ビビッドな文字盤の人気が上昇! 2020年を彩った「カラーダイヤル高級腕時計」4選

腕時計のトレンド色として数年前から注目されているのがグリーンだ。技術の向上で発色も多彩になったうえ、文字盤表面の仕上げを変えたり、グラデーションを加えたりして魅力を広げており、選ぶ楽しみがある。今回は、GetNaviの時計担当・青木宏彰とGetNaviの兄弟誌である時計専門誌「WATCHNAVI」編集長・水藤大輔のコメントともに、2020年を彩った「カラーダイヤル腕時計」を紹介していこう。

 

本格時計1本目は保守的でも2本目なら個性的な色に挑戦

最初の本格時計なら黒か白を選んでおけば間違いないが、もっと個性を主張できるグリーンやビビッドな文字盤色の人気が上昇中だ。

 

「息苦しいコロナ禍のなか、ロレックスのカラーダイアルが気分を盛り上げてくれました」(青木)

 

「鮮やかな明るい色は、これまで同じトーンできれいに仕上げるのが困難でした。塗料や塗装技術が進化したことも、カラーダイアルが流行している理由です」(水藤)

 

2本目以降なら、思い切ってビビッドカラーに挑戦してみたい。

 

【その1】ROLEX (ロレックス)

創業年=1905年 創業地=イギリス/ロンドン

5色のバリエーションをすべて揃えたくなる

© Rolex/Alain Costa

オイスター パーペチュアル 36

Ref.126000

58万8500円

知名度世界一の高級実用時計ブランドのロレックスが、日付のないスタンダードモデルに5色のバリエーションを追加。明るいラッカーダイアルは着けるだけで楽しい。約70時間駆動の新世代の自動巻きムーブを搭載。

↑グリーンのほか、ビビッドなイエローやオレンジ、フェミニンなピンク、ターコイズブルーも選べる。男女共に使える小ぶりな36㎜径だ

 

【その2】H.MOSER & CIE.( H.モーザー)

創業年=1828年 創業地=ロシア/サンクト・ペテルブルグ 

得意のグラデーションで優美なグリーンを演出

ストリームライナー・センターセコンド

Ref.6200-1200

236万5000円

1920〜30年代に活躍した高速鉄道の流線形に着想を得て、ラグを廃したブレスレット一体型モデル。幻想的なグラデーションが美しいアイコニックなフュメダイアルにグリーンを採用した。自動巻き。

↑最新クロノグラフはブルーフュメ。時分針とは別に、60秒積算針と60分積算針をセンター軸にセットした同軸4針の個性的な機構が特徴だ

 

【その3】IWC SCHAFFHAUSEN(アイ・ダブリュー・シー シャフハウゼン)

 創業年=1868年 創業地=スイス/シャフハウゼン

名機の魅力を広げるバーガンディとグリーン

ポルトギーゼ・クロノグラフ

Ref.IW371616 87万4500円(2021年1月1日に価格改定の予定)

上品なインデックスと針、縦に並ぶ二つ目が特徴の人気クロノグラフが、2019年末に自社製ムーブメントにアップデート。2020年にその新色が追加された。艶やかなバーガンディダイアルが腕元を華やかに装う。自動巻き。41㎜径。

↑新色バリエーションには鮮やかなグリーンも揃う。オリジナルカラーのシルバーには、待望のブレスレット仕様が加わった

 

【その4】CARL F. BUCHERER(カール F. ブヘラ)

創業年=1888年 創業地=スイス/ルツェルン

鮮やかな4カラーで春夏秋冬を表現

パトラビ トラベルテック カラー エディション フォーシーズンズ

Ref.00.10620.08.93.03(オレンジ)

各146万3000円

10時ボタンでインターベゼルを回せば、最大3地域の時間がわかるGMTクロノグラフの新色。春(グリーン)・夏(イエロー)・秋(オレンジ)・冬(ブルー)を表現した鮮やかな色でリューズとストラップもコーディネート。自動巻き。

 

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2020年腕時計業界で話題になった6大ブランドの「復刻モデル」

本記事では、スイス時計界で実力・知名度ともにズバ抜けた名門6ブランドから、話題の2020年ニューモデルをピックアップする。キーワードは、十年来続く「原点回帰」。本年は、時計界の堅実路線と符合して新たな復刻版が数多く登場した。GetNaviの兄弟誌である時計専門誌「WATCHNAVI」編集長・水藤大輔、時計ジャーナリスト・大野高広さん、本誌時計担当・青木のコメントともに紹介していこう。

