【CES 2025】スズキがCES初出展! パイオニア、ヴァレオ、ジェンテックスなどモビリティ出展社を一挙紹介!

毎年1月初め、米・ラスベガスで開催されているのが世界最大のIT家電ショー「CES(セス)」です。今年もCES 2025として、1月7日から4日間にわたってラスベガスコンベンションセンター(LVCC)で開催され、世界中から多くの関係者を集めて賑わいました。

↑今年からCESのロゴマークが新しくなり、読み方が“シーイーエス”であることをアピールしていた

 

モビリティを中心として取材した第二弾は、CESに初出展したスズキを筆頭に、モビリティに深く関わるサプライヤーの出展を中心にご紹介します。

↑ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)。これ以外にモビリティ系を展示したウエストホールがある

 

“小・少・軽・短・美”で培ったモノづくりの理念をアピール

スズキがCES 2025で示したテーマは、“小・少・軽・短・美(しょうしょうけいたんび)”。軽自動車で培ってきた“もの作りの理念”をEVと結びつける、極めて日本的な発想の下、独自の存在感を発揮していたのが印象的でした。

↑モビリティ系が集まるLVCCのウェストホールに出展したスズキのブース

 

↑出展テーマは“小・少・軽・短・美”。スズキがもの作りで培ってきた理念がここに含まれている

 

会場の正面に軽トラック「スーパーキャリイ」が置かれたため、軽トラが米国内で人気を博していることを背景に、「スズキが軽トラをアメリカで売るのか!?」と勘違いした人も多かったようですが、これはスズキの“もの作りの理念”を理解してもらうための展示だったようです。

↑スズキのモノづくりの理念を表す意味で出展された「スーパーキャリイ」。米国での販売予定はない

 

スズキによれば、CES視察のために社員を毎年派遣してきていたそうです。そんな中でより多くの人たち(仲間)との交流が育まれ、ここから新たなモノづくりの発想が生まれるようになったといいます。今回のCES 2025への出展はそんな結果を世に示すためものだったというわけです。

 

今回の出展のメインとしていたのが『電動モビリティベースユニット』です。これはスズキが電動車椅子で培ってきた技術を応用し、用途に応じたロボットの足回りとして提供できるようにしたもの。スズキが車両側の制御技術をベースユニットとして提供することで、スタートアップが目指す開発のハードル引き下げにもつながると考えたものです。

↑電動車椅子の技術を活用した「電動モビリティベースユニット」

 

会場には電動モビリティベースユニット本体の他、それを活用したLOMBYの自動配送ロボット「LM-A」や、エバーブルーテクノロジーズの「除雪ドローンV3」を出展し、来場者の関心を誘っていました。

↑「電動モビリティベースユニット」を活用して開発されたエバーブルーテクノロジーズの「除雪ドローンV3」

 

会場中央に置かれた『自動運転電動台車』も注目の的でした。これはスズキがジムニーのラダーフレームを活用し、オーストラリアの「Applied EV」と共に開発したもので、主として物流現場の効率化や人手不足に悩む地域で働く人の代わりに役立つ製品として開発されたそうです。

↑ソフトウェアカンパニーである「Applied EV」と共に開発した「自動運転電動台車」。自動運転レベル4を想定するため運転席はない

 

それぞれが得意とする役割を分担。スズキとしては足回りや走行系のノウハウを提供し、Applied EVは得意とする自動運転レベル4で走行できる統合制御技術を担当しました。まずはスズキの湖西工場で部品の運搬、さらにはオーストラリアの鉱物採掘現場での運用も想定しているということでした。

 

4chスピーカーで「Dolby Atmos」の没入感を再現。未来のCOCCHiも

CES出展の常連としてパイオニアは、今回もモビリティに特化した展示を行いました。その中で最もわかりやすかった展示が、4チャンネルでDolby Atmosの再現を可能にするディスプレイオーディオの試聴デモです。

↑4スピーカーでDolby Atmosを再現するディスプレイオーディオのプロトタイプ

 

Dolby Atmosとは、映画やライブ音楽を再生する際に、その場にいるような没入感が楽しめるサラウンドシステムのこと。本来ならその実現には5.1chや7.1chといった音響システムが欠かせず、そのコストは当然ながら高くなります。

↑ディスプレイオーディオのプロトタイプで展開されるDolby Atmosの設定画面

 

そこでパイオニアは、フロント/リアスピーカーと4つのアンプチャンネルのみでCarPlay上でDolby Atmosを展開できるソリューションを開発。これをディスプレイオーディオに組み込んで会場内で試聴デモを実施したのです。

↑セダンに組み込んだ6スピーカーで、Dolby Atmosの没入感を見事に再現していた

 

試聴してみると、ドラムの音が車内をグルグルと回り出す効果が見事に再現できているのを実感。デモカーはツィータとウーファーをセパレートで組み合わせて、前方は音に厚みが出ていて、その没入感たるやとても4chで再生されているとは思えないものでした。

 

パイオニアとしては、OTAでアップデートするSDVのアプリケーションの一つとして提案するほか、後付けとなる市販オーディオに対してはオートタイムアライメントEQのように、セットアップの自動化で対応していきたいと話していました。

 

会場には“未来のCOCCHi”も出展されていました。マイクロソフトの生成AIサービス「Azure OpenAI Service」を活用してUX(ユーザーエクスペリエンス)向上を目指したもので、たとえば目的地を設定するのに音声で希望施設を呼び出すと、ネット上から探し出した様々な回答を引き出すことができるものです。まるで会話しているかのようにスムーズなやり取りができていたのにはビックリ! カーナビアプリの未来を見ているような気分でした。

↑未来のカーナビアプリを感じさせる、生成AIを活用した次世代「COCCHi」

 

↑2輪用コネクテッドソリューションとして大きく3つの機能を提案した

 

LiDARをはじめ、リモートAIアシスタンス「ヴァレオAssist」にも注目

続いて紹介するのが、自動車メーカーなどOEMに部品を提供するサプライヤーです。まずはフランスの部品メーカーである「Valeo(ヴァレオ)」をご紹介しましょう。同社は自動運転の実現に欠かせないLiDARの“Level 3 ”を世界で初めてホンダ「レジェンド」に実装したことでも知られます。

↑LVCCのセントラルホールの屋外に構えたヴァレオのメインブース

 

そのLiDARは日々進化を遂げています。ヴァレオ製の第二世代LiDARとなる「Scala 2」をメルセデス・ベンツEQSに搭載し、ドイツ国内にて最高時速75kmで自動走行して、史上最速のレベル3走行(※)を実現。会場にはその実車も展示されていました。また、ヴァレオでは、その次世代となる「Scala 3」の開発も終えており、その性能は1250万ピクセル/秒という高い検知能力を発揮。より高速での自動運転レベル3の実現をもたらすということです。

※限定された条件下で自動運転システムが走行を担う運転方式

↑ヴァレオLiDAR Scala 2を搭載したDrive Pilot L3を装着した、メルセデス・ベンツEQS

 

↑ヴァレオの第3世代LiDAR「Scala 3」。より高速での自動運転レベル3の実現をもたらすという。※2023年5月 茨城県つくば市で撮影

 

CES 2025では、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を活用したリモートAIアシスタンスソリューション「ヴァレオAssist」の発表にも注目です。これは車両とその環境から情報を収集して、緊急時のサポート(eCall)や、故障や損傷時のサポート(bCall)をより効率的に行い、リモートアシスタンスの可能性を広げることができるというもの。最大のポイントはこのサービスにハードウェアは不要ということ。AIが状況を解析し、使いやすいインターフェースを介して必要な情報を生成して提供します。これはSDVによる機能アップのコンテンツとして有効となるでしょう。

↑AWSを活用したリモートAIアシスタンスソリューション「ヴァレオAssist」が発表された

 

↑「ヴァレオAssist」の利用者は、ワンタッチでオペレータを呼び出せ、その状況は車両側から自動的に発信される。保険会社へのレポートも自動作成

 

これまではEV一辺倒かと見られていたサプライヤーですが、昨年あたりからその頭打ちが顕著となり、サプライヤーも対応を迫られています。ヴァレオの展示はそんな状況に対する変わり身の早さを実感させる展示がありました。HEVをはじめマイルドハイブリッド車(MHEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に対応する幅広いパーツ類を出展。48Vの駆動システム向けの「トリプルクラッチ」やPHEV用DC-DCコンバーターなど、製品としてはすでに量産されているものもありましたが、ヴァレオの幅広い対応力を改めて実感させられる展示だった気がしました。

↑ヴァレオはHEVをはじめ、MHEVやHEVといったパワーソースにも対応できるリソースをラインナップしている

 

自動調光で光を自在にコントロール。遠赤外線センシングにも期待大

最後に紹介するのが、自動車用エレクトロニクスで知られるアメリカのテクノロジー企業「ジェンテックス」です。今では多くのクルマが採用する自動防眩ミラーの開発でも知られ、人気のデジタルルームミラーでも高いシェアを持つ会社です。

↑LVCCのウェストホールに出展したGentexのブース

 

↑調光が可能なサンバイザーにはドライブ中の様々な警告や情報が表示できる(画像提供:Gentex)

 

そのジェンテックスがCES 2025で披露したのが、調光可能なサンルーフやサンバイザーなど、大面積の調光デバイスです。今回の出展では初めて大型パノラマサンルーフ用として新しい調光フィルム技術のほか、警告や通知機能を備えた自動防眩サンバイザーを発表しました。特にサンルーフでは、ブロックごとに分けて調光できるなど、その使い勝手の良さに魅力を感じました。

↑分割した状態での調光を可能とすることで、車内への入射光を自在にコントロールできる(画像提供:Gentex)

 

↑調光は手元の操作パネルで自由に設定できる

 

アメリカでは普及著しいカー・ツー・ホーム・オートメーションシステム「HomeLink」の最新バージョンも発表されました。このバージョンではApple CarPlayやAndroid Autoに対応し、アマゾンやサムスン・スマート・シングスなどの主要スマートホーム製品を操作できるのが最大のポイント。さらに、スマートフォンや車両統合アプリを介してWi-Fi接続されたガレージドアを操作できることも大きな魅力となっているようです。

↑「HomeLink」のイメージ(画像提供:Gentex)

 

↑車両側のアプリを使って家庭内の機器をコントロールできる「HomeLink」。CarPlay/AndroidAutoの両方に対応した(画像提供:Gentex)

 

もう一つ紹介しておきたいのが、赤外線イメージング技術により夜間での歩行者検知に役立つ自動緊急ブレーキシステムです。

 

実は米国運輸省の道路交通安全局(NHTSA:ニッツァ)では、2029年までに昼間と夜間の双方で歩行者を検知して自動的にブレーキをかけるシステムの搭載を義務付けます。すでに多くのクルマが昼間検知を採用していますが、問題となるのは夜間検知。規則ではほぼ真っ暗な状態での検知が義務付けられており、従来のセンサーではここに大きな課題が生まれているのです。

↑真っ暗な状態でも歩行者検知に役立つADASKY社製遠赤外線カメラ

 

ジェンテックスではここにイスラエルのADASKYの技術を使い、遠赤外線カメラによる検知を行うこととしたのです。高解像度カメラと認識システムが物体や生物を検知でき、何よりも逆光や悪天候にも強いのがメリットです。遠赤外線を使うシステムは他メーカーも開発を急いでおり、遠赤外線はセンサーとして大きく注目されていきそうです。

↑高解像度な光学カメラ(左)と遠赤外線カメラの映像(右)/画像提供:Gentex

 

 

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【CES 2025】新型EVや未来都市建設など、日本のモビリティ企業に注目!

米国ネバダ州ラスベガスで、毎年1月に開催されているIT家電見本市が「CES」です。今年も「CES 2025」として、ラスベガス市内にあるラスベガスコンベンションセンター(LVCC)を中心に、1月7日から4日間の日程で開催されました。

↑すべてが巨大な施設が建ち並ぶ中でCES2025は開催された。写真の施設はモビリティ系の展示が集まるLVCCのウェストホール

 

本稿ではCES 2025で発見した、注目のモビリティを紹介! まずはホンダとソニー・ホンダモビリティ、トヨタの話題をお届けします。

↑CESで記念写真スポットにもなっている「CESアーチ」も、新しいロゴマークに変更されていた

 

ホンダは次世代EV「ゼロシリーズ」の2つのモデルを2026年に発売すると発表!

