10万円前後の「ミラーレス一眼」で最も万能なのはどれ? オリンパス/富士/ソニー/キヤノンを4項目比較

最近のミラーレス一眼は、一眼レフを超える勢いでカメラ市場を牽引中。特に熱いのは、実売10万円前後のミドルクラス機です。今回は、そんな人気の中級ミラーレス一眼4モデルを同時にテストし、その総合性能=万能性を検証。4項目を5点満点で評価しました。

 

【テストした人】

カメラマン 永山昌克さん

雑誌やWEB媒体で撮影と執筆を行う。休日は小さなカメラを持って子どもの成長記録を撮ることに余念がない。

 

画質とAFはハイレベル!操作性はそれぞれ個性アリ

「ミラーレス一眼は、携帯性に優れるがスピードや操作性に課題がある」と言われていたのは昔の話。最近のミラーレス一眼は、画質はもちろん、使い勝手の面でも一眼レフに引けを取らないレベルに達しつつあります。今回のミドルクラス4製品のテストでは、大きく進化した最新ミラーレス一眼の実力をまざまざと感じることができました。

 

特に感心したのは、動体に対してもしっかりと追従するAFと連写のレスポンスのよさです。オモチャの電車のほかに、本物の電車や走り回る子どもの撮影も試したが、いずれもストレスを覚えることなく、快適に撮影が楽しめました。

 

操作に関しては、メーカーごとに個性があり、人によって向き不向きが別れるでしょう。EVFやチルト可動の有無、ボディサイズや質量、グリップ感などにも差があるので、これらは要チェックです。

 

ファインダーを重視して一眼レフ、趣味性を優先して高級コンパクトという選択もありますが、なんでも撮りたいと考えるなら、「万能」なミラーレス一眼がオススメです。

 

【その1】

強力な手ブレ補正と握りやすいボディが魅力

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オリンパス

OM-DE-M10 MarkⅢ(画像右)

実売価格8万4860円(ボディ)、10万6450円(ダブルズームキット)

小さなボディに強力な5軸手ブレ補正を内蔵。薄型ながらしっかりと握れるグリップを備えるほか、左右のバランスが取れた正統派デザインも魅力。メニュー画面などのUIが前モデルよりシンプル化し、ビギナーでもわかりやすくなりました。SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●EVF:約236万ドット●サイズ:W121.5×H83.6×D49.5㎜●有効約1605万画素●4/3型センサー●3.0型チルト式液晶●約410g

 

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「AP」モードを新搭載。星空や夜景を手軽に美しく撮れる「ライブコンポジット」などの独自機能をスムーズに選べます。

 

【CHECK01】画質:4

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ほかの3台より画素数がやや少なく、細部表現では少し不利。クリアな色と滑らかな階調には好印象。

 

【CHECK02】AF:3 合焦率50%

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位相差AFに非対応のため、室内の動体AFは苦戦。屋外での電車の撮影では、まずまず良好な性能でした。

 

【CHECK03】操作性:4

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大型のダイヤルや光軸上に配置したEVFなど、カメラとしての使い勝手は上々。さらにチルト式液晶も備えます。

 

【CHECK04】スマホ連携:4

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BluetoothやNFCは非搭載。画面に表示させたQRコードを使って素早くWi-Fi接続ができるのが◎。

 

【その2】

高画質と高速連写を両立した小型モデル

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富士フイルム

X-E3(画像左)

実売価格10万7990円(ボディ)、14万2250円(レンズキット)

X-T2などの上位製品と同等のセンサー&エンジンを搭載しつつ、レンジファインダーカメラ風の薄型軽量デザインを採用。高精細なEVFやタッチ対応液晶を備えており、AFや連写も従来機より大きく進化した。ストロボは非搭載。SPEC●レンズマウント:Xマウント●EVF:約236万ドット●サイズ:W121.3×H73.9×D42.7㎜●有効約2430万画素●APS-Cセンサー●3.0型液晶●約337g

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連写スピードは、メカシャッターで最高8コマ/秒。さらに、電子シャッターでは14コマ/秒という超高速に対応します。

 

【CHECK01】画質:5

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緑や肌の色が美しい発色。高感度画質も低ノイズで、キットレンズも隅まで精密に解像する一段上のものです。

 

【CHECK02】AF:4 合焦率80%

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画面の広範囲をカバーする位相差AFによって、快適なAF性能を実現。追従特性のカスタマイズも可能です。

 

【CHECK03】操作性:3

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一般的な十字キーは非搭載。スティックとタッチパネルで各種設定を行う独自のスタイルは少々とまどいます。