 

歴史あるブランドの “名機の復刻”を堪能する

「長い歴史を持つブランドが過去の傑作アーカイブを復刻するのだから、人気を呼ぶのも当然です。各社にとって確かなセールスが見込めるうえに、復刻モデルで自らの歴史をユーザーにアピールできるから、まさに一石二鳥」(WATCHNAVI編集長・ 水藤大輔)

 

「新興ブランドもヴィンテージ調の新作を出していますが、やはりオリジナルモデルがあるかどうかが、決定的なリアリティの差となって表れていますね」(時計ジャーナリスト・大野高広 )

 

復刻の手法は、オリジナルへの忠実ぶりで二分できる。リアルな再現か、現代的なアレンジを加えているか。ここで紹介した新作ではオメガが前者、それ以外が後者。今期はアレンジ復刻が優勢だった。

 

【その1】BREITLING(ブライトリング)

創業年=1884年 創業地=スイス/サンティミエ

アイコニックな意匠を統合し航空時計がマルチパーパスに進化

クロノマット B01 42 ジャパンエディション

Ref.AB0134101B2A1

97万9000円

1984年に誕生した初代クロノマットから、ルーローブレスやライダータブ、左右対称ケースといった意匠を継承しつつ、マルチパーパス(万能)クロノグラフに進化。シルバーのクロノグラフ秒針が日本限定仕様の証だ。

SPEC●駆動方式:自動巻き●素材:ステンレススチールケース&ブレスレット●防水性能:200m●サイズ:Φ42㎜(厚さ15.1㎜)

↑イタリア空軍のアクロバット飛行チーム、フレッチェ・トリコローリと共同開発した1983年のプロトタイプ。翌84年に市販化された

 

↑44㎜径×16.95㎜厚だった先代モデルに対し、こちらは42㎜径×15.1㎜厚とスマートに。シンプルなショートラグは初代モデル譲り

 

【その2】HUBLOT(ウブロ)

創業年=1980年  創業地=スイス/ニヨン

ブランドのルーツが40周年で堂々復活

クラシック・フュージョン 40TH アニバーサリー チタニウム

Ref.511.NX.1270.RX.MDM40

97万9000円

高級時計にいち早くラバーストラップを取り入れた原点モデルを、創業40周年を機に復刻。同時発売の18KYG、ブラックセラミックに比べて、仕上げや意匠の美しさをシンプルに楽しめるのが、このチタンモデルだ。自動巻き。世界限定200本。

↑創業した1980年に発表されたクラシックオリジナル。高級時計はメタルブレスレットかレザーストラップが常識だった時代に、ラバーを採用した

 

【その3】ZENITH(ゼニス)

 創業年=1865年 創業地=スイス/ル・ロックル

幻のプロトタイプをモダンに再解釈

クロノマスター リバイバル “シャドウ”

Ref.97.T384.4061/21.C822

96万8000円

1970年の試作品を再解釈。当時は珍しかったステンレススチールのブラックケースを、マイクロブラスト加工のチタンケースで表現した。ニュアンスのあるマットな質感のダークグレーと軽快な装着感は特筆ものだ。自動巻き。5気圧防水。

 

【その4】IWC SCHAFFHAUSEN(アイ・ダブリュー・シー シャフハウゼン)

創業年=1868年 創業地=スイス/シャフハウゼン

シンプル&上品な意匠の原点が現代に甦った

ポルトギーゼ・ オートマティック 40

Ref.IW358304

79万7500円

6時位置にスモールセコンドを配した端正なダイアルは、1939年に発表された元祖Ref.325から受け継いだもの。時代を経ても色褪せない格調高いフェイスに、ブルーの色彩をスタイリッシュに取り入れた。自動巻き。

↑繊細な意匠のルーツRef.325。ポルトギーゼの由来は、1930年代にポルトガル商人から大型高精度腕時計の依頼を受けたこと

 

【その5】TAG HEUER(タグ・ホイヤー)

創業年=1860年 創業地=スイス/サンティミエ

初代ホイヤー カレラのDNAをエレガントに受け継ぐ

タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ

Ref.CBN2011.BA0642

63万2500円

初代ホイヤー カレラからスポーツ&エレガントなデザインコードを継承。3時と9時のカウンターを強調したダイアルやプレーンなベゼルが特徴的だ。42㎜径の絶妙なサイズに、約80時間駆動の自社製自動巻きムーブを搭載する。

