近年のオリンピック・パラリンピックは、環境に配慮することはもちろん、大会を通じて持続可能な社会づくりを推進する場となっています。2021年に開催された東京オリンピックは、環境負荷をできるだけ抑えるために既存施設を再利用しました。今回の北京オリンピックは「起向未来(Together for a Shared Future〔ともに未来へ〕)」というスローガンのもと、「低炭素エネルギー・低炭素会場・低炭素交通」の三本柱からなる「グリーン・オリンピック」の実現を目指しています。
パリ政治学院主席卒業。2016年に米NGO「InternetBar.org」ディレクターに就任し、途上国における身分証明インフラを整備するデジタル・アイデンティティ事業を新設。2019年からは、並行して、マイクロソフト・コーポレーションIdentityアーキテクトとして分散型IDを含むIdentity規格の国際標準化に取り組む。2019年Forbes Japan 30Under30 に選出。2021年MIT Technology Review Innovators Under 35に選出。MyData Globalの理事や政府が主催する協議会の委員も複数務める。
赤井:先ほどご紹介したように、これまでJICAは、現地生まれのスタートアップ事業が多数生まれるように、Fab-LabやK-Labといったイノベーション・スペースを作り、またインキュベーション・プログラムにより彼らが自主的に事業拡大・成長することを目指したエコシステムを作ってきました。そして今、現在政府と議論しているのが、政府の行政サービス電子化をさらにどんどん推進するようなプラットフォームを構築できないかというアイデアです。省庁が持っているデータベースをオープンソース化し、そのデータを基としたビジネスアイデアを現地のスタートアップなどの民間企業から募集して、よさそうなものに予算を付けてPoC(Proof of Concept/概念実証)をどんどん進めようというイメージです。
ブラックフライデーのCMコピーは「You know the Drill(やることは分かっているね)」。スポーツコーチがアスリートたちに「セール開始はいつか」「割引率は」「サイズ選びのコツは」「ウィッシュリストの新機能は」など、「勝つ」ための情報をチームに叩き込むという内容で、視聴者もセールにまつわるQ&Aが頭に入るという構成になっています。また、昨年のロックダウン中にはセール開催の24時間前にウェブサイトを故意にダウンさせ、サスペンス感を生み出す戦略でも話題を呼びました。
斉藤ノヴ(さいとう・のぶ)さん
パーカッショニスト。1967年に京都から上京し、浜口庫之助「リズム・ミュージック・カレッジ」でリズム・レッスンを受ける。1970年に下田逸郎氏と「シモンサイ」を結成し『霧が深いよ』でレコードデビューを果たした。スタジオミュージシャンとしても大きな活躍を見せ、サディスティックス、松任谷由実氏、サザンオールスターズなど日本を代表するミュージシャンの作品に参加する。2011年、夏木マリ氏との結婚を発表した。現在、音楽活動と並行して、夏木氏と共に、途上国への支援活動「One of Loveプロジェクト」の運営を務める。
坂口:JICAでも、アートを媒介した国際協力ができると考えています。それはアートには「伝える力」「共感を呼び起こす力」があるからです。たとえば、いろいろなアーティストを開発現場にお招きして、技術移転の方法や、広報の仕方にアーティスト独自の視点・思考でアドバイスをしていただく。さらに、アーティストの皆さんが現地の情報や体験を日本に持ち帰り、発信することでより多くの人が国際協力に関心を持つ。そんな循環が生み出せればと。2019年に横浜で開催されたTICAD7(第7回アフリカ開発会議)の際に立ち上げたBon for Africaというイベントはまさにその好事例でした。そして次のTICAD8 (2022年8月チュニジアで開催予定)においてもこのような共感を呼び起こせるイベントができないかと考えているところです。
夏木:おもしろいアイデアですね! 「One of Loveプロジェクト」は、2年前に千駄ヶ谷小学校とエチオピアの小学校で生徒同士の絵の交換をしてもらうという取り組みをしました。絵のテーマは「お友達」。エチオピアの子ども達は色鉛筆を持っていないから、私たちが寄付した鉛筆で真っ黒な絵を描くんです。「お友達」というテーマに対して、牛を描いてくる子もいました。千駄ヶ谷小学校の校長先生は、生徒達が絵の交換を通して、その国の環境や習慣、価値観の違いを知る機会になったと喜んでくださいました。
↑右側下段がエチオピアの小学生の作品。「One of Loveプロジェクト」は、絵を通じた子どもたちの国際交流をサポート↑絵に描かれたモチーフから、お互いの国の文化や生活の様子をうかがい知ることができます↑夏木さんが千駄ヶ谷小学校を訪問。「今後も日本の子ども達が途上国の様子を知る機会になるような活動を続けていきたい」と話してくれました
