Apple Watch用メッセンジャーアプリ、5月末に廃止? Metaが一部ユーザーに通知か

Apple Watch用のFacebookメッセンジャーアプリは、いつでもすぐに返事ができて便利だと好評を呼んできました。ですが、Metaがこのアプリを今月(5月)末に終了すると一部ユーザーに伝えていることが明らかとなりました。

↑Apple Watch用のメッセンジャーアプリ

 

今のところMetaは、メッセンジャーアプリを廃止することを公式には発表していません。しかし、複数のユーザーがApple WatchやiPhoneアプリ内で通知を受け取ったと報告しています。

 

Apple Watch用のメッセンジャーアプリが廃止されても、新着メッセージの通知は受信できます。ただし返信はできなくなり、iPhoneのアプリを使う必要があります。その場合、以前よりも時間を取られて面倒な作業となりそうです。

 

またApple Watch専用アプリの長所は、iPhoneが近くにない場合でもメッセージを受信できることです。専用アプリがなくなれば、これは不可能となります。

 

なぜMetaがwatchOS向けメッセンジャーアプリを廃止するのか、理由はわかっていません。とはいえ、TelegramのApple Watch専用アプリもApp Storeから姿を消していました。

 

もしかすると、Apple Watchのアプリ市場は、あまりうまくいっていないのかもしれません。たとえばヨーロッパにおけるApple WatchのApp Store月間利用者数は、iPhoneの1億100万人に対して100万人というアップル公式発表もありました。

 

次期「watchOS 10」は、Apple Watch史上最大のアップデートになるとの噂もあります。そのテコ入れで、Apple Watch用のApp Storeも盛り返すことを期待したいところです。

 

Source:Amanda Nova(Twitter)
via:Cult of Mac

Meta、FacebookとInstagramのNFTサポート終了。わずか1年足らず

Metaは2022年から自社のFacebookとInstagramでNFTへの対応を始めましたが、今後NFTサポートを終了すると発表しました。

meta-nft
↑2022年からNFT対応をはじめていたMeta

 

この決定は、Metaのコマース&フィンテック責任者であるステファン・カスリエル氏がTwitterで述べています。クリエイターやユーザー、ビジネスを助ける他の方法に注力するため、NFTとの関わりは縮小するとのこと。2022年5月、Instagramで自分のプロフィールにNFTアイコンを表示可能となりましたが、それから1年足らずでの幕引きとなりました。

 

カスリエル氏は、なぜNFTの方針を転換したのか詳しく説明していません。Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは2022年3月、将来的にNFTがメタバースで活躍するであろうことを伝え「メタバースでアバターが着る服は基本的にNFTとして鋳造され、異なる場所とも行き来できるようになるといい」と語っていましたが、その実現はかなり厳しいものとなりました。

 

NFT事業終了の背景を推察すると、ザッカーバーグCEOが3四半期連続で減収したことを受けて、2003年のテーマを「効率化」とした(コストカットや不採算部事業の整理)一環のようです。2022年1月には暗号通貨「Diem」を、9月にデジタルウォレット「Novi」も終了させていました

 

さらにMetaは2022年末に、メタバース事業を担うReality Labsを含む従業員1万1000人を解雇しました。また、まもなく新たに数千人規模のレイオフをするとも報じられています。生き残るためにあらゆる手段を探っているようです。

 

Source:Stephane Kasriel/Twitter
via:The Verge

Messenger機能がFacebookアプリにようやく帰ってくる

Facebookを運営するMetaは、チャット機能「Messenger」をFacebookアプリから利用できるようにするためのテストを始めていると発表しています。

↑Jakraphong Photography/Shutterstock.comより

 

2014年に単体のMessengerアプリをリリースし、Facebookアプリから同機能を削除したMeta。当時、Metaは「Messengerを最高のモバイルメッセージングアプリにし、Facebookのモバイルメッセージング体験との混乱を避ける」と説明していました。

 

最新のブログ発表によれば、MetaはFacebookアプリでMessengerの受信トレイにアクセスする機能をテストしており、近々このテストを拡大するとのこと。そして今後1年で、FacebookにMessenger機能を統合すると明かしています。

 

Metaによれば、「MessengerアプリでもFacebookアプリでも、人々が繋がり、簡単に共有できるようになることを望んでいます」としています。FacebookアプリとMessengerアプリを行き来する必要がなくなることは、ユーザーにとってもうれしい改善といえそうです。

 

Source: Meta via Engadget

Facebookのショート動画「リール」が最大90秒に延長! テンプレート機能も追加されます

Facebookはショート動画サービス「Reels(リール)」の長さを、60秒から90秒に延長することを発表しました。

↑Image:Facebook

 

これは2022年7月、同じくMeta傘下であるInstagramがリールを90秒に変更したことに続くものです。もっとも、どちらもTikTokの最大10分には及びません。

 

また、ショート動画とお気に入りの曲を同期させる機能「Grooves」も追加されることになりました。Metaの説明によると「ビジュアルビートテクノロジー」を使用しており、曲のビートに合わせて自動的に動きを合わせることができるとのこと。この機能はTikTokが先行しており、Instagram版リールにも実装済みです

 

さらに、「テンプレート機能」も利用できます。真似したいリール動画をテンプレート(鋳型)として、画像や動画を自分のものに挿し替えられる機能です。

↑Image:Facebook

 

Metaによれば、リール動画は最も急速に成長しているフォーマットであり、ここ1年でFacebookとInstagramともに再生回数は2倍以上に増えており、過去6か月でシェア回数も両プラットフォームとも2倍以上になっているとのこと。今後もますます、機能の充実に力が注がれることになりそうです。

 

Source:Facebook
via:TechCrunch

Twitter Blue対抗? Instagram/Facebook向け有料バッジが発表

Meta(メタ)は2月19日、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)で利用できる月額制の有料バッジ「Meta Verified」を発表しました。

