Google AIスマホ「Pixel 9a」実機レビュー。デザイン一新で”長く使える”1台に

グーグル純正スマートフォン最新世代のPixel 9ファミリーに、新モデル「Google Pixel 9a」が登場しました。ユーザーの興味を引く最大の特徴は、やはり7万9900円とシリーズ内で最も手頃な価格ではないでしょうか。コスパに優れ、”長く使える”1台になりそうな最新AIスマホの魅力をお伝えします。

↑Android 15搭載スマートフォン「Google Pixel 9a」が発売を迎えました。ストレージ128GBモデルが7万9900円(税込)という手頃な価格も魅力的です。

 

デザイン一新でカメラ周りがスッキリ。画面はより大きく

グーグルはここ数年、秋にPixelシリーズの上位モデルを発売して、その翌年に手頃な価格のPixel aシリーズを投入するサイクルを続けています。2024年のPixel 9シリーズは、そのサイクルを少し前倒しにして、まだ残暑が厳しかった8月下旬に発売となりました。それに伴ってか、aシリーズの最新モデルであるPixel 9aも、2024年の「Pixel 8a」よりも約1か月早く登場しています。

 

価格は内蔵ストレージ128GBのモデルが7万9900円(税込)~。2024年5月発売のPixel 8aと比べれば7300円値上がりしていますが、最先端のTensor G4チップとAI機能を載せてカメラも強化しているため、使ってみると納得感はあります。iPhone 16ファミリーの中で最も手頃なモデルに位置付けられるiPhone 16eが9万9800円(税込)~で販売されていることもあり、なおさらPixel 9aの価格がフレンドリーに感じられます。

 

Pixel 9aは、前世代のPixel 8aからデザインが一新されました。アルミニウム製のサイドフレームはシャープで精悍なイメージで、Pixel 9ファミリーの上位モデルと統一感を持たせています。ディスプレイは従来の6.1インチから、6.3インチまで大きくなっています。本体もサイズアップしているものの、フレームのエッジを立たせたデザインなのでしっかりと手でホールドできるのは好印象です。もっとも、筆者はPixel 8aの緩やかにラウンドしたサイドフレームのデザインもPixelらしくて好きだったので、少し寂しさもあります。

↑側面フレームをシャープなデザインに変更。カメラユニットの出っ張りも最小限に抑えています。

 

背面のカメラ部分もデザインが大きく変わりました。Pixel 6シリーズから継続してきた、レンズを守るために採用された横一文字のカメラバンプが取り除かれて、カメラユニットだけが広い背面パネルの左上に浮き島のように配置されています。グーグルは“水滴”をイメージしたのだと、デザインのコンセプトを説明しています。

 

カメラユニットはこれまでより張り出しが少ないので、背面側を下にしてテーブルの上などにフラットに置くことができます。一方で、従来のデザインのようにカメラバンプに指を引っかけて持てないので、これまでのPixelシリーズに慣れている人は少し注意する必要があるかもしれません。筆者も背面がフラットなPixel 9aのデザインに慣れるまで少し時間がかかりました。

↑左が24年発売のPixel 6a、中央がPixel 9。右側のPixel 9aはとてもシンプルなデザインです。

 

新色はパープル系の「アイリス」です。鮮やかなピンク系の「ピオニー」に比べると、アイリスは落ち着いた色合いなので大人も選びやすいと思います。定番のホワイト系、ブラック系を加えた全4色展開です。

 

本体はIP68相当の防塵・防水対応。キズが付きにくいCorning Gorilla Glass 3を採用するフロントカバーガラスも含めて、耐久性は十分に確保しているとグーグルは説明しています。ケースなしで使ってもいいですが、傷などが気になるならシリコン製の専用カバーを利用するといいでしょう。

 

多彩なカメラ機能。aシリーズ初のマクロ撮影対応

今回はPixel 9aの実機を1週間ほど試したのですが、全体にハードウェアとしての完成度がとても高いことに驚きました。

 

グーグルの生成AI「Gemini」に関連するAIツールは、上位モデルのPixel 9とほぼ同等のものがスムーズに使えます。カメラは厳密に言えばスペックがPixel 9から若干劣るものの、同じデュアルレンズカメラで日常を写真・動画でクリッピングする用途にはまったく力不足を感じません。

↑広角・超広角カメラを組み合わせたデュアルレンズカメラを搭載。

 