さて、そのモビリティの中で注目度ナンバーワンだったのが、ホンダの次世代EV「ゼロシリーズ」の発表でした。

↑ホンダのプレスカンファレンス。右が「ホンダ ゼロシリーズSUV」、左が「ホンダ ゼロシリーズ サルーン」。中央で説明するのが本田技研工業 執行役専務 電動事業開発本部長 井上勝史氏

 

発表されたのは「SALOON」と「SUV」の2台のプロトタイプです。このうちSALOONは1年前のCES2024で公開されており、ガルウイングドアが普通のヒンジドアに変更されていたものの、スーパーカーを彷彿させるデザインはそのまま踏襲されました。一方のSUVは今回初めて披露された新モデルです。未来感あふれるデザインの中に、SUVらしいスペースユーティリティを確保した新キャラクターとして登場しました。

↑ホンダ ゼロシリーズ サルーン

 

↑ホンダ ゼロシリーズ SUV

 

何よりもこの発表で驚かされたのは、この2台がこの斬新なデザインそのままに、2026年にも市販化されるということです。ホンダによれば、SUVがまずゼロシリーズの第一弾として発売され、続いてSALOONが2026年中に発売されるというスケジュール。こんなコンセプトカーのようなクルマが一般公道を走るなんて、その姿を想像するだけでワクワクしてきますよね。

 

このゼロシリーズで注目すべきはそれだけではありません。今後のモビリティの中核となっていく「SDV(Software Defined Vehicle) 」にもホンダ独自の技術を搭載していくと発表されたのです。SDVとは、通信によってユーザーの嗜好やニーズに合わせた進化を遂げていくことができる次世代のクルマのこと。つまり、ユーザーは車両を購入した後も、スマホのようにアップデートすることでどんどん機能アップしていけるのです。

↑ホンダ ゼロシリーズのプレスカンファレンスでは、車両が背景の動画映像に合わせて完全にシンクロする見応え十分の演出となっていた

 

その役割を果たす中核に据えられたビークルOSが「ASIMO OS」です。GetNaviの読者ならASIMOと聞いてピンとくるはず。そう、ホンダがかつて開発したあの人型ロボットがASIMOです。

 

ホンダは、このASIMOの開発を通して外界認識技術や人の意図を汲み取って行動する自律行動制御技術を蓄積していました。さらに新開発した先進知能化技術を融合することで賢さを大幅にアップ。加えて車載ソフトウェアのアップデートを可能としました。つまり、ここにホンダが進めるSDV化構想が深く関わってくるというわけです。

 

そして、ホンダは2020年代後半にもこのE&Eアーキテクチャーを一括でコントロールできるセントラルECUに移行し、よりSDVに適した環境を構築していく考えです。

↑2020年後半に、コアECUに集約する“セントラルアーキテクチャー”型を採用する計画で、その際に使用するSoCは車載プロセッサのサプライヤ・ルネサスとの共同開発となる

 

ホンダが示したロードマップでは、2028年~2030年頃にゼロシリーズの3台の新型車(コンパクトSUV、スモールSUV、コンパクトセダン)が準備されています。つまり、このタイミングを見図れば、これは大衆車クラスでもSDV化が進むことを示しているのはほぼ確実でしょう。積極的にSDV化を進めるホンダの動向からは目が離せそうにありませんね。

 

ソニー・ホンダモビリティが放つ第一弾は、エンタメてんこ盛りの『AFEELA1』

もう一つの関心を呼んだ話題は、かねてよりその登場が注目されていたソニー・ホンダモビリティ(SHM)の「AFEELA(アフィーラ)」です。2026年にも北米からデリバリーが始まるとされる第一弾は、車名が「AFEELA 1(アフィーラ・ワン)」と名付けられました。

↑ソニー・ホンダモビリティ(SHM)「AFEELA1」のプレスカンファレンス。中央に立つのはSHMの水野泰秀会長兼CEO

 

販売価格も決定し、ベース車の「Origin」が8万9900ドル(1ドル=156円換算で1402万円)で、上級グレードの「Signature」が10万2900ドル(同1605万円)。

↑「Origin」のボディカラーは1色展開。上級グレード「Signature」のボディカラーは3色展開となります

 

↑「AFEELA1 Signature」。東京・銀座にあるソニーパークにて撮影(2月4日)

 

↑滑らかでシームレスな表面処理は、深みのある光沢を生み出しています

 

AFEELA 1は大きく3つのポイントに分けられます。一つは運転負荷軽減などに役立つ先進運転支援システム(ADAS)と、二つめが車両側とのコミュニケーションを可能とする対話型パーソナルエージェントを搭載すること。もう一つは独自のサウンドシステム上で展開される充実したエンタテイメント性を備えていることです。

↑AFEELA1ではエンタテイメント系のストリーミングサービスをはじめ、オンラインビデオ会議などビジネス用途に使える多彩なコンテンツに対応する(写真提供:ソニー・ホンダモビリティ)

 

まずADASに関してはSHM独自の「AFEELA Intelligent Drive」が機能します。ここではAFEELA 1に搭載されるSHM独自の40のセンサー(カメラ、LiDAR、レーダー、超音波センサー)が周囲をセンシングし、その収集されたデータをAIが認識、予測、行動計画を計算して運転を支援する仕組み。これにより、AFEELA 1 では自動運転レベル2+での運転支援を実現します。

↑「AFEELA1」に搭載されるセンサー類は計40個。写真はルーフに搭載されるLiDAR(中央)とカメラ(左右)

 

対話型パーソナルエージェント「AFEELA Personal Agent」について解説します。エージェントとの会話を楽しんだり、行動計画の提案を受けることも可能となり、それは様々なシチュエーションでリアルタイムの情報と共に最適化されて運用される機能です。もちろん、ナビゲーションの設定や、後述するエンタテイメント領域でもこの機能は活かされ、ドライバーは運転しながら最適なアドバイスが得られます。

 

最後にAFFELA 1の多彩なエンタテイメント機能について。ダッシュボードの左右いっぱいに広がるディスプレイ上には、ストリーミングサービスによる多彩なコンテンツが展開され、その中にはネットでつながるゲームも含まれます。しかも、ロングドライブに同乗者を飽きさせないよう、4席それぞれが別々のコンテンツを楽しめるシステムも組み込みました。それに合わせてソニーの立体音響技術(360 Spatial Sound Technologies)による没入感あふれるサウンド環境も用意されているのです。

↑AFEELA1のダッシュボードにはディスプレイが左右いっぱいに広がり、ここで多彩なコンテンツが再生される

 

さらにユニークさで飛び抜けているのが、車両側でセンシングしたデータをUnreal Engineによりビジュアル化して様々なキャラクターを重ね合わせて楽しめること。こうした環境を車内で楽しめることこそ、AFEELA 1ならではの楽しみ方なのかもしれません。

↑フロントグリルにあたるメディアバーでは、外部とのコミュニケーションが取れる様々な表示が可能

 

静岡県裾野市に建設中の実証都市「ウーブン・シティ」

トヨタは静岡県裾野市に建設中の近未来のモビリティ都市「Toyota Woven City」(ウーブン・シティ)について、プレスカンファレンスで発表しました。これは2020年1月のCESで同プロジェクトを発表したもので、2021年2月の地鎮祭以降、造成工事、建築工事を進めてきたところです。

↑トヨタのウーブン・シティのプレスカンファレンス

 

今回は特に展示を行わず、その進捗状況を報告するプレスカンファレンスだけでしたが、豊田章男会長が5年ぶりに自ら登壇し、ジョークを交えた和やかな雰囲気での発表を行いました。それによると、2024年10月末に第1期工事が完了し、いよいよ今年の秋以降にオフィシャルローンチされるということです。

↑トヨタ、ウーブン・シティの進捗状況を説明するために登壇した豊田章男会長。時折ジョークを交えながらの進行で会場受けはとても良かった

 

ウーブン・シティは未来のモビリティに関心を持つイノベーターが「モビリティの拡張」を目指し、自らプロダクトやサービスを生み出す実験場ともなる場所。豊田章男会長はCES2025において、ここを「モビリティのテストコース」と表現し、これまで抱えてきた課題解決に向けた様々な方法を開発する場としても紹介しました。

↑豊田章男会長はウーブン・シティを“モビリティのテストコース”と表現した

 

シティ内のモビリティはもちろんゼロエミッション。これまでにENEOS、日本電信電話(NTT)、リンナイが参加していましたが、新たにダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングスがイノベーターズとして参加を表明しています。シティの定住人口は第1期工事エリアで360名程度を想定し、最終的には全体で2000名程度を予定しているとのことです。

↑ウーブン・シティからは空飛ぶクルマの離発着も予定されている

 

豊田氏はプレスカンファレンスにおいて、「この街作りにかかっている費用は大きな問題ではない。なぜならトヨタはグローバル市民として社会全体に対する責任があり、我々の発明は“かけ算”によって(その結果が)生み出されると考えている。ウーブン・シティはそんなコラボレーションの核となる場所。未来は人によってだけでなく心によって動く。この話に共感を持つ人はぜひウーブン・シティに来てほしい」と呼びかけました。トヨタが進める未来都市「ウーブン・シティ」はどんな姿を見せてくれるのか、今後の展開が大いに楽しみです。

↑ウーブン・シティには60か国、2200チームが参画している

 

 

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「30分でオススメは…?」番組探しは「ざっくり会話」でテレビが代行! レグザ、「CES 2025」で展示のAI新技術を公開

TVS REGZAは、米ラスベガスで2025年1月7日(現地時間)から開催されているテクノロジー見本市「CES 2025」で、AI技術によってユーザーが見たいコンテンツを提案する次世代技術構想「レグザインテリジェンス」を出展しています。その出展に先立って開催された内覧会の内容を紹介しましょう。

 

生成AIを活用して新しいコンテンツとの出合いを作り出す

TVS REGZA 取締役副社長の石橋泰博氏はレグザインテリジェンスの概要について「生成AIと今まで我々が培ってきた技術などを組み合わせて、視聴者の関心や興味などを加味して新しいコンテンツとの出合いを作り出したいと考えています」と語りました。

↑CES 2025で展示する技術の内覧会に登壇したTVS REGZA 取締役副社長の石橋泰博氏

 

「生成AIとディープラーニング、ミリ波センサー、色や目の感性などの人間工学を技術のベースに、視聴者のプロファイルを融合することで、最適なコンテンツや新しい気付き、新しい出合いを提供したいと思っています。ユーザーごとにパーソナライズし、その時その時の環境によって新しいトレンドを取り入れるなど新規性を持たせつつ、興味関心の幅を広げるように多様性も持たせます。また、その時に合わせたリアルタイム性も組み合わせて多様なコンテンツを推薦したいと考えています」(石橋氏)

↑レグザインテリジェンスの概要。生成AIなどを活用して視聴者に最適なコンテンツを推薦する

 

「AIボイスナビゲータ」があいまいな言葉と会話でぴったりな番組をオススメ

開発中の新技術として石橋氏は、あいまいな言葉を使った場合でも見たいコンテンツにたどり着ける「AIボイスナビゲータ」を紹介しました。

 

「今までのコンテンツ検索では、番組タイトルやアーティストなど具体的なものを入れたり、検索ワードを工夫したりしてヒット率を上げていました。そういったユーザーの具体化作業を代行するというものです。あいまいな検索ワードでも、その人が見たいものに最短でリーチするような機能です」(石橋氏)

↑AIボイスナビゲータの概要。あいまいな言葉と会話で見たいコンテンツに最短でリーチできる

 

説明会場では技術デモも行われました。テレビにはミリ波センサーが内蔵されており、人が近付くと目のようなアイコンがその人を追いかけるように反応します。

↑担当者がテレビの前に近付くと「Move closer to the TV(もっとテレビに近付いて)」というメッセージが表示されます

 

↑リモコンのボイスボタンを押して話しかけます。画面中央下部のアイコンは目のように人の居場所を追いかけているのが分かります

 

「ハロー」と声をかけると対話が始まり、話しかけると非常にクイックなレスポンスで会話が進みます。

 

「『今30分ぐらい時間あるんだけど何かおすすめのコンテンツありますか?』などと聞くと、『今SNSで話題になっている番組はどうですか』とか、『途中まで見たコンテンツの続きはどうですか』などと、AIがお客様の情報を把握した上で適切に推薦するというUX(ユーザー体験)を表現しています」(担当者)

↑自然な言葉でやり取りが続きます。「30分ぐらい時間あるんだけど何かおすすめのコンテンツ……」と聞いたところ、「今話題の作品」と「続きを視聴したい作品」の2つの選択肢が提示されました

 

「今話題の作品」と「続きを視聴したい作品」の2つの選択肢に対してザックリと「話題のやつお願い」と答えると、今回のCES 2025でコンテンツ提供の協力を得ているバンダイチャンネルの作品から『GUNDAM』と『LOVE LIVE! SUPERSTAR!!』の2つが提案されました。

 

『GUNDAM』が選択された状態で、「それで」と答えると『ガンダム』シリーズの再生リストが表示されます。

 