↑Jadid Omit / Shutterstock.comより

 

有料の認証バッジといえば、Twitter(ツイッター)が有料サービス「Twitter Blue」の一環として、すでに提供を開始しています。Meta VerifiedはそのMeta版ともいえそうです。

 

Meta Verifiedでは政府発行のIDでアカウントを認証し、InstagramやFacebookのアカウントに認証バッジを表示するというもの。これにより、自分を名乗る「なりすまし」を防げるとアピールしています。さらにアカウントに対する一般的な問題について、実際の担当者が対応。検索やコメント、レコメンデーションなどでの知名度やリーチが向上します。

 

Meta Verifiedの月額料金はウェブ版が11.99ドル(約1600円)、iPhoneやiPad版が14.99ドル(約2000円)。今週からオーストラリアとニュージーランドにて展開され、その後にその他の国でも利用できるようになります。正直安くはない金額ですが、両プラットフォームでビジネスをされている企業や個人事業主には、ありがたいシステムとなるのかもしれません。

 

Source: Meta via MacRumors

Facebook出会い系サービスの年齢確認でAI顔認識ソフトをテスト中。18歳以上かどうかを自撮り動画でチェック

Facebookの出会い系サービス「デート」を使うには、18歳以上であることが必要です。その条件をクリアしているかどうかの年齢確認を、AI顔認識ソフトの使用を含めてテストしていることが明らかとなりました。

↑Image:Meta

 

Facebookの親会社であるMetaはブログ記事で、Facebookデートでユーザーが未成年の疑いがある場合、18歳以上だと確認するテストを広げると発表しました。ユーザーは身分証明書のコピーを提出するか、自撮りの動画をアップロードして、年齢確認を受けることになります。

 

このうち自撮り動画は英スタートアップのYotiと共有され、同社のAIツールにより年齢を推定。その画像はすぐに削除され、ユーザーを特定できない(ひも付けない)とされています。

 

Metaによると、この新たな年齢確認システムは、大人向けのサービスに子どもをアクセスさせないことに役立つそうです。最近のMetaは、未成年のユーザーを保護することに力を入れており、先月も「怪しい」大人との接触を防ぐ新対策を導入していました

 

すでにMetaはYotiの顔認識技術を、Instagramで18才未満に設定していたユーザーが18歳以上に変更するときのチェックに使っています。Yotiの調べによると、この年齢確認システムはおおむね非常に正確で、13歳~17歳を23歳以下と正しく見分ける割合は99.65%だそうです

 

またMetaによると、年齢確認システムは「何十万人」もの人々を年齢に応じた設定に振り分けており、Instagramから年齢確認を求められたユーザーの81%がYotiの自撮り動画オプションを選ぶとのことです。

 

しかし、このシステムは全ての人に正しく働くわけではなく、Yoti自らも「女性」の顔や顔色の悪い人ほど精度が劣ると認めています。こうした顔認識・解析ソフト一般が、年齢や人種、性別によって性能が異なる傾向があると指摘されており、また新たな問題の火種ととならないよう祈りたいところです。

 

Source:Meta
via:The Verge

Meta社、FacebookとInstagramアカウントを簡単に切り替えられる新機能をテスト中!

Meta社は26日(米現地時間)、FacebookとInstagramアプリのアカウントを簡単に切り替えたり、新規に追加できる機能をテストしていると発表しました。2つのアプリで様々なアカウント間を行き来している人や、私生活とビジネスを切り離すために複数のアカウントを使い分けている人にとって便利に使えそうです。

↑Image:Meta

 

すでにInstagramでは異なるアカウントを切り替えできましたが、新システムでは(同じアカウントセンターに登録している場合)Facebookのアカウントにも切り替えられます。

 

またFacebookとInstagramのプロフィールを、1つのアプリで確認できるとのこと。さらに、それぞれのプロフィールに通知も表示され、Instagramアプリを使いながらFacebookでコメントが付けられていないか、Facebookアプリ側でインスタへのDMがないかも確認できるわけです。

 

この新たな切り替え機能は、iPhoneやAndroidスマートフォン、さらにウェブ版で全世界的にテスト中とのことです。Metaの広報担当者は、具体的に何人のユーザーが利用できるか数字は出さないとしつつ、「今後数か月で利用できる範囲を広げ続けるでしょう」とコメントしています。

 

さらにiOSとAndroidアプリでは、新規アカウントとプロフィールの作成方法もテストしているとのこと。すでにFacebookを使用している場合Instagramを使い始めること(その逆も)がより簡単になるそうです。

 

Metaは以前からアカウントの相互連携に取り組んでおり、同社のVRヘッドセットでも「Metaアカウント」が導入され、InstagramやFacebookのプロフィールとの連携も可能となっています。逆にいえば、それ以前は「VRヘッドセットを使うためにFacebookアカウント必須」とされ、それがきっかけでFacebookアカウントが凍結されるトラブルが起きたこともありました。

 

複数のアプリや機器を連携させるため、その過程で試行錯誤があるのは仕方のないことでしょう。今後は、Meta社のサービスがいっそう使いやすくなると期待したいところです。

 

Source:Meta
via:The Verge

アップル、個人情報をあまり集めていなかったと明らかに。そして最も集めていた企業は…

これまでアップルは、プライバシーは「基本的人権」だと主張し、個人情報を集めないことをアピールしてきました。他のハイテク大手と違って広告で稼いでいるわけではないので、ユーザーの行動を追跡してデータを集める必要もない、というわけです。

↑アップル、個人情報をあまり集めていなかった…

 

さて新たな調査では、本当にアップルが他の企業よりも集めているユーザーデータが少ないことが分かりました。

 

