USB-Cだけじゃない! 最新iPhone 15の「おいしいとこ」プロが教えます

今年も “定番” と言えるAppleの新製品が発売となった。新作はどう進化し、私たちにメリットをもたらしてくれるのか? 到着したiPhone 15シリーズについて、プロがその “美味” なポイントをジャッジする。

※こちらは「GetNavi」 2023年12月号に掲載された記事を再編集したものです

 

私が解説します

ジャーナリスト 西田宗千佳さん
フリージャーナリスト。得意ジャンルは、PC・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿している。

 

質感アップや操作性向上など 派手ではないが着実に進化

今年も発売となったAppleの新製品。特にiPhoneシリーズは充電/通信端子にいよいよUSB Type-Cが採用されるのではと、発表前からウワサされていた。結果はそのとおりで、Appleが言うところのUSB-Cを採用。ケーブルを介してのデータ通信速度が大幅に向上した。また、ディスプレイの日当たりが良い屋外でのピーク輝度は、前モデルの2倍の最大2000ニトへ向上したのも15シリーズの特徴。

 

「新モデルはUSB-Cへの移行が話題ですが、他にも変更が多数。15 Proシリーズはさらに性能アップしていますが、それ以上に、15シリーズのカメラ改善やダイナミックアイランド搭載にも注目です。マットになって優しくなった質感も好感触です」(西田さん)

 

マット仕上げを施した美しい質感のカラーインフューズド背面ガラスを採用

iPhone 15
12万4800円〜16万9800円

iPhone 15 Plus
13万9800円〜18万4800円

ボディはアルミニウムの筐体に曲線を持たせたエッジ形状になり、着信時や重要なアラートなどを表示してくれる「Dynamic Island」に対応。メインカメラは4800万画素に向上し、光学ズームも0.5、1、2倍の3段階で切り替えられる。

↑4800万画素のメインカメラはクアッドピクセルセンサーを搭載。ハードウエアとソフトウエアの統合により、3段階の光学ズームが可能に

 

↑Dynamic IslandがiPhone 15シリーズでも採用。着信時にスマートに表示されるほか、ルート案内時の経路も常時表示

 

今年はココが美味!

サラッとした質感とカメラ性能に注目

「性能は昨年のiPhone 14 Proと同等になり、通知部分もDynamic Islandに。ゆえにほぼ中身は14 Proなのですが、ポップな色調のボディとサラッとした手触りも魅力。カメラも進化し使い勝手が改善しました」(西田さん)

 

チタニウムを採用しApple史上 最も軽量なProモデルに

iPhone 15 Pro
15万9800円〜23万4800円

iPhone 15 Pro Max
18万9800円〜24万9800円

ボディには強くて軽量なチタニウムを採用し、Apple史上最も軽いProモデルに。プロセッサーはA17 Proを搭載し、A16 Bionicより最大10%高速になった。iPhone 15 Pro Maxでは焦点距離120mmまでをカバーする5倍の光学ズームを搭載する。

↑メインカメラは4800万画素とiPhone 14 Proと同等。iPhone 15 Pro Maxのみ5倍の光学ズームが利用できる

 

↑新たに「アクションボタン」を採用。カメラの起動や拡大鏡のほか、多くのショートカットを割り当てられる

 

↑iPhone初となるチタニウムデザインを採用。エッジ部分は曲面仕上げとなっており、外枠も細くなった

 

今年はココが美味!

チタンで軽く丈夫に。5倍望遠になったMax

「ボディがチタン合金になり、軽くて持ちやすくなりました。Maxは、サイズそのままで光学望遠が5倍になり、より遠くを撮りたい人にオススメ。グラフィック性能向上が大きく、ゲームをする人に魅力大です」

 

【iPhoneシリーズ 新旧スペック比較】

今秋iPhone 15、フランスでは物理SIMトレイがない? 日本もいずれeSIM専用モデルになるか

2022年秋に発売されたiPhone 14シリーズのうち、米国で販売されるモデルからは物理SIMトレイがなくなっていました。こうしたeSIM専用モデルが、2023年秋に発売が予想されている「iPhone 15」シリーズでは、フランスやその他の地域に広がるかもしれないと報じられています。

iphone14-photo
↑今後iPhoneから物理SIMトレイがなくなる?

