掃除機の新ジャンル「コードレスキャニスター」2大モデルを徹底比較! 東芝とシャープ「最も大きな違い」はどこだった?

コードレスキャニスターは、次の掃除機のトレンドとして大注目されているカテゴリ。実はこれまでにも何度かコードレスキャニスターは国内発売されていたのですが、主にバッテリーの容量不足による連続運転時間の短さと吸引力の低さから、普及までには至りませんでした。それに対し、今秋相次いで発売された東芝「VC-NX1」とシャープ「Ractive Air EC-AS500」は、バッテリー技術とモーター技術も飛躍的に向上し、コード式にも見劣りしない吸引力と十分な運転時間を実現しています。

 

前回は、この2機種について、「吸引力(フローリング)」「吸引力(カーペット)」「操作性」「設置性」の4項目をチェックしました。今回はそれに引き続いて、「ゴミ捨てのしやすさ/メンテナンス性」「汎用性」「独自機能」の3項目を比較検証していきたいと思います。併せて両機にはどんな違いがあってどんなユーザーに向くか、最後に結論としてまとめてみましたので、そちらを読んでいただくだけでもおおよそのことがわかるはず。ぜひ、この新ジャンルの魅力に注目してみてください!

 

【検証する機種はコチラ】

エントリーその1

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コード式に迫る吸引力と約1時間という長時間の連続運転を実現

東芝

VC-NX1

実売価格10万2370円

リチウムイオン電池を同社のコードレススティック掃除機の2倍搭載し、最長約60分の連続運転が可能に。最大毎分約12万回転する高速DCモーターを新採用し、同社のコードレススティックを超えるパワフルな吸引力を実現しました。凹凸の少ない本体デザインで狭いスペースでも動きやすく、本体が上下反転しても体勢を直さずそのまま掃除が続けられます。スイスイ自走する「ラクトルパワーヘッド」やゴミの有無を知らせる「ゴミ残しまセンサー」など、同社の高度な機能を多数装備。●サイズ/本体質量:W261×H185×D234mm/2.8kg

 

エントリーその2

徹底した軽量化によりスティック型を超える使いやすさが魅力!

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シャープ

Ractive Air EC-AS500

実売価格6万4330円

本体構造などの軽量化により、パワーブラシタイプのキャニスター型では最軽量クラスの総質量2.9kgを実現。手元パイプ部に航空機などにも使われる軽量素材「ドライカーボン」を採用し、手や腕への負担を大幅に軽減しました。大風量ターボモーターと高効率リチウムイオンバッテリー、自走パワーヘッドで、同社のコード式キャニスター掃除機と同レベルの集じん力を達成。バッテリーは着脱式なので、置き場所を選ばず手軽に充電が行えます。●サイズ/本体質量:W204×H230×D390mm/1.8kg

 

【テストの内容はコチラ】

「ゴミ捨て/メンテナンス性」ではまず、ゴミ捨てまでの工程と捨てやすさ、ゴミ捨ての頻度に関係するダストカップの集じん容積をチェック。メンテナンス性はダストカップを分解して、そのパーツ数やフィルター掃除のしやすさを確認しました。さらに、ヘッドのブラシ部分の掃除のしやすさも見ています。「汎用性」については、付属のアタッチメントを確認、それらを使った掃除の多様性をチェック。さらに「独自機能」では、掃除のしやすさを向上させる各種機能を見ていきたいと思います。

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【検証結果はコチラ】

エントリーその1

東芝

VC-NX1

<ゴミ捨て/メンテナンス性>

2つのフィルターでホコリを除去するため、こまめなフィルター掃除が必要

本機がユニークなのは、大型の車輪の奥にダストカップが収納されているところ。まず本体を横倒しにして「取りはずしボタン」を押し、ダストカップを取り出します。その後カップカバーを外してゴミを捨てます。集じん容積は0.4ℓです。

↑本体の車輪部分が上を向くように本体を立て、「取りはずしボタン」を押すとダストカップが少し浮きます。その後ハンドルを引き起こして、ダストカップを取り出します↑本体の車輪部分が上を向くように本体を立て、「取りはずしボタン」を押すとダストカップが少し浮きます。その後ハンドルを引き起こして、ダストカップを取り出します

 

本機はサイクロン式でなく、メッシュフィルターとプリーツフィルターでゴミをこし取る方式を採用。そのためこまめなフィルターの掃除は不可欠です。フィルター掃除の際は、ホコリに触れる可能性が高いので、気になる人はビニール手袋などを着けてお手入れするのがいいでしょう。ダストカップは4つに分解して掃除します。なお、プリーツフィルターも含めて、すべて水洗いOKです。

↑写真左からカップカバー、プリーツフィルター、メッシュフィルター、ダストカップ↑写真左からカップカバー、プリーツフィルター、メッシュフィルター、ダストカップ

 

↑メッシュフィルターについたホコリは付属のお手入れブラシを使って丁寧に取り除きます。ちなみにお手入れブラシはプリーツフィルターに使うと破れる危険があります。フィルター上部についているちり落としレバーを往復させるか、フィルターの外枠を手のひらで軽くたたいて落とすのがよいそうです↑メッシュフィルターについたホコリは付属のお手入れブラシを使って丁寧に取り除きます。ちなみにお手入れブラシはプリーツフィルターに使うと破れる危険があります。フィルター上部についているちり落としレバーを往復させるか、フィルターの外枠を手のひらで軽くたたいて落とすのがよいそうです

 

ヘッド内のブラシは、ヘッド天面部のロックを外し、ブラシをベルトから外して絡みついたゴミを除去できます。天面を外すタイプは筆者は初めてでしたが、ブラシの取り出しも比較的ラクでした。

↑ヘッド天面の両側のロックを外すとカバーが簡単に開きます。ブラシは上部から簡単に取り出せます↑ヘッド天面の両側のロックを外すとカバーが簡単に開きます。ブラシは上部から簡単に取り出せます

 

<汎用性>

豊富なアタッチメントで家中くまなく掃除できる!