調査会社StockAppsの分析によると、グーグル、ツイッター、アップル、アマゾン、Facebookを含む5つの大手デジタル企業のうち、Googleはユーザーに関するデータを最も多く集めているそうです。

 

具体的には、グーグルがユーザーごとに39個のデータポイントを収集しているのに対して、アップルは12種類に留まっているとのことです。また意外とも思えるのが、Facebookがアップルよりわずか2ポイント多いだけ、ということでしょう。

 

アップルとFacebook(現在はMeta社の傘下)は、プライバシー情報の扱いをめぐっては正反対の立場にあります。かつてアップルのティム・クックCEOがFacebookのプライバシー基準を批判して「我々は顧客を商品とは思っていない」と発言。それに対して、FacebookのザッカーバーグCEOが激怒したとの噂話もありました。

 

なぜFacebookが集めている個人情報が少ないかといえば、それは「保存しているデータのほとんどはユーザーが入力した情報である」からだそうです。つまり自分から集めに行かず。ユーザーが自発的に差し出したものを受け取る分が多いようです。

 

今回の調査によると、アップルはユーザーのアカウントを維持するために必要な情報だけを保存しているとのことです。ちなみにツイッターやFacebookは「必要以上に情報を保存している」とされています。

 

またアマゾンも同じく、最もプライバシーに配慮している企業だと評価されています。両社のウェブサイトともに、グーグルやツイッター、Facebookほど広告収入に依存していないためです。

 

StockAppsは、これらデータをかき集める企業がデータの量よりも、特定カテゴリーでのデータに焦点を当てていると分析しています。たとえばグーグルは個々のユーザーにつき、より多くの異なるタイプの情報を集めているという具合です。

 

今回のレポートで注目すべきは、グーグルが「ユーザーの位置情報を保持している」のが大きな懸念だ、と指摘している点でしょう。ユーザーのオンラインとオフラインの行動を結びつける位置情報は、プライバシーを守る上でホットな議論を呼んでいるためです。

 

先日もグーグルは、幼い息子が痛がるため、リモートで医師に診断してもらうために股間を撮影した写真をアップロードした父親のアカウントを凍結したことが注目を集めていました(警察は事件性なしと判断したが、グーグルは凍結を解除せず)。ハイテク大手が暴走するとブレーキを掛ける方法がほとんどないため、細心の注意を払うよう願いたいところです。

 

Source:StockApps
via:9to5Mac

Meta、カスタマーサポート部門を新設? やっとFacebookアカウント復活に対応してもらえるかも…

元FacebookのMeta社には、実は社内にカスタマーサポート部門がありませんでした。一応はヘルプセンターや、アプリメニューに「ヘルプとサポート」は用意されているものの、さっぱり対応してもらえないとの声が相次いでいました。

↑カスタマーサポート部門、今までなかったのか…

 

そんな事態を改善するため、もっかMetaがカスタマーサポート部門の構築を計画しており「予期せず投稿やアカウントが削除された」ユーザーを助けられる見通しだと報じられています。

 

米Bloombergによれば、この計画はまだ「初期段階」だそうで、いつから利用できるようになるかは不明です。

 

なぜ計画が動き始めたかといえば、部分的にはFacebook監督委員会(Meta傘下のSNSにつきモデレーションに関する判断・決定を行う機関)の意見に基づいているとのこと。同委員会は、前からMeta社がユーザーとコミュニケーションをとる方法につき、透明性を高めるべきだと主張してきたと伝えられています。

 

Facebookでトラブった人は思い当たるはずですが、運営側と連絡を取ることは困難を極めます。たとえばハッキングを受けたり身に覚えのない処分によりアクセス権を失ったユーザーには、アカウントを取り戻すための選択肢はほとんどありません。

 

一応は不服申し立てのメニューや自動化されたツールがありますが、どちらも操作が難しく、また効果がないことも多いもの。そのため困り果てたユーザーは、法律事務所やハッカーに依頼するなど、他の手段に訴えてアカウントの回復しようとすることもあります。またSNSを通じて、有名人にアカウント回復の手助けを頼み込むことも珍しくありません。

 

そこに、実際にユーザーと話してくれるカスタマーサービス担当者が加われば、多くの人にとって頭痛の種が解決されるかもしれないと期待されています。

 

とはいえ、Metaプラットフォームの日間アクティブ28億8000万人、Facebookだけで19億7000万人という膨大さです。もしもカスタマーサービスが開設されても、苦情を聞き届けてもらうには相当な時間がかかるのかもしれません。

 

Source:Bloomberg
via:Engadget

MetaザッカーバーグCEOのVR自撮り画像、素朴すぎて話題に。「2002年のゲームソフトみたい」との声も

元FacebookことMeta社のマーク・ザッカーバーグCEOのVRアバター画像が素朴すぎたことが話題となり、後にクオリティをアップした画像を公開することなりました。

↑Image:Meta

 

ことの始まりは、ザッカーバーグ氏がメタバースアプリ『Horizon World』をフランスとスペインで開始することを発表するFacebookの投稿に付けたスクリーンショットでした。そこでは虚ろな表情のVRアバターが、素朴すぎるエッフェル塔やサグラダ・ファミリアの前で自撮りしており、まるで10年以上も時代が遡ったかのようです。

 

この画像がツイッターなどに拡散して一人歩きし、メタバースの未来に何十億ドルも注ぎ込んだうえに社名までMetaに変えた本人のアバターが、なぜこんなに無表情で生気がないのかと話題をかっさらったしだいです。

 

これではメタバースではなく2012年の(Wii Uや3DSのネットワークサービス)Miiverseのようだなどと、たとえ話も時を遡っていき、2002年の任天堂ゲームキューブ用ソフトみたいだとの声も飛び出しました。

 

その声に応えて、Wii用の『World Baby』(空想上のゲーム)パッケージ画像を自作する人まで現れました。

 