再生リストが表示される場合、画面上に表示した番号を発音して選択する場合が多いですが、AIボイスナビゲータでは「左から2番目」と答えるだけで選択できます。

↑コンテンツ提供の協力を得ているバンダイチャンネルの作品から『GUNDAM』と『LOVE LIVE! SUPERSTAR!!』の2つが提案され、『ガンダム』シリーズの再生リストが表示されました

 

↑「左から2番目」と答えると、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY HDリマスター』の話一覧が表示されました

 

「再生が始まるとバンダイチャンネルの再生アプリケーションによって再生が始まるのですが、そこでもボイスで再生操作が行えるようになっています。再生が終了すると最初の対話画面に戻り、引き続きインタラクティブな対話を楽しめるようになっています」(担当者)

↑バンダイチャンネルの再生アプリでも同じように声で操作が行えます

 

スタジアムの歓声か、実況か…どちらかの音を強調できる「AIオーディオリミックス」

もう一つ注目したい開発中の新技術が、AIによって声と環境音を分離し、聞きたいサウンド環境にリミックスする「AIオーディオリミックス」です。

 

「例えばサッカー中継の場合、実況の音声とプレーの音、スタジアムの歓声がミックスされた形でテレビに届きます。テレビの中に入っているAIエンジンが声とプレーの音や環境音に分離し、スタジアムの歓声を聞きたいのか、アナウンサーの解説だけを聞きたいのか、いずれかに合わせてどちらかの音を強調するというものです」(石橋氏)

↑AIオーディオリミックスの概要。声や競技中のプレー音、スタジアムの歓声などさまざまな音の中から声と環境音を分離し、聞きたいモードに応じてコントロールします

 

AIオーディオリミックスでは通常の音声モードである「Normal」に加えて、環境音を消して声を強調する「Voice」、環境音に加えて実況音声も少しだけ残す「Stadium」の3モードを用意していました。サッカー中継でStadiumモードにすると、スタジアムの観客席にいるような臨場感が感じられるだけでなく、わずかながらアナウンサーの実況音声も聞こえてきます。

 

「実況音声を全部消してしまうと違和感があるため、あえて約10%だけ声を残すように聞こえ方のチューニングをしています」(担当者)

↑AIオーディオリミックスのデモ画面。通常の音声モードである「Normal」モードに加えて、環境音を消して声を強調する「Voice」モード、環境音に加えて実況音声も少しだけ残す「Stadium」モードのデモが行われました

 

雑踏の中でレポーターがニュースを報じるニュース映像のデモでは、Voiceモードを選択することで、周囲の環境音が消えてレポーターの声だけが聞こえてきました。ノイズキャンセリングヘッドホンを装着したように、きれいに環境音が消えるのが驚きです。

 

なお、StadiumモードとVoiceモード、どちらのモードでもNormalと切り替えたときに声色や環境音が変化するように感じることはありませんでした。

↑雑踏の中でレポーターが話している映像のデモ

 

音楽ライブ映像の臨場感を増幅する「AI音楽ライブステージ高画質技術」

3つ目の技術として紹介されたのが「AI音楽ライブステージ高画質技術」です。以前から取り組んでいるAIシーン判別を使った高画質化をさらに進化させ、今回はAIシーン判別にライブステージのシーンを追加したとのことです。

 

「テレビがどんどん大画面になり、特に音楽ライブなどの臨場感が非常に増してきたこともあって、音楽ライブを皆さんに楽しんでいただきたいと考えて『ライブステージ』を追加しました」(石橋氏)

↑AI音楽ライブステージ高画質技術の概要。ライブステージを判別すると、アーティストをクリアに映し出し、衣装の輝きも再現しつつ、ライブ会場の華やかな光と影を再現する

 

こちらもデモが行われたので紹介しましょう。まずは従来のAIシーン判別から踏襲する花火のシーンでは、花火のまばゆい光が強烈に目に飛び込んでくるような印象を受けました。一見すると「オフ」の方が緻密で破綻のない映像に見えますが、花火大会の会場で見るような感動は「オン」の方があるように思えます。

↑花火大会のシーン。左がAI高画質オフで、右がオンにしたもの。「AIでシーンを認識すると、光の部分を強調して闇を漆黒にし、色を鮮やかにするような処理を行っています」(担当者)

 

音楽ライブのシーンでは、明るく照らされたステージの中から、ステージ上の演出装置や中央にいるアーティストをより強調するようなコントラスト感が感じられました。

 

「引きの映像ではアーティストをよりクリアに見えること、アップではキラキラした衣装がよりきれいに見えること、衣装や顔の一体感が出るようにしています」(担当者)

↑音楽ライブステージのシーン。AI高画質オン(右画面)では暗部が引き締まり、アーティストがより際だって見えます

 

今回のCES 2025での展示は技術展示であって、今後いつレグザシリーズに搭載されるのか、現行の製品にも対応する予定なのかといったことは現時点ではわかりません。しかし、AIを利用して見たいコンテンツに素早くアクセスする、AIで高音質化や高画質化を実現するといった技術には確かな効果が感じられました。今後、いちはやくレグザシリーズに搭載されることを期待したいところです。

将来のGalaxyスマホは内側にも外側にも折りたたみできる? サムスンが新技術「In&Out Flip」公開

現在の折りたたみスマートフォンは、最大でも180度までしか折り曲げられません。大画面を内側にたたんでいる状態では、外側のカバーディスプレイを使うことになります。

Image:Samsung Display

 

そんななか折りたたみスマホの最先端を走るサムスンが、内側の外側の両方に折りたためるディスプレイ技術「In&Out Flip」を、米ラスベガスで開催中の「CES 2024」にて発表しました。

 

公式リリースによれば、このIn&Out Flipは360度折りたたみできるとのこと。サムスンは従来の折りたたみ製品を「インフォールディング(内側にたたむ)」と呼び、折りたたみ時に情報を表示する外側の画面が必要であること。それに対してIn&Out Flipは、1枚のディスプレイを外側に折りたたむことでカバー画面が不要となり、「よりスマートで薄いデザイン」を実現していると述べています。

 

折りたたみスマホ市場を牽引してきたサムスンですが、競合他社はより大きなカバー画面を付けたタテ折りスマホを投入。その後にカバー画面を大型化したGalaxy Z Flip5が登場しましたが、後追いしている印象もありました。

 

そこで、In&Out Flipの登場です。サムスンはリリース内で「外側に折りたたむと、デバイスの前面と背面の両方をスクリーンとして使うことができ、新しいユーザー体験を生み出す」とアピールしています。

 

折りたたみできる角度が広がったことで、心配されるのが強度の低下でしょう。しかし、サムスンは「摂氏マイナス20度~摂氏60度までの極端な温度下で折りたたんだり、折りたたみ画面の上でバスケットボールをバウンドさせたり、スマホを砂でこすったり、水に浸したり」する耐久テストをクリアしたと主張しています。

 

ほかサムスンはCESで、画面サイズを5倍に広げられる巻き取り式ディスプレイ「Rollable Flex」も公開します。これらは、あくまで「研究開発している」ことを表明しただけではありますが、一日でも早くGalaxy Z FlipやGalaxy Z Foldシリーズ等の製品に搭載を望みたいところです。

 

Source:Samsung Display
via:BGR

将来のGalaxyスマホは内側にも外側にも折りたたみできる? サムスンが新技術「In&Out Flip」公開

現在の折りたたみスマートフォンは、最大でも180度までしか折り曲げられません。大画面を内側にたたんでいる状態では、外側のカバーディスプレイを使うことになります。

Image:Samsung Display

 

そんななか折りたたみスマホの最先端を走るサムスンが、内側の外側の両方に折りたためるディスプレイ技術「In&Out Flip」を、米ラスベガスで開催中の「CES 2024」にて発表しました。

 

公式リリースによれば、このIn&Out Flipは360度折りたたみできるとのこと。サムスンは従来の折りたたみ製品を「インフォールディング(内側にたたむ)」と呼び、折りたたみ時に情報を表示する外側の画面が必要であること。それに対してIn&Out Flipは、1枚のディスプレイを外側に折りたたむことでカバー画面が不要となり、「よりスマートで薄いデザイン」を実現していると述べています。

 

折りたたみスマホ市場を牽引してきたサムスンですが、競合他社はより大きなカバー画面を付けたタテ折りスマホを投入。その後にカバー画面を大型化したGalaxy Z Flip5が登場しましたが、後追いしている印象もありました。

 

そこで、In&Out Flipの登場です。サムスンはリリース内で「外側に折りたたむと、デバイスの前面と背面の両方をスクリーンとして使うことができ、新しいユーザー体験を生み出す」とアピールしています。

 

折りたたみできる角度が広がったことで、心配されるのが強度の低下でしょう。しかし、サムスンは「摂氏マイナス20度~摂氏60度までの極端な温度下で折りたたんだり、折りたたみ画面の上でバスケットボールをバウンドさせたり、スマホを砂でこすったり、水に浸したり」する耐久テストをクリアしたと主張しています。

 

ほかサムスンはCESで、画面サイズを5倍に広げられる巻き取り式ディスプレイ「Rollable Flex」も公開します。これらは、あくまで「研究開発している」ことを表明しただけではありますが、一日でも早くGalaxy Z FlipやGalaxy Z Foldシリーズ等の製品に搭載を望みたいところです。

 

Source:Samsung Display
via:BGR

世界初のデュアルモード機能搭載! ASUSのゲーミングモニタ「ROG SWIFT PG32UCDP OLED」CESでお披露目か

台湾ASUSは世界初のデュアルモード機能を搭載したゲーミングモニタ「ROG SWIFT PG32UCDP OLED(以下、PG32UCDP)」を公開しました。

↑ASUSより

 

現在のゲーミングモニタは、画面解像度を抑えつつ極めて高いリフレッシュレート(240Hzや360Hz)での動作が可能です。これによりスムーズなゲームプレイが可能な一方で、ウェブサーフィンや事務作業では、より高い解像度のディスプレイが欲しくなるのも事実です。

 

PG32UCDPは世界初のデュアルモード機能として、FHD解像度/480Hzと4K解像度/240Hzの切り替えが可能。ゲームをプレイするならスムーズなFHD解像度で、ドキュメント作成なら4K解像度の広いデスクトップを利用することができます。

 

 

PG32UCDPは32インチサイズの有機ELディスプレイを搭載。DisplayPort 2.1に対応する以外は、その詳細はまだ発表されていません。年始に開催されるCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)を含め、近日中の正式発表を楽しみにしたいものです。

 

Source: ASUS / YouTube via WCCF Tech

【CES2023】ソニー、メルセデス、VWの次世代カーが続々! 海外の魅力的なクルをレポート

世界最大規模のIT家電見本市として知られる「CES2023」が、1月5日~8日の日程で、米国ネバダ州ラスベガスで開催されました。

↑ラスベガス・コンベンションセンターに新たにオープンした巨大なウエストホール

 

そもそも「CES」って何なの?

CESが最初に開催されたのは1967年のこと。以来、北米での最新家電を一手に引き受けて来たこの見本市ですが、90年代頃からPC系が出展するようになり、その後は2012年には北米のカメラ見本市「PMA」と併催。その頃には自動車の電動化が急速に進み始めた自動車メーカーが相次いで出展するようになり、ショーの規模はどんどん巨大化して今に至ります。

 

会場へ出掛けて誰もが驚くのがその規模です。新たにオープンしたウエストホールは驚くほど巨大で、それを含めたラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)の端から端まで歩けば確実に15分はかかります。しかも、CESは周辺のホテルを巻き込んで開催されており、2024年には現在工事中となっていたサウスホールが完成すれば、その規模がさらに巨大化することは間違いないでしょう。

↑56年の歴史を持つCES。1995年からはラスベガス・コンベンションセンターで年1回の開催となった

 

【その1】「ソニー・ホンダモビリティ」から生まれた新ブランド名は『AFEELA』

さて、そんなCES2023で日本メディアにとって最大の関心事となったのが「ソニー・ホンダモビリティ(SHM)」の動向です。同社は、昨年、ソニーとホンダが半分ずつ出資し合って設立した合弁会社で、その第一弾が2025年前半にも新型EVとして先行受注されることが発表されていたからです。

↑ソニー・ホンダモビリティが提供するブランド名は『AFEELA』。発表されたそのプロトタイプ第一号

 

発表当日、立ち見席が出るほどの超満員の会場で発表されたのは新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」と、そのプロトタイプ第一号モデルでした。AFEELAには「得られる体験の核心を、『感じる(feel)』に込めた」とし、シンプルなデザインのプロトタイプからは新しいEVメーカーが放つ新型車に多くの期待が込められていたようです。

↑新たにヨーク型ステアリングを採用し、ディスプレイに表現されるコンテンツが見通せるようにした

 

↑周囲にクルマ側の情報を知らせる「Media Bar」。充電状況や天気予報などを知らせることもできる

 

プロトタイプに備えられた最大の特徴は車内外に備えられた45個にも及ぶセンサーです。このセンサーによって高度な運転支援や快適なインターフェースなどを実現し、そのセンサーからの情報を処理するのがクアルコムの「Snapdragon Digital Chassis」です。これによって、かつてない魅力に富んだ高付加価値車を生み出そうというわけです。

↑ソニー・ホンダモビリティのプレスカンファレンスには、クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOが登壇した

 

SHMでは、2025年前半にまず北米で先行受注を開始し、同年末までには発売に踏み切るとしており、日本でも展開を予定。北米での最初のデリバリーは2026年春を予定しているとのことです。

 

【その2】揃い踏みしたドイツの自動車メーカー。シュワルツェネッガーも登場!