本機は付属のアタッチメントが多いのも特徴。フィルター掃除用ブラシも含む6つのアタッチメントが同梱され、アタッチメント収納袋まで入っています。アタッチメントのなかにはふとん用ブラシやロングブラシも入っており、特にロングブラシは3つの関節を使って自在に折り曲げられ、様々な場所の掃除ができます。

↑付属のアタッチメント。左からお手入れブラシ、別売品用アタッチメント、ふとん用ブラシ、丸ブラシ、すき間ノズル、ロングブラシ、付属品収納バッグ↑付属のアタッチメント。左からお手入れブラシ、別売品用アタッチメント、ふとん用ブラシ、丸ブラシ、すき間ノズル、ロングブラシ、付属品収納バッグ

 

↑ロングブラシはジョイント部が3点あり、掃除する場所に合わせて、様々な角度に調整できます↑ロングブラシはジョイント部が3点あり、掃除する場所に合わせて、様々な角度に調整できます

 

↑ふとん用ブラシ。2列の「たたき棒」が回転して、寝具の中のアレル物質を叩き出して吸引します↑ふとん用ブラシ。2列の「たたき棒」が回転して、寝具の中のアレル物質を叩き出して吸引します

 

↑本機に付属のすき間ノズルは、一般的なすき間ノズルより吸引口が小さいのが特徴。サッシのすき間などの掃除に便利です↑本機に付属のすき間ノズルは、一般的なすき間ノズルより吸引口が小さいのが特徴。サッシのすき間などの掃除に便利です

 

<独自機能>

上下反転して走行できる構造やゴミセンサーなどの豊富な機能で効率アップ!

本機独自の機能といえばまず、本体が上下反転しても掃除が続けられる「ダブルフェイススタイル」。やや大型のボディながら、狭い場所でもスムーズに方向転換ができます。延長パイプの先端にLEDライトを搭載し、暗い場所でもゴミのある場所を確認しながら掃除できるのもメリットです。

↑ホースを持ち上げると、大型車輪の回転軸に沿って本体がぐるっと反転。そのまま逆方向に掃除を続けることができます。本体先端の補助輪も両側に付いています。↑ホースを持ち上げると、大型車輪の回転軸に沿って本体がぐるっと反転。そのまま逆方向に掃除を続けることができます。本体先端の補助輪も両側に付いています

 

↑ヘッドを接続する延長パイプの先端にLEDライト(ワイドピカッとライト)を装備。ただし、このLEDライトは常時点灯していて、明るい場所を掃除するときはバッテリーのムダ遣いに感じてしまいます。スイッチでON/OFFできるとうれしいのですが↑ヘッドを接続する延長パイプの先端にLEDライト(ワイドピカッとライト)を装備。ただし、このLEDライトは常時点灯していて、明るい場所を掃除するときはバッテリーのムダ遣いに感じてしまいます。スイッチでON/OFFできるとうれしいのですが…

 

また、掃除中にゴミの有無を確認する「ゴミ残しまセンサー」を装備。ゴミを見つけると手元のランプが赤く光り、自動モードで掃除している場合は吸引力がアップします。布団などの上の微粒子ゴミの集じんや、ベッドの下など目の届きにくい場所の掃除に役立ちます。さらに、「汎用性」のところで触れましたが、多彩なアタッチメント搭載も魅力です。

↑「ゴミ残しまセンサー」はゴミを吸っているときは赤く点灯。ゴミを吸っていないときは消灯します。赤いランプが消えることで、園場所がきれいになったことがわかります↑「ゴミ残しまセンサー」はゴミを吸っているときは赤く点灯。ゴミを吸っていないときは消灯します。赤いランプが消えることで、その場所がきれいになったことがわかります

 

エントリーその2

シャープ

Ractive Air EC-AS500

 

<ゴミ捨て/メンテナンス性>

2工程で素早くゴミ捨てでき、フィルターについたホコリも手動でラクラク落とせる

ゴミ捨てまでの工程は、「ダストカップセットを外す」「ゴミ捨てボタンを押す」の2工程のみ。ゴミを捨てる前にカップ上部のハンドルを回すとプリーツフィルターのホコリが落ちてゴミも圧縮、ホコリの舞い上がりが抑えられます。集じん容積はやや小さめの0.25ℓです。

↑ダストカップ上部のカップハンドルを引っ張るとロックが外れ、ダストカップが取り出せます↑ダストカップ上部のカップハンドルを引っ張るとロックが外れ、ダストカップが取り出せます

 

↑ゴミ捨てボタンを押すとダストカップの底ぶたが開いてゴミが落ちます↑ゴミ捨てボタンを押すとダストカップの底ぶたが開いてゴミが落ちます

 

↑カップハンドルを回すと、プリーツフィルターのチリ落とし機構と連動。フィルターが弾かれてホコリが落ちます。さらにダストカップ内部のスクリュー型の羽根でゴミをカップの底に押し込んで圧縮します↑カップハンドルを回すと、プリーツフィルターのチリ落とし機構と連動。フィルターが弾かれてホコリが落ちます。さらにダストカップ内部のスクリュー型の羽根でゴミをカップの底に押し込んで圧縮します

 