ザッカーバーグ氏はこれらの批判に言及はしていませんが、前に投稿した写真が急いで撮ったため「かなり簡素」だったと言い、改めて表情もありライティングもされた自分のVRアバターや、リアルに描かれた古代遺跡のCGを投稿。そしてHorizonのVRグラフィックにつき「大きなアップデート」を計画していると述べています。

 

さらにザッカーバーグ氏は「Horizonのグラフィックはヘッドセット(自社のMeta Quest 2など)でももっと多くのことができますし、非常に速やかに改善しています」と付け加えています。懐かしすぎる作風のVRアバター画像が、将来性あるメタバースと真逆の方向だったと気づいたのかもしれません。

Source:Mark Zuckerberg(Instagram)
via:Engadget

元Facebookのメタが経営難? 管理職にリストラ準備を指示か

旧FacebookのMeta社が、今後いっそうの事業縮小にそなえて、管理職にクビにする従業員を特定せよと解釈できそうな指示をしているとの噂が伝えられています。

↑Meta Logo On Smartphone Being Held/Shutterstock

 

有料ニュースメディアThe Informationによると、Metaのリモートプレゼンス担当副社長のMaher Saba氏はマネージャーらに、チーム内で「サポートが必要」な人を特定するよう指示したとのことです。また成績の悪い「軌道に乗れない人」を「退場させるように」と通達したとも述べられています。

 

Meta社は同誌のコメント要請に応じなかったため、これらの指示が本当に意味するところは不明です。

 

またThe Washington Postの情報源によれば、従業員らはこれが「業績改善計画」の作成に使われ、結局は大量の首切りに繋がるのではないかと心配しているそうです。またSaba氏は「直属の部下が惰性で仕事をしていたり、成績が悪かったなら、その人は我々が必要としている人材ではなく、この会社を失敗させる者だ」とも書いたと伝えられています。会社にとってマイナスどころかプラマイゼロでも許されない、ということでしょう。

 

Meta社のマーク・ザッカーバーグCEOは、今月初めの質疑応答で、同社が「最近の歴史の中で最悪の不況の一つ」に直面していると従業員に警告していました。5月には今年の採用を減速すると言っていましたが、その場では新規エンジニアの採用目標人数を約30%減らすことを明らかにしています。

 

またザッカーバーグ氏は従業員への期待を高め、よりアグレッシブな目標を与えることも宣言しています。「この会社は自分には合わないと思う人もいるだろうし、それはそれでいいんだ。現実的には、この会社にいるべきでない人たちがたくさんいるのでしょう」と語ったと報じられていました。

 

SNS企業でありメタバースの旗振りをするMeta社は、アップルがiOS 14.5以降に導入したATT(異なるアプリやウェブをまたいでユーザーを追跡するときには、明示的な許可が必要)によりターゲティング広告の有効性が落ち、大幅に収益が落ちると見込んでいました。またVRヘッドセット「Meta Quest 2」は安さを強みに普及台数を伸ばしてきましたが、景気後退のリスクが一因となって、VRへの投資を減速しているとの観測もあります

 

Meta社の今後はさておき、次世代VRヘッドセット「Meta Quest Pro」は無事に発売されることを祈りたいところです。

 

Source:The Information,Washington Post

via:Engadget

Metaのザッカーバーグ、アップルは嫌いだがMacBookは大好き? リンゴのロゴを消したことが話題に

アップルと旧FacebookことMetaの関係が良くないことや、トップのティム・クック氏とマーク・ザッカーバーグ氏の仲が悪いことは広く知られています。たとえばクック氏はFacebookがプライバシー情報を扱う姿勢を痛烈に批判して「我々は顧客を商品とは思っていない」と述べたとき、ザッカーバーグ氏は激怒して幹部らに「Androidだけ使え」と命じたことも報じられました(表向きには「AndroidはiPhoneよりはるかにユーザーが多いから」という理由)。

 

アップルを憎んでいるらしいザッカーバーグ氏ですが、それでもMacBookを使っている写真を公開。そこで、わざわざアップルのロゴを消していることが話題を呼んでいます。

 

先週末、ザッカーバーグ氏はFacebookへの投稿で、マクドナルドの食べ物に囲まれた自分の写真をシェアしました。これはどうやら、マクドナルドがMetaの企業向けSNS「WorkPlace」を世界規模で導入したことを祝うもののようです。

 

ザッカーバーグ氏が唇を舐めていることより注目を集めたのは、その前に置かれたMacBookの天面にあるべきアップルのロゴがなくなっている点です。別にアップルのロゴがない一品ものを持っているわけではなく、Metaの広報がフォトショップで画像を加工し、リンゴのマークを消したと推測されます。

 

ご本人が大嫌いなアップルの製品を使っていることは、奇妙にも思えます。が、上記の「Androidを使え」命令が報道された後も、Facebook広報はAndroid携帯を「奨励」しているが、別にiPhoneを禁止していないとアピールしていたことを振り返れば、一応は矛盾していないのかもしれません。

 

なぜザッカーバーグ氏とクック氏の仲が、それほどこじれたのか。そのきっかけは2019年7月、ハイテク・メディア業界の大物が集まる会合でのことです。ちょうど英国の選挙コンサルティング会社Cambridge Analytica(以下「CA」)が約5000万人分のFacebookユーザーの個人情報を無断で流用していたと発覚して、クック氏がFacebookがプライバシー情報を扱う姿勢を批判した翌年でした。

 

その会合は、本当ならヒビの入った両社の関係を修復することが目的だったそうです。が、クック氏はCA問題につき助言を求めたザッカーバーグ氏に対して「Facebookはコアアプリ以外で集めた個人情報をすべて削除すべきだ」と刺々しく応えたとのこと。それは個人の嗜好などを基にしたターゲティング広告を主な収入源とするFacebookにとってはビジネスを止めろというに等しく、2人の関係は決定的に悪化してしまったと伝えられています

