既存の4Kテレビでも新4K放送が楽しめる! パナソニックの4Kチューナー内蔵BDレコーダー「DMR-SUZ2060」

今年12月1日から放送が始まるBS/CS 4K放送に向けて、メーカー各社から4Kチューナーや4Kチューナー内蔵テレビなどの対応製品が続々と発売されています。そして今回、パナソニックからも4Kチューナーを内蔵したBDレコーダー 4Kディーガ「DMR-SUZ2060」が11月16日に発売されます。実売予想価格は13万円前後(税別)。

↑DMR-SUZ2060

 

本機の最大の特徴は、4Kチューナーを内蔵しており、テレビにつなぐだけでBS/CS 4K放送が視聴できるようになること(※)。これまでに発売された4Kチューナーを内蔵していない4Kテレビでも、本機を接続すればBS/CS 4K放送が楽しめるようになります。さらに、4K放送の内蔵HDDへの録画およびBDディスクへの保存にも対応しています。

※:受信にはBSデジタル放送受信設備が必要。既存の右旋アンテナで最大6チャンネル、新しい左旋アンテナおよび設備を導入すると最大18チャンネルの視聴が可能

 

また、4Kチューナー内蔵のメリットとして、4Kチューナー単体をテレビにつなぐよりも配線をすっきりとさせることができ、録画のために4Kチューナーとテレビそれぞれに外付けHDDを接続するといったムダも省くことができます。

 

このほか、UHD BD(Ultra HDブルーレイ)や4Kネット動画の再生にも対応しており、これ1台で4Kコンテンツをとことん楽しめる仕様となっています

 

チューナーは、4K/地デジ・BS・CS両対応が1基、地デジ・BS・CS対応を2基の計3基備えており、4K放送+地デジ・BS・CS放送×2もしくは地デジ・BS・CS放送×3の同時録画が可能。録画モードは4K放送のみDR固定となっています。

 

内蔵HDD容量は2TBで、4K放送で最大約130時間の録画が可能。4K放送のBDディスクへの保存は、25GBディスクで約1時間30分、50GBディスクで約3時間となっており、映画などの長時間コンテンツもBDに保存できます。

 

BS/CS 4K放送だけでなく、様々な4Kコンテンツも楽しめるBDレコーダーの登場で、これまで十分に発揮されてこなかった既存の4Kテレビのポテンシャルを100%引き出すことができそうですね。

格安4Kテレビもラインナップ! FUNAIから初の有機ELテレビほか4K/2Kテレビが一挙登場

船井電機は、FUNAIブランド初となる4K有機ELテレビ「7010」シリーズほか薄型テレビ6シリーズ全14機種と、次世代ブルーレイ規格「4K Ultra HD ブルーレイ」に対応したBDレコーダー「UT」シリーズほか3シリーズ全6機種を、7月14日よりヤマダ電機グループで独占販売します。

 

薄型テレビのラインナップは、4K有機ELテレビ「7010」シリーズ、4K液晶テレビのハイグレードモデル「4110」シリーズ、スタンダードモデル「4010」シリーズ、HD解像度の液晶ディスプレイを備えた「2010」シリーズを用意。いずれも内蔵HDDへの録画機能を備えています。また、今回より内蔵HDD録画機能を省いたシンプルモデルとして、4K液晶テレビ「3010」シリーズと、HD液晶テレビ「1010」シリーズが新たに追加されています。

 

初の有機ELモデル「7010」シリーズ

フラッグシップとなる4K有機ELテレビ「7010」シリーズは、独自開発の高画質エンジン「クリアピクスエンジン 4K HDR OLED」を搭載。有機ELならではのダイナミックレンジとハイコントラストで、4K映像を精密に再現します。

 

 

また、「HDR 10」や「HLG」、「Dolby Vision」など、様々なHDR規格に対応しており、鮮やかで奥行きのある映像を再生します。国内メーカーの4K有機ELテレビとしては初めて録画用HDD(1TB)を内蔵し、本体だけで地上デジタル放送を最大128時間録画可能。さらに、3チューナー搭載で、視聴中の番組とは別に2つの番組を同時録画することができます。このほか、好みの項目を選んでおくことで該当する番組を自動録画する「おまかせ録画」や、録画した番組をカテゴリー別に自動分類して表示する「おすすめ再生」など、便利な録画機能も備えています。

 