ダストカップのパーツは5種類。プリーツフィルターにはフィルターを弾いてホコリを落とす機構が付いていて、これを回転させるか新聞紙などの上でフィルターをはたいてホコリを除去します。また、5つのパーツはすべて水洗いが可能です。

↑ダストカップのパーツは全部で5種類。左からカップカバー、プリーツフィルター、筒型フィルター(上)、筒型フィルター(下)、ダストカップ↑ダストカップのパーツは全部で5種類。左からカップカバー、プリーツフィルター、筒型フィルター(上)、筒型フィルター(下)、ダストカップ

 

ヘッドブラシの掃除は、ヘッド裏のカバーを外して、ベルトからブラシを抜き取って掃除します。カバーはロックを外せば簡単に取れますが、抜き取ったブラシにベルトを掛けて戻すのに、ややコツがいりました。

↑ヘッドブラシを掃除するときは、ヘッド右側のカバーを外し、ブラシに装着されているベルトを外して取り出します↑ヘッドブラシを掃除するときは、ヘッド右側のカバーを外し、ブラシに装着されているベルトを外して取り出します

 

<汎用性>

伸縮式すき間ノズルとはたきノズルで家具のすき間からエアコンの上まで掃除できる

付属のアタッチメントは「2段伸縮すき間ノズル」と「はたきノズル」の2つ。そのほか延長パイプを差し込むハンドル部の先端に「ベンリブラシ」が付いています。はたきノズルは先端のブラシの角度を変えられ、高い場所の掃除にも使えました。

↑付属のアタッチメント。左がはたきノズル、右が2段伸縮すき間ノズル↑付属のアタッチメント。左がはたきノズル、右が2段伸縮すき間ノズル

 

↑「ベンリブラシ」はハンドル部に折り畳まれている状態から手で回転させて吸込口にセット。卓上などのちょっとした掃除に便利です。また、取り外して延長パイプに取り付けることも可能です↑「ベンリブラシ」はハンドル部に折り畳まれている状態から手で回転させて吸込口にセット。卓上などのちょっとした掃除に便利です。また、取り外して延長パイプに取り付けることも可能です

 

↑はたきノズルを延長パイプに接続して、エアコン外部の掃除も可能。本体はもちろん、ヘッドも延長パイプも軽いので、片手に本体、片手にハンドルを持って、高い場所もラクラク掃除できます↑はたきノズルを延長パイプに接続して、エアコン上部の掃除も可能。本体はもちろん、ヘッドも延長パイプも軽いので、片手に本体、片手にハンドルを持って、高い場所もラクラク掃除できます

 

<独自機能>

圧倒的な軽さであらゆる掃除がラクにこなせる!

「機能」といえるかどうかわかりませんが、本機の最大の独自性といえるのは徹底した軽量設計。突出した便利機能は少ないですが、実際に使ってみるとその軽さの恩恵を実感できます。バッテリー着脱式で充電・収納がしやすいのも特徴。掃除中モノを動かす際に、本体を起こしてヘッドのフックを掛け、自立した状態で置けるのも、意外に便利です。ゴミ捨てでは、ゴミをプレスする機構も快敵な使用感にひと役買っています。

↑バッテリーも充電器もコンパクト。コンセント近くの壁際に設置しておけば、生活の邪魔にならずに充電できます↑バッテリーも充電器もコンパクト。コンセント近くの壁際に設置しておけば、生活の邪魔にならずに充電できます

 

↑掃除終了後だけでなく、掃除中にも掃除機を自立して置けます。フックを掛けるのに最初手間取りますが、慣れればサッと本体を立ててヘッドのフックを掛け、イスやモノの移動に取りかかれます↑掃除終了後だけでなく、掃除中にも掃除機を自立して置けます。フックを掛けるのに最初手間取りますが、慣れればサッと本体を立ててヘッドのフックを掛け、イスやモノの移動に取りかかれます

 

【今回のテストのまとめ】

<ゴミ捨て/メンテナンス性>

ゴミ捨てとメンテ性ではシャープ、ヘッドブラシの手入れは東芝が有利

ゴミ捨てまでの工程は東芝が3工程なのに対し、シャープは2工程。シャープはゴミの圧縮機能が付いていたり、プリーツフィルターのホコリ落としをカップハンドルを回して行い、フィルターに触らなくて良いなど、使い勝手はやや上だと感じました。ちなみに両機種とも、ダストカップの全パーツを水洗いできるのはポイントが高いです。一方、ヘッドブラシのメンテナンスに関しては、カバーをヘッド天面で外せる東芝のほうが、ブラシの手入れはしやすいと感じました。

↑ゴミ圧縮機能を持つシャープのダストカップ↑ゴミ圧縮機能を持つシャープのダストカップ

 

<汎用性>

東芝は豊富なアタッチメントで、シャープは圧倒的な軽さで多彩な掃除に対応

汎用性では豊富なアタッチメントが付属した東芝が一歩リード。床掃除はもちろん、棚やテーブル、布団掃除など部屋中の掃除に対応できます。ただし本体がやや重いので、片手で本体を持っての高所の掃除は、女性や年配の方にはやや大変かもしれません。

 

逆に、シャープはアタッチメント数こそ少なめですが、本体やハンドル〜ヘッド部が軽いため、掃除できる範囲は広いとも言えます。ちなみに別売のふとん掃除パワーヘッドを使えば、ふとん掃除も可能です。

↑東芝のアタッチメントはとにかく豊富↑東芝のアタッチメントはとにかく豊富

 

<独自機能>

掃除を効率よく行うための各種機能を装備した東芝に優位性あり

独自機能に関しては、東芝のほうが多彩。斬新な上下反転構造に加え、LEDライトや「ゴミ残しまセンサー」などキャニスターやスティック掃除機で培われた便利機能が投入されています。一方のシャープは、コードレススティックの「Ractive Air」の軽量化技術、着脱式バッテリー技術をキャニスター型に応用。独自機能は少なくても、使い勝手は文句なしです。

↑東芝のゴミ残しまセンサー↑東芝のゴミ残しまセンサー

 

【検証のまとめ】

以上、2回連載で7項目の検証を行いましたが、最後にそれぞれのモデルがどんな用途に適しているか、考えてみたいと思います。

 

東芝は「強い集じん力」で家中くまなく掃除したい人に最適!