↑1963年に誕生したオリジナルの二つ目仕様。フランジに配した1/5秒目盛りやバーインデックスなど、多くの意匠が新作に受け継がれた

 

その6【OMEGA(オメガ)】

創業年=1848年 創業地=スイス/ラ・ショー・ド・フォン

伝説の初代Cal.321を 徹底してリアルに再現

スピードマスター ムーンウォッチ 321 ステンレススティール

Ref.311.30.40.30.01.001

166万1000円

月面着陸50周年の2019年、伝説のキャリバー321が復活。2020年には待望のSSモデルが発売されて話題に。外装は米国初の宇宙遊泳で使われた第3世代を踏襲しつつ、ベゼルは最新のセラミック製だ。手巻き。

↑タキメーターの90の上に記された“ドット オーバー90”など、オリジナルのアイコニックな意匠も、復刻版で甦った

 

【おまけ】バランスの良い40㎜前後が流行中

主張の強い44㎜径以上のラージサイズの人気が急減速。最近は小型化とスリム化が進み、装着感と存在感のバランスが良い40㎜径前後が主流となった。クロノマスター リバイバル“シャドウ”(上写真)は、37㎜径(厚さ12.6㎜)と小ぶりだ。

 

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誰もがうらやむ最新にして至高の逸品!! 2018年の腕時計トレンド「ネオ・クラシック」ハイエンドモデル6選

代表的な高級時計ブランドから発表された、ネオ・クラシックな新作をピックアップ。ロレックスもオメガも、タグ・ホイヤーも、お馴染みのロングセラーウオッチが大きく進化を遂げました。

 

【その1】

遂にSSで登場したペプシベゼル&ジュビリーブレス

ロレックス

オイスター パーペチュアル

GMTマスターⅡ

Ref.126710BLRO

95万400円(予価)

18KWGで発表されていた青×赤ベゼルが、SSケースでも登場。1955年の初代GMTマスターを彷彿とさせるデザインに仕上げました。ブレスレットは、ジュビリーブレスの愛称で親しまれている5連ブレスを採用。パワーリザーブ時間が約70時間に延長された新型Cal.3285を搭載します。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.3285)●素材:SSケース&ブレスレット●サイズ:φ40㎜●防水性:100m

 

【CLASSIC POINT】

昼と夜の時間を区別する伝統の色使い

青×赤ベゼルは、旅客機パイロットに向けて1955年に開発された初号機の意匠。24時間針と合わせて、飛行中の昼夜判別を可能にしました。

 

【NEO POINT】

耐傷性に優れたセラミックベゼルで再現

先に赤のセラミックディスクを作り、焼成時の化学反応で残り半分を青にする製法を採用。24時間目盛りはプラチナPVDコーティングです。

 

 

【その2】

「経年変化」を克服した誕生25周年目の進化形

オメガ

シーマスター ダイバー 300M

マスター クロノメーター

Ref.210.32.42.20.06.001

55万800

海辺での強烈な日差しを浴び続けても褪色しにくいセラミック製のダイアルとベゼルを採用した定番ダイバーズの新世代機。超高耐磁性能と高精度を誇る自社製Cal.8800を搭載し、飽和潜水対応の300m防水も確保しました。文字盤には、レーザー加工で波型模様が施されます。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.8800)●素材:SSケース、ラバーストラップ●サイズ:φ42×D13.56㎜●防水性:300m

 

【CLASSIC POINT】

1957年に誕生した本格ダイバーズ

シーマスターは、1948年に誕生した初代を経て、1957年に本格ダイバーズウオッチへと発展。視認性や防水性が大幅に高められました。

 

【NEO POINT】

防水性だけじゃないハイスペック

オメガの最新自社ムーブメントは15000ガウスもの磁場に耐える性能を誇ります。新作シーマスターも高防水、高耐磁、高精度の三拍子が揃っています。

 

 

【その3】

かつての名優も愛した傑作を絶妙アレンジ

タグ・ホイヤー

ホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ

ガルフ エディション

Ref.CAW211R.FC6401

68万400

世界初の自動巻きクロノグラフ&角形防水ケースを実現して1969年に誕生した名作のバリエーション。名作映画「栄光のル・マン」で主人公が乗車したクルマと同じ、水色とオレンジの「ガルフカラー」を文字盤に配色。ブランドロゴも往時のものが採用されました。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.11)●素材:SSケース、カーフストラップ●サイズ:WH39㎜●防水性:100m

↑スティーブ・マックィーンは「栄光のル・マン」劇中でモナコを着用

 

