【西田宗千佳連載】iPad Proの高価な価値が見えるのはパーソナルなAIが使えるようになってから?

Vol.139-4

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは新たに登場したiPad Pro。搭載されるM4が真価を発揮するであろう、「パーソナルなAI」について解説する。

 

今月の注目アイテム

アップル

iPad Pro

16万8800円~(11インチ) 21万8800円~(13インチ)(※)

※ いずれもWi-Fiモデル

↑13インチモデルは最薄部で5.1mmの驚異的な薄さを実現。次世代プロセッサーとなるM4プロセッサーと強力なGPUでM2プロセッサーよりも4倍の高性能なレンダリング性能、同様にCPUは約1.5倍高速化している

 

生成AIを活用するサービスは日々増えている。だが、その多くはクラウド上で動くもので、どちらかというと“業務のための大きなAI”という印象だろう。

 

ただ、個人がAIを活用する場合、それだけでは不足だ。文書の要約や画像生成も重要だし有用だが、もっと生活に密着したものが使いたい……というのが本音ではないだろうか。スケジュール管理やわからないことの検索、操作の簡便化といった形で助けてもらいたい。

 

それをいまのAIでやるにはいくつかの課題がある。もっとも重要になってくるのが“いかに利用者のことを知るか”という点だ。

 

人間のアシスタントやサポートスタッフのことを考えても、自分の事情やこれまでの活動などを知っていてくれないと、自分に合ったサポートをしてもらうのは難しい。だから人にお願いするときには、契約や信頼関係を結んだうえで“自分のことを知ってもらう”ことになる。実は企業で生成AIを使う場合にも、その企業の情報やルール、部署が持つ情報を覚えさせて、“その企業を知ったAI”を使って運用する場合が多い。個人のアシスタントにする場合にも、同様のことを“個人単位”で行なう必要が出てくる。

 

だが、AIに自分のことを知ってもらうにはどうすれば良いのだろうか? 単純にデータを提供してしまうと、プライバシー侵害につながってしまう。

 

そうすると、個人が持っている情報はクラウド上のAIには提供せず、自分が使っている機器の中で処理を完結する「オンデバイスAI」が重要になってくる。

 

OSを持つ企業、すなわちアップル・グーグル・マイクロソフトは、各種デバイスのOSにオンデバイスAIを取り込み、機器の操作方法と利便性を大きく変えることを目指している。

 

ただ、オンデバイスAIを活用することになると、問題がひとつ出てくる。プロセッサーにより高い性能が求められるようになるのだ。AIの処理はCPUだと向いておらず、一般的にはGPUもしくは「NPU」と呼ばれるAI処理向けの機能で処理される。GPUはPCにもあるが、AI処理に使うほどの性能となると、消費電力の面でノートPCへの搭載が厳しくなってくるし、価格も上がってしまう。そこで、GPU以上にAI処理に特化したNPUを搭載していく必要性が生まれてきた。特に生成AIを使う場合、NPUの性能もグッと高いものが必要になってくる。

 

AIの処理能力は、一般に「TOPS」という単位で示される。マイクロソフトの「Copilot+ PC」では40TOPS以上が求められている。これは今までのPCやハイエンドスマホが搭載しているNPUが20TOPS未満であることを思うと、かなり大規模なものだ。

 

ここでアップルは、iPhone 15 Pro用の「A17 Pro」で35TOPS、iPad Pro用の「M4」で38TOPSのNPUを搭載する形を採った。他社に比べ処理をかなり上積みしているのだ。M3はスペック上18TOPSと、M4に比べかなり小さく、1世代で大幅に数字を上げてきてはいる。

 

実のところ、スペックで示されたTOPS数はあくまで数字に過ぎない。実際に使ったときの価値は機能の側で判断すべきだろう。今日の段階では、Copilot+ PCにしろM4搭載のiPad Proにしろ、AI性能の高さを体感できるタイミングは少ない。

 

アップルがM4を投入したのは、今年秋にアメリカでテストが始まる「Apple Intelligence」で活用するためだろう。Apple Intelligence自体はM1でも使えるのだが、デバイスの持つ処理性能が高いほど有利であるのは変わりない。日本で使えるようになるのは最短でも2025年とかなり先だが、そのときには、M4やA17 Proクラスのプロセッサーを積んだ製品も増えている可能性が高い。そういう意味では、iPad Proの高価さの価値が見えるのも“もうちょっと先”ではあるのだ。

 

Apple IntelligenceではSiriの高度化や写真の内容を理解しての検索など、かなりおもしろい要素が多数ある。2023年6月の段階では実際にデモが行なわれたわけではなく、どれくらい便利なのかは、まだ検証されていない。とはいえ、機器に新しい価値をもたらすものとしては期待できる。

 

当然、同じような要素はAndroidでも模索されていくだろう。“賢いパーソナルAIによって、どれだけ便利さを追求できるのか”が、ここからの競争軸になっていく。

 

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【西田宗千佳連載】非常に珍しい、iPad ProからM4を搭載したアップルの事情とは

Vol.139-3

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは新たに登場したiPad Pro。最新のプロセッサー「M4」が搭載された理由を探る。

 

今月の注目アイテム

アップル

iPad Pro

16万8800円~(11インチ) 21万8800円~(13インチ)(※)

※ いずれもWi-Fiモデル

↑13インチモデルは最薄部で5.1mmの驚異的な薄さを実現。次世代プロセッサーとなるM4プロセッサーと強力なGPUでM2プロセッサーよりも4倍の高性能なレンダリング性能、同様にCPUは約1.5倍高速化している

 

5月に発売されたiPad Proには、アップルの最新プロセッサーである「M4」が搭載されている。

 

アップルは自社設計のプロセッサーとして、主にiPhoneに使われる「Aシリーズ」と、主にMac・iPadに使われる「Mシリーズ」を持っている。前者はiPhoneから導入されるが、後者はこれまでMacから導入されてきた。

 

しかしM4についてはMacにはまだ使われていない。iPad Proで導入され、iPad Proでだけ使われている、というのは非常に珍しいことだ。

 

ここにはアップルならではの事情も影響している。

 

他社の場合、プロセッサーは、クアルコムやMediaTekなどの専業メーカーから仕入れる。プロセッサーメーカーが対象製品を定めて開発し、本体メーカーがプロセッサーのラインナップから選んで採用する形だ。

 

一方でアップルは、自社でプロセッサーを設計して選択する。開発と生産にコストと手間がかかるが、制約条件は緩くなる。だからこそ、アップルは「プロセッサーがその時期にあったから」ではなく、このタイミングに合わせて意識的にM4を作った……ということになる。

 

ただ、同じMシリーズではあっても、Macに使われるものとiPadに使われるものは同じではない。基本設計は共通ではあるものの、製品に組み込まれるものは最適化されている。だから、仮に今後M4を搭載したMacが出てきたとしても、Mac用のM4とiPad用のM4はまったく同じではない点に留意しておきたい。

 

iPad Pro用のM4には、タンデムOLEDを効率的に使う機構が搭載されている。これはiPad Proでの採用を前提にしたものであり、いまのMacには不要だ。そのへんもあってM4がiPad Proから……という部分もありそうだ。

 

それ以外の要素を見たとき、M4はどんなプロセッサーなのだろうか?

 

現在Macに使われている「M3」は、CPUが高効率4+高性能4の8コア、GPUが10コアで、トータルのトランジスタ数が250億となっている。対してM4は、CPUコアが高効率6+高性能4の10に増えた。GPUの世代はM3に近く、機能も近くて若干の性能アップが図られている。トランジスタ数は280億なので、性能アップぶんはCPUの高効率コアが中心、ということになる。

 

GPUはM3世代で大幅に強化され、ゲームなどでの性能・表現力が上がっている。それがiPad Proに入ったというのは、クリエイティブ向けの価値だけでなく、ゲームを志向したものと言えるだろう。アップルは今秋公開の新OSで、Windows用ゲームの移植を容易にする技術を強化する。以前はMacだけに対応していたが、新世代では、Windows用ゲームをiPadやiPhoneに移植しやすくなる。iPad ProでのGPU強化は、この路線で考えるとわかりやすい。

 

スペック上の数字が劇的に大きくなっている部分もある。それが、AI処理用のNeural Engineだ。AI処理速度の指針である「TOPS」という値で言えば、M3は18TOPS。それに対してM4は38TOPSと劇的に向上している。AIのピーク性能を拡大させているわけだ。この部分をどう使うかが、今後差別化に重要な要素となってくる。

 

それはどういうことなのか? そこは次回解説していこう。

 

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【西田宗千佳連載】iPad Proがここまで高価になった理由とは

Vol.139-2

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは新たに登場したiPad Pro。高価な製品となった理由を解説する。

 

今月の注目アイテム

アップル

iPad Pro

16万8800円~(11インチ) 21万8800円~(13インチ)(※)

※ いずれもWi-Fiモデル

↑13インチモデルは最薄部で5.1mmの驚異的な薄さを実現。次世代プロセッサーとなるM4プロセッサーと強力なGPUでM2プロセッサーよりも4倍の高性能なレンダリング性能、同様にCPUは約1.5倍高速化している

 

IT機器の価格は上がる傾向にある。理由はいくつもある。

 

日本にとって一番大きな影響があるのはもちろん円安の影響だ。ただ、値上がり傾向は世界的なものでもある。技術的にも価格が下がりづらくなる要素もあるわけだ。

 

タブレットにしろスマートフォンにしろ、価格を決める大きな要素は、ディスプレイパネルとプロセッサーだ。iPad Proの場合、ディスプレイパネルは有機EL、プロセッサーも最新のものなので当然価格は高くなる。

 

タブレットの場合、コンテンツを見ることが中心の要素となるので、差別化要素はディスプレイになる場合が多い。

 

昨今は有機ELが採用されることも増えてはきた。有機ELは液晶に比べ輝度を高めにくいが、テレビではなくタブレットであれば大きな問題にはなりにくい。しかしiPad Proの場合には、過去の機種よりも輝度を下げるわけにはいかないので、発光層が2枚ある「タンデムOLED」というパネルを採用している。

 

タンデムOLEDはLGディスプレイが製造しているもので2019年ごろに開発されたものだが、価格が上がっても高輝度を実現したい……という製品がテレビくらいしかないことから、広く使われては来なかった。アップルがハイエンド製品に使ったことから、今後は差別化のために採用するメーカーも増えてくるかもしれない。

 

プロセッサーについては、過去に比べ価格を下げられる要因が減りつつある。半導体自体の製造技術が減速し、省電力化・低コスト化しづらくなっているからだ。差別化については、半導体を組み合わせてひとつのプロセッサーにまとめる「パッケージング」に依存する部分も大きくなってもおり、複雑化し、結果として価格は下がりづらくなっている。

 

iPad Proの場合はアップルのフラッグシップ・タブレットであり、そのタイミングで最高の機能を備えたものであることが望ましい。今回は特に高価なものとなったが、一方でコストパフォーマンスの良い「iPad Air」を同時に出すことで、“ディスプレイとプロセッサーのスペックを抑えて同じサイズの製品”を求めることができるようになっていた。

 

タブレット市場はPCやスマホに比べても価格重視の側面が強いが、ここまでコストをかけて、高い製品を作っても“売れる”のはアップルだけだ。iPad Proは高価な製品になったが、良くも悪くもアップルだから許容される価格帯である……といえる。ただ、タブレットの価格としては上限に近いだろう。今後もこの価格帯で行くのかどうかは、世界的に今回のiPad Proが支持されるかどうかにかかっている。

 

前述のように、高価格の一端はプロセッサーの価格が担っている。特に今回は、アップルの最新プロセッサーである「M4」が導入されたのが大きい。

 

では、アップルはなぜ最新のプロセッサーをiPad Proから導入したのだろうか? M4の差別化点はどこになるのだろうか?次回解説する。

 

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【西田宗千佳連載】大幅改善のiPad Proに見える「価格のジレンマ」

Vol.139-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは新たに登場したiPad Pro。性能が大幅に向上した一方、円安の影響もあり価格が上昇した。新モデルの価値はどこにあるのか。

 

今月の注目アイテム

アップル

iPad Pro

16万8800円~(11インチ) 21万8800円~(13インチ)(※)

※ いずれもWi-Fiモデル

↑13インチモデルは最薄部で5.1mmの驚異的な薄さを実現。次世代プロセッサーとなるM4プロセッサーと強力なGPUでM2プロセッサーよりも4倍の高性能なレンダリング性能、同様にCPUは約1.5倍高速化している

 

有機ELを用いることで軽さと薄さを実現

アップルが5月に発売した「iPad Pro」は、同社としては久々に大幅なハードウェア変更となった。

 

特に大きな変化があったのは13インチモデルだ。面積はほとんど変わっていないが、厚みは6.4mmから5.1mmと一気に薄くなり、重量も684gから582g(ともにWi-Fi+セルラーモデル)へと軽くなった。手にしてみると差は歴然としており、過去のモデルに戻るのが難しく感じるほどだ。

 

新しいiPad Proが薄く・軽くなったのは、ディスプレイが有機ELになったためだ。

 

一般論として、有機ELは液晶に比べ構造がシンプルで、薄くて軽い製品を作りやすい。スマホで有機ELが主軸になってきたのはそのためでもある。ただ、液晶に比べ輝度を上げづらい、という難点はある。