 

【CHECK04】スマホ連携:4

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Xシリーズでは初めてBluetoothに対応。スマホと常時接続しておき、必要なときに素早く連携できます。

 

【その3】

4K動画撮影にも対応した最上位APS-Cセンサー機

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ソニー

α6500(画像右)

実売価格15万3720円(ボディ)

APS-CセンサーのソニーEマウント機として最上位に位置し、発売以来、高い評価を得ている人気機種。小型ボディにEVFとチルト液晶を備えており、ボディ内手ブレ補正も搭載。防塵防滴仕様で、秒間最大約11コマの連写にも対応します。SPEC●レンズマウント:Eマウント●EVF:約236万ドット●サイズ:W120×H66.9×D53.3㎜●有効約2420万画素●APS-Cセンサー●3.0型チルト式液晶●約453g

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動画は全画素読み出しの4K記録に対応。6K相当の情報量を凝縮して4K記録する仕組みで、非常に高精細な映像が得られます。

 

【CHECK01】画質:4

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良好な解像感と見栄えのする発色で、滑らかな階調が見事。標準ズームは、周辺画質がやや甘いのが惜しいです。

 

【CHECK02】AF:5 合焦率 93%

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4Dフォーカスシステムと呼ぶ425点の位相差AFを搭載。動き回る被写体にもほぼ確実に追従してくれました。

 

【CHECK03】操作性:3

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カスタムボタンが豊富で、ダイヤルの操作感も良好。タッチパネルの反応の悪さと液晶の横長さがやや残念。

 

【CHECK04】スマホ連携:4

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Bluetooth非搭載も、Wi-Fi、NFC、QRコード接続に対応。カメラにアプリを入れて機能拡張も可能です。

 

【その4】

独自構造のセンサーで高速&広範囲AFを実現

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キヤノン

EOS M6(画像左)

実売価格8万7450円(ボディ)、8万8660円(EVFキット)、9万8450円(レンズキット)、10万4230円(ダブルズームキット)

一足先に発売された最上位機EOS M5から、内蔵EVFを省き、外付けオプションとすることで小型軽量化を実現。わかりやすく簡潔にまとまったUIや、オプションのアダプターを介して一眼レフEOS用のレンズが使える点も魅力です。SPEC●レンズマウント:EF-Mマウント●EVF:外付け(実売2万1920円)●サイズ:W112×H68×D44.5㎜●有効約2420万画素●APS-Cセンサー●3.0型チルト式液晶●約390g

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最大180度回転するチルト液晶を採用。アングルを問わず、快適に撮影可能で、自分撮りまで無理なく行えます。

 

【CHECK01】画質:4

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オート露出とホワイトバランスに安定感があります。どんなシーンでも押すだけで見栄えのいい絵が得られました。

 

【CHECK02】AF:4 合焦率83%

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独自の「デュアルピクセルCMOS AF」に対応。動体に対しても的確にピントを合わせ続けてくれました。

 

【CHECK03】操作性:3

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ダイヤルで素早く露出補正できるのは◎ですが、特筆すべき点は少なめ。右肩のカスタムボタンは押しやすいです。

 

【CHECK04】スマホ連携:4

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Bluetoothにも対応。撮ってすぐスマホに写真を転送したり、スマホをリモコンにして撮影したりできます。

見慣れた景色が輝く「作品」に! 軽量・高画質なミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E3」で街スナップ@代官山

スマートフォンのカメラの高画質化が著しい昨今、街スナップのような日常シーンなら「スマホカメラで十分!」と考える人は多いでしょう。一眼カメラは、動きの激しいスポーツや乗り物などを撮る人向けの特別な装備であって、普段使いするようなものではない、といったイメージがあるのかもしれません。今秋、そんなイメージを覆す画期的なミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E3」が登場しました。本稿では、日常シーンをキラキラと輝く「作品」へと昇華させる同機の魅力を、写真家・コムロミホさんに解説してもらいます。

【今回紹介するアイテム】

PH-08_R

FUJIFILM
X-E3
オープン価格(直販価格:ボディ 税込 12万3660円)

ファインダー付きのXシリーズでは最小・最軽量となるボディに、フラッグシップモデルと同じ有効2430万画素APS-CサイズCMOSセンサーと画像処理エンジンを搭載したミラーレスカメラ。携帯性と高画質を両立させ、さらに動画は4K/30pの記録にも対応する。カラーはブラックとシルバーの2種類。11月には開放F2の単焦点レンズ「XF23mmF2 R WR」とのキットも発売された(価格はオープンで、直販価格は税込 15万660円)。