【CLASSIC POINT】

1969年来変わらない角形クロノの大定番

ホイヤー モナコはブランドの革新性を象徴する1本。レースドライバー憧れの時計としても有名です。

 

【NEO POINT】

いまになって新鮮なレトロカラーリング

新作は、ストラップのステッチにガルフカラーを採用。時計にまつわるエピソードを明確に表現します。

 

【その4】

〝古くて新しい〟ブライトリングのニューフェイス

ブライトリング

ナビタイマー 8 B01 クロノグラフ 43

Ref.A008C-1WBA

89万6400

1930年代に英国軍へ納入していたコックピット・クロックなどに着想を得て作られた新型。ダイナミックなコインエッジベゼルは、ポインター付きの回転式。文字盤外周やインダイアルにレイルウェイパターンの目盛りを使い、クラシックな雰囲気に仕上げました。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.01)●素材:SSケース、アリゲーターストラップ●サイズ:φ43×D13.97㎜●防水性:10気圧

↑新作のモチーフのひとつとなった、1930年代に作られたRef.768

 

【CLASSIC POINT】

航空時計製造の歴史を反映した設計

本機は1952年誕生の「ナビタイマー」の名を冠しながら、それ以前の航空時計のデザインを採用しています。

 

【NEO POINT】

回転計算尺を持たない新鮮なデザイン

ナビタイマーの代名詞である回転計算尺を本機では未装備。ブライトリングの新時代を象徴しています。

 

 

【その5】

一世紀半の節目を祝うブルーダイアル

IWC

ポルトギーゼ・クロノグラフ “150イヤーズ”

Ref.IW371601

84万7800円

ブランド創業150周年の節目に作られたジュビリーコレクションの一本。何層も重ねて仕上げたブルーラッカーダイアルと、シルバーの針やインデックスが特有の上品さを醸し出す。通常版とは異なり、自社製Cal.69355を搭載しています。世界限定2000本。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.69355)●素材:SSケース、アリゲーターストラップ●サイズ:φ41×D12.7㎜●防水性:3気圧

↑ポルトギーゼは、1939年に誕生。ポルトガル人の依頼で製作されました

 

【CLASSI CPOINT】

見やすく設計されたダイアルデザイン

面積の広い文字盤は初号機から継承。クロノ秒針に対応する目盛りの緻密さは高精度の証です。

 

【NEO POINT】

限定仕様の新型キャリバーを搭載

ポルトギーゼ・クロノグラフで初の自社キャリバーを搭載。ローターは限定仕様の装飾入り。

 

 

【その6】

国産ダイバーズ50年前の意匠に現代技術が融合

セイコー プロスペックス

マリーンマスター プロフェショナル 

1968 メカニカル ダイバーズ 復刻デザイン

Ref.SBEX007

59万4000

誕生50周年の節目に発表された限定1500本の特別版。1968年の機械式ダイバーズの意匠を忠実に再現しながら、毎時3万6000振動のハイビートで時を刻む先進Cal.8L55を搭載。独自のL字型パッキンや裏蓋のないワンピースケースにより、飽和潜水にも対応します。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.8L55)●素材:SSケース、強化シリコンストラップ●サイズ:φ44.8×D15.7㎜●防水性:300m(飽和潜水用)

↑1968年に発表された10振動ムーブメント搭載機。著名冒険家も愛用しました

 

【CLASSIC POINT】

伝統のケース構造と視認性の高い文字盤

高気密のワンピース構造ケースは、セイコー ダイバーズの特徴。往時を彷彿とさせる文字盤も魅力です。

 

【NEO POINT】

現代的な素材でスペックアップ

風防にサファイアガラスを使い耐久性を向上。ストラップもかつての意匠をシリコンで再現しました。

WATCHNAVI編集長おすすめ。女性が自らに選びたい時計、大事な女性に贈りたい時計傑作選

春の訪れとともに、職場でも新しいシーズンがスタートします。気分を一新するきっかけづくりとして、腕時計も着替えてみませんか。仕事でキャリアを積んできた自分へのごほうびとして、モチベーションを高めてくれるようなちょっと背伸びした高級腕時計を、腕時計専門誌「WATCHNAVI」の 編集長である関口 優さんに選んでいただきました。

 

