるものだった。それを踏まえ、ポルシェ クラシックでは、3Dプリントを使って8つのパーツを製造。さらに20のコンポーネントの製造についても3Dプリントが適切であるかどうか、試験している最中だという。そのメリットは、コンポーネントの3次元デザインデータや3Dスキャンがあれば、製造を開始するための十分な基礎となること。したがって、必要に応じ、注文があり次第コンポーネントを製造できるので、ツールと保管コストの節約にもなるというわけだ。

 

ちなみに、この記事に掲載されているパーツだが911スピードスターのミラーベースや959のフューエルキャップ、964型911のクランクアーム、そして356Bおよび356C用のヒートエクスチェンジャーブラケットだ。

 

 

 

「21世紀の産業革命」はすぐそこに! 世界中の”モノづくりギーク”が熱狂する「SOLIDWORKS World 2018」レポート

「SOLIDWORKS World」というイベントをご存知でしょうか?

 

世界最大の家電見本市「CES」ほど有名ではありませんが、SOLIDWORKS Worldは、世界中のメイカーが製作した最新プロダクトを並べ、3Dプリンターなど製造業における最先端テクノロジーを紹介する大規模なイベントです。20回目となる今年は2月4~7日まで米国ロサンゼルスで開催。今回、筆者も初めて取材してきました。

 

SOLIDWORKSはダッソー・システムズが開催

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SOLIDWORKS  Worldは、過去に紹介した「バーチャル・シンガポール」プロジェクトを運営するフランスのダッソー・システムズが開催しています。同社はバーチャル世界に特化しており、製品設計用「3Dモデリング(スマート製品などの分野で使われるシステムエンジニアリングの1つ)」というコンセプトをもとに様々なソフトウェアを開発し、航空宇宙、防衛、ハイテク、建築、エネルギー、自動車など幅広い産業に提供しています。顧客は140か国に22万社以上いるとのこと。

 

同社が展開する様々なブランドのなかに、3D設計やデータ管理、シミュレーションなどの機能を提供する3D-CADソフトの「SOLIDWORKS」があります。同製品は直感的に製品設計でき、部品同士の干渉や強度検討なども可能。世界中に数百万人のユーザーがいます。SOLIDWORKS  Worldは主にそのユーザーイベントとなっており、世界各国から5000人以上の人たちが集まり、新開発または開発中のテクノロジーやアイデアに触れ、刺激を受けていきます。このイベントは一言で言えば、「モノづくりのエンタメパーク」です。

 

SOLIDWORKS World 2018では、その「SOLIDWORKS」を利用して少人数でプロダクトを設計し、短期間でプロトタイプを製作して改良を重ね、精度の高いプロダクトをリリースしている企業を数多く見かけました。それらのプロダクトが世の中に送り出されるプロセスは、数年前に読んだ元Wired編集長クリス・アンダーソン氏の著書「MAKERS」の内容を彷彿させるものでした。

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同書では、CADなどのデジタル設計ツールの性能向上や3Dプリンターの登場によってプロトタイプの製造が容易になったこと。Webの製造受託サービスが普及したことで製造のインフラが容易に利用できるようになり、それによって製造業が大企業から個人の手に渡る世界がより現実味を帯びてきていると述べられていました。

 

クリス氏はこれを「メイカーズ革命」と呼びましたが、SOLIDWORKS  Worldはそれが強く実感できる場でもありました。

 

イベントではその3D-CADソフト「SOLIDWORKS」を活用してデザインしたプロダクトが数多く紹介されました。以下に紹介します。

20180216_kubo03↑ プロダクトのジャンルは幅広く、バットマンが乗る「バットモービル」をプレゼンする会社も

 

20180216_kubo04↑ 歩行アシストロボット

 

20180216_kubo02↑ エンジン付きのサーフボード

 

20180216_kubo08↑ 東京とサンフランシスコ間を5時間半で飛行する超音速旅客機(既に設計済みで近々テスト飛行予定)

 

すべてのプロダクト設計に共通していたのが、SOLIDWORKSを活用することでプロダクト設計が容易になったという点。このソフトウェアは強度不足な部分や熱がたまりやすい部分、振動に弱い部分を自動でシミュレーションし、条件に耐えうる設計へ変更することができます。