●撮像素子:有効約2430万画素APS-CサイズX-Trans CMOSⅢセンサー ●画像処理エンジン:X-Processor Pro ●常用ISO感度:ISO200~12800 ●AFシステム:91点(最大325点) ●連写性能:約8コマ/秒(電子シャッター時:約14コマ/秒) ●ファインダー:約236万ドット有機EL(倍率0.62倍) ●液晶モニター:3.0型約104万ドット(タッチパネル) ●大きさ・質量:幅121.3×高さ73.9×奥行き42.7mm・約337g(バッテリー、記録メディア含む)

 

■詳しい製品情報はコチラ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_e3/

 

【著者Profile】

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コムロミホ

アシスタントを経て、人物を中心として広告や雑誌等で撮影をする一方、ライフワークでは海外、国内と街スナップを撮り歩いている。またカメラに関する執筆やカメラ教室の講師としても活躍する。

 

ハイスペックながら撮り疲れしない携行性&操作性

富士フイルムのミラーレスカメラ「Xシリーズ」には、エントリーモデルからハイエンドモデルまで5つのラインナップがあり、今回紹介するX-E3はその中級モデルに位置する。軽量コンパクトながらもハイスペックな本格派。今回はこのX-E3を持って、代官山へスナップに出かけることにした。作例とともにカメラの魅力と撮影テクニックをご紹介したい。

 

まずは、外観や操作性について。カメラを持ち運ぶときは常に首からカメラを下げているため、デザインもカメラを選ぶうえで大事なポイントだ。X-E3は革張りのような質感で高級感があり、カメラらしいクラシカルなデザインを採用。カメラの上部には金属を使用し、重厚感のある見た目だが、質量は約287g(本体のみ)と軽量で携帯性に優れる。今回の撮影では被写体を探しながら1日中代官山を歩いたが、疲れることもなくスナップを楽しむことができた。この身軽さと手軽さがミラーレスカメラのメリットの1つだろう。

20171204_y-koba2 (11)↑「持つ喜び」を感じられるクラシカルな外観ながら、ボディは小型・軽量でスナップ撮影にぴったり。 新キットレンズ「XF23mmF2 R WR」との相性も抜群だ

 

スナップは日常の出来事や出会った光景を一瞬のうちに切り取る撮影方法で、いろいろなところに目を向けて、とにかく迷わずにシャッターを切ることが大切。そのため、カメラには速写性が求められる。その点、X-E3はタッチパネルの背面モニターを搭載しているため、ピント合わせや機能の呼び出しもスマホのような感覚で直感的な操作が可能。さらにスティックタイプのフォーカスレバーを新搭載。上下左右斜めの8方向に可動し、フォーカスエリアの移動もスムーズに行える。そして、EVF(電子ビューファインダー)が搭載されているため、ファインダーを覗きながら被写体を捉えることができ、撮影に集中できるのがうれしい。

20171204_y-koba2 (6)↑背面はボタン数を必要最低限に絞ったシンプルなデザイン。十字キーも省略されているが、タッチパネルと新搭載のフォーカスレバーと呼ばれるスティックで快適に操作できる

 

一眼カメラならではの高精細画質やボケで日常風景を印象的に表現

X-E3は同社の上位機種である「X-T2」、「X-Pro2」と同じ2430万画素のX-Trans CMOSⅢセンサーを搭載し、最新の画像処理エンジンを採用。風景や建物などディテールのある被写体を撮影すると、細部までしっかりと再現してくれているのがわかる。スマホなどで気軽に撮るのもいいが、思い出のワンシーンや旅先での風景などの一瞬一瞬は一眼カメラの高画質で残したいものだ。

20171204_y-koba2 (15)↑建物に書かれた文字やレンガのディテールを細部まで再現しており、画像中央から周辺まで高い解像感を実現している。センサーだけでなく、フジノンレンズの描写力の高さも実感することができた

 

そして、スマホとの大きな違いはボケを生かした撮影を行えること。より大きなボケを作りたいときは単焦点レンズというF値が小さいレンズを使用する。単焦点レンズはズームができないが、大きなボケを作りやすく、暗いところでも手ブレしにくいというメリットがある。

 

X-E3のキットレンズは単焦点レンズの「XF23mmF2 R WR」とズームレンズの「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」のどちらかを選択できる。両者とも描写力の高いレンズなので、どちらを選んでも後悔のない1本といえるが、ボケを生かした写真やスナップには単焦点レンズのXF23mmF2 R WRをおすすめしたい。