それ以外の自動車メーカーの出展も目白押しです。特に力が入っていたのがドイツ勢です。中でも注目を浴びたのはBMWでした。BMWは基調講演で『i Vision Dee』を発表し、スマホ一つで車体の色を変幻自在に変更できる世界初の機能を披露したのです。ボディカラーは32色に変化させられ、240セグメントに分割されたボディ表面のラップと組み合わせれば無限のボディカラーが表現できるということでした。

↑ボディカラーを32色に変えられる『i Vision Dee』。ボディ表面のラップは240セグメントに分割され、スマホから変幻自在に変えられる

 

講演中はハリウッドスターのアーノルド・シュワルツェネッガーが登場し、アナログ世代からデジタルネイティブ世代への橋渡し役を務めるなど、その演出にも注目が集まりました。

↑BMWの基調講演にはハリウッドスターのアーノルド・シュワルツェネッガーも登場した

 

メルセデス・ベンツが出展したのは、次世代EVコンセプト『ヴィジョンEQXX』です。その空気抵抗係数は驚きの0.17!マグネシウムなどを使用して徹底的に軽量化したシャシーは技術の集大成と言えるでしょう。また、Dolby Atmosの没入感でカーエンタテイメントが楽しめる新型EV『EQS』の展示も人気を呼んでいました。

↑メルセデス・ベンツ次世代EVコンセプト『ヴィジョンEQXX』

 

↑メルセデス・ベンツはDolby Atmosの没入感を体感できる新型EV『EQS』も人気を呼んでいた

 

フォルクスワーゲンは次世代EVプラットフォーム「MEB」を採用した、いわゆるパサートクラスの『ID.7』をカモフラージュ仕様で初公開しました。展示車両は特殊な塗装により、最上層の塗装の下に電気を通すことで発光する仕組みで、閉じられた空間で音と光を連動させた効果を演出していました。

↑VWは、MEBをベースにした新型『ID.7』のカモフラージュ仕様を公開した

 

【その3】コンセプトカーで圧倒的な存在感をアピールしたステランティス

一方、CES2023で存在感を発揮していた自動車メーカーがステランティスです。同社は2021年1月に、フランスの自動車メーカーグループPSAとイタリアとアメリカの自動車メーカーフィアット・クライスラー・オートモービルズが合併して誕生しました。

 

そのステランティスのブースで際立っていたのが、コンセプトカー『プジョー・インセプション・コンセプト』です。全長5.0mでありながら全高は1.34mに抑えられ、キャビンのほとんどはガラス張り。モーターはフロントとリアに合計2基備え、その出力は680hp(500kW)となり、静止状態から100km/hまでの加速はなんと3秒未満!まさに外観の迫力に違わないハイパフォーマンスカーと言えるでしょう。

↑ステランティスが公開したコンセプトカー『プジョー・インセプション・コンセプト』

 

↑『プジョー・インセプション・コンセプト』のルーフは全面ガラス張り。そのデザインも先鋭的だ

 

ステランティス傘下の「Ram」が出展したのがピックアップトラックタイプの『Ram 1500 Revolution BEV Concept』です。2つの電動駆動モジュールを搭載して全輪駆動で走行し、ピックアップながら新しいアーキテクチャーにより、より広々とした室内空間と長いキャビン長を実現。バッテリーは最大出力350kWの800V急速充電にも対応し、約10分間で航続距離160kmを充電できます。量産モデルは2024年に市場投入する予定です。

↑ステランティス傘下のRamが出展したピックアップトラックのEVコンセプト『ラム1500BEVコンセプト』

 

↑『ラム1500BEVコンセプト』の車内。ピックアップトラックとは思えないゆったりとした室内を実現した

 

【その4】それぞれの独自技術で個性を発揮したサプライヤーが目白押し

続いては自動車部品メーカー(サプライヤー)で見つけた注目の展示を披露したいと思います。

 

まず世界最大のサプライヤー「ボッシュ」の展示で注目したのは、同社のセンサー技術を活用した新たなモビリティソリューション『RideCare Companion』です。普及が進むライドシェアのドライバー向けに開発されたもので、常に車内の様子を映像で捉え、緊急時には付属するSOSボタンでボッシュのサービスセンターへ緊急通報できるのがポイントです。デバイスを含めて米国で年間120ドル程度のサブスクでの提供を想定しているとのことでした。

↑ボッシュが出展したのはライドシェア向けの新たなモビリティソリューション『RideCare Companion』

 

フランスのサプライヤー「ヴァレオ」が出展したのは、歩行者への利便性やEV用充電器としても活用できる『スマートポール』です。ポール下部に埋め込まれた超音波センサー(ソナー)で歩行者の位置を把握しながらトップに備えられた円形のLED照明が必要な位置を照らします。さらに、光学カメラやサーマルカメラ、レーザースキャナ「SCALA LiDAR」により、歩行者の位置に応じて信号を切り替えたり、歩行者が道路へ飛び出さないような警告を出すこともできるそうです。

↑「ヴァレオ」が出展した『スマートポール』。歩行者への利便性やEV用充電器としても活用できる

 

自動車向けシートを開発するトヨタ紡織は、MaaS社会に向けて、将来の自動運転を想定した二つの車室空間を提案しました。一つはMaaSシェアライド空間コンセプトの『MX221』で、自動運転レベル4を想定した都市部シェアモビリティです。多様な移動ニーズへの対応や、利用シーンに合わせた空間レイアウトや内装アイテムの載せ替えを可能としました。もう一つはMaaSサービス空間コンセプト「MOOX」で、自動運転レベル5の時代における、さまざまなサービスニーズに対応する車室空間コンセプトとしました。

↑トヨタ紡織のブース。右側がMaaSシェアライド空間コンセプトの『MX221』

 

↑トヨタ紡織の『MX221』では、多様な移動ニーズや利用シーンに合わせた空間レイアウトを可能とした

 

↑トヨタ紡織のMaaSサービス空間コンセプト「MOOX」。自動運転レベル5を想定したサービスを提供する

 

【その5】パナソニック、Boseが時代に合わせた音へのこだわりを提案

パナソニックが出展したのは、EV向けに開発した『EVオーディオ』システムです。ドアスピーカーの廃止などスピーカーのサイズと数を減らすことで、最大67%の省エネを実現。スピーカーの設置場所の最適化やサウンドチューニングなどにより、少ないスピーカーでも音響性能を向上させているのがポイントとなります。今までのようにオーディオを楽しみながら、バッテリー消費を少しでも抑えたいEVにとって重要なスペックとなりそうです。

↑パナソニックが出展した『EVオーディオ』システム。スピーカーのサイズと数を減らすことで最大67%の省エネを実現

 

車載オーディオのプレミアムブランド「Bose」が披露したのは、大型SUVのGMC/Yukon Denaliに搭載した『3DX Experience』です。ステレオ音源の3Dアップミックス再生を実現したもので、ハイトスピーカーの活用によって臨場感豊かな3Dサラウンド効果を発揮します。中でもドルビー・アトモスを組み合わせた3D再生では、ハイトスピーカーのあり/なしで切り替えて体験ができ、いずれも高い完成度で満足いくサウンドが楽しめました。

↑Boseが披露した『3DX Experience』を搭載したGMC/Yukon Denali

 

↑『3DX Experience』ではドルビーアトモスのモードも用意し、大型SUVの空間を活かした臨場感豊かなサラウンド効果を発揮した

 

会場内には、他にもワクワクするようなモビリティがありました。

↑予約受付中の空飛ぶクルマ「ASKA」。シリーズ式ハイブリッドエンジンで250マイル(約402.3km)を飛行できる

 

↑ジョン・ディアが公開した横幅が約36mもあるらしい象徴的な大型スプレーヤー(農薬等散布機)。雑草に対して的確に農薬を散布する

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

ソニーとホンダの自動車「AFEELA」正式発表! プロトタイプ画像はこちら

ソニー・ホンダモビリティはラスベガスで開催中の家電見本市「CES 2023」にて、新ブランドの自動車「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプを発表しました。

↑ソニー・ホンダモビリティより

 

AFEELAのエクステリアには、「知性を持ったモビリティがその意思を光で語りかける」ための「Media Bar」を搭載。インテリアはラウンド基調のデザインを採用し、カラーリングもシンプルなものとなっています。

 

車内外には計45個のカメラ、センサーを搭載。室内のインキャビンカメラやToFセンサーでドライバーの運転状況や走行状態をモニタリングし、不慮の交通事故を防止します。またクラウドサービスと連携して、ユーザーごとにパーソナライズされた車内環境を実現。エンターテイメント機能も充実させ、ゲーム開発会社のEpic Gamesとモビリティサービスやエンタテイメントに関する協業を始めます。さらにセンシング技術を活用した拡張現実(AR)により、直観的なナビゲーションが提供されます。

 

↑ソニー・ホンダモビリティ

 

自動運転に関しては「レベル3」も目指すとともに、市街地等のより広い運転条件下での運転支援機能となる「レベル2+」の開発を実施。最大800TOPSの演算性能を持つECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)、Qualcomm Snapdragon Digital ChassisのSoCを搭載します。

 

AFEELAはこのプロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始。同年中に発売し、納車は2026年春に北米から開始する予定です。ソニーとホンダが本気で作った自動車、その乗り心地が実に気になります。

 

Source: ソニー・ホンダモビリティ

CESで発表! 独自開発「ハムリングシステム」搭載、癒し系甘噛みロボット「甘噛みハムハム」

ユカイ工学は、現在アメリカ・ラスベガスで開催中の「CES 2022」で、やみつき体感ロボット「甘噛みハムハム」を発表しました。

 

甘噛みハムハムは、同社のイベント「社内メイカソン@2020」にて生まれたプロダクト。発案チームは、メンバー自身の子育ての経験から、赤ちゃんや動物が乳児の際にハムハムと甘噛みをするしぐさを思い出したものをアイデア化。「ほんの短い期間にしか体験できない幸せな時間を再現できないか」と考え、プロジェクトが始動しました。

 

第一弾として、りぶはあとの、眠そうな表情をした動物たちのぬいぐるみ「ねむねむアニマルズ」とコラボレーションし、今春にクラウドファンディングを予定しています。「ゆず」(ミケネコ)と「コタロウ」(シバイヌ)の2種類で、サイズは約12×12×20cm。先行公開中のティザーサイトでは、メールマガジンの登録を受付中です。

 

同社が独自開発した「ハムリングシステム」は、ハムハムセンサが指に反応してハムハムを起動するモジュール。中毒性のある痛気持ちいい感覚で、背徳感を感じなくてよい甘噛みをいつでも体験可能。どんなぬいぐるみも甘噛みハムハム化でき、新しい切り口のロボットに変身します。

見た目ヨシ! 実用面ヨシ! の電動バイク「smacircle S1」が日本上陸。早速乗ってみた!