【出典】Marks, Elizabeth and Hickman, Caroline and Pihkala, Panu and Clayton, Susan and Lewandowski, Eric R. and Mayall, Elouise E. and Wray, Britt and Mellor, Catriona and van Susteren, Lise, Young People’s Voices on Climate Anxiety, Government Betrayal and Moral Injury: A Global Phenomenon. Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3918955 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3918955
【出典】Michael Alonzo et al. 2021. Spatial configuration and time of day impact the magnitude of urban tree canopy cooling. Environmental Research Letters.16 084028.
【出典】O’Hanlon, L. (2021), The looming crisis of sinking ground in Mexico City, Eos, 102, https://doi.org/10.1029/2021EO157412. Published on 22 April 2021.
Martinez, M., Ardón, M. (2021). Drivers of greenhouse gas emissions from standing dead trees in ghost forests. Biogeochemistry. https://doi.org/10.1007/s10533-021-00797-5
Sacatelli, R., Lathrop, R.G., and Kaplan, M. (2020). Impacts of Climate Change on Coastal Forests in the Northeast US. Rutgers Climate Institute, Rutgers University. https://doi.org/doi:10.7282/t3-n4tn-ah53
【出典】W. H. Brune., et al. (2021). Extreme oxidant amounts produced by lightning in storm clouds. Science, 372(6543), 711-715. DOI: 10.1126/science.abg0492
石坂:私たちは、2021年4月から、消費者に対し「捨てない選択」の価値を普及することを目的とした「CHOICE ZERO AWARD」プロジェクトをスタートしています(https://choice-zero.org)。こんなふうに、企業側がそういうお客様の価値判断を変えていく活動をしたっていいと思うの。なぜならイノベーションって、結局は道のないところに道を作るわけでしょう。「うちも森林活動してます」なんて横並びのアピールで安心するんじゃなくて、自分たちの作っている商品の過剰生産とか、過剰梱包を思い切って辞める方が、環境や会社の未来にはずっといいかもしれない。近江商人の「三方良し」とは、「売り手良し、買い手良し、世間良し」。これからの産業は、それに加えて「未来に良し、地球に良し、作り手に良し」という“六方良し”という価値観に変えていくことが必要だと思います。さっきも話したように、バージン=枯渇性の資源ばかり求め、それだけが美しいとする価値観をやめない限り、自然破壊はもう止められないのだから。
【出典】Reguero, B.G., Storlazzi, C.D., Gibbs, A.E. et al. The value of US coral reefs for flood risk reduction. Nature Sustainability (2021). https://doi.org/10.1038/s41893-021-00706-6
↑「LISTEN TO THE PEOPLE NOT THE POLLUTERS(汚染者ではなく、庶民の声を聞け)」や「PEOPLE OVER PROFIT(利益よりも人を優先しろ)」というメッセージが示すように、環境を汚す富裕層に対する世間の風当たりは強い