20171204_y-koba2 (2)↑今回、新たにX-E3のレンズキットとして登場した単焦点レンズ「XF23mmF2 R WR」。●希望小売価格:6万2000円(税別) ●レンズ構成:6群10枚 ●最短撮影距離:22cm ●最大撮影倍率:0.13倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●フィルター径:43mm ●大きさ・質量:外径60×全長51.9mm・約180g

 

23mmは35mm判換算で35mm相当となる広角で、被写体と背景の両方を際立てやすく、街スナップとして面白みのある画角だ。大きなボケを作りたいときはF2に設定し、できるだけ被写体に近づくことがポイント。そうすることで、被写体が際立ち、主題が伝わりやすい写真になる。またXF23mmF2 R WRは小型軽量でX-E3との相性も良く、軽快にスナップを楽しむことができた。

20171204_y-koba2 (3)↑単焦点レンズのXF23mmF2 R WRを使い、開放F値に設定して撮影。店先にさまざまな雑貨がディスプレイされており、背景がごちゃごちゃしていたが、大きなボケを作ることでアンティークの人形だけが際立つ1枚に仕上がった

 

Xシリーズが誇る「色」へのこだわりとフィルムシミュレーション機能

長年フィルムを作ってきた富士フイルムの色に対するこだわりが、本機の絵作りにも直結している。鮮やかな色も淡い色もグラデーション豊かに再現し、クリアで抜けのいい色表現を実現。印象に近い色表現で、被写体の美しさが素直に伝わりやすい写真になる。特に人物の肌の色の再現性は高く、透明感のある美しい肌の色に仕上げてくれる。

20171204_y-koba2 (13)↑スタンダードのPROVIAで撮影。鮮やかなピンクから淡いトーンまでをグラデーション豊かに表現し、グリーンや紫、青も見た目に近い印象に仕上がっている

 

そして、さまざまな色表現を楽しめるフィルムシミュレーションという機能があり、実際にあるフィルムの特徴を生かした絵作りとなっている。例えば「Velvia」は色鮮やかでシャープネスが高く精密な描写を得意とするフィルムだが、フィルムシミュレーションのVelviaでも同じような効果を得られる。フィルムシミュレーションは全部で15種類の効果があり、被写体やシーンに合わせて選択すれば作品性の高い1枚に仕上げることが可能だ。次の作例は、15種類のフィルムシミュレーションで同じシーンを撮影したもの(クリックすると拡大可能)。

PROVIA/スタンダード Velvia/ビビッド ASTIA/ソフト ACROS ACROS(+Yeフィルター) ACROS(+Rフィルター) ACROS(+Gフィルター) クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ モノクロ(+Yeフィルター) モノクロ(+Rフィルター) モノクロ(+Gフィルター) セピア

今回、代官山のスナップで個人的に最も気に入って使ったのは「ACROS」という粒状感のある、豊かな階調再現にこだわったモノクロモード。まさにフィルムのACROSらしくシャドーの締まりに粘りがあり、独特な立体感を演出してくれる。代官山といえばオシャレな街の代名詞だが、裏路地は古い住宅街が建ち並び、意外と静かでもの寂しげな雰囲気がある。次の作例では、ACROSモードの粒状感あるモノクロが代官山のおしゃれな雰囲気にも裏路地にもマッチし、フィルムライクな仕上がりが年代を感じさせる1枚に仕上げることができた。

20171204_y-koba2 (8)↑フィルムシミュレーション「ACROS」でピザ屋に入る女性の後ろ姿を切り取った。店内だけを撮影するのではなく、ドアもフレーミングすることで奥行感のある写真に仕上がった。ドアと室内では明暗差があるが、粘りのあるシャドーのおかげで店内の床や自転車の質感も残っている

 

スマホでは難しい、動きモノの撮影や暗所撮影でも大活躍

動く被写体を撮影するときはピント合わせの速さが重要になるが、X-E3はAF(オートフォーカス)性能も向上。広いAFエリアをカバーするフォーカスモード「ゾーン」や「ワイド/トラッキング」を使えば、動く被写体にも高速かつ正確にピントを合わせることができる。そして、AF追従時は被写体の動きや速さに合わせて5つのAF設定を選ぶことができ、複雑に動く被写体でもしっかりとピントを合わせ続けてくれる。次の作例のような動きの速い小型犬はピント合わせが難しいが、激しい動きに強いSET 5を選択することで、きっちり犬にピントが合い、かわいらしい表情を切り取ることができた。

20171204_y-koba2 (12)↑AF-C(シャッターボタンを半押ししている間、動く被写体にピントを合わせ続ける機能)に設定し、連写で撮影。動きの速い被写体だったが、正確で素早いAFのおかげでしっかりとピントを合わせることができた。また、動きの速い被写体を撮影するときは被写体がぶれないように、できる限りシャッタースピードを速く設定しよう