デュアルレンズカメラは48メガピクセルの広角カメラと、13メガピクセルの超広角カメラという構成。広角カメラは光学ズーム撮影が1倍まで。望遠撮影が最大8倍のデジタルズームに対応する仕様はPixel 8aから変わっていません。望遠ズーム撮影をよく使う方で、画質にもこだわるならば上位のPixel 9やPixel 9 Proを選ぶべきでしょう。

↑被写体に近付くと自動でマクロ撮影に切り替わります。カメラアプリの左上にはマクロモードであることを知らせる花のアイコンが表示されます。

 

また、aシリーズのスマホとして初めてマクロ撮影の機能が搭載されているのも注目です。被写体に近付くと画面に花のアイコンが表示され、自動でマクロ撮影モードに切り替わります。植物や料理にクローズアップして“画ヂカラ”のある写真やビデオを撮りたいときに有用です。

 

Pixel 9aのカメラは、Pixel 9のカメラよりもイメージセンサーのサイズが小型で、レンズの絞り値もわずかながら低めです。特に超広角カメラはやや実力差が開いていますが、Pixel 9aでも、スマホで写真やビデオを楽しく撮る用途には十分なレベルだと思います。集合写真を撮る際、撮影者を交代しながら自然な写真合成をしてグループ写真が記録できる「一緒に写る」のほか、複数のグループ写真からみんなのいい表情が選べる「ベストテイク」など、Pixelシリーズの特徴であるAIフォトツールはPixel 9aも上位モデルを継承しています。7万9900円のAIスマホでここまで色々できるのであれば大満足です。

 

動作は速く安定感も高い

6.3インチのディスプレイはOLEDで、HDR(ハイダイナミックレンジ)の映像コンテンツを明るく色鮮やかに表示します。HDRコンテンツの最大輝度表示が1800nits、屋外の明るい場所などでは2700nitsまで明るくできるので、写真や動画の表示がとても見やすくて好印象でした。本体のディスプレイ設定からリフレッシュレート(画面の書き換え頻度)を最大120Hzまで、コンテンツに応じて可変させるスムーズディスプレイ機能もあります。Webページのスクロールや、電子書籍のページ送りの際に文字がチラつきにくくなるので快適です。

↑最大輝度は2700nits。屋外の晴天下でも高い視認性を確保しています。

 

ちなみに画面と本体が大きくなったぶん、Pixel 8aよりも本体は重いのかと思ったら、実際には3〜4gほど軽くなっています。本体の横幅がPixel 8aの72.7mmから0.6mmほどPixel 9aの方が広くなっていますが、ホールド感はほぼ変わらない手応えでした。

 

スマホの頭脳であるSoC(チップセット)には、グーグルが独自に設計した「Tensor G4」を搭載しました。ベンチマーク計測アプリの「Geekbench 6」で複数回計測すると、CPUはシングルコアとマルチコアの平均得点でわずかにPixel 9の方が上回り、GPUのスコアはPixel 9aがむしろ少しリードする結果になりました。グーグルはPixel 9と同じTensor G4チップを搭載していると説明していますが、同じSoCでも本体設計に合わせたチューニングがされているため、スコアは多少変わってくるものです。とは言え、Pixel 9と9aに関してはほとんど変わらないパフォーマンスを発揮できると言っていいでしょう。

 

グーグルの生成AIモデルであるImagen 3をベースにした新しい純正画像生成アプリ「Pixel スタジオ」で、同じテキストプロンプトを打ち込んで画像を生成してみたところ、よく似た雰囲気の違う画像を生成してくれました。イメージが出力される速度はほぼ同じです。AIツールだけでなく、その他機能やサービスの使い勝手についてもPixel 9aに目立つ違いはありません。

↑グーグル純正の画像生成AIモデルをベースに誕生した「Pixel スタジオ」アプリ。テキストプロンプトやプリセットされたスタイルからオリジナルの画像が生成できます。左がPixel 9、右がPixel 9a。

 

長く使えるタフなAIスマホ

Pixel 9aには発売から7年の間、Android OSのバージョンアップ、Pixel Dropによる新機能のアップデート追加、セキュリティアップデートが保証されています。グーグルにはSoCなどハードウェアの性能差もソフトウェアの最適化でカバーしながら、最新のAI機能をPixelシリーズの過去モデルのスマホにも提供してきた実績があります。Pixel 9aは購入後も長く使えるAIスマホとしても要注目の新製品です。

 

さらに、内蔵バッテリーはこれまでに発売されたPixel aシリーズで最高容量の5100mAhで、連続駆動時間をPixel 8aから約25%前後も伸ばしました。通話・データ通信と待受、その他機能の使用などを合わせたグーグル独自のテストでは30時間以上のバッテリー持ちを達成しています。ふたつの意味で“長く使えるAIスマホ”としても、7.9万円から購入できるGoogle Pixel 9aはおすすめの1台です。

 

Google Pixel、GPU性能が爆上がりする最新Androidアップデートが登場!