 

クック氏と仲違いする数年前にも、ザッカーバーグ氏はInstagramが月間5億人ユーザーを達成したときのお祝い写真で、MacBookのウェブカメラとマイク端子にテープを貼っていることから、アップルにスパイされることを心配しているのでは? と指摘されていました

↑9to5Macより

 

それから数年後の今日でも、MacBookを使い続けるザッカーバーグ氏の心境は気になるところです。さておき米9to5Macの掲示板では写真に面白いセリフを当てはめたりしているので、興味のある方はチェックされてはいかがでしょう。

Source:Facebook

via:9to5Mac

Facebookが雇用凍結した「4つの要因」を発表。アップルによるiOS 14.5以降のアプリトラッキング透明性導入の影響も示唆

世界的な大手SNSのFacebookは大規模な「雇用凍結」(一時的に社員の採用を停止すること)を発表しています。この決定につき親会社のMetaが、背景には4つの要因があり、その1つがアップルによるアプリトラッキング透明性(ATT)の導入だと従業員に説明したと報じられています。

 

 

これは米Business Insiderが入手したという、Metaの最高財務責任者デイビット・ウェーナー氏が全社員に送ったメモに基づいた報道です。それによると収益の伸びの鈍化とコスト増の原因は4つあり、1つ目がATTだと語られているそうです。

 

アップルはiOS 14.5以降にATTを導入し、異なるアプリやウェブをまたいでユーザーを追跡するときには明示的な許可(追跡していいですか?とポップアップを表示)を求めることを義務づけています。これによりターゲティング広告が難しくなり、Facebookもクライアントに「わが社の広告は効果的です」と証明しにくくなっています。

 

これまでもFacebookは、自社の広告ビジネスにATTが与える影響を繰り返し訴えながらも、それは中小企業のことを心配しているからだと主張してきました。が、今回のメモではFacebookの経営につき「年初に予想したよりも収益の伸びが鈍化するなど逆風にさらされている」とした上で、原因の一つとして「iOSの変更に伴う信号の喪失(ユーザー追跡が難しくなった)」が挙げられているかっこうです。

 

もっとも、他に「ウクライナ戦争から来るビジネス上の課題」や「一般的なマクロ経済環境」および「新型コロナ禍の規制が解除されたことで、オフラインで過ごす人が増え、感染拡大前の消費パターンに戻りつつある」などの要因も並べられています。つまり、アップルのATTのせいだけにしているわけではありません。

 

ただし、Facebookのグローバル採用責任者のミランダ・カリノウスキー氏が「エンジニアリング職が大きな打撃を受ける」とのメモを出しているそうです。機械学習の上級職を除いて、ほとんどのエンジニアの採用は直ちに一時停止され、これ以上の内定は出ないだろうとも述べており、やはりATTにより(おそらくネット広告に関わる)技術職は難しい立場に置かれているようです。

 

その一方でウェーナー氏は、「iOSの変更による信号損失(ATT)を克服するための広告システムへのAIの組み込み」やメタバースの実現を通じて、成長を再加速できることをも語っています。

 

MetaのザッカーバーグCEOもアップルのプライバシー対策がビジネスに「悪影響を及ぼしている」と何度も発言しています。が、その一方でターゲティング広告に使える個人データが減ったことを補えるよう広告インフラを「再構築」しているとも明らかにしていました

 

これから数年はメタバースで利益を出すことは難しいとも予想されますが、ザッカーバーグ氏の夢を叶えるためにも、プライバシーを侵害しない範囲で広告で稼げるよう努力が注がれることになりそうです。

Source:Business Insider
via:9to5Mac

約19億人もの個人情報はどう管理されるべき? Facebookの「プライバシー規制」に関する社内文書がリーク

世界最大手SNSのFacebookは、約5000万人分の個人情報が不正に流用されたり、かと思えば自社アプリが個人情報をかき集めていることが明らかにされたり、プライバシー関連については評判がいいとは言えません。

 

そして実際、Facebook社内でユーザーデータが何に使われているのか、どこにあるのかを把握しておらず、そもそもプライバシーに関する規制を守る能力があるのか疑わしいことを示す内部文書がリークされたと報じられています。

 

このリーク文書は昨年、Facebookの広告・ビジネス製品チームのプライバシーエンジニアが上層部が読むことを想定して作ったというものとのこと。そこでは世界各国で新たなプライバシー関連の規制が強まるなかで、Facebookが推定19億人もの個人データについて、いまなお手探りを続けているプラットフォームだと述べられています。

 

さらにFacebookが個人データの扱いに関して、各国に約束することは難しいと警告しています。なぜなら同社のシステムがどのようにデータを利用するか、適切なレベルの管理や説明できる能力に欠けているため、たとえば「XデータをYの目的に使用しない」といった対外的な約束を自信を持ってできないためだ、とされています。

 

が、それこそが規制当局がFacebookに期待していることのため「ミスや虚偽表示のリスクを高めている」とのことです。データの使い方をよく分かっていないまま約束してしまうと、結果としてウソをついたことになるというわけです。

 

何がユーザーデータの追跡(社内のどこに行っているか)を難しくしているかといえば、Facebookが「閉じた形」のシステムを持っていないため。つまりFacebook自らが集めたユーザーデータ、サードパーティーのデータや機密データが混じり合う「オープンボーダー」がある、ということです。特定のデータ追跡がいかに難しいかは、「インクの瓶を湖に注いでから、瓶に戻そうとする」というたとえ話がされています。

 

もっともFacebookの広報担当者は「この文書には、プライバシー規制を遵守するための当社の広範なプロセスや制御が書かれていないことを考えると、規制を守っていないと結論づけるのは単に不正確です」と反論しています。