 

これまでアップルはEUに属するほとんどの諸国で同じiPhoneモデルを販売してきたため、フランスでSIMカードトレイがなくなれば、他の諸国でも廃止される可能性があります。たとえばフランスで販売中のiPhone 14 Pro(モデル番号A2890)は英国やアイルランド、ドイツやイタリアなど数十カ国でも流通しています。

 

アップルはiPhone 14シリーズを米国で発売したとき、eSIMはiPhoneを紛失したり盗まれたりしても取り外せないため、物理SIMよりも安全だと宣伝していました

 

最新のiPhoneでは8個以上のeSIMをインストールでき、海外に行ったときも物理的なSIMカードを入手したり交換したりする必要がなくなります。またiPhone 13以降のモデルでは、同時に2つの電話番号を使うことができます。

 

ちなみにアップルの公式サポート文書では、世界中のeSIMサービスを提供している通信業者のリストが国別に紹介されています

 

またiPhoneを買い替えたとき、eSIMは素早く転送でき(一部キャリアのみ)面倒な通信設定の手間も省けます。いずれ日本向けモデルも、eSIM専用になるのかもしれません。

 

Source:iGeneration
via:MacRumors

iPhone 15 Pro、新たな音量/ミュートボタンのデザイン判明か?

iPhone 15 Proの音量ボタンやミュートボタンのデザインを示すCAD画像を、リークアカウントのShrimpAppleProが掲載しています。

↑画像はShrimpApplePro / Twitterより

iPhone 15 Proでは、音量ボタンやミュートボタンが静電式の動かないボタンになる可能性が以前から指摘されていました。また音量ボタンは、ボリュームアップとダウンが一体化するようです。

 

 

今回のCDA画像をみると、やはり音量ボタンのボリュームアップとダウンが一体化した、長い大きなボタンになっていることがわかります。またミュートスイッチも、スライド式ではなくボタンになっています。おそらく、どちらのボタンも物理的に動作するのではなく、静電式となっていることでしょう。

 

静電式のボタンは現在販売されている「iPhone SE(第3世代)」や、MacBookの「Force Touchトラックパッド」にて、すでに採用されています。これらはデバイス内部に内蔵された振動モーター「Taptic Engine」により、クリック感を再現しています。

 

一方で通常モデルの「iPhone 15/15 Plus」では、引き続き物理的な音量ボタンやミュートスイッチが搭載されるようです。今年のiPhone 15シリーズでは、その細かな外観でも差別化されるようです。

 

Source: ShrimpApplePro / Twitter via MacRurmosより

iPhone 15、高速充電は“MFi認証”「USB-C」充電器のみ? 出荷台数は前年比30%〜40%予測

今年の登場が期待されるiPhone 15シリーズでは、MFi認証を取得したUSB-C充電器を利用した場合に高速充電が可能になるとの情報を、著名アナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏が報告しています。

apple-charger
年々進化してきたAppleの高速充電器

 

iPhone 15では、外部端子が「Lightning」から「USB-C」へと変更される可能性が指摘されています。また上位モデルのiPhone 15 Pro/Pro Maxでは、USB-Cを利用した高速通信が可能だとの報告も存在しています。

 

Kuo氏によれば、AppleはiPhone 15で高速充電や高速通信といったUSB-Cの特徴を、MFi認証を取得したケーブルや充電器でのみ利用できるよう制限するとのこと。これにより、自社製の20WのUSB-C電源アダプタの需要が向上することを狙っているようです。

 

さらにiPhoneユーザーがApple純正品を含むMFi認証の充電器を複数購入することによる、買い替え需要も予測されているようです。Kuo氏は「(USB-C 20W電源アダプタの出荷台数は)前年比30%〜40%の大幅な伸びを見せる」と報告しています。

 

iPhone 15で充電や通信速度が向上するのはありがたいですが、それにより充電器の買い替えが必要になるのは、ユーザーにとってはコスト増につながります。Apple製品のファンにとっては、なんとも悩ましい選択となりそうです。

 

Source: Medium via MacRumors