最新のAndroidアップデートにより、Google PixelシリーズのGPU性能が大幅に向上したと報告されています。特に、定番ベンチマークアプリ「Geekbench 6」におけるスコアが飛躍的に改善されたとのことです。

↑Mike Mareen/Adobe Stockより。過去のPixelシリーズも含め、ドライバの更新でパフォーマンスが向上するとのことです。

 

この情報は、RedditのGoogle Pixelコミュニティに集まるユーザーからの報告に基づいています。特に、Google独自開発のTensorチップを搭載したデバイスにおいて、VulkanグラフィックスAPIを使用したGPUベンチマークスコアの向上が顕著です。各機種ごとの、具体的なアップ率は次の通りです。

 

•Pixel 7a:62%
•Pixel 8:31%
•Pixel 9:32%

 

これらの数値は、高負荷なグラフィックス処理を必要とするゲーム等で、よりスムーズな動作が期待できることを示しています。

 

この性能向上の主な要因として、Googleが新しいGPUドライバを提供したことが挙げられます。実際、Android Authorityが確認したところ、Tensor搭載PixelスマホのMali GPUドライバのバージョンが段階的に新しくなっていました。具体的には、Tensor G4搭載Pixelの場合、Android 15では「r47p0」、Android 15 QPR2では「r51p0」、Android 16(ベータ3)では「r52p0」と更新されています。

 

これらのドライバ更新により、機械学習やコンピュータビジョン(デジタル画像や動画から情報を取得・解釈する技術)の性能向上が期待されます。ただし、日常的なタスクでの体感的な変化については、各アプリがVulkan APIを利用しているか、または大幅に改善された機能に依存しているかによるため、さらなる検証が必要でしょう。

Source:Reddit

ちょっとガッカリ? 次期「Pixel 10」シリーズの搭載チップ、Pixel 9とほぼ同等か

Googleは次期「Pixel 10」シリーズに搭載する「Tensor G5」チップをゼロから設計し、従来の「Tensor G4」から大幅に進化させると噂されていました。しかし、実際にはG4と製造元が変わるだけで、中身は同じチップだと著名リーカーが主張しています。

↑Mike Mareen/Adobe Stockより。基本的なパフォーマンスは大きく向上しない可能性が出てきました。

 

リークアカウント@chunvn8888は、「G5は基本的にTSMC製造版のG4」だと述べています。同アカウントは、サムスンのOne UIアップデートやGalaxy AI機能、GoogleのPixelシリーズについて精度の高い情報を提供してきた実績があります。

 

これまでのTensorチップは、サムスンが設計したExynosチップをベースにしており、製造もサムスンが担当していました。しかし、iPhoneのAシリーズチップや、サムスンがハイエンド製品に採用しているクアルコムのSnapdragonチップほど高性能ではありませんでした。

 

Tensor G5では、Googleが自社設計を行い、世界最大の半導体ファウンドリ(受託製造企業)であるTSMCが製造を担当すると考えられています。そのため、大幅なパフォーマンス向上とバッテリー寿命の改善が期待されていました。しかし、今回のリーク情報が正しければ、Tensor G5チップは製造元が変わるだけで、基本的な性能はG4と変わらない可能性があります。

 

それでも、プロセスノードがTensor G3とG4の製造に使われた4nmノードから、TSMCの第3世代3nmノード「N3P」に移行すれば、それだけで性能と電力効率の向上が見込めるでしょう。一般的に、回路線幅が小さくなるほどチップの性能と効率はアップする傾向があるからです。

 

一方で@chunvn8888によると、G5チップは引き続きUFS 3.1ストレージを採用するとのことです。競合他社のハイエンド製品はすでに高速なUFS 4.1へ移行しているため、この点では時代遅れとなる可能性があります。

 

実際、Tensor G5を搭載したPixel 10標準モデルのベンチマーク結果が公開されましたが、Pixel 9よりもスコアが低いという結果が出ています。発売までは数ヶ月あるため、今後の調整によって改善される可能性もありますが、現時点では不安が残る状況です。

 

最近、Pixel 10シリーズの予想CG画像が公開され、標準モデルにも望遠レンズが搭載される可能性が浮上しています。今後の続報に注目したいところです。

 

Source: @chunvn8888 (X) 
via: PhoneArena

6.3インチの“片手持ちAIスマホ”「Google Pixel 9 Pro」発売! カメラ性能はiPhone15 Proと比べてどう?