本体は映像を際立たせる極細フレームのミニマルデザインを採用し、スタンドに角度をつけることで「映像だけがそこにある」ような浮遊感のある映像体験を実現。本体正面にはフルレンジスピーカーと大容量ウーファーを配し、最大出力50Wのマルチアンプで駆動し、2.2chの立体的なサウンドを再生します。

 

ラインナップは65型「FE-65U7010」(実売予想価格39万9800円)と、55型「FE-55U7010」(同25万9800円)の2機種を用意しています(価格はいずれも税抜)。

 

録画機能をアップした薄型テレビ

4K液晶テレビは「4110」と「4010」の2シリーズをラインナップ。主な違いは、4110シリーズのみ倍速駆動に対応しているほか、映像エンジンや内蔵HDDの容量、対応HDR方式など。いずれも3チューナーを装備し、2つの裏番組を同時に録画できます。

 

 

 

ラインナップは、4110シリーズが65型「FL-65U4110」(実売予想価格21万9800円)、55型「FL-55U4110」(同15万9800円)、49型「FL-49U4110」(同11万9800円)の3機種、4010シリーズが49型「FL-49U4010」(同10万4800円)、43型「FL-43U4010」(同9万4800円)の2機種を用意しています(いずれも税抜)。

 

また、低価格なジェネリック4Kテレビを意識し、録画機能を省いた4Kモデル「3010」シリーズにも注目。50型「FL-U3010」のみの展開ながら、実売予想価格4万9800円(税抜)と5万円を切る価格設定で、手ごろな4Kテレビを求めている層に訴求しています。

 

高画質4K映像が楽しめるUHD BD再生対応のBDレコーダー「UT」シリーズ

BDレコーダーは、新たに最上位機種「UT」シリーズがラインナップに加わりました。同シリーズは、最大100Mbpsという膨大な情報量で高画質な4K映像が楽しめる「4K Ultra HD ブルーレイ」(UHD BD)の再生に対応。地デジやBDなどの映像も4Kにアップコンバートし、コマとコマのあいだの映像を補完して秒間60コマのなめらかな映像を再生します。

↑UHD BD再生対応の「FBR-UT1000」

 

また、ハイレゾ音源(LPCM/FLAC/DSD/ALAC)の再生に対応しているほか、ユーザーの好みを学習して自動で録画してくれる「AI録画」機能を備えています。

 

ラインナップは内蔵HDD 2TBの「FBR-UT2000」(実売予想価格5万5800円)と、1TBの「FBR-UT1000」(同4万9800円)の2機種(いずれも税抜)。

 

このほか、3チューナー搭載の「HT」シリーズや2チューナー搭載の「HW」シリーズも発売されます。

 

18年度は国内シェア15%を目指す

FUNAIブランドの薄型テレビやBDレコーダーを独占販売するヤマダ電機では、昨年6月の販売開始より全店舗に商品に熟知した「フナイマイスター」を配置し、店頭販売ならではの手厚い商品説明などを実施。そのなかで得られた顧客からの意見や要望などを集約し、今回の商品開発に生かしているとのこと。

 

初年度のFUNAIブランドテレビの目標市場シェアは5%でしたが、最終的には目標を上回る7%を達成。さらに2018年度は目標シェアを15%に引き上げ、さらなるシェア拡大に励むとしています。

 

低価格化が進む国内テレビ市場で、独自の商品開発や販売戦略を武器にシェアを拡大しているFUNAIブランドの今後の展開に注目が集まりそうです。

【西田宗千佳連載】年率約15%で減少、ネットの3分の1になったアメリカの「映像ディスク」市場

「週刊GetNavi」Vol.66-4

OPPOがハイエンドAV事業から撤退することに決めた理由は、同社の主戦場であるアメリカにおいて、「ディスクのビジネス」が急速に縮小していることが大きい。

 

筆者は2か月に一度はアメリカに取材に行くが、近年、量販店の「映像・音楽ソフト売り場」の縮小ぶりは目を覆わんばかりだった。アメリカの家電量販店は、日本の家電量販店の数倍の面積がある。10年前には、そのなかでかなりの領域をDVD売り場が占めていた。数千種類のDVDが棚に並んでいるのは壮観ですらあり、その頃には筆者も、日本では発売されていないDVDやBlu-rayを買い込んだものだ。

 

だが、いまや量販店において、ソフト売り場は主役ではない。面積では携帯電話やその周辺機器のほうがずっと広くなっている。

 