 

先代の12.9インチ版iPad Proは小さなLEDを並べてバックライトにする「ミニLED」を採用していた。ミニLEDは明るさとコントラストを向上させやすい一方、構造的に厚くなりやすい。有機EL採用によって最新の13インチモデルが劇的に薄く・軽くなったのは、「明るさをミニLED以上にしつつ、有機ELを採用する」ことができたからでもある。

 

この新型iPad Proでは一般的な有機ELではなく、「タンデムOLED」というディスプレイパネルが採用されている。これは通常1枚である発光層を2枚とし、組み合わせて光り方をコントロールすることで、平均的な輝度を上げつつ、軽くて薄い製品を作れたわけだ。

 

画質的にももちろん有利になる。なお11インチ版iPad Proも有機ELを採用しているが、こちらは過去のモデルでもミニLEDを使っていなかったので、そこまで薄く・軽くはなっていない。そのぶん画質については、13インチ版以上に進化を感じられる。

 

ハイエンド化と円安で価格もかなり上昇

一方で、ハイエンドかつ高価なパーツを使った製品になったこと、昨年以降続く円安の影響が重なり、もっとも安価な製品でも16万8800円から、と価格はかなり高くなった。

 

「タブレットにそこまでの費用は払えない」という声も聞こえてくる。

 

そこで大きなジレンマとなるのは、アップルの最新プロセッサーである「M4」が、Mac ではなくiPad Proから採用されたことにも表れている。タブレットはコンテンツ視聴が中心であり、そこまで高性能なプロセッサーは必要ないのでは……という意見も聞かれる。

 

アップルとしては異論のあるところだろう。イラストレーターや動画クリエイターの中には、iPadを日々使っている人々も多い。そうした「プロ」のための道具としては、性能はあればあっただけありがたいものだ。

 

一方、多くの消費者には性能の違いがわかりにくいのも事実。そこで効いてくるのが「AI」を処理するための性能となってくる。

 

いまはM4の持つ高いAI処理性能の価値がわかりにくい。しかし、これからはそこが重要になるのは間違いない。それはなぜなのか? いつからどう効いてくるのか? そこは次回以降で解説する。

 

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11インチの新iPad Proを購入。選んだ決め手は? アクセサリーは何が良い?

アップルが5月15日に発売した、Apple M4チップ搭載iPad Proを買いました。2022年発売のM2搭載iPad Proから値上がりしていたので躊躇しましたが、新しいApple Pencil Proと一緒にできることも増えていたので、結果満足しています。

↑今回購入したのはWi-Fiモデルの11インチiPad Pro。カラーはスペースブラックを選びました

 

筆者が購入を決めた理由についても触れながら、新しいM4チップを搭載するiPad Proの見どころを解説したいと思います。

 

11インチのiPad Proを選択。その理由は?

筆者は2018年に発売した12.9インチのiPad Proをずっと愛用しています。ホームボタンが廃止されて、Face IDを搭載して新デザインになったiPad Proの最初のモデルです。このときに、マグネットでiPadに装着してペアリングや充電ができるようになった第2世代のApple Pencilと、Smart Keyboard Folioを一緒に購入しています。

 

今回は11インチのM4チップ搭載iPad Proを選びました。13インチのiPad Proはスタート価格が20万円を超えてしまうので、だったらいま使っている12.9インチのWi-Fi+セルラーモデルを「大きい方のiPad Pro」として引き続き使いつつ、11インチのiPad Proをデジタル文具感覚で新しいツールに採り入れようと考えた結果です。

 

通信はWi-Fiのみ。またiPad Proにたくさんの写真や動画ファイルをため込んだりしないので、ストレージも最小サイズの256GBで十分。つまり11インチのベースラインモデルなので、価格は16万8800円(税込)です。2万1800円(税込)のApple Pencil Proは各方面で貯まっていたポイントを使ってゲットしています。

↑12.9インチのiPad Pro。こちらはセルラーモデルなので、引き続きインターネットに常時接続ができるモバイルワークステーションとして活用します

 

アクセサリーは何をそろえるべきか?

筆者はiPadやiPhoneの画面に保護フィルムを貼りたい派です。ただ今回はフィルムに対して懸念があります。新しいiPad Proを買うことに決めた理由のひとつである「Ultra Retina XDRディスプレイの高画質」の見え方が、フィルムを貼ることによって変わるかもしれないのです。幸いにというか、M4チップ搭載iPad Proはフロントカメラの位置が変更されているので、アクセサリーメーカーによる対応保護フィルムがまだ出そろっていません。なので、今のところは裸のまま使おうと思っています。

 

またケースも付けたいところ。ですが、今回は11インチのiPad Proにどのケースを組み合わせるかが最大の悩みどころになっています。

 

アップルは薄く・軽くなったM4チップ搭載iPad Proのデザインに合わせたMagic Keyboardを同時に発売しています。

↑M4チップ搭載iPad Pro専用のMagic Keyboard。写真は試用している13インチのiPad Pro用のキーボードです。薄く軽量になりました

 

キーボード側とトラックパッドにアルミニウムをあしらい、スタイリッシュになったうえに強度も向上しています。さらに最上段に並ぶ14個のファンクションキーが便利に使えることと、安定した心地よいタイピング感に筆者はとても惹かれています。これならiPad Proで原稿を書く作業もはかどりそうです。

 

だからと言ってすぐに購入を決められない理由があります。4万9800円(税込)と値段の壁が高いこともありますが、筆者がiPad ProでApple Pencilによる手書きメモをひんぱんに使うからです。

 

Magic KeyboardはiPad Proから外さないとペン書き(描き)に移行しづらく、都度取り外しが必要。その点ではアップル純正のSmart Keyboard Folioの方が扱いやすく、キーボード側を360度回転させてiPadの裏側に重ねてしまえば全体の形がフラットになり、装着したままペン書き作業へスムースに移れます。

↑Smart Keyboard FolioはiPad Proに装着したまま、キーボード側を裏返しにしてキーボードタイピングからペン書き作業に移れます

 

アップルがM4チップ搭載iPad Proに対応するSmart Keyboard Folioも発売してくれたら即決ですが、残念ながらいまのところその気配がありません。しばらく11インチのiPad Proを仕事で使うときにはペン書き専用にして、テキストタイピングはMacBook Pro、または以前から使っている12.9インチのiPad Proを併用する形になりそうです。

 

有機ELの特徴が活きた「Ultra Retina XDRディスプレイ」に満足

先ほど触れたとおり、11インチのiPad Proを買った理由のひとつがUltra Retina XDRディスプレイへの期待です。買ってから約1週間が経ちましたが、美しさは期待していた通りで、とても満足しています。

 

iPad Proは2021年に発売されたM1搭載のモデルから、バックライトにmini LEDを採用して、HDR(ハイダイナミックレンジ)映像の表示に対応したLiquid Retina XDRディスプレイを載せています。そのM1搭載モデルよりも前のiPad Proを使っている方は画質の向上が特に実感できると思います。

↑iPadシリーズとして初めて有機ELパネルを採用したUltra Retina XDRディスプレイ。映像のユニフォーミティに富んでいます

 

Apple TV+で配信されているHDR対応の映画やドラマの映像はとても解像感が高く、まるで映像の中の空気がきれいに浄化されたような感覚です。映像は暗部の黒色がとても引き締まり、奥行き方向に深みが感じられ、有機ELの特徴が活きています。なおかつ、アップルのRetinaディスプレイが受け継いできた自然な色バランス、ムラのない一体感(ユニフォーミティ)の高さは見事と言うほかありません。iPhone 15 Proで撮影したHDRムービーや写真をiPad Proで観ると、美しすぎて何度も再生してしまいます。

↑CPUやGPUの性能をスコアで表すGeekbench 6によるベンチマークテストの結果。最先端のM4チップを搭載する11インチのiPad Proが、歴代モバイルデバイスの中でぶっちぎりに高い性能を備えていることがわかります

 

Apple Pencil Proの「触覚フィードバック」は大きな進化

Apple Pencil Proの使い勝手も良くなりました。第2世代のApple Pencilと見た目には同じデザインでありながら、Apple Pencil Proにはさまざまな種類のセンサーが追加され、中身が大きく変わっています。にもかかわらず、ペンの重さとサイズ、重心のバランスなど手に持った感覚は何も変わっていません。

↑Apple Pencil Proは触覚フィードバックの実用性が高く、ペン書き作業がより快適になります

 

ペン本体の側面をクリックする「スクイーズ」の操作でパレットツールを表示、あるいはペン先を回転させて描く線の太さを速やかに変える「バレルロール」など、新しい操作方法も加わりました。なかでも筆者が一番重宝しているのは「触覚フィードバック」の機能です。スクイーズやダブルタップなどの操作が正しく行なわれたことを、軽い振動のフィードバックでペンが返してくれます。

 

以前のApple Pencilは、たとえばダブルタップ操作でペンと消しゴムのツールが正しく切り替わったことなどを、画面の表示などを見て確認する必要がありました。触覚フィードバックがあれば、よりペン先だけに集中できます。

 

もうひとつ取り上げたいのは、Apple Pencil Proにアップルデバイスの「探す」アプリから探索できる機能が追加されたことです。幸いなことにまだこの機能のお世話になっていませんが、Apple Pencilが手もとに見当たらずヒヤリとすることがよくあります。転ばぬ先の杖としても「探す」機能が活躍してくれそうです。

 

新しいiPad ProはUSB-Cで充電する1万3800円(税込)のApple Pencilにも対応していますが、触覚フィードバックや「探す」機能を使えるメリットを考えれば、筆者のおすすめは断然Apple Pencil Proです。

 

M2搭載iPad Airでもよかった? ディスプレイとApple Pencilの機能に差

新型iPad Proと同時期に登場した、軽量スリムなiPadシリーズのハイエンドであるiPad Airも、M2を搭載して進化を遂げています。

 

11インチのiPad Airは9万8800円(税込)から買えますし、ストレージの最小容量が64GBから128GBに大きくなっています。筆者も「大きいサイズのiPad」にこだわるのであれば、新しくラインナップに追加された13インチのiPad Airでもいいんじゃないか? と、最初は迷いました。

↑11インチのM2搭載iPad Air。Wi-Fiモデルは9万円台で購入できます

 

13インチのiPad Airならば、12.9インチのiPad Proに対応するものと同じSmart Keyboard Folioがそのまま使えます。そのためWi-FiモデルとApple Pencil Proを同時に買いそろえても、トータルの価格は11インチのiPad Proよりも安い15万600円(税込)に抑えられます。

 

それでも、iPad AirにはないUltra Retina XDRディスプレイの高画質を楽しみたかったので、iPad Proにしました。

 

また筆者のようにApple Pencilをよく使う方は、iPad Proだけが搭載する「ProMotionテクノロジー」の有無がペンの”書き味”を左右することも大きな判断の分かれ目になるでしょう。ディスプレイの描画応答速度を高めるProMotionテクノロジーにより、iPad ProはApple Pencil Proで画面をなぞったペン先から即座に文字や線が描画され、ストレスフリーな書き味が得られます。比較すると、iPad Airの描画応答速度がほんのわずか緩慢に感じられると思います。

 

iPad Proはさすがにフラッグシップモデルです。筆者は2018年にiPad Proを買って以降、使い込むほどに快適さが増す実感がありました。これから数年以上、iPadをビジネスやクリエイティブワークに使いたおすことを考えれば、最先端のM4チップを搭載するiPad Proを少し背伸びしてでも買うべきだと思います。

 

ペンやキーボードなど、周辺アクセサリーはこれから徐々に出そろうアップル純正品以外のアイテムで補う手もありそうです。何はともあれ、ぜひiPad Proを試してみてください。

 

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有機ELな11インチ/13インチのiPad Pro、いつ買える?