 

また、3Dでプロダクトを分かりやすく表現できるため、設計者と生産現場との情報共有を捗らせます。これが迅速で精度の高いプロダクト製造につながっているのです。

 

このような機能がベンチャー企業や個人の製造業への参入を容易にしているとも言えそうですが、幅広いジャンルのプロダクトの設計や製造を、インターネットにつながったコンピューター上のデジタルツールでシームレスに行えるようになったというのは驚くべきことではないでしょうか。

20180216_kubo07↑ 会場に走って駆け込んでいくイベント参加者たち

 

「SOLIDWORKS World」には世界中からまさに「モノづくりギーク」ともいえる人たちが集結しており、会場は熱気で溢れ、さらに一種のモノづくり仲間意識のような不思議な空気さえ漂っていました。

 

次回以降よりSOLIDWORKS Worldで取材した世界中のメイカーたちのプロダクトについて順次ご紹介していきます。

 

(取材協力:ダッソー・システムズ)

「ここまで進化してるの?」 3Dプリント、レーザー彫刻、CNC彫刻がオールインワンになったコンパクト工房「MOOZ」に大注目

3Dプリント、レーザー彫刻、CNC彫刻がオールインワンになった「MOOZ(ムーズ)」のクラウドファンディングがMakuakeに登場。自宅が工房になる画期的なプロダクトに支援者が続出している。

出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより

 

自宅が工房になる「MOOZ」!

高品質なアルミニウム合金を使用した筐体がカッコいい「MOOZ」の外形寸法は、285×285×318mm。コンパクトサイズのため、デスクにも置くことができる。またヘッドを交換するだけで機能を切り替えられるので、様々なツールを購入するより手軽にアイデアを形にすることが可能。本体はモジュール型デザインなので、簡単に組み立てられるのもうれしいポイントだ。

出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより

 

肝心の機能面も充実。高水準の工業用リニアガイドウェイが搭載されているため、印刷時の振動を最小限に抑えられる。また高精度モーターも搭載されており、最大0.005mmの精度で様々なプリントが可能に。3Dプリンティングのヘッドはレイヤー精度0.05~0.3mmを誇り、CNC彫刻は木材やプラスチック、PCBボードなど非金属製品であれば対応できる。さらに、パワフルなレーザー彫刻ヘッドは文字のプリントだけでなく、ロゴの彫りつけや食品彫刻もできるという。

出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより

 

世界で最も権威のあるデザイン賞の一つ“iF DESIGN AWARD”を受賞したスタイリッシュな「MOOZ」に、SNSなどからは「とても夢があるな!」「はっ? えっ? なにこれめっちゃ欲しい」「よくわからないけどすごい! 昨今のプライベートな3Dプリンターってここまで進化してるの?」といった声が上がっている。

 

お買い得に買える今が狙い目!?

「MOOZ」のクラウドファンディングには多くの支援金が寄せられており、残り49日(2月8日時点)を残して目標金額50万円の209%である約105万円の支援金額が寄せられている。

出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより

 

リターンは「MOOZ」を安く手に入れられるというもので、「Mooz-1本体」「3Dプリンティングヘッド」「レーザー彫刻ヘッド」「CNC彫刻ヘッド」「コントロールパネル」「フィラメント」がセットになった“MOOZ-2Z”は7万9800円ほど。すこし高いと思うかもしれないが、一般販売予定価格は9万9336円、各種ヘッドだけでも1万9800円なのですべて揃うセットはおトクかもしれない。

出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより出典画像:「3Dプリント、レーザ彫刻、CNC彫刻がオールインワン! コンパクト工房『MOOZ』」Makuakeより

 

ほかにも「シングルZ軸セット(本体)」「3Dプリンティングヘッド」「コントロールパネル」「フィラメント」がセットになった“MOOZ-1Z 基本セット”5万9800円(一般販売予定価格7万5384円)などが用意されている。

 

価格帯には「フルセットでナナキュッパとか安すぎ」「価格とメタル感に魅力を感じた」「買うかめっちゃ迷ってるわ」といった驚きの声が続出中。安く手に入るこの機会にチェックしてみてはいかが?