アメリカの映像関連業界団体であるDEG(Digital Entertainmet Group)の調べでは、2017年の映像ディスクメディアの売り上げは約47億ドル。大きな金額に見えるが、同時期のデジタル配信の累計は約136億ドルとずっと大きく、ディスク販売は年率で14%も低下している。2016年も9.55%の減少であり、減少率は拡大中だ。アメリカ市場においては、デジタルがディスクの3倍の売上になっていて、しかも、デジタルは年率15%で成長している。

 

ディスクを主軸にしたビジネスにもはや成長はなく、「どのレベルの数を維持しうるか」という世界になっている。これが海外の趨勢なのだ。

 

前回までの連載で述べたように、OPPOはハイエンドという狭い市場をターゲットにしつつも、そこで「数」を出すことで価値を担保してきた。数の担保が難しくなっていくと、彼らのビジネスモデルは崩壊してしまう。だから、業績が本格的に悪くなる前に事業からの撤退を決めたのである。

↑OPPOのUHD BDプレーヤー「UDP-205」

 

大手家電メーカーにとっても、ディスク関連のビジネスは苦しくなっていくだろう。だが、ここが重要なのだが、ディスクメディアには価値がないわけではない。Ultra HD Blu-rayもあり、品質の面でも、「所有できる」という面でも、ディスクメディアには固有の価値がある。なくなると、AVファンだけでなく映画業界も困ってしまう。

 

そのため、ディスク関連ビジネスは「しぼむが、ある程度の少ない量は維持される」形になる、と予想される。問題はその量がどのくらいになるのか、そして、日本ではどうなるのか、ということだろう。

 

正確な数字を予測するのはなかなか難しい。しかし、日本においては、そもそもディスクメディアを購入するのは、多くの場合、「こだわるファン」だけ……という状況がある。だから、アメリカほどドラスティックに落ちていくことはないのではないか、と筆者は思っている。売れ行きは下がるが、いまの半分という世界にはならないだろう。

 

というより、そもそも「日本でのディスクのビジネスは、アメリカほど伸びなかった」のだ。ディスクビジネスがもっとも成功したアメリカで、そのビジネスが急速にしぼんでいるからこそ、OPPOは撤退を決めたのである。

 

●次回Vol.67-1は「ゲットナビ」7月号(5月24日発売)に掲載予定です。

 

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【西田宗千佳連載】OPPO人気の秘密は「量産」効果、ゆえに撤退理由も「量産」問題

「週刊GetNavi」Vol.66-3

OPPOは2018年春より、経営資源をスマートフォンビジネスに集中し、ハイエンドAV機器向けのビジネスを終息する。正確には、過去に売った製品のサポートやアップデートは継続するものの、新規製品の開発と生産を行わない。

 

ビジネスを止めると聞くと、我々はどうしても「そのビジネスが不振だから止める」と考えがちだ。だが、OPPOのハイエンドAV機器事業が不振だったかというと、そうではない。日本でもアメリカでも販売状況は好調であり、「赤字事業だから止めねば大変なことになる」状況ではなかったようだ。

↑OPPOのUHD BDプレーヤー「UDP-205」

 

ではなぜ止めたのか。

 

問題は今年の話ではない。この先、OPPOのやり方では「ハイエンドAV機器事業の優位性を保てない」、そして「優位を保つと事業として将来問題が出てくることが容易に想像しうる」状況になったから、早めに止めて、社内の資源(主に生産ライン)をスマートフォンに振り向けることになったのだ。

 

背景にあるのは、アメリカ市場でディスクプレイヤービジネスが急速に縮小している、という点だ。その状況についてはまた次回解説する。ここで重要なのは、「ビジネスが縮小していることと、ハイエンドAV事業を維持すること」の関係性だ。そもそもハイエンドAV事業は、マス事業に比べて数が少ない。そして、ハイエンドAVファンはマスよりもディスクにこだわりがあり、一般的な市場のシュリンク速度よりも「遅くなる」可能性が高い。ならば、好調な事業はゆっくりと規模を縮小しつつ、好調さを維持していくのが常道に思える。

 

だが、OPPOのビジネス手法は、それを許さなかった。

 

OPPOがハイエンドAV機器で他社より有利な地位に立てたのは、同社が「他社よりもハイエンド製品を一気に、多く生産する」と決めてビジネスに臨んだからだ。製品のコストは生産量が決める。少数しか作らないものはどうしても高くつく。一方で、多くの数を作ることはそれだけ費用もかかるため、経営上のリスクになる。しかしOPPOはそれを選んだ。数は定かではないが、一般的にハイエンドAV製品は、年間数万台出荷すれば多いほうで、数千・数百といった台数のものもある。そのぶん、「高くても高品質だからいい」という顧客を捕まえるのがポイントだった。だがOPPOは、一般的なハイエンドAV製品の生産数の数倍を作り、コストパフォーマンスを維持したうえで、一気に市場を制圧する戦略を採っていた。だから「品質がいいものがお手軽」になり、ファンの人気を集めたのである。