有機ELディスプレイを搭載した「11/13インチiPad Pro」が、2024年半ばから後半に登場する可能性を、台湾紙のDigiTimesが報じています。

↑NYC Russ / Shutterstock.comより

 

現行モデルのiPad Proは、ディスプレイに「ミニLED」を搭載。高い輝度と正確な色再現性を実現しています。また、ディスプレイサイズは11/12.9インチの2モデルが用意されています。

 

DigiTimesがサプライチェーン筋から入手した情報によれば、有機ELディスプレイを搭載した11/13インチiPad Proの投入を見越して、一部のサプライヤーはすでにタッチスクリーンパネルの生産能力を拡大しているそうです。

 

さらにm搭載される有機ELディスプレイは、フレキシブル素材とリジット素材を組み合わせた「ハイブリッドOLED(有機EL)ディスプレイ」になるとのこと。これにより、現行モデルよりも薄型かつ軽量なデザインとなると指摘しています。

 

iPhoneやApple Watchではすでに有機ELディスプレイが採用されており、輝度の向上や高コントラスト、低消費電力化を実現しています。さらに有機ELディスプレイではリフレッシュレートを10Hz以下に下げることで、より消費電力を削減できる可能性もあります。

 

すでに十二分に美しいiPad Proのディスプレイ表示ですが、これに新たな仕組みの有機ELディスプレイが搭載されることにより、どれだけ進化するのかが楽しみです。

 

Source: DigiTimes via MacRumors

2024年発売の有機EL版iPad Pro、内蔵4TBオプションもあり? 価格は50万円を超えるかも

次期iPad Proは2024年に発売され、初めて有機ELディスプレイを採用すると見られています。これら新型iPad Proの最上位モデルには、4TBストレージが搭載されると著名リーカーが主張しています。

↑お値段もスゴイことになりそう……

 

現行のiPad Proでは、最大2TBの内蔵ストレージを選ぶことができます。しかし、有名リーカーRevegnus氏は、匿名の情報筋に基づき、来年発売の有機EL版iPad Proには4TBのオプションがあると述べています。

 

たとえばM2 iPad Proでは、最低容量の128GBから2TBにアップグレードするには、17万円以上の差額がかかります。大型の12.9インチで2TB、さらにCellularモデルであれば37万円以上で、価格的にはMacBook Proの領域に突入している、といえるでしょう。

 

もしも4TBモデルも同じぐらいのプレミアム価格だとすれば、ゆうに50万円を超えることになります。

 

また有機EL版iPad Proは、ディスプレイの製造コスト上昇により、大幅な値上げが予想されています。そのためか、Revegnus氏も「これだけのストレージが、本当に必要だろうか?」と述べています。

 

次期iPad Proには、Macと同じ強力な「M3」チップの搭載が予想されており、凄まじいパワフルさになるはず。しかし、iPadOSはmacOSほどクリエイティブのプロ向けアプリも豊富ではなく、また編集などの操作がしやすいとは言えないため、かなり好みが分かれるデバイスとなるかもしれません。

 

もっとも、アップルは動画編集アプリ「Final Cut Pro」や音楽製作アプリ「Logic Pro」のiPad版を今年5月から提供しています。今後は、iPad用にプロ向けアプリの充実を図ることになりそうです。

 

Source:Revegnus(X) 
via:Wccftech

アップルが制限? 一部iPadの画面を非正規品に交換するとペンシルの挙動がおかしくなったとの声も

一部のiPadでディスプレイをアップル純正以外の部品、ないし別のiPadの画面に交換すると、Apple Pencilが正常に動作しなくなる可能性があると米Forbesが報じています。

↑修理代を安く抑えたい人は要注意

 

この問題は第5世代および第6世代の12.9インチiPad Proと、第3世代および第4世代の11インチiPad Proに及んでいるとのこと。英国の修理業者リッキー・パネサール氏は、iPadのディスプレイを別のiPad画面と交換したところ、Apple Pencilでまっすぐな線が描けなくなったと述べています。

 

なぜ、こんな問題が起こるのか。パネサール氏は「画面が元のロジックボード(基板)に接続されている場合のみ、ペンシルの機能が動作するようプログラムされたメモリーチップを画面に搭載している」ためと説明しています。

 

ほか5月には大手掲示板Redditで、中古業者から第6世代iPad miniを勝った人が同じ問題を抱えていると投稿していました

 

アップルは以前から、こうした「シリアル化」(デバイス本体と部品をシリアル番号でひも付ける)方式を使ってきたことが知られています。たとえばiPhone 13シリーズでも、画面を交換すると元の画面の制御チップを移さない限り、顔認証のFace IDが機能しないことがありました。批判を受けたアップルは、その後にチップの移植なしにFace IDが動くソフトウェアアップデートを配信しています

 

パネサール氏は、アップルや正規代理店で修理を受けるのと、非正規の修理業者とでは価格差が非常に大きいことを指摘しています。実際、アップル公式サイトで第6世代12.9インチiPad Pro Wi-Fiモデルでバッテリー交換以外の「その他の損傷」を見積もると、AppleCare+に加入していない場合は12万8,800円となっています(加入時は4,400円)。

 

今後、アップルの対応を見守りたいところです。

 

Source:Forbes
via:AppleInsider

有機ELなiPad Pro、そろそろ登場近いかも?

有機ELディスプレイを搭載した11インチ/13インチiPad Proの量産が来年初めにも始まるとの情報を、韓国語サイトのThe Elecが伝えています。

↑NYC Russ / Shutterstock.com

 

現行モデルのiPad Proは、ディスプレイ方式として「ミニLED」を採用しています。これは、微細なLEDをバックライトとして利用するもの。一方で有機EL方式では、一つ一つの画素が自己発光することで、高いコントラスト比や省電力性能を誇ります。

 

The Elecによれば、Apple(アップル)のサプライヤーは2024年の第1四半期に、有機ELディスプレイを搭載した11インチ/13インチiPad Proの量産を開始するとのこと。これにより、ディスプレイの輝度や色精度の向上などが期待できると、指摘しています。

 

さらに画面の駆動周波数を動的に変化させる「ProMotion」では、有機ELディスプレイの採用によりさらに周波数を下げ、消費電力を削減することが可能となるかもしれません。実際、すでに有機ELディスプレイを搭載した「iPhone 14 Pro」シリーズでは、ディスプレイ周波数を1Hzまで下げることが可能です。

 

また有機ELディスプレイの採用により、次期iPad Proにおける薄型化も期待されています。このようにさまざまなメリットが存在する有機ELディスプレイへの移行、早く実現してほしいものです。

 

Source: The Elec via MacRumors

有機ELなiPad Pro、なんとお値段2倍近くに?

Apple(アップル)からの投入が噂されている「有機ELディスプレイ搭載iPad Pro」について、現行モデルからの大幅な値上げとなることを、韓国ニュースサイトのThe Elecが報じています。

↑Dohma48/ Shutterstock.comより

 

有機ELディスプレイ搭載iPad Proについては、以前にも値上げがされるとの予測が報じられていました。またBloomberg(ブルームバーグ)によれば、製品は2024年にも投入されるようです。

 

今回のThe Elecの報道によれば、有機ELディスプレイを搭載したiPad Proは11インチモデルが1500ドル(約20万円)から、12.9インチ版が1800ドル(約24万円)からになるとのこと。これは、現行モデルの11インチが799ドル(約11万円)から、12.9インチモデルが1099ドル(約15万円)からなのと比べて、2倍近い値上げになる計算となります。

 

このような大幅な値上げについて、The Elecは「LG DisplayとSamsung Displayが納入を予定してる有機ELディスプレイパネルはまだ開発中で、価格が決定していない。材料費としては、ディスプレイパネルの調達コストが最も大きい」と指摘しています。

 

The Elecはこのような大幅値下げについて、業界でも賛否の両方の声があると紹介しています。個人的にはiPad Proが日本価格で20万円を超えると、さすがに購入を躊躇してしまいそうです。

 

Source: The Elec via 9to5Mac

来年の有機ELなiPad Proはかなりお高く?

2024年の投入が噂される有機ELディスプレイを搭載した「次期iPad Pro」について、その価格が高額になる可能性を韓国ニュースサイトのThe Elecが伝えています。

↑jes2u.photo / Shutterstock.comより

 

次期iPad Proに有機ELディスプレイが搭載される可能性は、Bloomberg(ブルームバーグ)のMark Gurman(マーク・ガーマン)記者も報告していました。また、Apple(アップル)がSamsung(サムスン)やLGにパネルを発注しているという情報も登場しています。

 

The Elecによれば、Appleは来年に11.1インチと13インチの有機ELディスプレイを搭載した次期iPad Proを投入するとのこと。一方で、このパネルが部品費用の中で最も大きな割合を占めることになるそうです。

 

またAppleは、次期iPad Proの生産プロセスに新たに「2スタック・タンデム構造」を採用しようとしています。これは有機ELディスプレイの輝度を2倍に、そして寿命を4倍にする技術。このような新技術の採用も、次期iPad Proのコストを押し上げる要因となるようです。

 

現行モデルのiPad Proは「ミニLED」方式による液晶ディスプレイを搭載しており、かなり価格も高くなっています。さらに円高傾向が続くなかで、次期iPad Proがどれだけ高くなるのかには、若干不安を感じてしまいます。

 

Source: The Elec via MacRumors

アップル、すでにiPad Pro向け有機ELパネルをサムスンとLGに発注済み? 発売は2024年かも

アップルは2024年に、初の有機ELディスプレイ搭載iPad Proを発売すると噂されています。その有機ELパネルを供給するのは、これまでのiPhoneやApple Watch向けと同じくサムスンディスプレイおよびLGディスプレイだと有力視されてきました

↑iPad Pro

 

そんななか、すでにアップルが両社にiPad用の有機ELパネルを発注したとのサプライチェーン情報が報じられました。

 

韓国の業界誌BusinessKoreaによれば、このパネルは10.9インチと12.9インチのiPad用とのことです。中国のディスプレイ大手BOEも発注候補に上ったものの、最終的には除外されたそうです。

 

信頼性の高いディスプレイ専門アナリストRoss Young氏も、有機EL版iPadは2024年に登場すると述べていたことがあります

 

Young氏いわく、搭載パネルは「タンデムスタック構造」になるとのこと。これは赤、緑、青の発光層を2段重ねにする方式で、輝度の向上や画面の長寿命化が見込め、消費電力も約30%削減可能。さらに最大120HzのProMotion(可変リフレッシュレート)にも対応すると付け加えていました。

 

またBusinessKoreaは、アップルが2026年から有機ELディスプレイ搭載MacBookを量産する準備を進めていると報じています。現在のハイエンド製品、たとえば12.9インチiPad Pro(2022)や14/16インチMacBook Pro(2023)にはミニLEDバックライト搭載ディスプレイが採用されていますが、今後は有機ELに移行していくのかもしれません。

 

Source:BusinessKorea
via:SAMMOBILE

iPad Proに有機EL画面を提供するのはSamsungとLGに?

Apple(アップル)からの投入が期待されている有機ELディスプレイを搭載した「iPad Pro」について、Samsung(サムスン)やLGがパネル部品を提供するとの情報を、韓国ニュースサイトのETNewsが伝えています。

↑Appleより

 

iPad Proの有機ELディスプレイへの移行については、以前にBloomberg(ブルームバーグ)などが報じていました。さらにSamsungからのパネル部品の提供も、以前に韓国ニュースサイトのThe Elecが伝えています。

 

ETNewsによれば、SamsungとLGはiPad Pro向けの有機ELディスプレイの量産に向けて、工場を準備しているとのこと。またこのディスプレイは、フレキシブル有機ELとリジッド有機ELの技術を組み合わせた「ハイブリッドパネル」だとも説明されています。

 

ディスプレイアナリストのRoss Young(ロス・ヤング)氏は、Appleが有機ELディスプレイを搭載した「13インチMacBook Air」や「11.1インチiPad Pro」、「13インチiPad Pro」を2024年に投入すると報告していました。また著名アナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏も、有機ELディスプレイを搭載したMacBookの投入を予測しています。

 

通常の液晶ディスプレイに比べてコントラスト比が高く、消費電力の小さな有機ELディスプレイ。その特徴的な「黒の締り」を、iPad Proでも早く体験したいものです。

 

Source: ETNews via MacRumors

iPad Pro、2024年に大幅刷新!? Bloomberg名物記者の報告

Apple(アップル)が2024年に投入する「iPad Pro」では大幅な刷新が予定されていることを、Bloomberg(ブルームバーグ)のMark Gurman(マーク・ガーマン)記者が報告しています。

↑IIIARK / Shutterstock.com

 

現行モデルのiPad Proは2022年10月に発表されました。その特徴は、新型プロセッサ「M2」を搭載したこと。12.9インチモデルでは高品質な「ミニLED方式」のディスプレイを搭載し、「Wi-Fi 6E(日本は未対応)」に対応したことも特徴です。

 

Gurman氏によれば、今年の「iPad Pro」や「iPad」「iPad Air」では、特に大きなアップデートはおこなわれないとのこと。一方で2024年にはiPad Proのデザインが刷新され、さらに有機ELディスプレイが搭載されるというのです。

 

以前の報告によれば、将来のiPad Proでは現在のアルミニウムボディの代わりに、背面にガラス素材を採用するとの情報があります。またiPhoneと同じように、「MagSafe」によるワイヤレス充電に対応することも検討されているとのこと。さらにiPad Proや「MacBook Pro」に有機ELディスプレイが搭載されるとの情報も、以前にET Newsが報じています。有機ELディスプレイが搭載されれば、コントラストの向上や消費電力の削減が期待できそうです。

 

現行モデルのiPad Proは、2018年からそのデザインは基本的に変わっていません。そろそろ、外観と基本設計の刷新された新モデルの登場に期待したいものです。

 

Source: Power On via 9to5Mac

iPad Pro/MacBook Pro向け有機ELディスプレイが開発中? ディスプレイの切り替え進みそう

アップルが有機ELディスプレイを搭載した「iPad Pro」を2024年に、「MacBook Pro」を2026年に、それぞれ投入するとET Newsが報じています。

↑ms_pics_and_more/Shutterstock.comより

 

現行モデルのiPad Proは12.9インチモデルで「ミニLED」バックライトによる液晶ディスプレイを、そしてMacBook Proでは16インチ/14インチモデルでミニLED方式の液晶ディスプレイを搭載。一方で「iPhone 14」シリーズや「Apple Watch」では、すでに有機ELディスプレイに切り替わっています。

 

ET Newsによれば、アップルと韓国のディスプレイサプライヤー(おそらくサムスン)が、12.9インチ/11インチのiPad Proや14インチ/16インチのMacBook Pro向けに、有機ELディスプレイを開発しているとのこと。それだけでなく、「10インチから16インチまでのパネル開発がすすんでいる」との気になる情報も伝えられています。

 