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まず、東芝「VC-NX1」は、強力な集じん力を持ち、約60分もの連続運転が可能。かさのあるドライペットフードも完璧に集じんし、カーペットに吸い付くことなく快適に集じんできるうえ、アタッチメントも豊富に用意しており、床面を中心に、家中をくまなく丁寧に掃除したい人に向いています。本体がやや重いため、本体を引きずる動作が多少わずらわしく思えてしまうのは事実。その意味では、集じん力の強さも含め、シャープよりキャニスター寄りの機種といえそうです。ただし、これまでコード式キャニスターを使ってきた人なら、コンセントをいちいち挿し替えずに複数の部屋を掃除できる快適さ、狭い場所でもサッと方向転換できる快適さを体感できるでしょう。収納時も、ホースが垂れることもなく充電台にすっきり設置でき、デザイン面でも部屋置きに耐えられると感じました。

↑VC-NX1はドライペットフードも残さず集じん↑VC-NX1のフローリングでの集じん力テスト。わずかな紙ゴミを残し、かさのあるドライペットフードも残さず集じんしました

 

シャープはとにかく軽く腕への負担が少ない「スティック寄り」モデル

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一方、軽量設計のシャープ「Ractive Air」は、女性や年配の方にオススメ。とにかく軽いため、本体を引きながらの掃除も、本体を片手で持っての掃除も快適。その意味では、東芝よりスティックに近い存在といえるでしょう。また、ある程度長時間掃除をする人には、コードレススティック掃除機より本機のほうがラクに使えます。ただしカーペット掃除ではヘッドがカーペットに吸い付いてしまうのがやや惜しい。床を中心に、毎日こまめに掃除したい人に向いているといえます。また、バッテリーが着脱式で、本体の収納場所の選択肢が広いのも魅力。バッテリーを2個用意すれば、東芝と同じ約60分の連続運転も可能で、しかもバッテリー1個あたりの充電時間が約80分とスピーディなのも魅力です。ゴミ捨てやメンテナンス面も快適で、使い勝手を何より優先する人には、オススメの1台だといえます。

↑バッテリーを外して充電できるので、コードの近くでなくても本体が収納できます↑バッテリーを外して充電できるので、収納場所はコードの近くでなくてもOKです

 

今回の検証で、東芝は主に「パワーとスタミナ」、シャープは「軽さと操作性」に優位性があることが判明。さらに、「コードレスキャニスター」という新ジャンルは十分な実用性を備えていることを証明してみせました。特にこれまでコード式のキャニスター掃除機を使っていてコードレスの快適さを味わってみたい人、コードレススティック掃除機を使うと腕が疲れるという人、ぜひ買い替えの選択肢として考えてみてください。

【8項目徹底比較】キャニスター掃除機は「過去の遺物」じゃない! 東芝/シャープ2大モデルが示したコードレスの可能性

2013年ごろから始まったコード式キャニスター掃除機とコードレススティック掃除機のシェア争いは、いまやコードレススティック掃除機が優勢。コードレススティックは、元々コンセントに電源を抜き挿しする必要がなく、使いたいときにさっと取り出せるのが魅力でしたが、弱点だった運転時間と吸引力の強化により、メイン掃除機として十分に使える性能を獲得しました。

 

一方、コードレススティック型に押されて苦しい状況にあったキャニスター掃除機ですが、2017年秋に起死回生を狙った2モデルが相次いで発売されました。それが東芝「VC-NX1」とシャープ「Ractive Air EC-ASシリーズ(サイクロン式)・EC-APシリーズ(紙パック式)」です。

20171005-s3-(00)↑シャープ「Ractive Air EC-AS500」(左)と東芝「VC-NX1」(右)

 

コードレスキャニスター掃除機の注目2モデルの使い勝手を検証!

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「VC-NX1」と「Ractive Air」はともに、キャニスター型ながら「コードレス」を実現したモデル。コードレススティック掃除機で培ったバッテリー技術・モーター技術を応用し、コード式に迫る吸引力と長い連続運転時間を実現したのが特徴。コードがモノに引っかかることもなく、 「コードの抜き挿し」という面倒な作業がなくなったうえ、本体の重さが手首や腕にかかりません。「コードレス」となったことで、キャニスター掃除機は、より快適な操作が期待できるのです。しかし、その使い勝手の良し悪しは、実際に使ってみないとわからない……。

 

ということで今回は、新発売の東芝「VC-NX1」と、シャープのEC-ASシリーズのなかから「Ractive Air EC-AS500」(以下、Ractive Air)を取り上げ、「吸引力(フローリング)」「吸引力(カーペット)」「操作性」「設置性」「ゴミ捨てのしやすさ/メンテナンス性」「汎用性」「独自機能」の8項目で、前・後編の2回に分けて比較検証。前編では、「吸引力(フローリング)」「吸引力(カーペット)」「操作性」「設置性」の4項目を見ていきましょう!