仕事中にネックレスやリングといった貴金属類の使用が禁止されている職種でも、例外として許されているのが腕時計。時間を確認するだけならスマートフォンで事足りてしまう現代でも、“腕時計はビジネスパーソンにとって唯一のアクセサリー”として重宝されているのもうなずけます。それだけに、腕時計は相手の目をひくもの。愛用している腕時計から、その人のセンスやキャラクター、さらにライフスタイルや経済力までもチェックされているので、かわいい、リーズナブルといったノリだけで決めるのではなく、自分をより輝かせてくれるようなステイタスのある1本を選んでみたいものです。

 

時計選びの基本は、色とサイズ感とデザインといわれていますが、ファッションと同じようにトレンドがあります。「最近は1950-1960年代に誕生した品のあるクラシカルなデザインが人気です。歴史のある名門ブランドが、自社のアーカイブから着想し、リデザインした時計も増えています」(関口さん)。関口さんによれば、時計にもデザインコードがあり、その基本型が白文字盤で針は2本、もしくは3本というオーソドックスなもの。クラシック回帰で、こうしたベーシックなタイプに注目が集まっています。「1950年代以前に生まれた、装飾のないシンプルなデザインのもので、アンティークのような雰囲気も魅力になっているようですね」(関口さん)。

 

それでは、こういったトレンドや選び方の基本をもとに、職種、嗜好別のベストモデルを関口さんにおすすめいただきます。

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業種別・嗜好別に選ぶ“ふさわしい腕時計”リスト

・好感度の高さが求められる接客業・営業職に就いている人

ゴールドやピンクゴールドといった高級素材を使っていたり、文字盤に宝石をあしらったタイプは、どこが自慢げで、嫌味にとられることもあります。接客や営業職には、無難なステンレス素材で、シンプルなデザインの方が好印象を与えるはずです。「商談相手が時計好きだと腕時計から会話が盛り上がることもあり、仕事にもプラスになります」(関口さん)。中でも腕時計ファンに人気が高く、レディースも豊富なオメガ、タグ・ホイヤーがおすすめです。

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オメガ
スピードマスター 38㎜
Ref.324.23
71万2800円
https://www.omegawatches.jp/ja/

オメガはもっとも有名なスイスの腕時計ブランドのひとつ。エレガントなタイムピースも数々生み出しています。その代表的モデル「スピードマスター」は人類初の月面着陸の際に使用されたことからムーンウォッチとも呼ばれています。そんな世界的傑作を、直径38mmと女性でも着けやすいサイズに。文字盤にある3つのインダイヤルもオーバル型になっています。

 

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タグ・ホイヤー
リンク レディ
WBC1318.BA0600
26万4600円
https://www.tagheuer.com/ja-jp

スポーツ&エレガントをテーマに新しいタイムピースを創造する「タグ・ホイヤー」も時計好きにはおなじみのスイスブランド。「リンク」は、ステンレスを鏡面に仕上げたスポーティなデザインと、人間工学にもとづいたS字型ブレスレットを特徴として1987年に生まれたコレクションで、2017年には新たに直径32㎜のエレガントなレディスモデルが誕生しました。装着感がよく、人目を引く強い個性をもっています。

 

・金融・士業など信用が大事な仕事に就いている人

「信用第一の堅い職種では、華美な印象をもたれるものは避けた方がいいでしょう。素材もゴールドではなく、ステンレスを。あるいは値段は高くなりますが、一見するとシルバーに見えるホワイトゴールドという選択肢もあります」(関口さん)。また、金属製のブレスレットではなく、レザーベルトを選べば、予算を抑えることができます。レザーベルトは、ブラックやブラウンといったオーセンティックな色以外に、バリエーションが豊富なことも魅力です。

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IWC
ダ・ヴィンチ
オートマティック・ムーンフェイズ 36
Ref.IW459306
93万4200円
https://www.iwc.com/ja/

IWCは創設150周年を迎えたスイス名門ブランド。その技術の粋を集めて誕生したのが「ダ・ヴィンチ」コレクションです。コレクションの中で、女性用としてつくられたこのモデルはフィット感に優れた直径36mmサイズ。半球形のリューズなどラグジュアリーを極めたデザインも時計の魅力を引き立てます。月齢による月の形の変化を表示するムーンフェーズを搭載。針やインデックスに合わせ、ダークブルーのサントーニ社製アリゲーター・ストラップが採用されています。

 