 

冬になると街を賑やかにするイルミネーション。思わず写真を撮りたくなる被写体の1つだろう。しかし、スマホで暗いところを撮ると、写真にザラザラとしたノイズが現れてしまい、見た目の美しさが伝わりにくくなってしまう。そういうシーンもぜひ本機での撮影をおすすめしたい。

 

暗いシーンで撮影するときは手ブレしないようにISO感度の数値を大きくする必要があるが、高感度にするとノイズが発生しやすくなる。しかし、X-E3は高感度性能が高く、高感度のISO3200で撮影しても目立つノイズはなく、高精細に表現。そのため、夜の街や雰囲気のある暗いカフェやバーなどでの撮影でも安心して手持ち撮影を楽しむことができる。そして、イルミネーションであれば電飾のように小さな光源を大きくぼかすことで、丸ボケという丸い光の玉を作ることができる。単焦点レンズを使って開放F値に設定し、オーナメントなどに近づいて撮影すると、キラキラと輝く丸ボケになる。

20171204_y-koba2 (16)↑手ブレしないようにISO感度をISO3200にして撮影。こうした高感度で撮影しても目立つノイズもなく、オーナメントのディテールもしっかりと表現できていることがわかる。また背景を大きくぼかしたことで、イルミネーションが丸ボケとなり、幻想的な写真に仕上がった

 

豊富で高品質なフジノンレンズで撮影の楽しみが広がる

Xシリーズの交換レンズにはさまざまなラインナップがあり、小型ながらも性能の高いレンズが多い。レンズを交換すれば表現の幅も広がり、さらに撮影が楽しくなるだろう。

 

今回はキットレンズに加え、11月末に発売されたばかりの「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」を使用してみた。こちらは等倍撮影可能な中望遠マクロレンズで、防塵・防滴・耐低温構造を採用。レンズ質量が約750gとX-E3に装着するにはやや重めの印象だが、非球面レンズなどの特殊レンズを贅沢に使用したレンズ設計で描写力が高い。等倍付近まで被写体に近づいてもピント面の解像感が高く、ボケも滑らかだ。

20171204_y-koba2 (1)↑2017年11月にに発売された中望遠マクロレンズ「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」。●希望小売価格:16万8500円(税別) ●レンズ構成:12群16枚 ●最短撮影距離:25cm ●最大撮影倍率:1倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●フィルター径:62mm ●大きさ・質量:外径80×全長130mm・約750g

 

中望遠マクロレンズは被写体に接近しなくても小さな被写体を画面いっぱいに捉えることができるため、近づくと逃げてしまうような昆虫などの撮影にも向く。またマクロ撮影だけでなく、F2.8のボケを生かしたポートレート撮影やスナップにも活躍する万能レンズである。

20171204_y-koba2 (9)↑カフェで注文したおしゃれなドリンクをXF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroで撮影。上に乗っていたフルーツを画面いっぱいに捉えることで、フルーツのみずみずしさや質感が伝わる写真になった。ここまで大きく被写体を写すことができるのが、マクロレンズの面白さだ

 

【まとめ】軽量・コンパクトで毎日持ち歩きたくなるカメラ

今回、午前中から夜まで1日中歩きながら被写体を探したが、軽量・コンパクトであるおかげで疲れずにスナップを楽しむことができた。街スナップは歩けば歩くだけシャッターチャンスに出会えるため、カメラが小さいということは大事なポイント。X-E3は毎日首からぶら下げて持ち歩きたくなるようなデザインで、さまざまなシャッターチャンスに恵まれそうだ。

 

そして、フィルムシミュレーションを使用すれば、そのシャッターチャンスをより印象的でアーティスティックな1枚に仕上げることができる。カメラのなかでイメージを作りこめるため、被写体にカメラを向けるのが楽しくなる。さらにBluetoothを使用すればパソコンを使わなくてもスマホに直接転送できるため、撮ったその場でSNSなどにシェアすることも可能だ。

 

「スマホで十分派」の人も、本機を手にすればその考えが変わるはず。毎日の記録をぜひX-E3とともにたくさん残してもらいたい。

 

■詳しい製品情報はコチラ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_e3/

 

※本記事は12月20日発売の「CAPA1月号」との連動企画です。CAPA1月号には、ここでは掲載しきれなかった作例が盛りだくさん!詳しくはコチラをチェックしてみてください(遷移先の情報は12月20日に更新されます)