 

【検証する機種はコチラ】

エントリーその1

20171005-s3 (1)

コード式に迫る吸引力と約1時間という長時間の連続運転を実現

東芝

VC-NX1

実売価格10万2370円

リチウムイオン電池を同社のコードレススティック掃除機の2倍搭載し、最長約60分の連続運転が可能に。最大毎分約12万回転する高速DCモーターを新採用し、同社のコードレススティックを超えるパワフルな吸引力を実現しました。凹凸の少ない本体デザインで狭いスペースでも動きやすく、本体が上下反転しても体勢を直さずそのまま掃除が続けられます。スイスイ自走する「ラクトルパワーヘッド」やゴミの有無を知らせる「ゴミ残しまセンサー」など、同社の高度な機能を多数装備。●サイズ/本体質量:W261×H185×D234mm/2.8kg

 

エントリーその2

徹底した軽量化によりスティック型を超える使いやすさが魅力!

20171005-s3 (2)

シャープ

Ractive Air EC-AS500

実売価格6万7320円

本体構造などの軽量化により、パワーブラシタイプのキャニスター型では最軽量クラスの総質量2.9kgを実現。手元パイプ部に航空機などにも使われる軽量素材「ドライカーボン」を採用し、手や腕への負担を大幅に軽減しました。大風量ターボモーターと高効率リチウムイオンバッテリー、自走パワーヘッドで、同社のコード式キャニスター掃除機と同レベルの集じん力を達成。バッテリーは着脱式なので、置き場所を選ばず手軽に充電が行えます。●サイズ/本体質量:W204×H230×D390mm/1.8kg

 

【テストの内容はコチラ】

吸引力テストは、フローリング上とカーペット上の幅20cm×長さ70cmの範囲にドライペットフード50粒、重曹20g、長さ5cm×幅1〜2mmに切った紙ゴミ1gを撒き、それぞれ強モードで1回だけ走行。どれだけ取れたかを視認しました。また、フローリングに関しては、壁際に重曹を撒き、その集じん具合も確認しています。

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操作性は、ヘッドの前後の動かしやすさ、左右の首振りのしやすさを確認。また、テーブルなどの家具の近くを掃除機がけして、本体が障害物を避けてスムーズに走行できるか、方向転換がスムーズか、などもチェックしました。さらに、ソファやベッドなど高さのない場所の掃除のしやすさにつながる、ヘッドをどこまで寝かせて掃除できるかも吟味。掃除機の連続稼働時間と充電時間も合わせて確認します。

 

設置性は、掃除終了後に省スペースに収納できるか否か、また収納する手間はどうか、という点を見ていきます。

 

【検証結果はコチラ】

エントリーその1

東芝

VC-NX1

 

<吸引力(フローリング)>

ヘッドと床のすき間が十分に取られ、かさのあるドライペットフードも完璧に集じん

1回の走行では紙ゴミがある程度残り、ヘッド両端(特に左端)に重曹が残ってしまいました。一方注目なのは、ドライペットフードを完璧に集じんできていたこと。ペットフードは直径6mm×長さ6mmほどの筒型ですが、コードレススティックが苦手にしている“かさのあるゴミ”をしっかり捕集できるのは大きなメリットです。

↑ペットフードは一粒残らず捕集。一方紙ゴミは、ヘッドの下を通過したものの集じんされずに残ったものが前方に溜まっています。一度ブラシでかき込んだものの、吸引されずにヘッドの外に飛び出た紙ゴミもありました。また、ヘッドの両端の通過跡には重曹の取り残しも見られます↑ペットフードは一粒残らず捕集。一方紙ゴミは、ヘッドの下を通過したものの集じんされずに残ったものが前方に溜まっています。一度ブラシでかき込んだものの、吸引されずにヘッドの外に飛び出た紙ゴミもありました。また、ヘッドの両端の通過跡には重曹の取り残しも見られます

 

ヘッドの形状を確認すると、ヘッド前面カバーと床のすき間が約8mm開いていました。通常のコードレス掃除機の場合、バッテリー消費を抑えつつ吸引力を高めるために、ヘッドと床のすき間を小さくしがちなのですが、そうするとかさのあるゴミはすき間を通れません。その点、本機で大きめのゴミも問題なく集じんできるのは、それだけパワフルなモーター出力とバッテリー容量を確保できていることの証拠です。

20171005-s3 (5)↑ヘッド前面のカバーの下が大きく開いています。メジャーで計るとすき間は約8mmありました

 

↑ヘッドには、綿ゴミが絡みにくく、汚れもつきにくいフッ素加工ブラシ(濃緑色)と床面の静電気発生を抑えるAgブラシ(薄緑色)の2種類のブラシを搭載しています↑ヘッドには、綿ゴミが絡みにくく、汚れもつきにくいフッ素加工ブラシ(濃緑色)と床面の静電気発生を抑えるAgブラシ(薄緑色)の2種類のブラシを搭載しています

 

また、壁際に重曹をまいての集じんでは、両端にわずかに粉が残るものの、壁と床の間のゴミは完璧に集じんできていました。

↑壁際に溜まった重曹も、フローリングの目地に溜まった重曹も逃さず捕集できています。ヘッドが壁についたときの両端にわずかに重曹が残っていますが、ヘッド位置をずらしてもう一度掃除機がけすれば、完全に集じんできました↑壁際に溜まった重曹も、フローリングの目地に溜まった重曹も逃さず捕集できています。ヘッドが壁についたときの両端にわずかに重曹が残っていますが、ヘッド位置をずらしてもう一度掃除機がけすれば、完全に集じんできました