このようなアップルプロダクトの有機ELディスプレイへの移行は以前にも報じられており、有機ELディスプレイを搭載したiPad Proは11.1インチ/13インチと画面サイズが若干大型化することを、ディスプレイアナリストのRoss Young(ロス・ヤング)氏が報告しています。また、早ければ2024年に13インチの有機ELディスプレイを搭載したMacBook Airが登場するとの情報もあります。

 

有機ELディスプレイは液晶ディスプレイと比べ、コントラスト比が高く消費電力が少ないという特徴があります。先日には新型MacBook Proが発表されたばかりですが、近い将来にさらなる刷新が予定されているのかもしれません。

 

Source: ET News via MacRumors

「iPhone 15 Pro」物理ボタンがなくなる? 好評ならiPad Proにも採用されるかも

今年秋に発売が予想される「iPhone 15 Pro」モデルの音量ボリュームと電源ボタンは、物理的に押し込む従来型から、機械的に動く部分がない「ソリッドステート」式に変更されると噂されています。

↑ソリッドステート式に変更されるかもしれない物理ボタン

 

そんななか、この変更がユーザーに好評であれば、将来的に他のハイエンド製品もその後に続くかもしれないとのアナリスト予測が報じられています。

 

アップルのサプライチェーン情報に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏は、昨年10月末に音量ボタンと電源ボタンがソリッドステート式に置き換えられるとの予想を述べていました

 

ソリッドステート式は「Taptic Engine」という微小なモーターで振動を発生させ、センサーにより指の圧力を感知すると、振動を返すことで押し下げた錯覚を起こさせる方式です。この仕組みは「触覚フィードバック」とも呼ばれ、最近のMacBookのトラックパッドにも採用されています。

 

Kuo氏は最新のツイートで、この予想を再確認。そしてiPhone用のTaptic Engineチップを供給するシーラス・ロジック社が利益を得ることになると指摘しています。

 

そして新デザインにつきユーザーの反応が良ければ、今後ほかのハイエンドモデルにも採用される可能性があるとのこと。Kuo氏は具体的な製品名を挙げていませんが、おそらくiPad ProやApple Watchを指しているとも推測されます。

 

iPhoneのボタンをソリッドステート式にすれば、物理ボタンに必要な開口部がなくなり、さらに耐水性能が改善するとともに、経年劣化により摩耗したり壊れる可動部品をなくすことができるはず。が、あまりiPhoneを頑丈に作りすぎると、アップルも買い替え需要が減ってしまい困る可能性もあるかもしれません。

 

Source:Ming-Chi Kuo(Twitter)
via:MacRumors

2024年の有機ELなiPad Proに向け、サムスンが開発を本格化か

2024年の投入が噂される有機ELディスプレイを搭載した「iPad Pro」向けに、Samsung(サムスン)が開発を本格化していることを、韓国ニュースサイトのThe Elecが報じています。

↑Mahod84 / Shutterstock.com

 

2024年に投入されるiPad ProやMacBook Airに有機ELディスプレイが搭載される可能性は、以前にもアナリストにより報告されていました。また、「ハイブリッド有機EL」によってディスプレイの薄型化が実現するという報道も放生しています。

 

The Elecによれば、サムスンは将来のAppleのiPadとMacに搭載される、「2層タンデム型有機ELパネル」の開発を優先しているとのこと。一方で、有機ELを1層のみ利用する「フルカット有機ELパネル」の開発にはあまり力を入れていないことも報じられています。

 

サムスンはすでに、iPhoneのハイエンドモデルにたいして有機ELディスプレイを提供しています。一方でiPhone SEやMac、iPadでは、引き続き液晶ディスプレイが採用されています。Apple製品の本価格的な有機ELディスプレイへの移行が進むことになるのか、今後を見守る必要がありそうです。

 

Source: The Elec via MacRumors

なぜ? M2 iPad ProのProRes録画にはサードアプリが必要です

アップルが先日発表した新型タブレット「iPad Pro」にて、Apple ProResコーデックでの録画が標準アプリではできないことを、国内テックサイトのMacお宝鑑定団が伝えています。

↑アップルより

 

Apple ProResとは、アップルいわく「リアルタイムでマルチストリーム編集が可能なパフォーマンスの高さ、抜群の画像品質、保存時のサイズの小ささを実現し、マルチコア処理を最大限に活用したコーデックで、高速な解像度デコードモードが特徴」とのこと。Macお宝鑑定団いわく、「iPhone 13 Pro」以降の256GB以上のモデルにて利用可能です。

 

しかし 先日に発売が開始されたiPad Proの12.9インチ/11インチモデルでは、どちらでも純正のカメラアプリでApple ProResが選択できません。最新プロセッサを搭載したiPad Proなのに、これは奇妙な現象です。

 

一方でプロ向けの録画アプリ「FiLMiC Pro」を使用すると、最新iPad Proでも、Apple ProResによる「ProRes 709」「ProRes 2020」での録画が可能になることが報告されています。なおこの場合でも、128GBストレージモデルでは1080p解像度/30fpsしか選択できず、4K解像度を選択するには256GB以上のストレージを搭載したモデルが必要です。

 

現時点ではなぜ最新iPad Proにこのような制限が存在するのか、あるいはカメラアプリやiOSのバグなのかは、現時点では不明です。ノートパソコンのMacBookシリーズと同等のプロセッサを搭載したiPad Proですから、ぜひ純正カメラアプリでのApple ProRes録画を実現してほしいものです。

 

Source: Macお宝鑑定団 via 9to5Mac

新型iPad Pro、Wi-Fi 6Eのオンオフが可能です(ただし日本は…)

米アップルが先日発表した「新型iPad Pro」に、最新通信規格「Wi-Fi 6E」のオンオフ機能が搭載されていることが、アップルのサポートドキュメントにより明かされています。

↑アップルより

 

Wi-Fi 6Eとは従来の2.4GHz帯と5GHz帯に加え、6GHz帯も組みあわせた規格です。これにより、通信速度と安定性の向上が期待できます。iPad ProはこのWi-Fi 6Eに対応しているのですが、残念ながら中国本土と日本では同通信規格は利用できません。

 

そしてアップルのドキュメントによれば、iPad Proでは設定アプリの「Wi-Fi」をタップし、接続しているネットワーク名から「Wi-Fi 6Eモード」をタップして、オンオフを切り替えることができます。これは、Wi-Fi 6Eのネットワークで何らかの問題が発生した場合に役立ちます。

 

またアップルは、Wi-Fi 6Eルーターを利用するだけでなく、ルーターの2.4GHz、5GHz、6GHzで単一のネットワーク名を使用することを推奨しています。そうでない場合は上記のWi-Fi 6Eのオンオフ機能が利用できないだけでなく、期待していたパフォーマンスが発揮できないとも説明しているのです。

 

「M2」チップを搭載した以外は、あまりサプライズの多くなかった新型iPad Pro。また日本ではWi-Fi 6Eが利用できないこともあり、スペック向上以外にはあまり乗り換えのメリットは多くないのかもしれません。

 

Source: アップル via MacRumors

M2搭載! そのほかは…? 新型iPad Proをアップルが正式発表

アップルは新モデルのハイエンド向けタブレット「12.9インチiPad Pro(第6世代)」「11インチiPad Pro(第4世代)」を発表しました。

↑アップルより

 

待望の新型iPad Proシリースですが、残念ながらそのアップグレード内容は「M2」チップの搭載のみ(前モデルはM1チップを搭載)。そのほかのカメラ性能やディスプレイスペック、バッテリー駆動時間などに差はありません。また、Apple Pencil(第2世代)への対応も前モデルと同じです。

 

なおアップルによれば、M2チップは「最大15%速いパフォーマンスを発揮する8コアCPUと、最大35%速いグラフィックス性能をもたらす10コアGPUを搭載。機械学習のタスクをスピードアップさせるNeural Engineが40%高速化し、メモリ帯域幅は50%広くなりました」とのことです。

 

細かな違いを見ていくと、新型iPad Proは「写真のスマートHDR 4」や最大4K/30fpsのProResビデオ撮影(容量128GBモデルは1080p/30fps)に対応。また、「Apple Pencilによるポイント」機能が利用できます。Bluetoothのバージョンも5.0から5.3へと新しくなりました。

 

12.9インチiPad Pro(第6世代)の価格は17万2800円(以下すべて税込み)からでWi-Fi + Cellularモデルが19万6800円から、11インチiPad Pro(第4世代)はWi-Fiモデルが12万4800円からでWi-Fi + Cellularモデルが14万8800円から。すべてのモデルでスペースグレイ/シルバーのカラーバリエーションが用意され、本日から予約を開始、10月26日に発売されます。

 

正直サプライズの少ない新型iPad Proですが、Apple Pencilや「Magic Keyboard」などの周辺機器が使い回せるのはありがたいといえそうです。

 

Source: アップル

M2 iPad Proが数日中にも登場!? ただし11インチはミニLEDじゃないかも…

「M2」チップを搭載した「次期iPad Pro」が数日中にも発表されるとの情報を、ブルームバーグが報じています。そのうち11インチモデルでは、ミニLEDバックライトが搭載されないのかもしれません。

↑NYC Russ/Shutterstock.com

 

現在ラインナップされている12.9インチ/11インチのiPad Proには、「M1」チップが搭載されています。また12.9インチモデルの「Liquid Retina XDRディスプレイ」とは異なり、11インチモデルの「Liquid Retinaディスプレイ」ではミニLEDバックライトは採用されていません。

 

ブルームバーグの報道によれば、M2チップを搭載した次期iPad Proは数日以内に、そして次期Mac製品は年内に発表されるそう。このうち次期iPad Proは12.9インチ/11インチの2ラインナップで、デザインの変更はないと伝えています。

 

M2チップに関しては、M1チップから約20%高速化されるとのこと。ただし大幅なパフォーマンスアップを体感できるほどのものではなく、またそのほかのハードウェアの変更もないだろうと指摘しています。

 

なおディスプレイアナリストのRoss Young氏によれば、次期iPad Proの11インチモデルではミニLEDバックライトは搭載されないそう。これは、現行モデルの11インチ iPad Proと共通しています。

 

また、ベーシックモデルの「iPad」の次期モデルが開発されていることも報じられています。海外テックサイトの9to5Macによれば、次期iPadでは「A14 Bionic」チップを搭載し、Lightning端子がUSB-C端子に置き換えられ、5G対応モデルが投入されるだろうとしています。

 

さらにブルームバーグによれば、次期MacBook Proには「M2 Pro」「M2 Max」が搭載され、M2チップを搭載した「次期Mac mini」や「A14 Bionic」と4GB RAMを搭載した「次期Apple TV」が開発されていることも報じられています。

 

最後に、次期iPad Proはイベントではなく、プレスリリースにて発表されるとのこと。大々的な製品発表ではなさそうですが、M2を搭載した次期iPad Proのパフォーマンスを楽しみにしたいものです。

 

Source: ブルームバーグ via 9to5Mac, Ross Young/Twitter via  MacRumors

10月末までに第10世代iPadやM2 Mac miniが登場? 有名リーカーが予想

少し前には10月にアップルの新製品発表イベントが行われると期待されていましたが、今ではウェブサイトの更新やニュースリリースだけで済まされるとの説が有力となっています。なぜなら、ほとんどの新製品がデザインや筐体はほぼそのままで、イベントをするほどではない……と見られているためです。

↑写真は12.9インチiPad Pro(2018)

 

では、10月末までにどんな新製品が登場するのか。それは第10世代iPadやM2搭載Mac mini等だとの噂話が伝えられています。

 

この情報の発信源は、有名リーカーのDohyun Kim氏です。Kim氏はGalaxy S22シリーズの公式マーケティング資料を流出させるなど、サムスン製品については一定の実績があります。

 

さてKim氏のツイートによると、今月(10月)内にアップルが発表する新製品は次の通りとのこと。

  • 10.2インチiPad (第10世代)
  • 11インチiPad Pro(M2搭載)
  • 12.9インチiPad Pro(M2搭載)
  • 新型14インチMacBook Pro
  • 新型16インチ MacBook Pro
  • Mac mini(M2搭載)

 

これらはほぼ、今までの噂話と一致しています。独自の情報源を元にした複数のリーカーがそうつぶやいていることで、いっそう信ぴょう性が増した形です。

 

特に第10世代iPad、つまり安価な無印iPadの次期モデルは、iPadアクセサリー企業のESRが日本のAmazonストアで「iPad第10世代ケース」の販売を始めたことで(現在は「ESR iPadケース」と表記を変更)、まもなく発売される可能性が高まっています。

↑Image:ESR/Amazon

 

またiPadOS 16.1が10月最終週に配信が始まるとの予想を、アップル関連最強リーカーことBloombergのMark Gurman記者がツイート。おそらく、新型iPadの発表とタイミングを合わせてリリースされると思われます。

 

さらに新型iPadとMacが同時期に発表されるのであれば、次期macOS Venturaも一般公開される可能性が高いはず。新型ハードウェアを買わなくとも、従来のハードウェアがソフトウェア更新により機能が向上し、いっそう便利となりそうです。

 