気候変動における富裕層の問題を指摘したのが、ケンブリッジ・サステナビリティ・コミッション(CSC)による「Changing our ways? Behaviour change and the climate crisis」というレポート。英国のケンブリッジ大学出版局が立ち上げたCSCは、環境問題をさまざまな角度からグローバルに研究しています。このレポートでは英国・サセックス大学の教授らが所得レベルに着目して、人間行動学の観点から気候変動に関する政策を提言しています。
CSCは、この議論を別のデータで裏付けています。2018年の「Civil Society Equity Review」によると、二酸化炭素排出量の増加の半分程度は富裕層の上位10%に起因し、同37%は富裕層の上位5%に原因があるそう。残りの半分は、所得層の40%を構成する中間層によるものなので、所得層の50%を占める貧困層の影響は事実上ゼロになります。
「Music can change the world.(音楽は世界を変えることができる)」とは、作曲家・ベートーベンの言葉です。これを体現しようとしているのが、総合楽器メーカーのヤマハ。お馴染みの「ヤマハ音楽教室」をはじめ、国内はもちろん、海外でも古くから音楽教育プログラムを展開してきましたが、2015年からは新興国を中心に「スクールプロジェクト」という活動を行っています。
【出典】Mohammad Saberian, Jie Li, Shannon Kilmartin-Lynch, Mahdi Boroujeni. (2021). Repurposing of COVID-19 single-use face masks for pavements base/subbase, Science of The Total Environment, Volume 769, 145527. https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2021.145527
【出典】Mohammad Saberian, Jie Li, Shannon Kilmartin-Lynch, Mahdi Boroujeni. (2021). Repurposing of COVID-19 single-use face masks for pavements base/subbase, Science of The Total Environment, Volume 769, 145527. https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2021.145527
エコバッグのサイズは大きすぎず小さすぎず、中に入れた弁当などが傾くのを防ぐマチを設けている上、ペットボトルのような縦長の製品にも対応する形状。使用しやすいサイズ感と形にこだわっています。素材はサステナブルなリサイクルナイロン100%を使用した、高い技術力によるMADE IN JAPAN。くしゃくしゃにしても丈夫かつ、環境や人体に影響の少ないフッ素フリーの撥水加工が施されています。
TranSoniCaの創業者でCEOのダニエル・エリオット・クワントウィさんは、アフリカの若者たちに日本の大学院教育と日本企業でのインターンシップを同時に提供するJICAの産業人材育成プログラム「ABEイニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)」により東京大学で学び、今春、大学院修士課程を終了しました。ダニエルさんが初めて来日したときに使用した交通系カードのSuicaを、「アフリカにも持ち帰りたい!」と考えたのがこの事業の始まりです。
さらに、研修員と被災者との意見交換の場でのやり取りを振り返り「多くの研修員から『日本は、過去の災害経験から“日常で何をすべきか”を常に考え、状況に合わせて改善し、非常時でも対応できるようにしている。Build Back Better(より良い復興)という言葉が何を意味するのか、日本に来てはじめて実感することができた』という声を聞きました。被災者側も、世界中で同じ志をもって防災に取り組んでいる人々がいることを知り、勇気づけられたのではないかと思います」と、井澤職員は話します。
月や火星で大量のロボットが自律的に活動してインフラを構築する。そんなSF映画のようなビジョンを実際に実現させようとしているスタートアップ企業があります。それがアメリカのOffWorld(オフワールド)。同社の共同創業者でCEOを勤めるJim Keravala氏が、ダッソー・システムズの年次イベント「3DEXPERIENCE WORLD 2021」に登壇し、未来の宇宙開発の形について話しました。ワイルドなビジョンの裏には一体どんな考えがあるのでしょうか?