 

<吸引力(カーペット)>

重曹とペットフードは完璧に捕集するも、紙ゴミの集じんはやや苦手

カーペットの掃除では、重曹とドライペットフードは完璧に集じんできていた一方、紙ゴミはカーペットの毛に引っかかる形で、半分ほど残っていました。フローリングの掃除でもそうでしたが、細長くてある程度硬さのある紙ゴミは、ヘッドブラシではかき取りにくいようです。

↑紙ゴミのみ、カーペットに埋まるようにして残りましたが、ほかは重曹もペッフードも完璧に集じんしていました↑紙ゴミのみ、カーペットに埋まるようにして残りましたが、ほかは重曹もペッフードも完璧に集じんしていました

 

ちなみに掃除機のなかには、ヘッドがカーペットにぴったり吸い付いて掃除しにくい機種もあるのですが、本機はそれがなく、極めて快適に掃除できたのも印象的でした。

 

<操作性>

本体が上下反転しても掃除できる特殊構造で方向転換が超スムーズ

キャニスター掃除機の長所は、長時間掃除しても疲れにくいこと。本体がハンドル部分と分離しているので、手首や腕にかかるのがハンドルや延長パイプ、ヘッドの重さだけになるので、快適に操作できるのです。

 

本機は、そうしたキャニスター型本来の長所に加え、随所に使いやすさの工夫が見られます。なかでも特徴的なのは、本体が上下反転してもそのまま掃除し続けられる構造(東芝はこれを「ダブルフェイススタイル」と名付けています)であること。本体が円筒型でさらに本体より大きい車輪を採用しているため、本体が真上を向いてもひっくり返っても、問題なく走行し続けられます。また、大型車輪なのに加え、柔らかくしなりのあるホースの採用で、急な方向転換にも柔軟に追随。滑らかなラウンドフォルム採用で、家具の間もスルスルと走行できます。

↑上下に反転できるので、ベッドと壁の間のすき間など、横に方向転換できないスペースでもスームズに向きを変えられます↑上下に反転できるので、手前側にも、奥側にも本体を倒して進むことができます。ベッドと壁の間のすき間など、横に方向転換できないスペースでもスームズに向きを変えられます

 

↑充電台から本体を外す際は、ハンドルを持ったまま本体を手前に引き出すだけ。本体がすぐにフックから外れて掃除を開始できます↑充電台から本体を外す際は、ハンドルを持ったまま本体を手前に引き出すだけ。本体がすぐにフックから外れて掃除を開始できます

 

ヘッドは左右にそれぞれ60°以上首振りし、ハンドル部を床にピタッとつけても、ヘッドが浮かず、高さが約6cm以上あるすき間なら奥までしっかり掃除できます。何より自走式パワーヘッドが強力で、フローリングでもカーペット上でも、手を添えておくだけでどんどん前に進み、掃除がとてもラクでした。ハンドルがラウンド形状で、掃除する場所によって最も操作しやすいハンドル位置を選びながら使えるのが便利です。

↑ヘッド部の高さは約6cm。延長パイプやハンドル部は床にピタッとくっつき、そのまま約6cmの高さがあるすき間に入って、楽々ゴミが取れます↑ヘッド部の高さは約6cm。延長パイプやハンドル部は床にピタッとくっつき、そのまま約6cmの高さがあるすき間に入って、楽々ゴミが取れます

 

↑ハンブル部はやや広めでラウンドしており、手首に負担のかからない場所に持ち替えながら掃除できます↑ハンブル部はやや広めでラウンドしており、手首に負担のかからない場所に持ち替えながら掃除できます

 

ただし本機の場合、(あくまでシャープ「Ractive Air」と比較してですが)本体の重さがやや気になりました。特に女性や高齢者が片手で本体を持って階段などを掃除する場合に、その重さが辛く感じるかもしれません。

 

充電時間は約5時間で、連続運転時間は標準モードで約60分。約1時間の掃除ができれば、コード式掃除機と同じ感覚で掃除しても、ほぼ問題がないと思われます。また、ゴミの有無を「ゴミ残しまセンサー」が見分けて吸引力を自動調節する「おまかせ」モードでも、約20〜30分の掃除が可能です。

 

<設置性>

セットにコツがいるものの、ほぼA4サイズの充電台にすっきり収納

本機は掃除終了後は付属の充電台に戻して収納することになります。充電台は幅25cm×奥行26.5cmとA4用紙よりやや大きいサイズの設置面積。ホースをハンドルの裏に引っ掛けるフックが付いており、見た目にもすっきりと収納できます。ただし、充電台に本体をセットする際は、最初なかなかうまくセットできませんでした。

↑充電台にセットするとき、本体の向きがどっちにしたらいいのか最初はわかりにくかったです。なにかワンポイントの目印が付いているとよかったのですが……↑充電台にセットするとき、本体の向きがどっちにしたらいいのか最初はわかりにくかったです。なにかワンポイントの目印が付いているとよかったのですが……

 

↑ヘッドの付け根裏側と、ハンドル裏側にホースを留めるためのフックがあり、これを使うとホースが垂れ下がらず、すっきりと収納できます↑ヘッドの付け根裏側と、ハンドル裏側にホースを留めるためのフックがあり、これを使うとホースが垂れ下がらず、すっきりと収納できます

 

また、本機は東芝の製品らしく豊富なアタッチメントを付属していますが、それらは充電台にはセットできず、別の場所に収納する必要があります。もっとも、アタッチメントも充電台に収納できるようにするとコンパクトさが失われますから、本体の設置性向上とトレードオフだと考えれば納得できるでしょう。