・ファッションに関わる仕事に就いている人、モードな服装が好きな人

ファッション関係の仕事は、堅い仕事のような制約が少なく、仕事用でも選択の自由度がグッと広くなります。高級素材もOKです。ただ。職業柄どうしてもセンスは問われます。コンサバ寄りではなく、個性の主張もほしいところです。「モードを意識して選ぶことも重要です。あまりにポピュラーなモデルもこの業界ではNG。これからのトレンドをリードしていくモデルがいいですね」(関口さん)。ブランド力、デザインをあわせた総合力で、シャネルの「ボーイフレンド」がイチ推しです。

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シャネル
ボーイフレンド ツイード
58万5900円
https://www.chanel.com/ja_JP/watches-jewelry/watches

マスキュリンとフェミニンを融合した、シャネルの人気コレクション。バリエーションが広がるなか、いまもっとも注目されているのが、金属製ワイヤーをメッシュ状に編み込み、シャネル伝統のツイードパターンをプレスしたストラップが特徴のこちら。ストラップの立体的な型押しも素晴らしく、ファッションに関わる人には不可欠なセンスのよさもアピールできます。

 

・スポーティ、メンズライクなものを好む人

メンズウォッチでは、この10年ビッグフェースといわれる大ぶりの腕時計がヒットしました。その代表的なブランドがパネライです。この流れを受けて女性にも、小ぶりで華奢なレディースではなく、あえてメンズモデルを選ぶ人が増えてきました。マニッシュなスーツスタイルに合わせやすいだけではなく、耐久性にも優れていることも人気の秘密。「周りで使っている人が少なく、カップルで同じ時計を楽しめるという理由で選ぶ方も多いようです。目立つのでファッションアイコンにもぴったりです」(関口さん)。

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パネライ
ルミノール デュエ
3デイズ アッチャイオ−42㎜
97万2000円
http://www.panerai.com/ja/home.html

クッション型ケースが特徴のパネライは、2000年代にはじまるビッグフェースウォッチ人気をリードしたイタリアブランド。世界初の本格ダイバーズウォッチを開発したことでも知られています。そのパネライが新機軸としてリリースしたのがこのモデル。直径42mmとケースは大型ですが厚さは10.5mmとスリムで、フィット感もバツグン。ゼンマイをフルに巻き上げた状態で72時間も動き続けます。パネライらしい堅牢なリューズガードも魅力的です。

 

・コンサバで女性らしい華やかで華奢なデザインを好む人

“冒険もしてみたいけど、やっぱり女性らしく華やかさのあるコンサバ系で”、という方に、関口さんがおすすめするのが、「レクタンギュラー」といわれる四角いケースの腕時計です。品格とラグジュアリー感をそなえたフォルムは、長く腕時計ファンに愛されていますが、丸型だけをつけてきた方は、つけるだけで気分も一新するはず。「女性の華奢な腕にはレクタンギュラーはとても映えます。知的な印象もアップします」(関口さん)。新しい自分に自信をつける、春の着替えにはもってこいですね。

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ジャガー・ルクルト
レベルソ・クラシック・ミディアム
スリム
Ref.Q254 81 20
70万2000円
http://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/home-page.html

腕時計のムーブメントまで自社で一貫製造する、マニュファクチュールブランドであるジャガー・ルクルト。その代表作が1931年に誕生したロングセラーコレクション「レベルソ」です。文字盤のある表面が裏返る反転式ケースが特徴で、手巻き式である「スリム」のプレーンになった裏面には、文字や図柄などをパーソナライズオーダーによって刻み込めます。アクセサリー感覚で使うには最適です。

 

ミッシェル・エルブラン
アンタレス レクタンギュラー
COF17048-26YB89SL
35万5320円
http://michel-herbelin.jp/

ミッシェル・エルブランは、1947年に誕生したフランスの老舗ブランドです。その日のファッションやシーンに合わせて簡単にストラップを替えられる“着替える時計”「アンタレス」は、ブランドのアイコンともいえるシリーズ。時計本体にはSSブレスとレザーストラップ2本(お好きな色のシングルストラップ2本、またはシングルストラップとロングストラップ各1本ずつ)が付属しています。このモデルは、文字盤にマザーオブパールを、レクタンギュラーケースにダイヤモンドをあしらっています。フランス製。

 

【プロフィール】

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WATCH NAVI 編集長/関口 優
1984年生まれ。芸能雑誌やモノ情報誌「GetNavi」の編集を経て、2016年より時計専門誌「WATCHNAVI」編集長に就任。バーゼルやジュネーヴなど世界的な時計見本市に必ず足を運び、自ら取材。自身で試すことをモットーとしており、腕時計は現在20本超を所有。

 