Source:Dohyun Kim(Twitter) 
via:Tom’s Guide

Mac Studio用の小型で高品質なディスプレイ「Mini Pro Display XDR」が実現→実はiPad Proでした

パワフルなMac Studioや16インチMacBook Pro(2021)を買うと外付けディスプレイも一緒に使いたくなりますが、アップル純正の最高級ディスプレイ・Pro Display XDRは税込50万円以上で高すぎる……。そんな人向けに高品質なディスプレイを小型かつ安上がりに済ませる方法が紹介されています。

↑Tom氏のツイートから

 

このアイディアを実現に移したのがYouTuberのByte ReviewことTom氏です。Tom氏がTwitterで公開した「Mac Studio with Mini Pro Display XDR」は、Mac Studioの上にサイズぴったりの小型ディスプレイが載せられ、まるでセットとして作られたような一体感が醸し出されています。

 

もちろんアップル純正のディスプレイにこんな「mini」製品は存在しませんが、コンパクトな画面内にはmacOSの画面が表示されています。ある人は偽物のレンダリングだと言い、すぐに別の人がレンダリングではないと訂正するリプライが繰り広げられました。

 

タネを明かせば、12.9インチiPad Pro(2021)を、macOSやiPadOSの標準機能SideCarを使ってMac Studioのディスプレイ代わりにしているだけです。

 

最新の12.9インチiPad Proに採用されたLiquid Retina XDRディスプレイは、Pro Display XDRと同じく「ミニLEDバックライト」技術を採用しています。この技術は従来の液晶画面の延長にありつつも、バックライトを微細なミニLEDに置き換え、ローカルディミング(部分的に制御できる技術)と組み合わせることで、高コントラストの鮮やかな画面や低消費電力を実現するものです。世代的にはiPad Proのほうが新しく、画質に遜色はないと思われます。

 

「それを理解するのに数分かかったよ」との声もあれば、「うぉー、アップル製レジだ」という声もあり。誰もが総じてクールなセットアップだと拍手を送っています。このうちレジに似ていることはTom氏も同意しており「しかも、かなり高価なものだ」と付け加えています。

 

12.9インチiPad Proは確かに安くはありませんが(税込で約13万円~)それでもPro Display XDRの4分の1ほどで済みます。アップル製品はデザインの統一性もあるため、こうしたお遊びがしやすいのかもしれません。

Source:Byte Review(Twitter) 
via:Cult of Mac

Apple新製品を深掘りレビュー!最新iPad Pro&iMac、新機軸の紛失防止アイテムにも注目

夏を前にして、Appleから新製品が登場。そこで今回は、M1チップ搭載iPad Proやデザインを刷新したiMacを含め、特に注目すべき4アイテムを紹介する。

※こちらは「GetNavi」 2021年7月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

中身が進化したiPad 見た目も変わったiMac

アップルは日本時間4月21日のApple Eventにて、複数の新製品を発表した。同イベントで多くの時間を割かれた製品が新しいiPad Proと、デザインを刷新したiMacだ。

 

新型iPad Proは、外観こそ従来モデルから大差ないものの、最新のMacシリーズに採用されるM1チップを搭載。USB Type-CポートがThunderbolt/USB 4をサポートし、5G通信にも対応するなど、仕様面ではエポックメイキングな進化を遂げた。特に、12.9インチモデルは、ミニLEDを採用し、HDRコンテンツ視聴時のピーク輝度を1600ニトに高めつつ、深みのある黒の再現も両立。プロフェッショナルなクリエーターの用途にも余裕をもって応える製品へと磨きがかけられた印象だ。

 

iMacはデザインを一新。カラバリ豊富なスッキリしたデザインに生まれ変わった。こちらにもM1チップが搭載されたのはサプライズ。キーボードにTouch IDを備え、磁石で着脱する電源コネクタを採用した点も注目だ。

 

そのほか登場した、紛失防止タグの「AirTag(エアータグ)」や「Apple TV 4K」といった新製品も見ていく。

 

【新製品1】最新Macと同じCPUを搭載して高性能をさらに追求

Apple

11インチiPad Pro(左)

9万4800円~(Wi-Fi)

11万2800円~(Wi-Fi+Cellular)

12.9インチiPad Pro(右)

12万9800円~(Wi-Fi)

14万7800円~(Wi-Fi+Cellular)

最新Macと同じM1チップを搭載するiPadのフラッグシップモデル。最大容量2TBが選択可能になったほか、122度の超広角インカメラを装備し、5G通信へ対応するなど、大きく進化した。12.9インチモデルがディスプレイにミニLEDを採用した点も注目だ。

SPEC ●ストレージ:128/256/512GB、1/2TB●アウトカメラ:12MP(広角)+10MP(超広角)●インカメラ:7MP(超広角)●バッテリー駆動:最大10時間(Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生)

 

↑これまでと同様にiPad Pro用のキーボードアクセサリー「Magic Keyboard」を用意(3万4980円)。従来のブラックに加え、新色であるホワイトが追加されている

 

LiDARスキャナを活用したClipsアプリにも注目

光の反射で空間を測定する「LiDARスキャナ」は継承。ver3.1の「Clips」で追加されたAR空間への効果付与にも対応する

 

12.9インチモデルだけ超美麗ミニLEDを採用

12.9インチモデルが搭載する「Liquid Retina XDRディスプレイ」は、HDRのピーク輝度で1600ニトを実現。従来機の液晶ディスプレイではバックライトに計72個のLEDが使われていたが、新型では極小の「ミニLED」が1万個以上散りばめられた。

 

↑高輝度な白から深みのある黒まで正確に表現。コンテンツに応じて調整される

 

↑従来比で体積120分の1以下の極小LEDを1万個以上使用。2500以上のエリアに分けて制御している

●写真はイメージ

 

【ココが変わった新iPad Pro】

[Point1]M1チップ搭載

最新のMacシリーズと同じ高性能チップセットで動く

昨秋のMacシリーズに採用され、高い評価を受けているApple独自の「M1」チップを新型iPad Proも搭載。CPUは従来機と比較して最大50%、GPUは40%高速に。USB Type-Cポートは、Thunderbolt/USB 4もサポートした。

 

↑Thunderbolt 4対応により長編動画など大容量のデータも扱いやすくなった。6Kモニターへの出力にも対応

 

[Point2]5G対応

最新の通信規格サポートで場所を問わずに使いやすく

モバイル通信が行えるWi-Fi+Cellularモデルは、5G通信にも対応。対応の通信プランを契約済みなら、5G対応エリアにいると超大容量の高速通信が利用可能だ。Wi-Fiのアクセスポイントがない場所でも快適に活用できる。

 

↑最新のiPhone 12シリーズと同様に5G通信をサポート。長期的に使うことを考えると重要なアップデートだ

 

[Point3]カメラ性能

静止画HDRの強化やインカメラの改良にも注目

インカメラは、新たに12MP・f/2.4の超広角カメラを搭載。ビデオ通話時にパンやズームを駆使して被写体を自動で追いかける「センターフレーム」なる新機能にも対応。アウトカメラも「スマートHDR 3」をサポートした。

 

↑LiDARスキャナの恩恵で、暗所でもピントが正しく合う。ブレやノイズの少ない撮影が行えるのも魅力

 

【最新iPadシリーズ、比べてみました】

 

【プロのインプレ!】

モバイルライター

井上 晃さん

スマホやタブレット、スマートウオッチに精通。iPad Proシリーズは初代から触れてきた。

 

「Pro」シリーズらしさが増した

「ミニLED採用の12.9型は、最大2TBの選択肢が追加されたように動画や写真編集、デザイン業務などを生業とする人に最適。M1搭載のMacは超快適で、iPad Proでもゲームや動画視聴の体験がリッチになると期待できます」(井上さん)

 

↑M1搭載MacBook Airは、非常に高性能でバッテリー持ちも優秀。高く評価されている

 

GetNavi編集部 デジタル担当

森 有史

テレワーク導入以降、iPadをフル活用中。現在は、iPad Airで快適なペン入力を謳歌している。

 

Proならではの発展性に期待

「Airとの比較になる11型は、ARコンテンツを重視するならProが買い。12.9型は超高品位なディスプレイが魅力ですが、厚みが変化した点に注意。0.5mmの差ですが、旧モデルのケース類を流用できない可能性があります」(森)

 

↑旧Magic Keyboardは新モデルでも使えるが、閉じた時のフィット感にはやや影響が出る

 

【Topic】iPhoneに新色のパープルが追加!

iPhone 12&12 miniに関しては、新色の「パープル」が追加され、4月30日に発売された。併せて、純正のレザーケースにも新色の「ディープバイオレット」が加わっている。

 

↑ブルー/グリーン/ブラック/ホワイト/(PRODUCT)REDにパープルを加え、全6色展開に

 

【新製品2】「アレどこ?」を完全に解消できるiOSの「探す」を利用するタグ

Apple

AirTag

3800円(1個)、1万2800円(4個セット)

Apple純正の紛失防止タグ。落ちている場所の近くを通った他人のiOS端末を経由して場所を知らせてくれる。内蔵スピーカーから音を鳴らすことも可能。注文時にはテキストや絵文字の刻印を無料で加えられる。IP67の防塵・耐水もサポートした。

SPEC ●バッテリー:CR2032コイン型電池●センサー:加速度センサー●サイズ/質量:φ31.9×H8mm/11g

 

↑絶縁シートを引き抜くと電源がオンに。iOS 14.5以降搭載のiPhoneを近づけると初期設定画面が起動。数ステップで完了する

 

↑AirTagを付けたアイテムを失くしたら「紛失」モードに。場所が検出されると、持ち主に通知が飛ぶ

 

↑AirTagの場所は、アプリから地図上で把握できる。位置情報は他人のiOS端末を介して取得されるが、そのプロセスは匿名で行われえるので安心

 

↑AirTagが近くにある場合、UWBを利用して距離や方向が正確にわかる。iPhone 11/12シリーズが対応する

 

↑アクセサリも豊富。こちらは、特殊ななめし加工が施されたヨーロピアンレザーを使ったキーリング

 

↑こちらは、Appleデザインの「ポリウレタンループ」。バンド部の穴にタグ部分を通して固定する

 

【プロのインプレ!】慌ただしい朝の「カギどこやった?」を矢印表示で解決

「市場には様々な紛失防止タグが存在しますが、AirTagはU1対応のiPhoneならば矢印や距離表示で位置情報を確認できる点がユニークです。カギがソファの隙間に落ちてしまっているような状態でも、あと「1.7m右側」や「ここ」と、具体的に表示されるため、アイテムを容易に見つけられます」(井上さん)

 

↑蓋は、ロゴのある面をグッと押して反時計回りに回すと外れる。コイン型電池の交換時期を、電池切れ前に通知してくれるのも◎

 

【新製品3】M1搭載でTouch IDにも対応して7色をラインナップ

Apple

24インチiMac

15万4800円~

iMacの24インチモデルがM1チップを搭載し、筐体デザインも一新。ディスプレイは4.5Kで、広色域P3やTrueToneに対応する。スタジオ品質のマイクや空間オーディオ対応の6スピーカーシステムなど、ウェブ会議向けの機能も充実。

SPEC ●CPU:Apple M1●メモリ:8/16GB●ストレージ:256/512GB、1/2TBSSD●ディスプレイ:24インチ(4480×2520ピクセル)●サイズ/質量:W547×H461×D147mm/4.46kg

 

↑電源ケーブルは、マグネットで固定する独自仕様のコネクターに。電源アダプターは有線LAN端子も備え、電源ケーブル経由で通信が可能。スッキリした配線で有線LANを使用できる

 

↑Touch IDによる指紋認証を行えるMagic Keyboardが選択可能。サインインや購入時の認証などがスムーズに完了するようになる

 

↑背面にThunderbolt/USB 4端子×2(最大40Gbps)を搭載。上位モデルであれば、USB 3端子×2(最大10Gbps)も備えている

 

【プロのインプレ!】テレワークでも快適に使える仕様強化に注目

「スリムでインテリア性の高い新デザインに加え、指紋認証への対応をはじめとした新機能も魅力的。ビームフォーミング対応の3マイクアレイやウーファーの搭載、スピーカーのDolby Atmosサポートなど、オーディオ性能も強化されたのがうれしいです」(井上さん)

 

↑M1搭載により、ディスプレイ部は薄さ11.5・を実現。リビングなどに置いても圧迫感がない。ロゴマークは背面に移り、さりげなく主張する

 

【新製品4】iPhoneを使ってテレビの画質を美しく調整可能に!

Apple

Apple TV 4K

2万1770円~

A12 Bionicを搭載したApple TV 4Kの新モデル。60fpsのHDRやドルビービジョン対応コンテンツをサポートする。iPhoneを使ってモニターのカラーバランスを調整する機能も新搭載。リモコンの「Siri Remote」はデザインが刷新された。

SPEC ●プロセッサー:A12 Bionic●ストレージ:32/64GB●サイズ/質量:W98×H35×D98mm/425g(本体)、W35×H136×D9.25mm/63g(Siri Remote)

 

↑動画視聴だけでなく、コントローラーを繋いでゲームなども楽しめる。サブスク制のApple Arcadeにも対応

 

↑複数ユーザーの共有に対応している。家族それぞれが自分向けのオススメコンテンツを楽しむことも可能だ

 

【プロのインプレ!】見失いやすかったリモコンが使い勝手良く改善されている

「Apple TV用リモコンである「Siri Remote」の改良が最大の注目ポイント。ややクラシックなデザインに回帰したようにも思えますが、パッと見つけやすく、上下の向きも分かりやすい見た目に改善されていると思います」(井上さん)

 

↑タッチ操作対応のクリックパッドを備えており、かつての「iPod Classic」を想起させる。「戻る」ボタンが備わったのも◎

新型「iPad Pro」を徹底解説! M1チップ搭載、5G対応で何が変わる?