 

上記のデータ流出問題が発覚した直後、マーク・ザッカーバーグCEOはEU公聴会に出席して釈明を迫られていました。またFacebookがMetaに改名した後も、EUからユーザーデータを米国に移転できなくなれば撤退するぞと警告したことに、仏独の経済担当相らは「どうぞどうぞ」と応じていたことがあります。今後のMetaとEUの関係性も注視したいところです。

Source:MotherBoard

元FacebookのMeta社、メタバースではなく現実の店舗を5月にオープン。VRゲームをプレイできる大画面ディスプレイもあり

元FacebookのMeta社は、5月9日(米現地時間)に同社初の実店舗をオープンすることを発表しました。同社が熱く推進しているメタバースの中ではなく、米カリフォルニア州バーリンゲームにあるキャンパス内にて物理的なショップが営まれることになります。

 

これはMeta社が仮想世界に軸足を置きながらも、ハードウェア事業の比重が増していることを表す動きでもあります。「Meta Store」はReality Labs(AR(拡張現実)とVR(仮想現実)を研究する部門)の近くにあり、同社のVRヘッドセット製品であるMeta Quest 2や、スマートグラスの「Ray-Ban Stories」 のほか携帯デバイスが展示され、お客は従業員とビデオ通話したりVR体験をしたりとインタラクティブなデモが楽しめる予定です。

 

Meta社にとって実店舗は、単にハードウェアを売るだけでなく、より多くの人にVRとARの技術を知ってもらうための位置づけです。店頭でのVRデモは「壁から壁までの」巨大なLEDディスプレイで行われ、たとえばヘッドセット内に表示されている『ビートセイバー』のゲーム画面などが現実の視界いっぱいに広がるというぐあいです。

Meta

 

また、マーク・ザッカーバーグCEOも、自らのFacebookページにてMeta Storeを予告しています。「私たちの製品が人々をつなぎ、メタバースを構築していくなかで何が起こるかが分かる素晴らしい体験です」とのことです。

 

最初の店舗は1550平方フィート(約144平方メートル)という控えめなものですが、米The New York Timesは昨年秋、Meta社が世界中にリアル店舗を開くことを検討していると報じていました。同社のメタバース部門は2021年に100億ドルの損失を出していましたが、粘り強い努力を期待したいところです。

 

Source:Meta

【西田宗千佳連載】Facebookが社名変更して挑む「メタバース」の価値

Vol.109-1

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回は、デジタル業界でいま話題のメタバースを取り上げる。

↑メタバース(Metaverse)は、「Meta」と「Universe」を組み合わせた造語。人間がアバターという分身に化けてネット上に構築された仮想空間でさまざまなやりとりができるようになる。Meta社のVR会議アプリHorizon Work rooms(写真)ではアバターで会議に参加可能だ

 

110兆円の市場にビジネスの中心を移行

「メタバース」という言葉が急速に注目を集めている。もうここ2年くらい続いているのだが、やはりニュースとして大きく取り上げられるきっかけとなっているのは、10月28日、Facebookがメタバース事業への注力を宣言し、社名を「Meta」に変えたからだろう。

 

社名変更のいきさつについて、特に海外ではかなり辛辣な評価も多い。このところ同社は、プライバシーや政治的発言のコントロールなどで多数の問題を抱えている。それによってブランド価値が下がることを防ぎ、次のビジネス価値が大きくなるまで時間を稼ぐには、社名変更で批判をかわすのが一番……という話だ。そんな面もあるだろう。

 

だが、同社が文字と写真をベースにしたSNSの次の存在として、メタバースを有望な存在と考えるのは本心中の本心だ。

 

同社のマーク・ザッカーバーグCEOは「メタバースに1兆ドル(約110兆円)の市場価値がある」と語っている。そして、メタバース関連技術の開発を担当する「Reality Lab」に、毎年100億ドル(約1.1兆円)の投資を行っている。Reality Labのトップであるアンドリュー・ボスワース氏は、2022年よりMeta(Facebook)全体のCTO(最高技術責任者)になる。

 

デジタル空間とリアルをシームレスに結びつける

なぜメタバースにそこまで大きな可能性があるのか? シンプルに言えば、メタバースがSNSに続く、「コンピュータを介した人々の生活の場」になる可能性があるからだ。

 

メタバースとは何なのか? 正直なところ、定義は曖昧だ。多くの場合、メタバースは「ネットの中に作られた3Dの空間で、自分をキャラクターとしてコミュニケーションするサービス」と定義されることが多い。ヘッドマウントディスプレイを使い、VRの中に入って使うもの、というイメージだろう。実際、それがひとつの形であるのは間違いない。MetaもVR機器であるOculus Questを開発・発売しており、こちらの名前もMeta Questに変更される。

 

だが、単純に「いま存在するVRの中で楽しむもの」と考えるのは正しくない。多数の課題があり、いまのままでは大きな市場にはならないのである。

 

ゲームだけでもない。対話だけでもない。ショッピングだけでもない。SNSは、現在リアルに存在するビジネスから地続きのデジタル・サービスとして根付いたからこそ大きなビジネス価値を生み出した。

 

メタバースが狙うのは、そうした可能性である。デジタル“空間”のなかで行える活動とリアルな社会で行う活動の境目をより小さくし、人々の活動領域を広げることが、メタバースの本質だ。ARのようにリアルな空間に3Dの物体を重ねたり、ネットを通じて自分が別の現実の場所へと視覚・聴覚を移動させたりすることが可能になれば、確かにそれはある種「新大陸発見」のような経済的インパクトを生み出す可能性がある。

 

だが、繰り返しになるが、そのためには技術的や社会的な課題が多数あり、1年や2年で解決できるものではない。では、その課題とはどういうものか? それは次回で解説していく。

 