今年1月に米国・ラスベガスで開催されたCES2020でイノベーションアワード製品にノミネートされた電動バイク「smacircle(スマサークル)S1」に注目が集まっています。ポイントは車体が2つの大きなサークルを持つユニークなデザインにあり、折りたたむとバックパックに詰めて持ち運べる仕様となっているのです。今回は都内で開催されたイベントで「smacircle S1」に試乗。車両の解説と試乗した感想をお伝えしようと思います。

↑出掛けた先に着いてから組み立て、ラストワンマイルの乗りものとして力を発揮する「smacircle S1」。少し丈夫なバッグを使えば持ち運びも楽々

 

折りたたんでコンパクトに持ち運べる電動バイク

持ち運びもできる電動バイクは世界的にも人気を呼んでいる乗り物。海外ではそれをシェアリングサービスとして提供している例が多数あります。シェアリングステーションで充電さえしてあれば会員はいつでも借り出せるというスタイルです。しかも、海外の多くの国ではこれを免許なしで利用可能。そのため、Googleマップでは交通手段として電動バイクが提案されるほど、生活に馴染んでいるのです。

 

「smacircle S1」はCES2020で注目を浴びただけに、すでに今年6月から北米などで発売が開始されており、その人気は上々のよう。発表以降、日本でも発売を望む声が大きく、その要望に応える形でいよいよ国内でも販売に向けて動き出したというわけです。

↑カラーリングはオレンジとブルーの2色が用意される。特に蛍光色となっているわけではない。乗車時の本体サイズが長さ95cm×高さ87cm、折りたたむと長さ29cm×高さ49cm×幅19cmになる

 

↑各種設定はスマートフォン上で行い、走行中の速度やバッテリー残量などもスマートフォンで確認できる

 

↑速度計はスマートフォンを使い、走行モードの設定も行える。販売時には日本語版も用意される

 

車両を目の前にするとそのユニークなデザインに思わず惹かれてしまいます。軽量化のためにフレームはカーボン製とし、モーターもコンパクトにまとめられるようインホイール型とし、これによって重量は約12kgを実現。この手の乗り物としては相当に軽いと言えます。

↑「smacircle S1」のスペック。このユニークなスタイルは見た目だけでなく、実用面でもきちんとした意味を持っている

 

中でもビックリしたのは、折りたたんだ時は前後の車輪が2つのサークル内に収まることです。こうすることでコンパクトにまとまるだけでなく、車輪による周囲への汚れも軽減可能。ユニークさは見た目だけでなく実用面でもしっかりサポートされていたのです。

↑「smacircle S1」の重量は12kg。折りたたんだ状態では車輪がサークルの中に収納されるので、カバンの内部を汚すこともない

 

折りたたみ方はとても簡単です。イベントでは車体バックパックから取り出して組み立てる流れが紹介されましたが、その作業は実質およそ30秒ほど。バックパックに入れるときは少し手間がかかって、それでも1分ちょっとで済みました。

 

smacircle S1を車体バックパックから取り出し、そしてまた収納してみた

 

これまで多くの電動バイクを見てきましたが、ここまで携帯性を意識してまとめられている電動バイクは見たことがありません。航続距離はフル充電で17~20kmとのことですが、これなら目的地近くまでは公共交通機関で移動し、現地に着いてすぐに乗り始められますね。

↑バッテリーはシート部に内蔵され、3時間ほどでフル充電となり、17~20km程度走れるという

 

ただ、日本では海外と違って原動付き自転車の免許資格が必要。乗車時にはヘルメット着用も義務付けられます。また、公道を走れるようにするため、オリジナルにバックミラーや前後のウインカー、ストップランプといった保安部品が必要となります。この日のプロトタイプに取り付けられていた保安部品はいずれも試作品で、販売車両では違ったデザインになるとのことでした。

↑前方にはLEDライトを標準装備。日本仕様ではこれにウインカーとバックミラーが装着される

 

↑ウインカー付きバックミラーの試作品を装備した状態。日本仕様はもっと大型のものが装着予定だ

 

↑日本仕様で後部に装着される予定のストップランプとウインカー。ナンバープレートも装備される

 

いよいよsmacircle S1にライドオン!

さて、いよいよ試乗です。スタートは運転者が足で地面をキックし、少し動き始めたところでステアリング右手にある操作レバーを押し下げるとモーターからパワーが得られます。これは停止中に誤って操作しても動き出さないようにする安全対策として採用されたものです。これは電動バイク共通の安全対策で、多くの車種で採用されている機構です。

↑足で地面を蹴って動き出したところでモーターからのパワーにつながる。走行モードは、スポーツ/ノーマルの2モード

 

↑ハンドルバーの左側にはブレーキ用レバーとウインカースイッチが、右側にはアクセル用レバーが装備される

 

smacircle S1に試乗してみた

 

モーターからのパワーが伝わると思っていたよりも加速は力強い印象です。最高速度はスポーツモードで約20km/hということですが、音もなく加速していくので体感ではもっと出ているような感じがします。直線路だけでなく緩やかな坂道も走ってみましたが、そこでも十分なパワーを発揮してくれました。

↑電動モーターならではの力強い発進加速が得られ、最高速度は20km/h弱。緩やかな坂道も難なくこなして見せた

 

路面の振動はステアリングにそのまま伝わってきます。タイヤをパンクの心配が要らないソリッドダンピングタイヤとし、高い耐摩耗性を得るために硬質なゴムを使っていることも影響しているのだと思います。一方でシートのクッション厚は十分で、身体への振動はかなり抑えてくれているようでした。

 

モーターは後輪のインホイール式で、停止するにはモーターを逆回転させて発生するトルクで制動します。そのブレーキはかなり強力で、速度が出ていてブレーキをかけても思った位置にきちんと停止できるほどでした。ただ、ホイールは8インチと小さめなせいか、速度が乗るまで安定するのが難しく感じました。スムーズに走るためには運転手が少し慣れる必要があるかもしれません。

↑ホイール径は8インチ。耐摩耗性を高めたソリッドダンピングタイヤを組み合わせ、パンクの心配は無用とのことだ

 

それと注意しておきたいことが1つ。車輪には前後とも泥よけが付いていないため、この日のように雨上がりの路面が濡れた状態で乗ると跳ね上がった泥が襲いかかってきます。試乗後に背後が泥だらけになっているのにビックリしてしまいました。

↑泥よけカバーがないため、路面が濡れた状態で走るとこの状態になるので注意

 

では「smacircle S1」のお値段です。予定価格は18万5900円(税込)と少し高め。しかし、クラウドファンディングで目標額2300万円の資金を募集中で、これに賛同して支援する、超早割や早割などお得な特別キャンペーンも実施中とのこと。今までの電動バイクにない「smacircle S1」のユニークさがどう支持されるか、その今後の成り行きに注目です。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

 

健康のバロメーターを仕事中にさりげなく測定できる! 次世代血圧計はなんと腕時計に搭載

1月9日から12日まで、米ネバダ州ラスベガスで家電製品を中心とした展示会「CES 2018 (Consumer Electronics Show)」が開催されました。その中でオムロン ヘルスケアが、コンセプトモデルとして2点の製品を展示。

 

健康診断でよく見る上腕部にベルトをぐるりと巻き、空気を送り込みながら測定するのが当たり前だった血圧計を、なんと手首に巻いたままいつでも血圧を測定できるようにする腕時計型のウェアラブルデバイス「HEARTGUIDE」と、血圧と同時に心電を測定できる「OMRON BLOOD PRESURE MONITOR + EKG」です。まだ開発中とのことでしたが、実機を前にその機能や開発の目的などを伺ってきました。

↑毎年、年明けに開催されている展示会「CES」↑毎年、年明けに開催されている展示会「CES」

 

↑オムロンヘルスケアのブース↑オムロン ヘルスケアのブース

 

「HEARTGUIDE」で就寝中も自動的に血圧が測れるようになる!

「HEARTGUIDE」は、ふだんは腕時計や活動量計として使いながら、必要に応じて気軽に血圧も測れるウェアラブルデバイスです。

↑「HEARTGUIDE」↑「HEARTGUIDE」

 

見やすいディスプレイを備えた腕時計のようなデザインで、従来の手首式の血圧計からは想像できないほどコンパクト。ボタンを押して任意のタイミングで血圧測定ができるだけでなく、タイマー設定による自動測定も可能で、夜間、寝ている間にも自動的に血圧が測れるというのが大きな特徴です。

 

活動量計としては、歩数や移動距離、消費カロリー、睡眠のトラッキングなどができるほか、メールやメッセージ、着信などスマートフォンと連携した通知機能を備えており、サイドボタンを押すと表示が切りかわります。

↑歩数や消費カロリーも分かります↑歩数や消費カロリーも分かります

 

↑睡眠時間のトラッキングも可能↑睡眠時間のトラッキングも可能

 

↑スマートフォンからの通知も表示できます↑スマートフォンからの通知も表示できます

 

血圧の測定方法は従来の血圧計と同じで、バンドの内側に空気を送り込み、手首を圧迫して計測します。血圧の測定時間は1分ほど。精度を保つため、測定時は手首を心臓と同じ高さに合わせます。

 

タイマー機能は就寝中の測定を前提にしているとのこと。就寝中は横になっているので、心臓と手がだいたい同じ高さにあり、測定条件としては理想的だそうです。

↑測定中の様子。手首を心臓の高さに合わせることで精度を保ちます↑測定中の様子。手首を心臓の高さに合わせることで精度を保ちます

 

測定結果が正常ならディスプレイに緑色の円が表示され、問題があると判定されると赤い円になります。Bluetoothでスマートフォンと連携し、各種データはアプリで管理できます。

 

充電方法は未定ですが、バッテリーは1日10回測定したとして1週間はもつだろうとのこと。

 

担当者によれば、これまでは安定して測るためにある程度バンドに幅が必要でしたが、腕時計並みのバンド幅の中に入れ込んでおり、その技術がオムロンならではなのだとか。また、このサイズでFDAの認可をとったものはまだないとしています。着け心地は良好のようで、就寝中に測定がはじまっても起きてしまうことはないそうです。

↑こちらは従来の手首型の血圧計↑こちらは従来の手首型の血圧計

 

↑そんな血圧計が、腕時計サイズになりました↑そんな血圧計が、腕時計サイズになりました

 

↑バンド幅が大幅に細くなっています↑バンド幅が大幅に細くなっています

 

家族と共有したくなるかもしれませんが、本機は1人1台が前提です。なぜなら日常生活の中でひとりひとりの血圧の変動をトラッキングし、リスクを探し、大病を未然に防ぐのが目的だからです。

 

「HEARTGUIDE」はまず米国での発売を目標にしており、価格は未定。血圧計として販売を予定しているため、現在FDAの認可待ちとのことで、今年中にできればとしています。日本での発売も視野にいれていますが、薬事法の認可後となるとのことです。

↑判定結果は数値周りの円の色でわかります。赤は警告。日本と米国では基準が異なり、米国のガイドラインでは下が80を超えると高血圧と判定されるとのこと↑判定結果は数値周りの円の色でわかります。赤は警告。日本と米国では基準が異なり、米国のガイドラインでは下が80を超えると高血圧と判定されるとのこと

 

「BLOOD PRESURE MONITOR + EKG」で血圧と不整脈を同時にチェックできるようになる!

一方の「BLOOD PRESURE MONITOR + EKG」は据え置き型の血圧測定器です。

↑「BLOOD PRESURE MONITOR + EKG」↑「BLOOD PRESURE MONITOR + EKG」

 

血圧の測定には腕を使い、方法も従来通り。ただし、本体の両脇に電極がついており、指を添えると血圧を測りながら一緒に心電が測定できるというもの。電極の位置などデザインは変わる可能性があるようです。

 

不整脈と高血圧の両方を持っている人が脳梗塞や心筋梗塞を発症する確率は、高血圧だけの人よりもさらに高いとのことで、血圧と同時に心電を測ることで、不整脈がないかどうかを検知する目的があります。

 

心電の測定に要する時間は約30秒で、結果はアプリ上で確認します。問題があると判定されると、血圧と心電の履歴が医者に送信され、適切な診断を仰げるようになるといいます。

 

こちらも現在FDAに申請中で、2018年度春の発売を目指しています。

↑血圧を測りながら心電を測定)↑血圧を測りながら心電を測定

 

↑異常が見つかると医師にデータを送信。診断を仰げるようになるそうです↑異常が見つかると医師にデータを送信。診断を仰げるようになるそうです

 

自分が抱えるリスクを事前に知る

いずれの製品も、日々のコンディションを手軽にトラッキングすることで、心筋梗塞や脳梗塞の発症を防ごうという狙いがあります。

 

担当者によれば、日本人の3人に1人は高血圧とのこと。その中の4割しか病院に行かず、さらにその中できちんと薬を服用して血圧を下げている人は15%程度と言われているそうです。とはいえ、血圧は1年に1回健康診断で測るか、気になっている人が家で測っているのが現状です。

 

しかし、昼間働いているときや、夜寝ているときも、本人が気づかないうちに高血圧になっている人が多いとのこと。特に睡眠時無呼吸症候群の方は、寝ている間に血圧が高くなっていることがあるそうです。高血圧は心筋梗塞や脳卒中の原因で、日本人の死因の上位を占めますが、日常的に血圧を測っていないので、自分に潜むリスクに気づきません。

 

オムロンには、血圧計のメーカーとしてもっと血圧を測りやすくすることで、心筋梗塞や脳卒中など、血圧に起因する病気のリスクに早く気づき、対策を打つことで未然に防いで欲しいという狙いがあります。今後は遺伝の情報や本人の病気の履歴などのデータとあわせて解析し、その人にあった細かい診断の提供につなげていきたいとのことで、今回の製品はそのための第一歩となります。

 