4月21日午前2時(日本時間)から行われたApple Event。ここで発表された新製品で最も注目を集めそうなのは、驚異的なパワーを誇るM1チップが内蔵された「iPad Pro」です。外観上の形は従来から大きく変わってはいませんが、性能はさらに大幅にアップ。この記事では、どんなスペックを持っているのか解説していきたいと思います。

↑新iPad Proは4月30日より予約受付を開始

 

M1チップにより性能が飛躍的に進化

新「iPad Pro」最大の注目ポイントはM1チップの内蔵でしょう。昨年発売された「MacBook Air」などに搭載され、パフォーマンスレベルが格段にアップ。いままでのApple製品と比べて処理速度が最大2.8倍速くなり、グラフィック性能も最大5倍で速く、美しくなりました。それらを、僅かな電力で発揮できることでバッテリー駆動時間も増加。まさに驚異的なパワーを誇るチップなのです。

↑M1チップを搭載

 

今回iPad Proに搭載されるM1チップは、CPU、GPUが8コア、機械学習関連の処理を担うNeural Engineは16コアという構成で、先代の「iPad Pro」に搭載されたチップ「A12Z Bionic」と比べて、CPUの処理能力は最大50%、8コアのGPUは、最大40%向上しました。また、複雑なARモデルを構築やコンソール級グラフィックスを駆使したハイフレームレートのゲームをプレイするなど、あらゆることが思いのままとなります。

 

11/12.9インチの2モデルをラインナップ

新iPad Proは、ディスプレイの仕様が異なる11インチと12.9インチの2モデルを展開。なかでも、12.9インチモデルに採用される「Liquid Retina XDRディスプレイ」の美しさは圧倒的。ディスプレイの背面に1万個以上のミニLEDを詰め込んだことにより、100万:1の高コントラスト比を実現し、現実世界に近い精細な映像を映し出せます。目の覚めるようなフルスクリーンの最大輝度は1000ニトと非常に明るく、HDRのピーク輝度は1600ニトに達します。また、P3の広色域、True Tone、ProMotionなどの先進的なディスプレイテクノロジーも組み込まれており、11インチモデルでもサポートされます。

↑12.9インチモデルに採用される「Liquid Retina XDRディスプレイ」

 

↑1万個以上のミニLEDを搭載しています

 

↑HDR規格にも対応

 

カメラは、前面が1200万画素センサー/122度の視野角を持つ新しい超広角カメラを搭載。このカメラと学習機能を使って、ユーザーがフレームの中心から外れないように自動でパンを調整してくれる「センターフレーム」機能を新たに搭載しました。ほかの人がビデオ通話などで出入りする際にも、全員が映るように自動で拡大や縮小してくれます。

↑自動で全員がフレームインするように調整する「センターフレーム」機能を搭載

 

背面カメラには背面は1200万画素の広角と、1000万画素の超広角、そしてLiDARスキャナが備えられています。LiDARスキャナは、光が物体に反射して戻るまでの時間を計測。ユーザーがどんな空間にいても、臨場感のあるAR体験を楽しめるようになっています。暗い環境で写真やビデオを撮る時は、パワフルなISPと連係して細部まで捉えてくれるそう。

↑LiDARスキャナにより手軽にAR映像が楽しめます

 

USB Type-CコネクターはThunderboltに対応し、最大40Gbpsのデータ転送を可能。そして、超高速の5GやWi-Fi接続も利用できます。映画をストリーミングで楽しむ、仕事仲間と共同作業をする、コンテンツをアップロードするなど、そのすべてを外出先で最速のネットワークに接続して行えます。

↑5Gネットワーク通信にも対応

 

タブレットという枠から飛び出してしまうほど規格外な機能を持つ「iPod Pro」。M1チップが内蔵されたことにより圧倒的なパフォーマンスが発揮されており、ディスプレイの美しさ、広角カメラの素晴らしい性能など、すべてにおいてトップ・オブ・トップのタブレットといえるでしょう。

 

●新型11インチiPad Proラインナップ

・容量…128GB/256GB/512GB/1TB/2TB

・サイズ…178.5mm(横)/247.6mm(縦)

・カラー…シルバー/スペースグレイ

・価格…9万4800円~

 

●新型12.9インチiPad Proラインナップ

・容量…128GB/256GB/512GB/1TB/2TB

・サイズ…214.9mm(横)/280.6mm(縦)

・カラー…シルバー/スペースグレイ

・価格…12万9800円~

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

2021年のAppleに期待するのは5G対応、M1搭載の…!? 2020年の月別で振り返るApple

パンデミックの影響もあり、例年の慣習が通用しなかった2020年——。製品発表を伴うAppleのイベントも完全にオンライン化されました。秋の製品発表が、3か月に分かれて行われたことも印象的でしたね。同社が近年実施しているサプライズ形式の製品リリースも含め、ほぼ毎月のように何かしらの話題のある年だったとも感じます。

 

本稿では、ハードウェアの製品発表にフォーカスし、改めて同年に発表された内容を振り返ってみましょう。

 

【3月】新型「iPad Pro」発表

3月18日(日本時間)には、iPad ProやMacBook Airなどの新製品が発表されました。iPad Proの新モデルでは、背面カメラにLiDARスキャナーが搭載されたほか、iPad用の「Magic Keyboard」が登場したこともトピックでした(Magic Keyboardの販売時期は少しズレました)。

MacBook Airでは、シザー構造のキーボードが採用されたのがこのタイミングでした。ちょうど、この後に春の緊急事態宣言が出され、本格的なテレワーク需要が増えてきたところ。多くの人が注目した機種だったのではないでしょうか。

新iPad Proの何が良いってトラックパッド対応よ! 2 in 1のMacBook Air的にも使えるしビジネスに最適っしょ

やっぱりMacBook Air好き! 新モデルはMagic Keyboard搭載で…安くなりました!

 

【4月】「iPhone SE」が第2世代に

4月16日には、従来の4.7型機種をベースにしたiPhone SE(第2世代)が発表されました。比較的安価でありつつ、チップセットにはA13 Bionicを積んでいたことで、ライトユーザー層には待望のモデルでした。また、たまたまマスク装着時でも使いやすいTouch ID搭載が搭載されている久しぶりのiPhoneということでも注目されましたね。結局、同年の販売データランキングなどでも上位を占める定番モデルとなりました。

おかえり。ホームボタン! 5万円弱のiPhone SEを買う前に考えておきたいこと

【5月】13インチ「MacBook Pro」がアップデート

5月4日には、13インチの「MacBook Pro」の新モデルが発表されました。こちらもバタフライ式のキーボードからシザー構造のキーボードへと戻ったのがトピック。ストレージが増えるなどの仕様強化も目立ちました。

 

筆者はMacBook Proユーザーなのですが、もうすっかりバタフライ式の打鍵感に慣れてしまったので、「次の買い替えでまた新しいキーボードに指を慣らさねば……」と覚悟したタイミングでもありました。

新MacBook Pro、ストレージ2倍にMagic Keyboard採用。「在宅勤務」の相棒感あるな

【6月】WWDCは完全オンラインに

6月のワールドワイドデベロッパカンファレンス(世界開発者会議、WWDC)は、例年とは異なり完全オンラインで開催されました。Apple Silicon搭載のMac miniが開発者向けに用意されたのもこのタイミング。そのほか、「watchOS 7」については、手洗い検出機能の追加が発表されるなど、2020年らしい発表もありました。

本稿では、細部を割愛しますが、各OSの新機能や新サービスについても、iOSのウィジェット対応や、コンテンツの立体音響対応など、挑戦的な変化も多く見られましたと思います。

 

【WWDC2020まとめ】今回のアップル発表は結局何がすごかった? 5分で読めるまとめ

 

【8月】27インチ「iMac」が発表

8月4日には、iMacの上位モデルである27インチモデルのメジャーアップデートが発表されました。デザインに大きな変更はなかったものの、仕様は全方位で強化。Retina 5KディスプレイがTrue Tone対応になったり、大容量のSSDオプションを選択できるようになったり、と細かいトピックもありました。

ちなみに、後述するM1対応製品についても、ハイエンドのMacBookをはじめ、iMacなどでもまだ出ていません。クリエイティブな業種では、まだまだこちらのiMacが主力製品ですね。

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【9月】Appleイベント(1回目:ウォッチ&iPad)

9月にはスペシャルのつかない「Appleイベント」を開催。ウォッチ2機種——血中酸素ウェルネスセンサーを備えた「Apple Watch Series 6」と、常時表示は非対応なもののベゼルレスディスプレイを搭載する「Apple Watch SE」——が発表されました。また、第8世代に相当するA12 Bionic搭載の「iPad」や、Proシリーズに近いデザインを備えた「iPad Air」も同イベントにて発表されました。

筆者としては、iPhoneを持っていない家族にウォッチ使わせるための機能が整えられたタイミングで、SEを出してきたのが興味深かったです。iPad Airも、「もしProを所有していなければ買っただろう」と思うくらい完成度の高い製品でした。

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【10月】Appleイベント(2回目:スピーカー&iPhone)

10月には2回目のAppleイベントを開催。りんごサイズのスマートスピーカー「HomePod mini」や、5G対応を果たした「iPhone 12」シリーズの4モデルが発表されました。

 

HomePod miniは、従来からあったHomePodよりもかなりコンパクトになったことで、ちょっとした隙間に設置しやすくなったのがポイント。筆者も実際に2台購入して使っています。

 

iPhoneでは、これまでなかったサイズの「iPhone 12 mini」が話題に。国内の5G整備状況がまだそれほど進んでいなかったこともあり、iPhone SE(第2世代)よりも小さく、画面は大きいというハードウェアのデザイン的な側面が、多くの場面で評価されていたように思います。

 

ちなみに、Proシリーズのカメラには、iPad Proにも搭載されたLiDARスキャナーが加わったこともトピック。なおProシリーズのカメラは後日のアップデートで、Apple ProRAW形式での撮影も可能になっています。

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【11月】Appleイベント(3回目:M1搭載Mac)

11月には3回目のイベントを実施。WWDCで予告されていた「M1」チップが大々的に発表されるとともに、それを搭載した「MacBook Air」「13インチMacBook Pro」「Mac mini」が発表されました。

 

M1搭載MacBook Airは、比較的リーズナブルな価格の割に、性能面の評価も高く、省電力性も強化されているという点で、コストパフォーマンスが飛び抜けた存在になったのではないでしょうか。

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【12月】「AirPods Max」を発表

12月8日には、オーバーイヤー型のワイヤレスヘッドフォンである「AirPods Max」が発表されました。AirPods Proでもお馴染みのアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を備え、一部有線接続にも対応します。

 

強気な価格相応のハイエンド仕様で、見た目も高級感がありますが、癖のある専用ケースには賛否両論の様子。サードパーティ製のケースの併用にも注目ですね。

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こうして振り返ると、ソフトウェア面から下地を整えてきた2019年とは異なり、2020年にはハードウェア製品に関して、これまでになかった“新しいもの”がたくさん発表された印象を受けます。LiDARスキャナ、HomePod mini、iPhone 12 mini、M1搭載Mac、AirPods Maxなどなど、新しい技術や製品シリーズが世に出てきた1年でした。

 

コロナ禍で外出機会が減り、5Gの恩恵などはまだあまり感じられていませんが、在宅時間を豊かにするために、ちょうど良い製品が揃ったとも言えそうですね。2021年以降については、今年登場しなかったもの——例えば、「iPadシリーズの5G対応」や「M1搭載のハイエンドMacBook、iMac」などがどうなるのか——について引き続き、注目したいところです。

最新iPadシリーズの「差」が一目瞭然! 第8世代iPad、第4世代iPad Air/iPad Proの性能を比較してみた

9月16日深夜に発表された、第8世代のiPadと第4世代iPad Air。本記事では、Appleの発表をもとに両者のスペックを比較していきます。一目でわかるよう、違いを表にしてみました。なお、現行のiPad Proも比較表に含めています。

 

 

一目でわかる! 第8世代iPad、第4世代iPad Air、iPad Proの性能比較表

第8世代iPad 第4世代iPad Air 第4世代12.9インチiPad Pro
画面サイズ 10.2インチ 10.9インチ 12.9インチ
解像度 2160×1620ピクセル/264ppi 2360×1640ピクセル/264ppi 2732×2048ピクセル/264ppi
チップ A12 Bionic A14 Bionic A12Z Bionic
対応キーボード Smart Keyboard Magic Keyboard
Smart Keyboard Folio
Magic Keyboard
Smart Keyboard Folio
バッテリー 最大10時間 最大10時間 最大10時間
ストレージ 128GB 256GB 1TB
対応Apple Pencil 第1世代 第2世代 第2世代
カメラ 8MP広角カメラ 12MP広角カメラ 12MP広角カメラ
10MP超広角カメラ
ホームボタン 搭載 非搭載 非搭載
ロック解除方式 Touch ID Touch ID Face ID
重量(Wi-Fiモデル) 490g 458g 641g
コネクタ Lightning USB-C USB-C
カラバリ 3色 5色 2色
価格(Wi-Fiモデル) 3万8280円~ 6万9080円 11万5280円

 

高コスパのiPad、高性能のiPad Air/iPad Proそれぞれの特色が明確に

今回発表された第8世代iPadには、チップとしてA12 Bionicが搭載されたことで、かなりの高コスパモデルになりました。

 

一方、最新のチップを搭載したiPad Airは、性能面でProとそん色ないレベルに進化。コンシューマーゲーム機並みのグラフィック性能も獲得し、性能と価格を兼ね備えたモデルとなっています。

 

新たな2機種の登場によって、画面が大きくイラストレーターなどのクリエイター向けのiPad Pro、ゲームプレイなどの用途で性能を求めるユーザーに向いたiPad Air、オフィス向けなど一般的ニーズをカバーするiPadとそれぞれの特色が明確になったラインナップが揃う結果となりました。

価格かサイズか手書き感か? 今さら聞けないiPadの選び方

2010年に初代iPadが登場してから、はや8年---。今年2018年には、第6世代となるiPad(9.7インチ)が発売されました。

 

最大のトピックは、従来「iPad Pro」シリーズのみが対応していたスタイラスペン「Apple Pencil」をサポートしたこと。久しく買い替えを検討していなかったiPadユーザーも、もしかすると今までタブレットPC自体を敬遠していた人も、今回ばかりは興味が湧いたのではないでしょうか?