 

エントリーその2

シャープ

Ractive Air EC-AS500

 

<吸引力(フローリング)>

微細な重曹はしっかり吸引。ドライペットフードはヘッドを浮かせる必要あり

重曹はほぼ完璧に集じん。ヘッドが走行したあとにはまったくゴミが残りませんでした。一方、ドライペットフードと紙ゴミは通常の掃除のやり方だと取り残しあり。特にドライフードはほぼ集じんできませんでしたが、これは、ヘッドと床面のすき間が3mmしか空いていないため。紙ゴミが残っていたのもペットフードがヘッド前面に溜まってしまい、吸引の障害になったと考えられます。ちなみに、ヘッドを浮かせてペットフードの上にかぶせて掃除すると問題なく集じんできました。

↑ヘッドが走行したあとには何も残らなかったものの、ヘッドと床面のすき間に入り込めないゴミが、前に押し出される状態に↑ヘッドが走行したあとには何も残らなかったものの、ヘッドと床面のすき間に入り込めないゴミが、前に押し出される状態に

 

↑ヘッド前面カバーと床面のすき間は3mm。東芝と比べると、すき間がやや狭くなっています↑ヘッド前面カバーと床面のすき間は3mm。東芝と比べると、すき間がやや狭くなっています

 

↑ノズルブラシには、メガネ拭きなどに使われる東レの極細繊維をループ状に加工した「極細ループから拭きブラシ」を採用。微細な汚れもしっかり絡め取ります↑ノズルブラシには、メガネ拭きなどに使われる東レの極細繊維をループ状に加工した「極細ループから拭きブラシ」を採用。微細な汚れもしっかり絡め取ります

 

なお、壁際に重曹をまいての吸引テストでは、両端にわずかに重曹が残ったものの、壁と床の境界のゴミはしっかり吸引できていました。

↑壁際の重曹はしっかり集じん。ヘッドが壁際にきた際の両端に残る重曹も東芝と比べると少ないです↑壁際の重曹はしっかり集じん。ヘッドが壁際にきた際、両端に残る重曹も東芝と比べると少ないです

 

<吸引力(カーペット)>

カーペットにヘッドが吸い付いて掃除しにくい点が惜しい

カーペットの集じんに関しては問題がありました。ヘッドの吸引力でカーペットとくっついてしまい、かなりヘッドが動かしにくかったのです。これはテストに使ったカーペットが薄型で軽いのも影響したのかもしれません。試しに弱モードで掃除してみましたが、こちらも強モードとあまり差がありませんでした。

 

結局力を入れてなんとか走行してみましたが、ヘッドに押し出されるかたちで、ドライペットフードと紙ゴミがヘッド前面にかなり残ってしまいました。重曹はところどころに取り残しが出たものの、あらかた集じんできている印象です。

↑前方に多くのゴミが溜まっているほか、カーペット上にも紙ゴミが多少残ってます。また、勢いをつけてヘッドを押し出した部分に、重曹の取り残しがありました↑前方に多くのゴミが溜まっているほか、カーペット上にも紙ゴミが多少残ってます。また、勢いをつけてヘッドを押し出した部分に、重曹の取り残しがありました

 

ちなみに、ペットフードの残量がフローリングのときより明らかに少なくなっていますが、これはペットフードがカーペットに沈み込むため、ヘッド前面のすき間を通り抜けられたのだと考えられます。

 

<操作性>

ハンドル部も本体も軽くて様々な場所で軽快に掃除できた!

本機の最大の特徴は本体質量が1.8kg、総質量が2.9kgと極めて軽いこと。ハンドル部からヘッドまでが特に軽く、掃除が驚くほどスムーズです。特に階段の掃除は、同社のコードレススティック掃除機に比べ、腕への負担を最大約20%低減しているとか。これならスティック型以上に快適に使えると実感しました。

 

ホースも柔らかくしなりがあるので、急な方向転換にもスムーズに対応。本体が細身なので狭い場所にもどんどん入っていけますし、走行できない場所なら片手で本体を持ちながら掃除しても、それほど苦になりません。東芝のように狭い場所での方向転換はできませんが、本機の場合は軽量な本体をひょいと持ち上げれば済む問題で、それほどデメリットには感じられませんでした。本体前面に大型の取っ手があり、持ちやすいのもうれしいポイントです。

↑本体は軽量かつ細身で、ホースも柔軟性があるため、人が掃除機がけする動線にうまく追随。重心も安定していて、急な方向転換で倒れることもありませんでした↑本体は軽量かつ細身で、ホースも柔軟性があるため、人が掃除機がけする動線にうまく追随。重心も安定していて、急な方向転換で倒れることもありませんでした

 

↑本体1.8kgなので、片手で持っての掃除もラクラク。モノが多い部屋でピンポイントにゴミを取りたいときも使いやすいです↑本体1.8kgなので、片手で持っての掃除もラクラク。モノが多い部屋でピンポイントにゴミを取りたいときも使いやすいです

 

また、「設置性」の検証でも触れますが、本機はどんな場所でも自立できるのが魅力。モノを動かすときにいちいち腰をかがめて床にハンドルを置いて……という作業が不要です。

 

ヘッドの左右の首振りは各45°程度。ヘッドの首振り角度は東芝より小さめですが、ヘッド自体が軽くスイスイ動かせるので、イスの脚回りなども快適に掃除できます。ハンドルをペタッと床に置けば、高さ約6cmのすき間にも入って掃除が可能。ちなみに、フローリング上では自走式ヘッドが機能しますが、カーペット上ではブラシがカーペットとの摩擦で止まってしまい、うまく機能しませんでした。

↑ヘッド部の高さは6cm弱。ラックの下なども奥までしっかり集じん可能です↑ヘッド部の高さは6cm弱。ラックの下なども奥までしっかり集じん可能です

 

↑ハンドルは持ち手がやや小さめ↑ハンドルは持ち手はやや小さめ

 

充電時間は約80分で、連続運転時間は弱モードで約30分。バッテリーをもう1個用意すれば、差し替えて連続約60分の掃除も可能です。フローリングとカーペットなど、掃除する場所に合わせて吸引力を変える「自動エコモード」では約20分の連続運転ができます。

 

<設置性>

本体のみで自立できるうえバッテリーを外して充電でき、設置場所は自由!