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【ホントは怖いSNS】読むだけじゃダメだった…!?“しんどくならない”Facebookの使い方

米Facebookは昨年12月、嫌がらせ対策の一環として2つの新機能を発表した。ブロックした相手が別アカウントから接触することを防ぐ機能と、見たくない相手からのメッセージを無視する機能だ。なぜFacebookはこのような機能を追加しなければならなかったのか。その背景と、Facebookとの「適切な付き合い方」について考えていきたい。

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■「現実」に即しつつあるFacebook

「Facebookが快適じゃない」――近頃、そう感じる人は少なくないだろう。理由の一端は実名制にある。同僚・上司・友人・家族・恋人などさまざまな関係の人と同じアカウントでつながらなければならなくなったからだ。

 

仕事用、プライベート用、両方のプロフィールを用意すべきだという意見は当初からあった。それに対し、Facebook共同創業者兼会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグは「仕事上の友だちや同僚とそれ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる。2種類のアイデンティティを持つことは不誠実さの見本だ。現代社会の透明性は、一人が二つのアイデンティティを持つことを許さない」と反論した。

 

ところがある時以来、Facebookは堰を切ったように「現実に即した機能」を実装し続けている。たとえば、特定の友達が閲覧できる投稿を制限する「制限リスト」機能(リスト追加した友達は全体公開投稿以外の投稿を見られない)、特定の友達の投稿を30日間非表示にする「スヌーズ」機能。友達の状態を解除しないまま自分の投稿を相手から見えなくしたり、相手の投稿を非表示にしたりする機能まで登場したのだ。

 

「アイデンティティはひとつ」どころか、しがらみとか人間関係とかいろいろな現実を取り込んでいるのが現在のFacebookなのだ。では、なぜポリシーを変えたのだろうか。

 

■ユーザー数が増えた結果……

Facebookの月間アクティブユーザー数は全世界で20億に上る。ユーザー数の増えすぎは、その理由の1つと言えるだろう。実名制かつ顔写真登録が一般的なFacebookでは、お互いが知り合いかどうか判定する機能の精度も高い。共通の知り合いが一人もいない「元彼氏」「元奥さん」が、「知り合いかも」欄に表示されたという話を聞いたのは、一度や二度ではない。

 

そのような性質を持っている以上、本心ではつながりたくなくても「つながらざるをえない」パターンが増える。こうなると、ユーザー体験は悪くなる一方だ。また、実名制のもとではほとんど起こりえないはずの嫌がらせ行為も、ユーザー数の激増にともない防ぎきれなくなってきた。こうした理由で、運営側も今回のような機能を追加せざるをえなかったわけだ。

 

■それでもFacebookを「快適に」使いたい人へ…

Facebookの研究者であるデビット・ギンズバーグ氏、モイラ・バーク氏の論文は興味深い。自分から投稿・コメントをしない、ニュースフィードを読み続けるだけのユーザーはFacebookから悪影響を受ける可能性があるという。逆に、ソーシャルメディアを「人との交流」に活用すると、良い影響があるそうだ。

 

Facebook社の初代CEOショーン・パーカーは、「Facebookは社会的評価を求める人間心理の脆弱性を利用するもので、中毒性があることをザッカーバーグも理解していたのに、あえてサービスを立ち上げた」と批判的に語っている。

 

SNSは、社会的評価や自己承認欲求に飢えた人の心に強い中毒性をもたらす。同時に、劣等感や嫉妬心も呼び起こす。また、実名制は人間関係上の問題もSNSに呼び込んでしまった。

 

今のFacebookはおそらく、多くの人にとってあまり快適じゃないはずだ。けれど、それでも、やはり使いたくなってしまうのが人間というもの。Facebookは今回追加したような機能を、今後またどんどん追加するだろう。「最近あまり楽しめていない」という人はこのような機能をうまく取り入れてほしい。ただ読むのではなく、積極的に交流してソーシャルメディアのメリットを甘受してほしいと思う。

 

【著者プロフィール】

ITジャーナリスト 高橋暁子

元小学校教員。Webの編集者などを経て独立、現職。
書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。SNSやスマホの安心安全利用等をテーマとして、テレビ、雑誌、新聞、ラジオ等のメディア出演経験も多い。

「めんどくさすぎ!」Facebookが「顔認証」で偽アカ排除に乗り出すもユーザーは動揺

顔認証は空港のような一部の場所でしか使用されない――そんな時代は終焉を迎えつつあるのかもしれません。生活のいたるところで顔認証が求められる時代が来ています。そんなことを感じさせるニュースが飛び込んできました。

 

Facebookのスポークスマンは、同ソーシャルメディア上でスパム活動をするボットとリアルなユーザーとを区別するため、ユーザーに顔写真の提出を求める可能性があると発表しました。

 

フェイクニュースをばらまくボットを排除せよ!

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Facebook上で大量のボットが偽アカウントでユーザーに友達リクエストをしたり、広告を出したり、投稿したりとスパム活動が問題となっています。

 

また、ロシアの組織が偽アカウントを大量に作って人種や移民などのテーマで米国社会を分断するような政治的メッセージを大量に投稿したことがFacebook社の調査で発覚。この工作が昨年度の米国大統領選挙の結果にも影響したのではないかと言われています。

 

Facebookは単なるソーシャルメディアではなく情報をユーザーに伝えるニュースメディアとしての責任も問われるようになってきています。そのため虚偽の情報を大量に流通させるボットを排除する必要性が出てきているのです。

 

従来、ボットとリアルなユーザーとを区別するために歪んだ文字や数字の入力をユーザーに求める認証手段「CAPTCHA」が活用されてきました。しかしながら、これも最新のマルウェアによって突破されることがあるようです。

 

顔認証はボットとリアルなユーザーを区別するためのセキュリティ強化策として検討されているのです。Facebookはボットによる偽アカウントが好き勝手する状態を抑えたいのでしょう。