 

とはいえ、第6世代になりラインナップも増えており、現在iPadは何モデルが展開されているのか、把握していない人も多いでしょう。そこで「いま買うべきiPadはどれか?」と悩む人に、各機の選び方を解説していきます。

 

「価格」を重視するなら新しいiPad一択!

現在Apple Storeで販売されているiPadは、4モデルあります。小さい方から順に、7.9インチの「iPad mini 4」、9.7インチの「iPad(第6世代)」、10.5インチの「iPad Pro」、12.9インチの「iPad Pro」です。

 

基本的には、大きくなるほど高性能になると思っていいでしょう(2つのiPad Proの違いは、画面サイズくらいです)。

 

↑4モデルのサイズを比較。左から「iPad mini 4」「iPad」「iPad Pro(10.5)」「iPad Pro (12.9)」(※以下同順)。9.7インチiPadと10.5インチiPad Proは、画面サイズは大きく違うが、本体サイズの差はわずかだ

 

発売時期を比較してみると、最も長寿なのが、2015年9月に発売されたiPad mini 4。次に、2017年6月発売のiPad Proの10.5インチ、12.9インチと続きます。そして、最新モデルが2018年3月に登場した新しいiPadです。

 

↑背面カメラはiPad Proシリーズが1200万画素、他2機種が800万画素。よく見ると、レンズのサイズも違い、iPad Proではレンズが少しだけ飛び出ている

 

この時点で、「iPad mini 4が一番安いのかな?」と思われるでしょうが、実は最新のiPadがお得です。オンラインのApple Storeで、各機の最安価格を比較すると、iPad mini・128GBモデルが4万5800円(税別、以下同)、iPad・32GBモデルが3万7800円となっています。ストレージの量にさえこだわらなければ、新しいiPadを買う方が安くあがります。

 

ちなみに、iPad Proは10.5インチ・64GBモデルが6万9800円~、12.9インチ・64GBモデルが8万6800円~となります。

 

小回りが利くのは10.5インチまで

どういったシーンで利用するのかも重要です。特に、屋外に持ち出す場合には、なるべく片手で持ちやすいモデルがよいでしょう。

↑筆者の手(ぐっと広げると親指先端から中指先端までが約22cm)で各機を支えてみた

 

筆者の場合、iPad mini 4は片手でガシッとホールドできました。iPadとiPad Pro(10.5)は、両側面を握ることこそできませんが、片手で支えることは可能です。電車など、「移動中にiPadを使ってコンテンツを視聴したい」という人には、これらのモデルが良いでしょう。

 

一方、iPad Pro(12.9)は、頑張れば片手で支えられるものの、長時間の維持はできません。コンテンツを視聴する際などには、机上に設置するか、両手でホールドするのが現実的です。

 

ペンでメモを取る人はiPad Pro 10.5がベスト

Apple Pencilの対応にも差があります。Apple Pencilを使いたい場合には、iPadあるいは、iPad Proを選択しましょう。iPad mini 4では利用できません。

 

なお、Apple Pencilは本体に付属しないので、別途購入する必要があります。

 

↑Apple PencilはiPad mini 4以外で利用できる。キャップを外すとLightning端子が現れるので、iPad側のコネクタに差し込めば、本体とペンをペアリングできる

 

Apple Pencilがあると、手書きのメモを取ったり、アプリで繊細なイラストを描画したりできます。Apple Pencilは筆圧感知に対応しており、ペン先の角度も認識できるので、リアルな鉛筆を用いて描くようなリアルなスケッチが可能。また、iPadで写真の加工を行いたい人は、細かい部分のレタッチをする際に、この細いペン先が活躍するでしょう。

↑iPad Proは“ピタッ”と線が筆先に付いてくる

 

iPadとiPad Proには、Apple Pencilの使い心地に若干の差があります。これは画面の「リフレッシュレート」(1秒当たりに画面を更新する頻度)に差があるからです。

 

難しいことを抜きにして結論を言うと、iPad Proの方が、書いた線が表示されるまでの遅延を感じることなく使えます。

↑手書きメモを書く人にとってはApple Pencil×iPad Proの組み合わせが至極

 

筆者の経験上では、iPad上で絵を描くとき、筆先の速さはさほど早くなりません。とりあえずイラストを描きたいという人は新しいiPadを選択しても問題ないでしょう。もちろん、大画面を広く使って細かい描写をしたいという人はiPad Pro(12.5)を選んでもOKです。

 

一方、遅延の影響をもろに感じやすいのが、文字を素早く書いているとき。新しいiPadだと、微妙な遅延があるので、文字を書いている手元では筆跡が見えていない状況になります。これでメモが取れなくなることはありませんが、文字の綺麗さに多少影響します。

 

これがiPad Proになると、リアルな紙に書いているかのように、筆跡が筆先に一致します。ビジネスシーンなど、手書きのメモを大量に取ろうと目論んでいる人は、iPad Pro(10.5)を選択するのがオススメです。

 

↑Apple Pencilを持ち運ぶには収納機能のあるアクセサリを活用するといい。写真はApple Storeサイトでも販売しているiPad Pro用の「レザースリーブ」(別売)

 

キーボードの充電が面倒ならiPad Proにしておこう

iPad Proにのみ許された特権のひとつが、「Smart Connector(スマートコネクター)」という側面に付いている端子です。これにより対応のキーボードケースを活用できます。

↑小さな丸が3つ並んでいるのが「Smart Connector」だ。iPad Proシリーズのみに備わっている

 

Smart Connectorで接続する場合、キーボードとのペアリング操作は要りません。マグネットでカチャッと接続した瞬間に、自動でキーボードが認識されます。Bluetoothキーボードのように「キーボードの電源を入れて、設定をオンにして…」のような煩雑な操作が不要なので、使い勝手はかなり良いです。

 

また、Smart Connectorを通じてiPad Proから対応キーボード側へ給電されます。これにより、キーボードの充電切れという不安も解消。うっかりBluetoothキーボードの充電を忘れたために、いざというときに使えない! という最悪の事態を防げます。

 

文字入力を仕事で頻繁に使用するという人は、iPad Proを選択するといいでしょう。また「Smart Keyboard」のような、キーボード付きのカバーを利用する際には、iPadのサイズによってキーボードの幅も変わることに留意してください。例えば、12.9インチのiPad Proを選択すると、より幅の広いキーボードを使えます。

 

本体のスピーカーで聴くならiPad Proの圧勝!

最後に、iPad Proシリーズを選択するメリットをもうひとつ紹介しておきましょう。それは、スピーカーの性能が段違いだということです。

↑赤丸がスピーカーから発する音のイメージ。iPad Proは4隅に大音量のスピーカーを搭載する

 

iPadは2個のスピーカーを搭載しますが、iPad Proは4隅に1個ずつスピーカーを搭載します。また、iPad Proは横向き、縦向きによって、高音と低音の出るスピーカーを調整する機能も搭載。音量もかなり大きいので、これで映画をみるとかなりの迫力を感じられます。正直、一度iPad Proの音響に慣れてしまうと、iPadには戻れません。

 

「Apple Music」はもちろん、「Netflix」や「Hulu」などの定額制動画配信サービスを使い倒そう、と考えている人は、iPad Proを選択した方がいいです。

 

以上のように、最新のiPadを選ぶには、具体的な活用シーンを想定し、それによってどんな機能を重視するかが大切になってきます。バリエーション豊かに4種類が揃った今は、まさに買い替え時。なんとなく「iPadが欲しい」と考えていた人は、予算や使い道を絞り込んで、じっくり検討してみましょう。

 

【プロフィール】


ITライター/井上 晃

スマートフォン・スマートウォッチを中心に最新製品を追いかけて国内外を取材。情報誌やウェブメディアで記事を執筆している。モノを実際に見て・触って確かめた生の情報を届けるのがモットー。運動が好きで、ヘルスケア関連デバイスのレビューも多い。

 

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あなたは新iPad派、それともiPad Pro派? どちらを買うべきか分かる10個のチェックポイント

Apple Pencilに対応したiPad(9.7インチ)が登場しましたが、既存のiPad Pro(10.5インチ)も魅力的です。いざ買うとなるとどちらにすべきか悩ましい!  そこで、両者を比較しながら10個のチェックポイントを設定しました。どちらを購入するべきか、自分に合ったモデルが分かります。

 

~Yes/Noで答えてYesの数をチェックしてみよう~

 

【1】できれば予算は5~6万円以下に抑えたい

【2】スマホを持っているからあまりiPadでは撮影しない

【3】音楽を聴くときにはイヤホンを使うことが多い

【4】お気に入りのゲームアプリは縦画面だ

【5】使う場所は自宅内がメイン

【6】電子書籍はあまり読まない方だ

【7】Apple Pencilは使いたいが、そこまで描き味にはこだわらない

【8】常にスマホやPCの充電を怠らない

【9】海外で通信手段を安く確保する方法を知っている

【10】子どもに持たせるためにiPadの購入を考えている

 

YESとNOどっちの数が多かったでしょうか? それでは早速解説を始めたいと思います!

 

~解答~

Yesが多いほど、あなたは新しいiPad(9.7インチ)向き。特にYesが6~10個ついた人なら、今すぐ同モデルを購入しても不満なく使えるでしょう。一方で、Noが多いほどiPad Pro(10.5インチ)向きの可能性大です。Apple Storeなど、実機が展示してある店舗を訪れて、実際に触って確かめてみた方が良いかもしれません。

 

それでは各項目の解説をしていきます。なお、本記事で以下「iPad Pro」と呼称するモデルは「10.5インチモデル」のことを指しています。12.9インチモデルでは価格やスペック値に差がありますので、ご留意ください。

 

【1】できれば予算は5~6万円以下に抑えたい

ペン付きで新iPadなら約5万円! コストパフォーマンスで選ぶなら絶対的に新iPad

↑新しいiPad(左)と10.5インチiPad Pro(右)。後者の方がベゼルが細い。※特に記載がない場合、写真は以下同順

 

 

新しいiPadの最大の魅力はそのコストパフォーマンスです。Apple Storeで購入する場合、Wi-Fiモデルでよいなら、32GBモデルで4万824円~で入手可能です。これがiPad Proだと64GBで7万5384円~となります。さらにApple Pencilを付けると別途1万1664円かかるので、新しいiPadでは計5万2488円となります。iPad Proだと8万7048円。

 

たとえば初めてiPadを使う人、これから自分の中でタブレットの細かい用途を見極めたいという人なら、絶対的に新iPadをおすすめします。やはり、予算に見合うかどうかは重要です。無理せずお得なモデルを買うのか、ちょっと奮発して長く使える良いモデルを買うのか。まずはここを検討しましょう。

 

【2】スマホを持っているからiPadではあまり撮影しない

iPadはインカメラの写りがやや粗い。iPad Proなら問題なし

↑iPadのカメラは一回り小さい。上部のアンテナもデザインが異なる

 

 

 

 

 

両機のカメラには違いがあります。画素数を比較すると、新iPadは背面800万/前面120万、iPad Proは背面1200万/前面700万です。

 

最近のiPhoneに慣れてしまっている人では、前面120万画素だと、画質が少し粗く感じてしまうはず。iPadを旅行に持ち歩いてインカメラで記念撮影をしたいなら、この点も考慮に入れておくとよいでしょう。撮影した写真を大画面に表示したり、大きく印刷したい場合はなおさらです。

↑背面カメラで撮影した写真を比較。iPad(左)のデータを引き伸ばしてサイズを揃えているが、粗さはそこまで気にならない。iPad Pro(右)がやや暗い印象があるが、自然光で撮影したため雲の動きで光量の差が出てしまったようだ。ここはあまり気にしないで欲しい

 

↑同じく前面カメラで画質を比較。この程度のサイズなら差はそこまで気にならない

 