これまでのウェアエラブルデバイスといえば、活動を促すことで健康に導こうというものが中心でしたが、医療機器として体内の状態をトラッキングできるというのは新しい切り口。腕時計感覚で使える血圧計なら、意識せずとも血圧測定が可能になりそうです。朝と夜はボタンで、就寝中はタイマーで測定すれば、自分の健康状態が可視化できます。

 

オムロンヘルスケア 経営統括部 広報渉外部長の中島 智氏は、「脳梗塞や心筋梗塞のリスクを早期に発見し、治療につなげたい。いかに減らしていけるか、いかに防ぐかが次の課題です。まずは高血圧かどうかを健康診断だけなく、定期的に調べてほしい」と語りました。

運転中に消し忘れた自宅のエアコンをオフに――「AI音声アシスト」で訪れるクルマの“現実的な”未来

世界最大のIT家電ショーとして知られる「CES(セス)2018」が1月初旬、米国ラスベガスで開催された。近年は家電だけにとどまらず、電動化や自動運転といった最先端の自動車技術を披露する場としても世界的に注目を集めている。そんな「CES2018」で見た自動車の最新テクノロジーを追った。

↑4日間の開催で約20万人が集まる世界最大級のIT家電ショー「CES(セス)」。今年はCESが積み上げてきた51年の歴史の中で過去最大の開催規模となったという↑4日間の開催で約20万人が集まる世界最大級のIT家電ショー「CES(セス)」。今年はCESが積み上げてきた51年の歴史で過去最大の開催規模となったという

 

AI音声アシストがついに車載に

これまでCESに出展されてきた自動車の最先端分野は「自動運転」だった。数年前まで各社はこぞって自動運転に向けた可能性を訴え、そのコンセプトを競い合うフィーバーぶりだったのだ。しかし、一昨年あたりからその熱も冷め、より現実的な路線へと転換し始めた。たとえば、オートパーキングやラストワンマイルの機材、さらにはドライバーに対する様々なアシスト技術といった、より足元の先進技術を充実させる方向へと切り替わったのだ。そんななかで、CES2018で目立った出展が「AI音声アシスト」である。

 

クルマにとって最も使いやすいインターフェースは、これまでにも様々なアプローチが試みられてきた。ディスプレイのタッチパネルや、視線によるコマンド選択もそれらのひとつ。しかし、いずれも画面を視認しなければ操作はできないという問題を抱えていた。一方で、インターフェイスとしての優秀性を理解しながらも、その認識率が課題となって普及してこなかったのが音声認識だ。しかし、その問題はネット接続したクラウドでの処理によって解決の糸口が見えてきた。その最先端に位置するのが「AI音声アシスト」なのだ。

↑話題の中心はAI音声アシスタント。アマゾンのエコーを迎え撃つグーグルは「Google Assistant」専用ブースを用意し、Google Homeが当たるイベントも展開された↑話題の中心はAI音声アシスタント。AmazonのEchoを迎え撃つGoogleは「Google Assistant」専用ブースを用意し、Google Homeが当たるイベントも展開された

 

その急先鋒となっているのがGoogleやAmazon、Appleが提供しているAI音声アシストサービスだ。GoogleやAmazonのスマートスピーカーは、日本にも上陸したことで広く認知されているが、ここアメリカでは近年にない大ヒットを遂げているという。その理由は家庭にある家電をスマートスピーカー経由でコントロールできるから。たとえば照明器具やコンセント、エアコンのON/OFF、テレビの観たいチャンネルが音声操作によって即座に実行される。これらはスマートフォンと接続して外部からでもコントロールでき、それは鍵の解錠/施錠にまで及ぶ。つまり、「便利だから」スマートスピーカーは普及しているわけだ。

↑先行発売した「amazon echo」。音声での商品注文にも対応するなど、多彩な機能が高い支持を得る要因となっている↑先行発売した「Amazon echo」。音声での商品注文にも対応するなど、多彩な機能が高い支持を得る要因となっている

 

↑AI音声アシストで勢いを増している「Google Home」。Android端末との高い親和性が最大のポイントとなっている↑AI音声アシストで勢いを増している「Google Home」。Android端末との高い親和性が最大のポイントとなっている

 

そして、CES2018ではその便利さが自動車の中にまで入り込み始めた。会場では各社がこぞって車内からコントロールするデモを展開しており、車内に乗り込んでそれを体験する姿があちこちで見ることができた。便利な機能だからそれが家だけでなくクルマでも使いたいと思うのは自然な姿。そんな単純明快な理由が車載でのAI音声アシスタント利用を推し進めているのだ。

 

運転しながら自宅の家電を声で操作

そのなかで注目だったのが、音声認識のソフトウェア開発を行っているニュアンス社(アメリカ)だ。同社はPCで使う音声認識ソフト「ドラゴン・スピーチ」を開発したことでも知られ、いまや世界中の大手自動車メーカーが同社の音声認識ソフトを使う、まさにこの分野でのトップメーカーでもある。同社はCES2018開催に合わせ、ラスベガス市内のホテルに特設会場を用意。ここで最先端のAI音声アシストを披露して見せた。

↑ニュアンス社は別ホテルで専用会場を用意。そこではAI音声アシスタントを使って遠隔操作する「Dragon Drive」のデモが披露された↑ニュアンス社は別ホテルで専用会場を用意。そこではAI音声アシスタントを使って遠隔操作する「Dragon Drive」のデモが披露された

 

なかでも注目だったのが、車内のドライバーの声を認識し、サーバーを介して自宅のスマートスピーカーをコントロールする技術だ。車内からコマンドを発するだけで「Amazon Alexa」や「Google Home」につながり、しかも複数のAI音声アシスタントを使い分けられる。そのため、運転中にアップルの「Siri」を使うスマートフォンに話しかけると、そのコマンドによって家にある様々なスマートスピーカーのコントロールを可能とする。もちろん、これもまた家のエアコンや照明のON/OFFを行い、鍵の施錠/解錠まで行える。つまり、ニュアンス社のシステムが多彩な音声アシストに対応するインターフェイスとしての役割を果たすわけだ。

↑外部からAI音声アシストを使い、家のエアコンや照明のON/OFFを行い、鍵の施錠/解錠まで実行。その端末は異なる音声アシストでも構わない↑外部からAI音声アシストを使い、家のエアコンや照明のON/OFFを行い、鍵の施錠/解錠まで実行。その端末は異なる音声アシストでも構わない

 

こうしたAI音声アシストをさっそく採用する自動車メーカーも現れている。トヨタは「CES 2018」に出展された「TOYOTA Concept-愛i」のオートモーティブアシスタントにニュアンス社の音声技術「Dragon Drive」を採用。Concept-愛i向けにカスタマイズしており、トヨタの感情推定エンジンとも連携するのだという。一方、ケンウッドは三菱自動車のエクリプスクロスに採用されたディスプレイオーディオを出展。会場内にはエクリプスクロスの実車を展示してグーグルアシスタントを使ったデモを行った。このディスプレイオーディオは、北米だけでなくグローバルでの展開になるそうで、日本で発売されるエクリプスクロスも同仕様になる予定だという。

↑三菱自動車の最新モデル「エクリプスクロス」に搭載されたディスプレイオーディオ。ケンウッドによるOEMで、CarPlayやAndroidAutoに対応する↑三菱自動車の最新モデル「エクリプスクロス」に搭載されたディスプレイオーディオ。ケンウッドによるOEMで、CarPlayやAndroidAutoに対応する

 

 

パナソニックはAmazonと共同開発した車載システムを公開した。最大のポイントはAlexaをオンラインだけでなく、オフラインでも使えるようにし、車内のエアコン調節や窓の開け閉め、音楽再生、道案内などができる新しい仕組みを取り入れたことだ。しかも驚いたことにパナソニックはこれをGoogleアシスタントでも同様な対応をして見せた。

 

 

また、世界有数の自動車部品サプライヤーであるコンチネンタル(ドイツ)もAmazon Alexaと連動した車載向けAI音声アシスタントを披露し、その使い勝手の良さを強調した。

↑世界有数の自動車部品サプライヤーコンチネンタル(ドイツ)が披露したAmazon Alexaと連動する車載向けAI音声アシスタント↑世界有数の自動車部品サプライヤーコンチネンタル(ドイツ)が披露したAmazon Alexaと連動する車載向けAI音声アシスタント

 

また、車載オーディオのOEMで知られるBoseが披露したのは、オーディオが大音量で鳴り響く車内でもドライバーの声だけを抽出できる技術「ClearVoice(クリアボイス)」。これはオーディオだけでなく、窓を開けた状態だったり、オープンカーでも効果があるという。音声アシストが普及すればするほどこうした技術の後押しは重要となっていく。究極のインターフェイスとして長いこと日の目を見てこなかった車載での音声認識がようやく花開き始めた。CES20108はそんな時代の変化を読み取ることができたショーとなったのだ。

↑Boseが公開した「ClearVoice」は、大音量の音楽を再生中でもドライバーの声を抽出できる新技術で、風切り音などにも対応できる↑Boseが公開した「ClearVoice」は、大音量の音楽を再生中でもドライバーの声を抽出できる新技術で、風切り音などにも対応できる

 

 

【CES 2018】防水・フルデジタル・AIアシスタント機能――2018年もワイヤレスオーディオの進化が止まらない!

アメリカのラスベガスで世界最大のエレクトロニクスショー「CES」が開催されました。アメリカでは以前からスポーツ・フィットネスへの意識が高いことから、ポータブルオーディオのワイヤレス化にはファンの関心も高く、人気に火が付いてからは一気に商品が充実してきたように感じます。特に左右独立の完全ワイヤレスイヤホンは、エレクトロニクスのショーが開催されているからでしょうか。街中に「AirPods」を身に着けている人があふれていました。今回はCESで見つけたワイヤレスモデルを中心としたイヤホン系新製品を振り返ってみたいと思います。

20180115-i01 (18)↑活況を呈したアイリバーのブース

 

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン“第2弾”は防滴&ノイキャン

完全ワイヤレスイヤホンの注目株筆頭はソニーが発表した「WF-SP700N」です。WF-1000Xに続く第2弾はスポーツモデル。本体がIPX4相当の防滴・防汗仕様でデジタルノイズキャンセリング機能付の完全ワイヤレスイヤホンは世界初。価格は179ドル(約2万円)で、春頃にアメリカで発売。日本導入も予定されています。カラバリはパステル調の4色。

↑ソニーのGoogleアシスタントにも対応する完全ワイヤレスイヤホン「WF-SP700N」↑ソニーのGoogleアシスタントにも対応する完全ワイヤレスイヤホン「WF-SP700N」

 

↑↑コンパクトな充電機能付ケースに収納↑コンパクトな充電機能付ケースに収納

 

↑装着するとこんな感じのスタイルになる。頭を激しく振ってもイヤホンが耳から落ちない↑装着するとこんな感じのスタイルになる。頭を激しく振ってもイヤホンが耳から落ちない

 

デジタルノイキャンの機能を逆手にとって、マイクで周囲の音をモニタリングできる「アンビエントモード=外音取り込み」の機能はWF-1000Xと同様に「ボイス」と「ノーマル」を選択可能。スマホアプリ「Sony Headphones Connect」でどちらかに設定して、本体左側のボタンをクリックしてオン・オフを切り替えます。外音取り込みとイコライザー機能など、好みの値を設定しておいて、アプリから即座に設定値のオン・オフを切り替えられる「Quick Sound Settings」機能が追加されました。

↑アプリSony Headphones Connectでボタンの機能切替など設定できる↑アプリSony Headphones Connectでボタンの機能切替など設定できる

 

音質を会場でチェックしてみました。CESの会場はかなり賑やか、というかうるさいぐらいなので、本機のノイキャン機能とイヤーピースによるパッシブな消音効果の合わせ技がかなり高いことが確認できました。サウンドは低域に厚みがあって、音楽の輪郭線をしっかりと太く描くタイプで、身体を激しく動かすスポーツシーンに勢いを与えてくれそうな元気めな仕上がりでした。身に着けて頭を激しく振ってみてもイヤホンが簡単に外れてしまうことはありません。フィット感はWF-1000Xよりも優れていると感じました。オーディオコーデックの仕様はWF-1000Xと同じAAC/SBC対応で、アップスケーリング機能のDSEE HXは非搭載となっています。

 

本機のほかに、左右のイヤホンが有線ケーブルでつながる、いわゆる普通のワイヤレスイヤホン「WI-SP600N」やハウジングが半密閉タイプの「WI-SP500」もラインナップに加わります。このうちSP700NとSP600Nは、発売後に予定するソフトウェアアップデートでGoogleアシスタントが一発で呼び出せる連携機能が追加されます。左側ハウジングのボタンがGoogleアシスタントの起動ボタンになり、「OK Google」を発声しなくてもいいので、より気軽にボイスアシスタントと会話ができるかも。

 

オーディオテクニカから世界初のフルデジタルイヤホン

オーディオテクニカは2016年に発売したデジタルヘッドホン「ATH-DSR9BT」「ATH-DSR7BT」に続いて、今度はワイヤレスイヤホンタイプの“フルデジタルイヤホン”に要注目です。アメリカで発売される「ATH-DSR5BT」は価格が399ドル。「ピュア・デジタル・ドライブ」テクノロジーを搭載したフルデジタル伝送対応機です。

↑オーディオテクニカのフルデジタルイヤホン「ATH-DSR5BT」↑オーディオテクニカのフルデジタルイヤホン「ATH-DSR5BT」

 

BluetoothのオーディオコーデックはaptX HDに対応。アルミニウムのハウジングに9.8mmと8.8mmのダイナミック型ドライバーを乗せてプッシュプル駆動で動かします。小さな筐体なのにタイトで力強いサウンドを生み出せる秘密がここにあります。会場で実機の音も聴いてみましたが、非常にクリアで透明感あふれる中高域に、芯の力強さが光る低域とのコンビネーションがほかのワイヤレスイヤホンにない異彩を放っています。これはぜひ日本でも販売して欲しい!