 

だが逆にいえば、「生産量を担保できない」のであれば、他社に対する優位性を失う。今後売上が下がると、品質を保つために必要な生産量を割り込む可能性が出てくる。だからといって価格を上げられるほど、市場は甘くない。

 

ならば、赤字を出す前に一気にビジネスを畳み、手元に余る量産能力は、勝負をかけているスマホ事業にまわしたい……。これが、OPPOの判断だったのである。

 

逆にいえば、「好調」と言われるOPPOも数年先をみるとギリギリな数しか売れていかないのがハイエンドAV市場の難しさを示している。

 

OPPOの判断の源泉となったのは、「アメリカでのディスクビジネス」の減速だ。アメリカでは本当にディスクは売れなくなったのか? アメリカのAV市場はどう動いているのか? 次回のVol.66-4では、そのあたりを解説しよう。

 

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【西田宗千佳連載】OPPO、ハイエンドAV機器ビジネス撤退の衝撃

「週刊GetNavi」Vol.66-1

ハイエンドAV機器の注目メーカーが突如撤退

4月3日、ハイエンドAV機器を開発・販売するOPPO Digitalは、突如、今後新製品の開発と製造を止める、と発表した。同社はコアなAVファン向けの高画質UHD BDプレイヤーである「UDP-205」や、ハイレゾオーディオ向けのUSB DAC「Sonica DAC」などの製品で知られており、AVファンの人気を集めていた企業だ。ソニーやパナソニックなどの大手家電メーカーほど身近ではないものの、ホームシアターなどの構築にこだわるファンに特化し、2010年代に入ってから、着実に業績を伸ばしてきた。直近の販売状況も決して悪いものではなく、「UDP-205」と「Sonica DAC」を軸に、ハイエンドファンから指名買いされるような状況にあった。

↑「UDP-205」

 

それが突如、今後のAV関連ビジネスを止める、と発表したことで、業界には衝撃が走った。現在販売されている商品の販売とソフトウエア改善、そしてサポートは継続されるものの、事実上、同社はAV市場から撤退することになった。これを受けて、前述の「UDP-205」は撤退発表直後から注文が殺到。日本法人には撤退発表後2日で2か月待ちという受注が発生しており、4月6日には、当面の新規受注が中止される事態となった。記事を執筆している4月上旬の段階では、今後の受注再開があるか、完全に停止されるかも明言されていない。

 

ディスクから配信への流れが米国では決定的に

同社がなぜ、好調だったAV事業を閉じるのか? 考えられる理由は2つある。

 

ひとつは、主力市場であるアメリカでのディスクビジネスが急速に悪化している、ということだ。すぐに引用可能な統計が手元にないため、印象論となって恐縮なのだが、ここ数年、アメリカの家電量販店に行くと、ディスク売り場が急速な勢いで縮小しているのが目に付いた。10年前にはDVDとブルーレイが数千種類売られていたものだが、今は店舗の片隅に、ブルーレイとUHD BDがあるだけだ。どこで話を聞いても「ネット配信」の話しか出てこない。4K・HDRによる高画質配信も実現しており、UHD BDほどではないにしろ、画質の要求にも応えている。縮小したとはいえ、日本での映像ビジネスはまだディスク抜きに成り立たないが、米国ではそうではない。

 

もうひとつは、OPPOという会社の軸足が変わってしまった、ということだ。OPPOというと、多くのゲットナビ読者の方は「スマホメーカー」だと思うのではないだろうか。両者は同じ流れを汲む会社であり、元々AV機器で成長した同社が、次に狙いを定めたのが「カメラを軸にしたハイエンドスマホ」だったのである。同社はこれまで、主にアジア市場を軸に戦ってきた。だが、今年は日本市場にも参入し、先進国市場へのビジネス拡大を進めている。そこではより多くのリソースが必要であり、「好調だが先行きは明るくない」AV事業を今のうちに閉じて、資産の有効活用を狙ったのでは……と見られている。

↑OPPO「R11s」

 

OPPOはなぜハイエンドAV事業を継続できないのか? そして、ディスクビジネスは今後どうなるのか? そのへんは次回のVol.66-2以降で解説する。

 

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