↑iPad(120万画素)とiPad Pro(700万画素)の写真は、引き延ばすと精細感に差がでる。髪の毛の写り具合を比べると分かりやすい

とは言え、画質にこだわらなければこのくらいでも十分。「スマホを持っていなくて、初めてタブレットを持つ」という年配の両親にプレゼントする――といった場合には、120万画素のインカメラでも十分楽しめるでしょう。

 

【3】音楽を聴くときにはイヤホンを使うことが多い

スピーカー性能はiPad Proが優れるが、イヤホンを使うなら差はなし

↑青い丸がサウンドのイメージ。iPad Proは4か所のスピーカーで高音質を実現

 

スピーカーの数に違いがあります。新iPadにはスピーカーが下部側面に2基搭載されています。一方のiPad Proには四隅にそれぞれ搭載されているので、計4基のスピーカーから音が出ます。iPad Proはスピーカーのサウンドがかなり良いです。気になる人は店頭で試してみるといいかもしれません。

 

リビングルームに立てかけてApple Musicを再生すれば、もはやBluetoothスピーカーとか不要です。一方で新iPadだとそこまでの満足感はありません。しかし、AirPodsみたいなお気に入りのイヤホンがあって、そもそもスピーカーを使わないというのであれば、このデメリットはあまり気にしなくてもOKです。

 

【4】お気に入りのゲームアプリは縦画面だ

新iPadの音も縦向き&手持ちならそんなに悪くない

 

前述の通り、ハイエンドモデルと比べたら新iPadのスピーカーはやはりiPad Proと比べると少し見劣りします。スピーカーも、2基が両方下側面に配置されているので、横向きで持つと片側からしか音がでません。でも縦向きで再生するならiPadでも結構良い音します。手で持って扱うときには、音量も充分です。

 

例えばYouTubeを視聴するとき、ゲームアプリを楽しむとき、iPadの向きはどうなりますか? もし、縦画面が多いという人なら新しいiPadでも不満なく使えるかもしれません。一方で、「横画面で視聴することが多い」「横画面のゲームアプリを楽しみたい」と言う場合には、4基のスピーカーで左右の偏りがないから立体的なサウンドが楽しめるiPad Proを選んだ方がよいでしょう。

 

【5】使う場所は自宅内がメイン

新iPadのディスプレイは明るい場所だと見えづらいことがある。iPad Proは反射が低減される

 

↑暗所での見え方はさほど変わらない

 

↑窓際だと新iPadが白く反射してほとんど見えなくなっている。ガラス表面も全体的に白くぼんやりしている。一方のiPad Proは比較的反射が抑えられていて、かろうじて表示している写真内の空や花の色も視認できる

 

新iPadは9.7インチのRetinaディスプレイ(2048×1536ピクセル)を搭載します。一方、iPad Proは10.5インチのRetinaディスプレイ(2224×1668ピクセル)を搭載します。どちらも画素密度は264ppiで、両者に差はありません。しかし、iPad Proにしか採用されていない性能がいくつかあります。まずは「フルラミネーションディスプレイ」「反射防止コーディング」の2点に注目しましょう。

 

「フルラミネーションディスプレイ」は、要するに映像が表示されているディスプレイと、表面にあるカバーガラスの間に隙間がないことを意味します。さらにかみ砕けば、新iPadではタッチするガラスと映像の間に隙間がありますが、iPad Proではこの隙間がなく、映像そのものをタッチしている感覚で使えます。また、隙間が無くなることで光の反射も抑えられます。iPad Proでは、さらに反射防止コーティングも施されているわけです。

 

夜間の室内などで使う分には、新iPadでも視認性に問題はありません。一方で、太陽光のような強い光源のある場所――つまり屋外や窓際など――で使うならばiPad Proの方が見やすく表示されます。

 

【6】電子書籍はあまり読まない方だ

iPad Proには「紙の白さ」を再現する機能があるが、新iPadは非対応

前項とも関連してきますが、「True Toneディスプレイ」という機能もiPadは非搭載です。iPad Proなら利用できます。こちらは「白」の表現がよりアナログの紙に近くなるという機能です。周囲の光源に合わせて、白の表現が変化します。やや赤みを帯びた暖かみのある色味になります。

 

電子書籍を読む場合には、長時間余白部分の白さと対面することになります。機械的な青みの強い白よりも、より自然な紙の白さが再現された方が、目が疲れにくくなるはず。長時間のブラウジングをする場合も同様です。しかし、「電子書籍は読みません」あるいは「長時間のブラウジングはしません」という人は、この機能の有無にそれほどこだわる必要はないでしょう。

 

【7】Apple Pencilは使いたいが、そこまで描き味にはこだわらない

Apple Pencilの書き心地の差は絵描きくらいしかわからない微々たるもの。でも、こだわるならiPadよりiPad Proの方が良い

 

↑「Adobe Photoshop Sketch」で実際にそれぞれの機種で絵を描き、筆の反応と書き心地を比較した

 

両機ともApple Pencilが使えます。しかし、使い心地が完璧に一致するというわけではありません。スペック上では、ディスプレイの「リフレッシュレート」が異なります。これは「画面が更新される速さ」のようなもの。iPadが60Hzで、iPad Proが120Hzとなります。つまり、iPad Proの方が2倍の頻度で画面を書き換えているというわけです。

 

普段のタッチ操作では、どちらでもあまり問題ありません。しかし、Apple Pencilを活用する場合には、iPad Proの方が滑らかな操作感を味わえます。実際に使用した上で、筆者は「iPadには書き出し時の微妙なタイムラグがあるのに対し、iPad Proにはほとんどない」と感じました。

 

また、「摩擦」というか「硬さ」と言うか――。書き心地についても、若干の差がありました(主観的な評価であり、筆者の推察を含みます)。例えば、濃い線を描こうとしてペンを強めに引くときに、iPad Proのディスプレイは少したわむようで、引っかかりが強くなるんです。一方、iPadは画面が堅くて、強く書いても摩擦が変わらない。こうした理由から、長く描いて疲れないのはiPad Proの方かな、と思いました。

 

メモ書きや、写真のレタッチ、書類の修正指示などに使うなら、こうした部分は無視できます。しかし、細かい描画を目的にするならiPad Proの方が心地よく使えるはず。

 

【8】常にスマホやPCの充電を怠らない

iPadでBluetoothキーボードを使うと、キーボードも充電しなくてはいけなくなることも。iPad Proはスマートコネクター対応キーボードが使えてこちらは充電不要

 

↑iPadでソフトウェアキーボードを表示している様子と、iPad ProでSmart Keyboardを装着している様子

 

両機の大きな差として、「Smart Connector(スマートコネクター)」の有無があります。新iPadは非搭載ですが、iPad Proには搭載されています。

 

つまり、外付けの物理キーボードを使いたいと思った場合に、新iPadではBluetooth接続のキーボードを使う必要があります。そして、そういったキーボードは充電が必要というケースも多いのです。キーボードの充電を毎日欠かさずにできる、もしくは急な充電に対応できる周辺機器の用意があるなら問題ありませんが、ちょっとズボラな人だと、いざ使いたい場面でキーボードが電池切れ……、なんてことも起こりがち。その際にはソフトウェアキーボードで入力しなくてはいけません。

 

↑「Smart Keyboard」にある「Smart Connector」という端子。ここをiPad Pro側の端子に、磁石でカチッと接続する。それだけで、自動的に接続が完了し、キーボード側への給電も行われる

 

一方、iPad ProではSmart Connector対応のキーボードが使えます。こちらは同端子から給電もできるので、キーボード側の充電作業が不要。つまり、キーボードのバッテリーが切れて使えなくなるというケースが一切ありません。ビジネスシーンで使いたいならiPad Proの方が安心です。

 

【9】海外で通信手段を安く確保する方法を知っている

新iPadは別売りのApple SIM対応。iPad ProはApple SIM内蔵。でもプリペイドSIMを購入して使う場合に差はない

 

↑iPad ProはApple SIMが内蔵されているので、SIMカードを挿さなくても「モバイルデータ通信」の設定項目からプリペイドの通信プランを購入できる

 

前提知識として、本体価格が少し高くなりますが、Wi-Fi+Cellularモデルを選択すれば、SIMカードをセットすることでモバイル通信を利用できます。また、Apple Storeで購入したモデルや、SIMロックを解除したモデルなら、海外で現地の通信が行えるプリペイドSIMをセットして利用することも可能です。

 

加えて注目したいのが、「Apple SIM」の存在。iPad Pro(Wi-Fi+Cellularモデル)には、これが内蔵されています。言い換えると、「設定」アプリ内の操作でプリペイドの通信プランを購入できるようになっています。海外旅行ではプリペイドSIMを購入する手間が省けます。また、国内でも通信プランの長期契約をしたくない場合――例えば、年に1・2回だけモバイル通信を利用したいなど――に都合がよいです。

 

とは言え、実は新iPadでもカード状で販売されている「Apple SIM」を購入してセットすれば同じことができます。また、プリペイドSIMの購入方法を知っていれば、より安い通信プランを選択できることもあります。ちょっとした知識があれば、新iPadでも使い勝手の差を埋められるはずです。

 

【10】子どもに持たせるためにiPadの購入を考えている

新iPadのチップセットはiPhone 7と同様。学習向けのARアプリも使えるし、プログラミングの勉強にも使える

 

「教育」をテーマに発表された端末ですからね。子どもに持たせようかな、なんて考える人も多いのではないでしょうか。価格を考慮すると、「iPad mini 4」(128GB・Wi-Fiモデルで4万9464円)よりも安い。つまり、iPadシリーズで一番安いですので、必然的に選びやすいですね。

 

新しいiPadはiPhone 7と同じ「A10 Fusion」チップを搭載します。iPad Proが搭載する「A10X Fusion」チップには劣りますが、それでも性能は充分です。処理の重いアプリもサクサク動きます。

 

例えば、ARアプリをサポートしているので、学習向けのARコンテンツが出てきたらすぐに試せます。また、プログラミングを覚えさせたければ、「Swift Playgrounds」アプリを活用できます。もちろん前述の通り、Apple Pencilもサポートするので、お絵描きにも使えますね。子どもに持たせるならコレで十分です。

 

終わりに……

以上、10個のチェックポイントでした。もし「自分はiPad Proの方が良いかも?」と思った人は、一回り大きい12.9インチというサイズも選択できるので、こちらも忘れずに。

iPad Proがあればこれだけできる――出張でも使えるiPad Pro実践テクニック7選

果たして仕事に使えるのか――。iPad Proの購入を検討するとき、どんな操作が行えるのか、悩む人も多いでしょう。

 

筆者は初代iPad Pro 12.9インチモデルを使い、実際に取材業務を行っています。取材および原稿の執筆はもちろん、写真の編集までする必要がありますが、そうした作業はすべてiPad Proで行えます。職業によって目的となる作業は異なりますが、今回は筆者の利用経験を参考に、iPad Proを用いた実践的なテクニックをいくつかご紹介します。

 

【1】まずアクセサリーを揃えよう

iPad Proの機能を最大限に活用するためには、必ず周辺機器を揃えましょう。ビジネスシーンで活用するには、キーボードは必須。Apple Pencilも写真編集や、PDFへの書き込みに役立つので揃えた方が良いです。また、Apple Pencilのホルダーがないキーボードやカバーの場合には、1000円弱くらいで適当なホルダーを買えば持ち運びやすくなります。

 

↑筆者は初代iPad Proにロジクール製のキーボードを合わせて使っている。「Smart Connector」対応なので、キーボード自体の充電は不要。同製品はバックライトが付いているので、暗い発表会場でも文字を打ちやすい

 

Appleの公式サイトでは、純正アクセサリーも販売中。キーボードのバックライトなどにこだわらなければ、こちらのほうがデザインの統一感が出ますので、併せて検討してみてください。そのほか、SDカードからのデータ取り込むためには、専用のアダプタが必要となります。スクリーン上に画面を転送する機会が多い人は、HDMIケーブルのアダプタも用意しておくとよいでしょう。

 

【2】2つのアプリを同時に表示すべし

iPad Proを活用する際に必須となるのが、アプリ画面を2つ同時に表示する操作です。まず、通常通りにアプリを起動したら、画面下部をスワイプアップ。「ドッグ」と呼ばれる画面が表示されます。

 

↑画面下部に表示される「ドッグ」。使用頻度が高いものを配置しておこう。別のアプリを起動している際には、画面下部をスワイプアップすると表示される

 

ここからアプリアイコンをドラッグ&ドロップ。すると、画面の手前に2つ目のアプリが小さく表示されました。この画面は左右の端のどちらかに表示できます。移動方法は、上部のバー部分をタッチして、そのまま左右に移動させるだけ。なお、一時的に非表示にするには、画面右端でさらに右へ移動させればOK。再表示するには、画面右端を左へとスワイプします。

 

↑2つ目のアプリが浮いた状態で仮表示される。ここではメモアプリをメインに、写真アプリをサブに表示した

 

さて、2つのアプリをじっくりと使いまわすには、さらに別の表示方法を活用しましょう。先ほどの浮いた画面の上側にあるバーを下向きに軽くスワイプして手を離します。すると、完全に画面が2つのアプリで分割されました。

 

↑2つのアプリを同時に使うには、このスタイルがおすすめ

 

切れ目の部分には、中央にバーが表示されています。ここをタッチして左右に移動させると、画面表示の割合を変更可能。大体4分割されているので、[1:3][1:1][3:1]のなかから、使いやすい比率で選択しましょう。