↑ネックバンドに設けられたLEDランプの点灯で接続中コーデックの状態が判別できる↑ネックバンドに設けられたLEDランプの点灯で接続中コーデックの状態が判別できる

 

パイオニアとJVCから初の完全ワイヤレスイヤホン

パイオニアはブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「SE-C8TW」を展示していました。アメリカでの価格は99.99ドル。日本で発売されたら1.1万円前後になるのでしょうか。お手頃価格が魅力的な完全ワイヤレスイヤホンになりそうです。6mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。コーデックはAAC/SBCに対応します。

↑パイオニアの完全ワイヤレスイヤホン「SE-C8TW」。お手頃価格も魅力的↑パイオニアの完全ワイヤレスイヤホン「SE-C8TW」。お手頃価格も魅力的

 

JVCも初の完全ワイヤレスイヤホンを発表しました。「HA-ET90BT」はスポーツタイプでIPX5相当の防滴仕様。イヤーピースの先端が360度曲がって耳穴にフィットする「ピボット・モーション・フィット」によって、身体を激しく動かしてもピタリとフィットします。カラバリはビビッド系の4色。万が一イヤホンが見つからない時に、スマホアプリに搭載した「Find」機能でイヤホンのアラーム音を鳴らしてLEDを点滅させて探せる機能も用意しています。アメリカでの販売価格は149.95ドル。

↑JVCの完全ワイヤレスイヤホン「HA-ET90BT」↑JVCの完全ワイヤレスイヤホン「HA-ET90BT」

 

↑4色のカラバリが揃う↑4色のカラバリが揃う

 

JBLのスポーツイヤホンがさらに充実

JBLからはワイヤレスイヤホンの新製品が一気に登場しますが、なかでもスポーツタイプの新シリーズ“Endurance”に加わるMP3音楽プレーヤー搭載の「JBL Endurance DIVE」に要注目です。ワイヤレスイヤホンの本体に音楽プレーヤー機能まで搭載している製品は便利なのに意外に数が多くありません。でもジョギングの時などはスマホやプレーヤーを別途持って走らなくてよいので、あるととても便利なんですよね。本体は防水仕様でリモコンはタッチセンサー式。イヤーハンガータイプのイヤホンは、装着する時にイヤホンと接触している箇所を離す時に自動で電源がオンになり、使い終わって装着し直せば電源がオフになります。連続音楽再生は8時間。高速チャージにも対応しています。

↑JBLのスポーツイヤホンの新シリーズ「Endurance」から、MP3プレーヤー機能を内蔵する「JBL Endurance DIVE」↑JBLのスポーツイヤホンの新シリーズ「Endurance」から、MP3プレーヤー機能を内蔵する「JBL Endurance DIVE」

 

↑イヤーフックを接触しているケーブルから外すと電源がオンになる↑イヤーフックを接触しているケーブルから外すと電源がオンになる

 

もうひとつのネックバンドタイプで心拍センサーを乗せた「JBL REFLECT FIT」も楽しみな新製品。女性のアスリートも身に着けた時にしっかりとしたフィット感が得られるように、ネックバンドのフィットを少しタイトめに、本体も小さめにデザインしています。首元でぶらつく煩わしさがないので、どちらかといえばスポーツシーンで使いづらかったネックバンドタイプのワイヤレスイヤホンに革命を起こすかも。

↑ネックバンドを小さくコンパクトにした「JBL REFLECT FIT」↑ネックバンドを小さくコンパクトにした「JBL REFLECT FIT」

 

ゼンハイザーからお手頃価格のBTイヤホン

ゼンハイザーは99.95ドルのシンプルなワイヤレスイヤホン「CX 6.00 BT」を発表しました。昨年発売された「MOMENTUM Free」のように、イヤーピースは小さめにして、両側のケーブルにコントローラーとマイク、バッテリーボックスを設けて装着時の負荷を分散させたライトウェイトデザインが特徴です。低遅延性能が特徴のaptX LLのコーデックをサポートしているので、動画再生も快適に楽しめそう。

↑ゼンハイザーのワイヤレスイヤホンのエントリーモデル「CX 6.00 BT」↑ゼンハイザーのワイヤレスイヤホンのエントリーモデル「CX 6.00 BT」

 

LGもGoogleアシスタント搭載イヤホンを発表

LGエレクトロニクスはGoogleアシスタントを搭載する「LG TONE Platinum SE/HBS-1110」を出展していました。ネックバンドタイプのワイヤレスイヤホンで、BA型とダイナミック型のハイブリッド方式のイヤホンです。連続音楽再生時間は10時間。本体のボタンをクリックしてGoogleアシスタントを起動。ブースではスマホ「LG V30」のグーグル翻訳機能と連携した日本語から英語へのリアルタイム翻訳機能が体験できました。

↑Googleアシスタント機能を搭載した「LG TONE Platinum SE」↑Googleアシスタント機能を搭載した「LG TONE Platinum SE」

 

K-POPのSMエンターテインメントがアイリバーと新ブランド「Astell&ASPR」を立ち上げ

K-POPを中心とした良作コンテンツを多数手がけてきた音楽レーベルのSMエンターテインメントが、Astell&Kernを展開するアイリバーとタッグを組んで新しい音楽ブランド「Astell&ASPR(アステル・アンド・アスパイア)」を立ち上げました。CESの会場で、日本でもポータブルオーディオファンには“馴染みの顔”であるアイリバー社のCEO、ジェームス・リー氏に新しいブランドで今後どんなことに挑戦していくのか訊ねてみました。

↑CESでデビューしたSMエンターテインメントとアイリバーがタッグを組んだブランド「Astell&ASPR」↑CESでデビューしたSMエンターテインメントとアイリバーがタッグを組んだブランド「Astell&ASPR」

 

↑アイリバーのジェームス・リー社長↑アイリバーのジェームス・リー社長

 

「これまでオーディオはハードやソフトの技術革新を土台に発展してきました。コンテンツのスペシャリストであるSMエンターテインメントと組むことによって、アートや音楽の“世界観”からインスパイアされたオーディオであったり、音楽を楽しむためのコンテンツプレーヤーをアイリバーのテクノロジーをベースに形にしていきたいと考えています。SMエンターテインメントに所属する人気アーティストとのコラボモデルは一つの企画として構想しています。あるいは先日ACTIVOというブランドに搭載されたAstell&Kernのテラトンというオーディオ向けのシステムモジュールを活用することで、Astell&ASPRオリジナルの音楽プレーヤーもスピード感を活かした開発ができそうです」(ジェームス社長)

 

タッグを組むSMエンターテインメントはAstell&ASPRブランドからアパレル、アクセサリーなどのファッションアイテムをプロデュースしながら、様々な角度から音楽を盛り上げていくそうです。ブランドをお披露目する機会となったCESの会場にはAstell&KernのKANNやポタアンのXB10、イヤホンのMichelleをベースにしたオリジナルカラーリングのプロトタイプが並んでいました。これから本格始動後にどんな製品やサービスが誕生するのか楽しみです。

↑XB10とMichelleのAstell&ASPRオリジナルモデルのイメージ↑XB10とMichelleのAstell&ASPRオリジナルモデルのイメージ

 

シュアからUSB Type-C・96/24のDAC内蔵デジタルケーブル

SHURE(シュア)は昨年のCESで発表した、SEシリーズなどMMCXタイプのイヤホンと互換性のあるLightningデジタルケーブル「RMCE-LTG」に続いて、今年はUSB Type-Cの端子を乗せた新製品「RMCE-USB」を発売します。米シュアのマット・エングストロム氏は「最近はサムスンやソニーのフラグシップスマホなど、特にハイレゾ対応の上位クラスのモデルにUSB Type-C端子からのオーディオ出力に対応するスマホが増えてきました。MacBook ProなどUSB Type-Cを搭載するノートPCにつないで、96kHz/24bit対応の内蔵DACで軽快にハイレゾ再生を楽しめるのも本機の魅力になると思います。」と語っていました。本機のほかにも、4月に開催される“ヘッドフォン祭り”には大型の新製品も持って、お馴染みのシーン・サリバン氏とふたりで東京に駆けつけてくれるそうです。

↑シュアのUSB Type-C端子を搭載するデジタルケーブル「RMCE-USB↑シュアのUSB Type-C端子を搭載するデジタルケーブル「RMCE-USB」

 

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オーデジーの平面型イヤホンに北米限定のライトモデル

アメリカのオーディオブランドAudeze(オーデジー)は、昨年発売した平面型イヤホンのフラグシップモデル「LCDi4」に加え、今度は北米だけで、販売チャンネルも自社Webサイトとアマゾンに限定して展開する「LCD-LX」を出展していました。ホワイトにブルーのアクセントをコンビにした鮮やかな色合いを特徴としています。「ベースの実力はiSINE10相当。Lightning接続のCIPHERケーブルは別売オプションで展開する」(スタッフ談)という、とにかく平面型イヤホンの魅力を多くのポータブルオーディオファンが手軽に楽しめるように低価格化を徹底した入門機ということです。

↑オーデジーの平面型イヤホンのエントリーモデル「LCD-LX」はアメリカで販売チャンネルも限定して発売される↑オーデジーの平面型イヤホンのエントリーモデル「LCD-LX」はアメリカで販売チャンネルも限定して発売される

 

先にレポートした【ハイエンド編】と合わせて、今年もCESのポータブルオーディオが活況を呈していたことを十分にお伝えできたでしょうか。今回ご報告した新製品が日本に上陸する日が今からとても楽しみです。

 

【CES 2018】10万円超は当たり前! 人気オーディオメーカーの最高級モデルが続々登場

アメリカのラスベガスでは、世界最大のエレクトロニクスショー「CES」が開催されています。今年のイベントはAIアシスタントの話題で持ちきりですが、ポータブルオーディオも負けていません。ゼンハイザーやAKGのフラグシップモデルなど、ハイエンド系の注目製品を一気にご紹介していきましょう。

 

ゼンハイザー 密閉型のフラグシップモデル「HD 820」

2009年に発売されたゼンハイザーのフラグシップヘッドホン「HD 800」は、いまは珍しくなくなった10万円を超える“高級ヘッドホン”の先駆者であり、レジェンド的なモデル。2016年には本機のエンハンスモデルである「HD 800 S」が発売され、2018年には本機のドライバーユニットをベースにした、密閉型フラグシップモデルの「HD 820」が登場します。アメリカの販売価格は2399.95ドル(約26万円)になります。アメリカでの発売時期は初夏ぐらいになる見込みです。

↑ゼンハイザーの密閉型フラグシップヘッドホン「HD 820」↑ゼンハイザーの密閉型フラグシップヘッドホン「HD 820」

 

HD 800 Sのサウンドをそのまま密閉型にしたというヘッドホンは、ハウジングに強化ガラスをカーブさせたカバーを採用。イヤーカップ内部の音の響きをコントロールしています。ブースで実機を試聴してみたところ、高解像で力強く開放的なサウンドを楽しむことができました。聴感上のバランスがフラットでありながら、すべての帯域の音が鮮やかに聴こえてきます。ゼンハイザーの担当者によれば、音質はまだ最終段階まで仕上がっていないとのこと。発売される頃にはどんなスゴい音が聴けるのでしょうか。とても楽しみです。

↑内側に向かって緩やかにカーブしたガラスカバーを採用している↑内側に向かって緩やかにカーブしたガラスカバーを採用している

 

AKGから最上位Nシリーズのフラグシップイヤホン「N5005」

AKGが現在展開するラインナップの中でも最上位ラインのNシリーズに、トップエンドのイヤホン「N5005」が発表されました。アメリカでの販売価格は999.95ドル。ハーマンインターナショナルの担当者に日本国内での展開を尋ねたところ、発売時期は3月頃、価格は10万円前後で検討しているそうです。なお本機が発売された後も、現在のフラグシップである「K3003」は販売を継続します。