先日はGetNavi webで、グーグルの生成AI「Gemini(ジェミニ)」が購入後すぐに楽しめる6.8インチのAIスマホ「Google Pixel 9 Pro XL」をレポートしました。続いて9月4日には、片手持ち操作も快適にこなせる“AIスマホ”「Google Pixel 9 Pro」が発売を迎えたということで、今回はこのGoogle Pixel 9 Proのレポートをお届けします。ほかのPixel 9シリーズとの違いに加え、サイズが近いアップルの「iPhone 15 Pro」とカメラの使い勝手を比較してみました。

↑片手で持ちながら操作しやすい6.3インチの「Google Pixel 9 Pro」をレポートします

 

Pixel 9 Proは大小2サイズ展開。違いは?どちらを選ぶ?

まず上位機種であるPixel 9 ProとPixel 9 Pro XLの比較から見ていきましょう。

 

主な違いは本体サイズ、それから価格です。価格に関しては、Pixel 9 Proが15万9900円(税込)から、Pixel 9 Pro XLが17万7900円(税込)からで、Pixel 9 Proの方が1万8000円安価です。サイズは6.3インチでコンパクトな9 Proと、それよりはやや大きい6.8インチの9 Pro XL、という住み分けがされています。

 

その他の性能面はほぼ同等なので、お財布の状況や画面サイズの好みに合わせて選べばよいでしょう。

↑右が6.3インチのPixel 9 Pro、左が6.8インチのPixel 9 Pro XL。画面(=本体)のサイズと価格以外に違いはありません

 

ディスプレイはどちらもグーグルが品質にも太鼓判を押す「Super Actua ディスプレイ」です。有機ELパネルの比較的新しい制御技術であるLTPO(低温多結晶酸化物)方式を採用したことで、性能が高くパネルが消費する電力を低く抑えられるメリットを備えています。

 

ちなみに下位モデルであるPixel 9の「Actua ディスプレイ」は制御方式が異なるのですが、端末としてのバッテリー駆動時間はPixel 9シリーズの全モデルで一律「24時間以上」とされています。長期間使い込んでみないと差は表れにくいと思いますが、筆者が昨年から使っているGoogle Pixel 8とGoogle Pixel 8 Proはバッテリーの持ちに大きな差を感じないので、そこまで気にする必要はないかもしれません。

↑Pixel 9 Proシリーズは、他の対応する機器にワイヤレス充電による“おすそわけ”ができるバッテリーシェアを搭載しています

 

また、Pixel 9 ProとPixel 9 Pro XLはカメラのスペックが同一となっています。たとえばiPhoneの場合、iPhone 15 Proシリーズでは“Max”の方が望遠カメラが最大5倍光学ズーム対応なのに対して、15 Proは最大3倍というように、カメラやストレージの仕様に違いがありましたから、ここはメリットと言えるでしょう。従来のGoogle PixelはProが欲しければ大判のスマホを持つ覚悟が必要でしたが、6.3インチのコンパクト機が登場したことで、「コンパクトで高性能なPixel」を期待するユーザーの需要を満たすことができそうです。筆者も6.1〜6.3インチ前後のスマホの方が好きなので、Pixel 9 Proに好感を持ちました。

 

カラバリは同じ4色展開。筆者の手もとにある実機は9 Proがホワイト系の「Porcelain」、9 Pro XLがピンク系の「Rose Quartz」です。

 

Pixel 9 ProとPixel 9、お得なのはどっち?

続いてGoogle Pixel 9 Proと、下位モデルであるGoogle Pixel 9の違いについて触れていきます。

 

端末のサイズはまったく一緒と言ってよいでしょう。ディスプレイのサイズは同じ6.3インチです。ディスプレイの解像度と画素密度は若干Proの方が高く、輝度もHDR通常値・ピーク値ともにProが上です。とはいえ、Pixel 9もHDR表示時の最大輝度が1800nitsまで確保されているので、十分に高い視認性が確保されています。

↑ディスプレイのサイズは同じ6.3インチ。左側はPixel 9 Proで、右側がPixel 9です。画面輝度のスペックに違いはあるものの、どちらも明るい屋外でクッキリと冴えわたる映像が見られます

 

搭載するカメラユニットの数は、Pixel 9 Proが望遠カメラを含むトリプル仕様で、Pixel 9は広角と超広角カメラを載せたダブル仕様です。背面のカメラバーにはProが温度センサーを搭載しているので見分けがつきますが、全体に形状はよく似ています。

 