 

Facebookはこの顔認証をいつ実行するかは明かしていません。しかし、すでに一部のユーザーの間でFacebookにログインできなくなり、再開のために顔写真をアップロードするよう求められたという証言があります。

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ウェブサイトのReddit(上のイメージ)を見てみると「偽アカウントでもないのにアカウントを凍結されて顔写真をアップロードするように求められた」「めんどくさすぎ!」「Facebook最悪!」といった不満の声が多くのユーザーから挙がっています。偽アカウントとそうでない一般ユーザーのアカウントを見分けるのは容易ではなさそうです。

 

Facebookは企業理念として「Bring the world closer together(世界の絆を強める)」を掲げています。社会の分断を助長するかのようなスパム活動を含む工作に対しては徹底的な態度で臨むでしょう。

 

もはや人々の情報インフラとして欠かせなくなったFacebook。その影響力はかつてないほど強くなっています。社会的責任をどう果たしていくのか。今後も試行錯誤が続きそうです。

 

あなたの運命はデータ次第!? 世界で実用化が進むAIを使った自殺予防と予防医学

アメリカでは、大統領選挙におけるFacebookでのフェイクニュース拡散の影響について、いまだによく語られています。炎上を扇動するような内容のコメントやツイート、動画がロシアから大量に投稿されていたことが判明し、それを目にしたFacebookユーザーは1億2600万人いたというニュースが連日話題に。

 

もはやただのSNSの規模を越えて社会的な責任を大きく問われるようになったFacebookですが、フェイクニュース防止への取り組みに加えて、他にも色々なプラットフォーム改善を図って社会に貢献していることをアピールしています。その1つが「コメントをAIで分析してユーザーの自殺願望を事前に検知・通知する」という取り組み。小規模でのテストは以前から行っていたようですが、この機能を大規模に拡大することが11月末に発表されました。

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どうやったらFacebookのコメントから自殺願望が分かるのかと疑問に思ってしまいますが、分析するのは本人の投稿だけではなく、そこについた友人たちからのコメントも分析されるようです。「大丈夫?」「何か助けになれる?」といった心配のコメントを検知するわけですね。危険性をAIが検知するとFacebookの自殺予防の専門家チームに通知が行くようになっています。人間の専門家が「これは助けを差し伸べる必要がある」と判断すれば、ユーザーのもとに「『あなたには今、特にサポートが必要なのではないか』と思った人から私たちのもとに連絡が来ました。私たちはあなたを助けたいと思っています」とメッセージが届き、サポートが開始されるようです。

 

もちろん、自殺をめぐる背景は非常に複雑なもの。Facebookによるアルゴリズムも常に改良が加えられていて複雑なものになっており、対象が人の命とプライバシーに大きく関わることから詳細は公開されていません。

 

AIが病気を検知。命を救うことも

もちろん、すべての自殺をこれで検知できるわけではないでしょう。そもそもSNSがうつ病を促進しているのではないかという指摘もあります。しかし、AIを使ったこういった取り組みは医療分野でどんどんと実用化されています。

 

Googleは検索サービスを自殺予防に役立てようとしています。自殺に関連した特定の言葉を検索すると自殺防止ホットラインの番号が表示されるようになりました。Microsoftは同社の検索サービスBingを使って、「検索ワードのログから膵臓ガンにかかっているかどうかを高確率で当てられる」という研究を発表しています。さらにこれをMicrosoftによる音声アシスタント「Cortana」と組み合わせることで広範囲のユーザーの病気予防へと貢献できる、という展望を論文で語っているのです。

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マシーンラーニングやビッグデータに関するテクノロジーとコンピューターの処理速度が向上している今日では、検索ログやSNS上の言動といったデータからユーザー自身のことが驚くほど多く分かるようになってきているのです。

 

フィットネストラッカー「Fitbit」に記録されていた心拍数データが緊急救命の大事な手がかりとなって人命を救うという事態も起きています。自分自身に関するデータをどう活用しているかが命を救う時代なのですね。

 

ちょっと探せば、この分野では驚くほどたくさんのプロジェクトが進行されていることが分かります。日本でも日立と慶應大学がパートナーシップを結んでAIを使った病気の検知を研究しています。障がい者雇用・就労移行支援を行っている団体LITALICOはビッグデータ解析事業UBICの人工知能エンジンKIBITを活用して精神障がい者の自殺予防対策に取り組んでいます。

 

スマート聴診器「Eko」は心音と専門家による診断のデータベースをもとに、マシーンラーニングによる高精度な診断に取り組んでいます。このデバイスを使えば誰でも世界一の診断が受けられるようになるかもしれません。

 

データを隠すのは良くない!

そうするとFacebookやMicrosoft、GoogleやApple、Amazonといった大手プラットフォームやプラットフォームがデータを活用した医療分野に取り組む意義がよく見えてきますね。GoogleホームやAmazonエコーといった音声アシスタントが日本にも進出してきましたが、日常のデバイス操作やデータ管理を1つのプラットフォームで行うということには大きなメリットがあります。

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ウェアラブル・デバイスを通じて睡眠データや運動のデータも集められ、食べ物、薬などの購入データもあり、インターネットで何を検索しているかもデータとして蓄積される。ビッグデータのお陰で自分が「病院に行かないと」と考える前にデジタル・アシスタントが「○○の可能性があるので専門家に見てもらってください」と促してくれるという世界もすぐに実現されるかもしれません。

 

もちろん、こういったデータ利用はプライバシーの問題と大きくつながり得ます。前述のFacebookによる自殺予防テクノロジーに関しても、専門家からは「詳細を公開して透明にしてほしい」という声があがっています。AIの研究をリードする米国の大手テクノロジー企業がデータや知識をどれくらい公開するのか。注目が集まっています。