玄関先のセキュリティカメラだけでなく、自宅内のカメラやモーションセンサーなど、セキュリティ面でのスマートホームもどんどんと進歩しています。GetNavi webでは自宅内を飛行して外出先から家の様子を確認できるドローン「Aire」も紹介しました。
こうした自宅用のセキュリティデバイスは普及してきていますが、これをポータブルにして持ち運べるプロダクトはまだ多くありません。そんななかいま海外メディアで話題を集めているのが「nōmad」。クラウドファンディングサイト「Crowd Supply」で資金募集中の「nōmad」はカメラ、モーション、サウンドセンサー、ライブ通知などが組み合わさった「ポータブルセキュリティガジェット」となっています。
本製品の紹介ビデオでは、「まるで自分専用の警備員が常にあなたを守ってくれるよう」と演出されています。確かにこんなふうに守られてみたいものです。
「nōmad」の仕組みは簡単。メインとなるスティック型のデバイスに付属でついている小型のポッドを外出時に持っておき、ホテルの部屋やロッカーのなか、オフィスの自分のデスクやクルマのなかなど、自分以外が入らない場所やセキュリティ的に気になるスペースに小型ポッドを設置します。
それぞれの小型ポッドは音やモーション、振動や照明の変化、さらには煙も検知し、スマートフォンに通知を送ってくれるのです。最近はAirbnbなどの民泊も普及してきて、宿泊先も多様化してきましたが、オンラインでは大丈夫そうに見えた場所も、実際に着いてみると「ここ大丈夫かな……」と不安になることもあります。煙探知器がついていなかったりしても、nōmadのポッドがそれをカバーしてくれます。
小型ポッドは複数使えるので、スーツケースのなかやナイトスタンドの上、洗面所と複数の場所をモニタリングすることも可能。
スティック型のデバイスにはカメラも付いているため、こちらも部屋やクルマのなかに設置しておけば、異変があったときにアプリを使ってリアルタイムで何が起きているかを確認することができます。
役に立つのはホテルや車から離れたときだけではありません。移動中は小型ポッドを手荷物やスーツケースのなかに入れておけば、一定の距離を離れたときに知らせてくれます。荷物の置き忘れや盗難の防止にも使えるわけです。
nōmadにはLTE通信機能が内蔵されているので、外出先のホテルやオフィスなどのWi-Fiを使う必要がありません。ユーザーとの通信も完全に独立しているので、その面でのセキュリティも確保されているというわけ。海外メディアも「外部のWi-Fiや有線ネットワークに頼らなくてよいnōmadは独立性を非常に真剣にとらえている。これはとっても素晴らしい」「移動をしなくてはいけない、かつセキュリティに真剣なユーザーたちにアピールするはず」とセキュリティ面の強さを評価しています。
昨年末にキャンペーンを開始したばかりのnōmadですが、開発資金の獲得は芳しくありません。本稿執筆時点で残り20日間を切っていますが、目標金額(約1700万円)の2%しかお金が集まっていません。原因の1つは価格が少し高いからかもしれません。小型ポッドなしのメインのスティックデバイスだけで約2万8000円、小型ポッドが2つついたセットが約4万5000円となっています。
または、まだニーズがないからかもしれません。自宅用のセキュリティシステムはたくさん登場してきましたが、こうやって持ち運びができるデバイスはまだまだ珍しいのが現状。旅行や出張先でもセキュリティを確保してくれるデバイスへのニーズはこれから生み出されるのか――。まずはnōmadが目標金額を獲得できるかどうかに注目です。