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『WATCHNAVI 2018 WINTER Vol.68』
880円/学研プラス
巻頭特集は毎年恒例、ウオッチナビ読者200人と全国の有名正規店のプロ32人が選出した“最強”の120本をランキング形式で紹介する「腕時計最強ランキング」。詳細なデータとユーザーたちの声に裏打ちされた、リアルな結果をまとめている。別冊付録として「12大ブランド高画質卓上カレンダー」が付く。

WATCH NAVI Salon  http://watchnavi.jp/

 

文=安藤政弘

 

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

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白と青で表現された一世紀半という歴史の重み【SIHH2018/IWC編】

2018年の高級時計の新作が披露される国際高級時計展(SIHH)が、今年も1月にジュネーブで開催されました。ここで発表された新作から今年で150周年を迎えたIWCの新作について、ウオッチナビ編集部の水藤が詳細をお伝えします。

 

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クラシックなだけじゃないラインナップに「ギャップ萌え」

IWCのSIHH新作は、毎年のようにひとつのシリーズをリニューアルすることが恒例のようになっています。その流れのなかで、IWCが150周年を迎える2018年に発表したのは、ジュビリーコレクションと銘打った限定モデルでした。合計27本の限定ウオッチはクラシックなデザインのモデルがベースとなっており、それらの文字盤色は暗に「過去」を示すホワイトと、「現代」を示すブルーの2色のラッカーダイアルのみという展開でした。

 

ジュビリーコレクションの文字盤の何層にも重ねられたラッカーは、エナメルにも似た独特の光沢が魅力。1885年発表作をベースにしたデジタル表示式の「パルウェバー」や「ポートフィノ」では、かつてのポケットウオッチのような雰囲気が楽しめます。その一方で、「ダ・ヴィンチ」「ポルトギーゼ」「パイロット・ウォッチ」は、古き良き時代の空気感を残しながらもよりモダンなデザインと言えるでしょう。

 

こうしたジュビリーコレクションに「インヂュニア」「アクアタイマー」が入っていないことは、むしろ高評価。150周年のジュビリーコレクションに、スポーティでパワフルなデザインはあまり相応しくなかったかもしれません。逆に、「うまい!」と唸ったのは、パイロット・ウォッチ。なかでも初のビッグデイトを搭載したビッグ・パイロット・ウォッチのホワイトダイアルは、時計の持つ力強さと上品な光沢文字盤との組み合わせに「ギャップ萌え」しました。

 

 

「IWC トリビュート・トゥ・パルウェバー“150 イヤーズ”」250万円/Ref.IW505003。世界限定500本 手巻き。ステンレススチールケース。アリゲーターストラップ。直径45mm、厚さ12mm。3気圧防水「IWC トリビュート・トゥ・パルウェバー“150 イヤーズ”」250万円/Ref.IW505003。世界限定500本
手巻き。ステンレススチールケース。アリゲーターストラップ。直径45mm、厚さ12mm。3気圧防水

 

 

今年のIWC新作のハイライトは、1884年にIWCが開発したパルウェバー懐中時計の意匠を腕時計に再現したデジタル表示式の一本。ディスクの回転に別の動力源をもたせ、エネルギー消費の大きい機構でも高精度を維持しながら60時間パワーリザーブを実現。SSケースに採用された現代的なブルーラッカーダイアルとの組み合わせが、ポケットウオッチ時代のデザインを新鮮な印象に変えています。

 

「ポルトギーゼ・クロノグラフ “150イヤーズ”」78万5000円/IW371601。世界限定2000本 自動巻き。ステンレススチールケース。アリゲーターストラップ。直径41mm、厚さ12.7mm。3気圧防水「ポルトギーゼ・クロノグラフ “150イヤーズ”」78万5000円/IW371601。世界限定2000本
自動巻き。ステンレススチールケース。アリゲーターストラップ。直径41mm、厚さ12.7mm。3気圧防水

 

 

シャイニーなブルーダイアルは通常モデルにありましたが、ジュビリーコレクションではラッカーブルーでシックな雰囲気に。注目は、ハイコストパフォーマンスな新型の自社製クロノグラフムーブメントCal.69355の搭載。お馴染みの縦配列2インダイアルの完成されたデザインはもちろん、ケースサイズもほぼ変えることなく作り上げられた本機が、人気作「ポルトギーゼ・クロノグラフ」の近い未来を予感させます。

 