掃除終了後は本体をタテに起き上がらせ、延長パイプ本体底面のフックに掛けて収納。ホースもハンドル裏に引っ掛けてスリムに設置できます。バッテリーが着脱式なのでバッテリーだけ外して別の場所で充電でき、本体の収納場所が自由なのもメリットです。掃除中に本体を立ててパイプをフックに収め、イスやモノを片付けるという作業も快適に行えます。

↑延長パイプの先端裏面にフックがあり、本体を起き上がらせてから裏面のホルダーにフックを挿し込むと(左)、自立して収納できます。また、ホースフックをハンドル裏側にあるホルダーに挿し込めば(右)、ホースをすっきり収納可能↑延長パイプの先端裏面にフックがあり、本体を起き上がらせてから裏面のホルダーにフックを挿し込むと(左)、自立して収納できます。また、ホースフックをハンドル裏側にあるホルダーに挿し込めば、ホースをすっきり収納可能(右)

 

↑本体後方の「バッテリーはずす」と表示されたボタンを押せば、バッテリーが簡単に外れます↑本体後方の「バッテリーはずす」と表示されたボタンを押せば、バッテリーが簡単に外れます

 

↑外したバッテリーは付属の充電器に挿し込んで充電。充電器はコンパクトなので、置き場所の自由度も高いです↑外したバッテリーは付属の充電器に挿し込んで充電。充電器はコンパクトなので、置き場所の自由度も高いです

 

【今回のテストのまとめ】

<吸引力>

大小のゴミなら東芝が有利だが微細ゴミ中心ならシャープも優秀! ただしカーペットの掃除に注意

吸引力に関しては、東芝「VC-NX1」はかなりパワフルで、大小のゴミをしっかり集じんできる一方、ヘッドの両端の吸引力はわずかに落ちるようです。それに対してシャープ「Ractive Air」は、ヘッド前面と床の間が狭いものの、ヘッドの下に潜り込んだゴミは逃さず集じんできていました。ただし、カーペットにヘッドが吸い付く場合があり、その際は掃除が大変になります。

20171005-s3 (10)↑カーペットでも、紙ゴミ以外はパワフルに集じんした東芝VC-NX1

 

総合的に見ると、基本的なモーターパワーが強く、ヘッドと床面の間のすき間が大きくても問題なく掃除できる東芝のほうが、吸引力ではやや優勢だと感じました。ただし、通常のフローリング上の綿ボコリやチリなどをメインに掃除するなら、シャープでもまったく問題ありません。

 

<操作性>

どちらもスムーズに掃除できるが、より快適なのは軽さを極めたシャープ!

まず、コードレスキャニスター掃除機に共通して言えることですが、キャニスター型でコードの抜き挿しがなく、複数の部屋をどんどん掃除できるのはかなり新鮮でした。これまでキャニスター型を使ってきた人なら、この利便性だけで、コードレスキャニスターを導入する価値はあると思います。

 

特に本体もその他のパーツも徹底的に軽量化したシャープ「Ractive Air」は、文句なしの使いやすさ。スティック型よりも手や腕に負担がかからず、片手で本体を持てばスティック型同様の使い方もできる、まさにキャニスター型とスティック型のいいとこどりのハイブリッドモデルだといえます。

20171005-s3 (32)↑シャープRactive Airは片手で持っての移動もラク

 

一方東芝「VC-NX1」は、上下反転機能を採用するなど、これまでにないスタイルを実現しているとはいえ、本体の重さがどうしても気になります。もちろん、従来のキャニスター型掃除機と比べて重いわけではないのですが、コードレススティック型に慣れてしまった人は、本体の存在感に少々違和感を覚えるかもしれません。

 

<設置性>

部屋置きなら東芝、自由に収納するならシャープがオススメ!

設置性に関しては、東芝「VC-NX1」はコードレススティック掃除機とほぼ同様のスタイル(特にエレクトロラックス製品と近いです)。本体を充電台にセットするのに若干の慣れが必要ですが、ホースもスリムにまとめられ、部屋置きしてもそれほどうるさくは感じません。

↑↑東芝VC-NX1はスッキリ収納できます

 

一方のシャープ「Ractive Air」は、バッテリーを外して充電するので、設置場所の自由度が格段に高いのが魅力。収納場所を特に決めず、掃除が終わった場所にとりあえず置いておく、というズボラな使い方もできてしまいます。

↑シャープはバッテリーが着脱式で、充電のためコンセント近くに本体を置く必要がありません。インテリアの関係で設置場所が限られている部屋にも最適です↑シャープはバッテリーが着脱式で、充電のためコンセント近くに本体を置く必要がありません。インテリアの関係で設置場所が限られている部屋にも最適です

 

次回は連載企画の後編。「ゴミ捨てのしやすさ/メンテナンス性」「汎用性」「独自機能」について検証していきたいと思います。