2009年からキルギスのイシククリ州で一村一品(OVOP=One Village One Product)プロジェクトを担う原口明久専門家は、これまでの取り組みをそう振り返ります。一村一品とは、日本の大分県から始まった地域活性化の取り組みで、その名のとおり「各村で、全国・世界に通じる特産品を作ること」。イシククリ州は日本と中東を結ぶシルクロードの道中にあり、伝統的に羊毛の生産が盛んで、果実やベリー類の宝庫です。プロジェクトでは、フェルト製品やジャムといった特産品を、上質で付加価値の高い商品に作り上げます。
一方、遠野醸造(岩手県遠野市)では、前述のANTCICADAとともに、コオロギを原料にした「コオロギビール」を製造、販売。昆虫食専門ショップ「昆虫食のTAKEO」や、太陽グリーンエナジーのECサイト「TAIYO Green Farm Cricket」では、食用のコオロギを購入することができます。そのほかにも、煮干しや菓子などさまざまな製品に利用されています。
2003年、有限会社エクステンド(現フロムファーイースト株式会社)設立。2010年、エクステンション事業を売却し、作れば作るほど使えば使うほど体と環境が健康になる事業「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』では、大賞を受賞した。 みんなでみらいを https://www.minnademiraio.net/
男子800m元日本代表記録保持者、2012年ロンドン五輪男子800メートル代表。日本選手権では6回の優勝経験を持つ。2016年現役引退。その後、2017年よりNIKE TOKYO TCコーチに就任。2020年にTWOLAPS TRACK CLUBを立ち上げ、若手選手へのコーチングを行う。選手一人一人に合わせたオーダーコーチングがモットー。活躍はスポーツ界だけにとどまらず、現役時代には米国公認会計士の資格を取得するなど様々なビジネスを手掛ける経営者としての側面を持つ。
ZEBとは、「net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)」の略称で、快適な室内環境を保ちながら、設備の高効率化や建物の高断熱化による“省エネ”と、太陽光発電などの“創エネ”により、年間のエネルギー収支ゼロを目指した建築物のこと。国により定義は異なりますが、日本の場合、エネルギー低減率により、ZEBOriented、ZEB Ready、Nearly ZEB、『ZEB』と4段階に分かれています。
「カンボジアでは、都市部および国境付近の工業地帯とその他の地方では人材ニーズが異なるため、画一的にパッケージを実践していくのではなく、地域の人材ニーズに即して多少アレンジすることも必要かもしれません。また、地方校への普及活動では、パイロット職業訓練校の指導員によるTOT(Training Of Trainers)が必要であり、パイロット校3校の先導的な役割が求められます。これらの活動を通じて職業訓練全体のボトムアップひいては中堅技術者不足の解消に繋がることを期待しています」
この事業が始まった背景には、高専生を対象としたJICAによる先行の取組みとなる「KOSEN Open Innovation Challenge」がありました。これは、高専生の技術とアイデアで、開発途上国の社会課題解決と国際協力の現場を教育の場として活用していくことを目的にしたコンテストです。第1回目(2019年4月開催)は、長岡、北九州、佐世保、宇部、都城、有明の6校の高専が参加しました。
「今回のリバース・イノベーションでは、第1回KOSEN Open Innovation Challengeで選ばれたケニアの技術を長岡の産業廃棄事業に生かす取り組みも進んでいます。学生たちはアフリカと日本の文化の違いなどを考慮しながら地元長岡を活性化すべく意欲を燃やしています」と長岡高専の村上教授は今後の抱負を述べます。
最近、すっかり定着した感のある「SDGs」というワード。ところで、2015年の国連サミットで採択された、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」であることは知っているけど、実際、具体的にはどういう意味? 自分たちにどう関係があるの? などなどイマイチSDGsについて分からないことが多いのではないでしょうか。そこで前編、後編の2回に分け、元麹町中学校の校長である工藤勇一さんにSDGsについて話をうかがいました。
最近、すっかり定着した感のある「SDGs」というワード。ところで、2015年の国連サミットで採択された、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」であることは知っているけど、実際、具体的にはどういう意味? 自分たちにどう関係があるの? などなどイマイチSDGsについて分からないことが多いのではないでしょうか。そこで今回は前編、後編の2回に分け、元麹町中学校の校長である工藤勇一さんにSDGsについて話をうかがいました。