「ビッグ・パイロット・ウォッチ・ビッグデイト“150 イヤーズ”」156万円/Ref.IW510504。世界限定100本 手巻き。ステンレススチールケース。アリゲーターストラップ。直径46.2mm、厚さ15.2mm。6気圧防水「ビッグ・パイロット・ウォッチ・ビッグデイト“150 イヤーズ”」156万円/Ref.IW510504。世界限定100本
手巻き。ステンレススチールケース。アリゲーターストラップ。直径46.2mm、厚さ15.2mm。6気圧防水

 

 

力強いパイロット・ウォッチのデザインと艶やかなラッカーダイアルの組み合わせのギャップがユニークな一本。初めてビッグデイト表示を採用したチャレンジングな試みも大きな見どころとなっています。耐磁性軟鉄製インナーケースや夜光処理の採用など、アニバーサリー限定ながらパイロット・ウォッチならではの実用性が追求されている点も好印象。個人的なIWC新作のハイライトです。

 

 

ブランド誕生の背景にも通じる挑戦心こそIWCの真髄

IWCは毎年のSIHHに向けて大きなトピックスを用意していますが、今年の新作は特に驚きの多かったように思います。アメリカ人時計師がシャフハウゼンで創業したというユニークな背景を持つIWCが一世紀半もの歴史を重ねてこられたのは、オリジナリティに溢れ、実用性に優れた製品を開発し続けてきたからに他なりません。

 

今回の150周年のジュビリーコレクションには新型も定番もラインナップしていますが、より「IWCらしさ」を求めるならば、あえて上に挙げたような新たな試みが行われたモデルを手に入れたいところ。デザインこそ目新しいかもしれませんが、そうした挑戦心こそIWCの真髄だと思うのです。

 

IWC https://www.iwc.com/

 

 

 

【SIHH2018速報】創業150周年を迎えたIWCは魅惑のアニバーサリー限定を続々発表

1868年、日本では江戸が東京に変わりましたが、はるか遠くのスイス・シャフハウゼンではインターナショナル ウォッチ カンパニー(=IWC)が、アメリカ人時計師のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズによって創業されました。それから歴史を歩み続けて150年。この大きな節目を迎えるにあたり、IWCは2018年の国際高級時計展(SIHH)にて合計28種類に及ぶアニバーサリー限定モデルを発表しました。

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IWC トリビュート・トゥ・パルウェバー“150 イヤーズ”

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1884年にIWCが開発したパルウェバー懐中時計の意匠を腕時計に再現した時分デジタル表示式の2018年IWC新作のハイライト。搭載するCal.94200には香箱から異なる2つの輪列が組み込まれており、ひとつは計時用、もうひとつが表示ディスクの回転用となっています。このような設計にすることで、エネルギー消費の大きいディスク表示を採用しながら60時間もの駆動時間と高精度の維持を可能にしています。

 

バリエーションは、ステンレススチールケースにブルーラッカーダイアルのモデル(限定500本)、18Kレッドゴールドケースにホワイトラッカーダイアルのモデル(限定250本)、プラチナケースにホワイトラッカーダイアルのモデル(限定25本)の3型で、直径はいずれも45mmとなっています。このほか、オリジナルにより忠実なポケットウオッチの限定版も発表されました。

 

 

ポルトギーゼ “150 イヤーズ”

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IWCのフラッグシップであるポルトギーゼコレクションからは、コンスタントフォース・トゥールビヨンやパーペチュアル・カレンダー・トゥールビヨン、パーペチュアル・カレンダー、クロノグラフ、ハンドワインドより合計8型が登場。コンスタントフォースとクロノグラフには、ブルーラッカーダイアルが用意されています。

 

 

ポートフィノ “150 イヤーズ”

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端正なドレスウオッチのポートフィノからは、ハンドワインド・ムーンフェイズとクロノグラフ、オートマティックの3種類から合計7型が発表されています。ムーンフェイズモデルは、月相表示が122年で1日誤差という高精度仕様。

 

 

ダ・ヴィンチ“150 イヤーズ”

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前年に新世代へと移行したダ・ヴィンチは、直径36mmケースにダイヤセッティングされたムーンフェイズと、ベーシックな三針自動巻きの2種類から5型のバリエーションが登場しています。

 

パイロット・ウォッチ “150 イヤーズ”

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パイロット・ウォッチも古典デザインのクラシックをベースにしたアニバーサリーモデルが登場。アニュアルカレンダーとクロノグラフに加え、コレクション初となるビッグデイト表示を備えたビッグ・パイロット・ウォッチも登場。この手巻きモデルは、8日間ものパワーリザーブを有している点にも注目です。