↑AKGのフラグシップイヤホン「K5005」↑AKGのフラグシップイヤホン「K5005」

 

9.2mmのダイナミック型とクアッドBA型という4ウェイ・5ドライバー構成。5つもドライバーが入っているのにハウジングがとても小さく、ふだんはN30を愛用している筆者が身に着けてみても違和感を感じないほど装着感は良好でした。ブラッククロームの仕上げもスタイリッシュ。

 

サウンドは現在最上位の「N40」の華やかな中高域の雰囲気をそのままに、透明度の高い中低域を厚み、クオリティともに一段とリッチにしたような感覚です。ボーカルの鮮明な定位と立体感に圧倒されました。

↑持参したAK70 MkIIでN5005のサウンドをチェックした↑持参したAK70 MkIIでN5005のサウンドをチェックした

 

試聴の機会が限られていたので、N40やN30にも搭載されているアコースティックチューニングフィルターは「リファレンスサウンド」で聴いていますが、フィルターはN40よりもさらに1種類多い「Bass Boost/Reference Sound/Semi-High Boost/High Boost」の4種類を同梱しています。

↑ノズルの先端に取り付けるフィルターは4種類を同梱↑ノズルの先端に取り付けるフィルターは4種類を同梱

 

3.5mmアンバランス端子のほか、2.5mmバランス端子のリケーブルを同梱。本体側はMMCX。本機をワイヤレスイヤホンとしても楽しめるようにBluetooth対応のドングルケーブルも付いてきます。ワイヤレス再生は最長8時間対応。キャリングケースや多種イヤーチップも同梱されてきます。豊富な同梱品と音楽再生の実力を考えれば、プレミアムグレードのイヤホンのなかではかなりコストパフォーマンスの高さが感じられるイヤホンです。

↑2.5mmバランスイヤホンケーブルとBluetoothリスニング用のケーブルが付属する↑2.5mmバランスイヤホンケーブルとBluetoothリスニング用のケーブルが付属する

 

ユーザーに合わせてカスタマイズできるベイヤーのテスラヘッドホン

ベイヤーダイナミックは独自の高磁力テスラドライバーを搭載したハイレゾヘッドホン「AMIRON HOME」のワイヤレスバージョン、「AMIRON WIRELESS」の試作機をCESに展示しました。ベイヤーダイナミックの担当者は「まだコンセプト段階の製品なので価格や発売時期は未定」と語っていましたが、かなり最終製品に近いレベルまで作り込まれていました。

↑ベイヤーダイナミックの「AMIRON WIRELESS」↑ベイヤーダイナミックの「AMIRON WIRELESS」

 

ワイヤレスオーディオのコーデックはハイレゾグレードのaptX HDや、低遅延なaptX LL、iOSデバイスとの組み合わせに最適なAACをサポートしています。同担当者によれば「ピュアオーディオのリスニングだけでなく、様々なホームエンターテインメントをこれ1本で楽しめるようにしたかった」ため、様々なコーデックに対応したのだといいます。なおケーブルによる有線リスニングはハイレゾ対応です。

 

会場でiPhoneにワイヤレスでつなぎ、つないでラテンジャズの楽曲を聴くことができました。抜けが良く立体的な空間、シャープな音像の再現力に、さすがテスラドライバーならではの余裕が感じられます。右側のイヤーカップがタッチセンサーリモコンになっていて、音楽再生やハンズフリー通話のコントロールも快適。日本で発売されたテスラドライバー搭載ヘッドホン「AVENTHO WIRELESS」も対応しているスマホアプリ「MIY(Make it yours)」を使って、ヘッドホンによる音の聴こえ方をユーザーの聴覚に合わせてパーソナライズすることも可能です。

↑イヤーカップの外側がタッチセンサーリモコンになっている↑イヤーカップの外側がタッチセンサーリモコンになっている

 

B&Oのノイキャン+ワイヤレスヘッドホンがアップデート

北欧デンマークのオーディオブランド、B&Oのヘッドホンのフラグシップモデルが最新モデルにアップデートされました。なお、ブランドの名前もB&O PLAYから、ホームオーディオ製品と徐々に統一しながら元のルーツである「B&O」へ切り替わるそうです。

 

現行のフラグシップモデルからアラウンドイヤーの「H9」は「H9i」に、オンイヤーの「H8」が「H8i」に生まれ変わります。「i」のアルファベットには「individual(個性)」などの意味が込められているそうです。本体色はブラックとナチュラルの2種類。H9iが499ドル(約5万5000円)、H8iが399ドル(約4万4000円)になります。日本での発売も来月頃に実現しそうです。

↑B&OのH9i↑B&OのH9i

 

↑オンイヤータイプのH8i↑オンイヤータイプのH8i

 

デザインはディティールをブラッシュアップして、イヤーカップをスリムに、ハウジングの外形を少しだけ大きくしています。イヤーカップの内側の容積にゆとりを持たせて密閉性も高めました。

 

H8に搭載されていたタッチパネルコントローラーはH8iではボタンタイプのリモコンに変更され、機能をオンにすると一時的に再生中の音楽をストップして外の音を取り込む「トランスペアレンシーモード」が追加されています。

 

H9iは前機種と同じようにタッチパネルコントローラーを設けています。充電式のバッテリーパックを着脱できるようにしています。またイヤーパッドも着脱交換ができるので、経年劣化にも強く、長く愛用できるヘッドホンです。

 

本体にはノイキャン用に2つ、クリアなハンズフリー通話用に2つのマイクを乗せています。CESの会場で試聴してみたところ、ノイズキャンセリング機能は周囲に大きな音で鳴っている音楽も聞こえなくなるほどの効果。サウンドはH8/H9のナチュラルバランスから、やや中低域の力強さを加えてメリハリの効いた音に仕上げているようでした。

 

ヘッドホンのほかにも、現在国内でも販売好調の完全ワイヤレスイヤホン「E8」の限定カラーバリエーションモデルが展示されていました。価格や発売時期は未定ですが、アパレルやインテリア系のショップなど通常とは異なる販路で展開されるそうです。オールブラック、オールホワイトの艶やかな色合いが物欲を刺激します。

↑E8のオールブラック↑E8のオールブラック

 

↑こちらはオールホワイト↑こちらはオールホワイト

 

ほかにもJBLからは、最上位シリーズの「EVEREST」にGoogleアシスタントを搭載するワイヤレスヘッドホンとイヤホンが発売されます。ラインナップはヘッドホンがアラウンドイヤーの「JBL EVEREST 710GA」とオンイヤーの「JBL EVEREST 310GA」。イヤホンが「JBL EVEREST 110GA」になります。ヘッドホンは右側イヤーカップの表側にセンサーが内蔵されていて、手を触れた状態で音声コマンドを入力すると答えを返してくれます。

↑JBLがGoogleアシスタント搭載ヘッドホンとイヤホンを3機種発売↑JBLがGoogleアシスタント搭載ヘッドホンとイヤホンを3機種発売

 

JBLのほかにもソニーが発売中のヘッドホン・イヤホン「1000X」シリーズがソフトウェアのアップデートによってGoogleアシスタント機能を内蔵することも発表されています。今年は同様にAIアシスタント対応のポータブルオーディオが一気に増えそうです。

↑ソニーも現行のWM-1000XM2、WI-1000X、WF-1000XがGoogleアシスタント対応になる↑ソニーも現行のWM-1000XM2、WI-1000X、WF-1000XがGoogleアシスタント対応になる

 

もう外国語の勉強はいらない!? LINEのNAVERが「リアルタイム翻訳機能」を備えたAIイヤホンを発表

米国・ラスベガスでは現地時間1月8日から、毎年開催される大規模なエレクトロニクスショー「CES」が開幕されています。CESには全世界からあらゆるエレクトロニクスが集結し、今後のトレンドとなる技術や製品にいち早く触れることができます。今回は、開催前日の7日に行われたプレイベントで、注目のAIアシスタントを搭載した面白い完全ワイヤレスイヤホンの新製品を見つけたので、早速レポートしたいと思います。

 

複数のAIアシスタントに対応したマルチAIイヤホン

CES Unveiledと呼ばれるプレイベントに出展したJabraは、日本国内でも発売されている完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite Sport」に続くラインナップを広げてきました。今度の新しいモデル「Jabra Elite 65t」はアマゾンのAlexa、グーグルのGoogleアシスタント、そしてアップルのSiriにマルチ対応した“AIイヤホン”です。本体に4つの高精度マイクを内蔵して、音声による操作でAmazon Music Unlimitedの音楽ストリーミングを再生したり、天気やWeb情報の検索ができるようになるそうです。

↑Jabraが発売するAlexa/Googleアシスタント/Siriに対応する完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite 65t」↑Jabraが発売するAlexa/Googleアシスタント/Siriに対応する完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite 65t」

 

↑3つのAIアシスタントに対応するとパッケージにも魅力をうたっている↑4つのAIアシスタントに対応するとパッケージでもうたっている

 

心拍センサーを省略したことで、価格がよりリーズナブルになっています。防水性能を高めた「Jabra Elite 65t Active」が189ドル、通常版の65tが169ドル。本体単体で5時間の連続音楽再生を楽しむことができて、充電器兼用のケースを合わせて使えば最長15時間も連続して音楽リスニングを楽しむことができます。左右イヤホンの間は安定した接続性能を実現するNFMIをJabra Elite Sportと同様に採用しました。

↑IP65相当の防滴・防塵性能を実現した「Jabra Elite 65t Active」↑IP65相当の防滴・防塵性能を実現した「Jabra Elite 65t Active」

 

↑左右の本体に合わせて4基のマイクを乗せて音声コマンドを正確に認識する↑左右の本体に合わせて4基のマイクを乗せて音声コマンドを正確に認識する

 

アメリカでの発売時期は1月。日本でも3月の導入を予定しているそうなので期待したいですね。

 

LINEのNAVERからは翻訳機能を搭載したAIイヤホンが登場

もうひとつのAIイヤホンは、韓国のNAVERが出展した「MARS」。こちらは日本でも発売されているスマートスピーカー「WAVE」「Clova Friends」が採用するAIアシスタント「Clova」の搭載を予定しています。

↑NAVERが完全ワイヤレスイヤホン「MARS」を発表↑NAVERが完全ワイヤレスイヤホン「MARS」を発表

 

20180109-i01 (6)↑丸みのあるデザイン

 

イヤホンとして音楽を聴くことは勿論できるのですが、本機がウリに掲げているのは「リアルタイム外国語翻訳」の機能です。左のイヤホンでユーザーの声をピックアップして、右のイヤホンを会話の相手に着けてもらうと指定した言語に素速く翻訳された音声が伝わるという夢のような機能を実装する予定です。ノズルにマイクユニットを乗せて、ユーザーが話した声を正確にピックアップする「InnerMicテクノロジー」を搭載しています。

↑見た目には普通の完全ワイヤレスイヤホンだが、リアルタイム処理ができる外国語翻訳機能を搭載した。アプリには翻訳の履歴が表示される↑見た目には普通の完全ワイヤレスイヤホンだが、リアルタイム処理ができる外国語翻訳機能を搭載した。アプリには翻訳の履歴が表示される

 

デモンストレーションでは英語から日本語へのリアルタイム翻訳も披露していました。「Hello>こんにちは」程度の短い単語によるデモだったので、長文はできるようになるのでしょうか? とスタッフに訊ねたところ、発売時には問題なくできるようになりますという力強い答えが返ってきました。

 

発売時期は今のところ今年の第三四半期(=秋以降)が見込まれているそうです。Clovaに対応するということは韓国だけでなく、日本も発売地域に含まれていることを示唆しているのでしょう。正式発表に期待です。NAVERのスタッフはアメリカやヨーロッパなど、LINEやClovaがメジャーでない地域にはAlexaやGoogleアシスタントで同様のことを実現できるAIイヤホンを発売したいとコメントしていました。

 

12月には日本でもボーズがGoogleアシスタントを内蔵する「QuietComfort 35 II」を発売し、ドイツのヒアラブル製品のスタートアップであるBragiが商品化したAlexa搭載の完全ワイヤレスイヤホン「The Dash Pro」も上陸しました。AIアシスタントを搭載するエレクトロニクス機器といえばいまのところスマートスピーカーが真っ先に思い浮かびますが、本来カレンダーの予定を確かめたり、自分だけが好きなアーティストの曲などプライベートな情報は他人に知られることなく扱いたいものです。音が外に漏れないイヤホンとAIアシスタントの相性は本来スピーカーよりも良さそうにも思います。今年は色んな家電機器が「AI対応」を競い合うようになるのか楽しみです。