外装の仕上げは大きく異なっています。Pixel 9 Proは光沢感を強調したサイドフレームにつや消しの背面ガラス。Pixel 9は光沢のある背面パネルにつや消し処理を施したサイドフレームと、対称的なデザインになっています。ちなみにProとPro XLは同じ仕上げです。

↑背面のガラスパネルは、右側のPixel 9が光沢、左側のPixel 9 Proがつや消し処理となっています

 

↑サイドフレームは右側のPixel 9がマットなつや消し、左側のPixel 9 Proが光沢加工です

 

RAM(メインメモリ)とストレージの仕様も少し異なりますが、メインチップは同じグーグル純正の「Tensor G4」です。Pixel 9 Pro XLのレポートでも詳しく触れたGeminiのサービスですが、実際に2機種で試してみると、ふつうに使いこなすぶんには処理速度の差などは感じられません。ストレージ容量に関しては、Pixel 9は最大256GBですが、Pixel 9 ProとPixel 9 Pro XLは最大512GBまで選べます。

 

カメラの違いは先ほど少し触れましたが、Pixel 9 Proシリーズが搭載する望遠カメラは、やはり何かと便利です。光学5倍ズーム、デジタルズームは最大30倍。30倍デジタルズームを使って撮影した写真は、フォトアプリの編集ツールから「ズーム画質向上」を使うと被写体の輪郭線などディティールが引き立ち、粗さが改善されます。

↑右側がPixel 9 Proで撮影したデジタル30倍ズームの写真。左側のPixel 9はデジタルズームの限界が8倍止まりです

 

↑Pixel 9 Proシリーズが搭載する「ズーム画質向上」。左側が元の写真。ズーム画質向上をかけると右側写真のように輪郭線がパリッとします

 

ほかにも動画ブースト(明るさ改善)や8Kビデオ、プロ設定など、Pixel 9 Proにしかないカメラの機能も沢山ありますが、筆者は旅行の時に風景写真を撮る機会が多いので、やはりProシリーズの望遠カメラを重視します。Pixel 9シリーズのスタート価格は12万8900円(税込)なので、Pixel 9 Proよりも3万1000円ほど安価ですが、自分が必要とするカメラ機能の有無はしっかりと吟味して選ぶのがおすすめです。

 

Pixel 9 ProとiPhone 15 Pro、カメラなどの違いは?

簡単ではありますが、最後にアップルのiPhone 15 ProとGoogle Pixel 9 Proの比較もしてみます。なお、2024年9月10日時点のiPhone 15 Proの販売価格は15万9800円(税込)から。Pixel 9 Proの15万9900円(税込)とほぼ同額です。

 

iPhone 15 Proは画面サイズが6.1インチなので、6.3インチのGoogle Pixel 9 Proより本体が少し小ぶりで、タテ・ヨコ幅ともにPixel 9 Proの方がやや大きめです。厚さは0.25mmしか変わらないので、手に持ってみてもほぼわかりません。

↑右側がGoogle Pixel 9 Pro、左側はiPhone 15 Pro。画面サイズのぶん、本体もPixelの方がやや大きめです

 

この2機種はカメラのコンセプトが異なるので、機能も大きく違います。今回はその詳細に踏み込むことはしませんが、日常の使い勝手で差を実感するポイントはやはり「望遠カメラ」かもしれません。

 

iPhone 15 Proは光学3倍、デジタル15倍ズームです。光学5倍、デジタル30倍ズームに対応するGoogle Pixel 9 Proの方が遠くの被写体に寄れるので便利です。デジタルズーム撮影時の安定感も、Pixel 9 Proの方が少し勝っている手応えがありました。さらにPixel 9 Proの「ズーム画質向上」を使うとピシッとフォーカスを合わせたズーム写真が手軽に撮れると思います。

↑左側がGoogle Pixel 9 Pro、右側がiPhone 15 Proの最大デジタルズームで撮った写真。Pixelの方が被写体により近付ける手応えがあります

 

Pixel 9シリーズの目玉機能であるGeminiは、Gemini Liveなど一部機能がまだ日本語に対応していませんが、チャットや画像生成などはPixel 9シリーズの発売時点から色々使えます。かたやアップル独自の生成AIプラットフォームであるApple Intelligenceは、今のところ米国など英語圏から、英語のみに対応する形でのスタートしか見えていません。この秋から“AIスマホ”をフル活用したい方は、グーグルの上位サービスである「Gemini Advanced」が6か月間無料で試せるプランが付いてくるGoogle Pixel 9 Proを選ぶのがベストな選択になるかもしれません。